※まだ七実さんは出ません。石投げないで!!
このは視点
本局の医務室に行った私はそこで一通りの検査を終えた。
「もう手遅れだ。医師として、私に出来ることは何も無い」
私の目の前にいる金髪メガネの医師は言った。
……え、私死ぬの?余命幾ばくも無いのですか!?
「ど、どどどどういうことですか!?」
「言葉の通り。もう助からない」
医師の言葉にさぁーっと血の気が引く。
「も、もう一回言っていただけますか?」
現実を受け止め切れなくて、私は青い顔で医師に思わず聞き返した。
「だから、君のリンカーコアはもう助からない。つまり、元の状態には戻らず、一生魔力量Cかそこらどまりだと言ったんだ……まったく、何で二日もほっといたんだか」
彼はコーヒーでのどを潤してから、呆れたように言う。
「は? リンカーコア? 命に別状は?」
確かに魔力社会のミッドチルダにおいて魔力がB以下というのは結構生きづらいとは思う。
だが、
「何をバカなことを言ってるんだ。体はすこぶる元気だぞ。闇の書に乗っ取られたとは思えないほどに」
そんなに深刻そうにに言わなくてもいいじゃあないか。心臓に悪い。
「なんだ。そんなことですか」
「なんだとはなんだ。君は管理局員になるのだろ? だったら魔力量は絶対に必要だ。魔力が最低でもBはないと、どんなに実力があっても管理局では出世できないんだ。一生書類仕事か、良くてオペレーターになれるかどうかなんだ」
医師曰く、魔導士には魔力量ランクと魔導士ランクという一種の格付けがあり、一般的に魔導士の実力は後者を重視されるのだが、自分の魔力ランクより二つ以上上の魔導士ランクの試験は受けることが出来ないという。
「じゃあ私はBランクまでしか受けられない。ということですね」
「管理局員はAが取れて一人前だ。そこから先は俗に『エース』と呼ばれる人間の領域になっていく……だから、一般的にBランクは半人前扱いをされることになる」
半人前であれば、前線へ出してもらえる機会は減る。足手まといだからだ。そして、手柄を立てる機会を失い、万年デスクワークを強いられるのだという。
「詰みましたね……」
「ああ、詰みだ。」
前はそうでもなかったらしいが、ここ最近急速に上層部に魔力量至上主義が蔓延し、その制度が作られたそうだ。
その後、その医師にコーヒー(子供舌なのでカフェオレ)をご馳走してもらい、なにかあったら、ということで医師と連絡先を交換し医務室を後にした。
彼はテクスさんというらしい。
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「で、どうだったこのは?」
「リンカーコアが回復しないそうです。一生Cランクだと言われました」
ワイルさんのところに戻った私は診察の結果を簡単に伝えた。
『まぁ俺いるし別にいいんじゃないのか?』
「そういうわけにも行かないようです。何でもかくかくしかじかで」
『へぇ、管理局にそんな制度があったとはしらなかったなぁ』
「だろうな、知る由も無いもんな。俺もここに入るときに勉強して初めて知ったし」
その後、管理局上層部くそ喰らえ! とばかりにアキとワイルさんで愚痴をいい、最後にワイルさんがこういった。
「俺も、魔力量自体はさほど高くない。だから、そのせいでくすぶってる奴集めて隊作ろう、ってな感じで裏で動いてるんだ。近いうちに声かけるから、応じてくれるか?」
「『もちろんさ!!』」
願ったりかなったりの誘いに、二人で声をそろえて返事をする。
これで、私の就職先は安泰だ。
うん、今日は赤飯にしよう。
『このは~? 喜ぶのは武装局員認定試験受かってからにしような? そもそも管理局に所属できないとこの話はパーなんだし』
「あんなの余裕です。勉強関係の師匠も呼んでいただきましたし。実技の方は一般局員辺りと渡り合えれば文句なし、らしいので正直楽勝です」
「確かに、一番低ランクの試験はゆるゆる仕様だ。それだけ、管理局は人材不足である、ということだ。もっと上のランクの管理局員になるにはいろいろ大変だけどな」
ある程度の功績や、士官学校での成績があれば、上層部からおよびがかかったり、新設の部隊に引き抜かれたりするのだが、報告書の作成は部隊長に一任されているため、使える部下を手放したくないために改ざんを行う部隊長や、昇進の推薦状をエサにパワハラを強要するものなどもいるらしい。
『ほんと救い用無いな管理局』
「ああ、まったくだ。だが、リンディさんやレティさんみたいなまともな人材がいるだけまだマシな方だが」
やはり、権力を持つと、人も組織も腐っていくのでしょうか?
なんて九歳らしくないことを考えて、私は本局を後にした。
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修行場・山奥
最近蒐集のせいでめっきりご無沙汰だった師匠との鍛錬をしようと山奥に来ました。
その最中、わたしは驚愕した。
「出来るようになってきているではないか!! ワシは師匠として鼻が高い!!」
なぜか、私の体がいつもより動くようになっているではありませんか
「ありがとうございますッ!」
師匠の乱打を最小限の動きでかわし、途中放たれた師匠の分身を蹴り飛ばす。
「なら、これはどうじゃァ!!」
その隙を突いて私の腕に布が絡みつき、引き寄せられる。
「望むところです。全力全壊! ダークネス! フィンガァァーーーー!!」
私はその引き寄せられる力を利用して拘束されていないほうの手でダークネスフィンガーを構えて、師匠のダークネスフィンガーと激突した。
始めは拮抗していたが、唐突にその均衡が崩れた
「ぬおっ!?」
乾いた薪が爆ぜるようにバキッ、と音を立て、師匠の木製の腕が弾け飛んだ。
私はその隙を逃すまいと、師匠の胴体めがけ中段蹴りを見舞った。
魔力、気力の両方で強化された蹴りで、自分にかかる衝撃を無視すればトラックも飛ばせるであろう一撃が気持ちいいほどに決まり、師匠の胴体は真っ二つになった。
『一本!! 勝者、このは!』
セットアップ中のアキレウスがそういって、セットアップを解除する。
「師匠! 大丈夫ですか!?」
明らかに大丈夫ではない師匠、上半身と下半身がなき分かれている。ちょうど一部のツェペリさんのような感じだ。
「問題ない。少々よりしろにガタが来ただけじゃ」
どうやら、腕が弾けとんだのも、ボディがタダの木製だったことに起因するらしい。
生木であったころは流派東方不敗の力の源である自然の気が十分にめぐり、強度も安定していたのだが、ここ数ヶ月のうちに、木が急速に水分を失い、その状態で、無理に気を循環させようとして爆発にいたったらしい。
『木を代えればまた修行できそうか?』
アキレウスの質問に、師匠は否と首を振る。
「修行自体は続行できるが、これ以上ワシと戦ってもこのはのためにならん。故に、ワシは旅に出てギアナあたりで修行をしなおそうと思う。また、おぬし達の越えるべき壁となれるように」
「そ、そんなぁ……」
「そう悲しそうな顔をするでない。ワシから一本取ったということはつまり、おぬしは流派東方不敗を名乗っても良いということじゃ」
師匠はバキバキに折れた腕を組んで言う。
「師匠! それはつまり……」
「うむ、皆伝である」
皆伝とは、すべての奥義を修めたということだ。
「ありがとうございますッ!! ししょぉぉーーーーー!!!」
こんなにうれしいことはない!!
―――ひしっ、ミシミシ、バキボキ
「ぐわぁー!」
……だから、感極まって抱きついてしまった私が師匠の胴体を完膚なきまでにクラッシュし、アキと師匠に小一時間説教されたという珍事はこの際割愛しよう。
はい、伏線はりました。
たぶんSTS編入るあたりで回収されます。回収したところでどうでもいい奴ですが
特別企画のまほら介入ですが、本編のイフルーととして紛れ込ませたいので、時期を見計らっている次第でございます。あしからず