ダンガンロンパ キャンパス   作:さわらの西京焼き

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かなり長くなりそうなので前編と後編に分けます。
正直、今回は書くのにかなり苦戦しました……



学級裁判(前編)

学級裁判前編

 

 

深く落ちていったエレベーターが止まった。

チンと音が鳴って扉が開く。

すると、目の前に円状に配置された席が現れた。

「なんでござるかこの空間は………」

霞ヶ峰さんが周りを見渡している。

全体的に丸い形をしているこの部屋は、薄暗く不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

「いらっしゃーい!!ようこそ学級裁判場へ!!どうカバ?このお洒落な空間!!オイラのセンスが光る芸術的空間カバよ!!!!」

「どこがだよ。悪趣味な空間だぜ」

「褒めても何も出ないカバよ〜!!」

「中澤さん。多分何言っても無駄だと思いますよ………」

「そうだな」

「ちょっとぐらい褒めてくれてもいいのにカバ………さあ、オマエら、自分の名前が書いた席につくカバー!!学級裁判の開廷カバ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ついに起きてしまった殺人事件。何故飛田が殺されてしまったのか?動機との関連は?現場が女子トイレである理由は?

命を賭けた学級裁判がついに始まる。

 

 

コトダマ一覧

 

 

 

[モノカバファイル①]

 

被害者は《超高校級のバイク便ライダー》、飛田 脚男。

死体発見場所は3階の女子トイレ。

死亡推定時刻は7時20分頃。

頭部に打撃痕があり、全身に切り傷や刺し傷が見られる。

 

 

[ジャックの検死結果]

モノカバファイルに間違いは無いらしい。ただ、傷の割に出血が多すぎるそうだ。

また、手首には何かの跡が残されていた。

死因は不明だが、少なくとも失血死ではないとの事。

 

 

[飛田の表情]

ジャック曰く、飛田の表情が窒息死した患者の表情と似ているとの事。

 

 

[死体周辺の状況]

周辺は血塗れだが、飛田の倒れていた場所だけ血が全く付いてなかった。

 

 

[黒瀬の証言]

今朝は分倍河原と一緒に6時から7時40分頃までトレーニングルームにいた。

ちなみに昨日もパーティーの片付けが終わった後から10時半頃まで分倍河原と一緒にいたらしい。

 

 

[飛田のカバフォン]

飛田は身につけておらず、どこにあるのかは不明。

 

 

[男子トイレの壁の擦り痕]

3階男子トイレの壁に、何かを擦って拭こうとした痕が残されていた。

 

 

[ロープ]

普通のロープ。用途は不明。新品ではなく、使用された形跡がある。

 

 

[用具室の様子]

用具室内はかなり荒れていて、まるで誰が暴れ回ったような様子だった。

 

 

[深いシンクの擦り痕]

壁と同じように、何かを擦って拭こうとした形跡が見られる。

 

 

[購買の在庫]

昨日から今日にかけて減っていた事件と関係ありそうな物は3つ。

1 彫刻刀

2 ロープ

3 睡眠薬

 

 

[彫刻刀]

飛田に付けられた傷は彫刻刀による物だと思われる。

 

 

[モノカバ睡眠薬]

血液型によって効き始める時間と効果時間が変わる睡眠薬。

使い方は一錠飲み物に混ぜて飲むだけ。

 

 

・A型 …12時間 、 2時間

・B型 … 8時間 、 6時間

・O型… 6時間 、10時間

・AB型…2時間 、4時間

(前者が効き始めるまでの時間、後者が効果時間)

 

 

[北条、柴崎の証言]

北条は今朝はなぜか時間通りに起きられず、死体発見アナウンスがなるまでずっと寝ていたそうだ。

柴崎は今朝はたまたま早く起きられたらしく、部屋で本を読んでいた。朝食に来なかったのは単に忘れていただけらしい。

2人の血液型はそれぞれO型、B型。

 

 

[保健所の輸血パック]

初日より数が大幅に減っている。

 

 

[喜屋武の証言]

女子会の最中に3階のトイレを使おうとしたら〈清掃中〉の看板が置いてあり使えなかった。

 

 

[千野を襲った眠気]

昨日のパーティーの途中で猛烈な睡魔に襲われ、パーティーが終わって部屋に帰った瞬間寝たという。

 

 

[独島のカバフォンの行方]

昨日のパーティー前後から行方不明だったが、さっき会議室で見つかった。

 

 

[中澤の証言]

パーティーでの飲み物を用意したのは中澤、ジャックの2人。

それを開けて注いだのが喜屋武。全員分を運んだのが北条。

 

 

[霞ヶ峰の証言]

今朝の5時半頃、保健所の前を通ったら扉が微妙に開いていた。中には誰もいなかったとの事。

 

 

[死体発見アナウンス]

犯人以外の3人が死体を発見した時に流れるアナウンス。

今回、死体を発見した人物と順番は柴崎→万斗→幸村の順。

 

 

[飛田の殺人手助けキット]

トンカチ、ナイフ、スパナのうち、トンカチにだけ使用した形跡がある。

 

 

[飛田宛の手紙]

飛田の個室の机に入っていた。

 

「飛田君へ

動機の件で、どうしても伝えたい事があります。

明日の朝6時半頃に私の部屋に来て下さい。

                  霞ヶ峰 」

 

 

 

 

 

席順(相川から時計回り)

 

相川→飛田→霞ヶ峰→喜屋武→分倍河原→北条→ 柴崎→錦織→千野→霜花→空き→ジャック→独島→黒瀬→中澤→幸村→万斗→銀山

 

     

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷!!

 

 

 

モノカバ「では、改めて最初に学級裁判の説明をしておくカバ!学級裁判では誰が犯人かを議論して最後に投票してもらうカバ! 正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきを受け、間違えた人物をクロと指摘した場合はクロ以外の全員がおしおきを受けるカバ!!」

ジャック「相変わらず胸糞悪いルールダ」

モノカバ「それは褒め言葉として受け取っておくカバ。じゃあ、ちゃっちゃと議論を始めちゃってくださいカバ〜!」

銀山 香織「それより、あれは何だ」

銀山さんが指を差すのは、本来飛田君と錦織さんがいるはずの場所にある遺影だ。しかも、それは赤いペンキでバツ印が描かれている。

モノカバ「死んだからって仲間外れにするのはかわいそうカバ。だからオイラの慈悲深い計らいでちゃんと参加させてあげているカバー!ああ、なんてオイラは優しい心の持ち主なんだろうカバ……」

銀山 香織「悪趣味な……どこまで死者を愚弄すれば気が済むんだ」

柴崎 武史「そんな奴の事相手にする必要ないっすよ」

銀山 香織「………そうだな。すまない。では、始めようか」

独島 灯里「始めるっていってもー、何すればいいのー?」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者ら、裁判など初めてでござるからな…」

北条 業「何も、無理に普通の裁判と同じように進める必要はないんじゃないですか?私達素人ですし……」

銀山 香織「北条の言う通りだ。何をしていいのか分からないのなら、とりあえず今分かっている事と分かってない事を整理してみるのはどうだろう?」

万斗 輝晃「なるほど!!さすが香織さん!」

喜屋武 流理恵「でしたら、まずはモノカバファイルの確認からですね」

ついに始まった学級裁判。うちも気になる事があったら発言していかないと………

 

 

 

議論開始!

 

 

銀山 香織「被害者は超高校級のバイク便ライダー、飛田 脚男だ」

分倍河原 剛「死体発見場所は3階の女子トイレ、だったな」

喜屋武 流理恵「死亡推定時刻は7時20分。朝食の前ですね」

千野 李玖「頭部に打撃痕があり、体に無数の傷………。全身を酷く痛めつけられているのが分かります」

幸村 雪「………じゃあフライは[全身に傷を負わされたせいで死んじゃった]って事でしょ?そんなのあんまりだよ………」

霞ヶ峰 麻衣子「飛田殿………さぞかし辛かったでござろうな………」

 

 

[全身に傷を負わされたせいで死んじゃった]

←[ジャックの検死結果]

 

 

「それは違うっ!!!!」

 

 

 

 

 

幸村 雪「うわっ!?びっくりした!りんりん、うちなんか変な事言った?」

相川 凛「幸村さん。実は飛田君はあの傷が元で死んだんじゃないんだ。ねぇ、ジャック君?」

ジャック「……………フン、その女の言う通りダ。あの傷は直接の死因とはなり得なイ」

中澤 翼「どうしてだ?かなりの傷だし可能性はあるんじゃないか?」

ジャック「確かに傷は多数あったガ、傷が浅すぎル。あの程度じゃ人は絶対に死ななイ。それに恐らく………あの血はキャクオから出たものじゃなイ」

黒瀬 敦郎「なっ!?じゃあ誰の血だって言うんだよ?かなりの量だったぞ!」

ジャック「タケフミ。保健所のアレは調べたカ?」

柴崎 武史「ジャックさんの言われた通りばっちり調べたっすよ。ねっ、相川さん?」

相川 凛「えっ!?」

柴崎 武史「誰のか分からない大量の血と保健所のある物。これらから分かる事があるはずっすよ」

柴崎君……なんでわざわざうちに答えさせるんだろう。自分で分かっているのに。でも、柴崎君の言ってるのって多分あれの事だよね………。

 

 

 

[保健所の輸血パック]←

 

 

これだよ!!

 

 

 

相川 凛「柴崎君が言ってるのって、保健所の輸血パックの事だよね?」

柴崎 武史「正解っす。さすがは相川さん」

黒瀬 敦郎「輸血パックぅ?そんなのあったのかよ」

相川 凛「うん。喜屋武さんによると、保健所の冷蔵庫にあった輸血パックが初日に見た時よりかなり減っているらしいんだ。犯人は多分これを使ったんじゃないかな?」

霜花 優月「喜屋武さん、それは本当ですか?」

喜屋武 流理恵「はい。相川さんの言う通り、私は初日に飛田君と保健所を訪れた際、冷蔵庫一杯に輸血パックがあった事を確認しています。しかし、さっき調べたところ、輸血パックの量は半分以下になっていました」

霜花 優月「そうですか。飛田さんがいない以上、証人が喜屋武さん1人だけなのが少し気になりますが………まあいいでしょう。他にあの大量の血を説明出来る物がないですしね」

北条 業「なんでそんなに偉そうなんですか……」

幸村 雪「輸血パック??それで輸血パックをどうやって使ったの?」

ジャック「少しは頭を働かせロ。考えればすぐ分かる事ダ」

幸村 雪「うるさいな!今考えるの!!えーっと………分かった!上から全部ドバーッてぶっかけたんだ!!」

万斗 輝晃「上から………ぶっかける………?」

中澤 翼「お前、それ絶対違う意味で考えてるだろ………」

相川 凛「えっと……。幸村さんの言う通り、普通に飛田君の上から全部撒いたんだよ。だから飛田君の傷が浅いにも関わらず大量の血が周りにあったんだと思う」

独島 灯里「でもー、なんの為にそんな事したのかなー?」

柴崎 武史「多分、死因を誤認させる為じゃないっすか?実際、ジャックさんの検死結果がなければ僕たちは勘違いしてたかもしれないっすよ」

独島 灯里「なるほどね〜。さすがジャックくん、なかなかやりますな〜」

ジャック「貴様は俺の神経を悉く逆撫でするナ………」

相川 凛「とにかく、輸血パックの使い方はこれで間違いないと思うよ」

 

 

 

 

 

「その推理、美しくありませんな」

 

 

 

 

 

 

反論!!!!

 

 

千野 李玖「相川殿、そうだと決めつけるのはまだ早いのではないですかな?」

相川 凛「えっ!?でもそれ以外に方法なんて………」

千野 李玖「ない、とは言い切れないですよ?さぁ、拙僧の反論、聞いていただけますかな?」

びっくりした。まさか普段静かな千野君が反論してくるなんて。でも素直に引き下がるわけにもいかない。自分の持っている証拠で千野君を納得させないと。

 

 

 

反論ショーダウン開始!!

 

 

「仮に輸血パックを使ったとしても上から撒く以外に方法がありますよ」

 

「それは、まず輸血パックの血を床に広げておくのです」

 

「そしてそこに飛田殿を転がしておく」 

 

「そうすれば、[全く同じような状況]を作り出せるのではないですかな?」

 

「相川殿、逸る気持ちは分かりますがもう少し落ち着いて議論を進めてはいかがかな?」

 

 

[全く同じような状況]←[死体周辺の状況]

 

 

 

その言葉、斬らせてもらうよ!!!!

 

 

 

 

 

相川 凛「千野君、これを見て欲しいんだけど」

千野 李玖「これは………あ!」

相川 凛「そう、死体の周辺は血まみれだけど、飛田君の背中だけは全く血がついてなかったんだ」

銀山 香織「そうか、千野が言った方法では背中にまで血が付いてしまう。だから違うという事か」

北条 業「なるほど!さすがは凛さん!!」

相川 凛「そんな褒められるような事じゃないんだけど…」

千野 李玖「いやはや、まさか飛田殿の背中が汚れていなかったとは。無知な故とんだ恥を晒してしまいましたな。相川殿、時間を取らせて誠に申し訳ない」

相川 凛「いいんだよ。こうしてみんなでどんどん疑問を解消していこう」

霜花 優月「では、次は私から議題を提供しましょうか。それは………」

 

 

黒瀬 敦郎「ていうかさ………誰も言わねーから言うけどよ」

 

 

 

 

 

黒瀬 敦郎「脚男を殺したの、女子しかありえねーだろ」

 

 

 

黒瀬君が霜花さんを遮って言った言葉は衝撃的な一言だった。

え?女子が犯人?どういう事?

 

 

 

議論開始!

 

 

幸村 雪「はぁ!?!?!?何それ、なんで女子だけ疑うの!!」

霞ヶ峰 麻衣子「黒瀬殿ひどいでござる!!男女差別でござるよ!!!!」

独島 灯里「そうだそうだー。男女差別はんたーい!」

黒瀬 敦郎「うるせぇ!!いいか、女子トイレは女子しか入れないんだぞ!だったら、俺ら男子には無理だろうが!!」

幸村 雪「うっ………でもでも、なんらかの方法で男子が入れたかもしれないじゃん!」

黒瀬 敦郎「じゃあその方法ってなんだよ?雪、お前なら分かるんだよな?」

幸村 雪「そ、それは……まだ、分かんないけど………」

黒瀬 敦郎「ほらみろ![男子が女子トイレに入れる方法]も[男子が殺したっていう証拠]も無いんだから女子が殺したに違いねぇ!!」

 

[男子が殺したっていう証拠]← [男子トイレの壁の擦り痕]

 

 

それは違うっ!!!!

 

 

 

 

 

 

相川 凛「男子が犯人だっていう明確な証拠はないけど、男子トイレで誰かが争ったっていう事なら説明出来ると思うよ」

黒瀬 敦郎「嘘だろ!そんなのあるはずねぇ!!」

柴崎 武史「それがあるんすよ。この壁を見て欲しいんっすけど、何かを拭いた痕跡が残ってるっすよね」

分倍河原 剛「これは………血か?」

柴崎 武史「そうっす。多分何かの拍子で血が飛んで、それを慌てて拭いたんだと思うっす」

万斗 輝晃「じゃあ男子トイレで飛田君と誰かが争ったって事?」

黒瀬 敦郎「待てよ!!それだけじゃ男子が犯人だとは言い切れないだろ!!確かに男子同士で何かあったかもしれねえけど、どの道女子トイレに入れないんだから結局同じじゃねぇか!!」

確かに。黒瀬君の言う通り、たとえ男子トイレで争いがあったとしても、結局男子は女子トイレに入れないのには変わりないからなぁ………

 

 

 

幸村 雪「ねえ、さっきからあっくん怪しくない?」

黒瀬 敦郎「は!?雪お前何言ってんだ!」

幸村 雪「だってさっきからやけに女子を犯人にしたがってるしさ。それになんか焦ってない?」

霞ヶ峰 麻衣子「言われてみればそうでござるな。相川殿が男子トイレの壁の血痕について話してる時から焦っているような……」

銀山 香織「一理あるな。黒瀬、君は何か隠してる事があるんじゃないか?」

黒瀬 敦郎「テメェら、揃いも揃って………違う!俺は犯人じゃねぇ!!」

独島 灯里「別に誰も黒瀬くんが犯人だとは言ってないけど〜」

黒瀬君の様子が明らかにおかしい。何か心当たりがあるのかな?

 

 

 

万斗 輝晃「そこのクソバスケ部を庇うつもりはないけど、ボクも犯人は女性だと思う」

すると、万斗君が真剣な表情でそう発言した。

幸村 雪「は?てるるんあっくんの味方するの??」

万斗 輝晃「ボクも女性の敵になるのは心苦しいし、イケメンの味方をするなんて虫唾が走るから嫌なんだけどね。こればっかりはそうも言ってられないよ」

千野 李玖「確かに、男子が女子トイレの中に入る方法が見つかってない以上、そう言わざるを得ませんな」

千野君も同意する。

でも、どっちが犯人だっていう明確な証拠が無い以上、このままだと話は堂々巡りだ。

 

 

 

 

相川 凛「ねえみんな!犯人が誰かじゃなくて、どうやって犯行に及んだのかについて議論してみない?そうしたら、自ずと犯人も明らかになると思うよ」

銀山 香織「確かに、このままでは議論は一向に進まない。別の視点から攻めるのもありかもしれないな」

中澤 翼「そうだな。じゃあ、何から議論するんだ?」

相川 凛「まずは………死因の特定からした方がいいと思う」

分倍河原 剛「死因、か。確かモノカバファイルには記載されていなかったな」

霞ヶ峰 麻衣子「1番重要な情報でござるよ!!モノカバ殿!なんで書かなかったでござるか?」

モノカバ「え〜だってーそれ書いちゃうとクロが圧倒的に不利になっちゃうんだもーん!だから自分達で考えて下さい〜!」

喜屋武 流理恵「では、飛田君の死因が大きな手がかりになる、という事でしょうか?」

柴崎 武史「そういう事っす。じゃあ、議論再開っすね」

相川 凛「あ、そういえば霜花さん、さっき何か話そうとしてたけど………」

霜花 優月「………………貴方と同じく、死因の特定を議題にあげようと思っていたんですよ。黒瀬さんに邪魔されましたけど」

黒瀬 敦郎「すまねぇ。つい熱くなってよ、周りの声が聞こえなかったんだ」

霜花 優月「別にいいです。それより、早く死因を突き止めますよ」

 

 

 

 

議論開始!

 

 

独島 灯里「飛田くんの死因かー。一体なんだろうね〜?」

幸村 雪「失血死、じゃないんだよね………?」

万斗 輝晃「ミステリーとかでよくあるのは、[毒殺]だけど………」

喜屋武 流理恵「頭を殴られているから[ショック死]、とかはどうでしょうか?」

北条 業「[窒息死]、とかもありそうですね」

 

[窒息死]←[飛田の表情]

 

 

それに賛成だよ!!

 

 

 

 

相川 凛「うちは業ちゃんに賛成だよ!多分、飛田君は窒息して死んだんだと思う」

北条 業「り、凛さんに賛成してもらえた…。こんなに嬉しい事ありません!!ありがとうございます!!!!」

霞ヶ峰 麻衣子「ほ、北条殿……?なんかキャラがだいぶ変わってるでござるな……」

北条 業「そうですか?私はいつも通りですけど」

銀山 香織「言い切るって事は何か根拠があるのか?」

相川 凛「うん。これはジャック君に聞いた方が早いと思う」

ジャック「キャクオの表情は窒息死した患者と表情が似ていタ。他の死因が考えられない以上、窒息死の可能性が高イ」

独島 灯里「なるほど〜医者のジャックくんが言うんだし、間違い無いねー」

ジャック「たダ、それだとおかしな事があル」

千野 李玖「おかしな事、とは?」

ジャック「窒息させた痕跡が見つからなイ。例えバ、首を絞めて殺害された場合だト首の周りに吉川線が残るはずだガ、今回それは無かっタ」

幸村 雪「よしかわせん?」

霜花 優月「殺人事件の被害者の首に見られる引っ掻き傷の事ですよ。被害者が絞殺、扼殺されそうになる時、紐や犯人の手を解こうとして自分の首を傷つけてしまうことから出来るんです」

ジャック「貴様、随分と詳しいナ」

霜花 優月「職業柄、よく人の死を目にするものですから」

銀山 香織「だが妙だな。窒息死であるのに首に痕が無い。そうなると………もしかしたら、窒息死ではないのかもしれないな」

ジャック「なんだト!?俺の検死が間違っているとでも言うのカ!!」

銀山 香織「分からない。一応、ひとつだけ可能性はあるのだが……これも0に等しいな」

黒瀬 敦郎「それってなんだよ?」

 

 

 

銀山 香織「飛田が道具を使って殺された場合だ」

 

 

 

銀山さんの言葉に一瞬場が静まる。道具を使う………?

分倍河原 剛「道具を使って殺された………?」

銀山 香織「そうだ。だが、先程も言ったがこれは0に等しい。なぜなら、痕跡が残されていないからだ。窒息死といえば様々な方法があるが、この閉鎖空間で出来る方法は限られている。それは、首を吊らせる方法や、頭に袋を被せて空気を遮断する方法、炭を密閉された空間で炊いて殺す方法などだ。だが、まず首吊りは飛田の首に痕が残っていないから無い。また、さっき確認したが、炭は購買に売られていない。だから練炭自殺も不可。最後に袋を被せて窒息させる場合だが………」

霞ヶ峰「袋なら購買にもありそうだし、可能性はあるんじゃないでござるか?」

銀山 香織「いや、それもありえない」

中澤 翼「なんでだ?」

銀山 香織「私がさっき北条に聞いたのだが、購買の在庫は一部の物を除いて全く減ってないらしい」

万斗 輝晃「購買の在庫?どういうことだい?」

購買の在庫………あの事かな?

 

 

[購買の在庫]←

 

 

これだよ!

 

 

 

 

相川 凛「業ちゃんはどうやら購買の在庫を毎日チェッてくれてるらしいんだ。それで、昨日から今日にかけて減ってたのは彫刻刀、モノカバ睡眠薬、ロープの3つだけだったんだって」

銀山 香織「そう。これらの物では飛田を痕跡なしに窒息死させる事は出来ない。これが私の窒息死ではないと言った根拠だ」

霞ヶ峰 麻衣子「というか、あの在庫を毎日チェックしてるんでござるか!!!!天晴れでござる!」

幸村 雪「すごいよ政子!!!!大手柄だね!!」

北条 業「そ、そうでしょうか………ありがとうございます」

喜屋武 流理恵「ですが、それよりももっと前に買って行った可能性もあるんじないでしょうか?」

北条 業「一応、過去に買われた物をまとめたリストも持ってきたんですけど………ええと、窒息死に利用できそうな物が買われた形跡はないですね」

じゃあ、窒息死は無いって事?でもそうしたら………

千野 李玖「では、飛田殿はどうやって亡くなったのです?」

そう。じゃあ飛田君はどうやって死んだのか?いや、そもそも窒息死ではないのか?何か別の死因が考えられるのか?うちは必死に頭を働かせる。

 

 

 

 

柴崎 武史「いや、死因と殺害方法ならもう分かってるっすよ。相川さんが」

 

 

 

はい?????

 

 

 

幸村 雪「ええええええええ!!!!!!!」

黒瀬 敦郎「ま、まままままマジか!!!!」

ジャック「貴様ラ、少し黙レ。特にそこの崖女」

幸村 雪「メガネかち割るぞワレ!!!!」

相川 凛「し、柴崎君?うち、何も分かってないんだけど……」

柴崎 武史「またまた。嘘が下手っすね相川さん。顔に出てるっすよ」

相川 凛「嘘じゃないから!?ホントにやめてそういうの!!!!」

コイツ………………

万斗 輝晃「凛さん!!分かってるならボク達にも教えてよ!!」

銀山 香織「私からも頼む相川。このままだと手詰まりだ」

そ、そうは言っても………ダメだ。全然思いつかない。

 

 

柴崎 武史「相川さん、男子トイレで見つけた証拠を元に考えるんすよ」

柴崎君はうちを見て言った。

 

 

やるしかないか………。よし、考えろ。ヒントは散らばってる。後はそれを繫ぎ合わせるだけだ。

 

 

 

 

 

[男子トイレの壁の擦り痕]←

 

[深いシンクの擦り痕]←

 

男子トイレは………壁とシンクに血が付いていた。

 

 

 

 

 

[ロープ]←

 

[用具室の様子]←

 

そして、用具室はぐちゃぐちゃに荒らされていて、下には使用済みのロープが落ちていた。

 

 

 

そうか、分かった!!!!

 

 

 

 

 

 

相川 凛「飛田君は…………………溺死させられたんだ」

万斗 輝晃「で、溺死ぃ!?」

千野 李玖「溺死とは………これは想定外でしたな」

ジャック「バカナ!?溺死なんて………。ッ!?そういう事カ………。納得しタ」

銀山 香織「私も合点がいった。溺死なら全ての説明が付く」

霜花 優月「やはりそうでしたか」

頭の良い人達はもう気づいたみたいだ。

幸村 雪「えー!?勝手に納得しないでよーー!ウチにも説明して!」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者にも説明を求めるでござる!!拙者バカだから何も分かんないでござる!」

黒瀬 敦郎「オレもさっぱり分からん!!」

霜花 優月「このままでは話が進みませんね………相川さん、貴方に頼むのは癪ですが、この人達に流れを説明して黙らせて下さい」

霜花さんが嫌そうにうちに頼む。霜花さん、いちいち攻撃的なんだよな………でもあの霜花さんがうちに頼み事をしてくれたんだ。期待に応えるしかない。

 

 

 

 

相川 凛「分かった。順を追って説明するね。まず、犯人は男子トイレで飛田君を殴って気絶させたんだ」

中澤 翼「じゃあ後頭部の傷っていうのはその時に付けられたものなんだな」

相川 凛「そう。そして多分、このタイミングで血が壁に飛び散っちゃったんだよ。それで犯人は慌てて拭いたんだ。次に、犯人は飛田君の手首にロープを巻いた。多分飛田君を確実に溺死させる為に自由を奪うつもりだったんだと思う」

ジャック「手首に付いた痕はロープを巻いたからカ」

相川 凛「そして、犯人は飛田君の顔を用具室にある水を張った深いシンクに入れて溺死させたんだ」

黒瀬 敦郎「嘘…だろ………そんな方法で脚男は殺されたのかよ?」

相川 凛「多分、間違いないよ。シンクに付いた血はその時に付着したものだと思う」

柴崎 武史「ちなみに、用具室が荒れてるように見えたのは、多分2人が入るスペースを作るために道具をどかしたからだと思うっすよ。用具室は狭いっすから」

沈黙が訪れる。飛田君が溺死。信じられない事だけど、今ある証拠から考えたらこれしかないはずだ。

銀山 香織「今の相川の推理に意見のある者はいるか?疑問があるのなら今のうちに解消しておいた方がいい」

誰もいないみたいだ。とりあえずみんな納得してくれたみたい。

銀山 香織「そうか。では、次の議題は………」

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「あ、では拙者から1ついいでござるか?」

すると、霞ヶ峰さんが手を挙げて発言した。

霞ヶ峰 麻衣子「さっきとは全然関係ない話でござるが、昨日のパーティー直後の眠気はなんだったんでござるか?拙者ずっと気になってたんでござる」

黒瀬 敦郎「眠気?なんだそりゃ?そんなもん無かったぞ」

独島 灯里「わたしも眠くなかったよー。ふわぁ、今眠いけど」

北条 業「独島さん、寝ちゃダメですよ!?」

霞ヶ峰 麻衣子「なぬっ!?では睡魔が訪れたのは拙者だけでござるか?」

銀山 香織「では、次はその事について議論しよう」

霞ヶ峰さんがパーティー直後に襲われた睡魔………きっと事件と何か関係がある筈だ。

 

 

議論開始!

 

 

銀山 香織「霞ヶ峰。その眠気について詳しく説明してくれ」

霞ヶ峰 麻衣子「詳しくと言われても………。昨日のパーティーの途中から急に眠くなって、パーティーが終わって部屋に帰ったら爆睡した、としか説明出来ないでござる」

柴崎 武史「眠気はいつ頃から来たんっすか?」

霞ヶ峰 麻衣子「確か……6時前ぐらいだったでござるよ」

独島 灯里「単に霞ヶ峰さんが[睡眠不足だった]だけじゃないの〜?」

分倍河原 剛「それ以外に[急に睡魔に襲われる理由は無い]…。夜更かしのしすぎでは無いだろうか?」

黒瀬 敦郎「そうだぜ麻衣子!今度からちゃんと夜更かしせずに早く寝ろよ!!」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者が夜更かししてる前提で話を進めないで欲しいでござる!!こう見えて拙者ちゃんと規則正しい生活をしてるでござるよ!!」

 

 

[急に睡魔に襲われる理由は無い]←[モノカバ睡眠薬]

 

 

「それは違うっ!!!!」

 

 

 

 

相川 凛「分倍河原君。睡魔に襲われる理由はちゃんとあるんだ」

分倍河原 剛「そ、そうなのか………………。すまん………」

中澤 翼「分倍河原、なんで顔赤くなってるんだ?」

黒瀬 敦郎「剛は女子と話すのが苦手らしいぜ!意外だよな!!」

黒瀬君、あんたはどっかでデリカシーについてしっかり学んできた方がいい。いつか絶対痛い目見るから。

独島 灯里「へぇ〜分倍河原くんは女子が苦手………。じゃあ今度からたくさん絡んでいこう〜。巨大筋肉男子が女子に対してウブだなんてアニメ以外でお目にかかれないし、面白そうー」

幸村 雪「じゃあ、フランケンはウチの事嫌いなの?それはちょっと悲しいな………」

分倍河原 剛「いや、俺は、その……………」

銀山 香織「君達、そこまでにしておけ」

相川 凛「は、話を戻すね………。さっきもちょっと話に出たと思うんだけど、昨日購買から在庫が減った物のうちの1つに睡眠薬があったんだ」

うちは、みんなに睡眠薬の写真を見せる。

喜屋武 流理恵「モノカバ睡眠薬……。随分と胡散臭い睡眠薬ですね」

モノカバ「胡散臭いとは失礼な!!これはオイラが3日3晩かけて開発したスペシャル………」

ジャック「貴様は黙っていロ」

モノカバ「オマエら最近当たりが強すぎるカバ………オイラのメンタルはもうボロボロカバよ………しょぼん」

相川 凛「この睡眠薬は、摂取する人の血液型によって効くまでの時間と効果時間が変わるらしいんだ。霞ヶ峰さん、あなたの血液型って何かな?」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者はAB型でござるよ!!」

相川 凛「ありがとう。みんなここのラベルの表を見て欲しいんだけど、AB型は効くまでに2時間、効果時間は4時間って書いてあるよね」

幸村 雪「うんうん。ちゃんと書いてあるけど、それがどうしたの?」

北条 業「あ!じゃあ霞ヶ峰さんはパーティー開始直前の4時頃に睡眠薬を盛られたから、2時間経った6時頃に眠気が襲ってきたんですね!!」

相川 凛「そう!そして霞ヶ峰さんは6時15分頃、部屋に戻って寝たと言ってた。多分効果時間的に10時15分頃まで目覚めなかったんじゃないかな?」

霞ヶ峰 麻衣子「そ、そうでござる!!拙者、その時間に急にパッと目が覚めたでござる。そこから全く眠れなくて困ったんでござるよ。おかげでまた寝たのは日付を跨いで3時頃でござった」

霞ヶ峰さんの眠気の正体は睡眠薬を盛られた事によるものだった。でも、なんで犯人は睡眠薬をわざわざ盛ったんだろう?

喜屋武 流理恵「霞ヶ峰さんが睡眠薬を盛られたのは分かりましたが、なぜ彼女だけなんでしょうか?1人だけピンポイントに薬を盛るのは至難の技かと思いますが」

いや、薬を盛られたのは霞ヶ峰さんだけじゃない。その証拠をうちは持っている。

 

 

 

[千野を襲った眠気]

 

 

[北条、柴崎の証言]

 

 

これだよ!

 

 

 

相川 凛「睡眠薬を盛られた人は他にもいるんだ。そうだよね、千野君?」

千野 李玖「その通りです。拙僧も霞ヶ峰殿と全く同じ状態でした。血液型も同じAB型です」

ジャック「待テ。リクもマイコもパーティー後先に帰ったメンバーだろウ。だとすると、先に帰ったら奴らは全員AB型で睡眠薬を盛られたという事カ?」

幸村 雪「え!?じゃあざわさんもなの!?」

中澤 翼「ああ、俺もAB型だ。この際白状するが、実はパーティーをお開きにしようって言ったのは俺も眠くてしょうがなかったからなんだ。けど1人で抜け出し辛いなと思って周りを見たら、霞ヶ峰達も様子が変だったから声を掛けたんだよ。すまねぇ、俺の都合で勝手にパーティーを終わらせちまって」

喜屋武 流理恵「いえ、睡眠薬を盛られてるならしょうがないと思います。そんな状態でパーティーなどとても無理ですから」

霞ヶ峰 麻衣子「そうでござるよ!それに拙者らはむしろ中澤殿に声を掛けてもらってかなりありがたかったでござる!」

相川 凛「それに、今朝の事を思い出して欲しいんだけど、朝食の時明らかに人が少なかったよね?」

銀山 香織「確かいなかったのは………霞ヶ峰、柴崎、霜花、独島、飛田、北条の6人だな」

幸村 雪「ゆうちゃんとたけくん、どくちゃんはいつも通りだけど………かすみーと政子は珍しかったね?どうしたの?」

相川 凛「業ちゃんはいつもは起きられるのに今朝は全く起きられなかったらしいんだ」

北条 業「そうなんです!飛田さんの死体が発見されたという放送を聞くまでぐっすり眠っていました」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者はただの寝坊でござる!!睡眠薬のせいで夜更かししてしまったからでござる!!」

中澤 翼「ドヤ顔で言う事じゃねぇよ……」

相川 凛「普段は起きられるのに今朝だけ起きられない。偶然にしては出来過ぎだとうちは思う」

分倍河原 剛「まさか、北条も睡眠薬を盛られた、という事か?」

相川 凛「うん。業ちゃんが睡眠薬を盛られたのは間違いないと思う。業ちゃんの血液型はo型。効き始めるのが午後10時。そこから10時間効き目があるとすると、午前8時まで続く計算になるから証言とも一致してる」

相川 凛「それと、うちの予想なんだけど恐らく………」

 

 

 

 

 

 

霜花 優月「私以外の全員、睡眠薬を盛られた可能性が高いですね」

 

 

 

 

 

 

 

あ、私が言いたい事取られた。

黒瀬 敦郎「は、はああああああ?オレら全員睡眠薬を盛られたぁ?」

万斗 輝晃「でけぇ声出すなクソバスケ部!!それより優月ちゃん!なんで君以外が睡眠薬を盛られたなんて言うの??」

霜花 優月「気安く名前で呼ばないで下さい。………それは私がパーティーで出された飲み物を一切、口にしなかったからです」

黒瀬 敦郎「それと睡眠薬を盛られたことになんの関係があるんだよ?」

霜花 優月「ハア………いいですか、この睡眠薬は飲み物に混ぜて使います。貴方達はパーティーが始まる際、全員で乾杯をして飲み物を飲みましたよね。その時既にそこには睡眠薬が盛られていたんです」

千野 李玖「なんと………ではパーティーが始まる前に既に仕込みは終わっていたという訳ですか」

霜花 優月「それしかないでしょう。私はパーティー中、全員を監視していましたが怪しい行動をとった人は誰もいませんでしたから」

あの時既に盛られていたとは………全然気がつかなかった。

喜屋武 流理恵「ですが、なぜそのような事をしたのでしょうか?睡眠薬を仕込む所を見つかったら終わりですし、かなりリスクを負う行動かと思いますが」

相川 凛「きっと犯人はアリバイを作りたかったんだと思う。犯行が起きた時間に自分が睡眠薬で眠ってるって証明できれば、犯人候補から外れる事が出来るから」

黒瀬 敦郎「じゃ、じゃあ7時20分くらいにアリバイがあった奴が怪しいって事になるよな!!」

相川 凛「う、うん。まだ確定ではないけどね」

黒瀬君の態度がやっぱりおかしい。何か焦っている様子だ。

 

 

 

 

 

銀山 香織「では、犯人の行動を整理しよう。まず、犯人は事前に睡眠薬をパーティーで出す飲み物に仕込んでおく。そして、次の日の朝、飛田を男子トイレで襲撃し、気絶させる。その後ロープで手首を縛り、用具室内のシンクに顔を沈めて溺死させる。最後に、女子トイレに飛田の遺体を置き、死因の誤認を狙って保健所から持ってきた輸血パックを上から撒く。こんな所か」

喜屋武 流理恵「ですが、これって………」

ジャック「用具室に入って溺死させるには男子トイレに入らなくてはいけないかラ女子には不可能。逆にキャクオの死体を女子トイレに置くのは男子には不可能。1人で全てを行うのは無理ダ」

中澤 翼「共犯だった場合はどうだ?男女のペアだったら出来るだろ」

北条 業「そうなると、脱出出来るのは2人になるんですかね?」

モノカバ「カバカバカバ!そんな甘いわけないカバ!!出られるのは実際に殺人を犯した人物ただ1人カバ〜!」

霜花 優月「犯人を手伝ってもなんの得も無いという事ですね」

独島 灯里「でも今回の犯人がそれを知らなかった場合はどうするの〜?ねえーモノカバならなにか知ってるんじゃないのー?」

モノカバ「独島さんはいちいち細かいカバねー。今回は共犯ではなく1人の犯行カバ。これでいいカバ?」

独島 灯里「さっすがモノカバ〜。男前〜」

千野 李玖「ですが、そうなるといよいよ手詰まりですな」

銀山 香織「そんな事はない。諦めずに男女両方のトイレに入れる方法について議論してみよう」

男女両方のトイレに入る方法か………この答えによって犯人にぐっと近づける気がする。

 

 

 

議論開始!

 

 

黒瀬 敦郎「男女両方のトイレに入るなんて………そんな方法ねぇよ!」

幸村 雪「なんでそうやって決めつけるの!あっくん、さっきからなんかおかしいよ!!」

北条 業「どこかに[隠し通路]でもあるんでしょうか?」

独島 灯里「[誰かの携帯をパクって使った]とか〜?」

万斗 輝晃「それか、[異性の体にしがみついて]一緒に入ったとか?例えばお尻とかに………ウヒョヒョ」

霞ヶ峰 麻衣子「そしたら、万斗殿だけピンポイントで蜂の巣でござるな」

ジャック「さっき共犯は無い、と言っただウ。妄想も大概にしロ」

 

 

[誰かの携帯をパクって使った]←[独島のカバフォンの行方]

 

 

「それに賛成だよ!!」

 

 

 

 

 

独島 灯里「あれー?わたし適当に言ったんだけどもしかして正解〜?」

相川 凛「て、適当だったんだ………。とにかく、独島さんの言う通り、他人のカバフォンを盗んで、それを使って異性のトイレに入ったんだよ」

万斗 輝晃「なるほど!ちなみに凛さんは誰の携帯が盗まれたか知ってるのかい?」

相川 凛「独島さんのだよ。犯人は、独島さんのカバフォンを盗んで利用したんだと思う」

独島 灯里「えーわたしの〜?どうりで昨日探してもなかったわけだ〜」

北条 業「なんでそんなのんびりしてるんですか!?あなたの携帯が悪用されたんですよ!!」

独島 灯里「まあまあ北条さんー、携帯が悪用されるなんて日常茶飯事なんだからさー、そんなにカリカリしないしない〜」

北条 業「そんな事が日常茶飯事である訳ないじゃないですか!!」

 

 

 

 

分倍河原 剛「すまない、ちょっといいか?」

独島さんと業ちゃんの漫才が繰り広げられていると、分倍河原君が静かにそう言った。

分倍河原 剛「そもそも異性のトイレに携帯をかざす事や他人の携帯を借りる事は学則で禁止されているのではないか?」

銀山 香織「いや、それは違う。みんな、学則のトイレに関する項目を見てくれ」

みんな一斉に学則を確認する。

 

 

 

13 異性のトイレに入ることを禁じます。

 

14 カバフォンの貸与行為は禁止です。

 

 

 

銀山 香織「まず、他人の携帯を借りる事についてだが、14番には『貸与禁止』としか書いてない。つまり、今回の『他人の携帯を盗む事』はこのケースには当てはまらない」

モノカバ「そうでーす!今回のパターンはグレーゾーンですが面白そうだったのでオッケーにしましたカバー!!」

銀山 香織「次に、異性のトイレに関してだが、13番は異性のトイレに『入る』事を禁じている。つまり、『異性の携帯をかざして扉を開ける』事は禁止されていない、と解釈出来る」

幸村 雪「ちょ、ちょっと待ってよかおちゃん!!!それじゃあまるで………」

霜花 優月「男子には犯行が可能だ、と言ってるようなものですね」

黒瀬 敦郎「な、なんだと!?」

銀山 香織「そう、つまり………」

 

 

 

 

 

銀山 香織「犯人が男子だったら男子トイレの血痕も説明出来るし、飛田の死体は『独島の携帯で扉を開けて、中に入らず投げ入れる』事が出来る。端的に言えば、男子しか犯人はあり得ないという事だ」

 

 

 

 

 

 

千野 李玖「な、なんと………」

万斗 輝晃「じゃあ、ボク達男子のうちの誰かが飛田君を殺したって事!?」

中澤 翼「マジかよ、くそ、いったい誰なんだよ」

分倍河原 剛「そうか………俺達の中に犯人がいるのか………」

ジャック「フン………」

男子は驚き、そして焦りの為か顔が青ざめていく。

黒瀬 敦郎「そ、そんな訳ねぇだろ!!オレらの中に人殺しなんているはずがねぇ」

その中でも、黒瀬君は特に焦った反応を示した。

幸村 雪「ねぇあっくん、さっきから本当におかしいよ。どうしたの?」

流石にその反応が異常だと思ったのか、幸村さんは真面目な表情で尋ねる。

黒瀬 敦郎「な、なんでもねぇよ!!とにかく、オレが言いたいのは男子が犯人じゃねぇって事だ!!オレの事はどうでもいいんだよ!!」

喜屋武 流理恵「しかし、幸村さんの言う通り、先程から黒瀬君の反応は変です。もしや……」

霞ヶ峰 麻衣子「黒瀬殿、もしかしてお主が犯人でござるか?」

黒瀬 敦郎「は?そんな訳ねぇだろ!!!!」

独島 灯里「なるほどー、さっきやたらと女子が犯人だって主張してたのは自分が犯人だって事がバレたくなかったからだね〜」

北条 業「しかも、議論が進むにつれてどんどん焦る様子が見られました。真相に近づいている事を恐れたんでしょう」

黒瀬 敦郎「ち、違う………犯人はオレじゃない………」

黒瀬君がどんどん萎縮していく。犯人は本当に黒瀬君なんだろうか。

いや、決めつけるのはまだ早い。それを証明出来るものをうちは持っている。

 

 

議論開始!

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「もう犯人は黒瀬殿で決まりでござる!!」

喜屋武 流理恵「先程から態度もおかしいですし………」

北条 業「私も、黒瀬さんが犯人で決まりだと思います」

黒瀬 敦郎「お、オレは犯人じゃない……信じてくれ………」

幸村 雪「そんなの信じられる訳ないでしょ!![無罪を証明出来る物が無い]以上、あっくんが犯人で間違いないよ!」

 

 

 

[無罪を証明出来るものが無い]←[黒瀬の証言]

 

 

「それは違うっ!!!!」

 

 

 

 

相川 凛「みんな落ち着いて!黒瀬君は犯人じゃないよ!!」

北条 業「ええっ!?そ、そうなんですか…凛さんがそう言うなら間違いないですね!」

霞ヶ峰 麻衣子「北条殿は相川殿を過信しすぎでござる!」

幸村 雪「ねぇ、そう言うって事は何か証明出来るものがあるって事だよね?りんりん、教えてよ」

幸村さんはうちを睨む。やっぱりみんな、犯人がなかなか見つからなくってイライラしてるんだ。でも間違った答えを出したら死んでしまう以上、暴走は止めなくちゃいけない。

相川 凛「うん、黒瀬君は今朝、事件が起きた時間帯は分倍河原君と一緒にいたんだ。だから黒瀬君にはアリバイがあるんだよ」

分倍河原 剛「そうだ。トレーニングルームでずっと一緒だった。俺が保証しよう」

幸村 雪「えっ…………!?」

黒瀬 敦郎「凛……それに剛も……」

分倍河原 剛「すまない、黒瀬。もう少し早く言えば良かった」

黒瀬 敦郎「いや、いいんだ。ありがとよ。いつもお前には助けられてばかりだな、本当に」

幸村 雪「………ごめん、あっくん。ウチ、無実なのにすごく責めたりしちゃって………」

喜屋武 流理恵「黒瀬君、本当に申し訳ありません」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者も言いすぎたでござる。すまんでござる」

独島 灯里「黒瀬くんごめんねー」

黒瀬 敦郎「いやいやいや!お前ら、そんなに謝らなくてもいいって!!確かにオレ怪しかったしさ!!疑われて当然だ!」

とりあえず険悪なムードではなくなったみたいだ。良かった。

 

 

 

 

霜花 優月「しかし、これで犯人はだいぶ絞り込めましたね」

すると、霜花さんがそう発言した。

銀山 香織「そうだな。今の証言で黒瀬と分倍河原にはアリバイがある事が分かった。だから犯人候補からは除外される」

相川 凛「あと、中澤君も外れるよね。事件があった時、一緒に朝食を作ってたから」

中澤 翼「ああ。これは……とりあえず喜んでもいいのか?」

独島 灯里「大騒ぎしてもいいレベルだよ〜」

北条 業「中澤さんはそんな大騒ぎするタイプではないでしょう……」

朝食当番だった中澤君も除外。すると残りは……

銀山 香織「残りは千野、ジャック、万斗、柴崎の4人だ」

喜屋武 流理恵「ですが、飛田君は頭部に打撃を受けたのですよね?そうなると飛田君と比べて身長が低すぎる人には無理だと思うんですが」

幸村 雪「あ!じゃあこの中だとてるるんには無理じゃん!!」

確かに、飛田君の身長は177センチ、万斗君は153センチだから万斗君には難しいかもしれない。

霞ヶ峰 麻衣子「良かったでござるね、万斗殿!!低身長なおかげで犯人候補から外れたでござるよ!!」

万斗 輝晃「麻衣子さん……ボク、嬉しいはずなのにちっとも嬉しくないんだけど……なんでだろう」

身長の関係で万斗君も除外。すると残るのはさっきの3人だけど………

 

 

 

 

 

うちはさっきから気付いていた。

 

 

 

 

 

 

柴崎君が途中から一切喋っていないことに。

 

 

 

 

相川 凛「ねぇ、柴崎君………」

柴崎 武史「………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「もしかして………………………」

 

 

 

 

 

 

無表情でよくボケる不思議な人だけど、冷静で頭の回転も速くて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「君が………………………」

 

 

 

 

 

 

 

うちが困ってるといつも助けてくれた。

裁判中もうちにアドバイスをくれた。

 

 

 

 

 

 

そんな君が………………

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「飛田君を殺したの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「………………………………………………………………フッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬何が起きたか分からなかった。

柴崎君が突然笑い出したのだ。

普段無表情でニヤリとしか笑ったことがないのに。

その柴崎君が思いっきり笑っている。

うちは、それに一種の恐怖を感じた。

黒瀬 敦郎「お、おい、武史………………」

柴崎 武史「いやぁ、相川さんの想像力の豊かさには驚かされるッスね〜!じゃあ聞くっスけど、なんで僕が犯人だって思ったんスか?」

今までとは全く違った態度。突然の変化にうちを含めた全員は絶句せざるを得なかった。

相川 凛「そ、それは……普段、柴崎君は朝食の時間に毎回遅れる程朝に弱いのに………今日は珍しく早起き出来たって言ってたでしょ?」

柴崎 武史「まあ、そうッスね。それで?」

相川 凛「それでって………だから、普段とは違う行動をしている柴崎君が怪しいって思って………」

駄目だ。柴崎君の変化に戸惑ってうまく言葉が出ない。

柴崎 武史「………相川さん。まさか僕を疑う理由はそれだけッスか?」

柴崎君がうちを見る。その目はとても鋭く、そして冷たかった。

相川 「いや………うちは………」

何も言えない。確かに、柴崎君が犯人だっていう明確な根拠は無い。ただ怪しい、という理由だけで疑っている。

柴崎 武史「相川さん………………」

柴崎君は呆れた様子で口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「これ以上、僕をガッカリさせないで下さい。ただでさえこのボンクラ共に失望させられてるのに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒瀬 敦郎「………………テメェ、今なんて言った?」

柴崎 武史「ボンクラ共、って言ったんスよ。脳筋の黒瀬サン」

黒瀬 敦郎「ふざけんな!!!!オレらの事バカにしやがって!!!!」

幸村 雪「あっくん!!ちょっと落ち着いて!!!!」

柴崎 武史「僕はここに連れてこられた瞬間、心底ガッカリさせられたっスよ。ほとんどの人が無能、つまりゴミみたいな奴らだったんで。あ、自慢じゃないッスけど僕は人を見た瞬間、その人が有能か無能かを見極められるんスよ。イメージで言うと人間が纏ってるオーラを感じとる、みたいな感じッスかね?」

分倍河原 剛「俺らをゴミとは、随分な言い草だな………」

柴崎 武史「僕、無能な人間が大嫌いなんスよね。見てるだけでじんましんが出て胃潰瘍になるくらい嫌いッス。ああ、でも……………」

柴崎君は一旦言葉を切ると、チラッとうちと業ちゃんを見た。

柴崎 武史「有能かどうかはさておき、相川サンと北条サンには個人的にずっと興味を抱いていたんスよ」

幸村 雪「なんで、その2人なの………?」

柴崎 武史「相川サンは…………なんでッスかね?特に何か秀でてるものも無いしパッとしない感じなのに何故か興味を引かれるんスよ」

独島 灯里「それってもしかして……………恋じゃない〜?」

柴崎 武史「それは100%無いッスね。アンタはそれしか考えられないんスか?脳内お花畑の独島サン?」

独島 灯里「柴崎くん辛辣ぅ〜」

中澤 翼「独島、少し静かにしてろ」

相川 凛「それが………あなたの本性なの………?今までうちと接してきた態度は………全て嘘だったの………?」

うちはフラフラと柴崎君の席に近寄っていく。

相川 凛「うちは………あなたの事、凄い人だなって尊敬してたんだよ………頭の回転が速くて、人を気遣える優しい心を持っていて………うちにない物を全部持ってる………」

そうして、柴崎君の肩を掴もうとした。

 

 

 

 

 

柴崎 武史「やめてもらってもいいスか?そういうのマジで不愉快なんで。吐き気がする」

 

 

 

 

 

 

柴崎君はうちの手を思いっきり掴む。

相川 凛「い、痛い…!」

柴崎 武史「あんな上っ面だけの関係でよくもそんな事をペラペラ喋れるッスね。尊敬?くだらない。能無しでデカい口叩く癖に誰1人守れない奴に尊敬なんかされても微塵も嬉しくないッスよ。まああれは死んだ奴らもバカっすけどね」

相川 凛「………………………」

柴崎 武史「あれ?傷ついちゃいました?すみません。でも、生憎僕には無能を気遣える優しい心なんて微塵も持ってないんで。相手を傷つけてもなんの罪悪感もないッス」

霞ヶ峰 麻衣子「柴崎殿!!言い過ぎでござる!!それにさっきからおかしいでござる!!」

幸村 雪「アンタ、本当に最低だよ!!!!りんりんはアンタの事すっごく信頼してたんだよ!!!!」

銀山 香織「柴崎、手を離せ。今のお前の行動、発言はどれも度が過ぎている。それと今すぐ相川に対して謝罪しろ」

柴崎 武史「嫌ッスね。だって僕なんも間違ってないッスもん。実際、相川サンは………」

北条 業「おい」

柴崎 武史「なんスか…ガハッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

うちが気がつくと、柴崎君は殴り倒されていた。

 

 

 

  

 

 

北条 業「次凛さんに手を出したら………殺すぞ」

 

 

 

 

 

 

裁判場にいる全員が唖然とした。何故なら、柴崎君を殴ったのはあの業ちゃんだからだ。

喜屋武 流理恵「北条さん………?あなたまでどうしたのですか………?」

万斗 輝晃「な、何がどうなってるんだい………?業さんが柴崎君を、殴り飛ばして、ええっと…」

相川 凛「か、業ちゃん………」

北条 業「凛さん。もう大丈夫です。私に任せて下さい」

業ちゃんはうちを庇う形で立った。

そしてうちにしか聞こえない声で、

 

 

 

 

 

 

 

 

北条 業「あなたさえいれば、それでいい。あなた以外はどうでもいいんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「え??今なんて………」

北条 業「柴崎武史。やはりお前には早急に対処すべきだった。凛さんからもっと早く引き剥がすべきだった」

柴崎 武史「………ハッハッハッハッハッハッハッハ!!やっぱりアンタは興味深いッスね!!!!北条サン!!!!僕はアンタの心に抱える闇に引かれたんスよ!!それに今の動きは何スか!?もしかして………もう自分の才能を思い出したとか?いやぁ、興味深いッスね!!」

北条 業「耳障りだ、喋るな」

モノカバ「はいーーーーそこまでーーーーーー!!これ以上の暴力行為は禁止カバ!!!!裁判の途中なんだからカバ!!次やったらオシオキするカバよ!」

北条 業「………分かりました。後で覚えてろよ、柴崎武史」

柴崎 武史「おー怖い怖い。でも楽しみでもあるッスね〜!」

2人は席に戻った。うちも元の位置に戻る。

 

 

銀山 香織「相川、大丈夫か?その………」

すると、右隣にいる銀山さんが声を掛けてきた。どうにかしてうちを励まそうとしてくれているのだろうか。

相川 凛「銀山さん……。うん、大丈夫だよ」

銀山 香織「そ、そうか?しかし……」

相川 凛「確かにショックだったけど、それより今はやる事があるでしょ?そっちに集中しよう」

銀山 香織「………相川。もしかして怒ってる、のか…?」

うちは正直今、騙されてたショックよりも、柴崎君への怒りの方が大きい。無能扱いされた挙句、錦織さんと飛田君をバカにしやがった。絶対に許さない。

その為にも、まずはこの学級裁判を乗り越えなくちゃ。

うちはこの静かな怒りから集中力が以前の数倍ぐらい増していた。

 

 

 

相川 凛「みんな、中断しちゃってごめん。議論を再開させよう」

霞ヶ峰 麻衣子「い、いいのでござるか相川殿?」

相川 凛「学級裁判も永遠に出来る訳じゃない。いつかタイムリミットが来る。そろそろ犯人の目星をつけないとダメだと思う」

霜花 優月「同感ですね。さっきの茶番で時間をロスしてしまいましたし、さっさと犯人を突き止めますよ」

柴崎 武史「あれっ?相川サン随分と切り替えが早いッスね?僕への怒りとかはないんスか?というか、無能の相川サンに犯人が分かるんッスかね?」

また柴崎君が煽ってくる。

相川 凛「まさか。今アンタをぶっ飛ばす事で頭が一杯だよ。けど、今やる事は飛田君の為に犯人を探す事。アンタに構ってる暇は無い。それに、うちはただ自分の頭で精一杯考えて、分からなかったら他人に頼れるだけ。そこに無能とか有能とか関係ないから」

柴崎 武史「………………ハハッ、さっきとはまるで表情が違う……。

面白い、実に面白いッスね相川サン!!さて、無能の相川サンがどうやって犯人まで辿り着くのか、じっくり観察させてもらうッスよ!!!!!!」

ジャック「まさか、俺達の中にこんなサイコパスが紛れ込んでいるとはナ」

霞ヶ峰 麻衣子「ほ、本当にアレは柴崎殿でござるか?ドッペルゲンガーって言われた方がまだ信用できるでござる………」

 

 

 

黒瀬 敦郎「議論なんて必要ねぇよ!!!!そこの変人が脚男を殺した犯人だろ!早く投票しようぜ!!」

バンと席を叩いて黒瀬君がそう言う。

幸村 雪「そうだよ!!!!絶対たけくんが犯人だって!!」

喜屋武 流理恵「確かに柴崎君が怪しいのは事実ですが…、もう少し議論してみてもいいんじゃないでしょうか?」

万斗 輝晃「ボクはすぐ投票するべきだと思う!!なんかアイツといると頭がおかしくなりそうだよ!!」

柴崎 武史「万斗サン酷いッスね〜。一緒に女子を覗いた仲じゃないッスか」

万斗 輝晃「あ、あの時はキミの本性を知らなかったからだよ!!」

中澤 翼「俺も投票に賛成だ。議論するまでもなくコイツだろ」

分倍河原 剛「投票したい気持ちも分かるが………もう少し考えてみても良いのではないか?」

北条 業「私は投票には反対です。まだ話し合うべき事があると思います」

柴崎 武史「あれ?北条サン僕の事庇ってくれるんスか?嬉しいッスね!!」

北条 業「黙れ殺すぞ」

 

喜屋武「でも困りましたね………意見が真っ二つに割れてしまいました」

モノカバ「意見が割れた!?今そう言ったカバ!!じゃあこれの出番カバ!!」

すると、席が急に移動し始めた。

霞ヶ峰 麻衣子「うひゃーー!!すごいでござる!!これは動画のいいネタになりそうでござる!!」

万斗 輝晃「謎の仕掛けに興奮する麻衣子さん………イイ」

柴崎君に投票するか、議論を続けるか。

席が対立するように配置される。

うちの正面は黒瀬君。よし、うちの意見を全部ぶつけてやる!!

 

 

 

 

 

 

《柴崎武史に投票するべきか?》

 

「投票だ!」………………黒瀬、幸村、霞ヶ峰、中澤、万斗、独島、千野

「投票はまだだ!」………相川、北条、銀山、霜花、柴崎、分倍河原、喜屋武、ジャック

 

 

議論スクラム開始!

 

幸村 雪「どう考えてもたけくんが犯人で決まりだよ!!」

 

銀山 香織「柴崎が犯人だとはまだ限らないだろう。決めつけるのは早計だ」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「けど、柴崎殿には朝のアリバイが無いでござる!!」

 

北条 業「ジャックさん、千野さんにも朝のアリバイはありません!」

 

 

 

中澤 翼「でも、事件の謎はほとんど解けてるんだろ?議論する事なんてあるのか?」

 

霜花 優月「解けてない謎はまだいくつか残っています。これについて話し合う必要があるのでは?」

 

 

 

黒瀬 敦郎「武史が犯人じゃないって証拠がない以上、もう投票で問題ねぇよ!!」

 

相川 凛「いや、柴崎君が犯人じゃない証拠ならあるよ!!!!」

 

 

 

 

「これがうちらの答えだ!!!!」

 

 

 

 

 

 

相川 凛「みんなお願い!もう少しだけ議論させて!!まだ解けてない謎がある以上、このまま投票ってわけにはいかないと思うんだ!」

幸村 雪「まあ、りんりんがそこまで言うなら………」

柴崎 武史「さあ、相川サン。首の皮一枚繋がったッスね!これからどうするつもりッスか?」

黒瀬 敦郎「なんでテメェがウキウキしてるんだよ!!!!」

喜屋武 流理恵「柴崎君、もしかして既に犯人が分かっていらっしゃるのですか?」

柴崎 武史「当たり前じゃないッスか。捜査の時点で既に分かってましたよ」

万斗 輝晃「いやだったら早く言ってよ!!ボク達の命がかかってるんだよ!!」

柴崎 武史「嫌ッスよ。だって………」

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「そんな事したら、せっかくの楽しい学級裁判がすぐ終わっちゃうじゃないッスか」

 

 

 

 

 

 

千野 李玖「楽しい?今聞き捨てならない事を聞いた気がしますが?」

独島 灯里「わたしも聞こえたよー。正気じゃないね〜この人」

柴崎 武史「別に何にもおかしい事じゃないと思うスけどね。だってどうせ僕ら死ぬじゃないッスか」

相川 凛「し、死ぬって………まだそう決まった訳じゃないよ!!」

柴崎 武史「いやいや、その考えは楽天的すぎッスよ。多分、この後もまた殺人が起きて、学級裁判で犯人を処刑して……の繰り返しッス。この先希望なんてないッスよ。だからどうせ死ぬならせめて最後に楽しんで死にたいじゃないッスか。」

柴崎 武史「だから、このスリルある学級裁判を楽しみたいな……って思ってたのに今回は最悪ッスね。犯人は初めから分かってるし無能どもの不毛な議論をダラダラ聞かされるし………。だから今回の裁判での僕の楽しみは相川サン、アンタだけなんッスよ。」

柴崎君はうちを指差した。

柴崎 武史「無能のアンタが裁判でどれだけ成長できるか。これが僕の唯一の楽しみなんスよ。なんかRPGやってるみたいですごくワクワクするッスね」

銀山 香織「戯言もそこまでにしろ。相川は君の道具じゃない」

北条 業「口を閉じろ。そして二度と開くな」

柴崎 武史「はいはい閉じますよ。そう言うわけで、僕はこれから一切喋んないッス。相川サン、頑張って下さいね」

柴崎君はそう言って腕を組んで口を閉じた。

 

 

中澤 翼「チッ。学級裁判を楽しむなんて………正気じゃねぇな」

霜花 優月「彼の事は放っておいてもいいでしょう。それより、まだ残っている謎についてです。さっさと議論しますよ」

 

 

 

 

 

後少しで犯人が分かる筈だ。でも後一歩届かない。何かを見逃している気がする。よし、集中しよう。柴崎君についてはだいぶショックを受けたけど、今は忘れよう。間違えた答えを出したら、うちらはあっという間に死に飲み込まれるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

next→学級裁判 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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