ダンガンロンパ キャンパス   作:さわらの西京焼き

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今回ついに………



(非)日常編④

 

 

 

 

「相川ちゃん、アタシの代わりにどうかみんなの事よろしくね。それと、さっき乱暴しちゃって、ごめんね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錦織さんが、死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(非)日常編④

 

 

 

 

 

 

「カバカバカバ!!!!!!最高の気分カバ!!やっぱり処刑は素晴らしいエンターテインメントカバ!!!」

「清子………!このクズ野郎!!ぜってぇ許さねぇ!!!!」

「う、嘘だよね?ドッキリでしょ?姉御がウチら騙そうとしてやっただけでしょ?こんなの、現実じゃ、ありえないもん…」

「またボクは大切な女の子を守れなかった…、ちくしょう………」

「錦織…、すまない………俺が体を張って止めていれば………」

「何という惨い事を………」

「こんなの、現実であっちゃいけないよ……マンガの世界じゃあるまいし…」

「錦織さん………なんでですか………ううっ………」

「…………錦織」

「あいつが死んでもいい理由なんてどこにも無かった筈だ、くそ…」

「…………もう、嫌です」

「僕たちが、いるのって、本当に現実なの………?」

「チッ、人の命を粗末にしやがっテ……反吐が出ル」

「…………悪趣味にも程があるっすね」

「………………………………」

 

 

怒りをあらわにする黒瀬君と中澤君、独島さん。まだ状況が飲み込めてない幸村さん、飛田君。自分の力不足を痛感する万斗君、分倍河原君。目を逸らす千野君、銀山さん。泣きながら顔を覆っている北条さん、喜屋武さん。そして、普段と変わらない状況の柴崎君、ジャック君、霜花さん。みんな反応はそれぞれだ。

 

 

うちは、何も声が出なかった。悲しいのに、今すぐ泣き叫びたいのに。なんで?どうして?

 

 

 

「も、もう嫌でござる!!!!こんな場所!!頭がおかしくなるでござる!!!!!!」

霞ヶ峰さんはそう言うと、全速力で教室から出て行ってしまった。

「もう〜霞ヶ峰さんはせっかちカバね〜。でもオマエら、これでよく分かったカバね!オイラに逆らうとどうなるか」

モノカバは錦織さんの死体を指してそう言った。

「…………………………………………」

「ハァ…、つまんないカバね。もっと泣き叫ぶオマエらを見たかったカバ。まあいいカバ。これからいくらでも見れるだろうし。じゃあ今日のショーはこれで終わり。解散しちゃっていいカバよー!」

そう言ってモノカバは消えて行った。

 

 

 

 

 

「とりあえず、錦織を下ろしてあげないか?流石にあのままではかわいそうだ」

すると、銀山さんがそう提案した。

「…………そうだな。俺がやろう」

「俺もやる。こういうのやるのは女より男の方が適任だろ」

「すまない。よろしく頼む」

分倍河原君と中澤君が率先して動く。

「ジャック、今ので気分が悪くなっている者が何人かいる。診てやってくれないか?君の医者としての腕が頼りなんだ」

「フン、貴様に言われなくても分かっていル」

「助かる」

ジャック君は気分が悪くなっている人の元へ向かう。

銀山さんは動ける人にテキパキと指示を出していく。いなくなってしまった錦織さんの穴を自分なりに埋めようとしているんだろう。元々しっかりしてる人だし、うちよりよっぽどまとめ役に向いている。

 

 

「凛さん、大丈夫ですか………?」

うちがふらふらと立ち上がると、業ちゃんが心配して来てくれた。でも、今は正直誰かと話す気分じゃない。とにかく1人になりたかった。

「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。気分が良くないから部屋に戻るね」

「あ、あの!良かったら私と一緒に………」

「ごめん、1人にしてもらってもいい?誰かと話す気分じゃないんだ」

「凛さん………………」

うちはみんなが何かしら動いてる中、1人部屋に戻る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

3F 相川の個室

 

うちはベットに潜り込んで泣いた。ひたすら泣いた。

 

 

 

姉御肌でみんなのリーダーだった錦織さん。若干せっかちではあったけど、みんなの事を第一に考えて脱出にも意欲的だった。

 

 

 

その錦織さんが死んだ。しかも剣で全身を串刺しにされるなんていう残酷な方法で。

うちは今まで身近な人が死んだっていう経験をした事がない。だからかもしれないけど、知り合ってたった1週間一緒に過ごしただけなのに、ものすごく悲しかった。30分間ずっと泣き続けるくらいに。

 

ただ、それ以上にうちは自分の無力さに打ちひしがれていた。モノカバと錦織さんが口論している時、うちがちゃんと止められていれば錦織さんが死ぬことは無かった。たとえ力が無くて物理的に止められなくても、言葉で説得だって出来たはずだ。でもそれが出来なかった。うちはここに来てから何もみんなの力になれていない。

 

なんかもう自分の無能さが嫌になってくるよ。そうだ。もう死のうかな。ちゃんと遺書とか残して死ねば学級裁判になったとしても迷惑にならないだろうし。生きてるのが辛くなってきた。

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

うちがそんな事を考えていると誰かがドアをノックする音が聞こえた。申し訳ないけど今は誰とも話す気になれない。そう思って無視した。

 

 

 

 

 

コンコンコンコン

 

 

 

 

 

 

またノックの音が聞こえた。うわぁ、なんかすごい罪悪感。でもごめんなさい。うちはまた無視した。

 

 

 

 

 

ドンドンドン

 

 

 

 

 

 

今度は強めにノックされた。もう、しつこいって。うちは今いません。布団を被って少しでも音が聞こえないようにする。

 

 

 

 

 

ドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!

 

 

 

 

 

「うるさい!!どんだけノックするの!!!!!!!」

うちは思わず廊下に飛び出してしまった。

すると、焦った表情をした業ちゃんがいた。

「あ!!!凛さん!良かった!出てこないからてっきり部屋で首を吊ってるんじゃないかって心配してたんですよ!!」

「いや物騒だからやめて!?」

確かにさっきまで死にたいとか思ってたけど。

「とにかく部屋に入れて下さい!!話があるんです!」

「いや、うち今誰とも話したくな………」

「却下です!入りますよ!おじゃまします!!」

そう言って強引に入ってきてしまった。嘘でしょ………

「凛さん。座って下さい。話があります」

そして業ちゃんはうちを座らせる。その様子はいつもの優しい感じではない。

「もしかして………怒ってる?」

「その通りです。ただ、その前に1つ聞きたい事があります。正直に答えて下さい」

業ちゃんはうちの顔をジッと見つめると

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛さん、もしかしてさっきまで死のうとか考えてたんじゃないですか?」

 

 

 

 

 

「……………………えっ!?」

「やっぱりそうですか………さしずめ自分が錦織さんを守れなかったから、自分が死なせてしまったから、何も出来なかったから、といったところでしょう」

「なんで…………」

「何で分かるのか、ですか。凛さん、自分の考えている事が顔に出やすい、ってよく言われないですか?」

それは自分でも分かっている。けど、それだけでこんな細かい事まで全部当てられるなんて。

「私、人の考えてる事を読み取るのには自信があるんです」

うちの言いたい事が分かったのか、先読みしてそれに答える業ちゃん。

「で、ここからが本題です。私が言いたいのは…………」

 

 

すると、業ちゃんは急にうちに近づくと、思いっきりデコピンをした。めちゃくちゃ痛い。

「痛っ!?」

「いい加減、目が覚めましたか?」

「目が覚めたって………」

「何で全部自分1人で抱え込もうとするんですか?もっと周りを頼って下さい」

業ちゃんはうち両肩を掴んで話し続ける。

「それに、凛さんは自分が無力で役立たずだと思っているみたいですけど、それは大きな間違いです」

「ま、間違いじゃないよ………だってうちは現にここに来てから何の役にも立ってないし….」

「それが間違いだと言っているんです。だって、今凛さんの目の前に実際助けられた人がいるんですから」

業ちゃんはうちに微笑む。うちが業ちゃんを助けた?いつ?

「私言いましたよね?一対一のコミュニケーションが苦手で友達なんて1人もいなかったって。そんな私に初めて友達になろうって歩み寄ってきてくれたのは凛さんなんです。私にとってこんなに嬉しい事はありません。凛さんは私の恩人といっても過言ではないんです!」

「そんな大袈裟な………」

「大袈裟なんかじゃありませんよ。それに、凛さんの力を必要としている人は他にもいます。例えば、そうですね………銀山さんとか?」

銀山さん?あんな立派な人にうちの力が必要?ありえない。

 

 

「それに、前話してたじゃないですか。霜花さんと絶対友達になるって。そしてみんなとも仲良くしてもらうって」

うちの中の黒い感情が晴れていく。

「もしここで凛さんが死んじゃったら霜花さんはどうなるんですか?恐らくこのまま一生孤立してしまいます」

そうだ。うちは霜花さんと友達になって、そしてみんなとも仲良くしてもらうっていう目標があったんだ。

「でも….それは他の人でも出来るんじゃ….」

「出来ません。今いる人の中で霜花さんと仲良くなれる可能性があるのは凛さんだけです」

うちにしか出来ない………?

「それに、錦織さんはこんな事絶対望んではないと思います」

「……………うち、錦織さんに最後言われたんだ。『みんなの事、よろしくね』って。それってつまり錦織さんの代わりにリーダーになれって事でしょ?無理だよそんなの…」

「凛さん。錦織さんは別に凛さんにリーダーをやって欲しい訳では無いと思いますよ」

「えっ?」

「錦織さんは『みんなの事、よろしくね』と言ったんです。リーダーをやれとは一言も言ってません。ここからは私の想像なんですが…………」

業ちゃんは一旦息を吐くと、また話始めた。

 

「錦織さんは凛さんのコミュニケーション能力を生かして、みんなをうまく繋ぎ止めて欲しいって思っていたんじゃないんでしょうか?錦織さんがいなくなって1番痛いのは多分リーダーの不在ではなくて、誰ともうまくコミュニケーションを取れる人の不在だと思うんです。そのために凛さんの力が必要なんです。例えば、誰が別の人をリーダーにして、自分は裏でリーダーのサポートをする。そういうスタイルでも問題は無いはずです」

「そっか………別にうちが無理にリーダーになろうとしなくてもいいんだ…」

「そうです。凛さんが1人で重荷を背負う必要はないんです。みんなで協力しましょう!錦織さんが1番望んでいたのは1人も欠ける事なく一致団結して脱出する事ですから!」

そうだ。何を今までうだうだと言っていたんだ。うちらしくない。

 

 

「うん、そうだね…………。ごめん、迷惑かけて。うち、もう負けない。もう迷わない。錦織さんを助けられなかったこの後悔、絶対に忘れない。みんなでここを出るんだ」

うちは完全に立ち直った。綺麗事と言われようが、偽善者と言われようが構わない。絶対みんなで脱出する。それが錦織さんが望んでいた事だから。

「凛さん………!」

「業ちゃん。本当にありがとう。さっき業ちゃんにとってうちは恩人だって言ってたけどその逆だよ。うちにとって業ちゃんは恩人だよ」

うちは業ちゃんを優しくハグした。

「ひゃあ!?り、凛さん!?」

「ん?どうしたの?」

「そ、それは流石に刺激が強すぎです………」

「?? ああごめんね。ついついいつものノリで」

うちは慌てて離れた。業ちゃんの顔は真っ赤だ。

「あれ?でもさっき業ちゃん、うちと一対一だったのにめっちゃ喋ってたじゃん。もう克服出来たんじゃないの?」

「あ、あれはその….私もつい興奮して……」

「なるほど〜うちに説教してて忘れてたってわけね。かわいい〜」

「か、からかわないでください!!もう………穴があったら今すぐ入りたい………」

うちらはさっきのシリアスなムードから一転、いつもみたいに楽しく喋った。

 

 

「だいぶ喋ったから時間が遅くなってしまいましたね」

「そうだね」

時間を見ると、針は23時を指していた。約2時間喋ってたのか。なんで友達とお喋りってこんな時間経つの早いんだろう。

「じゃあ帰りますね。長い時間滞在しちゃってすみません!」

「全然いいよ!うちも業ちゃんとお喋りしてて楽しかったし。あ、そうだ!業務ちゃんにちょっと協力して欲しい事があるんだけど」

「!?はい!!凛さん!何でも言ってください!!」

「実はね……………………」

うちは明日の朝、早速ある行動を起こそうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

軟禁生活7日目

みんなのリーダーだった錦織さんが死んでしまった。学則違反によってみんなの前で殺された。うちは目の前にいたにも関わらず止められなかった。相当凹んだ。けど、業ちゃんが一生懸命うちを励ましてくれた。錦織さんの死を忘れるわけじゃないけど、このまま塞ぎ込んでいても何も始まらない。うちは、助けられなかった錦織さんの意思を引き継いでみんなをうまく繋ぎ止められるように頑張りたいと思う。そのための1歩として明日、早速動いてみるつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8日目 7:15 1F 食堂前

 

うちはいつもの時間に廊下に出て、待ち合わせをしてた銀山さんと食堂前まで来た。銀山さんは相当うちの事を心配してくれてたらしく、昨日はなかなか眠れなかったそうだ。本当に申し訳ない。それと同時に、業ちゃんと銀山さん、うちなんかをこんなに心配してくれる2人に感謝の気持ちでいっぱいになった。

 

「昨日は結局あの後どうなったの?」

「………昨日は錦織の遺体を下ろして、ひとまず解散になった。モノカバによるとどうやら錦織の遺体はあいつが回収してどこかで保管するらしい」

「そうなんだ………具合が悪そうだった人達は大丈夫だった?」

「気分を悪くした3人のうち…、………喜屋武と幸村は健康的には問題ない。ただ、幸村は精神的にかなり堪えているようだ。今朝の朝食に来るかどうか……………。残る飛田だが、あの後吐き気が止まらなかったらしく、ジャックが保健所に連れて行った。その後、薬を飲んで落ち着いたらすぐ個室に戻ったそうだ」

「そっか……3人とも心配だな」

「それもそうだが相川、君は本当に大丈夫か?昨日生気が抜けた表情で帰ったと北条に聞いたからずっと心配してたんだぞ」

銀山さんがうちの顔を覗き込む。

「うん。完全復活とまではいかないけど大丈夫。迷惑かけてごめんね」

「迷惑だなんて事はないが………とにかく悩みがあったら言ってくれ。力になれるか分からないが私が相談に乗ろう」

やばい。銀山さんの優しさに涙が溢れそうになる。

「…………ありがとう。頼りにさせてもらうね」

「ああ。………相川、何で顔を隠すんだ?」

「何でもない!!!!それより銀山さん。早速なんだけど頼みが1つあるんだ」

「なんだ。私が力になれる事であればいいのだが」

うちは銀山さんに耳打ちをした。

「なるほど、いい案だな。私はそれに賛成すればいいのか?」

「うん。その流れになったらうちの案に乗って欲しいんだ。銀山さんが味方だと心強いしね」

「了解した。そのくらいだったら朝飯前だ」

「ああ、あと業ちゃんにも同じこと頼んであるから。1人じゃないから安心してね」

「……………………そうか」

「???どうしたの?」

「いや、なんでもない」

 

 

 

「あ!凛さん!昨日大丈夫だったかい!!ボク、昨日は心配でアレも全然捗んなかったんだよ!」

食堂に入ると今日の当番である万斗君が笑顔でこっちに来た。おい、アレってなんだアレって。

「それに香織さんもおはよう!朝一からキミの豊かなおっぱいを見れてボクはなんて幸せ者なんだろう!」

「ま、まままままたキ、キキキミはそそそそんな卑猥な事を!!!!!!!!………や、やめろ!!そのよよような卑しい目で私の胸を見るな!!!!!」

いつものやり取りが始まった。普段だったら呆れて軽蔑する流れだけど、今はこの万斗君の明るさがうちらの救いになるかもしれない。

 

「お、おはよう…………」

すると、厨房からうちらの声を聞いた飛田君が顔を覗かせた。

「飛田君おはよう!体調は大丈夫なの?」

「う、うん………今は平気………」

「そっか。けど無理しちゃダメだよ!何か手伝える事があったらうちにも言って!何でもするから!」

「う、うん………あ、ありがとう………あと、距離が、近いんだけど….」

飛田君は若干後ずさりしながら頷いた。

「それより万斗。今いるのは君達だけか?他に2人いたはずだが」

冷静さを取り戻した銀山さんが尋ねた。

「雪さんは昨日の件でかなりショックを受けてるらしくてね。部屋に閉じこもっちゃってるんだよ」

「幸村さんが………」

「やはりそうか。」

幸村さん、かなり苦しんでるみたいだ。なんとかしてあげたいけど………

「それに…………あとの1人はもういないんだ。………もう2度と、一緒に料理を作る事は出来ないんだよ………」

「……………………すまない。後の1人は錦織だったか」

万斗君は寂しそうに言った。彼も内心かなり辛い気持ちの筈だ。

「万斗君………うちで良ければ何か手伝うよ。錦織さんみたいに器用に出来ないと思うけど」

「………うん。助かるよ。じゃあこのお皿を運んでくれるかい?」

「任せて!!」

「飛田。私も何か手伝おう」

「あ、ありがとう………じゃあ、これの盛り付けを、お願いしても、いい?」

「了解した」

 

 

 

08:00

 

朝食の時間になった。いつもならみんないて賑やかなはずだが、今日は人数がいつもより少ない。

 

「いないのは………霜花はいつもの事として、霞ヶ峰、柴崎、独島、幸村か」

「柴崎殿と独島殿も時間通りに来ないのはいつも通りですな」

千野君はのんびりお茶を飲みながら言う。

「チッ………」

ジャック君はイライラしながら腕を組む。

「幸村さんと霞ヶ峰さんはどうしましょう………?」

喜屋武さんは悲しそうな表情で尋ねる。

「後で私が個室に朝食を運ぶついでに様子を見てくる。とりあえず今はここにいる全員で食べるとしよう」

「よーしお前ら!!全員手を合わせて!!」

「黒瀬さんの号令、すっかり板についてきましたね!」

「ヘッ、うるさいだけだよあのデカブツ」

「いただきます!!」

 

 

「ごめんみんな!ちょっといい?」

うちは、全員の食事が終わる頃を見計らってそう言った。ちなみに後から来た柴崎君と独島さんに関しては例外だ。独島さんに至ってはまだ半分以上残ってるし、彼女が食べ終わる時には多分みんなくたびれちゃってると思うからスルーさせてもらう。

 

「何ダ。用件だけさっさと言エ。時間が惜しイ」

ジャック君はうちを睨む。相変わらず時間にシビアだ。

「うん、うちから1つ提案があるんだけど….」

 

 

 

 

 

 

 

「今日、みんなでパーティーしない??」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は????パーティー!?!?」

みんなは驚きの表情でうちを見た。それはそうだ。錦織さんが死んだ翌日にパーティーをやりたいだなんて普通だったら不謹慎にも程がある。

「り、凛さん。流石にこの雰囲気でパーティーはちょっと………」

「………うむ。俺もそんな気分にはなれないな………」

「僕も………パーティーとか、好きじゃないし………」

案の定、みんなの反応は渋い。でも、ここまでは想定内。よし、ここからが勝負だ。

「分かってる。でも、うちはどうしてもパーティーをやりたい。その理由は3つあるんだ」

「お聞かせ願えますかな?その理由とやらを」

「うん。まず1つ目はコロシアイの抑制。動機が配られている以上、昨日の錦織さんみたいに正常な判断が出来なくなって、もしかしたら誰かが殺人に踏み切っちゃうかもしれない。でも全員集まってれば絶対そんな事は起きないでしょ?殺人がバレたら終わりなんだから。

2つ目は錦織さんが前みんなでパーティーをしたいって言ってたんだ。だから彼女の願いを無駄にしたくないな、って思ったんだ。そして3つ目は…………単純にうちがパーティー好きだし、これを機にみんなともっと仲良くなりたいから、かな?」

ちなみに、2つ目の理由は半分嘘だ。前に何かみんなでやりたいとは言っていたけど、パーティーをやりたいとは一言も言っていない。

「だから協力して欲しい。どうか、お願いします」

うちは頭を下げた。

 

「いいんじゃないか。私は賛成だ」

「私も賛成です!!反対する理由がありません!!」

そこに賛成意見が出る。銀山さんと北条さんだ。

「え!?香織と業!?でもよ………」

「逆に皆が渋る理由は何だ?コロシアイの抑制となり、交流を深められる。錦織の願いを叶えられて、モノカバへの対抗策としても効果的。反対する理由は1つも無い」

「そうですよ!!これを機にみんなもっと仲良くなれるんです!このチャンスを逃す手はありません!!」

「た、確かに………」

「一理ありますな」

「フン、くだらン。俺は帰ル」

 

すると、ジャック君が席を立って帰ろうとする。けど、これも想定内。

「ジャック君、どうしてもダメかな………」

「…俺は無駄な労力を使うのは嫌いなんダ。今日パーティーをしてコロシアイを抑制したところで明日起こるからしれないだろウ。所詮その場凌ぎに過ぎなイ」

確かにその通りだ。今日防いだところで明日、殺人が起こるかもしれない。コロシアイの抑制には不十分だ。

「ふぅ…………やっぱりこうなるか。じゃあしょうがない。ジャック君には強制的に参加してもらう事にするよ」

「なニ?」

ここは強引な手を使わせてもらう。

「もし参加しないなら、うちはジャック君が参加してくれるまで個室のドアを永遠にノックし続けるから」

「なん………だト…………」

「あと、ジャック君のご飯に毎日欠かさず人参入れてもらうから」

「き、貴様………卑怯な手ヲ………」

「ごめんね。うちが相当わがままなのは分かってる。けど、うちはもう誰かが死ぬのは見たくない。だからやれる事はやっておきたいんだ。みんなで脱出するためにも」

 

 

 

「よし分かった!!凛主催のパーティー、オレは参加するぜ!!」

「黒瀬君!」

「元々パーティーはオレ大好きだしな!断る理由はねぇよ!」

「黒瀬君………ありがとう!!」

すると、黒瀬君に続いて、

「………ボクも!参加するよ!!そうだ、よく考えてみれば女の子と一緒にパーティー………そして夜は女の子を部屋に持ち帰り、朝までムフフな展開に…。くぅーーー!!テンション上がってきた!!!!」

「コロシアイの抑制の為ならば………俺の力が役に立つかもしれない。俺も参加させてもらおう」

「では、料理に関してはお任せ下さい。私の腕を存分に振るわせていただきます」

「パーティー…………拙僧は初めての体験なのですこし楽しみですな」

「………正直、パーティーとかあんまし好きじゃねぇんだけどな…。まあみんな参加するなら俺も出るか」

「僕も………少しの時間でいいなら、参加、しようかな…」

「いいね〜パーティー。もしかしたらここで新たな恋が芽生えるかも………フフッ、楽しみだなぁ〜」

「いいっすね。ぜひやりましょ」

柴崎君がこっちを向いてまた不気味な笑みを向ける。え?何その笑い?喜んでるの?

でも良かった。なんとかパーティーは開催できそうだ。

 

「ジャック、君はどうするんだ」

銀山さんはずっと黙っているジャック君に問いかける。

「…………………」

「相川はしつこいぞ。1度決めたら曲げないからな」

「………………………………」

「ドアを毎日叩かれ、食事には常に人参が入っている………そゆな悲惨な状況になるのだったらパーティーに参加する方が君にとって合理的だと思うが?」

「………チッ。分かっタ。参加すル」

「ジャック君………ありがとう!!」

「だが勘違いするナ。貴様らと馴れ合う気は無イ。ただコロシアイの抑制という理由の為に参加するだけダ」

「うん!!」

本当はみんなと距離を縮めて欲しいけど、参加してくれるだけでもありがたい。

「ジャック君、ごめんね。なんか無理やり参加させちゃって」

「…………これは貴様に対する貸しダ。いつか返してもらウ」

ジャック君はそっぽを向いて言った。

「うん!必ず返すね!」

「その言葉、忘れるナ」

 

 

 

「相川、ここにいない3人は…………」

「もちろん、参加してもらうよ!!」

「相川、なんか段々と強引になってきてないか………」

「もう開き直った!!それで銀山さんに幸村さんの説得をお願いしたいんだけど………」

「了解した。霞ヶ峰の方はどうする?」

「霞ヶ峰さんは業ちゃんにお願いしたよ」

「では相川は………霜花か」

「うん。霜花さんはうちにやらせて欲しい。必ず連れてくる」

「そうか。ではお互い頑張ろう」

「うん!!」

 

銀山さんはみんなに集合する様に呼びかけた。

「では分担を決めるか。まず料理を作る班と飾り付けの班、そして….」

「発表班、とかどう?みんなの前で自分の得意な事を発表するの!!」

「なるほど!それは面白いな!」

「では分担だが………」

 

 

料理班   喜屋武 中澤 北条 ジャック

装飾班   相川 霞ヶ峰 霜花 独島 幸村

発表班   黒瀬 銀山 柴崎 分倍河原 万斗

 

 

発表班の人には会場のセッティングもやってもらう事になった。ちなみに会場は2階の204会議室だ。食材や飾り付けの費用は、みんなで均等に出す事にした。けど、それじゃあ申し訳ないので、言い出しっぺのうちがこっそり多めに払っておいた。

 

 

「じゃあ開始は16時で!!みんな、絶対成功させよう!!」

「おーーーーーー!!!!」

よし、うちはうちのやるべき事をやらなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

09:00 3F 霜花の個室前

 

うちは霜花さんの個室前に来た。早速ノックする。

「霜花さん?ごめんね、話があるんだけど」

すふと、意外な事にすぐドアを開けて顔を覗かせた。

「………また貴方ですか。関わらないでと言ったはずですが」

「うちがそれを聞く義理は無いと思うんだけど」

多少強気でいく。こうでもしないと多分霜花さんには勝てないし、友達になんて一生なれない。

「…………それで、私に何の用ですか?」

うちの言葉に驚いたのか、多少顔をびっくりさせながら聞いてきた。

「今日、5時からパーティーをやるんだけど、是非霜花さんにも参加してもらいたいんだ」

「お断りします」

予想通り、霜花さんはすぐドアを閉めようとする。うちはそれを間に足を挟んで阻止した。

「……ッ!?」

霜花さんが驚きの表情を見せる。

「霜花さんならそう言うと思ったよ。じゃあうち、霜花さんが参加してくれるまでずっとここにいるから」

「…………貴方、本気で言ってるんですか?」

「うん。うち、諦めが悪いからさ。1度決めた事は絶対達成するまでやめないタイプなんだ。あ、例え霜花さんが無理矢理ドアを閉めても、出てくるまでドア叩き続けるから」

「くっ…………………なんてタチの悪い………どうしてそこまで私に構うのですか?はみ出し者の私なんか放っておけばいいんじゃないですか!」

霜花さんは必死にドアを閉めようとする。

「だって、………霜花さんと友達になるって決めたんだもん!!今回のパーティはそのための第一歩!さっき言ったでしょ!!うちは1度決めたらそれを達成するまで絶対諦めないって…………くっ!!」

「貴方は………やっぱり私の大嫌いなタイプです………」

「くぅぅ………そうですか!!でも絶対うちは霜花さんを引きずり出して参加してもらうから!!」

 

 

 

 

 

「何をやっているでござるか?あの2人は?」

「多分今、2人は壮絶な闘いを繰り広げているんだと思います」

私、北条は凛さんに頼まれた通り、霞ヶ峰さんの説得に出向きました。

正直、一対一の会話はまだ苦手なので心配でしたが、凛さんとの普段のお喋りのおかげで多少改善されたのか、意外とすんなり話すことができました。凛さんには感謝しかありません。

霞ヶ峰さんは不安そうでしたが、元々明るい性格で、楽しい事が大好きな人。パーティーの話を出すと、すぐ参加すると言ってくれました。昨日はショックで寝込んでいたらしいですけど、今日は見たところ大丈夫そうですね。

「じゃあ早速行きましょう!霞ヶ峰さんは装飾班ですから飾り付け、お願いしますね」

「まっかせるでござる!!拙者の手にかかればちょちょいのちょい、でござる!!」

張り切る霞ヶ峰さんを先に連れ出し、私は格闘してる凛さんを見ます。

凛さん。頑張って下さい。きっと凛さんだったら大丈夫です。私、信じていますので。

 

 

 

 

 

 

09:30

 

うちと霜花さんは均衡状態にあった。力が強いのは霜花さんだけど、うちは足をうまく使って力の差を補っている。

「ハァ………しつこすぎですよ貴方…そろそろ限界じゃないですか?諦めた方が身のためですよ」

「し、霜花さんこそ、腕、もう疲れたんじゃない?大人しく、参加した方が早いと思うよ………」

「私はこれでも腕を普段から使う狙撃手。対して貴方はインドアの才能であり、筋力も大して無い。人の心配より自分の心配をした方がいいのでは?」

うちらはまた睨み合う。正直、このままだと負けるのは確実にうちだ。しょうがない。元々力で勝てるとは思っていない。よし、次の作戦、「ひたすらドアを叩く」作戦に移行するか。そう思って足をどけようとしたら、

 

 

「………どうやらこれ以上粘っても時間の無駄のようです。分かりました。私も参加しますよ」

霜花さんは力を弱めてそう言った。

「……………………何ですか、その顔は。何か不満でもあるのですか?」

「いや、そうじゃなくて………正直、霜花さんこれくらいじゃ絶対来ないと思ってたからびっくりして…、頑固だから」

「最後に凄く失礼な事を言った気がしますが………まぁ気のせいでしょう。次言ったら頭ブチ抜きますけどね」

ヒェ………今恐ろしい事を聞いてしまった。

「とにかく、パーティーに参加します。これでいいんでしょう?」

「うん!!本当にありがとう!!うちすっごく嬉しいよ!」

うちは霜花さんの手をぶんぶんと上下に振った。

「鬱陶しいのでやめて下さい。それと条件が2つあります」

「条件?」

「1つ、私はパーティーの場で食事は絶対にしません。全員が揃う場所なので可能性は低いですが、毒が混ぜられているかもしれないですから」

「そんな事無いと思うけど………分かった。大丈夫だよ」

「2つ、私はパーティーに警備として参加します。騒がしいのは嫌いだし、貴方達と親交を深めるつもりも無いですから」

「そ、そんな!?そしたら霜花さんが楽しく無いじゃん!みんなと交流を………」

「この条件を飲めないのなら私は絶対に行きません。さて、どうしますか?」

「くぅぅ…………」

かなりうち的には不満だけど、参加してくれるっていうだけで大きな進歩だ。前は関わろうとすらしなかったから。

「…………分かった。その条件でいいよ。来てくれるんだったら」

「…………全く納得していない顔ですが。まあこれで交渉成立ですね」

霜花さんが今度こそドアを閉めようとする。うちはまた足を間に挟んだ。

「…………まだ何か?開始は16時でしょう?それまでは行きますよ」

「何言ってるの?霜花さんも準備手伝ってよ。装飾班になってるんだから」

「また勝手にそんな………私は絶対に行きま………」

「……………………」

「ハァ………分かりました。行きますよ。5分待ってください。支度をするので」

「分かった!!ちゃんと5分経ったら出てきてよ!!閉じこもったらダメだからね!!」

「しませんよそんな事。………ますます貴方の事が嫌いになりそうです」

霜花さんはそう言ってドアを閉めた。なんとか連れ出せはしたけど………友達どころか、余計に嫌われちゃった。完全に作戦ミスったよねこれ………

 

 

 

 

2F 204教室

 

会議室を開けると、装飾班のみんなが折り紙で飾り付けを作っていた。

「おーーーーー!!りんりんと、………ゆうちゃん!?ゆうちゃんだ!!本当に連れてきたんだ!すごーい!」

幸村さんが真っ先にこっちに向かってきた。

「誰ですかゆうちゃんって。変なあだ名で呼ばないで下さい」

「えーいいじゃん!『優月』って超いい名前だし!なんなら『ゆづぽん』とか、『ゆづきち』とかでもいいけど?」

「……………。最初の奴でいいです」

相変わらず微妙なネーミングセンスだ。

「それより幸村さん、昨日のはもう、平気なの………?」

「うん………平気じゃないかって言われると嘘になると思う。だって、前まで一緒に喋ってた友達が………姉御があんな事になって………ウチもいつかあんな風に死んじゃうのかって考えたら、怖くて…」

「でも、姉御は多分、ウチがずっと落ち込んでるのは許さないと思う」

「多分、ほら、シャキッとしなっ!って言ってうちの背中を叩くと思う。だから、ウチ落ち込んでられないなって!!それにさっきトイレでかおちゃんに会って励まされたし!」

銀山さん、うまくやってくれたみたいだ。幸村さんも完全復活したし、万事解決ってやつかな。

「相川殿〜!拙者も復活したでござるよ!」

「うん、さっき霜花さんと話してる時会話がちょっと聞こえたよ。良かった、元気になって!」

「かたじけないでござる!それにしても2人のバトル、凄かったでござる!ドア越しに睨み合って、まるでバトル漫画みたいだったでござる!!」

「えっ!?バトル漫画みたい!?見たかったな〜。いや、それとも女2人で見つめ合う………もしかして百合展開とか?」

「貴方達、殺しますよ」

「ヒイィ!?」

「ご、ごめんね〜。ちょっと調子に乗りすぎた〜」

「ハァ………それで、私は何をすれば?」

「あ、うちもやるよ!何すればいい?」

「うーん、じゃあそこに付ける飾りを作って欲しいかな。うちとかすみーとどくちゃんで残りの部分やるから」

「了解!」

「………」

うちらは作業に取り掛かり始めた。

 

 

 

 

 

16:00

 

会場である204教室は華やかな飾りに彩られ、テーブルにはありとあらゆる料理がてんこ盛りになっていた。

「よし、全員揃ったな」

グラスを持った銀山さんが周りを見渡す。霜花さん以外は全員、ちゃんとグラスを持って出席している。

「みんな、今日は色々準備手伝ってもらってありがとう!!色々やるべき事はあると思うけど、とりあえず今は楽しんで、みんなでもっと仲良くなろう!!!乾杯!!!!」

「乾杯!!!!!!」

そして楽しいパーティーが始まった。

 

 

「なんだこれ!!メチャクチャうめぇな!!!!」

「それは『生ハムのアボカドクリームチーズ巻き』ですね」

「流理恵さん!!じゃあこれは?!」

「それは『鯛のカルパッチョ』ですね。ちなみに作ったのは両方ともジャックさんですよ」

「マジか!?ジャック、お前料理本当にすげえな!!」

「ハッ、たけのこ医者が作ったのかよ。しょうもな」

「なんダ、自分に作れないからって嫉妬カ。見苦しいぞ変態情報屋」

「だ〜〜〜〜れがてめぇみたいな腐れイケメンに嫉妬するかバーカ!」

「万斗君、美味しかった物は素直に美味しいと言った方が作った人も喜ぶだろうしいいと思いますよ」

「めちゃくちゃ美味しいです!!」

「意見変わりすぎだぜ輝晃…」

「中澤殿、この料理はなんというのですか?」

「これは白身魚のフレンチだな。ああそうか、千野は和食派か。悪りぃ。今日は洋食寄りになっちまった」

「いやいや、普段食べる事がない分、どれも新鮮でとても興味深いです。味も美味しい、大満足ですな」

「そうかい。それは良かったよ」

「『え〜次はー、柴崎くんによるー、発表でーす。どーぞー』」

「独島、語尾が間延びしすぎだ。もう少しぴったり止めてくれ」

「え〜そんな事ー言われてもね〜癖だからーしょうがないじゃーん」

「わざとやってるだろう……」

「どーもー。僕は特技と言ってはなんですが、マジックを見せたいと思うっす」

「マジック!?すごいよたけくん!!見せて見せて!」

「じゃあまずこの中からカードを1枚………」

「飛田殿!今からジャック殿の料理にタバスコを仕掛けに行くでござる!!一緒に来て欲しいでござる!」

「いや、ダメだよ………やめといたほうが、いいって….」

「何をビビっているでござる!!男なら根性を見せるでござる!!さぁ、作戦開始でござ…」

「何をしているんだ?お前たち」

「ギャア!?分倍河原殿!じ、実はこれを料理にぶちこむようにと飛田殿から指令を受けて………」

「なっ!?ひ、酷いよ霞ヶ峰さん!!ち、違うんだ、分倍河原君………これは、霞ヶ峰さんが、強引に僕を誘って…」

「どっちでもいいが、とりあえず今の会話、多分ジャックに丸聞こえだぞ」

「なっ………………作戦失敗でござる!飛田殿、とんずらするでござるよ!」

「えっ!?だから、僕何も、してないんだけど………ちょっとジャック君、落ち着いて僕の、話を」

 

 

 

「大成功ですね、パーティー」

「そうだね。本当に良かった」

うちと業ちゃんは端っこの方で静かに食べていた。最初はみんなと騒いでいたけど、ちょっと疲れたから移動してきたのだ。

「これも凛さんのおかげですね」

「ううん。うちは何もしてないよ。ただパーティーをやろうって呼びかけただけ。準備したのはみんなだよ」

「またまた謙遜を!それに霜花さんもちゃんと連れてきたし!」

「まあ警備目的でだけどね………」

霜花さんは部屋の入り口付近で全体を見張っている。何人かに話しかけられたみたいだけど、一応返答はしてるみたいだ。料理は頑なに食べようとしないけど。

「政子ーーー!たけくんのマジック本当にすごいよ!一緒に見ようよ!!」

「ほら、業ちゃん。ご指名だよ。行ってきな」

「え…でも………」

「うちももう少し休んだら行くから」

「………はい!」

そう言って業ちゃんは幸村さんの所へ行った。

 

 

「相川さん、は行かないの………?」

「飛田君?というかなんでそんなぐったりしてるの?」

「ちょっと………色々、あって………」

業ちゃんが行った直後、飛田君に声をかけられた。パーティーが始まる前よりげっそりしてるのは色々何かに巻き込まれたからだろう。

「大丈夫?というかごめんね、飛田君ってこういうパーティーとか苦手でしょ?」

「うん………正直苦手だけど………今は、すごく……楽しいよ………。それに、相川さんが、主催のパーティーだったから、参加しても、いいかなって、思ったんだ」

「え?」

「だってみんなに、パーティーしようって、言ってる時の相川さんの目からは、本当にみんなの力になりたいっていう、強い意志を、感じた」

「だから………僕は、相川さんの事を信じる事に、したんだ」

「そ、そうなんだ。なんかそこまで信用してもらえると照れくさいなぁ………あはは」

「僕だけじゃなくて、多分、みんな相川さんを、信用してるから、ここに来てるんだと、思うよ………」

うち、そこまで信用されてるのかな………?正直、そこまで自信が無い。

「僕に言われるような事じゃない、けど、自信を持って、いいと思う。それは決して………自惚れ、とかじゃないと、思うから」

飛田君が時々詰まりながらも、はっきりとうちにそう言ってくれた。

「ありがとう……なんか、飛田君の言葉、すっごく励みになった。頑張ろう!一緒に!みんなで脱出するために!」

「うん…、そうだね」飛田君は嬉しそうな表情で頷いてくれた。

「おーい!!りんりんとフライもおいでよー!次はフランケンの空手の型紹介だよ!!」

「行こうっか」

「うん」

 

 

18:15

 

発表係の出し物も全て終わってひと段落した時、

 

「あーそろそろお開きにしないか?」

中澤君が突然そう提案した。

「おいおい何言ってんだぁフットサル部⁈まだパーティーは始まったばかりだろ?寝ぼけた事抜かしてんじゃ………むがっ!?」

「ちょっと黙って欲しいっす万斗さん。アンタが絡むと話のテンポが悪くなるんすよ」

「むぐっ!?むぐむぐむぐ〜〜〜!!」

「いや、俺もそうしたいのは山々なんだけどよ………」

中澤君が周りを見る。するとパーティーとかが苦手なタイプであろう人達がかなり疲れている様子が見て取れた。

「こういう類いの集まりに慣れてない奴らがしんどそうに見えたからな。かくいう俺もその1人なんだけどよ」

「確かに中澤の言う事は一理ある。ここいらで解散するのが良いかもしれないな」

「えぇーーーウチもっとはしゃぎたい!!ね!!かすみー!!」

「いやぁ………拙者も実はこういうのは長時間はしんどいでござるね………お開きになるのであれば、ぜひ休ませていただきたいでござる」

「ぼ、僕も………もう十分かな………って」

「う〜ん、じゃあ解散にしよっか!」

「悪いな相川、せっかく盛り上がってた時なのに」

「ううん全然大丈夫だよ!むしろうちもあんまり好きじゃないのに無理に参加してもらってごめんね!」

「いや、多分無理して参加したって奴はこの中にはいないと思うぞ」

「俺は無理矢理参加させられたんだガ」

「私もですね」

「お前らな………」

「少なくともジャックきゅんは嘘だね!だってさっきまでめっちゃテンション上がってたもん!」

「ふざけた事を抜かすナ絶壁」

「頭かち割るぞコラ!!!!」

「まぁあぁ落ち着いて〜どうどう」

 

結果、中澤君、霞ヶ峰さん、飛田君、千野君は先に戻る事になった。

 

 

「じゃあうちらも片付けようか」

「あ!じゃあ今から女子会やらない?りんりんの部屋で!」

「え!?」

いや、女子会は全然良いんだけど、なんでうちの部屋…?

「女子会!良いですね!やりましょう凛さん!」

「女子会、とは何だ?喜屋武は知っているか?」

「ええ。女子会とは女子が一部屋に集まって夜な夜な恋バナなどをする会の事ですね」

「なっ……こ、恋バナ!?!?」

「いいねぇ〜〜恋バナ。みんなからどんな暴露話が聞けるか………楽しみだなぁ〜〜。ヤバイ、テンション上がってきた」

独島さんのテンションがおかしくなってる。食いつきすぎでしょ。

「そうとなると………」

幸村さんは、こそこそ帰ろうとしている霜花さんにロックオンした。そして、

「はいっ、捕まえたーー!ゆうちゃんも強制参加ねー!!」

「ッ!?絶対私は参加しませんから。だから離して………」

「みんなーーー!ゆうちゃん押さえて!!」

女子が便乗して霜花さんを押さえた。もちろん、うちも押さえる。

「なっ………!?いい加減にして下さい!!全員撃ち抜きますよ!?」

「ごめんね〜霜花さん。女にはやらなきゃいけない時があるんだよーー」

「霜花さん、お許しください」

「すまん、霜花」

「霜花さん、もう観念した方がいいですよ!」

「そうそう霜花さん!それとうちと友達になって!」

「今、どさくさに紛れてまたしょうもないお願いをした人いますよね!」

 

 

 

「ウヒョ………女の子同士で体を密着させてイチャイチャしてる………ウヒョヒョ!!これで当分オカズには困らずに済むよ!」

「なあ、じゃあオレらでも男子会を………」

「バカバカしイ。俺は部屋に戻ル」

「ハァ?なんでボクがてめぇらみてえなイケメンと同じ部屋で話さなくちゃいけないんだよ?ヤバい、考えただけで虫唾が走るわ!!!!」

「僕もむさ苦しいのは嫌いなんでパスっすね」

「………………………」

「黒瀬………俺で良ければ付き合うが」

「ご、剛!!やっぱオレの味方は剛だけだ!!よし、じゃあこの後トレーニングルームに集合な!!死ぬほど汗かいてやろうぜ!」

「死ぬまで汗かいたら問題だと思うのだが………」

 

その後、残ったメンバーで片付けをしてから女子会を行う事になった。うちの部屋で。

 

 

 

 

 

19:15 3F 相川の個室

 

 

「………まず聞きたいんだけど、なんでうちの部屋なの?」

「だって、パーティーを開いたのはりんりんでしょ?じゃあその後の女子会もりんりんの部屋で開くのが普通でしょ?」

「それ、普通なの………?」

うちの部屋には結局、霞ヶ峰さんを除く7人が集まっていた。

「なんか、こういうのは初めてだから緊張するな………」

「そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。いわゆるただの女子だけのお喋りなんですから」

緊張してる銀山さんとそれを落ち着かせる喜屋武さん。

「さてさてーどんな話が出てくるのかな〜。あー楽しみだな〜チラッ」

「いやなんでウチの方見るのどくちゃん!?」

ニヤニヤしながら幸村さんをチラ見する独島さんとそれに驚く幸村さん。

「さあ、今日は凛さんのあらゆる情報を剥ぎとっちゃいますよ!!」

「今すぐ帰りたい………」

なんか恐ろしい事をサラッと言った業ちゃんに、死んだような顔をしている霜花さん。

うちはというと、楽しみではあるんだけど恥ずかしさもあるみたいな感じ。

 

 

 

「じゃあまずは定番の〜〜〜〜〜恋バナーーー!」

すると、独島さんが高らかにそう宣言した。

「独島さん、テンション高くない?」

「だってーー恋バナ大好物なんだも〜ん」

開幕からヤバい事になりそうだ。

「じゃあー………最初はやっぱり幸村さんだよね〜」

「えっ!?ウチ?」

「あーでも幸村さんはあの人1択だよね」

「おー相川さん分かってるね〜。というか見たら誰でも分かるけどー」

うちと独島さんは顔を見合わせてニヤリと笑う。

「まあ流石にあんなにイチャイチャされてたら……」

「 察せますよね」

業ちゃんと喜屋武さんも頷き合う。

「????私にはさっぱりなんだが。誰なんだあの人って?」

分かってない人も約1名いるけど。

「えーーーー?みんな何その顔!?誰の事言ってるの!?」

「とぼけちゃってー。ジャックくんの事だよ〜」

「は、ハァ!?!?!?!?」

幸村さんは素っ頓狂な声を上げた。

「ウチがジャックきゅんと!?ムリムリムリムリあんな毒舌メガネ!!ウチああいう奴1番嫌いだもん!!」

「でも幸村さん、食事の際いつもジャック君ととても仲良くしていらっしゃる様子ですが」

「違う違う!!あれのどこが仲いいの!?ただ喧嘩してるだけだし!!」

「喧嘩するほど仲がいいって言うからね〜」

「仲良くなんか無い!!だってあいつは………ウチの料理ディスってきたり、胸ない事バカにしてきたり、とにかく腹立つの!はいっ!ウチの話おしまい!!」

「あ、逃げた」

「そうか……そうだったのか。私はてっきりただ仲が悪いかと思っていた」

「銀山さんこの手の話題弱そうだもんね」

恋バナという単語すら知らなかった銀山さんだったらしょうがないのかもしれない。

「ちなみに〜霜花さんはどう思うー?」

独島さんはずっと黙っている霜花さんにも話を振った。

「私が知るわけないでしょう。普段の貴方達の様子を知らないのだから」

「でもさっきのパーティーで全体を見てたでしょー?その時の様子からでいいから〜」

「………………確かに、幸村さんとジャックさんは口喧嘩をしていましたが、険悪な様子はありませんでした。まるで旧知の仲のような雰囲気でしたね」

「なっ!?」

幸村さんは顔が真っ赤になった。

「あれれ〜〜〜〜〜?もしかして図星ーー?」

独島さんは恥ずかしくて顔を覆っている幸村さんをイジる。独島さん、本当に生き生きしてるなぁ。

「独島さん、これ以上はやめておきましょう。幸村さんがかわいそうです」

「むぅ………しょうがない。ここいらで勘弁してやりますかー」

喜屋武さんが止めてくれたおかげで幸村さんのターンは終了した。ヤバい、これ人ごとじゃなくなってきたぞ。

 

 

「次はーーえっと〜〜〜じゃあ喜屋武さんかなー」

「私ですか?」

次のターゲットは喜屋武さん。あ、でも喜屋武さんの恋バナ、ちょっと気になるかも。

「私は……別に好きな人とかは特には……」

「じゃあ男子の中で誰が1番タイプかでいいよ〜」

「タイプですか………強いて言うなら飛田君、ですかね」

お。意外な人が出てきた。

「へぇー飛田さんですか。でも何でですか?あんまり2人が喋ってるのとか見た事ないですけど」

業ちゃんが首を傾げる。

「なんていうか………失礼ですけど彼、結構頼りない感じじゃないですか。そういう人を見ると私、守ってあげたくなるんですよね」

「なるほど〜ちょっと弱そうな男を抱擁してあげたい、と。これは意外な情報が手に入りましたね〜」

独島さんがいつの間に用意したのか、メモ帳に書き留めている。

「話してみると、結構恥ずかしいですねこれ」

「でしょ!?喜屋武っちも分かってくれた⁈」

被害者である幸村さんは仲間が増えて嬉しいようだ。

「あの……もちろんここでの話は他言無用ですよね?」

「もちろ〜ん。恋バナを後に暴露されるのは1番白ける展開だからねー。みんなもそこんところよろしくね〜」

確かに。少なくとも学校でそんな事したら次の日からあっという間にハブかれて、学校生活、ジ・エンドだった。

 

 

「じゃあ次は〜〜銀山さんー」

「わ、私か!?」

「さてさて、こういう話にウブな銀山さんはどんな男がタイプなのかな〜〜?」

独島さん、エンジン全開だな。さて、銀山さんはどう答える。

「わ、私は……そうだな………千野とかいいと思う。落ち着いているし……。それに、同じ和の才能として彼と一度じっくり話してみたいとも思ってる」 

これまた意外。

「なるほどなるほどー。恋にはまだまだ距離があるって感じだねー」

「ばばばバカを言うな!!!私は………恋など……まだ、した事など、ない……」

「まーそうだろうねー。でも銀山さんなら大丈夫だよ〜。きっと運命の相手が見つかるって〜。美人だし、スタイルもいいしねー」

「そうだよ!!!というか何その乳は!?今すぐウチにも分けろ!もぎ取ってやる!!」

「バ、バカ!!胸を触るんじゃない!!!やめろぉーーーーーー!!!!!!」

なんか銀山さんって、胸に関してかなりいじられてる気がする。万斗君しかり幸村さんしかり。でももしここに霞ヶ峰さんがいたら、きっと彼女がこうなっていたんだろうな。

 

 

「では、気を取り直して、次は霜花さんー」

次は霜花さん。正直、この中で1番気になっていた。

「誰もいないので答えようがないんですが」

「それはダメだよー。ちなみに、答えるまでここからは出られませ〜ん」

「……………………………」

霜花さんが思いっきり独島さんを睨む。

「霜花さん、そんなに睨んじゃ駄目だよ…」

「……………………………」

今度はうちが睨まれた。いや怖っ!というかあの視線をものともしない独島さん、もしかしてある意味1番強いのでは………。

「……………私は身体的に強い人間にしか興味が無いので、強いて言うなら分倍河原さん、ですかね」

観念したのか、霜花さんがついに話した。強い人……霜花さんらしい気がする。

「ふむふむ、霜花さんは筋肉フェチね……これまた意外……」

「一言もそんな事言ってないんですが」

「へーゆうちゃん筋肉フェチなんだ!!意外だね!!」

「いやだから言ってないんですけど」

「ほう…男の筋肉が好きとは、面白いな、霜花」

「北条さん、この人達ぶん殴ってもいいですか?」

「ダメですよ!!」

 

 

「いてて……じゃあ次は北条さんの番だよー」

さっき霜花さんから拳骨を食らった部分を押さえながら独島さんは言った。

「私は………中澤さんですかね。中澤さん、みんなの事ちゃんと見てて気にかけてくれるじゃないですか。そういう優しい人って好感度高いですよね!」

「確かにね〜さっきのパーティーの時もそうだったし、好感度爆上がりだよねー」

「ええ。私も何回か助けてもらいました」

中澤君、多分今最大のモテ期だと思う。伝えてあげたいけどここでの会話は他言無用だし………本人にどうにか気づいてもらうしかないな。

 

 

「じゃあ次は相川さんだねー。」

来た。うちの番。でも後の方だったおかげで回答はちゃんと用意出来ていた。

「うちは………柴崎君かなぁ。へんな気使わなくていいから一緒にいて楽だし。あ、別に恋してる訳じゃないよ」

うん、当たり障りのない完璧な内容だ。これなら大丈夫……

「本当にー?」

そんな甘くは無かった。

「えっ!?」

「実はもう恋愛にまで発展してたりして〜」

「う、嘘だったんですか!?前付き合ってないって言ってたのは嘘だったんですか!?答えてください!凛さん!!」

独島さんと業ちゃんか詰め寄ってくる。しかも業ちゃんなぜか怒ってるし………ヤバい、ピンチだ。どうにかしないと……

「パーティーで見ていた限り、貴方と柴崎さんはかなり親しげでした。恋愛関係にある可能性は十分考えられるのでは?」

そうこうしてるうちに、霜花さんが今までの仕返しとばかりに追撃を加えてくる。

絶対心の中で嘲笑ってるよこの人!!

「違うから!!断じてないから!!」

「てるるん、大人しく白状した方がいいよ!」

「相川さん、人間諦めも肝心かと」

「すまん相川……私だけでは止められそうにない。諦めてくれ」

「ち、違うんだって!!みんな信じてよぉーーーーーー!」

 

 

 

「じゃあ、恋バナはここまでかなー」

あの後、必死に説得してなんとかみんなを落ち着かせたうちは独島さんの言葉に安堵を覚えた。ん?もう終わり……?

「待って。独島さん、あなたのだけまだ聞いてないんだけど」

「げ」

独島さんは少し後ずさりした。うちはすぐ逃げ道を塞ぐ。

「そ、そうじゃん!!どくちゃんのだけまだ聞いてないよ!!」

「そうです!さあ独島さん、きっちり吐いてもらいますよ!!」

「いや、わたしは………特にそういう人はいないかなー………」

「具体的に答えるまでここから出られない、とほざいてたのはどこの誰ですか?それとも、逃げるなんて事が許されるとでも?」

「独島さん、それは不公平です。みんな平等にいきましょう」

「独島、自分の発言には責任を持たねばな」

「へ、へへへ…………」

独島さんが壁際に追い詰められた時だった。

「ん?誰だ!!」

霜花さんがものすごいスピードでドアを開けて廊下に出て行った。しばらくすると、誰かを連れて戻ってきた。

「どうやらこの男達、私達の会話を盗み聞きしてたみたいです」

首根っこを掴まれているのは、万斗君と柴崎君だった。

 

2人はみんなの前で正座させられていた。

「だからやめとけって言ったんすよ。あ、みなさん。俺は万斗さんを止めようとしただけっすからね。俺は無実っすよ」

「あ、それは酷いよ柴崎君!一緒に聞いてウハウハしてたくせに!!」

「俺がいつウハウハしたっていうんすか」

「いつから…………聞いてたの………」

うちは瞬時に2人の前に立った。

「いつって………最初からっすけど?」

「雪さんが医者の事好きとか、香織さんの胸が大きい話とか………全部バッチリ聞いてたよ!!」

「えええ!!」

「なっ!?」

「それに、相川さんのも聞きましたよ。いやぁ、照れるっすね。まさか相川さんがそんな事思ってくれるなんて」

「いいなぁ柴崎君は。ボクなんか全く名前出てこなかったよ!」

「確実に日頃の行いのせいっすね」

「この………馬鹿野郎どもがーーーーーー!!!!!」

うちは2人を思いっきりビンタした。

 

 

 

 

22:00

 

あの後、2人にキツい説教をしてから追い出した。それに加えて、柴崎君に恋愛感情は全くない事についてもしっかり説明しておいた。本人はいつもの無表情で「まあ、別にどっちでもいいっすけど」とか言って去っていった。なんだ、その落ち着き様は。慌てふためいてたうちがバカみたいじゃないか。

そして独島さんへの尋問を再開して、独島さんは柴崎君がタイプだという事を聞き出した。なんか周りからは勝手にライバルの登場だとか言われたけど、うちは恋愛感情は全く無いし、独島さんも恋愛話は好きだけど、本人は恋愛には興味無いらしい。仲良く握手して和睦した。

その後、しばらく雑談をしてから解散になった。

けど、

 

 

「zzz……………………」

「なんでこんな事に………」

何故かうちの部屋で独島さんがぐーすか寝ていた。

簡単に独島さんの動きを説明すると、

 

みんな解散して自分の個室に戻る→→自分のカバフォンをなくした事に気づく→個室に入れない→仕方がないからうちの部屋に戻ってくる→うちの個室に泊めてくれと頼む→うちがかわいそうだから許可する→ベットを占領して寝る

 

みたいな感じ。学則には個室以外での就寝は禁止って書いてあったけど自分の個室とは書いてないので、他人の個室での就寝も可だそうだ。これはモノカバにも一応確認したし間違いない。

というかカバフォン無くしたのによく呑気に寝てられるなぁ。うちだったら焦って寝るどころじゃないと思うけど。

ちなみに明日ゆっくり探すつもりらしい。

 

軽くシャワーを浴びた後いつもみたいにイスに座って日記を開く。

ちなみに、うちの部屋にみんなが来ると決まった瞬間、日記はベットの下に隠しておいた。

後ろに独島さんが寝てるけど、いいや。こっそり書いちゃえ。

 

 

 

軟禁生活8日目

今日はうちの提案でパーティーをやる事になった。

全員参加が決まった時は本当に嬉しかった。

喜屋武さん達によって超豪華な料理が振る舞われ、みんなで大騒ぎした。

出し物も行われ、柴崎君はマジック、分倍河原君は空手の型、万斗君は雑学でのクイズ、意外な所では黒瀬君の歌、銀山さんの日本舞踊の披露などがあった。

霜花さんも、みんなの輪には入ってなかったけど、警備としてちゃんと来てくれた。それだけでもうちは嬉しかった。

その後はすぐ帰っちゃった霞ヶ峰さんを除く女子で女子会をやった。恋バナがメインだったけど、今まであんまり話せてなかった人達とも話せたしとても楽しかった。

またできたらいいなぁ。

 

 

うちは日記帳をしまってベットに寝転んだ。

今日で一段と団結が深まった気がする。動機に関しても今の所心配そうな人はいないし、もし錦織さんみたいに悩んでた人がいたらすぐ相談に乗るつもりだ。ちゃんとみんなの様子を観察しておかないと。大丈夫。殺人なんて絶対に起きない。

そう思って少し早いが寝る事にした。

明日も平和な1日でありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでうちは、殺人は絶対起こらないって思ったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9日目 07:15 1F 食堂

 

うちはいつものように銀山さんと食堂に来た。今日の朝食当番はうちらだ。ちなみに独島さんは部屋に置いてきた。当番じゃないのにこの時間に起こされるのは嫌だと思うし。

厨房を覗くと、既に中澤君が準備を始めていた。

「中澤君おはよう!早いね!」

「おはよう、中澤」

「おはよう。ちょっと早く目が覚めちゃってな。だったらどうせなら先に始めとこうと思ってよ」

手元を見ると、こんがり焼けた食パンを皿に並べている所だった。

「昨日は贅沢したからな。今日は質素な食事にするつもりだ」

「それがいい。で、今日は何を作るつもりなんだ」

「食パンに目玉焼きとウインナーを挟んだだけのやつだ」

「男の子からしたら全然足りないと思うけどしょうがないよね」

「まあな。じゃあ2人はウインナーを焼いてくれるか?俺がその間に目玉焼きやるから」

「オッケー!」

「了解した」

 

 

08:00

 

8時になると、続々と人が集まってきた。いつもは若干遅れてくる黒瀬君や幸村さんもちゃんと席についてる。理由はこの後一限から体育があるかららしい。今日はトレーニングルームの奥から行ける体育館で球技をやるそうだ。ちなみにうちはパス。運動オンチに朝から運動は厳しすぎる。

「あれ?人数が少なくねぇか?」

黒瀬君がいただきますを言おうとして気づく。周りを見ると、明らかに人数が少ない。

いないのは………霜花さん、柴崎君、独島さん、飛田君、霞ヶ峰さん、北条さんの6人だ。前3人はいつもの事として、後ろ3人がいないのは珍しい。

「ただの寝坊だろウ。放っておケ」

「そうでしょうか。飛田君や北条さんは寝坊など今までした事が無いんです。それが急に、しかも同時に寝坊だなんて………」

「確かに、それは不自然だな………」

うちの呼吸が早くなっていく。さっきから冷や汗が止まらない。

「もう少し待って、それでも来なかったら探しに行こう」

銀山さんの意見を採用し、少し待つ事にする。

しかし、5分、10分そして15分待っても一向に誰もくる気配は無かった。

 

 

「おかしい……ここまで待ったら誰か来るはずなんだが、誰も来ないとは……」

「ねぇ!!探しに行こうよ!こんなに来ないなんて変だよ!」

うちはバンと立ち上がって言った。

「りんりん………」

「……そうだな。では3手に分かれて探そう。だが、全員この食堂がいなくなっては入れ違いになった時に困る。だから何人かは食堂に残ってもらいたいのだが」

「俺が残ル。どこにいるか分からない奴を探し回すような無駄な事はごめんダ」

「ちょっとジャックきゅん言い方!!」

「分かった。ではジャックと……」

「では、私も残ります」

喜屋武さんが名乗りをあげた。

「助かる。じゃあ残りで3手に分かれて探そう。分け方は食事当番の班で頼む。C班の分倍河原D班と一緒に探してくれ。食堂の2人はいなかった誰かが来たら私に連絡をくれ」

銀山さんの指示で3班に分かれる。うちらは2階の捜索担当になった。

 

 

 

うちは必死で誰かいないか探す。だが、誰も見つからない。

「教室は全部調べたけどいねぇな」

「ああ。後はトイレか」

うちはさっきから心臓のバクバクが止まらなくなっている。なんだろう、この嫌な予感は。

「じゃあ俺は男子トイレ見てくるから、お前らは………」

 

 

 

 

 

 

 

「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

 

 

ピンポンパンポーン………

 

 

 

 

 

 

「死体が発見されたカバ!一定の捜査時間の後、学級裁判を開くカバ!オマエら、現場の3階女子トイレに全員集合するカバ!」

 

 

 

 

「っ!?上か!?」

「あっ!おい相川!!」

うちは2人を置いて3階へ走り出す。

どうして、どうして。殺人なんて起きるはずがないのに。そうだ。さっきの悲鳴だってただびっくりしただけなんだ。人なんか死んでる訳なくて、ただ角でお互い気づかず会ってびっくりしただけで。

 

 

 

3階へ上がると、女子トイレ前で誰かが腰から崩れ落ちているのが見える。その人は恐らくさっき悲鳴を上げた人物と同じだろう。だったら誰か分かる。

 

近づくと、予想通り幸村さんと万斗君、そして行方不明だった柴崎君がいた。

「幸村さん!万斗君!それに柴崎君も!」

「もう、もう嫌だよ………なんで、なんでなの…………」

「クソッ!誰がこんな事したんだよ!!」

「…………………相川さん。覚悟してみた方がいいっすよ。

これは…………あまりにも酷い………」

 

 

 

 

 

うちはそれを聞かず、すぐドアを開けた。思えば、普段カバフォンをタッチしないと入れないトイレにタッチせずに入れるのが、今自分が非日常にいるのを証明してるのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子トイレの中は血塗れになっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんであなたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日、パーティであんなに楽しそうに話してたのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ………起きてよ…………お願いだから…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちは血溜まりの中で倒れているその人物に呼びかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その人物、超高校級のバイク便ライダーである飛田脚男は二度と目を開けることは無かった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存者

 

 

LA001 相川 凛《外国語研究家》

⁇002 霞ヶ峰 麻衣子 《動画投稿者》

⁇003 喜屋武 流理恵 《調理部》

SA004 銀山 香織《棋士》

⁇005 黒瀬 敦郎《バスケ部》

⁇006 柴崎 武史《歴史学者》

⁇007 霜花 優月《狙撃手》

⁇008 ジャック ドクトリーヌ 《医者》

⁇009 千野 李玖《茶人》

MC010 独島 灯里《サブカルマニア》

⁇011 飛田 脚男《バイク便ライダー》

⁇012 中澤 翼 《フットサル選手》

⁇013 錦織 清子《テニスプレーヤー》

⁇014 分倍河原 剛 《空手家》

⁇015 北条 業 《???》

⁇016 万斗 輝晃 《情報屋》

⁇017 幸村 雪 《激運》

 

 

残り15人

 

 

 

 

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