いや短編なのだから二話目という表現では無いのでしょうか?
一話を読まないと分かりずらいから連載表記にした方がいいかもしれない。
前話から成長しない語彙力のお話です。
土曜日。
昨日、幼女にされて、犬耳と犬の尻尾を……白犬の獣人とも言える姿にされたその次の日のこと。
また、転移を用いてご主人様の家に喚ばれた。
服はどうなったとかは聞かないで欲しい。
「えぇっと……ご主人……?」
「様、を忘れているよ?」
「あっ、ええ……ご主人様…………それは……なにで?」
いきなり飛ばされたその先は居間のような空間で、ひとつ机を挟んで配置された二つの椅子に俺とご主人様は座っていた。
そして少し困惑しながら、眼前の机に置かれた一升瓶と二つ並んだお猪口を指さした。
「うん? 読めないのかな? この漢字は大吟醸と読むんだよ? だーいーぎーんーじょーうー」
「いや……え、読めますけど……あの……どうしてお猪口を俺に……?」
「そりゃ……呑んでもらおうと思ったからだよ?」
そう言って、澄んだ水のような髪を揺らした
「あの……日本という国ではお酒は二十歳からという法がありまして……」
「ここは日本ではないよ。そもそも……国という単位すらないからね、詳しくは南極大陸が人類未開の領域、狂気山脈の標高四千メートル地点だ。だから、酒を呑んでも悪いと咎めるものは誰一人……いや、私が悪い子犬ちゃんに罰を……躾けてあげようか」
そう言ってニヤリと笑うご主人様。
サラッと狂気的な位置情報通知しないで欲しい。
するとご主人様は、ふむ、と置いてから、それにしてもと続けた。
「昨日の従順さはどこに行ったのかな?」
「従順……あ、あの時はおかしかったんですよ……」
「ふぅん……へー……」
昨日の俺はおかしかったのだと主張する。
だいたいどうして従う必要などなかったというのに……。
言い訳のように並べた思考をまるで読んだかのように、ご主人様は何か、懐から水晶のような物を取り出した。
そしてその細い指で水晶に何かを刻むように触れて……。
『ご主人様大好き……』
「ぬぅえ!?」
音声が、再生された。
思い出すのは今朝のこと。
そう、確かあの時は俺の本心を確かめるように、自分の尻尾を抱きながら……あ゛。
「なっなななっ……なんでそれが録音されて!?」
「んー……ふふっ、たまたま見てたんだよね。あの時、顔をあかーく染めちゃってたねぇ」
「わ、うぇ!? あ、わっわわわす……わしゅれてくらさい……」
するとご主人様は、にたぁっとそれはもう悪いことを考えていますよーという表情を作る。
昨日同様すごく嫌な予感がする。
「……お手」
「わんっ……あ、え」
「やっぱり、冷静な思考が奪われると本能が優先されやすいのかな?」
差し出された掌に脊髄反射のように乗せられた俺の手に気付く。
この姿になってからというもの、こうなってしまったのだし、やはり全てご主人様が悪いのでは……。
「いや、違うよ。それは君自身の本質だ……言ったでしょう? 『お前の本質に一番あった獣人にしてあげるよ』って……元からそういう人間だったのさ、もっと古くに生まれていたら主人に絶対の忠誠を持って仕える侍のような者になっていただろうね。
だから本能に素直になるといい」
聞いちゃダメだ聞いちゃダメだ。あれは、あの甘言は受け入れたが最後、忠誠を……いや待てなんで心読まれて……。
「そのくらい、楽に読めるよ。だから、本心は筒抜け……あっ」
ゴクンッと眼前に置かれたお猪口の中身を飲み干す。
そして、机にこんっと置いた。
ふふんっ咄嗟にとはいえいい作戦を思いついた。
「お酒を呑めば、今から考えたことも全てよいのせいらとごまかせ……あれぇ?」
口が思うように動いてくれない。
よく見るとご主人様の手の上で小さな魔法陣が静かに駆動音をたてて回転していた。
「『酔いを回す』……安直な名前だけど効果がわかりやすいいい魔術だと思わない?」
「うぇ!?」
なんだこれ。
だんだん口が、回らなくなってきた。
「うぅ……」
じっと元凶たるご主人様を睨む。
「むー……」
「唸り声あげてどうしたの」
「わざわざこんら回りくどい酔わせ方しなくてもめいれいされれらのんだのです……わたしはごしゅじんさまのけんぞくなんれすよ!」
「いくら何でも酔うのが早くないかな……これはもしかして思い込み……いや、酔ったフリしてるから本心言っても恥ずかしくないの精神……?」
「らに、ボソボソといってるんれしゅか! もとよりめいじられれらなんれもしますよ……たとえけんぞくらなくてもおれはごしゅじんがだいすきです! ……んぇ? なんれすかそのまほうじん」
「秘密だよ」
まるで俺をスキャンするかのような光を発するその術はまるで体の調子を確かめるかのような……。
「良く考えれば、口が回らないとしか思ってなかったね、頭はよく回っているようだし……その頬の色も、酔ってると言うよりは照れて、あっさっき酔いの所為だと誤魔化せるみたいなこと……」
「みゃぁああああああ!!」
「みゃぁ? 君は犬だよ? ……うん、よく主人を愛する忠犬だもんね?」
「もうやや……」
「私は本心を叫んでくれて嬉しいよ」
恥で……死にそう……。
このあと何があったかはご想像にお任せします。
九ヶ月前に書いた物の登場人物の口調なんてほとんど覚えてなかったんや。