ダンガンロンパ キャンパス   作:さわらの西京焼き

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捜査編その2です。




捜査編②

 

死体発見アナウンスを聞いて園内に散らばっていたみんなが集まってきた。

「………じょ、冗談だよな……」

「三人目、ですか………」

「嘘だよねー………。だってさっきまで分倍河原くん、普通に生きてたじゃんー……」

「これは幻でござる!!幻だと誰か言って欲しいでござる………」

全員信じられないといった表情で彼の死体を凝視している。

………何が起こったの?だってつい数分前まで分倍河原君は普通に生きてたのに。

「カバカバカバーーー!!やっと見つけたカバね!このまま誰も見つけなかったらどうしようかと思ってたカバー!」

するとモノカバが脱衣所のロッカーから出てきた。

「お!その顔は既にやる事は分かってるって顔カバね。じゃあ早速ファイルを配っちゃうカバ!」

全員のカバフォンが一斉に鳴る。

「オイラ早く裁判始めたいから捜査時間は短めにするカバ!だからさっさと捜査した方がオマエらの為カバ〜」

それだけ言い残すとモノカバはスッと姿を消した。

 

 

 

 

 

 

「……何勝手に死んだんだよ………。テメーに言いたい事山ほどあったのによぉ………」

黒瀬君は悔しそうに分倍河原君を見つめる。

彼は人一倍分倍河原君を憎んでいた筈だ。けど、死んで欲しいとまでは思っていなかったのではないだろうか。

正直、幸村さんと香織ちゃんの死に比べれば分倍河原君が死んだ事への悲しみは殆ど無い。それでも、彼は立派な人間だ。彼の命は………誰かに奪われた。その事実に悲しみを覚えずにはいられない。

「………ひとまず捜査を始めよう」

明智さんはみんなに呼びかける。

「そう、だね。うちらの命がかかってるんだし」

うちも動き出す。

みんなも複雑そうな顔ををしながら動き始めた。

 

 

 

 

 

「検死は俺がやル。誰か俺の見張りをしロ」

「じゃあ今回はわたしがやるよー。さっきの捜査で疲れちゃったしー動きたくないんだよねー」

検死はいつも通りジャック君、見張りは独島さんに決まった。

「助手よ、早速モノカバファイルの確認だ」

明智さんがうちの隣に来てモノカバファイルを開くように促す。

「うん」

うちは頷いてファイルを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

[モノカバファイル⑤]

被害者は《超高校級の空手家》分倍河原剛。

死体発見場所は温泉施設の男子脱衣所。

死亡推定時刻はついさっき。

死因は全身を剣で貫かれたことによる出血性ショック死。

一部の剣は肺にまで達しており、即死だった模様。

 

 

 

 

 

 

「ふむ、即死か。流石の彼もこの本数の剣では抗えなかったようだな」

モノカバファイルによると、どうやら分倍河原君は即死だったらしい。痛みを感じる暇もなかったって事かな。

「ねえ明智さん。分倍河原君を殺した犯人なんだけど………」

「助手が何を言いたいかは分かるぞ。この死体発見場所の事だろう?」

そう。うちが真っ先に注目したのは死体発見場所だ。

「うん。男子更衣室って事はさ、女子は入れないわけじゃん。だから犯人は必然的に男子にならない?」

「その通りだ。………と言いたいところなんだが、決めつけるのはまだ早い」

明智さんはチッチッチッとわざとらしく指を振り否定する。この仕草、業ちゃんが見たらムカつくとか言ってキレそうだなぁ………。

「もしかしたら女子でも男子更衣室に入れる方法があるかもしれない。決めつけるのは視野を狭める愚かな行為だとは思わないかね?」

「じゃあ明智さんは方法分かるの?」

「それは…………これから考える」

明智さんはスッと目を逸らした。あ、まだ分かってないのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

 

[モノカバファイル⑤]

被害者は《超高校級の空手家》分倍河原剛。

死体発見場所は温泉施設の男子脱衣所。

死亡推定時刻はついさっき。

死因は全身を剣で貫かれたことによる出血性ショック死。

一部の剣は肺にまで達しており、即死だった模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャック・ドクトリーヌクン。検死の首尾はどうだね?」

明智さんは検死中のジャック君に声をかける。

「ファイルの記述通りダ。特に相違点も見つからなイ」

「そうか」

どうやらファイルの情報が全てみたいだ。

「だガ、少し気になる物を見つけタ」

ジャック君は分倍河原君の右手を指差す。

掌にまで剣が貫通して地面に突き刺さっている。まるで動かないように剣で地面に固定されてるみたいだ。

「………あれ?分倍河原君の掌にあるのって………」

「分倍河原剛クンの携帯かね?」

「あア。携帯ごと貫通しているから壊れているがナ」

ジャック君が剣を抜いて分倍河原君が手に持っていたカバフォンを持ち上げる。

当然だが、カバフォンはうんともすんとも言わない。

「何か手がかりを拾えればと思ったのだがな。これでは無理か」

明智さんが残念そうにため息をつく。

うちも画面から目を逸らそうかなと思ったら………

「………あ!?」

「ん?」

「これハ………」

真っ暗だったカバフォンの画面に一瞬、ノイズみたいなのが走って画面が表示された。そしてすぐ真っ暗になった。

「なんだったんだろう、今の」

「分からン。だが、今画面に映ったのは……」

「『自分のモノマネーの確認画面』だったな」

今自分がどれくらいのモノマネーを持っているか確認する画面が表示された。

分倍河原君は死ぬ直前まであの画面を見て自分の所持モノマネーを確認してたってことだよね。

「でも事件には関係なさそう」

「そうとは限らない」

「え?」

うちが独り言を呟くと、明智さんはそれを否定した。

「もしかしたら………これが犯人に近づく重要な証拠になるかもしれないぞ」

明智さんは何故かニヤニヤしている。

「そうなの?うちには何がなんだかさっぱり………」

「何を考えていル。勿体ぶらずに今話セ」

「後でゆっくり聞かせてあげよう。それよりも今は捜査が先だ」

明智さんはフフと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

 

[握られていた携帯]

分倍河原の手に握られていた彼の携帯。

壊れて使い物にならない状態。

が、一瞬だけ映った画面には「モノマネー確認」の画面が出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば分倍河原剛クンに刺さってるこの剣は………」

「武器庫にあるやつ、でしょー?」

明智さんが分倍河原君を殺めた剣について言及すると、見張りをしていた独島さんがそう言った。

「ああ。武器庫にあった剣の数は5本で、分倍河原剛クンに刺さってる剣の数も5本だ。間違いないだろう」

確かにこの剣は武器庫にあったのと同じ物だ。けど武器庫の剣は…………。

「でもさー、こんな重そうな剣よく持てるよねー。わたしだったら人に刺すどころか持ち上げるのだって怪しいよー」

「実際俺でも持ち上げるのには苦労しタ。かなりの力を持つ人間でないと凶器として使うのは難しいだろウ」

ジャック君はさっき抜いた剣を見る。

うちも気になったので手に取ってみる。

「重っ!?」

その重さはうちが想像していた以上だった。

こんなのを持ち上げて凶器に使うなんて………よっぽど腕力に自信がないと無理だよ。

「てゆーか錦織さんを殺したのも相川さんを刺したのもこの剣なんだよねー………」

「うん………。実際に刺されたうちが証明するよ。これめちゃくちゃ痛いから」

「当たり前の事を言うナ。剣が刺さって痛くない人間がいると思うのカ?」

「ん?一体なんの話だね?」

うちら三人が剣について話していると明智さんがそう聞いてきた。

「そっか、明智さんは知らないんだよね。この剣ってさ、モノカバがうちらを学則違反で処罰する時に使う剣と同じ物なんだよ」

「ふむ、そうなのか。…………………」

明智さんは納得した表情で頷いた。そして何か考え込む。

「………明智さん?」

「何でもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

[刺さっていた剣]

かなりの重量があり、相当な腕力を持つ者でないと持ち上げるのは不可能。そしてモノカバが処刑や処罰の際に用いるのと同じ物である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、分倍河原剛クンの死体の調査は十分だろう」

すると明智さんは分倍河原君の元を離れ、脱衣所内を調べ始めた。

「もういいの?」

「これ以上得られる情報はないだろう。そして今回の事件、ワタシは死体より周りの状況がキーになると考えているんだ。……ほら、早速おかしな点が見つかったぞ。これを見たまえ」

「え?………あ!?」

明智さんが指を差した先には、派手に割れた鏡があった。

一般の温泉の脱衣所でもよく見る、壁に付けられた大きな鏡だ。

それが真ん中からひび割れてしまっている。

「なんで鏡が………?」

「自然に鏡が割れる事はまず無い。となると人為的に割られたという事になるが………事故か、それとも意図的になのか………」

何故か割られていた脱衣所の鏡。もしかしたらこれも分倍河原君の死と関係しているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

[割られた鏡]

男子脱衣所にある鏡が割られていた。

 

 

 

 

 

 

「あ、万斗君!」

うちは近くを捜査していた万斗君に声をかけた。

「なんだい?凛さん」

「万斗君さっき今朝うちらと合流する前温泉に行ったって言ってたよね?その時この鏡って割れてた?」

「うーん………。ごめん、よく思い出せないなぁ………」

「え?」

万斗君は難しそうな顔をして考え込む仕草を見せる。

「普段鏡の存在なんか意識してないし、その時ボク自身の意識が空腹のせいで朦朧としてたからね。正直鏡があった事すら忘れていたよ」

「ふむ、万斗輝晃クンの言いたい事も分かるが………、このような派手に割れた鏡なぞ脱衣所に入ってすぐ気がつくと思うがね」

………言われてみればそうだ。こんな大きな鏡が割れていたらいくらなんでもすぐ気がつく筈だ。

「そうだ!千野君!!」

今度は同じく近くにいた千野君に声をかける。

「何でしょうか?」

「千野君今朝温泉に行ったって言ってたよね。この鏡ってさ、千野君が来た時割れてた?」

「………………」

千野君も万斗君と全く同じ反応だった。考え込み必死に思い出そうとしてる様子を見せている。

「………正直、記憶にないですな」

「千野君も!?」

「お恥ずかしながら、拙僧はあの時一刻も早く風呂に入りたいという気持ちでいっぱいでしてな。鏡は気にも留めませんでした」

「鏡が脱衣所にあった事自体は知っていたのかね?」

「当然です。拙僧はここに閉じ込められてたら毎朝利用していますから」

それにしても変だ。二人とも鏡が割れていたらことに気づかないなんて。

本来なら脱衣所に入ってすぐ気がつく筈なのに。やっぱり空腹による意識の混濁が原因なのかな?それとも彼らが利用する時にはまだ割られていなかった?

となると万斗君が温泉施設から出た後に割られたってことになるけど……。つまりは捜査時間中に割られた?

でも二人揃って「記憶にない」っていうのも引っかかるんだよね。

………ああだめだ。頭が混乱してきた。ひとまず捜査に集中しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

[温泉を利用した二人の証言]

今朝温泉を利用した万斗と千野は、脱衣所の鏡が割られていた事を認識していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?これ何だろう」

うちは割れた鏡の近くにある掛け軸を見つけた。

男子の脱衣所には掛け軸なんてあるんだ。

うわっ。書いてあるのモノカバじゃん。きっしょ。

「助手よ、何だねそれは」

「ここに落ちてた掛け軸だよ」

「掛け軸か………」

明智さんはその掛け軸をめくって裏を見る。裏は………所々何かの傷が付いてるみたいだけど、至って普通の掛け軸みたいだった。

「見た目は普通の掛け軸だな」

「うん。特に仕掛けとかもないみたいだよ」

透けたら何か見えるとか、炙り出しで文字が出てくるとかはなさそうだ。

「………ふむ、なるほどな」

明智さんはうんうんと頷いている。………あ、また勝手に納得してる。うちにも説明してよ。

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

[掛け軸]

鏡の近くに落ちていたモノカバの掛け軸。裏に傷が付いている以外は特に特徴は無い。

 

 

 

 

 

 

その後、うちらは色々な場所を捜査したけどめぼしい成果は得られなかった。

そして明智さんは外に出たいと言ったので、一度脱衣所から出ることにした。

「そういえば一つ気になった事がある」

明智さんが入り口のガトリングガンを見上げながら言った。

「ん?」

「男子は男子の脱衣所、女子は女子の脱衣所しか入れないと言っているが、異性の携帯を借りて入った場合はどうなるのかね?」

その言葉を聞いてうちは胸が苦しくなる。………飛田君が女子トイレで殺された1回目の事件を思い出してしまったからだ。あの時も男子の中澤君が女子の独島さんのカバフォンを盗んで犯行に及んだんだよね。

「うん、それは一応可能だよ。だって………」

うちは1回目の事件について軽く説明した。

「ふむ、そんな事があったのか」

「うん。だからこの温泉施設も同じやり方で入れるとは思う」

「そうか………。なら新たに一つ疑問が出来たな。………おいカバ人形。出てきたまえ」

「誰がカバ人形カバ!!」

明智さんが監視カメラに向かって呼びかけると、モノカバが顔を真っ赤にしながら出てきた。

「質問がある。()()()()()()()()()()をかざしてもこの施設には入れるのかね?」

「……明智さん?」

予想だにしない質問にうちは思わず聞き返す。

「いいとこ突いてくるカバね。まあそれはルール上一応可能っちゃ可能だけど………今回に関しては不可能カバ!!」

「ほう、それは何故だね?」

「だって死んだ皆のカバフォンは全部オイラが回収しちゃったカバー!」

「え?じゃあ四人のカバフォンはモノカバが今も持ってるの?」

「そうカバ!だからそれは使えないカバ!」

「そうか。よく理解した。もう目障りだし消えてくれて構わないぞ」

「………」

モノカバは邪険にされて落ち込んだのか、何も言わずに消えていった」

「明智さん。今の質問って………」

「異性の携帯をかざすのもありと聞いた時思いついた。死んだ四人のうち男子は二人いたのだろう?ならその二人の携帯を利用して男子脱衣所に入る事も可能だ。もしそうなら女子も男子脱衣所に入れるし犯人候補になると思ったのだが………どうやら当てが外れたようだ」

「そっか。でもそうしたら今生きてる男子のカバフォンを借りて入る事も可能だし、女子が犯人から完全に外れた訳じゃないよね?」

「その通りだが………もしそうなら少し厄介だな。見つけるのに骨が折れるぞ」

飛田君の事件と同じでまたこの問題が立ち塞がる。男子脱衣所で事件が起きたから男子が犯人………とはもはや言い切れない。

犯人は男子か、それとも女子か………。一体どっちなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

[犠牲者の携帯の行方]

今までで死んだ四人の携帯はモノカバが回収しており、利用することは不可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うち、みんなにアリバイとか聞いてくるね」

「分かった。今からは別行動だ」

一通り現場は調べ終わったので、うちは明智さんと別れてみんなのアリバイを聞くことにした。

分倍河原君が殺されたのは捜査時間中。つまりその時間にアリバイがない人が怪しいことになる。

そしてなんとか全員の行動を聞き出すことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

 

 

[捜査時間中のアリバイ]

 

相川・明智………一緒に捜査(途中で五分程別行動)

ジャック・千野………幸村の検死+見張り

霜花・黒瀬………銀山の検死+見張り

霞ヶ峰・独島………一緒に捜査

北条………アリバイなし

柴崎………アリバイなし

万斗………アリバイなし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポンパンポーン………

 

 

 

 

 

「オマエラら、ドキドキワクワクの学級裁判、今度こそ始まるカバー!さぁ、1階の101教室に集合するカバー!」

 

 

 

 

 

2回目の捜査時間終了のアナウンス。

「………………」

うちは無言でA棟へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A棟 101教室

 

 

中に入ると、既にうち以外の生き残り10人は揃っていた。

そう、うちを含めても11人。

最初は17人いたのに。

「オマエら今度こそ全員揃ったカバ?一応点呼しといた方がいいカバ?ほらだって、分倍河原クンみたいに忘れられた挙句殺されるみたいな悲惨な人生の終わり嫌カバ?」

「うるせー。全員ちゃんといるからいいだろ」

「御託はいいから早く裁判場に行かせて下さい」

モノカバの挑発に乗る者は誰もいない。

「カバ?思ったよりオマエら冷静カバね。つまんないカバー」

モノカバは白けた表情でボタンを押す。

そしていつも通り黒板がひっくり返りエレベーターへの道が開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰が………誰が犯人なのでござるか?」

周囲を見渡し怯えた表情を見せる霞ヶ峰さん。

 

 

 

「私と凛さんの邪魔をする奴は全員容赦しません」

物騒な事を言って威嚇する業ちゃん。

 

 

 

「今回の裁判は前より一層楽しめそうッスね。いやぁ、心躍るッス」

相変わらず常軌を逸している柴崎君。

 

 

 

「亡くなられた三人の為にも………やるしかありませんな」

決意に満ちた表情で前を見据える千野君。

 

 

 

「今回の事件……一つの見落としが致命的になります。慎重にいきましょう」

警戒した様子を見せる優月ちゃん。

 

 

 

「やっとワタシの本領を発揮する時が来たな。世界中の難解な事件を解決したパーフェクト探偵、明智麻音がキミ達を勝利へと導いてみせよう!!」

自信満々にそう宣言する明智さん。

 

 

 

「ユキ…………仇は俺が取ル。見ていてくレ」

悲しみと決意の感情を目に宿すジャック君。

 

 

 

「今回も頑張ろうね〜。あ、でもあんまり気張りすぎるのは良くないから程々でねー」

自分のペースを崩さずいつも通りの独島さん。

 

 

 

「剛のバカはともかく、雪と香織を殺したクソ野郎は絶対許さねえ。ぶっ飛ばしてやる」

静かに怒りを露わにする黒瀬君。

 

 

 

「犯人は………ボクが絶対に明らかにする。女の子を二人も手にかけたクズを逃がすわけにはいかないよ」

絶対に犯人を逃がさないという強い意志を持つ万斗君。

 

 

 

 

 

「よし、行こう」

うちら全員はエレベーターに乗り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレベーターは不気味な音を響かせながら動き出した。

口を開く人はいない。

ほぼ全員が死刑を待つ囚人のように険しい表情をしていた。

エレベーターは深く深く、地の底まで落下していく。

そしてチンという音と共に扉が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエら待ち侘びたカバよー!ほら、さっさと席につくカバ!早く早く!!」

モノカバに急かされ苛立ちを覚えながら自分の席に移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超高校級の激運、幸村雪さん。

常に元気いっぱいで明るいその性格は、うちらにとって太陽だった。

裏切り者としてうちらを欺いてたことが判明したけど………それでもうちらの事を信じてこちら側へ戻ってきてくれた。

一度犯した過ちを清算する為に、そしてうちらと脱出する為に前を向いて歩き始めていた。ジャック君とも友情以上の感情がお互い芽生えていた。

それなのに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超高校級の棋士、銀山香織ちゃん。

常に冷静で頭の回転も早くてみんなをまとめるリーダーシップもあって………けど友達付き合いには初心だったり抹茶に目がなかったり……。

とにかくうちはそんな香織ちゃんが大好きだった。

もっと沢山話がしたかった。ここを出て友達として一緒に遊びに行きたかった。彼女の事を………もっと知りたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超高校級の空手家、分倍河原剛君。

寡黙ながらその体格を生かしてうちらの事をずっと守ってくれていた。そして優しい心で暖かく見守ってくれていた。

けど、その正体はうちらの敵である『絶望の庭』所属のスパイであった。

うちらの命を、そして自分の命すら何とも思っていない最低な性格だった。彼のせいで喜屋武さんが死んだ。彼の事を………許すことは出来ない。

それでも彼も黒幕によって人生をぐちゃぐちゃにされた被害者の一人の筈だ。だから彼を許すことは出来なくても………死んで欲しいとまでは最近は思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その三人の命は………この中にいる誰かによって奪われた。

三人の人生は………ここで終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の事件は今までとは訳が違う。

犯人が複数いる可能性がある。

正直、犯人を当てる難易度はかなり高い。

 

 

 

 

 

 

 

でも、弱音を吐いてなんかいられない。

ここで諦めれば………全員破滅だ。

 

 

 

 

 

 

 

必ず犯人を見つけ出す。

それがうちらの為でもあり、死んだ三人の為でもあるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生死をかけた3回目の学級裁判が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存者

 

 

LA001 相川 凛《外国語研究家》

MA002 霞ヶ峰 麻衣子 《動画投稿者》

⁇003 喜屋武 流理恵 《調理部》

SA004 銀山 香織《棋士》

MB005 黒瀬 敦郎《バスケ部》

⁇006 柴崎 武史《歴史学者》

MB007 霜花 優月《狙撃手》

MA008 ジャック ドクトリーヌ 《医者》

MC009 千野 李玖《茶人》

MC010 独島 灯里《サブカルマニア》

⁇011 飛田 脚男《バイク便ライダー》

⁇012 中澤 翼 《フットサル選手》

⁇013 錦織 清子《テニスプレーヤー》

⁇014 分倍河原 剛 《空手家》

015 北条 業 《???》

MA016 万斗 輝晃 《情報屋》

MB017 幸村 雪 《激運》

MA018 明智 麻音《探偵》

 

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