今から、数億年前。
人々以前に生命自体も誕生していない世界。
黒い大地と赤い海、白い雲だけが広がっている世界。
そんな世界に、一つだけ人影があった。
それは、人のようであり、人ではあらず。
異様な力を使い、大地を、海を、空の形を変えていく。
光も通さない真っ黒な大地に緑の自然と風を与え、赤い海に極小さな生命を誕生させることで青い海へと変え、白い雲の一部を薙ぎ払い、その上の天を見えるようにした。
後にその力は〈忍術〉と姿を変え、世界の理に関与することができずとも、生活に新たな刺激を生み出すことができる力へと成った。
『力を欲するものよ、本当の強さとは力では非ず、本当の強さとは────―心なり』
「はぁ……俺もいよいよ父親になるのか……」
自然にあるように封印が施された岩の門の前で、黄色い髪を夜風に靡かせた男が腕を組んで座り込んでいた。
白い生地に〈四代目〉と書かれた羽織を着て、それが周りの者とは違う事を表している。
「長かったなぁ、ここまで来るのに」
この数年間のことを振り返っているのだろう、遠い目をして雲一つない夜空に浮かぶ白い月を眺めた。
「何をため息などついておるのです、四代目様。これから大変なところなのですから、しっかりしてください!」
近くにいた医療忍者の一人が、四代目と呼んだその男に声をかける。
「はいはい、わかってるよ」
男は苦笑いをしながら、恥ずかしそうに頬を掻いた。
時は少し戻って、現在から数年前。
その日は、とある赤子の誕生の日であり、歴史の転換期でもあった。
四代目火影である
何がどう転換期となったか、大体の人は知っているだろう。
簡潔に言えば、九尾の力を狙い、さらには木の葉の里をつぶすことを企んだ者が行動に移したのだ。
その結果、木の葉の里は半壊させられた。
本来なら、ここからナルトが成長して、皆に認められる立派な忍びになるのだが、これはまた別の世界線のお話とでもしようか。
ナルトが生まれた転換期。
この時に起きる事件は、見事に阻止され、母親父親子供すべてが無事に里に帰還することになる。
とある少年の介入によって────―
『この話をここで終わらせるのは勿体ない、ここからが楽しくなる場面じゃないか。あんまり変えてしまうのはよくないのだろうが、逃してしまうのは惜しい楽しさだ』
その少年、楽しき事に従順なり。
短いなぁ――