ダンガンロンパ キャンパス   作:さわらの西京焼き

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今回で2章は終了です!
次回からは3章に入ります!



オシオキ編

「カバカバカバーーー!!今回も大正解カバ〜〜!《超高校級の調理部》喜屋武 流理恵サンを殺したクロは、喜屋武サン自身、つまり自殺でしたーー!!いやいや、オイラも含めた全員が騙されたトンデモ事件だったカバね〜。まさかシナリオ通りにいかないとは、オイラ非常に楽しませてもらったカバよーー」

「満足して頂けたようなら何よりッス」

「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁァ!!!!!!!!こんな結末、認められるわけねぇだろうがァ!!」

頭を抱えた状態で絶叫する分倍河原君。

「うるさいッスね。いいスか、アンタはシナリオ通りにいくから大丈夫だろうと高をくくった結果、僕と喜屋武サン、それに幸村サンのたった3人によって計画をパーにされ、相川サンに全てを暴かれ惨めに敗北したんス。その事実は絶対覆されない。どうスか、黒幕側にいながら無様に負けた気分は?」

「ぐ………ぐぁぁぁぁぁァ!」

今回の事件は、結果だけ見ればスパイの計画を無事阻止出来たという事になるだろう。けど、それならなんの罪もない喜屋武さんは何故死ななくてはならなかったのだろうか。………最悪の結末じゃないか、こんなの。

 

 

 

 

「剛………、もういいだろ?」

全員が蹲る分倍河原君を黙って見ている中、黒瀬君ただ1人が諦めずに声をかける。

「こんな事もうやめようぜ。オレら希望ヶ峰学園の同級生なんだぞ。なんでそのオレらがコロシアイなんかしなくちゃいけねぇんだよ。剛ももう嫌だろ?こんな事すんの。お前だって本当はオレらと仲良く過ごしたいんじゃねぇのか?」

「黒瀬………」

「一緒にやり直そうぜ。モノカバなんか裏切ってさ。オレが必ず力になる。お前には助けてもらってばっかりだったからな。今度はオレが借りを返す番だ」

そう言って黒瀬君は手を差し出す。

仲間想いの黒瀬君はどうしても恩がある分倍河原君を救いたいのだろう。

彼にとっては恩返しの意味もあるのかもしれない。

「黒瀬………お前は、本当に………」

その想いが届いたのか、分倍河原君は差し出された手を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、救いようのねぇバカだなァ!」

 

 

 

 

 

 

そう言いながら思いっきり弾いた。

 

 

 

 

 

「痛てぇ!?」

「ちょ……あっくん大丈夫!?」

手を弾かれ、バランスを崩し尻もちをついた黒瀬君に幸村さんが駆け寄る。

「仲良く過ごす……?一緒にやり直す……?お前の甘さには反吐か出るぜェ!!なんでお前らなんかと仲良しごっこしなくちゃいけねぇんだよォ!!」

「君は……人の心というのがないのか?黒瀬がここまでして君を説得しようとしているのに」

「ハッ!くだらねェなァ!俺様はお前らみたいな友情を育んで希望に満ち溢れた未来を探そうとする奴らが大嫌いなんだァ!だから()()()が創った『()()()()』に入ったんだァ!」

「『()()()()』?なんですかそれ」

()()()が創設した俺様の拠り所だァ!()()()は無意味な人生を送っていた俺様をわざわざ拾ってくださったァ!それから俺様の人生は一変したァ!!クズ共とは違う絶望を追い求める生活の日々!人を絶望させる度に生きてると実感出来る!俺様は今人生の頂点に立っているんだァ!」

「いや質問に答えてないんですけど。この人頭のネジ全部ぶっ飛んじゃってますね」

「しかし、分倍河原殿の所属する組織が『絶望の庭』という事を知れただけでも大きな収穫ですぞ」 

「絶望の庭」………。それが分倍河原君が所属する組織らしい。じゃあこのコロシアイも絶望の庭が中心になって執り行われているって事でいいんだろうか。

「貴様の所属する組織の構成人数、活動目的、活動内容それらを全て話セ」

「誰が話すかァ!まぁ一つだけ言えるのはあの方は………」

 

 

 

 

 

「いい加減にしろ」

「……え?」

分倍河原君が何かを言い出そうとしたその時だった。モノカバが突如、低い声で分倍河原君を止めた。

「そ、その声は………」

「お前はどこまで醜態を晒せば気が済むんだ?シナリオ通りに進められなかっただけでは飽き足らず、僕の正体のヒントまで与えようとするとは………。失望したよ。もうお前は必要ない」

「そ、そんな………」

分倍河原君はモノカバの方を向いて硬直してしまっている。

「なんか………いつものモノカバと口調が全然違うでござるな」

「まるで別の誰かと入れ替わったみたいな感じだぜ」

怒りを込めつつ淡々と話すモノカバは、確かに別人のように感じる。

このような口調になったのはモノカバは前にも見た事がある。確か初めてうちらの前に現れた時、急に口調が変化したんだっけ。

「んー?もしかして………今喋ってるアンタがモノカバを操る黒幕って事でOKスか?」

「…………おっと、つい口が滑ってしまったカバ!」

モノカバはわざとらしく口を押さえる。

「………肯定、と見て良さそうですね」

霜花さんはそう呟く。

「うん。でも、今のだけじゃどんな人物か特定するのは無理だね」

「……それはこれから喋らせればいいでしょう。また今のようにボロが出るかも知れません」

「………だったら彼に聞いてみるのが1番早いのではありませんか?」

千野君は硬直したままの分倍河原君を指差す。

「そうだな。………分倍河原、さっき君が話そうとしていた事だが……」

そう言って分倍河原に近づいて声をかける香織ちゃん。だが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

「お許し下さいィィィ!!!!!次こそは、次こそは必ず役割を果たしてみせますからァァァァ!!だから、だからどうか俺様を見捨てないで下さいィィィィィィィィィ!!!」

分倍河原君が奇声を上げながら号泣し始めた。声をかけようとした香織ちゃんは唖然としてその場に固まってしまっている。

「な、なんだよコイツ………。まるで狂人じゃないか……」

「ここまで情緒が不安定だとは………」

「コイツやっぱり頭のネジ全部吹っ飛んでますね。近くにいると凛さんに悪影響が出そうです」

「うわぁ……あの巨体で泣き喚くって。見てて吐き気がこみあげてくるッスよ」

万斗君と千野君はドン引きした表情を見せ、業ちゃんと柴崎君は嫌悪感をあらわにしていた。これが………分倍河原君?じゃあ、今まで一緒に過ごしてきた分倍河原は一体………………誰だったのだろうか。

「うるっさいカバねー。オマエなんかもう知らないカバよ。オイラはオマエを見限ったカバ」

「だ、だったら俺様をオシオキで殺して下さいィ!!」

すると分倍河原君はモノカバの前へ跪きそう懇願した。

「!?何を言っている君は!?」

「剛!!」

香織ちゃんと黒瀬君が慌てて止めようとする。………だが、うちは止めようとは思わなかった。

「どうせ俺様はここで退場する予定だったんですから、シナリオ通り遂行できなかった俺様への罰としてオシオキをしてくださいィ!」

「馬鹿な事を言うな!?君は生きて罪を償…」

「いや、それでいいんじゃない?」

うちは今思っている正直な気持ちを口にする。

「なっ!?」

「凛!?テメ……」

「コイツはうちらに仇なす敵だよ。うちらが団結する為には異分子は取り除かなければいけないんだ」

「しっかりしろ、相川!!」

うちがそう言い終わる前に香織ちゃんに肩を掴まれる。

「………え?」

「君はそんな事を言う人では無かった筈だ!君はどんな者でも決して見捨てず仲良くなろうとする、そんな優しい人間だった!今の君は………少し変だ」

そう言う香織ちゃんの顔はとても悲しげだった。………あれ?うち、いつからこんな事考えて………。

 

 

「ちょっと銀山さん。凛さんに自分の考えを押し付けるの、やめてもらっていいですか?」

そこへ業ちゃんがやってきて香織ちゃんをうちから引き剥がした。

「べ、別にそんなつもりは……」

「凛さんはやっと気がついてくれたんです。団結するには邪魔者は排除しなければいけないって。だから余計な事しないで下さいよ。あなたのような甘っちょろいリーダーシップじゃ誰も守れないんですから」

「!?」

「ね、凛さん?」

業ちゃんはうちの耳元でそう囁く。

「………」

うちは何も答えることが出来なかった。………もうどっちが正しいか分からない。………でもうちが仲良くなる方法をとっても、友達は救えなかった。もう4人もいなくなってしまった訳だし。だったら……。

 

 

 

 

 

「あのー、お取り込み中悪いんだけど………、そんなの許す訳ないカバ」

だが、モノカバがそれを許さなかった。

「なっ!?な、何故ですかァ!」

「この脳筋!!オマエはこの学級裁判のルールも忘れたのかカバ!!」

「この裁判のルールは………投票したクロが正しかった場合、その()()()()がオシオキされる………。そ、そうでござる!今回の事件のクロは喜屋武殿でござる!」

「そうカバ!霞ヶ峰サンの言う通りオシオキは事件のクロにのみ執行されるカバ!クロになり損ねたオマエにオシオキなんかする訳ないカバ!」

「そ、そこを何とかァ……」

「失敗した挙句オイラのオシオキを利用して死のうとするなんて…甘い、甘すぎるカバ!!それにそんな簡単に死なせたら面白くないカバ。オマエは惨めったらしく生恥を晒してろカバ!」

「あァ………ああああああああああァァァァ!!!!!」

分倍河原はこの世の終わりみたいな顔をして地面に倒れこむ。

 

「で、でもクロである流理恵さんは亡くなってるじゃないか。この場合はどうするつもりだい?」

すると、おずおずと万斗君が手を挙げ質問した。

「そうだ!!じゃあ今回はオシオキは無しって事になるよな!!オシオキするクロが居ないんだし、このまま終わりでいいんだよな!!」

黒瀬君は期待に満ちた顔でモノカバに詰め寄る。

「う〜ん、そうなんだよね………。自殺の場合を想定していなかったから何とも言えないけど、確かにルール上だとオシオキは無しって事になっちゃうカバね………。喜屋武サンの死体を使ってオシオキやってもいいんだけど、それじゃあつまんないし………」

「だったらウチらを早く解放してよ!!」

幸村さんもここぞとばかり抗議する。

「………チェッ、分倍河原クンがしくじらなければこんな事にはならなかったのに………」

「………………」

微動だにしない分倍河原君を見てそう呟くモノカバ。

「まあいっか、じゃあ今回はオシオキは無しで……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「な〜んて言うと思ったカバ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

「カバカバカバカバ!!!!!オマエらは本当に甘っちょろいカバ!オイラが1番楽しみにしてるオシオキをしない訳ないじゃんカバ!!!!」

モノカバはうちらに更なる絶望をもたらした。ゲラゲラと笑いながら

「………ふざけてるんですか?さっき貴方自身が言ったんですよ。『クロにのみオシオキが執行される』って。それなのにクロではない人を処刑しようとするなんて………、完全なルール違反ですよね?」

「勿論それはそうカバ!けどオマエら忘れた訳じゃないカバ?このコロシアイ生活が始まって最初に死んだのは誰だったカバ?」

霜花さんの質問には答えず、唐突にそううちらに問いかけるモノカバ。…………そんなの忘れる筈がない。最初の犠牲者は………学則違反で処刑された錦織さんだ。でも、なんでそんな事聞くんだろ………う?

 

 

 

「!?まさか………、他にも学則に違反した人がいるの………?それで、今からその人を代わりに処刑するつもりなんじゃ……」

うちは一瞬で考えついた最悪のケースを呟いた。

「は、はぁ!?」

「そんな人いるのー!?」

「分からないけど………、モノカバがこの話を持ち出したって事はこれしか考えられないよ………」

「大正解カバよ!!!さっすが相川サン!2度も真実を導いただけの事あるカバー!」

どうやらうちの予想は当たってしまったようだ。

「いい加減にしろ!!そんな者がいる筈がないだろう!!」

「残念ながらいるんですよねカバー。オイラは面白そうだから敢えてソイツをすぐ処刑せずに様子を見てたけど、ちょうどいいタイミングだから今ここで処刑するカバー!!」

「ふざけんなよコラ!!そんな勝手許されると思ってんのかよ!!」

「横暴でござる!!!!」

「あまりにも身勝手な行為ですな。こんなの、ゲームですらありませんよ」

「うるさーい!!!ここではオイラの命令は絶対カバ!!じゃあ早速、学則違反者を発表するカバ!!」

モノカバはうちらの反対意見を無視して口を開いた。

 

 

 

 

「それは………………霜花サンカバ!!」

 

 

 

 

「………………………は?」

今、何て言った?霜花さんが……学則違反?

「……………………………」

「おや、霜花さんのその顔、自分が何をしでかしたか分かっているみたいカバね?」

「ええ、いずれこの時が来るのは分かってましたから」

指名された霜花さんは動揺した様子は見せず、いつも通り落ち着いた表情でそう言った。

「どういう事なの!?なんで霜花さんが……」

「貴方には関係ありません。………とにかく、処刑するならさっさとして欲しいんですけど」

うちの問いには答えず、処刑を催促する霜花さん。………なんでそんな簡単に受け入れられるの?

「ちょっと待てよ!!こんなあっさり優月が処刑されて終わりなんて、オレは認めねえ!!せめて理由くらい話せよ!!」

「私も黒瀬に同意だ。私達に納得のいく説明をしてくれ」

「もぉ〜しょうがないカバねー!じゃあ喋る気がない霜花サンの代わりにオイラが話してあげるカバ!霜花さんの罪状は…………立ち入り禁止区域に入ったことカバ!!」

 

 

………立ち入り禁止区域?

「立ち入り禁止区域って………、夜時間の食堂とか?確かウチら入っちゃいけないんだよね?」

「だガ、そこの女がそれを知らずにノコノコ食堂に入るとは思えないナ」

「でも、他に立ち入り禁止禁止の場所なんてあったでござるか?」

「あ、分かっちゃったッス。霜花サン………、アンタもしかしてまだ解放されてない場所に入っちゃったんじゃないスか?」

「え!?」

全員が疑問に感じていた時、柴崎君がそう問いかけた。

「そうなのか?霜花」

「…………何なんですか、貴方のその鋭さは」

呆れたように呟く霜花さん。

「そりゃあ僕はここにいるポンコツとは違って優秀ッスからね。見えてる世界が違うんスよ」

「そう!霜花サンはこの裁判が終わった後解放される筈だったある場所に入っちゃったんカバ!しかも2日目に、隠し扉をピッキングして入りやがったカバ!!全く、これは万死に直するカバ!!」

「なんと………そのような行為があったとは」

「ピッキングなんて出来る人と現実で会えるとは〜。漫画だけの話だと思ってたよー」

ピッキング行為があった事に驚きを隠せないみんな。確かにそれは驚きだけど………、そんな事で処刑されるなんてどうかしてる。

 

 

 

「そ、それだとしても霜花さんを処刑するなんてあんまりだよ!!」

「………」

「それに霜花さんもなんで受け入れてるの!?このままだと処刑されちゃうんだよ!!それでもいいの!!」

「相川、少し落ち着け。熱くなりすぎだ」

「だって………!」

「………もういいです。鬱陶しいからやめて下さい」

「!?」

必死に訴えるうちに対して、霜花さんはひどく不機嫌な様子で話を遮った。

「……どうしてそこまで私に構うのですか?私と貴方は別に親友でもなんでもないでしょう。それにたかだかクラスメイト1人が学則違反で処刑されるだけなんですから別に貴方が大騒ぎするほどでもないと思うんですが」

「何でそんな事言うの!!!!あなたがうちを嫌ってるのは知ってる。うちが友達って思ってるだけで霜花さんはそう思ってないのかもしれない。けどそれとこれとは話が別じゃん!!今まで一緒に過ごしてきた人が殺されようとしてるんだよ!?そんなの止めるに決まってるじゃん!!」

「………理解出来ないですね。私にあんなに邪険にされたのにまだそんな事を思っているとは………。それに相川さん、貴方の言っている事はさっきから矛盾していますよ」

「………え?」

「さっき貴方はこう言っていました。『うちらが団結する為には異分子は取り除かなければいけないんだ』って。だったら団結する意思を見せず、単独行動ばかりしている私も異分子ですよね。その私が今から死ぬのだから貴方にとっては都合がいいのではないですか?」

「……そ、そんな事ないよ!!霜花さんは分倍河原君と違って敵じゃないし……」

「敵じゃない?なんで根拠もないのにそう言い切れるのですか?……もう貴方のそれにはうんざりです。悪い部分は見ようともせず、表面的な良い部分だけを見て何事もポジティブに考える。あーあ、腹が立ちすぎて今すぐ殺してやりたいですよ」

「なっ………!?」

「もう私は大嫌いな貴方と同じ空間にいる事すら耐えられないんですよ。………だから今すぐ殺して下さい」

「お前………あんまり調子に乗るなよ。次凛さんを侮辱したら……」

「ちょっと待ってよ優月ちゃん!!そんな言い方したら凛さんが流石にかわいそうだよ!!」

「随分と刺がある言い方ですな。彼女の何があなたをそこまで死に急がせるのか………」

「そんなに死にたがるんじゃねえよ!!死んだら何もかも終わりなんだぞ!!」

「ふざけるナ。命を粗末にする奴は許さン」

周りのみんなが霜花さんに呼びかける。だが、彼女はチッと軽く舌打ちすると、

「あーうるさいですね。私は相川さんだけでなく貴方達も嫌いでした。こんな危機的な状況にも関わらずギャーギャー大騒ぎするばかりで脱出への手がかりを探そうともしない。常に楽観的で目先の苦難な状況すら理解していない。そんな人達と団結して黒幕に立ち向かう?冗談も大概にして欲しいですよ。貴方達と組むくらいだったら私1人で行動した方がよっぽどマシです」

「そ、そんな言い方はないでござる!!」

「だとしても……何故そこまで死にたがる?死が怖くないのか……?」

「………だから言ったでしょう。相川さんと同じ空間にいるのが嫌になったって。それに死は別に怖くないですよ。私はここに来る前まで常に死と隣り合わせの場所にいたので」

「…………………」

「分かってもらえましたか?相川さん、貴方のその希望に満ち溢れたムカつく顔を見ないで良くなるって考えると嬉しくてしょうがないですよ。

これからもどうぞ、私のいない中で仲間達と一緒に薄っぺらい友情を築いていって下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霜花さん、どうしてそんな嘘をつくの?」

「………!!」

うちは、霜花さんの目をじっと見た。

「は?一体何を言って……」

「あなたは嘘を付いてる。うちらにわざと酷いこと言って遠ざけようとしてるみたい」

「………また根拠のない発言ですか。私を苛立たせたいんですか?」

「そうですよ凛さん!!コイツの発言は全部本当です!私達の敵なんですから庇う必要なんてないんですよ!」

「ううん、きっと違うよ。うちさ、最初霜花さんの目を見た時から悪い人じゃないって思ってたんだ。今もそう。うちらに心配かけないようにわざと嫌われようとしてる風に見えるよ」

「ッ………!?バカにするのも大概にして下さい!!」

「………霜花さん」

うちの発言に激昂する霜花さん。………こんな霜花さんを見るのは初めてだ。

「私がそんなお人好しに見えますか!私がそんな思慮深い人間に見えますか!!私の発言に嘘偽りは一切ありません!!貴方達の事が大嫌いだったんです!!………もう、放っておいて下さい。私は………もう死にたいんですよ」

「死にたいって………何でよ!!何ですぐ生きるのを諦めようとするの!?」

「だから、貴方には関係ないって言っているでしょう!!」

うちの全力の思いも霜花さんには届かない。ああ言えばこう言う。まさに大喧嘩、という感じだった。

 

 

 

 

 

 

「はーい!!じゃあそろそろこの痴話喧嘩も飽きた頃だし、さっさと処刑始めちゃいますカバ!」

「しょ、けい………」

「今回の処刑はこの裁判場の下にある空間で行うカバ!!裁判場が血塗れになったら掃除が大変だからねー」

「待てモノカバ!!こんな事をして許されると思っているのか!?」

「オマエらの許しとかいらないカバーー!!だってオイラは学長なんだからカバ!」

「やめてモノカバ!!!」

「やめませーん。じゃあ学則違反を犯した『超高校級の狙撃手』霜花 優月サンの処刑を実行するカバ!」

「………やっと死ぬ事が出来ますね」

「お願い、もうやめて!!」

「凛さん!!そいつから離れて下さい!!巻き込まれちゃいますよ!!」

「嫌だ!離して!!」

「最後までうるさい人ですね………。相川さん、」

「処刑開始カバ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「後の事、よろしく頼みます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、あの時と同じだ。

また目の前の仲間を助けられないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

手を伸ばせば届く距離なのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちは、本当に無力だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、まだだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちは、無意識のうちに体が動いていた。

 

 

 

 

 

 

霜花さんを捕らえようとする首輪を見て、そこにいた霜花さんを突き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

代わりにうちの首に首輪がつけられる。

 

 

 

 

 

 

 

そしてそのまま引っ張られていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思いっきり引っ張られたうちは、そのまま錦織さんの時と同じように壁に磔にされた。口にテープを貼られ、手足は鎖で固定された。

 

 

 

 

 

 

 

 

うちは今から、錦織さんみたいに剣でめった刺しにされて死ぬ。

ああ、うちの人生ここで終わりかぁ。

まだまだやりたい事たくさんあったのになぁ。

でも、うちが今した事に悔いはない。

だって大事な仲間を1人守れたんだもん。

霜花さんにとっては納得のいかない事になったかもしれないけど、

うちは錦織さんの時みたいに後悔はしたくなかった。

 

 

 

 

 

みんなは大丈夫かな?

特に業ちゃんはちょっと心配だけど……

でもあのメンバーだったら問題ないか。

だってうちより遥かに優秀な超高校級の人達ばかりだもん。

きっとうちがいなくて一致団結して脱出出来るはずだよね。

 

 

 

 

あ、そっか。スパイがまだ3人も潜んでいるのか。

結局、スパイは一体誰だったんだろう。

分倍河原君がスパイに見えなかったように、他の人も本性を隠しているわけだから、もはや誰がスパイでもおかしくない。

 

 

 

 

ああ、考えるほど答えが分からなくなる。

やめよう。

うちはどうせ退場する身なんだし。

 

 

 

 

すると、機械音がして、うちの方に剣を向けられるのが音で分かった。

うちは、覚悟を決めて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、いくら待っても痛みを感じない。

剣が飛んでくる気配もない。

それに、何か警告音みたいなのが聞こえる気がする。

 

 

 

もしかして、霜花さんを処刑する予定だったのにうちが急になり変わったからエラーを起こしてるのかな。

だったらもしかしてうち、助かっちゃったり………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう考えた矢先、一本の剣がうちの脇腹に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「り、凛さん!!!!!!!!!!!!!!!!」

私は、一瞬何が起きたか分かりませんでした。

私が黙って処刑を待っていた時、誰かに押されて………、

気がついたら、磔にされた相川さんの腹に剣が突き刺さっていました。

「相川殿が………」

「何で、凛が優月を庇ったんだよ………それに……」

「た、大変でござる!!相川殿の脇腹に剣が!?」

全員が今の状況を飲み込めずにいます。それはモノカバも同じのようで、

「ま、まさか相川サンが庇うとは………これはオイラも予想外……」

珍しくオロオロしています。

「おい!!!!早く凛さんの所に行かせろ!!!!!!」

そこに北条さんがやってきて胸倉を摑みます。

「カバ!?北条サン、学長のオイラへの暴力は………」

「お前も何の罪もない凛さんを傷つけただろ!!!!早くしないと八つ裂きにするぞ!!!!」

「わ、分かったカバ!!今開けるカバ……」

モノカバは相川さんがいる場所への道を開きました。

「凛さん!!!!!!」

そして北条さんは一目散に飛び出して行きました。

「ど、どうするのー?わたしたちも行くー?」

「けど、罠の可能性もあるでござるよ……」

「あっ、たけくん!?」

「…………………」

柴崎さんは無言で北条さんの後に続きます。

「急ぐゾ。リンはまだ助かるかもしれなイ」

「本当に!?分かった、ウチも行く!」

「私も行く」

「じゃあボクも!!」

そう言って私と分倍河原さん、そして黒瀬さん以外は全員相川さんの元へ向かいました。

 

 

 

 

 

「ホラ立て優月!テメーも行くんだよ!!」

「え…………」

座り込んだままの体制で動かずにいると、黒瀬さんが手を差し伸べてきました。

「ボーッとするのも分かるけどよ、今は凛を助けるのが先だ!!凛に聞きたいこと、たくさんあるんだろ!」

「………ですが、私のせいで相川さんが……」

「あー!!そういうのは全部後でゆっくり聞いてやるから!ひとまず凛のところへ急ぐぞ!」

「…………はい」

私は黒瀬さんの手をとって立ち上がりました。

………誰かの手を借りるのは、いつぶりでしょう。

「走れるか?」

「ええ。………それよりも、彼は?」

「あの野郎は後回しだ。聞きてー事は山ほどあるけどよ」

「………そうですか」

私達は、虚空を見つめたままの分倍河原さんを放置して相川さんの元へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

「どうなんですかジャックさん!!凛さんは助かるんですよね!?!?」

「今少し黙レ!!」

私達が到着した時には、既にジャックさんによる処置が行われていました。

相川さんの脇腹に鋭利な剣が貫通しています。致命傷には至ってないようですが、このままでは………。

「ジャック。相川の様子はどうだ?」

「………まだ辛うじて息はあル。だが、出血が多すぎル。このままだと絶対助からなイ」

「そ、そんな………!!」

「おいヤブ医者!!お前なら凛さんを助けられるだろ!何とかしろよ!!」

「俺だって出来るならとっくにそうしていル!!だが………治療器具も何もないこの場所でハ………」

「嘘……!りんりん、じゃあ助からないの………?」

「何とかしてくださいよ!!!!凛さんが死んだら、私は………」

「…………じゃあ、モノカバに頼めばいいんじゃないッスか?」

その時、柴崎さんがそう呟きました。

「モノカバに、ですか……」

「なんの罪もない相川サンが負傷したのはアイツの落ち度ッスからね。………おいモノカバ!」

「…呼んだカバ?」

「僕が言いたい事分かるッスよね。これはアンタの責任だ。これで相川サンが死んだらアンタが相川サンを殺した事になる。黒幕が直接生徒に、しかも無実の相川サンを殺めるなんて許されないッスよね?」

「………そ、それはそうカバ……。けど……」

「じゃあとっとと治療しろよ。アンタだったら出来るんだろ?」

「…………ああもう!!分かったカバ!!まったく、何で柴崎クンに命令されなくちゃいけないんだか!!」

モノカバはそう言って笛を鳴らしました。すると、聞き慣れたサイレンの音が聞こえ始めて………。

 

「ホラ、モノカバ救急車連れてきたカバ!!」

先頭にモノカバの顔が張り付いた、趣味の悪い救急車が到着しました。

そして中から白衣を着たモノカバが現れて相川サンを救急車の中へ運んでいきます。

「私も付き添いに行きます。モノカバの事なんか1ミリも信用出来ないので」

「それはダメカバ!!相川サンは極秘の場所で手術するカバ!オマエらの同伴は認められないカバ!」

「………じゃあ力ずくで行くまでだ」

「落ち着け北条!!とにかく今はコイツを信じるしかないだろう!」

「…………」

「じゃあ相川サンは責任を持ってお預かりしますカバー!」

そう言ってモノカバ救急車は何処かへと消えていった。

 

 

 

 

 

「行ってしまったでござる………」

「相川さんー、大丈夫かなー?」

「今はあのカバとリンの生命力を信じるしかないだろウ」

「りんりん………」

「はいはいみんな注目カバー!」

全員が相川さんを心配する中、モノカバが私達に声をかけます。

「なんだよ、まだ何かあんのかよ」

「裁判は終わったし、拙僧らがこれ以上拘束される理由はないと思いますが」

「オマエら揃いも揃ってせっかちカバ!今回も裁判を乗り越えたオマエらにご褒美をあげるカバ!」

「新エリアの開放か」

「そうカバ!!次のエリアはなんと、遊園地エリアカバ!!たまにはオマエらも息抜きしないといけないカバね〜」

「息抜きしなくちゃいけないのは誰のせいだよ」

「しかも、何で大学に遊園地があるのでござるか……」

「細かい事は気にしないカバ!後、前回と同じでまたモノマネーを20000円振り込んでおいたカバ」

「お金なんてどうでもいいよ………」

「そしてそして!!これが1番気になるご褒美だと思うけど………」

 

 

 

 

 

 

「転校生が1人来てるカバ!!!!」

 

 

 

 

 

「て、転校生だって!?」

転校生??新たに1人増えるという事ですか。

「そう!オマエらと同じコロシアイ参加者の女子が1人増えるカバ!!良かったカバね!」

「怪しいなぁー」

「別に何も企んでないカバー!というわけで転校生は食堂にある開かずの扉の中にいるカバ!鍵は開けておいたから早速会いに行ってみるといいカバ!!じゃあ、オイラはこれで〜」

そう言うと、モノカバはどこかへと消えていきました。

 

 

 

 

「………皆はこれからどうする?選択肢はいくつかあると思うが」

銀山さんが周りにそう呼びかけます。

「ボクはやっぱり転校生の件が気になるよ」

「てるるんさぁ……」

「ち、違うよ!!女の子って事だけじゃなくてさ!……やっぱりなんか怪しいっていうか、このタイミングで参加するって何か裏があるんじゃないかってね」

「確かに一理ありますな」

「待テ。まずこの場で色々説明しなければならない奴がいるだろウ」

転校生の件が早速話題に上がりますが、ジャックさんは違う事が気になるようです。

「幸村殿、でござるか………」

「俺はコイツをまだ信用しているわけじゃなイ。裏切り者についての詳しい話、それに黒幕側の情報。これらを全て吐いてもらウ。そうでない納得など出来ないシ、コイツが黒幕側を裏切ったなどという事など到底信じられなイ」

「………うん、その通りだよ、だから……」

「待ってくれ。確かに幸村には説明責任がある。だが、それは明日の朝にしないか?」

「何故ダ?」

「もう11時を過ぎている。そろそろ就寝の時間だ。それに裁判で疲れている者も多いだろう。だから1度休んで、明日の朝改めてゆっくり話を聞く方がいいのではないかと私は思う。

「…………」

「ジャックの焦る気持ちは分かるが、今聞いても疲れから頭が混乱する者も出てくるかもしれない。ただでさえ今回の裁判は情報が多かったからな。だから明日聞く方が賢明なのではないか?」

「………分かっタ。では明日の朝に洗いざらい喋ってもらうからナ」

「………うん」

 

 

 

「だったらコイツの事も話すべきじゃねぇか?オレはさっきの事、まだ納得いってねーんだよ」

すると、ずっと黙っていた黒瀬さんが私の方を指差しました。

「…!!」

「霜花殿、ですか……」

「さっき凛の事でうやむやになっちまったけどよ……オレはテメーに色々聞きたいことがあるんだよ。例えばさっき凛が言ってた、オレらにわざと嫌われようとしてた、とかな」

「ち、違います。あれは相川さんが勝手に」

「いや、オレも凛と同じ意見だぜ。なんか優月はわざと悪口言ってオレらと距離取ろうとしてる気がするんだよな。オレ馬鹿だから根拠とかなんもねぇけどよ」

違う………、私はそんなつもりじゃない。本当にこの集団が嫌いなだけだ。こんな………緊張感の欠片もないような集団が嫌いなだけ………。

 

 

 

「そんなわけないじゃないですか。目腐ってるんですか?」

そんな黒瀬さんの言葉に反論したのは北条さんさんでした。彼女は私の前まで来ると私の胸ぐらを掴みました。

「ぐっ………」

「いいか、お前のせいで凛さんはあんな目にあったんだ。お前が大人しく死んでいれば凛さんは怪我せずに済んだ。いや、そもそもお前が学則違反をしなければ良かったんだ。これがどういう事か分かるよな?」

「…………」

そうだ。本来私は死ぬはずだった。けど相川さんが私を庇った。

 

 

 

まただ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「おい業!!気持ちは分かるけどやりすぎだ!!」

黒瀬さんが北条さんを慌てて引き剥がします。

「………お前は私が絶対許さない。いつか殺してやる。どうやら死を望んでるみたいだし」

「おい、北条!どこへ行くんだ?」

「決まっているじゃないですか。凛さんを探しに新エリアに行くんですよ。転校生だかなんだかはあなた達でどうにかしてください。私は興味ないので」

そう言って北条さんは出ていきました。

 

 

「………行ってしまったか」

「放っておけばいいじゃないッスか。それよりも転校生のとこ行くんじゃないんスか?だったら早く行きましょうよ」

「貴様は俺達と行動するのが嫌なんじゃないのカ?」

「嫌ッスよ。けどしょうがないじゃないッスか。こればっかりは自分の目で確かめないと。面白い人物だといいんスけどねー」

柴崎さんは楽しそうな表情でそう言いました。

「では、とりあえず今日は転校生の所へ行こう。そうしたら後は解散だ」

「私は………」

「テメーも来いよ」

「………」

どうやら拒否権は無さそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1F 食堂

 

 

「開かずの扉ってどれ〜?」

「あ、これでござる!!前にあった棚がなくなってるでござる!!」

「こんなの分かるわけないよ……」

「よし、では開けるぞ」

 

 

 

中に入ると、そこはまさに刑務所のような雰囲気でした。窓が存在しない、コンクリートの廊下。明かりがついていなければ真っ暗でしょう。

「空気がどんよりしてるでござるね……」

「チッ、なんだこの辛気臭い空間ハ」

「皆、静かに。牢屋みたいな空間があるぞ」

銀山さんが指差したその先には、確かに牢屋が見えました。

中を覗いてみると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程、これが前方の相手を追尾して転倒させる『赤コウラ』という物か。これの使いどころが勝負を分けるというわけだな。………ふむ、実に面白いじゃないか」

牢屋の中には、何かのテレビゲームに夢中になっている少女がいました。

画面に夢中になっているせいか、私達には気づいていないようです。

「コイツ……呑気にマリ○カートなんかやってやがる」

「ま○おかーと……?何ですか、それは」

「知らねぇのか?………これはなんつーか、その……」

「任天堂が誇る国民的レースゲームだよー」

「うわっ!?灯里!?」

黒瀬さんが説明しようとすると、独島さんが突然会話に入ってきました。

「レースゲーム、ですか……」

「そうそうー、マ○オのキャラクター達がそれぞれのカートに乗り込んで、マリ○シリーズの世界で速さを競うレースゲームなんだー。アクション性とランダム性が強くて、ドキドキハラハラするちょー楽しいゲームだよ〜」

「………そうですか」

つまりは非常に人気のレースゲームですか。

「それはそうと、この方さっきから拙僧らの方を見向きもしませんな」

「そのくらい集中してるんじゃないかい?」

「だとしても、ずっと閉じ込められていたのに私達が来ても反応しないのは少し変ではないか?」

確かに、久しぶりに人に再会する反応ではないですね。

「おーい!聞こえるかー!助けに来たぜ」

「…………」

黒瀬さんが呼びかけますが返事はありません。

「どうしよー。全然反応がないよー」

「だったら鍵を開けて中に入ればいいだろウ。このまま呼びかけても時間の無駄ダ」

「………そうだな。無粋だが仕方あるまい」

そして全員で中に入ろうとすると………

 

 

 

 

 

「おっと、そこは土足厳禁だ。少し待ちたまえ。この対戦が終わったらそちらへ行こう」

「「「聞こえてるんかい!!!!」」」

何人かのツッコミが入りました。

少女は持っていたコントローラーを置くと立ち上がり、入口へと歩いてきました。

私は自然と彼女を観察します。

まず目についたのは身長です。

恐らく、140センチあるかといったところでしょうか。かなり小柄な体型をしています。

そして格好は、探偵帽子を被り、全身をコートで包んだまさしく『探偵』のような服装をしていました。もし彼女が私達と同じ超高級の高校生ならば、彼女の才能は………。

 

「…………ふむ、このゲームは非常に面白い。単純な速さだけでなく、アイテムなどの不確定要素に対処し、いかにして高順位を維持するかというテクニックや戦略も要求される、とてもやりがいのあるゲームと言えるだろう。実際ワタシもキミ達に返答するのを忘れてしまう程夢中になってしまった」

「いや知らねーよ!?つーかこんな場所でなんでそこまでくつろげるんだよ!!テメー監禁されていたんじゃねぇのか⁈」

「確かにワタシは監禁されていた。しかし、閉じ込められている以上ワタシに出来る事は『大人しく助けを待つ』ことしかないとは思わんかね?だからワタシは備え付けられていたゲームをしながらのんびりと助けを待っていたのだよ。あぁ、勿論初めに脱出できないかは色々と試したさ。例えば壁のどこかにヒビが入っていないか、とかね。もし入っていたら部屋にある打ちつけても壊れない頑丈な物で壁を地道に叩き、穴を開けて脱出出来ただろうが。それが出来なかったから………」

「あーもう分かった分かった!!話が長ぇ!」

「ふむ、そうかね」

どうやらかなり相手にするのが面倒な人種のようですね。

 

 

「しかしキミは相変わらずせっかちだな。『我慢』というのを知ったほうがいいとワタシは思うがね、黒瀬敦郎クン」

「うるせぇ!………え??なんでオレの名前知ってるんだ?」

「………可哀想に。ついにバスケットボールに興じすぎて脳の縮小が発生、記憶障害を起こしているというわけか。だからキミは影で『脳筋』と揶揄されるのだよ。たまにはバスケットボールばかりではなく、脳を使う勉学に取り組んだ方がいいとワタシは思うがね」

「テメーどう考えても喧嘩売ってるよな!!こっちはテメーの事なんかこれっぽっちも覚えてねーんだよ!」

「だが、黒瀬の言う通りだ。私も君のような人間に出会った記憶がない」

「ボクも!こんな小さくて愛くるしいレディに会ったことはないさ!」

「拙者もでござる!!」

「…………記憶能力が著しく低い黒瀬敦郎クンだけならともかく、全員がワタシの事を覚えていない………。ふむ、成る程。そういう事か。ではワタシは自己紹介から始めた方が良さそうだな」

そうブツブツと呟くと、改めてこちらに向き直りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワタシの名前は明智 麻音(あけち まおん)、超高校級の探偵だ。この天才探偵の名前と顔、改めてキミたちの脳にちゃんと刻みこんでおきたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[超高校級の探偵] 明智 麻音

 

 

 

 

 

 

 

「超高校級の探偵………」

2度目の学級裁判後に起こった新たな展開。それは新たな嵐を呼び寄せる。そんな予感が私にはしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11:59 ???

 

 

「あの女………、本当に余計な事してくれやがったな。おかげで計画が台無しじゃないか」

 

「でも、まだ修正は可能か。次どんな罠を仕掛けてくるか分からないけど………、私と彼女の害になる奴は必ず潰す」

 

「次のターゲットは………アイツとアイツだ。アイツも目障りだけど………アレは後回しでいい。今は人数が多すぎる。邪魔な人間を間引いた後でゆっくり地獄を見せてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってて下さいね、凛さん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存者

 

 

 

⁇002 霞ヶ峰 麻衣子 《動画投稿者》

 

SA004 銀山 香織《棋士》

⁇005 黒瀬 敦郎《バスケ部》

⁇006 柴崎 武史《歴史学者》

⁇007 霜花 優月《狙撃手》

⁇008 ジャック ドクトリーヌ 《医者》

⁇009 千野 李玖《茶人》

MC010 独島 灯里《サブカルマニア》

 

 

 

⁇014 分倍河原 剛 《空手家》

⁇015 北条 業 《???》

⁇016 万斗 輝晃 《情報屋》

⁇017 幸村 雪 《激運》

??018 明智 麻音《探偵》

 

 

 

 

 

死亡者

 

??002 喜屋武 流理恵《調理部》

→ガスによる一酸化炭素中毒死

⁇011 飛田 脚男《バイク便ライダー》

→中澤 翼による溺殺

⁇012 中澤 翼 《フットサル選手》

→オシオキによって死亡

⁇013 錦織 清子《テニスプレーヤー》

→学則違反によって死亡

 

 

 

 

 

生死不明

 

LA001 相川 凛《外国語研究家》

 

 

 

 

 

 

 

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