賞品はあなたの妄想力、好きなだけアリスとのイチャイチャをイメージしてください(投げやり)
どうも、一ヶ月ぶりのサイドカー登場でございます。
お待たせしました最新話。ごゆるりと楽しんでいただけると嬉しゅうございまする。
「最高だったわ! こんなに充実した取材は久しぶりよ、ありがとね二人とも!」
「ふふ、どういたしまして」
「ふぃー、やっと終わったか。ここまで根掘り葉掘り聞かれるとは思わなんだぞ」
矢継早というかマシンガントークというか、念写系鴉天狗による怒涛の質問ラッシュを全てさばき切りようやく一息つく。はたては手帳をミニスカートのポケットに収めると、アリスの両手を掴んでブンブンと上下に振りまくる。なんともまぁ、こんだけ嬉しそうにされたら文句は言えまいて。どちらかといえば新聞云々より個人的な興味で訊かれたものが多かった気がするのは触れないでおこう。
最後の質問を言いかけたところをアリスに口を押さえられてモガモガ言っていたのも気になるが、乙女の秘密に関するものだとしたら詮索はマズイ。わずかにだが、式はどうとか聞こえたけど……魔法の術式とか?
ネタの釣果が大漁だったのもあり、気分上々の少女はモチベーションも昂ぶってバリバリ絶好調のご様子。ぜひともその熱意で面白い新聞を書いていただきたい。ただし、ねつ造は勘弁してほしいですがね。
俺と同じ考えを抱いたのか、アリスはしっかりと言い聞かせるように確認する。
「本当に変なこと書かないでね。約束よ?」
「だいじょーぶよ。文とは違うんだから、アタシを信じなさいって」
「別に疑っているわけじゃないけれど、浮かれすぎていて心配なのよね……」
「やーね。大丈夫よ問題ないわ」
「なぜかしら。今ので余計に不安になったわ」
「うむうむ。なかなか良いものだな」
二人の少女による漫才染みたやりとりについついニヤけてしまう。と、俺達の取材模様を遠巻きに見ていたもう二人の少女も集まってきた。
「お疲れ様でした」と労いを忘れないもみっちゃんの心遣いに癒される一方で、白黒魔法使いは悪戯っぽい表情でからかってきた。可愛いから許すけど。
「にゅふふふ、いいもん見させてもらったぜ~」
「その笑い方やめい。あと、止めさせろとまでは言わんけどちょっとぐらいは助太刀してほしかったですね」
「またまたぁ、そんな野暮なことしたら馬に蹴られてしまうぜ」
「す、すみません……私もちょっと入り込めそうにありませんでした」
「なんでさ、お主等には一体どんな風に見えてたのよ?」
「おーい、盟友。終わったぞー」
「おっと、職人のお戻りだべか」
インタビュー終了とほぼ同時という、実にグッドなタイミングでにとりが戻ってきた。彼女は俺のところまで来ると、「どっこいしょ」と年頃の娘さんが言うにはどうかと思う掛け声で背負っていたリュックを下ろす。
立て続けに彼女は中をゴソゴソと漁り始めた。だが、目的の品が見つからないらしく「あれ~? どこだ~?」とボヤキいて次から次へと中身を引っ張り出す。溢れ出る流れはとどまることを知らず、少女の周りを埋め尽くさんばかりに敷き詰められていく。
工具箱、電動ドライバー、溶接バーナー、ガスマスク、何かのパーツっぽい大小さまざまなガラクタたち、赤いスイッチ単品の起爆装置みたいなリモコン、手のひらサイズのドリル、土台の上に水晶と塔の屋根が載っている何かよく分からん物、吸盤付きの黄色い竹とんぼなどなど。
「えっと、これでもない。これも……違うな。むむむ、なかなか出てこない」
「ちょちょちょ、あきらかに容量オーバーしてねェ!?」
劇場版だとよくある、ピンチな状況でドラえもんが焦りまくってポケットから色々な道具をポンポンと放り出す場面を思い出した。まさかあのリュックも四次元だというのか。っていうかさっき変なの混ざってなかった?
そんなこんなでしばらく経って、ようやくお目当ての品――依頼した掃除ロボと扇風機が出てきた。
「お、あったあった。ほい、お待ちどうさん」
「うぃ、どもども。って、最初の時と変わってねぇかい?」
「ふふん、そりゃそうさ。なんたってパワーアップさせといたから。キュウリをもらったからにはこれくらいしないとね」
「あらま、そいつぁありがたい。コレが匠の技か、劇的やね」
ブツを受け取ってみれば、両方とも微妙に変化していた。ビフォーとアフターを比べて、なんということでしょうとか言いたくなる。
まず円盤型お掃除マシーンが大きくなっていた。ざっと当社比1.5倍くらい。パワーアップしたというだけあって、ちょっと大きなゴミもイチコロな吸引力を予感させる。キチンと電池式にも改造済み。デカくなったせいで狭い所に入らなくなりそうだとか言っちゃいけない。いいね?
続きまして扇風機。こちらも要望どおりコンセントの代わりに電池を入れるタイプになっている。ふたを開けると単一が二つ入っていた。あとボタンの表記が弱中強ではなく「イージー」「ノーマル」「ハード」「ルナティック」になっている。一つ増えとるがな。
幻想郷のエンジニアが持つワザをふんだんに盛り込んだ魔改造ギリギリ手前なメカを見て、アリスが眉をひそめた。魔理沙も興味を引かれてしげしげと観察する。
「大丈夫なの? いやな予感がするんだけど、危なくないでしょうね?」
「だったら私にイイ考えがある。持って帰る前にここで試してみようぜ。使うならそっちの風車がいいな。風を起こして涼しくするんだろう? 日が高くなってきたせいで汗かいてきちゃってさ。スカートの中が蒸れてジメジメするんだ」
「こら、はしたないわよ」
「えー、これくらい別にいいだろう? 減るもんじゃないし」
汗ばんだ衣服を乾かそうと、魔理沙はバッサバッサとスカートをはためかせて中を扇ぐ。が、すぐさまアリスにしかられてブーブー文句を垂らした。本人が気にしていないにしても、魔理沙みたいな美少女にスカートをたくし上げられたら男としては目のやり場に困る。あれか、短パンはいているから恥ずかしくないもんってやつか。いや、知らんよ? 見てないよ?
とにもかくにも、魔理沙の言う通り試運転といきませう。とりあえず「イージー」を押してみる。プロペラがゆっくりと回り始めて次第に速度を上げていく。ブォオオ……という若干レトロな回転音とともに、心地良いそよ風が生み出された。
「おー、こいつぁ誠に涼しすヒヤシンス」
「おいおい、なに自分だけ涼んでいるんだぜ。私らにもやってくれよ」
「へいへい。ほいっとな」
「あ~~~~。あははっ、面白いなコレ! 声が変になるぜ!」
魔理沙に催促されて、手に持っていた小型扇風機を百八十度回して彼女に向ける。誰もが一度はやるであろう、声がぶれるお約束もやったりしてすっかり楽しんでいた。ついでに首ふり機能をオンにしてアリスにも風が行き渡るようにしておく。
「あら、いい風ね……」
「だろ? アリスもやろうぜ。あ~~~」
「それは遠慮しておくわ」
はじめは心配していたアリスも頬をなでる優しい風に目を細めた。ブロンドの髪がさらさらとなびくのも合わさって眩しいくらいに麗しい。後ろでは魔法使い二人の反応にご満悦のにとりが腕を組んでドヤ顔を浮かべている。さすがやでぇ。
そんな感じでワイワイと文明の利器を囲んでいる俺達を眺めて、椛がぽつりと疑問を漏らした。
「風を起こして涼むのであれば内輪でも良いのでは……?」
「野暮なこと言うもんじゃないわよ椛。自分は何もしなくてもいいんだから楽チンじゃないの」
「はぁ、そういうものでしょうか?」
「そういうもんよ。ま、アタシら天狗にはあまりカンケーないけどね」
面倒くさがりの一面があるのか、はたてはわりと現代人に近い考え方をする。ケータイも持っているのもナウいぜ。それはそうと、
「にとり氏、ボタンが一つ多くないっすかね?」
「あー、リミッターを解除するやつだね。その小さい型式だと遠くまで風が行き届かないだろう? だから限界まで性能を引き上げたのさ。圧倒的な火力、いや風力だよ」
「ほほう?」
にとりの解説を聞いて魔理沙の目が怪しく光る。火力と聞いて反応したっぽい。弾幕はパワーと豪語する彼女だ。興味を引かれるのは必然といえよう。あんま関係ないけど、たぶん魔理沙にゲームやらせたら能力値の振り分けで攻撃力に全部つぎ込むんじゃないかと思う。そんでアリスはバランス良く配分しそう。
「やっぱ何事もパワーだよな。んじゃ早速」
「魔理沙ッ、ちょっと待っ――」
人形遣いが止める声も聞かず、白黒魔法使いの指が「ルナティック」のスイッチに触れる。すると、機械がガタガタと危なっかしく震え出し、ドリルみたいな鋭い音を響かせてプロペラが超絶スピードで回転を始めた。直後、目の前にあるものすべてを吹っ飛ばしかねないほどの暴風が手元から繰り出された。
「ぬぉおおおおお!?」
「うわぁああ!?」
「は、早く止めてぇえ!」
三者三様の驚きの叫びが轟音にかき消される。
その威力たるや、まさに嵐。まるで竜巻を横向きにしたかのような乱気流が唸りを上げる。推進力すら発揮する風圧が来るなどとは思いもせず、暴れっぷりに踏ん張りがきかず数歩下がってしまう。しっかり持っていないと手を放しそうだ。私の愛馬は凶暴です。
不幸にも俺が後ずさったことがさらなる波乱を生む結果となった。アリス達から距離が開いたのと絶賛首振り中であることが重なって、扇風機から放たれるサイクロンが及ぶ範囲が全体に広がる。よって――
『きゃぁあああああああ!!』
「なななななんですとぉおおお!?」
イタズラな風なんて生温いもんじゃない。その場にいた少女達のスカートが一斉に捲り上がり、足の付け根近くまで素肌が晒される。あやうく下着まで露わになる寸前で彼女達は悲鳴を上げて衣服の裾を必死に押さえつけた。はたてにいたってはミニスカが翻って相当きわどいことになっている。
って、なんだこの展開!? こんなんまるでラブコメのラッキースケベみたいじゃないっすか!?
「ちょ、ヤダ! 優斗見ちゃダメぇー!!」
「ア、アリしゅッ!?」
アリスの声につい反応してしまうと同時に思いっきり噛んだ。人形遣いの鮮やかな青のロングスカートが花弁のように舞い、布地の下に隠された白くてスベスベな肌と健康的な弾力をもつ太腿が視界に飛び込む。沸き起こる鼻血衝動とお宝映像のダブルパンチ、加えて荒ぶる扇風機のトリプルパンチにより足がもつれてまたしても一歩後ろに……
ズルッ
「あ」
ドボーン!!
つづく
タイトルに1/2がつくということはつまり……