フィジカルな魔法少女   作:なむさんばがらす

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じわ・・・少し長め。

どうしよう……ネタ成分ががが。


フィジカルな少女のメンタル・・・なの

今日は、私がゼスト隊に出向した初日。私とリッカさん(エリックさんは道連れに出来なかった)は隊員達の前で挨拶をしていた。

 

「今日から約半年、このゼスト隊に配属になるコノハ・グラスパートと申します。ポジションは、ガードウイング寄りのフロントアタッカー(回避型のメイン盾)です。魔力量は少ないですが、そこは気合でカバーするので、なにとぞよろしくおねがいします」

 

「同じく、リッカ・クスノキ二等陸士です。ポジションは……技術部兼、守り重視のフロントアタッカーです。至らないところもあるかと思いますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」

 

完璧ともいえる自己紹介を済ませ、私は隊員たちを見る。どうやら、最前線で戦う現場の人間には、あまり魔力量至上主義は浸透していないらしく、おおむね好意的に迎えられた。

 

「うむ。俺はゼスト・グランガイツ一等陸佐だ。他の隊員達の名前とポジションは、少し前に話したとおりだ。親睦を深めたいところだが、たった今出動要請がはいった。俺は低魔力量だからといってひいきはしない……実力で評価する」

 

実力で評価、ですか……高魔力保持者には当たり前に出来ることが、私たちには出来ない。それだけで、『実力』というものは相当量目減りしてしまう。

たとえば単純な殲滅力ならば高魔力保持者に引けを取らない、と思っている私ですが、長時間、飛行や攻撃を避けずに防御し続ける、といった慣れない事をさせられれば、高魔力保持者には適わない。

つまり、『魔力が多い』ということはそれだけ『潰しが利く』ということに他ならないのだ。

 

でも、後衛を守るのはリッカさんに任せてるので、私は敵陣に突っ込んでかき回せば良いのです。

 

「そろそろ作戦空域だ。各員、準備はいいな?」

 

任務先の廃棄都市区画に輸送用ヘリで(トレーラーのワイル隊とは雲泥の差)向かっている途中にそんなことを考えていたら、ヘリが作戦空域に着いたようで、ゼスト一佐が確認した。

 

それを合図に、ゼスト隊の隊員たちがいっせいにヘリの中でセットアップし、順々に降下準備に入る。

最初に降りるのは、フロントアタッカー(私)だ。

 

「数はⅡ型が十、Ⅰ型が二十と小規模だが、降下時が一番危険だ。注意しろ」

 

徐々に開く降下用ハッチを見ながら、降下なんかしたことない(トレーラーだったから)私たちに、ゼスト一佐が忠告する。

 

――ご忠告、ありがとうございます。

 

といっても、ヘリの音がうるさく聞こえそうもないので深くお辞儀をして、開ききったハッチの前に立つ。

 

「コールサイン、アース1。コノハ・グラスパート、行きます!!」

 

アースというのは、私たち派遣組に与えられたコールサインで、本来のクイントさんのコールサインは、もっとかっこいいやつだ。

私はヘリの縁を蹴って空中に出、落下による暴風を感じる。

 

――アキ、最初からフルスロットルで行きますよ!!

 

『Of course(御意)』

 

新魔法の修行の傍らに作った、対ガジェット用の魔法。

落下しながら、飛行型ガジェットに向かい、拳を溜め、魔力を集約させる。

 

『spirit variable phenomenal fist』

 

「石破ぁ! 天驚ぉ拳!!」

 

拳を振りぬくと同時に、巨大な握りこぶし型の魔力弾が現れ、飛行型に向かって直進する。

それは魔法でありながら、AMF(アンチマギリンクフィールド)を突き破り、敵の航空戦力の約七割(つまり七機)を撃墜した。

 

――気力による、多重弾殻の形成

 

それが、この魔法の真髄であった。

 

 

「……もう、このはちゃん一人でいいんじゃないかな……?」

 

リッカは、先ほど飛び降りた同僚の所業を見て、嘆くように呟いた。

端的に言えば、このはにとんでもなくハードルを上げられてしまったのである。

その証拠に、このはを見てひとしきりに驚いた隊員たちは、次の奴は何を見せてくれるんだ。と若干目をキラキラさせて期待のまなざしをリッカに向けている。

 

「だーっ、もう!! このはちゃんは、ワイル隊のエース!! 対して、私は技術部一般隊員、普通に降りますから期待しないでください!! カンナギ、起動!」

 

リッカは、視線に耐えかねて叫び、ヘリから飛び降り、いたって普通に着地した。

 

 

「二人とも、やるわね。ワイル隊にしとくのはもったいないくらい……引き抜いちゃいましょうか?」

 

その後、次々と隊員が降下するのを確認しながら、一人の女性隊員がゼストに話しかけた。

 

「やめておけ、メガーヌ。陸空両方にコネのある『管理局の超兄貴』と揉めるのは避けるべきだ。それに、クイントが戻ってくれば隊の魔力量上限はいっぱいなのだぞ」

 

「魔力量なんて、私と隊長がリミッター一つずつ掛ければ済む話じゃない。それにコネだって、レジアス中将じゃご不満?」

 

メガーヌと呼ばれた女性は余裕のある笑みを浮かべて、一応考えておいてね。といってヘリから出て行った。

メガーヌは、ばつ一子持ちのシングルマザーで、クイントの次は彼女が育休を取るのではないかともっぱらのうわさである。

 

「……俺も行くか」

 

一人残されたゼストもセットアップし、黒いバリアジャケットに身を包んで降下、だが彼は地上に降りず、そのまま飛行して残るガジェットⅡ型に接近、すれ違いざまにデバイスである愛槍で三機とも真っ二つにしたあと、新入りたちの働き振りを見るために地上に向かった。

 

・・

 

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

『jet fist』

 

このはは、真っ先に敵陣に飛び込み、ガジェットの群れのど真ん中で次々にガジェットを屠っていた。

リッカの呟いたとおり、一人でも討伐しかねない苛烈な攻めだったが、このはだって、チームプレイの基礎くらいは頭に入っている。

その証拠に、ガジェットⅠ型は、攻撃の優先順位をこのはに変え、このはを取り囲むように攻撃を始め、その結果ゼスト隊のセンターガード(射撃重視の中衛)に背後を付かれ、大多数がなすすべなく撃墜されている。

 

そのセンターガードを守るのは、どこからともなく大盾(タワーシールド)を呼び出した、赤い腕輪のデバイスを持つリッカである。

『神機創造(アラガミ・イミテート)』という、射撃・防御・近接すべてに対応した、召喚魔法の中の創成魔法(クリエイト・マジック)のオリジナルスペルを持っている彼女は、後ツーランク魔力量があれば、技術部ではなく執務官も狙えたという逸材なのであった。

 

――クイントの役割を、うまく分業している。

 

ゼストはメガーヌが、引き抜きたい、というのも分かったような気がした。

 

無事、彼女達が任務を終えてから、既に三ヶ月が経過した。

 

 

「ねぇ。二人とも、このままゼスト隊に来てくれないかしら?」

 

メガーヌの引き抜きの誘いに、このはとリッカの二人は難色を示した。

 

「身に余る光栄ではあるのですが……私、正式には管理局員じゃなく、WWW社の社員なので……」

 

「私も、同郷出身の死亡フラグ量産癖のある同僚(エリック)を残して転属はちょっと……」

 

といった具合だ。

それを聞いたメガーヌは「あら残念」と肩を落としたが、直後にこういった。

 

「でも、ここを第二の自分の隊だと思ってくれれば嬉しいわ。だって、私も含めて隊員たちは全員、貴女達の実力を認めてるもの」

 

これを聞いたこのはは、猛烈にテレた。

今まで、友人以外の誰かにここまで素直に努力を認められたことなどなかったからである。

確かに、彼女は『自分のため』に努力し、研鑽し、強くなった。だから、他者からの評価は本来重要ではない。だが、ここ最近局員試験落ちや武術大会の出禁と、まるでこのはの努力を頭ごなしに否定されているような状況に、このはの鋼の豆腐メンタルはボロボロだった。

そこに、この言葉である。

乾ききったスポンジが水を吸うかのように彼女の自己肯定欲求に染み込んだ。

 

ボンッと湯気が出そうなほど顔を真っ赤にしてテレたこのはがのぼせて倒れてしまい、その場にいた隊員の笑い種になったのは、自明の理であった。




じわ:「作はうそつき。はっきりわかんだね」
作:「そうだよ(便乗)」
じわ:「ふーん(無関心)」

次回:「このは嬢が切れた(コノハギアライジング)」

用語解説
・鋼の豆腐メンタル
崩れやすいのに粘りがあるため、本人も気付かないうちにボロボロになってしまっている心。
主にこのは嬢のメンタル。基本ボロボロ、でも本人は気付かない。ちょろいん化する可能性大。

・神機創造(アラガミ・イミテート)
盾、銃、剣を瞬時に切り替えることが出来る武器(分類的にはゴーレムの一種)を召喚する魔法。
彼女の故郷を滅ぼしたロストロギアの力を使って作り出された武器「神機」をモチーフにしている。

では、じわまでゆっくりとお待ちください。
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