はい前言てっかあああああい!!
101E小隊の連中マトモかと思ってたけど全然そんな事なかったよ。
君達がアメリカという自由の大地で生まれ育ったことは分かる。
分かるんだけどね…
「投票により、我々101E小隊の新小隊長はガーランドの再選に決まりました!」
「そんな選挙結果認められん!そもそも郵便投票は不正の温床だ!起訴するぞ!」
「トンプソン、言いたくはありませんが、こちらの弁護団は起訴に対して万全の備えをしています。かかって来たければそうして下さい(ドヤァ)」
え、何この選挙。
ひょっとして君達一々出撃の度に小隊長を選挙で決めてたの?
しかも郵便投票って何よ。
こんな至近距離で密な状態になってるのに今更ソーシャルディスタンスとか何か意味あるの?
「我が支持者達!我々のチカラで再び101E小隊を偉大にする!Make 101 great again!!」
「私の支持者に問います。これからは他の小隊とも協調して物事に臨むべき時代ではないでしょうか?」
「いいや、違うなガーランド!小隊員達は
「101 Firstの時代は終わりです!皆さん目を覚ましてください!隣人へのぶっきらぼうな態度は反感を招くだけです!」
トンプソンとガーランドの選挙キャンペーンもとい口論を見ているだけで、私はとてつもなく疲れた気分になる。
そんな私の元に、1人の優しい人形がやってきて、コーヒーを手渡してくれた。
「ウチの子達が…すいません」
「あ、ああ、いや、いいんだ。小隊長を代わる代わるやるって発想も、悪くはないと思う。全員に経験をさせる事で、誰かが不在の場合でも速やかに指揮を引き継げるからね。選挙ってのは面白い発想だが、それでもやらんとしてることは分かるよ。」
「………」
「どうした?」
「今まで私達の所にいらっしゃった戦術指揮官の方々は、尽く私達を見捨てて行きました…でも、指揮官はそんな私達にも理解を示してくださいます…それが嬉しくて…」
実を言うと、過去の記録を見る限り、この101E小隊もかなりたらい回された形跡がある。
そりゃ出撃の度に総選挙みたいなことされたら投げ出したくもなるだろう。
私も投げ出したい。
だが、それをやったら目の前のスプリングフィールドさんを泣かせそうで良心が…
そんな私の内心など知らず、M3の奴がマイクを持ってスプリングフィールドの方へやってくる。
ご丁寧にM1919A4がカメラを担いでるし、そのカメラには『ABC』なんてロゴが貼ってあるわけだが。
大丈夫か、ソレ。
「大詰めを迎えた小隊長選挙ですが、過半数票を集めたガーランド氏に対し、トンプソン氏は訴訟の構えを見せています。これについて有識者であるスプリングフィールド氏にお話を伺いたいと思います。……スプリングフィールドさん、この選挙についてどう思われますか?」
「ガーランド氏も、トンプソン氏も、大切な事が見えていません。」
「…というと?」
「今、この小隊には困り果てた小隊長が数多くいます。私達が彼女達の為にすべき事は社会保障制度の充実ではないでしょうか?富裕層に適正な税金をかけ、膨らみ続ける膨大な軍事費を削減し、小隊員の教育や健康保険の為の財源を増やす事こそ、今求められている政治だと私は思います。」
………
予備選未実施なの?
ちょっと待ってあなた達。
この選挙ってガーランドとスプリングフィールドさんの予備選を経てこうなってるんじゃないの?
なんでトンプソンはアレルギー起こしたみたいな反応してガーランドは一理あるみたいな反応してんの?
なんで2人とも初めて聞いたみたいな反応なの?
何これひょっとして大詰め迎えた選挙戦から更にもう1人候補出てくる感じ?
そういう流れ?
絞れや。
候補者絞っとけや。
なんで最終選挙戦も大詰めって時に新たな候補者出てくんのよ。
孫権かお前は。
三国志かお前らは!!!
「スタァァァプッ!!」
選挙戦で盛り上がるのは大変結構なのだが、私としては自分の仕事を進めたい。
だからあらん限りの声で101E小隊のメンツを制止する。
「ちょ、なんですか指揮官!?開票はやめませんよ!?」
「ガーランド、そうじゃなくてね。おっちゃんは今から君達に新しく配属された人形の紹介をしたいんだ。だから選挙戦は一時中断してもらえるかな?」
「…?…ボス、我々の小隊は既に定員だが?」
「確かにトンプソンの言う通りだ。だが、この小隊には欠点がある。第1小隊にも言える事だが、ARの人形がいないんだ。より柔軟な作戦対応のためにも、予備要員として本部が新しい人形を遣してくれた。」
「なるほど…」
「もうまもなくこの部屋に到着するはずだ。彼女の名前はM16A1…実を言うと、私もまだ顔は合わせていない。」
コン、コン!
その時、101E小隊に与えられた部屋のドアがノックされる。
どうやらM16A1が到着したようだ。
本部からはヘリで来ると聞いていたから、ダーリャママに迎えに行ってもらった。
ダーリャママはちゃんと勤めを果たしてくれたようで、ドアの向こう側からは彼女の声が聞こえてくる。
「坊や、M16が到着したわ。」
「分かった、入ってくれ。」
ここで初対面というのも少し手順がおかしい気もするが、共に任務にあたる仲間とは出来るだけ早いうちから顔を合わせておいた方がいいだろう。
だが、この判断は結局間違いだった。
というか全てが間違いだ。
まず間違いに気づいたのは、ドアから入ってきたM16を見た時だった。
「………」
「……や、やあ、君がM16かな?」
「………」
なんだこのM16は。
私が違和感を覚えたのは、彼女の雰囲気とその表情である。
ドアからは、まるで、さいとう●かをプレゼンツ、みたいな表情をしたM16が入ってきたのである。
「………資料とは…若干違うが……まぁ、彼女が101E小隊の予備要員になるM16だ。皆よろしくやってくれ。」
私は平静を装うために彼女の後ろに立ち、背後から肩に手を置こうとした。
こうすれば何か転校生を紹介する高校教師っぽいし、少なくとも、M16も腹を立てることはないと踏んだからだ。
そしてコレが2つ目の間違い。
バギィッ!!
「フゲッ!?」
「私の後ろに立つな」
M16から強烈な回し蹴りを喰らい、私は軽く吹っ飛ばされる。
直後にダーリャママがすっ飛んで"よちよち"してくれたが、彼女も何かマズいモノを感じ取っているらしく、M16には何も言わない。
M16はタバコを一本取り出してそいつに火をつけると、唖然とする101E小隊の面々に向かって口を開く。
「要件を聞こう」
「え、えむ」
ビシィッ!!
今度は安易に彼女の名前を呼ぼうとしたM3が強烈な平手打ちを喰らい、軽く一回転して吹っ飛ばされる。
M16はスーツのシワを直しながらも、再びしっぶい館●ろしボイスを披露した。
「私のことはデューク・サイゴウと呼んでもらおう。」
「「「「デューク・サイゴウ」」」」
「そうだ。依頼がある場合、引き受けるか引き受けないかは私が決める。会合場所もな。もし引き受けると決めたら、その時はスイスの私の口座に前金を振り込んでもらおう。」
淡々と自己紹介(?)を始めるデューク・サイゴウ。
何となくだが、私はこのM16がこちらに遣された理由を察することができる。
グリフィンのお偉方は、問題児共を誰かさんに押し付けたくてしょうがないのだ。
「坊や、大丈夫?」
「な、なんとか…」
「彼女のことは聞いたことがあるわ。何でも、超A級クラスのフリーランスのスナイパーで、依頼達成率は99.8%だそうよ。」
「うん、何となくそんな感じがしてた」
「彼女はデューク・サイゴウと名乗って入るけれど…本名は不明。CIAもKGBも、彼女をこう呼んでいるわ…『コルト
あれおかしいな。
KGBは消えてなくなったはずなのだが。
まあいいや。
私の心は完全に折れている。
もうこの原作崩壊レベルのキャラ崩壊系には付いていける自信もない。
私に出来ることと言えば、M16からは距離を置いておく事くらいだろう。
疲れた感満載の空気を醸し出しているであろう私に対して、空気を読まなさすぎるスプリングフィールドさんが緑色の紙切れをもって私のところへ来たのはその時だった。
「指揮官、コレをどうぞ。グリーンカードです。コレがあればあなたにも投票権が発生します。是非とも、私を小隊長に押してください。」
「…デューク・サイゴウ。早速依頼をしたいのだが…」
「なんだ、トンプソン。」
「後ろのロシア・ゲートを事故に見せかけて排除してほしい。報酬はジャック3本。」
「分かった、2本を私のスイスの口座に振り込んでもらおう。入金を確認し次第仕事を始める。」
「おおっ!ありがとうコルト16!」
ほらなね、こういうことになるでしょ?