ダンガンロンパ キャンパス   作:さわらの西京焼き

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やっと更新出来ました…。
筆者の文章をまとめる能力がないせいで、今回も脅威の4万字越えです。本当に申し訳ない。
長ったらしい文章が延々と続きますので、結論だけ知りたい、という方は最後の『クライマックス推理』だけ見るといいかもしれません。





学級裁判(後編)

 

 

 

コトダマ一覧

 

 

 

 

[モノカバファイル③]

被害者は《超高校の激運》幸村 雪。

死体発見場所はモノカバ観覧車『大車輪』の真下。

死因は頭部内損傷による転落死で、即死だった模様。

死亡推定時刻は午前7時5分頃。

全身に熱傷が見られる。

 

 

 

 

[ジャックの検死結果]

モノカバファイルの情報に間違いはないとの事。

また、全身の熱傷は爆弾による爆発に巻き込まれた際に負ったものである可能性が高い。

熱傷の程度は軽く、殺傷能力の低い爆弾が使用された模様。

 

 

 

[後頭部に出来た傷]

幸村の後頭部に傷が出来ていた。何が原因で出来たのかは不明。

 

 

 

 

[手首の痕]

幸村の手首に何か擦れたような痕が残っていた。少量だが出血している。

 

 

 

 

[幸村に宛てられたメッセージ]

幸村のカバフォンに1通のメッセージが残されていた。

 

 

突然ごめん。

直接幸村さんとスパイの件について話したい事があるんだけど、

明日の朝6時に観覧車前に来てくれないかな?

幸村さんだったら来てくれるって信じてずっと待ってるから。

あと、この事は誰にも話さないでね。

よろしく。

 

独島 灯里

 

 

 

 

[千野の証言]

5時50分頃、カプセルホテルから出てきた幸村とすれ違ったとの事。

いつもより元気がなかったように見えたらしい。

 

 

 

 

[ジャックの証言]

6時40分頃から園内で幸村を捜索中に北条と遭遇。そこでミラーハウスの扉が開いている事に気がつき、2人で中に入ると銀山の死体を発見したらしい。

 

 

 

 

 

[観覧車の周回時間]

観覧車が一周するのに16分かかるらしい。

 

 

 

 

[爆発で破損したゴンドラ]

手前側は無傷なのに対して奥側は大きく破損して大きな穴が空いていた。

 

 

 

[持ち出された大量の武器]

武器庫から大量の武器が持ち出されていた。

武器庫には見張りがいる為、掻い潜り持ち出す事は不可能。

 

 

 

武器庫の在庫リスト

 

 

拳銃        3(5)

アサルトライフル  3(4)

マシンガン     3(3)

 

日本刀       2(3)

果物ナイフ     4(5)

剣         0(5)

 

手榴弾       4(5)

時限爆弾      1(1)

C4爆弾       1(3)

 

スタンガン     1(3)

 

メリケンサック   2(2)

木製バット     1(2)

金属バット     2(2)

トンカチ      2(2)

 

手錠        1(2)

ボイスレコーダー  1(2)

 

 

 

・()の中が元々あった数、左が今ある数

 

 

 

 

[武器庫の見張り]

昨日の見張りは霞ヶ峰と霜花。今日の見張りは黒瀬と銀山だった。

引き継ぎは日付が変わった午前0時に行われる。

 

 

 

[爆弾の金属片]

爆発した爆弾の破片と思われる物。色は黄色で観覧車の真下に落ちていた。

→使用されたのはC4爆弾で、落ちていたのはその破片であった。

 

 

 

[モノカバファイル④]

被害者は《超高校の棋士》銀山 香織。

死体発見場所はモノカバドッキリミラーハウス。

死因は首を切り裂かれた事による失血死。

右腕に軽い切り傷が複数存在する。

 

 

 

 

[霜花の検死結果]

モノカバファイルの情報に間違いはなし。

首元の傷は複数存在する為、犯人は銀山の首を数回にわたって切り裂いたと思われる。

また、傷の付き方が汚いことから、凶器はナイフのような武器庫にある鋭利な刃物ではないと推測される。

 

 

 

 

 

[左腕の痣]

銀山の左腕にある謎の痣。何故できたのかは不明。

 

 

 

 

[黒瀬の証言]

今日の担当は黒瀬と銀山だったが、集合時間に銀山は来なかったそうだ。そして夜中一人で武器庫の見張りをしていたらいつの間にか意識がなくなり、気がついたら朝になっていた。直前の記憶は無いとの事。

 

 

 

[血の跡]

ミラーハウスに残されていた。跡は銀山がいた場所からクイズ一問目を解答する場所まで続いていた。

 

 

 

 

[ダイイングメッセージ]

銀山の近くに残されていたメッセージ。「9四香L」と書かれていた。

 

 

 

[独島の証言]

霞ヶ峰のいびきで6時40分頃起床。同じく起きてきた霜花と霞ヶ峰に文句を言おうと起こしている最中、大きな爆発音を聞いたという。

 

 

 

 

[1回目の爆発音]

一回目の爆発音を聞いた人と聞いてない人が存在する。

相川と明智は聞いているのに対し、独島と霞ヶ峰は聞いていなかった。

 

 

 

[同時殺人が起きた場合のルール]

同時に殺人が起きた場合、卒業出来るのは先に殺人を犯した者のみ。

 

 

 

 

[茂みに隠された凶器]

本来武器庫にある筈のアサルトライフル、日本刀、木製バットが一つ、そして剣は全てが園内の茂みに隠されていた。

木製バットには血痕が付着している。

 

 

 

 

 

[モノカバファイル⑤]

被害者は《超高校級の空手家》分倍河原剛。

死体発見場所は温泉施設の男子脱衣所。

死亡推定時刻はついさっき。

死因は全身を剣で貫かれたことによる出血性ショック死。

一部の剣は肺にまで達しており、即死だった模様。

 

 

 

[握られていた携帯]

分倍河原の手に握られていた彼の携帯。

壊れて使い物にならない状態。

が、一瞬だけ映った画面には「モノマネー確認」の画面が出ていた。

 

 

[刺さっていた剣]

かなりの重量があり、相当な腕力を持つ者でないと持ち上げるのは不可能。そしてモノカバが処刑や処罰の際に用いるのと同じ物である。

 

 

[割られた鏡]

男子脱衣所にある鏡が割られていた。

 

 

 

 

[温泉を利用した二人の証言]

今朝温泉を利用した万斗と千野は、脱衣所の鏡が割られていた事を認識していなかった。

 

 

 

[掛け軸]

鏡の近くに落ちていたモノカバの掛け軸。裏に傷が付いている以外は特に特徴は無い。

 

 

 

[犠牲者の携帯の行方]

今までで死んだ四人の携帯はモノカバが回収しており、利用することは不可能。

 

 

 

 

 

[捜査時間中のアリバイ]

 

相川・明智………一緒に捜査(途中で五分程別行動)

ジャック・千野………幸村の検死+見張り

霜花・黒瀬………銀山の検死+見張り

霞ヶ峰・独島………一緒に捜査

北条………アリバイなし

柴崎………アリバイなし

万斗………アリバイなし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学級裁判 後編

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「さて、銀山香織クンの事件について大体明らかになったわけだが………」

明智さんが全員を順に見渡し、そして最後にジャック君を見た。

明智 麻音「ジャック・ドクトリーヌクン。少し冷静になりたまえ。客観的に見て、今のキミは明らかに我を失っている。幸村雪クンの事件に早く取り掛かりたい気持ちも分かるが、そんな人間が議論に参加しては進行に支障が出る」

ジャック「…………」

ジャック君は悔しそうに拳を握りながら体を震わせる。

そして、

ジャック「…………悪かっタ」

眼鏡を外し、自分の行いを悔いるかのように自分の頬を叩いた。

「…………!!」

普段の彼が絶対しないような動作をしたので、全員は驚く。

ジャック「…………俺は怪しいのがアツロウだと決めつけて周りが何も見えていなかっタ。別にあのスパイを庇っていた訳ではなイ。ただこの議論を終わらせて早くユキを殺した犯人を見つけたかっただけなんダ」

彼はそう吐露する。

北条 業「ふーん。やたら熱くなってたのはやっぱりそういう事ですか」

ジャック「あア。だが言い訳をしたところで議論の邪魔をした事実は変わらなイ。素直に謝罪すル」

相川 凛「うん。うち、ジャック君の気持ちも分かるよ。幸村さんとジャック君、仲良かったし犯人を早く見つけたいのは当然だよね。けど、これはジャック君の個人戦じゃなくてうちらの団体戦なんだよ。だから一人じゃなくてみんなでじっくり議論していこう。真実を見つけて全員で生き残る為にさ」

柴崎 武史「まあこの中の一人は犯人で処刑されるんスけどね」

北条 業「凛さんが喋ってんだろ黙れカス殺すぞ」

ジャック「…………あア」

外してた眼鏡をかけてこっちを見る。

………良かった。いつものジャック君に戻ったみたいだ。

万斗 輝晃「ケッ!ずっと足引っ張りやがって。このまま黙ってろっての」

独島 灯里「万斗くんより頼りになるからわたしはいつものジャックくんに戻ってくれて嬉しいよー」

万斗 輝晃「そ、そんなぁ!?」

万斗君。これが日頃の行いの結果だよ。改めなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「では次はお待ちかね、幸村雪クンの話について触れていこうか」

ジャック君も冷静になり、次は幸村サンの事件についての議論が始まる。

霜花 優月「そうですね。まずはモノカバファイルの確認から始めましょう」

千野 李玖「折角ですからまた拙僧が読み上げましょう。被害者は《超高校級の激運》である幸村雪殿。死体発見場所は観覧車の真下ですな。死因は転落死で、死亡推定時刻は7時5分頃。全身に熱傷が見られる、と………」

霞ヶ峰 麻衣子「な、なんという惨い死に方でござるか………。一体何の恨みがあってここまでする必要あるのでござる………」

ジャック「…………」

柴崎 武史「ちなみに死体の第一発見者は誰なんスか?」

黒瀬 敦郎「ていうかテメー、普通に議論に参加するんだな」

柴崎 武史「いやー実は僕も幸村サン殺しの犯人がまだ分かってないんスよねー。だから僕も謎解きを楽しむ為に参加しようかなーって。あ、心配いらないッスよ。僕はアンタ達と違って有能なんで。言うこと全てが正しいと思ってもらって結構ッス」

北条 業「凛さん」

相川 凛「業ちゃん我慢。柴崎君の発言は流していいから。あれでも結構うちらに協力してくれてるんだよ」

こめかみにピキピキと青筋を浮かべる業ちゃん。

このままだと業ちゃんの血管が破裂しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「第一発見者はワタシと助手、そして万斗輝晃クンの三人だ」

明智さんが手を挙げる。

霜花 優月「どのような状況だったのか説明してもらってもいいですか?」

明智 麻音「勿論だ。ではついでにワタシの一連の行動もまとめて説明してしまおう」

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「ワタシは今朝6時頃に起床し、ラウンジの椅子に座りながらずっと考え事をしていた。

すると助手が起きてきた。時間は確か………6時35分頃だったな。なのでワタシは散歩も兼ねて助手を連れて園内を散策する事にしたのだ。

そしてしばらく園内を歩いていると、北の方から爆発音が聞こえた。二人で慌てて音の鳴った方向へと向かうと、爆発音を聞きつけた万斗輝晃クンと鉢合わせた。

その直後だった。二度目の大きな爆発が起き、ちょうど目の前にあった観覧車のゴンドラと一緒に幸村雪クンが落ちてきた。その後死体発見アナウンスとやらが流れたという訳だ。………ワタシからの説明は以上だな」

 

 

 

 

 

 

明智さんはすらすらと死体発見までの流れを説明してくれた。

柴崎 武史「ふーん………。ちなみになんスけど、死体を見たのは三人同時で間違いないんスか?」

明智 麻音「間違いない。完全に同じタイミングで幸村雪クンを目撃した」

柴崎 武史「そうッスか。なら今の三人はシロ確定でいいッスね」

相川 凛「うん。自分で言うのもなんだけど、うちと明智さん、それに万斗君は犯人じゃないよ」

独島 灯里「んー?なんでそうなるのー?」

うちと柴崎君が納得する一方、独島さんは頭にハテナマークを浮かべている。

柴崎 武史「………アンタの脳にはスポンジでも詰まってるんスか?死体発見アナウンスのシステムを理解してれば速攻気がつくッスよね?」

相変わらず毒舌の柴崎君。そんなに言わなくてもいいのに。

けど独島さんは、それを聞いても落ち込む様子は見られない。

もしかして独島さん、この中でメンタル最強なんじゃ………。

相川 凛「独島さん。死体発見アナウンスは『クロ以外の3人』が死体を発見した時に流れるアナウンスなのは覚えてる?」

独島 灯里「………忘れてたー。てへぺろー」

どうやら完全に頭から抜けてたみたいだ。てへぺろちゃうわ。

相川 凛「ええっと………。幸村さんの死因はモノカバファイルにも書いてあるけど『転落死』でしょ?幸村さんが落ちて死んだその瞬間をうちら三人は目撃してるんだ。死体発見アナウンスが鳴ったのもその時だから、うちらの潔白は証明されてるって事なんだ」

独島 灯里「なるほど〜」

黒瀬 敦郎「なるほどじゃねーよ!前回もその説明あっただろ!分かってないの多分テメーだけだぞ!?」

独島 灯里「嘘だ〜。黒瀬くんが分かってわたしが分からないはずないよー」

黒瀬 敦郎「おいコラ!!」

ニヤニヤと笑う独島さんに怒る黒瀬君。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千野 李玖「おふたりとも。無駄話はその辺にして今は議論に集中しましょう」

そこで千野君の一声がかかる。

脱線しがちな議論の方向を修正してくれる千野君には感謝してもしきれない。

黒瀬 敦郎「おう」

独島 灯里「はーい」

霜花 優月「ひとまず凛と麻音、それに輝晃の三人は犯人ではないという事ですよね。ではその三人のうちの誰かに裁判の進行をお願いするのはどうでしょうか?」

優月ちゃんがうちらにそう提案する。

そうなると………。

北条 業「それは勿論凛さん………」

明智 麻音「当然進行を務めるのはこのワタシだろう」

名乗り出ると思った。やっぱ明智さんだよね。

北条 業「………あ?」

相川 凛「業ちゃん。ここは明智さんに任せよう。うちよりよっぽど頭の回転早いし、彼女にぴったりだよ」

またもやキレかける業ちゃんを慌てて止める。

北条 業「…………凛さんがそう言うのであれば…………」

不満げに口を閉ざす業ちゃん。

明智 麻音「………流石は助手、ワタシの良き理解者だな。では改めて始めようか。…………第二ラウンドだ」

ニヤリと笑った明智さん。

幸村さんの事件…………。

話すべき事は多い。

ゆっくり時間をかけている暇は無さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

明智 麻音「では議論を始めようか。議題はまず幸村雪クンがいつ襲われいつあの状態になったかだ」

霞ヶ峰 麻衣子「幸村殿は上から落ちてきたのでござるよね?ならそれまでゴンドラに乗っていたという事でいいのでござるか?」

千野 李玖「そう考えていいでしょう。幸村殿は恐らく襲われて意識を失った状態でゴンドラに乗せられたのでしょうな」

独島 灯里「本当に襲われたって決めつけちゃっていいの〜?」

黒瀬 敦郎「そうだぜ!!もしかしたら[無傷の状態]で乗って偶然爆発に巻き込まれたのかもしれないだろ?」

霜花 優月「雪が殺された時間帯は夜〜朝にかけてです。そんな時間に健康な人間が一人で観覧車なんかに乗るのでしょうか……?」

 

 

 

 

 

 

[無傷の状態]←[後頭部の傷]

 

 

 

それは違うっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「幸村さんの後頭部に傷があったんだ。これがある以上、無傷で観覧車に乗ったって言うのは難しいんじゃないかな?」

黒瀬 敦郎「そんな傷あったのかよ!?」

大きな声を出して驚く黒瀬君。彼はずっと香織ちゃんの元を離れられなかったから知らないのも無理はない。

柴崎 武史「しかもどの凶器で殴ったかなんて一目瞭然ッスよね?」

ジャック「あア。俺も捜査の時点では分からなかったガ、さっきリストを見せられた時に分かっタ」

何人かは既に凶器の正体も目星がついているようだ。

うちは武器庫のリストに改めて目を通す。

 

 

 

 

 

 

・犯人が幸村を襲った際に使った凶器は?

 

①アサルトライフル

②日本刀

③スタンガン

④木製バット

 

 

 

 

 

④木製バット←

 

 

 

これだ!!

 

 

 

 

 

 

相川 凛「幸村さんは多分、武器庫の木製バットで後頭部を殴られたんだと思う」

霞ヶ峰 麻衣子「も、木製バットでござるか!?」

思わず自分の頭を押さえる霞ヶ峰さん。

ジャック「凶器はそれで確定だろうナ。今考えたら傷痕も一致していル」

万斗 輝晃「おいおいヤブ医者。もしかしたら雪さんが転んで後頭部を打っただけかもしれねーだろうが。決めつけるのは……」

ジャック「さっきも言っただろウ。捜査時は凶器の存在が不明確だっタ。だから凶器で襲われて出来た傷なのか、それ以外の要因で出来た傷なのかが判断出来なかっタ。だが武器庫のリストという情報によってあのような傷痕を残せるのは木製バットしかないという結論に至ったのダ」

明智 麻音「ふむ、医者のジャック・ドクトリーヌクンが言うのであれば信憑性は高いな。ここは彼の言葉を信じてもいいだろう」

万斗 輝晃「チッ!」

何故そこで舌打ち。

北条 業「ひとまず、幸村さんがバットで殴られた事は分かりました。問題はそれがいつだったかです」

業ちゃんが話を戻す。

明智 麻音「その通りだ。それに武器の調達の問題もある。見張りをどう掻い潜って武器庫の木製バットを入手したのか。そこが議論の焦点になりそうだな」

幸村さんが襲われた時間か………。一体いつ頃なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

霜花 優月「雪は何時頃襲われたのでしょうか?」

黒瀬 敦郎「[夜中]じゃねーか?誰かを襲うんだったらやっぱみんな寝てる時間だろ」

霞ヶ峰 麻衣子「確かに夜中なら誰にも見つからずに動けるでござるな」

万斗 輝晃「目立たないと言えば早朝も同じじゃないのかい?」

独島 灯里「ちなみにわたしは昨日幸村さんと夜ご飯一緒に食べたからー、その時までは確実に生きてる筈だよー」

北条 業「それは何時頃なんですか?」

独島 灯里「えっとー、確か[午後8時]くらいかなー?」

 

 

 

 

 

 

[夜中]←[千野の証言]

 

それは違うっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒瀬 敦郎「うおぉ!?またオレかよ!?」

連続で論破された黒瀬君は少し不満げな表情を見せながら驚いた。

相川 凛「ご、ごめんね黒瀬君。えっと、実は千野君が今朝幸村さんを目撃してるんだ。そうだよね?」

千野 李玖「相川殿の言う通りです。拙僧は今朝温泉を利用してカプセルホテルに帰る途中、幸村殿とすれ違いました。時間は5時50分頃でしたな。言うのが遅れて申し訳ありません」

軽く頭を下げながらそう発言する。

黒瀬 敦郎「なーんだそうだったのかよ」

独島 灯里「じゃあー、幸村さんが襲われたのはその時以降なんだねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「まだそうとは限らないッスけどね」

そこで口を挟んだのは柴崎君だ。

黒瀬 敦郎「何でだよ?まさかテメーまた嘘ついて裁判をぐちゃぐちゃにしようとなんて思ってねーだろーな?」

柴崎 武史「ちょっと反論したくらいでなんでそんな噛みつかれなくちゃいけないんスか?………僕が言ってるのは、千野サンが実は犯人で目撃者を装って証言してる可能性もあるよって事ッス」

ジャック「………自作自演という事カ?」

柴崎 武史「そうッス。だから安易に千野サンの証言を鵜呑みにするのは危険だって言いたいんスよ」

相川 凛「千野君は誰かと一緒に幸村さんを見たわけじゃないんだよね?」

うちは一応彼にそう確認してみる。

千野 李玖「……拙僧は一人でしたな」

しかし予想通り、千野君は一人でしか幸村さんを見ていないという。

明智 麻音「ふむ、そうか。ならその目撃証言を完全に信用は出来ないな。もう少し他の証言と照らし合わせるとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

万斗 輝晃「ちょっといいかい?確かに雪さんを目撃したっていう証言は本当かどうか分からないけど、少なくとも温泉に千野君が行ったっていうのは証明出来るよ」

すると万斗君から擁護ともとれる声が上がった。

明智 麻音「ふむ、その根拠は何かね?」

万斗 輝晃「ボクも千野君の後に温泉に行ったんだけど、その時脱衣所でこれを拾ったんだ。これ、千野君の物じゃないかい?」

そう言って万斗君はポケットから何かを取り出した。

千野 李玖「あ………!!」

霜花 優月「これは………ハンカチですか?」

万斗 輝晃「そうだよ。今朝ボクが拾ったんだ」

千野 李玖「それは間違いなく拙僧の物です。万斗殿、それを一体どこで………」

万斗 輝晃「脱衣所のカゴの中だよ。前も君がこれを使ってるのを見たことがあったからもしかしたらと思って拾っておいたんだ。事件が起きてドタバタしてたから返しそびれちゃったんだけど……。はい、返すよ」

千野 李玖「ありがとうございます。無くしてずっと困っていたんです」

千野君はありがたくそれを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

万斗 輝晃「だからボクが言いたいのは、この落ちてたハンカチが千野君が温泉を今朝利用したっていう証拠になるんじゃないかって事だよ」

万斗君は力強く発言した。

北条 業「それはどうですかね?千野さんが温泉を利用したのが夜中で、落としたのはその時である可能性もありますよ。もしそうなら証拠としては不十分です。寧ろ千野さんが犯人で、ハンカチを落としたのは今朝温泉を利用したと思わせる為のダミーだと言われた方が私はしっくり来ますけどね」

柴崎 武史「あーそれは無いッス」

当然の事を反論する業ちゃん。

しかしそれをすぐ柴崎君は否定する。

北条 業「は?ふざけんな潰すぞ」

柴崎 武史「僕、実は夜中の3時半に温泉行ってるんスよね」

業ちゃんを無視して発言した柴崎君に一瞬全員無言になる。

黒瀬 敦郎「はああああ!?何でテメーさっきそれ言わなかったんだよ!?」

柴崎 武史「いやー考え事してて言いそびれちゃったッス」

霞ヶ峰 麻衣子「まるで反省してるようには見えないでござる」

ジャック「それデ?貴様はその時ハンカチを脱衣所で見たのカ?」

柴崎 武史「これは間違いないッスけど、脱衣所に千野サンのハンカチは無かったッス」

どうやら柴崎君は知っている情報を小出しにしていくスタイルを取るみたいだ。

正直知ってる情報はまとめて話してくれって思うけど、言っても無駄だろう。

相川 凛「ここで柴崎君が嘘を付くメリットもないだろうし、信じてもいいんじゃないかな………?」

うちはやんわりと肯定しておく。

独島 灯里「そうだねー。てゆーか千野くんの話を信じる信じないは後回しでいいんじゃないのー?また話が止まっちゃてるよ〜」

霜花 優月「確かにこのまま李玖の目撃証言の真偽について討論を続けても真相には辿り着けないと思います。一旦彼の証言が正しいと仮定して話を進めるべきかと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「では千野李玖クンの目撃証言が真と仮定して話を進めてみようか。彼は幸村雪クンと5時50分頃にカプセルホテル前にてすれ違った。ここで疑問が一つ出てくる。千野李玖クンは温泉施設を利用した帰りであったが、幸村雪クンは果たしてどこへ向かって行ったのだろうな?」

明智さんが全員にそう問いかける。

霞ヶ峰 麻衣子「うーん………。千野殿と同じで温泉に向かう予定だったのではござらんか?」

明智 麻音「しかし、千野李玖クンによると、その時の幸村雪クンは元気が無かったそうだ。温泉に行くのに元気が無い、というのは少し引っかからないかね?」

万斗 輝晃「みんな極度の空腹状態だったし、元気が無くてもおかしくはないと思うけど………」

北条 業「ただ弱ってただけじゃないですか?流石の幸村さんも元気いっぱいとまではいかなかったんでしょう」

幸村さんが早朝からどこへ向かったのかについて議論するみんな。

けど………うちはもうその理由を知っている。

そして、()()()()へどうしても聞かなくてはいけない事がある。

その人の返答次第では、犯人の可能性を疑わなくてはならない。

その事を知っている明智さんとジャック君は同時にうちと目配せをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指定しろ!

 

 

相川 凛

 

飛田 脚男

 

霞ヶ峰 麻衣子

 

喜屋武 流理恵

 

分倍河原 剛

 

北条 業

 

柴崎 武史

 

錦織 清子

 

千野 李玖

 

霜花 優月

 

明智 麻音

 

ジャック ドクトリーヌ

 

独島 灯里

 

黒瀬 敦郎

 

中澤 翼

 

幸村 雪

 

万斗 輝晃

 

銀山 香織

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「………独島さん。あなたに少し聞きたいことがあるんだ」

独島 灯里「んー?どしたのー相川さん?」

名前を呼ばれた彼女はきょとんとした顔でこちらを見た。

うちはある証拠を彼女に、そしてみんなに提示した。

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[幸村に宛てられたメッセージ]←

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

相川 凛「これは幸村さんのカバフォンに残されてたメッセージ文なんだ。………独島さん。このメッセージに見覚えはある?」

うちは独島さんに見せながら言った。

独島 灯里「………な、なにこれ………!」

すると、画面を見た独島さんの顔がみるみる青ざめていく。

独島 灯里「わ、わたしこんなの知らない………!こんなの幸村さんに送ってないよー………!」

北条 業「けどここの送り主はあなたの名前になってますよ。これについてはどう説明するんですか?」

独島 灯里「し、知らないんだってー!」

彼女は慌てて首を振り否定する。

普段ののんびりした雰囲気は面影も無く、喋るスピードはいつもの2倍くらい早い。

この反応は………本当に身に覚えのない文章に自分の名前が出てきた事によるものなのか。

それとも、自分が犯人だとバレる決定的な証拠が見つかってしまったからなのか。

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「これは中々興味深い文章ッスね。えーっと、『スパイの件』について話したいから、『朝6時』に『観覧車前』に来てくれッスか。幸村さんが殺されたのも観覧車前だし、時間も千野サンが幸村サンとすれ違った10分後って事を考えると、幸村サンはこれに応じる為に朝早くから外に出たと考えて間違いなさそうッスね」

霜花 優月「つまり、雪はこのメッセージで観覧車前に呼び出されて、その後犯人から木製バットで後頭部を殴られ気絶。その後観覧車に乗せられ転落死させられた、という事でしょうか」

霞ヶ峰 麻衣子「それをやった犯人が独島殿、でござるか………?」

独島 灯里「違うんだって………!わたしは犯人じゃないんだよー!」

彼女は否定を続ける。

ジャック「貴様………。その反応はやはりユキを………!」

一度冷静になったジャック君も再び険しい表情を見せる。

独島 灯里「だってわたしその時間寝てたんだよー!だから幸村さんを観覧車に呼び出してなんかいないんだってー!」

北条 業「それを証明出来るものはありますか?もしくはあなたが寝ていたと証言出来る人はいるんですか?無理ですよね。誰かと添い寝でもしない限りそんな事証明出来る筈はありませんから。あ、凛さん!そういえば私今日も夢で凛さんと添い寝しましたよ!!これってつまり私達が夢でも結ばれてるって事ですよね!!!!」

霞ヶ峰 麻衣子「後半の情報狂気すぎないでござるか?」

独島 灯里「それは………ないけどー………」

確かに業ちゃんの言う通り、寝ていた場合は自身のアリバイを証明する事は出来ない。

その点で言えば、独島さんはクロに限りなく近い存在であると言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「一旦全員落ち着きたまえ」

すると、明智さんが大きめな声を出して議論を止めた。

明智 麻音「独島灯里クンが怪しいのは事実だが、このまま彼女を犯人だと決めつけて投票を行う流れはまさしく愚の骨頂だ。そこでまず犯行に使われたトリックを明らかにして、その後彼女に犯行が可能かどうかを熟考するというのはどうかね?」

柴崎 武史「それでいいんじゃないッスか?僕もそっちの方がよっぽど興味あるし」

そう彼女は提案する。

グッジョブだよ明智さん。

黒瀬 敦郎「ま、それもそうだな。慎重にいかねーとヤバいってのはもう学んだぜ」

独島 灯里「よ、良かったー………」

追求を免れた独島さんはホッとした表情だ。

うちの出した証拠の所為で彼女は怖い思いをしただろう。

心当たりがあるかどうか聞きたいだけだったとは言え、申し訳ない事をしてしまった。後でちゃんと謝ろう。

霞ヶ峰 麻衣子「そうなると次は………何について話すでござるか?」

明智 麻音「そうだな。では……幸村雪クンが死ぬまでに起こった事から紐解いていこうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

 

明智 麻音「幸村雪クンが木製バットで殴られ気絶させられた所までは分かった。ではその次には何があったと思う?」

黒瀬 敦郎「何って………犯人が雪を観覧車に乗せたんだろ?」

明智 麻音「その後だ。キミ達全員が認知出来る程の出来事が起こっただろう」

北条 業「ああ、あの爆発ですか」

千野 李玖「確かに大きな音の爆発がありましたな。ですが何が原因であのような規模のが起こったのでしょうか……」

霞ヶ峰 麻衣子「きっと[ダイナマイト]でござる!レバーを押してドカーンでござる!!」

柴崎 武史「あの規模なら[C4爆弾]」じゃないッスか?」

万斗 輝晃「[手榴弾]をうまく利用して爆発を起こした、とかはないかな?」

 

 

 

[C4爆弾]←[爆弾の金属編]

 

 

 

 

それに賛成だよ!

 

 

 

 

 

 

相川 凛「柴崎君に賛成するよ。あの爆発はC4爆弾によって引き起こされたもので間違いないよ」

明智 麻音「ワタシと助手が観覧車付近を調査したところ、このような金属片が見つかった。見覚えのある者も多いだろう」

明智さんはポケットから金属片を出しみんなに見せる。

独島 灯里「これってー………?」

万斗 輝晃「武器庫にあるC4の色と似ているけど……」

柴崎 武史「似ているというか、こんな色の物は園内でC4爆弾しかないでしょ。その破片が現場に落ちてたって事は使われたのは確定ッスよ」

相川 凛「武器庫のリストを見てもC4爆弾が減ってるのは明らかだしね」

手榴弾も一応減ってはいたけど、数は一個だけだし、あそこまで大規模な爆発を起こせるとは思えない。だから使われたのはC4爆弾という訳だ。

 

 

 

 

霜花 優月「という事は、犯人は雪を爆殺しようとしてたのでしょうか?」

考え込む様子を見せる優月ちゃん。

黒瀬 敦郎「そりゃそうだろ。爆弾なんて人を殺す為に持ってきたとしか考えられねーよ」

明智 麻音「いや、そうとは限らないだろう」

優月ちゃんの意見に賛成した黒瀬君を明智さんは否定する。

黒瀬 敦郎「あ?何でだよ?」

霞ヶ峰 麻衣子「明智殿はなにか知ってるのでござるか?」

明智 麻音「ワタシも勿論知っているが、ここはあえて助手に答えてもらおう」

相川 凛「いや何で!?自分で答えてよ!?」

明智 麻音「助手の成長を促すのも師匠であるワタシの役目だ。寧ろ成長の機会を与えた事に感謝して欲しいくらいだとワタシは思うがね」

相川 凛「はぁ………分かったよ………」

ここにはあえて他人に答えさせる人が多すぎる。

柴崎君しかり、業ちゃんしかり、そして今回の明智さんしかり。

本当に勘弁して欲しい。

えーっと、犯人が爆殺する為に爆弾を持ち出したとは限らない、か。

その根拠は………。

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[ジャックの検死結果]

 

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「ジャック君の検死によると、幸村さんの火傷って意外と軽症だったみたいなんだ」

ジャック「その通りダ。普通爆発を食らったらあの程度では済まなイ。下手したからまる焦げダ」

相川 凛「だよね。そこでうち疑問に思ったことがあるんだ。……爆殺しようとしたのに、結果が火傷で済むっておかしいと思わない?」

万斗 輝晃「犯人がC4爆弾の威力を予測出来なかっただけじゃないかい?」

相川 凛「だとしても爆弾二個だよ?普通の使い方をしたら人を死なせる事なんて容易な筈なのに………」

千野 李玖「では犯人は、幸村殿を転落死させる為に爆弾を使用したと?」

相川 凛「うん。うちはそう考えるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その情報、間違いなくガセネタだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「ま、万斗君!?」

万斗 輝晃「凛さん。いくらなんでもそんな曖昧な情報で決めつけるのは見過ごせない。ボクは犯人は爆殺しようとしてた可能性が高いと思うよ」

相川 凛「決めつけてるわけじゃないよ。ただ、いくつか証拠もあるし、そうなんじゃないかって………」

万斗 輝晃「そうかい。ならボクはそれを論破させてもらうよ。仮にも情報屋だからさ、間違った情報に踊らされるのだけはゴメンなんだ」

普段のエロキャラからは想像つかない程の気迫だ。

これは思ってたよりも手強いかもしれない。

こちらも気合を入れて臨む必要がありそうだ。

 

 

 

 

 

 

反論ショーダウン開始!

 

 

 

 

万斗 輝晃「犯人が爆弾を持ち出す理由は一つしかない。ターゲットを爆殺する為だよ」

 

 

 

万斗 輝晃「そうでないと、犯人が爆弾を持ち出した事の説明が付かない」

 

 

 

万斗 輝晃「それ以外の用途なんて考えられないよ」

 

 

 

 

 

 

発展!

 

 

相川 凛「確かに普通はそう考えるよね。でも、今回のケースは違う。犯人はあくまで幸村さんを観覧車から転落させる為に爆弾を利用したんだ。幸村さんの火傷の状態を見ても明らかだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

万斗 輝晃「それは犯人が爆弾の威力を見誤った結果だよ。転落死は犯人の思わぬ形で起きてしまったんだ」

 

 

 

万斗 輝晃「本当は雪さんを爆殺するつもりだったに決まってる!」

 

 

 

万斗 輝晃「[雪さんに爆弾を括り付けて]殺そうとしたんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

[雪さんに爆弾を括り付けて]←[爆発で破損したゴンドラ]

 

 

 

 

 

 

その言葉、斬らせてもらうよ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「万斗君。爆弾は幸村さんに付けられたわけじゃないよ」

万斗 輝晃「え?」

相川 凛「この写真を見て欲しいんだ。あ、みんなにも送るね」

うちは例の写真をみんなのカバフォンに送信した。

黒瀬 敦郎「なんだこりゃ。観覧車じゃねーか」

北条 業「観覧車じゃなくてゴンドラですよ。………流石は凛さん!現場の写真を撮っておくなんて!!用意周到すぎて私惚れ直しちゃいました!!」

明智 麻音「提案したのはワタシだが」

モノカバ「撮ったのはオイラカバ!!」

北条 業「…そうですか。なら心底どうでもいいです」

途端にテンションが下がる業ちゃん。

いやいや褒めてあげてよ。うち一人だったらこの証拠手に入らなかったんだから。

相川 凛「話を戻すよ。この写真は幸村さんが乗ってたゴンドラを撮ったものなんだけど、壊れ方をよく見て欲しいんだ」

霞ヶ峰 麻衣子「随分派手に破壊されてるでござるなぁ。流石爆弾といったところでござるか。………ん?」

ジャック「……何ダ、この妙な壊れ方ハ」

みんなもおかしな点に気がついたようだ。

霜花 優月「裏側だけ大破している………?」

相川 凛「そうなんだ。ゴンドラの正面は殆ど損傷は無いのに、奥側、つまりゴンドラの裏側は大きく穴が空いて大破してるんだ」

柴崎 武史「まるで裏側にだけ爆弾が付けられたみたいッスね?」

万斗 輝晃「!?」

万斗君はハッとした表情を見せる。

相川 凛「そう。もし幸村さん自身に爆弾を取り付けて爆破したらこんな変な壊れ方はしないと思うんだ」

北条 業「というか、幸村さんに爆弾を取り付けて爆破したらあの程度の火傷で済む筈がないですよね。普通に木っ端微塵とかになるでしょうし、それだけは絶対にあり得ませんよ」

 

 

 

 

 

 

万斗 輝晃「ごめん、凛さん。情報に踊らされてたのはボクの方だったみたいだ」

素直に頭を下げてくる万斗君。その真面目な姿勢にうちはとてもびっくりした。そして同時にとても好意的な印象を持った。

相川 凛「あ、頭なんか下げなくたっていいんだよ万斗君!?学級裁判っていうのはこうしてお互いに意見をぶつけ合う場所なんだから!」

万斗 輝晃「いや、この程度の謝罪じゃ君に許してもらえる筈が無い。そこでボクは…………これから一週間、『君を愉しませる義務』を自身に課す事にするよ!」

…………ん?

万斗 輝晃「凛さんの上も下も思わず大洪水になる程のテクニックで君を愉しませるんだ!そうすれば君も快楽を得られるし、ボクも性的欲求を満たせるしお互いメリットしかない………」

北条 業「次一言でも凛さんに喋ったら殺す」

万斗 輝晃「………すみません。調子に乗りすぎました」

業ちゃんの殺気に一瞬で口を閉じる万斗君。気を抜くとすぐこれだ。

一瞬でも認めたうちの時間を返して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒瀬 敦郎「んで?この壊れ方と爆弾に何の関係があるんだよ?」

じれったそうにそう聞く黒瀬君。

相川 凛「それなんだけど………」

うちは明智さんに視線を送ると、彼女はおまえが説明しろという風に顎でうちを指した。

もう、絶対明智さんが説明した方が早いと思うのに。

うちもまだ漠然としか分かってないんだよ、、、、

相川 凛「えっと、これはうちが手に入れた証拠から類推した事なんだけど、爆弾関係のトリックはこんな感じだと思う。

 

 

①武器庫から持ち出したC4爆弾を2箇所に付ける。

(1箇所はゴンドラの付け根部分、つまりゴンドラと観覧車の外枠を繋ぐ支柱みたいな場所。そしてもう1箇所はゴンドラの裏側)

②幸村さんをゴンドラの手前に座らせる。

(そうする事で、爆破した際に爆発のダメージを最小限に抑えて、かつ幸村さんを確実に転落死させる事が出来る)

 

 

犯人は、爆弾を幸村さんを殺す為間接的に利用したんだと思う」

一通り話し終えると、うちは明智さんにまた視線を送った。

彼女はうんうんと頷いている。

どうやらこれで合ってるみたいだ。

 

 

 

 

 

 

独島 灯里「ちょ、ちょっと待ってよー」

すると独島さんが手を挙げる。

柴崎 武史「おや、容疑者のアンタが議論に参加しちゃっていいんスか?もしアンタが犯人なら黙ってた方が逃げ切れる可能性高いッスよ」

独島 灯里「わ、わたし犯人じゃないもんー!それに、気になる事があるしー……」

相川 凛「柴崎君ちょっと黙ってて。独島さん、容疑者とか関係ないから気になった事教えてくれない?」

また余計な事を言いそうな柴崎君を黙らせると、優しく独島さんにそう問いかけた。

独島 灯里「う、うん。なんかさー、すごく綱渡りな犯行じゃないかなーって思ってー」

千野 李玖「綱渡り、ですか?」

独島 灯里「そうー。犯人は爆弾で幸村さんを殺さないように工夫したんだろうけどー、爆弾の威力なんて見ただけじゃ分かんないわけじゃんー。もし失敗したら大変じゃないかーと思ってー」

霞ヶ峰 麻衣子「本番一発勝負でござるな。まあ確実な犯行とは言えないでござる」

独島 灯里「それにー気絶した幸村さんをゴンドラの手前側に座らせるって言ったけどー、もし乗せてる途中で起きて奥側に移動しちゃったらどうするのー?」

黒瀬 敦郎「あーそういう意味で綱渡りかー。確かにそうかもな」

霜花 優月「不確定要素が二つですか………」

独島さんと言いたい事は分かる。要するに転落死に拘る割には、どうも不安定な計画ではないかということだ。

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「………一つなら、分かるかもしれない」

独島 灯里「ほんとー!?どっちー?」

相川 凛「幸村さんが移動しちゃうんじゃないかって話だよ。それはある道具を使えば防げるんだ」

黒瀬 敦郎「道具?なんだそりゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

Q幸村をゴンドラの手前側に留めておく為に使われた物は?

 

 

 

①鎖

②紐

③手錠

④ロープ

 

 

 

 

 

 

 

3手錠←

 

 

 

 

 

 

相川 凛「犯人は幸村さんの手首を手錠で拘束して、その手錠を手すりか何かに固定したんだ」

霜花 優月「成程………。確かに手錠でそのように固定してしまえば雪は目が覚めても抜け出す事は出来ませんね」

相川 凛「実際、幸村さんは途中で目を覚まして、手錠がかけられている事に気がついた。そしてそれを外してゴンドラから抜け出そうとしたけど出来なかったんだよ」

柴崎 武史「随分ハッキリと言い切ったッスけど、根拠はちゃんとあるんスか?」

相川 凛「勿論だよ」

幸村さんの体にはその証拠がしっかりと残っていた。

それは…………。

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[手首の痕]←

 

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「幸村さんの手首に傷があったんだ。多分、手錠を無理矢理外そうとした時に出来た傷なんだと思う」

ジャック「実際に傷を見た俺からしてモ、その可能性が限りなく高いと考えル」

手首の傷を見つけたジャック君もうちの意見に賛成してくれる。

千野 李玖「武器庫から一つ手錠が消えていたのはここで使用する為ですか」

これで幸村さんがゴンドラの手前側に留まり続けた理由が分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独島 灯里「ちょ、ちょっとタンマ〜!たくさん議論しすぎて頭がこんがらがっちゃったよ〜」

お手上げというジェスチャーをしながら目をぐるぐるさせる独島さん。

黒瀬 敦郎「オレも駄目だ。てゆーか裁判が長すぎて集中力切れちまった」

頭を使うのが苦手な黒瀬君もパンク寸前のようだ。

今回の裁判は被害者が三人だから議論の時間も自然と長くなる。

集中力が切れるのも当然だ。

実際うちもだいぶ脳が疲れてきている。

みんなも疲労の色が濃い。

明智 麻音「…………ふむ。確かに素人であるキミ達にこの情報量を捌けと言う方が無理な話か。では箸休めも兼ねて、これまでの議論の内容を整理する時間を設けようではないか」

そこで明智さんはある提案をした。

明智 麻音「今からワタシがキミ達にも理解出来るように簡単に内容の要約をする。その間キミ達は何も考えなくていい。ただワタシの話をなんとなく聞いているだけでいいんだ。ちょうどいい頭の休憩になるだろう?」

黒瀬 敦郎「それはありがてえ!!頼む麻音!」

明智 麻音「そうだろうそうだろう。ワタシは誰にも優しいプリティーウーマンだからな。もっと褒めてくれても構わないぞ」

北条 業「うわ………めっちゃムカつくんですけどあなたのその態度どうにかなりませんかね」

ドヤ顔で胸を張る明智さんに心底嫌そうな顔を向ける業ちゃん。

相変わらずだけど………。明智さんなりにみんなの事気遣ってくれてるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「昨日幸村雪クンは差出人が独島灯里クンのメッセージを受け取った。その内容は一言で言うと『明日の午前6時に観覧車前に来てください』だった。彼女は悩んだ末に約束の時刻に向かう事にした。それは千野李玖クンがカプセルホテル前でどこかへ向かう彼女を目撃してる事から間違いない。

 そこで独島灯里クンを待ってる時、背後から誰かに木製バットで殴られ気絶させられた。恐らく犯人の仕業だろう。その後犯人は幸村雪クンを観覧車のゴンドラの手前側に乗せる。そして手錠を使い幸村雪クンを万が一目を覚ましても動けないように固定する。その後先程助手が述べたように、何らかの方法で武器庫から持ち出したC4爆弾二つをゴンドラに設置する。そのうちの一つは、幸村雪クンが爆死しないように彼女がいるゴンドラの手前側ではなく、奥側の外扉に設置されていた。それはあのゴンドラの破壊具合を見ても明らかだろう。犯人がわざわざ転落死を選んだ理由は知らないがね。

 その後犯人は、ワタシと助手と万斗輝晃クンの三人が観覧車前に来た瞬間ゴンドラを爆発させ、その衝撃で外に投げ出された幸村雪クンはそのまま落下、死亡した。…………今までの議論で判明した事実はこれくらいだろう」

 

 

 

 

 

宣言通り、分かりやすくまとめてくれた明智さん。

黒瀬 敦郎「………おお!なんとなくだけど分かったぜ!」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者もでござる!!」

独島 灯里「わたしもー!頭すっきりしたよー」

明智 麻音「それは何よりだ。では議論を再開させようか。まだいくつかハッキリさせなければならない問題がある。それは、

①犯人はどのようにして武器庫にある武器を入手したのか?

②犯人が爆弾を設置し、観覧車を去った具体的な時間はいつか?

③もう一つの爆発の正体は?の三つだ」

そう。実はまだ大きな問題が三つ残っている。

この謎を解かない限り犯人には辿り着けないだろう。

霜花 優月「そうですね………。まずは武器庫への侵入方法について話し合った方がいいでしょうか」

ジャック「それがいいだろうナ」

一体いつ、犯人は武器庫に行ったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

ジャック「犯人が武器を取った時刻を特定する必要があル」

霜花 優月「当たり前の事を言うようで申し訳ないですが、私と麻衣子が見張りをしていた時ではありません」

霞ヶ峰 麻衣子「その通りでござる。武器を取るどころか、誰一人として武器庫に近づかなかったでござる」

独島 灯里「じゃあやっぱり黒瀬くんの時じゃない〜?」

黒瀬 敦郎「だよな………。やっぱオレがぶっ倒れてた時しかねーよな………。済まねぇ」

北条 業「さっきも言ってましたけど、なんなんですか?その『倒れてた』っていうのは」

黒瀬 敦郎「………分かんねー。気がついたら朝になってたんだ……」

千野 李玖「[睡眠薬を盛られた]という線はありませんかな?急に意識が無くなるというのはいささか奇妙に思えます」

明智 麻音「[誰かに襲われた]と考えるべきだろう」

柴崎 武史「もしかしてただの[寝落ち]とか?もしそうなら大戦犯スよ?責任とって処刑されてもいいくらいスよ」

黒瀬 敦郎「なんて事言うんだテメーは!?」

 

 

 

 

 

 

 

[誰かに襲われた]←[持ち出された大量の武器]

 

 

 

 

それに賛成だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「明智さんに賛成だよ。黒瀬君は、幸村さんと同じように犯人に襲われたんだと思う」

黒瀬 敦郎「そ、そうなのかよ!?でもオレ怪我とかしてねえぞ?頭に傷とかないし………ん?もしかしてコレか?」

黒瀬君はうちらに背を向け、首の下にある傷を見せた。

黒瀬 敦郎「目が覚めたらここにこんな傷が出来てたんだよ。ヒリヒリしてちょっと痛てーけど、特に動くのには問題ねーから放っておいたんだけどな」

黒瀬君のその発言に、全員が呆れ果てた表情を見せた。

柴崎 武史「アンタ………本当に僕達と同じ人間スか?知能の低いゴーレムか何かじゃないッスか?」

北条 業「あなたがどうしようもない程馬鹿なのは知っていましたが、ここまで重症だとは…………流石に同情します」

明智 麻音「キミは脳筋の鏡だ、黒瀬敦郎クン。誇ってもいいぞ」

ジャック「何故その傷が貴様が倒れた原因だと気が付かないんダ。………今後貴様とは話さない事にすル。貴様といると俺の知能指数まで低下しそうだからナ」

黒瀬 敦郎「テメーらいい加減にしろよ!?そこまで言われるとオレ泣くぞコラ!!」

頭脳派集団にディスられまくる黒瀬君。

流石に可哀想だったので止める事にした。それにちゃんと説明しないと。

相川 凛「ちょっとやめてあげて!?気がつかなかったんだからしょうがないでしょ!!えっと、黒瀬君。あなたは多分、『スタンガン』で気絶させられたんだと思う」

黒瀬 敦郎「すたんがん?」

相川 凛「さっきの武器庫のリストを見ると、スタンガンが無くなってるのが分かるでしょ?犯人はこれを使ったんだよ」

明智 麻音「犯人はキミの背後から忍び寄り、首元にスタンガンを突きつけたのだ。キミのその傷はスタンガンの痕で間違いない」

明智さんが呆れながら補足する。

黒瀬 敦郎「そういう事かよ………!どうりで目覚めた時ちょっと痺れてたわけか!」

霞ヶ峰 麻衣子「普通そこで気がつくでござるよ!?どれだけ鈍感なのでござるか!?」

霜花 優月「しかし敦郎を気絶させた武器の正体がスタンガンだと言う事は………犯人は女子でも十分あり得るということになりますね。これなら力の差は関係なく、誰でも気絶させられますから」

スタンガンを用いて後ろから奇襲すれば、確かに女子でも軽々黒瀬君を気絶させる事が出来る。

おまけに彼は武器庫の前で座ってたから、身長の差も関係ない。余裕で首元に手が届くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「話を戻すぞ。犯人が爆弾等を調達したのは間違いなくそのタイミングだろう。では黒瀬敦郎クン。キミは何時頃まで意識があったか覚えているかね?」

黒瀬 敦郎「ちょっと待ってくれ。今思い出すからよ…………そうだ!オレ携帯で一回時間を見た時、確か午前1時を回ってた!」

北条 業「あなたの記憶力を全く信用出来ないんですけど。本当にその時間ですか?」

疑いの視線で業ちゃんは黒瀬君を見る。

黒瀬 敦郎「間違いねー!!オレはハッキリと覚えてるんだよ!」

明智 麻音「細かい時間はそこまで重要ではないからいい。とにかく午前1時以降に彼は襲われたという事になる。一応聞くが、その時間にアリバイがある者はいるかね?」

北条 業「いる訳ないでしょう」

独島 灯里「わたしはお布団ですやすや寝てたよー」

万斗 輝晃「ボクもここにいる女の子のあんな姿やこんな姿を妄想しながら寝てたよ!!」

千野 李玖「拙僧も床に就いていましたな」

衝撃発言が混じってたような気もするけど、気のせいだろう。

明智 麻音「そうだろうな。そんな時間にアリバイがあると声高に主張する者の方がむしろ怪しい。ならこの話は終わりだ。次の議題に行くとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「さて。次は『犯行準備が具体的に何時頃に終了したのか』についてだ」

次の議題に移る。

黒瀬 敦郎「それって話す必要あんのか?」

明智 麻音「当然だ。これこそが犯人に繋がる手がかりとなるのだからな」

ジャック「それをどのようにして明らかにするつもりダ?」

明智 麻音「ここで重要になるのが『観覧車の周回時間』だ。助手よ、あの情報を使う時が来たぞ」

相川 凛「なるほど。あの情報だね?」

北条 業「な、なんですかこの会話………!まるで愛人同士の秘密の会話みたいじゃないですか!!くぅぅぅぅ……!本当なら私がそのポジションにいた筈なのにぃぃぃ!!」

訳の分からない事を言っている業ちゃんは放置して、例の情報を出す。

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[観覧車の周回時間]←

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「あの観覧車はね……1周するのに16分かかるらしいんだ」

霞ヶ峰 麻衣子「16分、でござるか。…………いまいちピンと来ないでござるね」

時間を言われただけじゃよく分からないのも当然だ。

なのでうちはあるメモを見せる。

相川 凛「ちょっとうちがまとめたものがあるから、それを見て欲しいんだ」

 

 

 

 

 

6時9分→一番下/6時17分→頂点

 

6時25分→一番下/6時33分→頂点

 

6時41分→一番下/6時49分→頂点

 

6時57分→一番下/7時5分→頂点

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「むむ………なんでござるかこれは?」

相川 凛「幸村さんが乗ったゴンドラが何時にどこに位置していたのかメモしたものだよ」

独島 灯里「そんなのよく分かったね〜」

ジャック「成程ナ。最後の位置から逆算したのカ」

相川 凛「そうだよ。モノカバから観覧車が一周するのにかかる時間は事前に聞いてたから出すのは難しくなかったよ」

万斗 輝晃「ごめん、ボクいまいちなに言ってるか分からないんだけど……」

黒瀬 敦郎「オレも全く分からん!!」

申し訳なさそうに言う万斗君と完全に開き直っている黒瀬君の対比がちょっと面白い。

相川 凛「うまく伝わるか分からないけど………説明するね」

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「まず幸村さんが乗っていたゴンドラAは観覧車の頂点に達した時点で爆発したのは、現場を見ても明らかだよね。モノカバファイルにも乗ってるけど、この時の時刻は7時5分頃。観覧車は一周するのに16分かかるって事は、半周するのは8分かかる。つまりAは8分前には一番下の乗り場にあり、16分前には同じ頂点に位置してたんだよ。そうやって7時5分から8分、16分、24分……と遡って、それをまとめたのがこのメモなんだ」

霜花 優月「ゴンドラAが頂点と一番下の乗り場を通過した時間が分かれば………犯人がどのタイミングで犯行準備を終えたのかが一目で分かりますね」

相川 凛「うん。じゃあここから犯人の行動について考えてみよう。幸村さんは6時に観覧車前に呼び出されたんだったよね。そして犯人は6時頃幸村さんを気絶させた。その後犯人は幸村さんをゴンドラに乗せたり、爆弾を取り付ける作業がある。でもその時、ゴンドラが一番下にある必要があるよね?」

千野 李玖「それは勿論、上にあると届きませんからな」

相川 凛「そうなんだよ。だから7時5分にゴンドラが頂点に達するには、6時9分に一番下に来たゴンドラに乗せるしかないんだよ。じゃないと説明が付かないんだ」

北条 業「では犯人が幸村さんをゴンドラに乗せた時刻は6時9分で確定ですね」

万斗 輝晃「そういう事なんだ………。ちなみに犯人は作業を終えた後、雪さんと一緒にゴンドラに乗って一周したんだよね?」

相川 凛「多分そうだと思う。幸村さんゴンドラに運び入れるのに加えて、手錠をかけて手すりに固定して、さらにC4を二箇所に付ける作業をゴンドラが下にある間にこなすのはちょっと厳しいんじゃないかな」

力のある男子なら可能かもしれないけど、女子がやるには時間が足りない気がする。

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「そういえばあのゴンドラの扉って、一番下にある時にしか開かないんスかね?もし少し上に上がっても開くなら、作業を終えてそこから飛び降りればいい話ッスから」

柴崎君が欠伸をしながらそう呟いた。

明智 麻音「………どうなのかね?モノカバ」

モノカバ「安全面を考慮して、扉は一番下の乗り場に着いた時だけ開く仕組みになってるカバ〜。時間的に約30秒ってとこカバー」

柴崎 武史「そッスか。りょーかいッス」

霜花 優月「30秒で今の作業を行うのは無理ですね」

相川 凛「だから犯人は作業を終えた後、一緒に観覧車に乗った筈なんだ」

いつ目覚めるか分からない幸村さんと、衝撃を与えたら爆発するC4と一緒に観覧車に乗る………。犯人は冷や汗が止まらなかっただろう。

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「拙者も段々分かってきたでござる!つまり相川殿のメモを見る限り………、犯人は6時9分に乗り、6時25分に降りたという事でござるな!」

明智 麻音「………いや、それは違うとワタシは思う」

霞ヶ峰 麻衣子「ええ!何故でござるか⁈」

否定された霞ヶ峰さんは驚きながら明智さんを見る。

明智 麻音「考えてみたまえ。一周で作業を終わらせる為には、30秒以内に幸村雪クンを中に運び入れて手錠をかけて繋ぐという作業を完了する必要がある。もしそれが間に合ったとしても、今度は外側の2箇所に爆弾を取り付ける作業が残っている。いくら手際が良かったとしてもこれらをゴンドラが下にある間に終わられたとは到底思えないのだ」

独島 灯里「つまり明智さんはー、犯人は6時25分には降りずに、()()()()()()6時41分に降りたって考えてるのー?」

明智 麻音「その通りだ」

自信に満ちた顔でそう答える明智さん。

霜花 優月「………私はそうは思えません」

しかしここで優月ちゃんからの反対意見が出た。

霜花 優月「30秒有れば作業を完了する事は難しくありません。力がある人であれば雪を運ぶのに時間はかかりませんし、手錠を付けるのも15秒あれば可能です。それにC4爆弾の設置も3分あれば出来ると思います。見たところ、設置に時間のかかるタイプの爆弾ではなさそうですから」

千野 李玖「拙僧も霜花殿に賛成ですな。手早く作業を終わらせて6時25分に降りたと考えるべきでしょう」

万斗 輝晃「うーん……ボクは麻音さんに賛成だな。だって爆弾を取り扱ってる訳だし、慎重に行動するべきと普通は考えるんじゃないかな。だから余裕を持って2周して、41分に降りたんだと思うよ」

困った。意見が割れてしまった。

正直うちはどっちの意見も間違ってないと思うんだけど………。

 

 

 

 

 

モノカバ「おおおおおお!!!!どうやら議論が割れたみたいカバ〜!こういう時にぴったりなあれがあるカバよー!」

柴崎 武史「お、またアレやるんスか?」

モノカバ「そう、アレをやるカバーー!」

霞ヶ峰 麻衣子「アレアレうるさいでござる!!!」

相川 凛「議論スクラムでしょ?」

裁判場がまた立体的に動き出す。

北条 業「凛さん。私の方に来てくれませんか?私、絶対的な証拠を持ってるんです」

業ちゃんは明智さんと同じ41分説を支持するみたいだ。

相川 凛「そうなの………?でもうちもそっち寄りだし、一緒に行くよ」

北条 業「はい!!!!!!!!」

お互いが向き合う形になる。

うちの正面は優月ちゃん。

犯人が何時に観覧車を降りたか。

それをここでハッキリさせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《犯人が犯行準備を終え、観覧車から降りたのはいつか?》

 

 

 

 

 

 

「6時41分だ!」………相川、北条、明智、柴崎、万斗、ジャック

「6時25分だ!」………霜花、千野、霞ヶ峰、独島、黒瀬

 

 

 

 

 

千野 李玖「あの作業量であれば一周する間に済むでしょう。わざわざ2周する意味がありませんな」

 

 

 

ジャック「爆弾を所持している以上、雑に作業する訳にはいかないだろウ。万全を期したのかもしれなイ」

 

 

 

 

 

 

 

独島 灯里「でもさー、そんな長い時間乗ってたら誰かに気づかれちゃうよー。ちょっとリスクが高くない〜?」

 

 

 

柴崎 武史「そんなの、ゴンドラに乗って伏せとけばバレないッスよ。それに朝っぱらに観覧車付近をうろつく奴なんかいないでしょ」

 

 

 

 

 

 

黒瀬 敦郎「誰かその時観覧車の近くに誰かいたなら別だけどよ………」

 

 

北条 業「それがいたんですよねー。()()()()

 

 

 

 

 

 

 

霜花 優月「爆弾設置の方法も簡単ですし、慎重に行動したとしても、そこまで時間をかける必要性が皆無です」

 

 

 

明智 麻音「それは爆弾に慣れてる者ならそうだろう。だがここにいるのは、爆弾を今まで見た事すら無かった素人ばかりだ。設置を失敗すれば死ぬ、犯行が学級裁判でバレたら死ぬ、という状況下の元で時間をかけない人間なといないと思うがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「シンプルに考えるでござる。普通の人間なら一周して降りるに決まってるでござる。だから25分に降りたのは確定でござる!」

 

 

 

相川 凛「決めつけるのは良くないよ!!まだ41分に降りたと考える余地はあるんだ!」

 

 

 

 

 

「これがうちらの答えだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「みんな。ちょっと業ちゃんの話を聞いて欲しいんだ」

独島 灯里「どうしたのー北条さんー」

北条 業「ありがとうございます。………えー結論から言うと、犯人が観覧車から降りたのは6時41分で確定です」

ジャック「何故ダ?」

北条 業「何故なら6時25分頃は、私が観覧車の前にいたので犯人は降りられないからです」

業ちゃんの発言に全員が呆気にとられた顔をする。

万斗 輝晃「そ、そんなの初耳だよ!?なんで今まで言わなかったの!?」

北条 業「だって、ちょうど凛さんが観覧車のトリックについて一生懸命話してたから中々言い出せなかったんです。凛さんの美声を聞き逃すわけにはいきませんから」

ニコニコしながらうちを見つめる業ちゃん。

ジャック「貴様がその時間観覧車前にいたという証拠ハ?」

北条 業「ありません。それは私を信じてもらう他ありませんね」

ジャック「………話にならんナ」

依然ニコニコした表情でそう答える業ちゃんに対してため息をつくジャック君。

柴崎 武史「その時間に観覧車前にいるなんて明らかに怪しいッスねー。何してたんスか?」

北条 業「喋りかけるなゴミ野郎が。誰がお前の質問に答えるか」

柴崎 武史「………僕別におかしな事言ってないッスよね?僕今悪くないッスよね?」

相川 凛「業ちゃん。うちもなにしてたか気になるな」

北条 業「勿論お答えします!!えっとですね、どっかの誰かさんのうるさいいびきのせいで目覚めてしまった私は、何か脱出の手がかりはないか園内を探索してたんです」

ジャック「どっかの誰カ………?」

霞ヶ峰 麻衣子「うぅ………誠に申し訳ないでござる………」

明智 麻音「その話は後でする。それで?北条業クンの証言については皆どう思う」

泣きそうな顔をしている霞ヶ峰さんを他所に明智さんは尋ねる。

霜花 優月「ひとまず正しい、ということで話を進めていいんじゃないでしょうか?」

明智 麻音「そうだな。先に残りの問題を片付けてしまおう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「最後の疑問点に移ろうか。もう一つの爆発の正体についてだ」

千野 李玖「さっきから疑問に思っていたのですが、その『()()()()』の爆発とはいったい何ですかな?」

独島 灯里「爆発が起きたのって一回だけでしょー?」

明智 麻音「………やはりそうか。では聞くが、この中に爆発音を二回聞いた者はいるかね?」

明智さんのその質問に対して手を挙げたのは………うちと万斗君の二人だけだった。

相川 凛「えっ!?どうしてうちらだけ………」

明智 麻音「それはこれから聞く質問の答えで分かる。………では爆発音を一回しか聞いてない者に聞く。その音を聞いた時それぞれどこにいた?」

ジャック「俺とカルマはミラーハウス内にいタ。カオリの死体をちょうど発見した頃だったナ」

独島 灯里「わたしはぐーすか寝てたよー」

霜花 優月「私もカプセルホテルにて就寝中でした」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者もでござる」

千野 李玖「拙僧はカプセルホテルのラウンジにいましたな」

柴崎 武史「寝てたッス」

黒瀬 敦郎「オレは気絶してたから………爆発とか一切聞いてねー」

明智 麻音「………どうだ助手。一回目の爆発を聞いてない者の共通点は分かったかね?」

相川 凛「うん。………みんな()()()()()()()()()()にいるね」

明智 麻音「その通りだ。私の仮説だと、園内の建物には弱めではあるが防音性があり、一回目の爆発はその防音性によって聞こえなかったと推測出来る。そしてその爆発の正体だが………恐らくコレだろう」

そう言うと、明智さんはあるピンのような物を取り出した。

霜花 優月「それはもしかして………手榴弾のピンですか?」

明智 麻音「ご名答。これは手榴弾を抜いた後に残るピンだ。観覧車前に落ちていた。犯人はこれを爆発させたのだろう」

ジャック「……それは分かったが解せなイ。何故犯人は手榴弾を爆発させたのダ?」

ジャック君は眼鏡をずらしながら当然の疑問を口にする。

 

 

 

 

 

明智 麻音「………何かの合図だったのではないかとワタシは考える。…………仮説でしかないのだが、この事件には恐らく()()()がいる。その共犯者に向けての合図と考えれば納得がいく」

独島 灯里「え〜〜〜〜!また共犯者ー!?」

相川 凛「………まさかまた柴崎君じゃないよね?」

柴崎 武史「今回僕はノータッチなんで知らないッスよ」

明智 麻音「例えば………分倍河原剛クンの犯行を見ていた犯人がそれを脅しに分倍河原クンに協力させた、というケースも十分考えられると思わないかね?」

霜花 優月「ここでも………彼が事件に関係してるというのですか?」

明智 麻音「これはあくまで仮説だ。それを証明する物は何も無い。それにはっきり言ってこの手榴弾についてはさして重要では無いのだ。重要なのは『一回目の爆発を誰が聞いて誰が聞いていないか』なのだ。これは後に犯人を絞る為の重要な手がかりになる」

万斗 輝晃「えーっとつまり…この話はこれで終わりって事かい?」

明智 麻音「ああ。ワタシの疑問は解消された」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「さて、長々と議論を続けてきたが、いよいよ犯人の絞り込みに入ろうか」

黒瀬 敦郎「やっとかよ………。もうクタクタだぜ」

疑問点を議論し終えたうちらは、ついに犯人の特定に移る。

万斗 輝晃「ボクと凛さんと麻音さんは犯人じゃないから、残りの8人のうちの誰かって事になるけど………」

柴崎 武史「9()()ッスよ。だって分倍河原サンも容疑者じゃないッスか」

万斗 輝晃「あ、そっか」

容疑者はこの時点で9人。

この中の誰かが幸村さんを殺した犯人。

北条 業「じゃあ犯人はこの女ですね」

すると突然、業ちゃんがある人を指差した。

霜花 優月「………私はやっていませんよ」

それは優月ちゃんだった。

北条 業「狙撃手で軍にもいた事があるそこの女なら、爆弾にも詳しいし犯行も可能ですよね。しかも目つき悪いし今まで私達に敵意持ってたし凛さん殺そうとした人間のクズだし」

霜花 優月「後半は完全に私情が入ってますね………。事実なのでそこについては何も言えませんが………、ただ、今回の事件、私は犯人ではありません」

北条 業「その証拠はあるのか聞いてるんだよ。改心したと見せかけて人を殺してここを出るつもりだったんだろこのクズ野郎。親切にしてくれた凛さんの事をまた裏切るつもりなんだろなんとか言ってみろよ」

相川 凛「業ちゃんいい加減に………!」

明智 麻音「その意見には反対だな。霜花優月クンは犯人ではない」

うちが慌ててスイッチの入った業ちゃんを止めようとすると、明智さんが反対意見を唱えた。

北条 業「は?何であなたが庇うんですか?」

明智 麻音「当然、彼女が犯人ではないという根拠があるからだ」

そう言いつつ、うちをチラッと見る。

証拠を出せ、ということか。

相川 凛「うん。優月ちゃんは犯人じゃないよ」

その証拠をしっかり持っている。

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[独島の証言]←

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「犯人が観覧車に乗ってたであろう6時41分頃に優月ちゃんはカプセルホテル内にいたんだよ。だから犯人である事はあり得ないんだ」

霜花 優月「私はその時間、同じく起床した灯里と一緒にいました。犯行を行う事は不可能です」

独島 灯里「そ、そうだよー!!わたしと霜花さん一緒にいたんだよー!」

黒瀬 敦郎「というか灯里テメー、なんでさっき疑われた時言わなかったんだよ!?」

独島 灯里「だってさっきはー、この時間に犯行が行われなかったかどうか分からなかったんだもんー」

ジャック「ユヅキ、その時の状況を詳しく説明しロ」

霜花 優月「私は今朝、麻衣子のいびきの大きさに思わず起床しました。その時、同じくベットから這い出てきた灯里と遭遇したんです。そこで私と灯里で麻衣子を起こそうと色々声をかけている内に、爆発音が一回聞こえて、慌てて外に出ると死体発見アナウンスが流れました」

霞ヶ峰 麻衣子「うぅ………本当に申し訳ないでござる………」

心底申し訳なさそうに言う霞ヶ峰さん。

独島 灯里「そうそうー。あのいびき本当にひどくてー。多分女子全員悩まされてたと思うよー」

柴崎 武史「………こう言ってるッスけど、実際どうなんスか?他の女子もいびきは聞いたんスか?」

相川 凛「うちは二人より少しだけ早く起きたけど、同じように聞こえたよ」

明智 麻音「先程も述べたが、ワタシが起きたのは6時頃だ。その時には既に彼女のいびきはそこらじゅうに響き渡っていたよ」

霞ヶ峰 麻衣子「ひ、響き渡ってた!?そこまでの大きさでござったか………」

ハイテンションな彼女には珍しく、本気でしょんぼりとしている。

これは流石にうちも擁護は出来ない…かな?

万斗 輝晃「でもこれで灯里さんと優月さん、それに麻衣子さんの無実は証明されたんじゃないかい?」

千野 李玖「その時三人一緒にいたなら犯行は不可能ですし、御三方は犯人ではないでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「あれ?一人まだ聞いてない人がいるんスけど?ねえ北条サン?」

北条 業「…………」

すると柴崎君はまだ答えてない業ちゃんを見た。

その業ちゃんの表情は暗い。

相川 凛「業ちゃん?…………もしかして話聞いてない?」

北条 業「…………え?ああ、すみません凛さん。少し考え事をしていて………」

黒瀬 敦郎「おい、まさかテメーが犯人なんじゃ……」

北条 業「頭すっからかんのバカは黙ってて下さい。ええと、まず霞ヶ峰さんのいびきを聞いたか、でしたっけ?……結論から言うと私は『聞いてない』です」

万斗 輝晃「聞いてないの?他の女子はみんな聞いてるのに?」

北条 業「私がホテルを出たのは5時半頃です。その時には霞ヶ峰さんのいびきは聞こえませんでしたよ」

となると………霞ヶ峰さんがいびきをかきはじめたのは5時半以降〜6時の間って事か。

柴崎 武史「犯人は間違いなく6時前にはカプセルホテル内にはいなかった筈ッス。なら、唯一いびきを聞いてなかった北条サンは限りなく怪しいッスよね?」

北条 業「黙れゴミカス。私は無実だ。ちゃんとアリバイもあるんだよ。というか喋りかけるな。私を通して凛さんに悪影響が出る」

千野 李玖「なんと。北条殿にもアリバイがあるんですか?」

業ちゃんが言ってるアリバイって、この事だよね………。

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[ジャックの証言]←

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「業ちゃんはジャック君とミラーハウス付近で合流して、死体が発見されるまで一緒にいたんだよね?」

北条 業「そう、そうです!!!!!流石は凛さん!!やっぱ私の味方は凛さんだけです!!!!」

涙を流さんとする勢いで大喜びする業ちゃん。別に味方をした訳ではないんだけどな………。

ジャック「確かに俺とカルマは死体発見アナウンスが流れるまで一緒にいタ。だガ、合流したのは6時45分頃ダ。その時には犯人は既に犯行を終えて観覧車を去っているだろウ。確実なアリバイとは言えないのではないカ?」

北条 業「ジャックさん。あなた黒瀬さん達お馬鹿とは違うんですからそんなアホな返答しないで下さい。犯人が観覧車を降りたのは6時41分頃。そこからダッシュでミラーハウス付近にいるジャックさんに合流する事が出来れば、私が犯人の可能性は十分あります。けど、距離的にどう考えても無理があるんですよ」

明智 麻音「そうか。観覧車からミラーハウスまで()()()()()()()()()

北条 業「そうです。観覧車は遊園地の真北に位置します。一方、ミラーハウスは入り口に近い、南〜南西の位置にあります。その間は恐らく走っても5分はかかるでしょう。6時41分に観覧車を降りて、6時45分にミラーハウスに着く。これは全速力でダッシュしたとしても不可能に近いと私は考えます」

そうか。仮に業ちゃんが犯人だとしても、観覧車からミラーハウスまでは相当距離がある。時間的にもかなりシビアだ。

 

 

 

 

 

柴崎 武史「でも、北条サンかなり身体能力高いッスよね?ならギリ間に合うんじゃないッスか?」

けど、柴崎君はそれで納得しない。さらに追及を続ける。

北条 業「…………。チッ、まあいいでしょう。仮に私の足が超早くてギリギリ時間に間に合ったとします。けど、そんな全速力で走ったら人間はどうなりますか?」

霞ヶ峰 麻衣子「めっちゃ疲れて、ゼーハーするんじゃないでござるか?」

北条 業「そうです。呼吸は乱れて顔は赤くなり、汗は止まらなくなります。では聞きます。ジャックさん、あなたが私と会った時、そのような走った後の状態に見えましたか?」

ジャック「………いヤ、息一つ乱れてない状態だっタ」

霜花 優月「なら、業が犯人という線は無さそうですね。どんな人間であれ、5分間全力で走ったら息は乱れる筈ですから」

明智 麻音「そう考えていいだろう。そして同じ理由でジャック・ドクトリーヌクンも犯人から外れる」

これで新たに二人がクロ候補から外れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北条 業「さて、私の無実も証明されましたし、さっき考えてた事を話しますね。それは残りの人物のうち、誰が犯人かという事です」

相川 凛「そっか。まだアリバイがない人がいるもんね」

北条 業「ええ。ではひとまず整理してみましょうか。まず、死体発見アナウンスに含まれる凛さん、明智さん、万斗さんは犯人ではありません。次に犯人が観覧車に乗っていた時、カプセルホテル内で一緒にいた独島さんと霜花優月、霞ヶ峰さんが犯人候補から除外されます。また、さっきも言った通り、北にある観覧車から南にあるミラーハウスの距離から、私とジャックさんにも犯行は不可能です。そうすると残るのは千野さん黒瀬さん分倍河原剛、それに私の隣にいるクソ野郎しかいないんですよ」

柴崎 武史「あれ?僕容疑者ッスか?」

黒瀬 敦郎「やっぱオレ犯人候補になっちまうよな………」

千野 李玖「…………」

名前を呼ばれた柴崎君はとぼけた顔を見せ、黒瀬君は半ば諦めたような表情を見せる。千野君は黙って下を向いている。

霞ヶ峰 麻衣子「それで結局誰が犯人なのでござるか?」

北条 業「それが………分からないんです。誰が犯人であってもおかしくはありません。ここで問題なのは、分倍河原剛以外の三人が推理の基礎となる重要な証言をしているという事です」

明智 麻音「千野李玖クンは朝幸村雪クンを見かけたという証言をしている。一方、柴崎武史クンも夜中観覧車に近づいた者がいないという証言をしているし、黒瀬敦郎クンはスタンガンで犯人に襲われたと言っている。もし誰かが犯人で嘘をついているとしたら、今までの推理は崩れる事になる」

千野 李玖「では………分倍河原殿が犯人の可能性が高いと?」

霜花 優月「そうですが…………分倍河原剛クンが犯人と言えるハッキリとした証拠がある訳では無いです。断定できない以上、投票するのは避けた方がいいでしょう」

独島 灯里「えーーー!じゃあ振り出しってことー?」

霞ヶ峰 麻衣子「そ、そんなのあんまりでござる!?このままだとタイムアップで全員ゲームオーバーでござる!!」

全員が慌てパニックになりかけている。

うちも頑張って脳みそをフル回転させているけど………駄目だ。これ以上証拠が残っていない。何も考え付かない。

何か見落としていないか。

どこか推理に穴はないか。

怪しい発言をした人はいないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柴崎 武史「なーんだ。そういう事だったんスか」

そんな中発言したのは柴崎君だった。

カバフォンから目を離し、満足そうに頷く。

明智 麻音「ふむ、何か閃いたのかね?」

柴崎 武史「犯人、もう既に確定してるじゃないッスか。ていうか、アンタも分かってるんじゃないッスか?明智サン」

明智 麻音「本当に鋭いな、キミは」

明智さんも同じように頷く。

相川 凛「ま、待ってよ!?犯人が分かったって………!」

柴崎 武史「『武器庫のリスト』を見直せば分かるッスよ」

明智 麻音「助手よ。武器庫のリストを見れば、何か妙な物が減っている事に気がつくだろう。それの用途を考えれば自然と犯人は思いつく筈だ」

そう言われたうちは慌てて武器庫のリストを見直す。

上から順に目を通していく。

すると…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………あれ?これを使えば………。

自然と犯人までのルートが頭の中に描かれる。

この事件の………幸村さんを殺した犯人って…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指定しろ!

 

 

相川 凛

 

飛田 脚男

 

霞ヶ峰 麻衣子

 

喜屋武 流理恵

 

分倍河原 剛

 

北条 業

 

柴崎 武史

 

錦織 清子

 

千野 李玖

 

霜花 優月

 

明智 麻音

 

ジャック ドクトリーヌ

 

独島 灯里

 

黒瀬 敦郎

 

中澤 翼

 

幸村 雪

 

万斗 輝晃

 

銀山 香織

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「…………霞ヶ峰さん。あなたが犯人じゃないの?」

霞ヶ峰 麻衣子「ひえっ!?拙者でござるか!?」

指名された霞ヶ峰さんは驚き大きな声を出した。

霞ヶ峰 麻衣子「な、何故でござるか!?拙者にはアリバイがあると証明された筈でござる!?酷いでござるよ相川殿!!!」

相川 凛「そのアリバイだけど………ある道具を使えばそれは崩せるんだよ」

霞ヶ峰 麻衣子「………!!」

うちの発言を聞いた瞬間、彼女の顔色が明らかに変わった。

黒瀬 敦郎「何だよ、その道具って?」

相川 凛「『武器庫リスト』を見ると、一番下に減ってる物があるでしょ?」

霜花 優月「ボイスレコーダー………」

相川 凛「そう。これに自分のいびきを録音させて、それを自分のベットに置いておけば、自分がカプセルホテルで寝てると錯覚させる事が出来るんだよ」

霞ヶ峰 麻衣子「なっ………!」

口をパクパクさせる霞ヶ峰さん。

北条 業「自身が観覧車にいる時間、カプセルホテルで寝ていたと後に証言する為ですね!!」

相川 凛「それにさっき優月ちゃんと独島さんの話を聞くと、二人は『いびきがうるさい霞ヶ峰さんを起こそうとしたけど、起きなかった』って言ってたでしょ?一応二人に聞くけど、その時霞ヶ峰さんと実際に会ったの?」

霜花 優月「いや………会ってないです」

独島 灯里「わたしも会ってないよー」

相川 凛「だよね。だってその時、霞ヶ峰さんはホテルにはいないんだもん。あるのはいびきを録音したボイスレコーダーだけ。実際その時霞ヶ峰さんは観覧車をちょうど降りたところだと思うから」

 

 

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「そ、それだけで犯人扱いとはあんまりでござる!!」

すると霞ヶ峰さんは顔を真っ赤にしながら席をバンと叩きうちの発言を否定する。

黒瀬 敦郎「お、おい麻衣子………。少し落ち着けって……」

彼女の剣幕に驚きながらも声をかける黒瀬君。

霞ヶ峰 麻衣子「落ち着け?犯人じゃないのに犯人だと言われて落ち着く奴がどこにいるのでござるか!!!拙者は無実でござる!!」

しかしそれは逆効果であり、益々彼女の怒りはヒートアップしてしまった。

相川 凛「でも、霞ヶ峰さんが犯人だと仮定すると今までの推理が全部繋がるんだよ。黒瀬君を気絶させる為にスタンガンを用いた理由は、非力な自分でも力のある黒瀬君を簡単に気絶させられるから。観覧車を犯行現場に選んだ理由は、自分が高所恐怖症であるから犯行は無理だと後に言い訳が出来るから。………これを含めて総合的に考えると、うちはあなたしか犯人に思えないの」

柴崎 武史「てゆーかアリバイがある人の中で誰にも姿を見られていないのアンタだけなんスよ。そこを怪しいと思うのは当然ッスよね?あ、アンタがノータリンでそこまで思い至らなかっただけッスか。それは申し訳ないッス。僕の計算違いだったッスね。アンタがここまで無能だとは………」

相川 凛「ちょっ………!!柴崎君!?そこまで煽らなくても………!」

柴崎君が口を開いた時点で止めておけばよかった。また余計な事をペラペラと喋ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「ば、バカにするのも大概にするでござる!!!!!!」

案の定、彼女の怒りは頂点に達した。

霞ヶ峰 麻衣子「どいつもこいつもどいつもこいつも!!!!!!拙者にはアリバイがあるのでござる!!!!言いがかりもいいとこでござる!!」

万斗 輝晃「ま、麻衣子さん!そんなに大声を出さなくても………!」

霞ヶ峰 麻衣子「うるさいでござる!!どうして誰も拙者の事を信じないで相川殿の事ばかり信じるのでござるか!!拙者に味方してくれる人はいないのでござるか!!」

完全に怒りで我を忘れてしまっている。犯人だと疑われただけでこんなにも豹変してしまうのか。

柴崎 武史「あーあ、あんなに取り乱しちゃ自分が犯人だって自白してるようなもんスよ。どうすんスか、あれ」

相川 凛「アンタが煽ったからでしょ!!」

うちは他人事のように言う柴崎君に強めのツッコミを入れる。

明智 麻音「だが、言い方に問題があるとはいえ、柴崎武史クンの発言は的を得ている。彼女のアリバイはよく考えれば不自然だ。誰も彼女の姿を見かけていない以上、完璧なアリバイとは言えないからな」

柴崎 武史「………アンタのフォローなんか求めてないッスよ。それよりも相川サン、早くあの人どうにかしてくださいよ」

怒り狂う彼女を顎で指しながら彼はとんでもなく身勝手な事を言い始めた。

相川 凛「自分で原因を作った癖にさらにうちに丸投げ!?後で絶対一発殴るから覚悟しとけ」

うちは拳を強く握りしめた。それを見た柴崎君は両手を上げて降参のポーズ。

柴崎 武史「おっと、これはマジギレ寸前の顔ッスね。じゃあ論破用の証拠のヒントは出すんで、それで勘弁して欲しいッス」

相川 凛「証拠?だからそれはうちじゃなくて柴崎君が………」

柴崎 武史「これはここまで議論を導いてきたアンタの役目ッス。アンタじゃなきゃ駄目なんスよ」

さっきまでのおちゃらけた態度を消し、真面目な表情でうちにそう言う。

相川 凛「うちが………」

明智 麻音「ワタシからも頼む。霞ヶ峰麻衣子クンを止めてくれ。共にここで過ごした仲間のあのような姿をこれ以上見るのは流石に堪える」

明智さんも自分の帽子を深く被り直しながら言った。

そうだ。前回の分倍河原君の時も、前々回の中澤君の時もそうだった。

これはもううちの役割なのかもしれない。

だとしたらやらなければ。

 

 

 

 

 

柴崎 武史「さて、霞ヶ峰さんを論破する為のポイントッスけど、それは彼女の失言ッス」

相川 凛「………失言?」

柴崎 武史「彼女は一個、幸村サンの死体発見時に失言をしてるんスよ。それが分かれば論破するのは容易いッス」

相川 凛「死体発見時………」

そう言われたので、あの時が霞ヶ峰さんがどんな発言をしたか必死に思い出そうとする。

あの時確か彼女は………。

………そうだ。確かあんな事を言っていた。

…………………あれ?

今考えたらあの発言は明らかに矛盾している。

そうか。柴崎君はこれが言いたかったのか。

 

 

 

 

 

コトダマゲット!

 

 

[死体発見時の発言]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理論武装開始!

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「拙者は犯人じゃないでござる!!」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「そもそも相川殿はボイスレコーダーを使ったと言うでござるが、拙者がそれを使ったという証拠はあるのでござるか!!」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「証拠を出すでござる証拠を!!!!!!」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「アリバイがない人もいるのに何故拙者だけを疑うのでござるか!!」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「どうして拙者の事を信じてくれないのでござるか!!」

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「拙者に[疑われる心当たりは何一つない]でござる!!!」

 

 

 

 

[疑われる心当たりは何一つない]←[死体発見時の発言]

 

 

 

 

 

 

 

これで終わりだよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「柴崎君に言われて思い出したけんだけど………あなたは幸村さんの死体を発見した時、おかしな事を言っていたんだよ」

霞ヶ峰 麻衣子「おかしな事………?」

霞ヶ峰さんの表情が怒りから困惑に変わる。

相川 凛「そう。今考えてみると、その発言はあなたが犯人だと決定づけるものだったんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

捜査編①

 

 

 

 

「助手よ………、大丈夫かね?」

「………うん、ごめん。ちょっと気が動転して………」

「無理もない。何せ先程まで目の前にいた友がこのような事になっているのだ。助手の様な一般人には耐えられまい」

うちら明智さんに支えてもらい、ふらつきながらも立ち上がる。

死体発見アナウンスが流れると同時にうちが叫び声をあげ、それを聞いたみんなが集まってきた。

「犠牲者は幸村殿ですか………」

「あららー。次は幸村サンスか。黒幕を裏切ったし、そろそろ危ないとは思ってたんスけどね」

「雪………」

「あああ………なんで爆発がこんなに起きて………それになんで幸村殿がこんな姿に………うっ………と、トイレ………!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

相川 凛「霞ヶ峰さんは『何で爆発が()()()()()()()』っていう言い方をしてるんだ。『こんなに』ってさ、何かがたくさんある時に使う言葉だよね?」

独島 灯里「そうだねー。『こんなに沢山のお金貰えるの!?』みたいな言い方するしねー」

相川 凛「霞ヶ峰さんのアリバイが正しければ、彼女はずっとカプセルホテル内にいた。だから爆発音は()()()()()()()()()()筈なんだ」

千野 李玖「霞ヶ峰殿が聞いたのはC4爆弾の爆発音一回のみでしたな?最初の手榴弾の爆発は建物の防音性により聞こえなかったと」

相川 凛「そう。なのに『こんなに爆発が起きて』って言ったの。まるで複数回爆発を聞いたみたいに」

霞ヶ峰 麻衣子「なっ……!!」

自分の失言に気がついたのか、真っ赤だった顔色がみるみる青く変色していく。

柴崎 武史「正直微妙なニュアンスッスけどね。でも爆発音を一回しか聞いてない人が『こんなに』なんていう表現は使わないッスよ」

北条 業「す、凄いです!!!!!なんという記憶力の持ち主!!やっぱ凛さんは別格ですね!!」

霜花 優月「よく覚えていましたね………。流石です、凛」

柴崎 武史「いや、ヒントあげたの僕なんスけど」

北条 業「死ね」

いや、これは完全に誇張抜きで柴崎君のおかげだ。

だってうちは言われるまで全く思い付かなかった。

会話の内容を覚えていたのも偶々だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「ああ……………せ、拙者は…………」

顔が真っ青になり呆然としてしまっている霞ヶ峰さん。

明智 麻音「あの反応からしてどうやら当たりのようだ」

黒瀬 敦郎「麻衣子………。ホントにテメーがユキを………」

万斗 輝晃「う、嘘だって言ってくれよ!!麻衣子さんみたいな人が、そんな、人殺しなんて…………」

ジャック「貴様………!!よくもユキヲ!!!!!」

霞ヶ峰さんの元へ向かおうとするジャック君。

だが、隣にいる明智さんが彼の手を掴む。

ジャック「ッ………!離セ!!!!」

明智 麻音「待ちたまえ。まだ議論は終わっていない」

ジャック「………何だト?」

独島 灯里「えー?だって相川さんが今全部喋ったじゃーん。これ以上何か話す事あるのー?」

明智 麻音「それは幸村雪クンの事件の話だ。まだ分倍河原剛クンの死については何も議論していないだろう」

万斗 輝晃「そう、だけど………。でもボク達は最初に誰かを殺した人を当てればいいんでしょ?ならもうこれ以上議論の必要は………」

明智 麻音「万斗輝晃クン。ワタシを誰だと思っている。『超高校級の探偵』だぞ。謎を残したまま終わらせるなぞあり得ない。全ての謎を解くのが探偵の務めだ」

柴崎 武史「僕も同感ッス。どうせなら最後まで楽しんでから終わらせたいッスね。まだ面白い事がありそうだし」

裁判は終わりというムードが漂う中、続けるべきだと主張したのはこの二人。

………勿論うちも二人に賛成だ。

相川 凛「みんな。もう少しだけ続けよう。分倍河原君は今回加害者であると同時に被害者でもあるんだよ。つまり彼も誰かに殺されたかもしれない。ならこのまま終われる訳ないじゃん!」

霜花 優月「そうですね。このままだと殺人を犯した人が誰か分からないまま生活を続ける事になってしまいます。いくら彼が敵だったからと言ってそれは許されません」

黒瀬 敦郎「……剛の野郎は許せねーけど、剛を殺した野郎も同じくらい許せねー!絶対に見つけだして謝らせてやる!!」

北条 業「凛さんに大賛成です!殺人者が紛れ込んだままだと私と凛さんが危険ですから!」

相川 凛「みんなありがとう。ジャック君もそれでいいかな?………申し訳ないんだけど………」

ジャック「………構わン。いずれにしても結論は変わらないだろうシ、俺も最後まで付き合ウ。ユキならそうするだろうしナ」

霞ヶ峰 麻衣子「………………」

こうして、議論の延長が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「しかし議論といっても、分倍河原剛クンの事件は至ってシンプルだ。複雑なトリックなどは一切無い」

明智さんの仕切りで議論が始まる。

独島 灯里「そうなのー?わたし全然分かんなーい」

霜花 優月「麻音。あなたのその口ぶりだと、あなたは誰が犯人か、そしてどのような手口なのか全て分かっているように聞こえますが」

明智 麻音「ワタシは世界一頭脳を持つ探偵だぞ。この程度の謎を解くのは朝飯前だ」

黒瀬 敦郎「ドヤ顔すんな!!それに分かってんだったらさっきなんで議論しようなんていったんだよ!?」

明智 麻音「ワタシ一人だけ理解しても何の意味も無い。全員で納得のいく結論を出す事が重要なのだ」

黒瀬 敦郎「まあ………そうだけどよ………」

明智 麻音「では始めようか。最終ラウンドだ。気張っていくぞ」

長い裁判もいよいよ終盤だ。

気を緩めずにいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

明智 麻音「全員モノカバファイルには目を通しただろうが、今一度既に判明している事実を確認しておこう。被害者は《超高校級の空手家》分倍河原剛クンだ。彼は銀山香織クンを殺した加害者でもある」

万斗 輝晃「死体発見場所は男子脱衣所だね」

霜花 優月「死亡推定時刻はついさっきとあります。つまり[捜査時間中に殺された]という事ですね」

独島 灯里「あれー?分倍河原くんが死んでたの男子脱衣所って事はー、[女子は入れない]んじゃないー?」

黒瀬 敦郎「ハッ!甘いぜ灯里!きっと[死んだ誰かの携帯を使って]女が剛を殺したんだ!」

 

 

 

 

 

 

[死んだ誰かの携帯を使って]←[犠牲者の携帯の行方]

 

 

 

 

それは違うっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「黒瀬君。それは不可能なんだ。今まで犠牲になった四人の携帯は既にモノカバによって回収されてるんだよ」

黒瀬 敦郎「そ、そうなのかよ………。いいアイデアだと思ったんだけどな」

困ったように頭を掻く黒瀬君。

千野 李玖「となると、犯人は自然と男性という事になりますかな?」

霜花 優月「そうですね。携帯の貸し借りも学則で禁止されてる以上、女子に男子脱衣所に入る手段はありませんから」

女子の視線が自然と男子の方へと向く。

独島 灯里「おー。あっという間に選択肢が半分以上消えたねー」

ジャック「俺達五人のうち誰かが犯人、という訳カ」

明智 麻音「…………」

今ここにいる男子は黒瀬君、柴崎君、ジャック君、千野君、万斗君の五人。

北条 業「あとは捜査時間のアリバイを調べればいいでしょう。凛さん。さっき私にアリバイ聞いてましたけど、もしかして全員分調べてあります?」

相川 凛「うん。全員分かってるよ」

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[捜査時間中のアリバイ]←

 

 

 

 

 

これだよ!!

 

 

 

 

 

相川 凛「これがみんなの捜査時間中のアリバイだよ」

うちはみんなにまとめた物を見せる。

万斗 輝晃「えーっと、男の中でアリバイが無いのは………!うわっ!?ボクと柴崎君だけじゃないか!」

男子の中でアリバイが無いのは二人だけだ。それは単独行動をしていた万斗君と柴崎君。

柴崎 武史「あらホントッスね。じゃあ万斗サンが犯人だ」

万斗 輝晃「ぼ、ボクじゃないよ!?柴崎君が犯人なんだろ!?正直に白状してよ!」

まあそうなるよね。

相川 凛「いや、確かにアリバイがないのは二人なんだけど………少し待って欲しいんだ。ちょっと気になる点がある」

北条 業「気になる点、ですか?」

 

 

   

 

 

 

 

 

 

議論開始!!

 

相川 凛「一つ気になる点があって………」

千野 李玖「何か引っかかる事がある、という事ですかな?」

独島 灯里「う〜んなんだろー。[死因]とかー?」

ジャック「あの[凶器]についてカ?」

北条 業「死んでいた体勢」とかじゃないですか?

黒瀬 敦郎「テメーらよく思いつくな………。オレにはさっぱり分かんねー」

 

 

 

 

 

 

[凶器]←[刺さっていた剣]

 

 

 

 

それに賛成だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「そう!ジャック君の言う通りなんだ。うちは分倍河原君に刺さってたあの剣について気になってたんだよ」

ジャック「………なるほド、そういう事カ」

うちの話を聞いてジャック君もうちが何を言いたいのか察したようだ。

千野 李玖「ジャック殿?何か分かったのですか?」

ジャック「あの凶器を()()()()()()()()()()()()。そう言いたいんだろウ?」

黒瀬 敦郎「どうやって?そんなの持って剛に向けてブッ刺したんだろ?」

相川 凛「それは無理だよ。だってあの剣………()()()()()()

黒瀬 敦郎「重すぎる?」

相川 凛「実際持ってみたんだけど、重すぎてうちは一瞬しか持ち上げられなかったんだ」

ジャック「ちなみに俺も検死の時移動させたガ、その時は床から15センチくらいしか持ち上がらなかっタ。それも3秒くらいダ」

ジャック君がうちの発言を補足してくれる。

霜花 優月「それを聞くと………凶器として人に向けるにはあまりにも重すぎる気がしますが」

相川 凛「その通りだよ。男子でも少し持ち上げるのが精一杯な物をあんな風に分倍河原君に刺すなんて………それに少し違和感を覚えたんだ。どうやってやったのかって」

独島 灯里「んー?てゆーかさー、あの剣ってどっから持ってきたのー?」

北条 業「そんなの武器庫からに決まってるでしょう。リストにもあった筈です」

いや、それは違う。

あれは武器庫から持ってきた物じゃない。

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

 

[茂みに隠された凶器]

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

相川 凛「武器庫にあった剣は5本全部この場所に隠されてたんだ」

北条 業「あ、本当ですね。こんな所に隠されてる。それに他の余分に無くなった凶器もあります」

相川 凛「どうして中途半端に武器を隠したのか………それは分からないけど、とにかく分倍河原君に刺さってた剣は武器庫にあった剣とは別物だよ」

霜花 優月「………待って下さい。ならこの剣は誰が運んできたのですか?さっき重くて誰も持ち運べないという話をしたばかりですが」

相川 凛「分倍河原君なら………可能じゃないかな」

独島 灯里「ん〜〜〜?どうして被害者の分倍河原くんが出てくるのー?」

相川 凛「さっき明智さんがチラッと言ってた、幸村さんの事件に共犯者がいるんじゃないかって事だよ。それが分倍河原君だとうちは思う。彼は犯人の協力者として、あの剣を運んだんだ」

柴崎 武史「なるほど。確かにあの脳筋男だったら剣を運べたかもしれないッスね。力だけは一丁前にあったから」

ジャック「剣を隠した理由は何ダ?」

黒瀬 敦郎「それに剛に刺さってた剣はどこから持ってきたんだよ?」

明智 麻音「いい質問だ」

ジャック君と黒瀬君の質問に対し満足そうに笑みを浮かべる明智さん。

明智 麻音「あの剣の出どころはどこか。それがこの事件を解く為のヒントになる。それが分かれば剣を隠した理由も自ずと判明するだろう」

独島 灯里「そうなのー?」

明智 麻音「既に勘のいい者は気がついてるだろうがな」

そう言いつつ何故かうちの顔を見る。

その中にうちが入ってると思っているみたいだ。

随分な買い被りだけど………。考えてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの剣は武器庫にある物では無いのは確定している。

 

 

 

 

 

ならあの剣はどこから………

 

 

 

 

 

いや、仮に別の場所にあったとしてもあの重さじゃ持ってきて彼に刺すのは不可能だ。

 

 

 

 

だとしたらどうやって彼を殺したのか………。

 

 

 

 

そういえばあの剣、錦織さんを処刑する時、それにうちが脇腹を刺された時に使われた剣の同じだけど………。

 

 

 

 

 

 

…………!!

そういう事か………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「分倍河原君は…………学則違反によって処刑されたんだ」

霜花 優月「処刑………?誰かに殺されたのではないのですか?」

相川 凛「うん。あの剣、みんな見覚えはない?」

万斗 輝晃「あの剣は清子さんを殺した時のやつだよ。ボクはハッキリと覚えてる」

相川 凛「そうなんだよ。今までの議論から結論づけると、彼は男子脱衣所でなんらかの学則違反を犯して、その場で処刑された。こう考える方が自然だよ」

北条 業「なるほど!!それならさっきの問題も無くなりますね!私達の誰かが持ち上げて刺したのではなくて、モノカバによって処刑されたんですもんね!」

ジャック「それにあの画面もあるしナ。あの男が学則違反で処刑されたのは決定的だろウ」

千野 李玖「はて?あの画面とは一体………?」

明智 麻音「助手よ、覚えているだろう。捜査中に見たあの画面だ」

明智さんの言ってるのって、あれの事かな………?

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[握られていた携帯]←

 

 

 

 

これだよ!

 

 

 

 

 

 

相川 凛「分倍河原君のカバフォンを見た時、一瞬だけ『自分のモノマネー確認画面』が出てたんだ。これはあくまでうちの予想なんだけど………彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()処刑されたんじゃないかな?」

独島 灯里「そういうことかー。確かに学則にそんな決まりあったねー」

柴崎 武史「学則11ッスね。しっかり罰せられるって書いてあるッスよ」

 

 

 

 

 

 

11 以下の行動、状態は学則違反者として罰せられます。

 

1)モノカバ、大学内の設備等への暴力、破壊行為

 2)A棟3階個室以外の場所での故意の就寝

 3)所持モノマネーが0になった者(0になった瞬間、罰せられます)

4)立ち入り禁止区域に入る

5)1年で取らなくてはならない単位が取れなかった(=留年)時

5)その他、モノカバの指示に従わない場合

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「とにかく、分倍河原剛クンはモノマネーが何らかの理由でゼロになり、その場であの剣によって全身を串刺しにされて死亡したというわけだ」

万斗 輝晃「そうか!!武器庫剣が隠されてたのは、学則違反で処刑されたという事実を隠す為なんだね!」

明智 麻音「そう捉えていいだろう。…となると一つ問題が発生する。そのモノマネーがゼロになるという事態が()()()()によって引き起こされたものなのか、それとも()()によるものなのかだ」

千野 李玖「…………言っている意味がよく分かりませんが」

柴崎 武史「誰かが分倍河原サンのモノマネーがゼロになるように細工をした可能性がある、って事ッスよ」

いまいち理解が出来ない様子の千野君に、柴崎君がそう説明する。

明智 麻音「細工と言ってもピンと来ない者が多数だろう。ワタシが簡単な例えを出そうか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()して、他人のモノマネーを操作する、とかな」

さらに明智さんが例を出して説明する。

………簡単な例にしては随分()()()だ。

黒瀬 敦郎「な、なんだよソレ。そんな事誰が出来んだよ」

柴崎 武史「さあ?僕はアンタ達無能とロクに関わってないんで、アンタ達の中にそういう細工が出来る人がいるかどうかなんで全く知らないッス。けど、そこのコミュ力お化けなら知ってるんじゃないッスか?僕らの中にそういう機械に詳しい奴がいるかどうかは」

柴崎君はうちをチラリと見た。

万斗 輝晃「………凛さん。もしかして心当たりがあるのかい?」

北条 業「もしそうなら言っちゃって下さい!!凛さんの出した答えだから多分それが正解です!!」

霜花 優月「確かにこの中で誰よりも他者と交流を深めてきた貴方なら何か知っていてもおかしくありません。もし思い当たる人物がいれば是非教えて頂きたいです、凛」

みんなは次々にそう聞いてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの明智さんが出した例えで思いついてしまった。

いや、例えと表現するのはおかしい。

だってあれは()()なんだもん。

明智さんはわざとあんな言い方をしてうちに閃かせたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()はあの時、こんな事を言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

(非)日常編④

 

 

 

 

「凄いね…………。ちなみにさ、動画の撮影から編集まで全部自分でやってるの?」

「全部一人でござるね。一応拙者、機械系にはそこそこ詳しいでござるから、そこまで苦労はしてないでござるよ」

「機械に詳しいのは羨ましいなぁ………。プログラミングとかも出来たりするの?」

「専門家には及ばないでござるが、素人よりは余裕で出来るでござる。拙者特にコンピュータには滅法強いでござるから」

「マジで凄い………」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「分倍河原君を殺したのもあなただったんだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霞ヶ峰さん」

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「…………!?」

さっきから一切喋らなかった霞ヶ峰さんの肩がビクッと震える。

黒瀬 敦郎「は…………な、何でだよ!?」

ジャック「あの男もコイツが殺したのカ………!?」

柴崎 武史「ちなみにそう考える根拠はあるんスか?」

相川 凛「……霞ヶ峰さん、前話した時、『自分は機械に詳しい。特にコンピュータ系には滅法強い』って言ってたんだ。そんな彼女なら一時的にモノカバが管理するモノマネーシステムにハッキングして、分倍河原君のモノマネーをゼロにする事だって可能じゃないかな」

霞ヶ峰さんの研究教室にはパソコンが二台あった。

もしかしたらその一台を使ってハッキングを仕掛けたのかもしれない。

それにあの時、

 

 

 

 

 

「なるほど………。あ、そういえばこのパソコン凄く気になってたんだけどなんで2つもあるの?ほら、こっちのパソコンは前使ってなかっ………」

「触っちゃ駄目でござる!!!!」

うちが少し気になって右側のパソコンに触ろうとすると、霞ヶ峰さんに手を掴まれた。

「え?」

「こっちは絶対触っちゃ駄目でござる。これは………その………編集をミスった失敗作が残ってるのでござる」

「そ、そうなんだ」

「そう、そうなのでござる!だから、絶対に見ちゃ駄目でござる」

非常に慌てた様子で早口にそうまくし立てる。

まさかそんなものが入っていたとは………。全然予測出来なかった。

「ご、ごめんね。そうとは知らずに触ろうとしちゃった」

「いや、分かってくれたのならいいのでごさる」

 

 

 

 

 

 

 

一台のパソコンに触れられるのを異常に嫌がっていた。

あの時から既に、ハッキングをして誰かのモノマネーを操作して………殺すつもりだったのかもしれない。

柴崎 武史「………お見事。流石はコミュ力最強の陽キャッスね。アンタのコミュ力が僕達を真実へと導いてくれたんスよ」

パチパチと拍手をする柴崎君。

北条 業「ちょっと待ってください。凛さん、お言葉ですけど、分倍河原剛がわざと自分でモノマネーを減らして自殺した線は考えられないですか?

すると業ちゃんが申し訳なさそうに述べた。

北条 業「あの男は『絶望の庭』とかいうイカレた集団に所属していて、かつ私達を絶望させる為に自死することも厭わない狂った思想の持ち主でした。なら誰かを殺して自殺、私達に解かせる謎を複雑にして絶望させる、といった事を考えそうとは思いませんか?」

独島 灯里「言われてみればそうだね〜。ハッキングされた、っていうよりよっぽど現実味がある気がするよー」

万斗 輝晃「そもそも、ボク達まだ高校生だよ。しかも麻衣子さんはコンピュータの専門家じゃない。ハッキングなんて出来るとは思えないよ」

うちの出した結論に納得のいかない人が何人かいるみたいだ。

確かにこんな根拠も何もない推理、信じられなくても当然だ。けど………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相川 凛「でも、分倍河原君は前回の裁判で黒幕から見限られたばかりなんだよ。だから分倍河原君は今回、手柄を立てて黒幕にまた認めてもらおうとした筈なんだ。そんな人間が自ら死を選ぶかな?」

霜花 優月「そういう考え方も、確かに出来ますね………。死んだら自分が褒められたかどうか分からなくなってしまいます」

独島 灯里「う〜ん、どっちもありそうだよねー」

独島さんの言う通り、正直分倍河原君はどっちに転んだかは全く分からない。

うちの今の発言も何か証拠があるわけじゃない。

そうであって欲しいという願望に近い。

北条 業「まあその答えは霞ヶ峰さんを見たら明らかでしょう。あの反応、どう考えても犯人だとバレた時の反応ですよ」

霞ヶ峰 麻衣子「せ、拙者は人殺しではないでござる!!」

ガタガタと震えていた霞ヶ峰さんはなおもそう主張する。

霞ヶ峰 麻衣子「拙者、幸村殿も分倍河原殿も殺してないでござる!拙者は無実でござる!」

ジャック「貴様………!!まだそんな戯言を………!!」

霞ヶ峰 麻衣子「そ、そうでござる!!相川殿が犯人でござる!拙者に殺人の罪を擦りつけるつもりなのでござる!」

北条 業「凛さんが犯人なわけないだろ犯罪者。凛さんの言うことは全て正しいんです。とっとと地獄に落ちてください」

霞ヶ峰 麻衣子「拙者が…………拙者がそんな(ヴィラン)のような野蛮な行いをする訳ないでござる!拙者は絶対的な………みんなの正義の味方(ヒーロー)なのでござる!」

涙を流しながらそう訴える霞ヶ峰さん。

それを見ると………うちの出した結論は本当に正しかったのかと思ってしまう。

本当は彼女が犯人ではないんじゃないか。

もしそうならうちは霞ヶ峰さんにとても酷い事をしてしまっている。

他に真犯人がいるのかもしれない。

そんな考えがよぎった時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明智 麻音「迷うな」

けど、それは明智さんの力のこもった声によってかき消された。

明智 麻音「助手の出した結論は正しい。だから迷うな。この裁判の中心であった助手が迷えば、ワタシ達は一体誰についていけばいいのだ」

相川 凛「でも!それは明智さんのおかげだし………」

明智 麻音「ワタシはサポートをしたに過ぎない。推理をまとめて犯人を指名したのは助手だ」

柴崎 武史「そうッスよ。てか前もその前もそうだったじゃないッスか。だからうだうだ言ってないで早く裁判締めて下さいよ」

柴崎君も面倒臭そうに早くしろと催促してきた。

その言葉にうちは決意を固める。

みんなでここまで議論してきたんだ。

それを信じる他ない。

霞ヶ峰 麻衣子「拙者は犯人じゃないでござる!!!!どうして拙者ばかりを責めるのでござるか!!」

相川 凛「霞ヶ峰さん………。もう一度犯行を振り返るよ。それがもし正解であるなら…………認めて。もう仲間であるあなたのそんな姿、見たくないんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライマックス推理!

 

 

 

 

act.1

 

 

 今回の事件の発端、つまり最初に殺人を企てたのは、被害者である分倍河原君だったんだ。彼は名誉挽回を図る為、恐らく相当前から誰かを殺して黒幕に認めてもらおうと考えてたんだと思う。

 最初に行ったのは凶器の調達だった。でも簡単に凶器がバレたら面白くない。そう考えた彼は武器庫にない物を凶器として利用した。それが鏡の欠片だよ。男子脱衣所にある鏡を割ってその欠片を凶器としたんだ。そして掛け軸を上から掛けた。これは発見を遅らせて犯行時刻を誤認させる目的があったんだよ。

 こうして凶器を用意した分倍河原君は、わざと入口のドアを空けておいてからモノカバミラーハウスの中で誰か来るのを待ち伏せた。多分殺すのは誰でもよかったんだと思う。なんで待ち伏せ場所をミラーハウスに選んだのかは分からないけど、空腹が限界を迎えて誰かしらがここから出られる鍵を求めてやってくるんだろうって予想したんだろうね。

 

 

 

 

 

 

act.2

 

 

 その頃、今回の一人目の被害者である香織ちゃんは、柴崎君との立ち話を終えて日付が変わる12時前にミラーハウス前を通りかかった。入口のドアが空いている事に気がついた彼女は、様子を確認する為に中に入った。そして一問目のクイズを回答する場所まで進んだ瞬間、潜んでいた分倍河原君に襲われてしまった。

 でも、それに気がついた香織ちゃんは分倍河原君の腕を掴んで危機を回避しようとしたんだ。一方、分倍河原君も香織ちゃんの腕を掴んで取っ組み合いの状態になった。けど、男と女だし力の差は歴然。おまけにうちらの中で一番の怪力の持ち主である分倍河原君が相手だから敵う筈もなかった。香織ちゃんは痣が出来るほど腕を強く握られて掴んだ手を離してしまい、その隙に首を複数回掻き切られてしまったんだ。

 香織ちゃんを殺したと思い込んだ分倍河原君はミラーハウスを去った。けど実際、まだ香織ちゃんは生きていたんだ。香織ちゃんは最後の力を振り絞ってミラーハウスの入口付近まで進み、「9四香L」というダイイングメッセージを残して生き絶えた。これは「裁判場の席で、香織ちゃんの五個左の席の人」を表していた。つまり分倍河原君が犯人だと示すダイイングメッセージだったんだね。

 分倍河原君が返り血をどうやって防いだのか、そしてその後どのように行動したのかについては本人が死んでいるから分からないけど、総合的に考えて香織ちゃんを殺した犯人は分倍河原君で間違いないよ。

 

 

 

act.3

 

 

 けど、事件はそこで終わらなかった。

 これは予想でしかないんだけど、今回の事件の犯人が分倍河原君が香織ちゃんを襲う所を見てしまったんだと思う。それを好都合だと考えた犯人は、恐らくミラーハウスから出てきた分倍河原君に声をかけ、自身の殺人に協力して欲しいという旨を伝えたんだよ。当然、分倍河原君は申し出を聞く筈が無いから、『銀山香織を殺したという事実をみんなにバラされたくなかったら協力しろ』みたいな感じで脅しをかけたんだろうね。

 協力関係を結んだ二人は、まず犯行に必要な凶器の調達に向かった。当然その場所は武器庫だよ。けど、見張りの黒瀬君がいる以上、彼の監視を掻い潜って武器庫の武器を入手するのは不可能だった。だからまず彼を行動不能にする事にしたんだ。

 犯人は事前にどうにかして入手したスタンガンを使って、夜中見張りをしていた黒瀬君を気絶させた。スタンガンを選んだのは、力のないクロでも彼を簡単に気絶させる事が出来るからだと思う。そしてC4爆弾を2つと手榴弾、手錠とボイスレコーダーをそれぞれ一つずつ持ち出したんだ。

 その後、分倍河原君に剣5本、アサルトライフル、日本刀、木製バットを目立たない茂みに運ばせて隠した。あの剣は学則違反による処刑で使われる物と同じ物で、一般人は到底持ち上げられない程の重さがあった。けど、力のある分倍河原君なら持ち運ぶ事はかのつだったんだ。

 剣以外の武器を隠した理由は分からないけど、剣を隠した理由は、後のトリックがバレないようにする為だと思う。

 

 

 

 

act.4

 

 

 午前6時頃になると、独島さんを騙った偽のメッセージで呼び出された幸村さんが観覧車前にやってきた。犯人は待っている幸村さんの後頭部をさっき持ち出した木製バットで殴りつけて気絶させたんだ。

 その後、犯人は気絶した幸村さんを観覧車に乗せて逃げないように手錠をかけると、自身も乗って爆弾をゴンドラに取り付けたんだ。観覧車に乗ったのが6時9分頃。観覧車が一周するのにかかる時間は16分だから、犯人は6時25分に一周して観覧車を降りる手筈だったと思う。

 けど、それはある人物によって妨害されてしまうんだ。降りようとした時、業ちゃんが観覧車の近くにいたんだよ。だから犯人は降りようにも降りられず、仕方なくもう一周することにしたんだ。結局犯人が観覧車から降りたのはさらに16分後の6時41分頃になってしまった。

 そして7時になると、犯人はまず手榴弾を一発爆発させたんだ。恐らく、共犯者である分倍河原君への合図か何かと思うけど、とにかく外にいたうちと明智さん、そして万斗君の三人は、その音に引き寄せられる形で観覧車前に集まった。

 それを見計らって犯人は、幸村さんの乗ったゴンドラが頂点に達した瞬間にC4爆弾を爆発させた。流石にこの爆発はある程度防音性のあるカプセルホテルやミラーハウス内にいても聞こえたみたいだった。そしてうちらが目を疑った数秒でゴンドラと一緒に幸村さんが転落してきて死亡した。犯人は幸村さんが爆発で死なないように爆弾の設置場所を工夫していたんだ。犯人がわざわざ転落死を選んだ理由は不明だけど………。

 最後に犯人は死体発見アナウンスを聞いて集まったみんなに乗じて、『さも今まで寝ていて爆発で慌てて目を覚まして合流した』ように演じたんだ。おまけに犯人は事前にある工作を施した。自身のいびきをボイスレコーダーに録音してカプセルホテルのベットに設置しておいたんだ。これによって犯人は犯行時刻に自身が寝ていたとアリバイを証言出来ると踏んだんだ。

 

 

 

 

 

 

act.5

 

 

 こうして幸村さんの殺害に成功した犯人だけど、まだやるべき事が残っていた。それは分倍河原君を殺す事だよ。犯人は彼と手を組んだ時点で彼を切り捨てるつもりだった。全てを知っている分倍河原君の口封じの為にも彼を殺すのは決定事項だったんだ。

 犯人はまず分倍河原にメッセージか何かを送り彼を男子脱衣所に呼び出した。そして犯人はなんと、モノカバのモノマネーシステムにハッキングを仕掛けたんだ。ハッキングなんて普通の高校生に出来る筈が無いんだけど、才能柄機械と触れ合う事が多く、かつ機械に精通している犯人は十分可能だったんだ。

 無事ハッキングに成功した犯人は、分倍河原君のモノマネーをいじって、その場でゼロにしてしまったんだ。そして分倍河原君は四方から飛んできた剣に全身を貫かれて死んでしまった。捜査時間の短い間に起きた殺人事件の真相は、モノマネーがゼロになるとその場で処刑されてしまうという学則を利用した遠隔殺人だったんだよ。男子脱衣所を選んだ理由は、自身が女子であるから男子脱衣所にいた分倍河原君は殺さない、と後で主張するつもりだったのかもしれないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが事件の真相だよ。もう、認めてよ………!」

 

 

 

 

 

 

《超高校級の動画投稿者》、霞ヶ峰 麻衣子さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノカバ「や〜っも結論が出たカバ?オマエら時間かかりすぎカバ!!じゃあ、お手元にあるパネルで投票して下さいカバ!!じゃあまず一人目の被害者、銀山香織サンを殺したクロに投票するカバー!これ間違えたらシロの奴らは全員死亡だから慎重に投票するカバ!」

うちはゆっくりと既にバツ印の付いている分倍河原君の顔写真をタッチした。

 

 

 

モノカバ「じゃあ次は二人目の犠牲者、幸村雪サンを殺したクロに投票カバ!これは間違えてもシロは死なないけど、投げやりに投票するのはオイラ悲しいからちゃんと投票して欲しいカバ………」

震える手で霞ヶ峰さんの顔写真をタッチする。

 

 

 

モノカバ「そして最後に、三人目の犠牲者である分倍河原剛クンを殺した犯人を投票するカバ!!」

同じく霞ヶ峰さんの顔写真をタッチ。

 

 

 

   

 

 

 

モノカバ「全員投票が終わったカバね!では、投票の結果、クロになるのは一体誰なのか?そして正解なのか不正解なのか?ドッキドキのルーレットターイム!!!!」

すると、うちらのドット絵が書かれた巨大なルーレットが出現し、回転し始めた。そして分倍河原君の所で止まると、「guilty!!」の文字と共に大量のコインが出てきた。

 

 

 

さらにもう一度ルーレットが回転し始める。

今度は霞ヶ峰さんの所で止まり、またもや「guilty!!」の文字と共に大量のコインが吐き出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

霞ヶ峰 麻衣子「拙者は………拙者は犯人ではないでござる………!うぅ………うわあああああ!!」

 

 

 

 

 

 

号泣してその場に崩れ落ちる霞ヶ峰さん。

 

 

 

 

 

 

それは、彼女が犯人だと示す何よりの証拠であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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