謎の校内放送で呼び出されたうちら超高校級の生徒達は、1階の103教室に集まっていた。教室に入るとすぐ近くに、さっき保健所にいた2人が立っている事に気づいた。
「飛田君!もう大丈夫なの?」
「うん…大丈夫だよ…心配かけてごめんね…」
そうは言うものの、顔色はまだ悪い。多分無理してここに来たのだろう。
「何かあれば私に仰って下さい。医者ではありませんが、看病くらいなら出来ますから」
喜屋武さんは心配そうに飛田君を見た。
「ありがとう…喜屋武さんには、迷惑かけるね…」
「うちも何かあったら手伝うよ!」
「無理はするなよ飛田」
「相川さんと銀山さんもありがとう。助かるよ…」
そう言ってうちらは2人から離れる。
集まったのはさっきの校内探索で会わなかった人も含めて全部で17人。えっ?新入生ってこれだけ?
「相川さん、何か新しい情報は見つかりました?」
すると、近くにいた柴崎君が小声で話しかけてきた。
「ううん、特に有力な情報は何も。柴崎君は?」
「僕も大した収穫は無かったっすね。ただ、途中で何人かと会ったんすけど…」
そう言ってチラッと左前方にいる3人組を見た。ん?なんか1人ものすごい形相で柴崎君の事睨んでるけど…何かあったのかな?
「全員、やっぱり気絶して、どこかしらに放置されてたみたいっす」
「あ、それはうちが会った人もみんなそうだったよ」
「やっぱりそうっすか。謎が深まるばかりっすね」
「あーあーマイクテストマイクテスト!!
オマエら、全員集まったかカバ!!」
すると、黒板の前にある教卓から、校内放送の時と同じ喧しい声が聞こえた。
「やっと犯人のお出ましっすか」
柴崎君が隣で呟いた。
「カバカバカバ!!!オマエらグットモーニング!!」
そして、教卓から灰色のツギハギだらけのぬいぐるみが飛び出してきた。
「きゃあ!?」
思わずびっくりして変な声が出てしまった。
「アレ?オマエら何ポカーンとしてるカバ?おはようと言われたらおはようで返す。これ常識カバよ〜!」
いや待って状況が理解できない。ぬいぐるみが動いて、しかもうちらと会話しようとしてる…?
「ぬ、ぬいぐるみが動いてるぅぅぅぅ!?!?」
「というか喋ったぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぎゃあああああ!?摩訶不思議でござる!!」
それぞれが予想外の出来事にパニックになっている。
「おお!!オマエらいいリアクションカバねー!1ヶ月前から準備した甲斐があったカバ〜」
謎のぬいぐるみがニタニタと笑う。
「チッ、バカ共ガ…ただの機械に決まっているだろウ」
「恐らく、遠隔操作かAIかでしょう。今の科学技術だったら十分可能ではないかと」
「冷静に分析してる場合かよ!?」
その通り。この2人は冷静すぎ。
「おや、そこにいるのは若干貧乳気味なのを気にしてる相川さんじゃないカバ?」
「な、ななななななんで知ってるのそれ?」
思わず大声で言ってしまった。なにこれめちゃくちゃ恥ずかしい。柴崎君とか目をサッと逸らしてるし。違う。誤解だ。こっちを見てくれ。いや間違いではないんだけど。
というかなに語尾にカバって。なんかイラッとするんだけど。
「いや〜相川サンのリアクションは相変わらず面白いカバね〜!さすが芸人志望なだけあるカバ」
「誰が芸人志望だし!!そもそもうちは…」
「『相変わらず』だト?それはどういう意味ダ?」
すると、うちが話し終わる前に、ジャック君がぬいぐるみを睨みつけながら言った。さらに、
「言葉通りに捉えるなら、恐らくあなたは相川さんの事を以前から知っている。いや、相川さんだけでなく私達全員の事を知っている、ということでしょう。違いますか?」
霜花さんがそれに続いて鋭い目を向けながら問いかけた。
ぬいぐるみは少しの時間沈黙した後、
「ハァ……これだから鋭い学生は嫌カバ。すぐこっちの揚げ足取ろうとしたりするし、ホントにキミ達可愛くないカバ」
「あなたに可愛がられる筋合いは微塵も無いですね」
「ふざけた事を抜かすナ」
「キミらホントに素っ気ないカバ。まあ、茶番はここまでにするカバ」
そう言ってぬいぐるみは教卓から飛び降りると、うちらの前に立ち、
「オイラはこの絶望ヶ丘大学 学長 モノカバだカバーーーー!!」
[絶望ヶ丘大学 学長] モノカバ
「学長…???学長ってなに〜?」
「中学でいう校長みたいなものだ。この学校のトップ、ということになるな」
「なるへそ〜。銀山さんありがとう〜」
「というか、大学ってどういうことだ!俺らまだ高校生になったばかりだぞ!」
「そうだよ!!それにせんせーがぬいぐるみって普通ありえないよ!どういうこと!」
「アタシらは忙しいんだ!こんな所に閉じ込めてないで早く解放しな!!」
「もう〜うるさいカバねー。オイラは聖徳太子じゃないんだから、いっぺんに喋んないで欲しいカバ。オイラは優しいからちゃんと説明してあげるカバ」
モノカバはまた教卓に乗ると、
「まず、オマエらは高校生ではありませんカバ!」
は????????????????
「あ?何言ってんだ。俺らはれっきとした高校生だろうが」
「そうだよ!ウチまだ15歳だよ!え?もしかしてウチ知らない間に飛び級とかしてるとか?」
「安心しロ。それは断じて無イ」
「ヒドっ!?なんでそういうこと言うの⁈」
「やめろ近寄るナ。バカがうつル」
「バカがうつるってなんだよーーーー!!」
ジャック君、ウイルスとかじゃないんだし、バカはうつんないから。
「全く……バカな幸村サンに教えてあげるけど、別に飛び級とかでここにいる訳じゃないカバ。そして、オマエらはちゃんと大学に入れる年齢に達してまーす!!」
「あ!カバにバカって言われた!!」
「じゃあアタシ達は今18歳ってことかい?」
「そんなわけねぇだろ!!俺まだ16歳のバースデーケーキ食べた記憶ねぇぞ!!」
そんな訳はない。だってうちはこの間15歳の誕生日を迎えたばかりだ。だから自分の年齢は15歳だと胸を張って言える。
すると、モノカバは笑い出して
「カバカバカバ!!あれぇおかしいカバね〜!!年齢は実際は大学生なのに自分達は高校生だと思いこんでる…これがどういう事か、分かっちゃった人もいるんじゃないカバ?」
そう言ってなぜかうちを見た。確かに聞いた瞬間、この矛盾を解決出来る考えが浮かんでしまった。だが、それはありえないような事だ。いや、こんな事はあってはならない。
「なんだよ???もしかしてお前分かったのか!?」
さっき喋ってた長身の男子がうちに聞いてくる。自然とうちに視線が集まる。
うちは覚悟を決めて一度深く息を吸うと、
「多分、うちらは高校生の時の記憶を消されてるんじゃないかな…」
「はええええええええええ!!!!」
「なんだと!!」
「じゃあ僕たちが消された記憶って…」
「高校入学時から、卒業までの3年間、ということになる…」
巨大な筋肉質の男子がそう呟いた。
「大正解カバ〜!!!!オマエらには高校入学から卒業までの3年間の記憶がありませ〜ん!!」
「さ、3年間だって…」
「も、もう嫌でござる!早くここから出して欲しいでござる‼︎」
「そそそうだ!!俺のチームメイトも外で待ってるんだ!出しやがれ!」
「ボクにだってボクの情報を必要としてくれる人がいるんだ!」
またそれぞれが騒ぎ始める。当たり前だ。だって急に自分達が大学生で、しかも記憶を消されてるなんて言われたんだから。うちも今すぐできるなら叫びたい。早く家に帰りたい、助けてくれって。
「カバカバ…順調に絶望してるね…じゃあ時間も押してるしサクサク進めるカバねー」
そしてモノカバはさらにとんでもない事を言い始めた。
「オマエらには規定単位数を修得するまでここでずっと生活してもらうカバー!」
単位??大学生が俺単位落としたわーとか言ってるあの単位の事?
「規定単位ー?」
「そうカバ。取れるまでは外には出られないカバ」
「つまり、私達に講義を受けて、単位を修得しろと?」
「そうカバ〜。だって大学は自分の興味のある分野について勉強する場所カバ。オマエらに勉学を強制するのは当たり前だカバ」
「その、規定単位数は、どのくらいなの…?」
「よくぞ聞いてくれましたカバ飛田クン!それは…」
「1000単位カバ!!1000単位取れればここから出してあげるカバ!」
1000単位…?単位の仕組みをよく分かってないうちでも多いっていうのはなんとなく分かるけど…
「貴様…ふざけているのカ…?」
ジャック君が拳を怒りで震わせながら睨みつけた。
「ジャック殿?貴方はどうやら単位制度の仕組みに明るいと見える。拙僧らにも詳しく教えていただいてもよろしいか?」
ジャック君は一瞬黙って息を吐き出した後、ゆっくり話し始めた。
「単位制とハ、授業科目を単位と呼ばれる学習時間に分けテ、修得する方式ダ。1年間学習することによってもらえる単位は科目によって異なる場合が多イ。一般的な4年制大学ハ、卒業条件として124単位程度を指定してる場合が多ク、学校によってはそれ以上課されることもあル」
「じゃあ、1000単位って…」
「馬鹿げているナ。1年間に何単位もらえるか知らんガ、卒業までには何十年もかかる可能性があル」
「な、なんじゅうねん!?!?」
「あーあ、ジャッククンにほとんど説明されちゃったカバ…オイラが言いたかったのに…」
「 けど、今の説明で1年でもらえる単位数が知りたくなったカバ?しょうがないからオイラが教えてあげるカバ!」
モノカバはまたニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべながら、
「オマエらが1年でもらえる単位は1つの科目につき2単位カバ〜!そして1年で取れる単位の上限は20単位カバ〜!」
え?たった20単位⁈卒業までに何年かかるの…?
「これは、僕らを卒業させる気が無いって事っすかね?」
「え?え?どういうことだ?俺まだよく分かってないんだけど?」
「拙者もちんぷんかんぷんでござる」
「ウチも何がなんだかさっぱり!!」
「黙ってろ3バカ」
中澤君が冷静にツッコミを入れる。3バカって…
「つまり、卒業するには、最低でも50年はかかるという事ですよ」
すると、困ってる3人にため息をつきながら教えてあげる霜花さん。冷たそうに見えるけど教えてあげるあたり、意外と優しい。
「はぁあああああ!?50年だと!?ふざけんな!!!」
「そうでござる!!卒業する年には拙者らもう70近い老人になってるでござる!」
「もうおばさんじゃん〜嫌だよそんなのー」
「いや問題はそこじゃねぇだろ…」
「はいはいうるさいカバうるさいカバ。これはもう決定事項カバ。けど…」
モノカバはニヤリと笑うと、
「どうせ文句言うと思ってたから、優しいオイラはもう1つ、卒業出来る方法を用意してますカバーー!」
「もう1つ…それは何…?」
「それは…」
「人を殺すことカバーーーーーー!!!!」
え?
「今、なんとおっしゃいましたか?」
今までずっと黙っていた喜屋武さんが顔を真っ青にして呟いた。
「あれ、聞こえなかったカバ?卒業する為には人を殺せ、って言ったんカバ!」
「お前ふざけてんのか。俺らに人殺しをしろと?」中澤君が冷静に怒りを見せながら言った。
「そうそう!誰か1人殺すだけでいいカバ。勉強が嫌いな奴にとってはかなり魅力的な条件だと思うカバ」
「でも、この中の誰かをこ、殺すなんて、ウチには、で出来ないよ…」
さっきまではしゃいでた元気な女の子は目に涙を浮かべながら俯いてしまった。
「じゃあ大人しくここに残って単位をしっかり取ればいいカバ。まあ最低50年くらいここに居ることになるけどカバ。カバカバカバ!!」
うちらを見て腹を抱えて笑うモノカバ。冗談じゃない。こんな場所に50年もいるなんて。しかもいつ殺されるか分からない状況で。
「あぁーーーーーもう我慢出来ねぇ!!じゃあ俺はテメエをぶっ飛ばして外に出る!!おい!剛!!ジャック!!手伝え!!」
すると、さっき3バカと呼ばれていた内の1人がモノカバに対して戦線布告した。
「了解した。俺もそいつの戯言に怒りを覚えていたところだ、黒瀬」
剛、と呼ばれた巨大な筋肉質の男子もそれに続く。さっき誰かに分倍河原君、と呼ばれていたから多分そっちが苗字なんだろう。
「バカと協力など反吐が出るガ、命を粗末にするクズに従うよりはましダ」
ジャック君も加勢して3人でモノカバへ詰め寄る。
「あれ?あれあれあれ???そんな事してもいいカバ?暴力はいけないって学校で習わなかったカバ?」
「殺し合いをさせる奴に言われる筋合いは無いな」
「これ以上喋るナ綿ゴミ。次喋ったら腹を引き裂ク」
「そうだぜ!黙って早くここから出しやがれ!!」
そう言って黒瀬君?はモノカバの首根っこを掴んで持ち上げた。
「カバカバカバカバカバ!!!!!!」
「あ?何が可笑しいんだよ?」
すると、急にモノカバの雰囲気が変わり、
「あーあ、これだからゆとりは…人を1人殺すだけって言ってんだよ。そんな事も出来ない腑抜けなのかオマエらは?」
さっきよりはるかに低い声のトーンでボソリと言った。一瞬で場が静まる。そして、
「予定より早いけど、まぁいいか。ちょうどいい見せしめになるし」
急にけたたましいサイレンが鳴り始める。その時、天井からゴゴゴと何かが動く音がして、
「学長に緊急事態!学長に緊急事態!出て来いや!断罪の剣!!!!」
「っ!?危ない!!!!上です!!」
霜花さんが叫んだ瞬間、天井から無数の剣が3人に向かって降り降ろされた。
うちは思わず目を瞑ってしまった。
そして目を開けると……………
ジャック君は咄嗟に動いた霜花さんに引っ張られたおかげで無傷だった。だが、
黒瀬君を庇って倒れている分倍河原君の体には、無数の剣が突き刺さっていた。
「キャアアアアアアアアア!!」
誰かの悲鳴が教室中に響き渡った。
「う、嘘でござるよね…誰か嘘と言って欲しいでござる!!」
「違う、これは夢だこれは夢だボクがいるのは現実じゃない…」
「マジかよ…」
非現実な出来事が目の前で起こった事で教室中がパニックになった。
「おい…嘘だ…剛、お、俺を庇って…」
庇われた黒瀬君はただ呆然としてへたり込んでいる。
分倍河原君はピクリとも動かない。うちはその事実を受け止めきれずにいた。さっきまで普通に立って話してた人が。あんなに強そうな人がこんなにあっさりと血まみれで倒れている。うちは思わず崩れ落ちた。
「相川さん。大丈夫っすか」
隣にいた柴崎君に支えられてなんとか立とうとする。だが、足に力が入らない。
「ごめん、腰が抜けちゃって…」
「そうっすか。じゃあ無理しないでそのまま座ってた方がいいっすね」
そうしてまた地面にへたり込んだ瞬間、
「そこをどケ!!!!」
ジャック君が見たことない形相で分倍河原君に駆け寄る。
「………………ッ!!まだ微かに息があル!」
「えっ!?じゃあ分倍河原君は助かるのかい⁈」
「分からン。だが、一刻の猶予を争うのは確かダ。おいヌイグルミ!!コイツを保険室まで運ばせロ!!」
「え〜〜〜〜〜!だって暴力禁止のルールがあるのにそれを破ったのはオマエらカバ。ルール違反者の黒瀬クンを庇った分倍河原君はここで死んでもらわないと困るカバね〜」
今そんな事を言ってる場合じゃないでしょ!?そう言おうとうちが詰め寄る前に…
「ルール?何ですかそれは?初耳なのですが」
霜花さんが先に問い詰めた。
「えーーっと、それはこれから説明しようと…」
「“まだ”説明していないんですよね?だったら私達はルールを知らないはず。それなのに、ルール違反っておかしいですよね?」
「だから…それはオマエらが…」
「知らないルールをどうやって守ったらいいんですか?教えてほしいのですが。それともまさか、こんな理不尽な事をこれからも繰り返して私達を虐殺するつもりですか?」
冷静に、かつ論理的にモノカバを追い詰める。モノカバもその姿勢に、
「わ、分かったカバ!!いいカバ!!早くそのデカブツを連れて行くカバ!」渋々許可した。
「遅いんだよ判断ガ!オイ!誰か運ぶのを手伝エ!俺1人では運べなイ!」
「では拙僧が手伝いましょう。黒崎殿があれではこの中で一番力がありそうなのは拙僧になりますからな」
「じゃあ俺も行くわ。そいつ重そうだし3人で運んだ方がいいだろ」
千野君と中澤君が名乗り出てくれた。黒瀬君はさっきと全く同じ格好で空を見つめていた。きっと庇ってくれた分倍河原君があんな事になってショックを受けているのだろう。2人はジャック君と一緒に分倍河原君を運んでいった。分倍河原君、大丈夫なのかな…ともかく医者のジャック君の腕を信じるしかない。
「チェッ…ここで1人殺す予定だったのに…まぁいいカバ。次の手は考えてあるしカバ」
そう言いつつ、モノカバはまた教卓に飛び移ったかと思うと、何かを教卓の下から取り出してまたうちらの前に来た。
「気を取り直して、さぁ、そんな学園生活を送るオマエらに学長からプレゼントカバ〜〜!」
モノカバはうちらにスマホみたいなものを配り始めた。
「なんだ、これは?」
「これはモノカバ特製スマートフォン、略してカバフォンカバ!」
カ、カバフォン???うちは耳を疑った。
「カバフォンだと?」
「名前ダサッ!?」
「うわぁ、ドン引きっすね…」
「モノフォン、とかじゃないんだ〜。ダサいねー」
「さ、さすがにカバフォンは酷いと思う…」
名前に対する評価は満場一致でダサい、だった。確かにダサすぎる。絶対日常的に言わないもんカバフォンって。
「し、辛辣カバ…一晩じっくり考えた呼び方なのに…」あ、結構落ち込んでる。
「名前なんてどうでもいいです。それよりこれの機能について教えて下さい」
それを無視して尋ねる霜花さん。
「オイラの気持ちは無視…ホント霜花サンは冷たいカバ…ハァ、これはオマエらがここで生活する中で必要不可欠なものカバ。無くしても新しいのはあげないから注意するカバ」
うちは配られたカバフォンを見た。見た目は普通のスマホとなんら変わりはない。
「起動は上にあるボタンを長押しすると開くカバ〜」
ボタンの位置とかはうちが使ってた携帯(ア○フォン)と全く同じだった。早速起動すると、
LA001 相川 凛 [外国語研究家]
と画面に表示された後、いくつかのアプリが入ったトップ画面が表示された。今一瞬名前の前に番号が書いてあったけどあれは学籍番号とかかな?気にはなったが、とりあえずスルーした。
「なんかアプリが既に入ってるけど見ていいんすか?」
「せっかちカバねー。今から説明するからちょっと待つカバ」
「まず1番左にあるのが学則アプリカバ!霜花さんがさっき知りたくて知りたくてしょうがなかったこの大学で守るべきルールが書いてあるカバー!」
「………………………」
うわぁ…霜花さんめちゃくちゃ睨んでる…モノカバいつか撃ち殺されるよほんと…
「その右にあるのは、モノマネーアプリカバー!」
「モノマネーとは一体なんでしょうか?」
喜屋武さんが不思議そうに尋ねる。モノマネーってなんかここで使えるお金、みたいな感じかな?
「うーん、それはまた後で説明するカバ。今3人いないし、結構説明する事が多いから何回も同じ説明するのはめんどくさいカバ」
「なるほど、分かりました」
「その隣にあるのは時計とアラームのアプリカバ。オマエらの目覚めを手助けするアプリカバ」
「そして最後にあるのは、チャットアプリカバ。これでオマエらはいつでも他の人と連絡が取れるカバ。個人同士でも出来るし、グループを作って会話も出来るカバ」
なるほど、L I○Eみたいなものか。これは正直便利だ。
「この下にある『coming soon』っていう奴は何だ?」
銀山さんが尋ねる。あ、うちもそれは気になった。さっきからタップしても全然反応しないんだけどまだ使えないって事?
「それはまだ使えないカバ。『学級裁判』の時に使うから今は気にしなくていいカバ〜」
学級裁判?また物騒な名詞が出てきたんだけど。これも学則を読めば分かるのかな?
「どうカバ!これがオイラが汗水垂らしてオマエらの為に作ったカバ!感謝してくれてもいいカバよ」
モノカバがドヤ顔でうちらを見る。うわぁムカつく。
「へぇ〜モノカバちゃんって汗ちゃんと出るんだー。意外〜」
いや問題はそこじゃないよ独島さん。というかモノカバちゃんって…
「当然カバ!ちなみにかく汗の色はもちろん赤だカバ!本物のカバと同じカバ!」
「ほえ〜カバって赤色の汗かくんだー初めて知ったよ〜」
「良かったカバね。オイラのおかげで独島さんは1つ賢くなったカバ!!」
「良かったー!賢くなった〜さすがモノカバちゃん!頭いいねー」
なぜか盛り上がっている2人。なんで意気投合してるの。
「騙されちゃいけないっすよ。独島さん。その情報は嘘っす」
「えー嘘なのーモノカバちゃん〜?」
「う、嘘なんかついてないカバ!!」
「カバのかいてる汗は実は汗じゃなくてアルカリ性の粘液なんすよ。皮膚を紫外線から守る働きをしているっす。赤い色をしてるのは、赤の色素が紫外線を通過させにくい性質を持っているからっすね」
「ふぇーそうなんだー!柴崎くん詳しいね〜やっぱモノカバちゃんより頼りになるよ〜モノカバちゃんはやっぱダメダメだねー」
露骨な手のひら返し。
「ハァ、一旦持ち上げといてこの仕打ち…なんか心にグサっと来るカバ…」
こっちはこっちで一目で分かるような落ち込み方をしている。めんどくさいな色々と。
「ふ、ふんだ!!別にいいカバ!オイラは忙しいカバ!ここにいない3人にカバフォンを渡さないといけないカバ!じゃあなカバ!!」
そう言ってここから去ろうとする。
「待って下さい!!!!!!」
すると、ずっと黙っていた北条さんが突然、大きな声を上げた。
「あなたが私達にさせたい事は分かりました。では、あなたの目的は何ですか!私達を大学に閉じ込めてまで一体何を成そうとしているのですか!!」
「あぁ、それはね……」
モノカバは今まで以上に気味が悪い雰囲気を醸し出しながら、
「オマエらを絶望させる事。これしか無いカバ」
そう、うちらは既に嵌まり込んでしまっていたのだ
絶望という名の沼に
それも、二度と抜け出せない底なしの沼に
プロローグ ようこそ新たな学び舎へ
END
NEXT→ chapter1 ゼロから始めるキャンパスライフ
生存者
LA001 相川 凛《外国語研究家》
??002 霞ヶ峰 麻衣子 《動画投稿者》
⁇003 喜屋武 流理恵 《調理部》
⁇004 銀山 香織《棋士》
⁇005 黒瀬 敦郎《バスケ部》
⁇006 柴崎 武史《歴史学者》
⁇007 霜花 優月《狙撃手》
⁇008 ジャック ドクトリーヌ 《医者》
⁇009 千野 李玖《茶人》
⁇010 独島 灯里《サブカルマニア》
⁇011 飛田 脚男《バイク便ライダー》
⁇012 中澤 翼 《フットサル選手》
⁇013 錦織 清子《テニスプレーヤー》
⁇014 分倍河原 剛 《空手家》
⁇015 北条 業 《???》
⁇016 万斗 輝晃 《情報屋》
⁇017 幸村 雪 《激運》
残り17人
出来れば年内にあと1回投稿出来たらなと思っています。