フィジカルな魔法少女   作:なむさんばがらす

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とんでもなく間が空いてしまったじわ…

前回までのあらすじ

酔ったこのは嬢マジ怖い。


Wの鼓動・・・なの

「君ほどの実力者が、どうして見つかったんだい?」

 

「面目次第もございません」

 

ここは、妹達に習って素直に頭を下げるドゥーエ。

 

事の真相はこうだった。

 

~回想~

ドゥーエ視点

私は、WWW社に潜入した。

最初は、偽造の身分証を持ち、今や時の人となったワイル氏にインタビューをするジャーナリストという立場だった。

 

インタビューは当たり障りなく始まった。

彼は、質素なソファに腰掛け、楽な姿勢で話し、そばには秘書と思しき女性が二人立っていて、ラフな格好のワイル氏に対し、かっちりとしたスーツ姿で、この場にはそぐわなかった。

 

「彼女達は?」

 

「ああ、紹介がまだでしたね」

 

私が訪ねるとワイル氏は二人を指差し、紹介した。

黒く腰まで届く長髪の、隙のない印象の美人は、ユイ・ウイング。第一秘書だ。

 

もう一人は肩までのくすんだ赤髪とくりくりとした瞳をもったどこか小動物を連想させる女性。

彼女はニコ・マックスウェル。

他にもWWW社には三人、計五人の秘書兼重役がいて、併せて五人で会社を回しているとのこと。

 

この五人のうちの誰かに成りすませば、この会社の機密は丸裸だということがわかった。

インタビューは滞りなく進んだ。

今、私、ドゥーエはWWW社の最高機密が保管されているフロアに立ち入っている。

インタビューの後、偶然一人になったマックスウェル女史を昏倒させ、自らのIS(インヒューレントスキル)『偽りの仮面(ライアーズマスク)』で彼女の容姿を模倣し、セキュリティを突破したのである。

 

「よう。誰かと思えばニコか。奇遇だな、調べものか?」

 

突如、背後からかけられた声に驚く。むろん、表情やしぐさにはおくびにも出さないが。

 

「はい。社長こそ如何なさったので?」

 

声をかけてきたのはワイル氏だった。彼はなぜかバリアジャケット装備で、剣を腰に佩いて物々しかったので聞いてみることにした。

 

「それがな、どうやらねずみ(・・・)が紛れ込んだようだ」

 

私は生唾を飲む。心がざわつくのを無理矢理自制して、作業を続ける。

 

潜入のときはいつもこうだ。

 

この感覚が、私を惹きつけてやまない。

 

「でも、ここには入り込まないと思います。警戒が厳重ですし……」

 

「そうだな。だが、奴さんは姿形を網膜、指紋すらも欺瞞できるらしい。警戒するに越したことはない……そうだ、これを見てくれ」

 

ワイル氏が懐からタブレットを取り出し、私に見せる。

そこにはこの本社ビルの3D見取り図と、建物の中にあるたくさんの光点が映し出されていた。

 

「これは一体なんです?」

 

蠢く光点は、ビルの地上階には無数に存在していたが、機密情報のある地下空間(ここ)には、二つしか存在していない。

 

「……生命反応だよ」

 

だからどうした? といいかけた私は、彼が何を伝えたいのかわからなかったことに言い知れぬ恐怖感を覚え、その言葉を飲み込んだ。

 

「これを見る限り、このフロアには私と社長の二人しかいませんが……」

 

「……まぁ、そうだな」

 

ワイル氏の歯切れが悪い言葉が続き、得体の知れない恐怖感は消えない。

急ぎますので、とその場を立ち去ろうとした。

 

「一つ聞いていいか?」

 

故に私は気付かない。

 

「俺の秘書五人は、全員ガイノイド(女性型のアンドロイド)で生命反応は出ないはずなんだが――」

 

彼の表情が、獲物を前にした捕食者のそれと同種の喜悦に満ちていたことに

 

「――なんでお前、生きてる(・・・・)んだ?」

 

「!?」

 

私は物陰から出てきた四つの人影に拘束された。

 

それは、生命反応の出ないガイノイドたちであった。

マックスウェル女史はいなかったが、実質WWWのトップ全員がここにいることになる。

 

……仕事しろよ。お前ら。

 

そう口に出さなかった私を褒めて欲しい。

 

 

「意外と簡単に尻尾をだしたな。ドゥーエ?」

 

観念して変装を解いた私に、ワイル氏が言った。

 

「まさか、人間そっくりのロボットがいるなんて、誰も思いませんからね」

 

あの博士ですら、予想外だったでしょう。

おそらく、技術的には可能でも、生命の自己進化の可能性を断ってしまうのは博士のポリシー……というには語弊があるが、何か理想のようなものに反する。

そもそも、『偽りの仮面(ライアーズマスク)』は人間に化けるためのスキルであり、ロボットは畑違いも甚だしい。

 

「おいおい、この会社は包括的家事手伝いロボットで成り上がった会社だぜ。なめてもらっちゃ困る」

 

「……そうでしたね」

 

包括的家事手伝いロボ、といっても、スイッチを入れて、コントロールパネルをポチポチして、あらかじめ記録させておいたその家の炊事、洗濯、掃除をしてくれる。というだけの(博士に言わせれば、『ガジェットとなんら変わらないポンコツ』)オールドロボットだったではないか。

 

「社長、この不届き者の始末はどうします?」

 

不穏なことを言ったのは、サンダー・バートン女史。金髪蒼目ですらりとした体格をしていて、どこからともなく取り出したライフルを私に向けている。

 

「一応人間ですし、下手に殺したりすれば前科がついてしまいますよ。私たちはあくまでもロボット三原則にしたがって行動する必要がありますから……」

 

「……ふん。どうせ社長の意見で決まるんだ。私からは何も言わん」

 

バートン女史をやんわりと静止したのがウィナー女史、粗暴な口調なのはファイブライ女史であった。

 

「そのまま拘束しておいて、潜入がうまく行っている様に見せかけて、時期を見て返還、スカリエッティへの貸しを作ろう」

 

ということで、私は捕虜になった。

 

 

 

 

「で、返還。今に至るわけだね」

 

「……」

 

「謝る必要はない。反省する必要もない。これは、彼の技術力を甘く見た僕のミスだ」

 

スカリエッティは、何かを閃いたように手のひらをポンと叩いた。

 

「WWW社の方は長期的に潜入は難しそうだから、先に管理局に潜入しておいてくれ、うまく行けば、WWWも管理局のワイル隊も一網打尽に出来る方法を思いついたからね」

 

「……了解しました」

 

「詳細は追って伝える。それじゃあ、よろしく頼むよ」

 

博士が研究室の奥に消え、ドゥーエは新たな任務に向かった。




次回はワイル隊の話

作:「ほんとは、ワイル隊の話まで書くつもりだったのに……全部忙しいのが悪いんじゃー!!」
じわ:「言い訳乙」

追記
ワイルナンバーズはしばらく登場しません。あしからず

では、じわまでゆっくりとお待ちください。
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