もっとコンパクトにまとめたかった………。
学級裁判 後編
幸村 雪「それで…………議論を続ける事になったけど、何について話すの???」
黒瀬 敦郎「まずはそこの変人が犯人かどうかって話だろ。おい、どうなんだよ」
柴崎 武史「………………………………」
喜屋武 流理恵「あくまで黙秘ですか」
独島 灯里「さっき自分で一切喋んないって言ってたし、しょうがないんじゃない〜?それより、さっき相川さんが言ってた、柴崎くんが犯人じゃない証拠っていうの見せて欲しいなー」
柴崎君が犯人じゃないっていうのは………さっき聞いたアレで証明出来る。
[死体発見アナウンス]←
これだよ!!!
相川 凛「みんな、飛田君の死体が発見された時流れた放送を覚えてる?」
霞ヶ峰 麻衣子「あの、『死体が発見されました!』って流れた放送の事でござるか?」
幸村 雪「すごい!!!!今のかすみーの声真似、めっちゃ似てたよ!」
霞ヶ峰 麻衣子「拙者、声真似は結構得意なのでござる!!」
中澤 翼「多分全員聞いてるだろ。その放送がどうかしたのか?」
相川 凛「さっきモノカバに聞いたんだけど、あの放送は『死体発見アナウンス』って言って、『犯人以外の3人』が死体を発見した時に流れるアナウンスらしいんだ」
銀山 香織「なるほど……。では今回、最初に死体を発見した3人は犯人ではないという事だな」
相川 凛「そうなんだよ。それで、今回死体を発見したのは、柴崎君、万斗君、幸村さんの3人なんだ」
霞ヶ峰 麻衣子「で、では………、柴崎殿、万斗殿、幸村殿はシロ、という事でござるか?」
黒瀬 敦郎「オイ!?じゃあ武史は本当に犯人じゃねぇのか?」
北条 業「さすがは凛さん!!そんなところに気がつくなんて!!」
霜花 優月「一応聞いておきますけど、幸村さん。今の話に間違ってる所はないですか?」
幸村 雪「うん……。ウチがトイレの前に来た時は既にたけくんとてるるんがいたし、間違いないと思うよ」
万斗 輝晃「ごめん、ちょっといいかい?1つさっきから気になっている事があるんだけど」
すると、普段ニヤけ顔の万斗君が真剣な表情で発言した。
銀山 香織「君は………まさか、ま、またい、いやらしい、事を、言うんじゃ、ないだろうな!?」
北条 業「銀山さん落ち着いて下さい!」
万斗 輝晃「違うよ!!まあ、女性のみんなのスリーサイズとか、下着の色とか、全身にあるホクロの数とか知りたい事はたくさんあるけど………」
独島 灯里「万斗くん、ホントにブレないね〜」
万斗 輝晃「ボクが気になっているのは、飛田君を殴った凶器だよ。結局、どこからも見つかってないし、なんなのかなーって」
幸村 雪「確かに!!てるるんにしてはすごいまともな意見だよ!!」
万斗 輝晃「でしょでしょ!!もっと褒めてくれてもいいんだよ!そしてついでにボクのほっぺにキスしてくれても………」
幸村 雪「キモい!!!!!!!無理!!!!!!」
喜屋武 流理恵「でも、万斗君の言う事にも一理ありますね。凶器の出どころについて議論する必要がありそうです」
凶器が何なのか。それをはっきりさせないと話は進まなそうだ。
議論開始!
北条 業「飛田さんを殴った凶器………一体何なんでしょうか?」
霞ヶ峰 麻衣子「あ!拙者分かったでござる!!トレーニングルームにある[ダンベル]ではござらんか?」
中澤 翼「トイレの中で殴られたんなら………[モップ]とかはどうだ?」
銀山 香織「身近にあるものだと………個室にある[凶器セット]なども考えられるな」
分倍河原 剛「では………[素手で殴ったら]、というのはどうだろうか?」
万斗 輝晃「そんな事出来るのキミだけだよ!!!!」
[凶器セット]→[飛田の殺人手助けキット]
それに賛成だよ!!
相川 凛「うちは銀山さんに賛成だよ!犯人は、部屋にある殺人手助けキットの内のトンカチを使って殴ったんだ」
銀山 香織「賛成してくれるのは嬉しいが……、何か証拠でも見つけたのか?」
相川 凛「うん、飛田君の部屋にある殺人手助けキットなんだけど、トンカチだけ使用された形跡があるんだ。ほら、ほかの2つはビニールが付いたままだけど、トンカチだけビニールが剥がされているでしょ?」
千野 李玖「本当ですね…。しかし、普通殴ったら血が付く筈ですがこれには無い………水で流すなりして証拠隠滅を図ったのでしょう」
黒瀬 敦郎「というか、なんだその殺人なんとかって?初めて聞いたぞ」
幸村 雪「ウチもーー!どこにあったのそれ?」
ジャック「自分の部屋にあるものすら把握してないのカ……。本当に救えない奴らダ」
北条 業「ですが、なぜわざわざ飛田さんのキットを使ったのでしょうか?」
独島 灯里「確かに〜。自分の使ってすぐ隠せば、今みたいに凶器がバレる事は無かったのにねー」
ジャック「恐らク、全員のキットを調べられるのを危惧していたんだろウ」
喜屋武 流理恵「どういう事でしょうか?」
ジャック「仮に自分のキットを使ったとして、もし全員のキットを調べられたら、一発で自分が犯人だとバレてしまウ。そこで、被害者であるキャクオのキットを使う事で万が一調べられても無罪を主張できるという訳ダ」
幸村 雪「なるほど〜!」
分倍河原 剛「だが、そうなると飛田を殴ったらトンカチでは犯人を特定するのは難しい、という事になるぞ」
独島 灯里「だねー。別のとこから犯人探すしかないか〜」
そしてまた話は犯人の絞りこみに戻る。
銀山 香織「それで、確か柴崎は死体発見アナウンスの件から犯人ではない、という事だったか」
分倍河原 剛「では、柴崎も犯人から外れるとすると……」
銀山 香織「ジャックか千野、どちらかが犯人だ」
ついに犯人候補を2人まで絞れた。けど、何か腑に落ちない。この違和感はなんだろう。もしかして何か見落としているのか………?
黒瀬 敦郎「じゃあ、ジャックが犯人だろ!!さっき溺死と窒息死間違えたのは、自分が犯人だからオレらに嘘の情報を教えるためなんじゃねぇのか?」
幸村 雪「ジャックきゅんは違うよ!多分そんな事しないって!!」
黒瀬 敦郎「なんで雪がジャックを庇うんだよ?コイツどう見ても怪しいだろ!」
幸村 雪「それは………。とにかく、ジャックきゅんは絶対違うから!!」
独島 灯里「ははーん。積極的にジャックくんを庇うその態度………。もしかしてユー、やっぱり恋しちゃってる〜?」
幸村 雪「ち、違うよ!!そんなんじゃないから!!!!どくちゃん、変な事言わないでよ!!」
ジャック「フン、貴様みたいたツルペタに庇われずとも自分の無実は自分で証明すル。それより煩いから静かにしてロ」
幸村 雪「お前はホントウチの胸の事しか言わねえな!!!やっぱり犯人はジャックきゅんだ!!!!絶対そうだ!!」
中澤 翼「敵なのか味方なのかどっちだよ………」
千野君かジャック君が犯人。正直、どちらも人を殺すような人には見えない。千野君は穏やかな心の持ち主だし、ジャック君は口は悪くて当たりはキツいけど、なんだかんだ言って今日までうちらと一緒に行動してくれた。
分からない。でも、この2人のうちどちらかが犯人なのは今までの議論からして明らかだし、事件が起きた場所も時間もモノカバファイルにある通り間違いはないから……………。
ん?時間?
うちは改めてモノカバファイルを見る。
そういう事だったのか。
全部繋がった。
でも、うちの仮説が正しいとすると、犯人はあの人しかいない事になる。
どうして、あなたが………
霜花 優月「その顔………、犯人が分かったようですね」
相川 凛「え?」
霜花 優月「なら、さっさと言って終わらせて下さい。この茶番をいつまでも続けるわけにはいかないですから」
モノカバ 「ちょっと!!学級裁判を茶番呼ばわりなんていい度胸してるカバね!!後で公開説教カバ!!」
霜花 優月「黙って下さい。………私は貴方の事は嫌いですが、少なくとも今、この場所では貴方の味方です。貴方の推理を出来るだけサポートしますから、早く全員に貴方の考えを伝えて下さい」
相川 凛「ちょ、ちょっと待ってよ!!まずうちの推理が合ってるかどうか分かんないんだよ!!それに霜花さんも犯人が分かってるんでしょ!?だったら霜花さんが説明すれば……」
霜花 優月「ピーピーうるさいですよ。私がそういうタイプに見えますか?大勢の前で演説するようなタイプに」
相川 凛「いや、それはちょっと見えないかなぁ………」
霜花さんがみんなの前でなんか話す姿は確かに全くもって想像できない。
霜花 優月「それに、仮に間違っていたとしてもまた話し合えばいい事。犯人を指摘する事を恐れ、犯人に同情しようとしているようですが、そんな甘い考えは今すぐ捨てなさい。ここは、人殺しを裁く裁判場なんですから」
相川 凛「………………うん、分かった。霜花さん、助太刀お願いね」
うちは深呼吸をする。
幸村 雪「りんりん!もしかして犯人が分かったの!?」
相川 凛「うん。確証は無いけど、もう犯人の目星はついてるよ」
霞ヶ峰 麻衣子「本当でござるか!!!!!!!」
独島 灯里「その犯人って一体誰なの〜?」
相川 凛「その前に1つ、考えなくちゃいけない可能性があるんだ。今までうちを含めて、ほぼ全員が勘違いしてた事だよ」
万斗 輝晃「ボク達が勘違いしてた事?」
相川 凛「そう、それはね………」
相川 凛「死亡推定時刻は『午前』7時20分じゃなくて、『午後』7時20分の可能性がある。つまり、飛田君は昨日の夜7時20分には既に殺されてたんじゃないかって事だよ」
千野 李玖「な、なんと……………」
分倍河原 剛「飛田が殺されたのは昨日………そんなバカな」
相川 凛「モノカバファイルには、7時20分としか記載されてなかった。それが朝だとは一言も言ってない。うちらはそれを今朝起きた事件だと勘違いしてるかもしれないんだよ」
喜屋武 流理恵「では、もし相川さんの推理が正しいとすれば、今まで話し合ってきたアリバイ等は全て無かった事になってしまいますね」
黒瀬 敦郎「じ、じゃあさっき話した女子に犯行が出来ないって話も無くなるんじゃねぇか?」
北条 業「いえ、犯行時間が変わったからと言って犯行方法が変わる訳ではないでしょう。犯人は女子ではないです」
黒瀬 敦郎「………………………」
相川 凛「とりあえず、話を進めるね。仮に昨日の夜7時20分頃が犯行時間だとすると、犯人はかなり絞られてくるんだ」
銀山 香織「その時間はパーティーの後片付けが終わった直後だったからな。最後まで残ってた人は犯行を行うには時間が足りなすぎるだからシロだろう」
中澤 翼「後片付けを1人途中でこっそり抜けて、その隙に飛田を殺したって事はないのか?」
霜花 優月「あり得ません。私は後片付けの際、外に出る際は警戒のため単独行動は避けて必ず複数人で行動すると言ってありました。それに加えて私も全員を監視していましたが、単独行動した人は誰もいなかったです」
霞ヶ峰 麻衣子「あの普段仏頂面の霜花殿が自信たっぷりのドヤ顔で言うのであれば間違いないでござるな」
霜花 優月「………………………」
霞ヶ峰 麻衣子「じょ、ジョークでござる!」
相川 凛「そうなると、犯人は途中でパーティーが終わってすぐ個室に帰った人の中にいる事はずだけど………」
途中で抜けたのは霞ヶ峰さん、千野君、飛田君、中澤君。
霞ヶ峰さんは女子だから犯人じゃない。
飛田君は被害者だから除外。
そして、残った2人のうち、総合的に考えたら………………。
犯人はこの人しかいない。
怪しい人物を指定しろ!
相川 凛
飛田 脚男
霞ヶ峰 麻衣子
喜屋武 流理恵
分倍河原 剛
北条 業
柴崎 武史
錦織 清子
千野 李玖
霜花 優月
ジャック ドクトリーヌ
独島 灯里
黒瀬 敦郎
中澤 翼
幸村 雪
万斗 輝晃
銀山 香織
相川 凛「あなたが犯人だよね?中澤君。」
中澤 翼「………………………………………え?」
中澤君は自分が指名されるとは思わなかったのか、驚きの表情を隠せずにいた。
黒瀬 敦郎「なっ!?」
霞ヶ峰 麻衣子「な、中澤殿が犯人なのでござるか!?」
万斗 輝晃「フットサル野郎が、飛田君を殺した犯人……」
幸村 雪「りんりん!どういうこと!?ざわさんが犯人って本当なの!?」
霜花 優月「それは本人に直接聞いてみればいいんじゃないですか?ねえ、中澤さん?」
中澤 翼「………まいったな。まさか俺が犯人扱いされるとは思わなかったぜ」
ジャック「随分と冷静だナ。貴様、犯人だと疑われている事を分かっているのカ?」
中澤 翼「もちろんだ。というか、俺はそもそも犯人じゃないからな。慌てる理由なんてどこにもない。それよりも相川。俺を犯人だと言うからにはちゃんと根拠があるんだろうな?」
中澤君はすぐいつもの冷静な態度に戻ってうちに話しかける。
相川 凛「もちろんだよ。ちゃんと証拠も用意してる」
中澤君が犯人だと言う証拠。それは………
[中澤の証言]←
これだよ!
相川 凛「中澤君。あなたが証言してくれた事だけど、パーティーが始まる前に飲み物を扱ったのはジャック君、中澤君、喜屋武さん、業ちゃんの4人だけなんだ。霜花さんがパーティー中に睡眠薬を入れるような真似をした人はいなかったって証言した以上、睡眠薬がパーティー前に入れられたのは間違いない。だから、全員の飲み物に睡眠薬を入れられるのはこの4人しかいない」
中澤 翼「それはそうだけどよ………。霜花が見逃した可能性はないのか?いくらずっと見張ってたからって人間にはミスってものがあるだろ?」
霜花 優月「私の才能を忘れましたか?私は『超高校級の狙撃手』です。視野の広さと集中力には自信があります。見逃した可能性はありません」
北条 業「すごい自信ですけど……確かに、霜花さんの才能で睡眠薬を全員の飲み物に入れる、なんて大胆な行為を見逃すはずがないですもんね」
千野 李玖「確かに、そう考えると霜花殿の言葉には説得力がありますな」
相川 凛「それで、その4人のうち、喜屋武さんと業ちゃんは女子だから除外して………残りは2人」
中澤 翼「だったらジャックも犯人候補だろ?俺だけ疑うのは………」
銀山 香織「ジャックはパーティーの後片付けで最後まで残っていた。後片付け終了から死亡推定時刻までは10分も無い。だからパーティー後片付け組はシロだ、とさっきも話したはずだが?」
中澤 翼「…………………」
相川 凛「中澤君が犯人だって証拠はまだあるよ。……ジャック君、聞きたいことがあるんだけど、飲み物を運んだのはジャック君と中澤君の2人だよね?」
ジャック「あア。間違いなイ」
相川 凛「じゃあさ………、飲み物を『自販機で買った』のはどっち?」
ジャック「それは………ツバサだナ」
相川 凛「なるほど………じゃあ、最後の質問ね。ジャック君は中澤君が自販機で買ってるのをずっと見てた?」
ジャック「いヤ、俺は厨房で道具を整理してたから全く見ていなイ」
相川 凛「ありがとう。やっぱり犯人は中澤君だよ」
黒瀬 敦郎「ちょっと待てよ!!なんで今ので翼が犯人って事になるんだよ!!」
霜花 優月「睡眠薬を入れるタイミングですよ。恐らく犯人は未開封の飲み物の栓を少し開けてそこから睡眠薬を入れたんだと思いますが、それには誰も見てないタイミングでないといけない。そのタイミングがあったのは中澤さん、あなたしかいません」
中澤 翼「………………………」
中澤君は黙ってうちらの話を聞いている。犯人だと言われてるのに凄い落ち着き様だ。
中澤 翼「お前らの主張はよく分かった。けどよ、肝心な事を忘れてるんじゃねぇか?」
中澤君はいつもと同じ冷静な口調でそう言った。
分倍河原 剛「肝心な事、だと?」
中澤 翼「俺がパーティー後にすぐ抜けた理由を思い出せよ。俺ら途中で抜けた組は睡眠薬を盛られたから部屋に帰ったんだぜ。だったら俺らには無理だろ」
独島 灯里「あ、そっかー。中澤くん達眠くなって帰っちゃったんだよねー」
中澤 翼「ちなみに飲み物を飲んでない、なんて事はあり得ないぞ。俺は少なくともグラス2杯分は飲んでいる。それは一緒に飲んでた千野、分倍河原が見てるはずだ」
千野 李玖「ああ、確かに中澤殿は拙僧の前でドリンクを飲み干していました。間違いないですな」
分倍河原 剛「俺も中澤が飲んでいるのは見かけた。見間違いはないだろう」
中澤 翼「ほらな。部屋に帰ってすぐ寝た俺らにはアリバイがある。だから犯行は不可なんだよ」
中澤君の主張は一見すると正しいように聞こえる。けど、それはある事が前提になっているからだ。それをうちは崩す。
相川 凛「それは、血液型がAB型の場合の話だよね。モノカバ睡眠薬を飲んだ時、AB型は効き始めるまで2時間。時間としては妥当だし、それは間違いない。でもさ……中澤君って本当にAB型なの?」
中澤 翼「………………!?」
ここで中澤君が初めて焦りの表情を見せた。
銀山 香織「そうか!?もし中澤がAB型以外の血液型だったらこのアリバイは無かった事になるのか!」
万斗 輝晃「自分だけ眠いフリをして部屋に帰った飛田君を部屋の外に連れ出して殺害………時間的にも可能だよ」
相川 凛「中澤君、あなたの血液型がAB型だって証明出来ない以上、あなたのアリバイは証明されない」
中澤 翼「だったら、同じ途中で帰った組の千野もそうだろ。あいつもAB型だって証明出来ないからな」
相川 凛「確かに千野君の血液型がAB型だっていうのも証明出来ないけど、千野君はパーティー前一切飲み物に触ってないんだよ。だから睡眠薬を盛る事は出来ない以上、彼は犯人じゃない」
中澤 翼「………………」
中澤君が下を向いてまた黙る。
相川 凛「中澤君、間違ってなければ、もう認めて欲しい。あなたが犯人だって事を」
中澤 翼「犯人、ねぇ………じゃあ逆に聞くけどよ、お前らは俺の血液型がAB型じゃないって証明出来るのかよ?」
中澤君が不気味な笑みを浮かべた。
相川 凛「え……!?」
中澤 翼「出来ねぇよな。悪魔の証明ってやつだ。それに相川の仮説が正しいとは限らないだろ。もしかしたら夜じゃなくて朝に事件が起きた可能性もある。もしそうだったら俺には完璧なアリバイがある。そしてアリバイと睡眠薬の条件を両方満たすのはジャックだけになるぜ」
ジャック「………………」
中澤 翼「これで分かっただろ?相川の仮説に乗るのがどれだけ綱渡り状態な事か。間違ったら俺らは死ぬんだぜ。ちゃんとした答えが出るまで議論を続けるべきだと思うけどな」
銀山 香織「……………では、夜に犯行が行われたというのを証明すればいいわけだな?」
中澤 翼「……………銀山。お前は俺を納得させられるだけの何かを持ってるっていうのか?ただのハッタリじゃねぇのか?」
銀山 香織「それを今から議論する。きっと何か証拠が見つかるはずだ。それよりも中澤、普段ベラベラと喋らないお前が疑われ始めてから随分と饒舌になったな。何かやましい事でもあるんじゃないのか?」
中澤 翼「犯人だって言われてるんだ。そりゃ疑いを晴らす為に饒舌にもなるさ」
肩をすくめる中澤君。銀山さんの揺さぶりにも全く動じる様子は無い。
この余裕はどこから来るんだろう。
議論開始!
銀山 香織「なんでもいい。何か気になる事がある者は言ってくれ」
幸村 雪「気になる事、と言われても………」
千野 李玖「何も思いついきませんな」
霞ヶ峰 麻衣子「もう話尽くしてしまった感があるでござるよ」
中澤 翼「ほらな!犯行時刻が夜だなんて証拠は[どこにもない]んだよ。もう一回最初から考え直そうぜ」
[どこにもない]←[喜屋武の証言]
それは違うっ!!!!
相川 凛「証拠かどうかは分かんないけど気になっている事が1つあるんだ。喜屋武さん、さっきうちに教えてくれた、女子トイレ前にあった看板について話してもらってもいいかな?」
喜屋武 流理恵「ああ、昨日の看板についてですね。コホン、実は私、女子会の最中……9時頃でしょうか。3階のトイレに行ったのですが、『清掃中』の看板があって入れなかったんです。だから仕方なく2階のトイレを使った、という話だけなんですけど………。相川さん、これで大丈夫ですか?」
相川 凛「十分だよ。ありがとう。みんな、今の話、なんか変じゃない?」
分倍河原 剛「変………?別におかしな点は無いが」
幸村 雪「そうだよー!トイレちゃんと掃除しないと汚いし!!」
相川 凛「いや、掃除する事自体は変じゃないよ。問題は掃除の時間だよ」
独島 灯里「あ、わたし思い出したよー。確か掃除って夜中にやってたよね〜。昨日か一昨日の夜中1時半くらいに、3階のトイレに行こうとしたら掃除中で使えなかったんだ〜」
霞ヶ峰 麻衣子「言われてみればそうでござる!!拙者もいつも夜中2時前くらいに寝る前にトイレに行くでござるが、いつも3階のトイレが使えなくてすごく不便な思いをしてるでござる!」
黒瀬 敦郎「ていうかテメェ、さっき自分で規則正しい生活してるとか言ってたくせに全然規則正しくねえじゃねぇか!!!!」
霞ヶ峰 麻衣子「ち、違うでござるよ!そう、たまたまでござる!!昨日たまたま夜中まで起きて……」
銀山 香織「さっき『いつも』と言っていたぞ」
霞ヶ峰 麻衣子「そ、それは銀山殿の空耳では???ぴゅーぴゅーぴゅー……」
北条 業「最初からバレる嘘なんてつかなければいいじゃないですか……。あと何ですかその絶妙に下手な口笛は」
万斗 輝晃「麻衣子さんは毎日夜中2時くらいにトイレに行くと………ウヒョ、これはメモっとこ」
ジャック「貴様は一度死んで生まれ変わった方がいいだろうナ」
相川 凛「普段は夜中に清掃するのに昨日だけ夜9時頃に清掃……うん、やっぱり何か事件と関係があると思う」
中澤 翼「偶然だって。相川、疑ってるのは分かるけど、それは考えすぎだろ」
霜花 優月「『昨日だけ』の出来事を偶然なんて、随分都合のいい解釈をするんですね」
中澤 翼「………………………」
相川 凛「じゃあ、確認してみようか。モノカバ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
モノカバ「ハッ!?相川サンが初めてオイラを頼ってくれた……お、オイラ嬉しくて、嬉しくて、言葉にできないカバ………」
相川 凛「そういうのいいから。トイレの清掃っていつも何時にやってるの?」
モノカバ「みんなオイラの扱いおかしくない?オイラこれでも一応学長なんだけどカバ………。えーっと、トイレの清掃時間は1階は毎日深夜1時〜1時15分、2階は1時15分〜1時半、3階は1時半〜2時までカバ!」
喜屋武 流理恵「何で3階だけ少し清掃時間が長いんでしょうか?もしかして私達に対する嫌がらせか何かですか?」
モノカバ「嫌がらせだなんて失礼な!!3階のトイレが1番使用頻度が高いでしょうカバ!だから清掃も時間をかけてやってるの!ドゥーユーアンダースタンド?」
喜屋武 流理恵「そうでしたか。これは失礼致しました」
霞ヶ峰 麻衣子「モノカバにそんな畏まった態度取らなくていいんでござるよ、喜屋武殿……」
相川 凛「みんな聞いたよね?普段の3階のトイレの清掃時間は、深夜1時半〜2時。でも昨日は何故か9時頃に清掃の看板が立っていたんだ」
ジャック「そうカ。犯人はキャクオの死体の発見を遅らせようとしたという事カ」
銀山 香織「そう考えるのが妥当だろう。犯人は、死体の発見が夜、しかもすぐに発見されると困る事情があったんだろう。だから清掃時間ではないにも関わらず、清掃中の立て札を置いておいて誰も女子トイレに入らせないようにした。そしてタイミングを見計らってそれを外したんだ」
霜花 優月「そんな面倒な事をする理由はただ一つ。自分にアリバイがある時間に犯行が起きたと錯覚させたかったからです。つまり、朝にアリバイがあった人が怪しいという事になります」
幸村 雪「えーっと、朝にアリバイがあった男子は………」
千野 李玖「黒瀬殿と分倍河原殿、そして中澤殿でしたな」
独島 灯里「あれー?でも黒瀬くんと分倍河原くんは一緒にいたんでしょー?じゃあ無理じゃない〜?」
万斗 輝晃「じゃあ、犯人は残った………」
北条 業「中澤君、ということになりますね」
黒瀬 敦郎「クソッ………………」
中澤 翼「クッ………………………」
中澤君は悔しそうに唇を噛む。
相川 凛「中澤君。お願いだから、もう認めてよ………。もう、これ以上あなたを責めるような真似、したくないんだよ……」
中澤 翼「………………………だ」
相川 凛「え?」
中澤 翼「まだだって言ったんだよ!!!!」
バンと机を叩いて中澤君が大声を上げた。
中澤 翼「さっきも言っただろ!!俺の血液型がAB型かどうか証明出来ない以上、犯人かどうかは分からねえって!!なあ、お前だったら証明出来んのかよ、相川!!」
相川 凛「そ、それは………」
ダメだ。これ以上中澤君を納得させられるだけの決定的な証拠がない。中澤君の言う通り、これは悪魔の証明だ。あと1つ、あと1つでいいから何か決定打があれば……
柴崎 武史「つまり、中澤サンの血液型を証明出来れば自分が犯人だって認めるって事ッスよね?じゃあ相川サン、しょうがないから僕が助けてあげるッスよ」
中澤 翼「………………………は?」
すると、ずっと黙って傍観していた柴崎君が急に喋り始めた。
北条 業「は?急に何喋ってんの?凛さんに話しかけたら殺すって言ったよな?」
柴崎 武史「隣から尋常じゃない殺気が漏れ出してるッスね〜」
幸村 雪「ヒャア!!また政子のヤンキーモードが発動した!!」
独島 灯里「恐ろしや〜〜〜」
銀山 香織「北条、少し落ち着け。柴崎の話を聞くだけ聞いてみよう。反論するのはその後でもいい」
北条 業「………………はい。ただし、凛さんに変な事言ったらすぐ殺す」
柴崎 武史「分かってるッスよ。じゃあその方法ッスけど………」
柴崎 武史「情報を買えばいいんすよ。モノカバからね」
「えええええーーー!!!!」
ほぼ全員が驚きの声を出した。
ジャック「情報を買う、だト!?」
万斗 輝晃「そんな事が出来るのかい!?」
柴崎 武史「そもそも皆サン疑問に思わなかったんスか?モノカバ睡眠薬を使うにあたって、犯人がどうやって全員の血液型を知ったのかって」
幸村 雪「そんなの、血液型なんて知らなくても使えるじゃん!適当にポイって飲み物に放り込めばいいんだからさ!」
柴崎 武史「本当にバカと話すのは疲れるッスね………。いいッスか、今回の事件、いくつかの証拠から犯人は恐らくかなり前から犯行を計画していたのが分かるッス。そんな用意周到な犯人が血液型を調べもせずに睡眠薬を使う訳が無いんスよ。もし睡眠薬を盛って実は飛田サンはA型でした、とかだったらどうするんスか?今回の計画は全部パーッすよ。だから間違いなく犯人はなんらかの方法で事前に全員の血液型を把握したんスよ」
幸村 雪「バカって言うな!!でも、モノカバに頼んでそんな情報見せてくれるのかな………」
柴崎 武史「話聞いてました?だから
霞ヶ峰 麻衣子「そ、そんなチートみたいな事が出来るでござるか!?」
柴崎 武史「誰も出来ない、とは言ってないッスよ。僕はモノカバに『ここにあるものは何でもモノマネーで買える』って聞いた時から怪しいと思ってたんスよ」
柴崎 武史「それより、さっさと血液型の確認しちゃいましょ。もういい加減この裁判も飽きたんで」
ジャック「貴様もしかしテ、既にモノカバから情報を買ったのカ?」
柴崎 武史「いずれ使う機会が来ると思って買っておいたッスよ。ちなみにいくらだと思います?5000円ッスよ。ぼったくりもいいとこッスね」
モノカバ「人をぼったくり呼ばわりなんて、心外だなぁ!」
相川 凛「アンタ人じゃないじゃん!!」
霞ヶ峰 麻衣子「久しぶりに相川殿のツッコミを聞いた気がするでござる」
中澤 翼「………………………」
柴崎 武史「念の為、全員の血液型を確認しときますか。じゃあ、まず僕から時計回りに自分の血液型を言ってって下さい。それから、僕の元にあるモノカバから貰ったデータで合ってるかどうか調べるッス。データが食い違ってる奴がいたらそいつが犯人って事ッスね。あ、ちなみに僕はB型ッス」
千野 李玖「拙僧は先程も言った通り、AB型ですな」
霜花 優月「………分かりません。調べた事が無いので」
ジャック「B型ダ」
独島 灯里「o型だよー」
黒瀬 敦郎「………A型」
中澤 翼「………AB型だ」
幸村 雪「B型!」
万斗 輝晃「o型だよ」
銀山 香織「A型だ」
相川 凛「A型だよ」
霞ヶ峰 麻衣子「AB型でござる!」
喜屋武 流理恵「霜花さんと同じで、分からないです…」
分倍河原 剛「A型だ」
北条 業「o型です」
柴崎 武史「なるほど………じゃあ、やっぱり僕がいちいち言うのも面倒なんで自分達で確認して下さい。全員の携帯にデータ送ったんで」
すると、カバフォンに1つのファイルが送られてきた。
うちはすぐファイルを開く。
血液型
相川 凛…A
霞ヶ峰 麻衣子…AB
喜屋武 流理恵 …不明
銀山 香織…A
黒瀬 敦郎…A
柴崎 武史…B
霜花 優月…不明
ジャック ドクトリーヌ …B
千野 李玖…AB
独島 灯里…O
飛田 脚男…AB
中澤 翼 …A
錦織 清子…O
分倍河原 剛 …A
北条 業 …O
万斗 輝晃 …O
幸村 雪 …B
黒瀬 敦郎「ちくしょう………。やっぱりそうなのかよ………」
柴崎 武史「はい、これで全員分かったッスよね。この中で明らかにウソをついてる奴が1人だけいるッス。そうッスよね?………中澤サン?」
中澤 翼「ぐっ………………」
銀山 香織「………終わり、か」
中澤 翼「………終わり……?へっ、まだだ、まだ終わってない……」
柴崎 武史「何を言ってるんスか?アンタが犯人だって証拠がこんなに出てきてる以上、もう言い逃れは出来ないんスよ。これだから無能は……」
中澤 翼「まだ終わりじゃねぇ!!犯人は………そうだ、霞ヶ峰だ!!!」
霞ヶ峰 麻衣子「えええええーーーーーーーーー!!せ、拙者でござるか!?!?!?!?」
銀山 香織「………中澤、自分で何を言ってるか分かってるのか?今回の犯行は女子には不可能。そう結論づけたはずだが?」
中澤 翼「そんなのは関係ねぇ!!俺は飛田から聞いたんだよ!!霞ヶ峰から呼び出しの手紙を貰ったってな!!それで飛田を呼び出して殺したんだ!!」
分倍河原 剛「この状況でその言い訳は苦しすぎるぞ、中澤」
いや、中澤君の言ってる事は間違ってはいない。
[飛田宛の手紙]←
これだよ!
相川 凛「いや、確かに飛田君の部屋には霞ヶ峰さんからの手紙が残されていたんだ」
喜屋武 流理恵「中身はどんな内容なんでしょうか?」
うちはみんなに手紙を回して見せた。
千野 李玖「これは………間違いなく呼び出しの手紙ですな」
独島 灯里「でもこれ時間が朝の6時半になってるよー。なんか怪しい気がするんだけどー」
霜花 優月「十中八九霞ヶ峰さんに罪を被せる為のダミーでしょう。中澤さん、あなたが書いた物じゃないですか?」
中澤 翼「し、知らねぇよそんな手紙!とにかく、その飛田の机の中にあったその手紙が霞ヶ峰が犯人だって事を示す証拠なんだよ!!!!」
霞ヶ峰 麻衣子「せ、拙者ではないでござる!!信じて欲しいでござる!!」
独島 灯里「もしかして………実は霞ヶ峰さんは男だったりして〜。そしたら、霞ヶ峰さんにも犯行は可能だよねー」
霞ヶ峰 麻衣子「なっ………何を言い出すでござる独島殿!!拙者は正真正銘の女でござるよ!!」
万斗 輝晃「じ、じゃあボクが調べてあげるよ………体じゅうをまさぐれば女の子かどうかなんてすぐに分かるよ………ウヒョヒョ」
幸村 雪「てるるん、これから女子に30メートル以上近づかないでね。本当に気持ち悪いから」
え?いまの発言って………。
うちは霜花さんと柴崎君を見る。2人とも今の失言に気づいたようだ。
相川 凛「ねぇ、中澤君」
中澤 翼「なんだよ!?もしかして、やっと俺が犯人じゃねぇって分かってくれたのか?よし、じゃあ投票は霞ヶ峰に………」
相川 凛「なんで、飛田君が貰った手紙が
中澤 翼「………………………え?」
相川 凛「うちは、飛田君の部屋に手紙があったとは言ったけど、具体的にどこにあったかは一言も言ってないんだよ。なのに、なんで机の中に手紙があるって知ってたの?」
中澤 翼「あ、………そ、それは………捜査時間に飛田の部屋に入ったんだ。それで………」
霜花 優月「捜査時間内に飛田さんの部屋に入ったのは私、相川さん、それに柴崎さんだけです。そうですよね?モノカバ」
モノカバ「はいそうですカバ!確かに捜査時間中飛田君の部屋に入ったのはその3人だけですカバ!」
中澤 翼「なっ………………………」
柴崎 武史「あーあ、墓穴を掘ったッスね。最後まで惨めに足掻いた挙句負ける。敗者のテンプレッスよ。見てて哀れにすら思えるッスね」
中澤 翼「………………………………」
黒瀬 敦郎「テメェ………これ以上、翼をバカにするんじゃねぇよ!!!!大切な仲間なんだぞ!!」
柴崎 武史「仲間、ねぇ………。人殺しをまだ仲間だなんて呼べるとは、黒瀬サン、流石ッスね」
黒瀬 敦郎「ざけんな!!翼がまだ犯人だって決まったわけじゃねぇ!!きっとどこかにまだ手がかりが………」
中澤 翼「もう………………………いいよ」
黒瀬 敦郎「翼………?」
中澤 翼「悪ぃな、黒瀬。せっかく庇ってもらったのによ。だが、これ以上足掻いても時間の無駄だ。相川、終わらせてくれるか?」
相川 凛「えっ………!?」
中澤 翼「裁判をここまで導いてきたのはお前だ。だから、最後はお前が事件をまとめて………俺を終わらせてくれ」
相川 凛「中澤君………。うん、分かったよ。うちがやる」
中澤 翼「すまねえな。最後まで迷惑かけて」
クライマックス推理!
Act.1
この事件の犯人は前々から誰かを殺す計画を立てていた。多分、動機が発表された頃じゃないかな。とにかく、犯人はその計画を昨日から実行に移したんだ。
まず、朝早い時間に購買で彫刻刀、ロープ、そしてモノカバ睡眠薬を購入した。本来はそれらを使って別の方法、タイミングでターゲットを狙う予定だったんだと思う。けど犯人にとって予想外だったのはうちがパーティーをやろうと提案した事だった。だから犯人は、計画を一部変更して、パーティーを利用した殺人に切り替えたんだ。
Act.2
犯人はパーティーに出す食事担当になり、飲み物を1階食堂の自販機で買う事になった。けど、それは犯人にとっては睡眠薬を飲み物に混ぜる絶好の機会だったんだ。犯人は、一緒に来ていたジャック君が見ていない隙に、未開封の飲み物を少し開けて睡眠薬を入れたんだ。飲み物はボトルで何本かあったけど、恐らく全てに睡眠薬を混ぜたんだろうね。そして何食わぬ顔をしてそれを運んだんだ。
そして16時頃パーティーが始まり、見張りの霜花さん以外の全員が飲み物を口にした。睡眠薬が混ざってるとは知らずにね。そしてAB型の人への効き始める時間、つまり2時間後の18時頃。犯人は、事前にモノカバから入手していた全員の血液型の情報を元に、眠気が襲ってきたであろうAB型の霞ヶ峰さん、千野君、そして被害者の飛田君を連れてパーティーをお開きにしないかと提案した。自分もAB型で睡眠薬で眠くなったと後で言い訳する為にね。そしてその4人は先に部屋に戻る事になった。
Act.3
そして何らかの方法で飛田君の部屋に侵入、爆睡してる飛田君を男子トイレに連れていったんだ。多分このタイミングで、偽装の手紙を作って飛田君の机の中に入れておいたんだと思う。後で霞ヶ峰さんに罪を擦りつける為にね。あと、飛田君のトンカチを持っていったのもこの時だろうね。
その後、男子トイレに着いた犯人はあらかじめ用意しておいたロープで手首を結んで用具室内の水を張ったシンクに顔を突っ込んで溺死させようとした。けど、理由は分からないけど飛田君が予想以上に早く目覚めてしまった。だから犯人は慌てて飛田君の部屋にあった殺人手助けキットのトンカチで飛田君の後頭部を殴って気絶させたんだ。けど、その時出た血が壁に付着してしまった。慌てて犯人はそれを拭き取ったけど、拭き残しができてしまったんだ。これが犯人にとって致命的なミスとなった。そして再び水の中に顔を沈められた飛田君は、抵抗できないまま溺死してしまったんだ。
Act.4
飛田君を溺死させた犯人の次に取った行動は、女子、もとい霞ヶ峰さんが犯人だと思わせるようにする事だった。まず、彫刻刀を使って飛田君の全身に傷を付けた。うちらに死因を誤認させる為だ。そこで出た血は水で流したりして証拠を消したと思う。次に、パーティー中に盗んだ独島さんのカバフォンを使って女子トイレを開けた。異性のトイレを開けるだけだったら学則違反にはならないからね。そして入り口から飛田君の死体を放り投げて、上からこれまた事前に用意してた血液パックを撒いたんだ。これだけ血があれば、嫌でも失血死だと勘違いしてしまう。それを狙ったんだ。
仕上げに、犯人はどこから調達してきたか分かんないけど、普段トイレの清掃中に立てられる看板を、清掃してないにも関わらず女子トイレの前に置いたんだ。これには飛田君の死体の発見を遅らせようとするっていう理由があったんだよ。
おかげでうちらは、犯行が昨日の夜じゃなくて、今朝に行われたって勘違いする羽目になったんだ。
そして今朝、犯人はいつも通り食事当番の為に食堂に姿を現した。これによって朝には自分にはアリバイがある、犯人じゃないって主張するつもりだったんだ。
「これが事件の真実だよ。そうだよね………」
「《超高級のフットサル選手》、中澤 翼君!!!」
モノカバ「結論が出たようですカバね!!!!では、お手元にあるパネルで投票して下さいカバ!!ちなみに無投票、なんていうバカな真似したら即刻処刑だから大人しく投票したほうが身のためカバ〜!」
うちは手元にあるパネルを見た。これを押せば、うちらは助かる。
逆に言えば、このパネルで中澤君を殺す、という事だ。
でも、うちらは前に進まないといけない。たとえ中澤君を犠牲にしても。
うちは中澤君の顔写真をタッチした。
モノカバ「全員投票が終わったカバね!では、投票の結果、クロになるのは一体誰なのか?そして正解なのか不正解なのか?ドッキドキのルーレットターイム!!!!」
すると、うちらのドット絵が書かれた巨大なルーレットが出現し、回転し始めた。そして中澤君の所で止まると、「guilty!!」の文字と共に大量のコインが出てきた。それは、中澤君が犯人である事の何よりの証明となった。
「終わり………………………か」
中澤君は、虚ろな目でルーレットを見つめていた。