じーっという視線を不思議に思い、ご主人様の方を俺は振り向いた。
台を使って皿洗いしているのに危なくないかって? 尻尾って重心変えやすくて便利だよね。
さて、その視線の意味を考えていこうか。
目の向く先はどうやら服のようである。
何もおかしいところは、ないのではなかろうか。
いや、色々とおかしいけどこの容姿からしたら似合わないということはないはずである。恥がない訳ではないし、そも、この服を渡してきたやつへ
まあ、それは置いておくとして、さてどういう要件でだろうか。
「その服……いや、正確にはその服達、かな? いつの間にか着てくるようになったけれども、果たしてそれは買ったのかな? 貰ったのかな……ああ、その顔は貰ったのかな」
狙ったかのように口を開いたご主人様は「貰った」の一言で、あることを思い出し顔を顔を赤くした俺を見てからか言い当ててくる。
「……うーん誰に貰ったのかな?」
「ひ・み・つ……というやつですよ」
そう、秘密である。
この服を手渡してきた
主に出会ってしまうと俺の中の俺という残滓が恥と恐怖でくっ殺されてしまうのだ。悪魔合体、
その結果、俺の操が守られる期間が伸びる。
ご主人様がいる時点で、今すぐにでも散る可能性のある儚いものではあるが。
「……下腹部に『
……うん??
「まってください、強硬手段に出過ぎでは……というかその
突拍子もない事を言い始めたご主人様。
どう反応すべきかと咄嗟に返した俺の返答にどこか違和感を覚える。
「ふーん……刻む前に願いが叶うとは、このままその趣味の良い人を吐いてくれると嬉しいかな?」
……ふむ、え?
「それにしても、下腹部に刻んだ
いや、あの。
「そも、私は、ジャージと下着を奪ったことはあれど、見たことはないはずなんだよね……」
え、あ……う?
「はてさて、一体君はどこで私に下腹部を見られたのかな……夢の中? それとも心の中? それも
……………………………………。
ニタニタと悦に浸る笑みを隠そうともせずに、心底楽しそうにこちらを見てくる。
さて、この状況は……まあ、その、要するになんだ。
「う」
「……う?」
「うみゃぁぁああああああああ!!!!」
盛っ大に、自爆したわけである。
こんなことならご主人様に褒めてもらおうとケイオスマジック系の魔導書読むんじゃなかった……。
半端に詳しくなった分、発言をミスってしまう……。
くそう……下手に誤魔化すと言質や行動を悟られる。
素直に話すべきだろうか、そう、話題を変えるためにも、話題を変えるためにも!!
「ああ、可愛いなぁ……で、話す気になったかな?」
「……むー……うー」
それでも少し躊躇ってしまう。
どこから話すべきだろうか。
「おや、まだ正直に話す気はないのか……こうなったら本当に
……あー襲って弄って、
「話します」
「いやー、そうだ、せっかくだから、布団に……」
「話すので許してください」
どうだ、許しを乞うたぞ。
これで行為が始まる前に逃げ出せたわけである。
淫紋とか本当に何を言い出しているのだろうかこのご主人様は、直球すぎやしないだろうか。
そういうことを言い出すのはせめて夜にして欲しい、現時刻は昼にもなってない時間帯である。
「……えーっとですね」
「うん? 言い難い事なのかな……それなら布団で余裕がなくなったらポロッと話せるかも……」
「そんなにしたいなら命令すればいいじゃないですか……俺は逆らえませんよ?」
それを聞いて一瞬驚いた顔を俺は見逃さない。
ふふん、どうですかご主人様。
あなたへの忠誠心は留まることを知らないのです。
「あのですね……実は、一個うえの幼馴染がいるのですよ」
「初耳だね」
「だって話してませんもの」
だって、ご主人様と初めてあった日の翌朝に嵐のように訪れて。
人を着せ替え人形にした挙句、持ってきた服、その全てを置いて帰って行ったやつの事などどう話せばいいのか。
恥ずかしくてその服を着る決断が全然つかなかったというのに。
「それにしても、その子、いい趣味してるねぇ」
「いやいや、そんなわけないですよ。少なくともいい趣味をした人間はこの容姿になる前の俺に女装させたりしません」
そう、あれは人間の女の形をした欲望の具現と称した方がいい生命体なのだ。
俺は可愛い可愛い言われながら写真を撮られた一年ほど前の出来事を絶対に忘れん。
この恨み、晴らさでおくべきか。
「ところで、
「……なんでしょうか」
「……後で共に風呂に入らないか?」
……………………え。
今の姿になる前の主人公くんは普通に可愛いです。今この設定が生えてきました。
ついでに新キャラフラグが立ったのにまだ名前が無いメイン二人がいるらしい。
次回は五億年後です。