ハラオウン宅の居間には、なのは、フェイト、クロノ、エイミィと、いつの間にかあらわれたリンディ、絶賛睡眠中のアリシアがこのは包囲網を形成していた。
「お話とは?」
「PT事件の時の君の行動理由と、魔導士になった経緯を話して欲しい。誤解がないように言っておくが、今から始まるのは管理局の正式な令状に基づいて行われる取調べだ。虚偽の発言や、逃走を行えば法的罰則が与えられる」
「こらクロノ、九歳の女の子にあまり高圧的になるものではないわ…ごめんなさいねこのはさん。でも、私達も事情が知りたいのは事実なの。だから取調べとかは抜きにして、あなたから本当のことを話してもらいたいと思っているの」
クロノはやさしい兄貴キャラから一転、冷酷な執務官の顔で問い詰める。リンディはそれを諫めつつも、このはに説明を求める。誠意を見せるためか、彼女達はセットアップしていない。
「このはちゃん…私も知りたい、あなたが戦う理由」
「なぜ時の庭園に来れたのかも」
なのは、フェイトも、それぞれ思うところがあったらしく、このはに畳み掛ける。
『どど、ど、どうしましょう!?アキ。タ、タ、タイーホフラグががが』
『>落ち着け。
ここのメンツは管理局の中でも結構の人情派だ。事情を素直に話して、魔導士登録でもすれば、許してくれる可能性が高い…でも大人フォームと気、はやてと闇の書関係はだまってたほうがいいかもな』
現状、管理局にとってこのはは『PT事件の関係者兼無登録魔導士(特殊な魔法使用)』というだけだ。蒐集に加担していることや闇の書の主の知り合いであることはまだばれていない。クロノの発言から、アキレウスは正確に状況を読み取っていた。
アキレウスの言に、調子を取り戻したこのはは、はぁ、と息をつき、話始める。
「まず、巨大ロボット出現の時についてですが…高町さん、テスタロッサさんを撃墜したことは申し訳ないと思っています。でも、あのジュエルシードに取り込まれていた人は私の友達で、生まれつき原因不明の病気を抱えています。もし、非殺傷とはいえあなた方の砲撃を食らって、そのままショック死、ということになったらまずいと思い、ロボットの方に助太刀しました。何か質問は?」
「なのはとフェイトを説得するという選択肢は考えられなかったのか?」
『それについては俺が話そう』
突然の念話から聞こえる聞き知らぬ男の声に、全員はにわかに緊張する。
『何者だ!?』
同じくクロノが念話で応答する。
『このはのデバイスのアキレウスというものだ。このような姿で失礼する』
「インテリジェントデバイス!?しかも日本語!?」
このはが握り締めていた宝石がピカピカ光り、一同が驚愕する。
無理もない。魔法文化のない管理外世界の言葉を話すAIは開発されていない。
技術的にはたやすいが、魔導士がミッド語を覚える方が早いし、便利なのだ(事務仕事などはすべてミッド語のため)さらに、翻訳の魔法まで開発されているため、特にデバイスとマスターの意思疎通に言語の壁はない。
『あ~っと、言語の方はスルーしてくれるか?製作者の趣味としか俺からは答えられんからな…それに、話も進まん』
「わかった」
クロノの言葉にうなずくかのようにぴかっと光り、アキレウスは語りだす。
『当時、テスタロッサ嬢は家庭の事情でジュエルシードを強引に集めていた。その過程で高町氏と邂逅、ジュエルシードを取り合い、戦闘になった。と記憶しているが…間違いないか?』
見てきたかのような正確さに驚きながらも肯定する一同。
『では、当時のテスタロッサ嬢に説得が通じると思うか?それに魔法初心者のなのはに手加減して封印という芸当が出来たのか?答えは多分どちらも否だ。だから撃墜以外の選択肢を考えなかったのだ』
「今の発言だと、あなたがこのはちゃんをけしかけたように聞こえるけどどうなのかしら?」
『否定はしないさ。このはが魔法を手にしたのだって、俺が原因みたいなもんだからな』
「…詳しく聞こう」
『俺は次元漂流者だ。死んだと思って、気がついたときには海鳴にいた。そこでであった第一町人がこのはで、助けてもらった。それから、ジュエルシードの暴走にあっても立ち向かえるように魔法を教えたんだ』
「あくまで自己防衛の手段だったのね…」
『だからこそ、このはは自己と友の命を守るために魔法を行使したというのに、クロノからいきなり凶悪犯罪者扱いされ、憤ったのだ』
「もしクロノがもう少し良識的な対応をしていれば、決定的な行き違いはなかった、ということ?」
『そこまではいわん。俺もこのはも、管理局という組織のあり方は余り好きではない。行き違いは起こらなかったとしても、どこかで歪みが生じていただろう』
「事情がこじれる前に詳細が聞けて助かったわ。これでこのはちゃんを次元犯罪者にしなくて済むもの」
聞けば、このははPT事件以後、重要参考人として指名手配されていて、なかなか捕まらないため、公務執行妨害で次元犯罪者(低級)に格上げし、本格的に確保される一歩手前だったそうだ。
『次に、時の庭園と戦う理由についてだが…』
「それは私から話した方がいいね…時の庭園は、ワイルさんが報告書を書いてるからそれを参照によろしく、戦う理由に関しては、魔法を手にしたきっかけと同じ、家族と友人、自分の信念を守るため。あとは、魔法関係って就職よさそうじゃない?管理局は万年人材不足だの癖に、優秀な魔導士を数多く所有してる。ということは、民間の魔導士も絶対的に不足しているはず。って考えて、就職安泰かな?って」
「すごい将来設計なの…」
『茂部家の大黒柱なめんなよ!?』
グッ、となのはに対しサムズアップする顔文字を浮かべるアキレウスであった。
「就職口なら…このは、嘱託魔導士試験、受けてみない?管理局員は公務員だよ?リストラないよ?今からがんばればキャリア組だよ?」
「私としては、今すぐ民間協力者としてアースラに来てもらってもいいんだけど…」
管理局入りを勧めるフェイトとリンディ、しかし、このはは既に敵方だ。
「今、この辺で起こっている事件が無事解決したら、考えなくもないです。今協力者になったら危険な気がします。とっても」
「あら、残念ね」
『このはをこき使う気満々だったようだな』
「仕方ないじゃない。万年人材不足なんだから」
リンディとアキレウスは笑顔で腹の探りあいを始める。しかし、エイミィによってさえぎられる。
「ちょーっとまった二人?とも。まだ技術面の質問をさせてもらってないよ!!このはちゃんの魔法について」
『ん~と、オリジナル魔法?ってことじゃだめ?』
「だめです。あなた(アキレウス)をばらして解析するぐらいのことはさせて欲しい、って技術部のスタッフから頼まれてて…」
『めんどくさっ!!メモリコピーして渡すから勘弁して』
「わかった。それで手を打つわ」
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その後、報告書作成のために、何回か質疑応答をした後、魔導士登録をし、解散となった。
次回:ねたぎれ