【デスノート】東方閻魔帳~Kira Star Necro Notebooks.【幻想入り】   作:主エホバ神

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登場人物の行動

四季映姫
デスノートの主権者であり所有者。
稗田亭全焼の知らせを受け、焼け跡を視察。
その帰りにデスノートを本居小鈴へ返却。
八雲紫の稗田阿求の輪廻転生データの閲覧許可を拒否。
要注意人物としてマークされる。

本居小鈴
デスノートの所有権はないものの、最初に使用した人物。
四季映姫からデスノートを返却される。稗田阿求の死を確信。
捜査の手が自分にまで及んだ事からのプレッシャーから、
自暴自棄になる形で、デスノートの使い手として覚醒する。

八雲紫
四季映姫に稗田阿求の輪廻転生データの閲覧許可を拒否される。
彼女を要注意人物としてマーク。
稗田阿求のものと思わしき遺骨と、親族の毛髪のDNA鑑定を永遠亭に依頼しに行く。

霧雨魔理沙
博麗霊夢の相方である人間の魔法使い。
稗田阿求を内心嫌っていた。
彼女の死の原因が実はある種のマジックアイテムによるものなのではないかと踏み。紅魔館と鈴奈庵を訪ねる。

博麗 霊夢
魔理沙と共に、稗田阿求の死の真相を探るべく、紅魔館と鈴奈庵を訪ねる。
そこで、外の世界で過去に起きたキラ事件という犯罪者連続変死事件と、
今回の異変が同一のものかも知れないという予測を立てる。

パチュリー・ノーレッジ
紅魔館の知識人。
魔術や呪術。その他の専門知識。
外の世界のトレンドに詳しい。
霊夢達に、キラ幻想入りの可能性を示す。





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【挿絵表示】

 

 

東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

 

 

 

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【挿絵表示】

 

 

無防備に昼寝をしていると、空から魔法使いが降りて来た。

 

 

「よぉ霊夢。ノーガードで昼寝とは、ここ周辺に越冬間近の熊が出没してるっていうのに、いい度胸じゃねぇの」

 

 

 こやつは霧雨魔理沙。幻想郷で唯一の火器をメインウェエポンとした変わり者だ。

生粋の捻くれ者で友達が居ないらしく、同年代の異端児である私の元へ訪ねては、菓子や茶を無断で喰い散らかしては、死ぬまで借りると言って、人様の所持品を盗んでいく可哀想な娘。

比較的な長い間、成行きで異変解決コンビを組んできたが、彼女の事は実はよく知らないし、

好きでも嫌いでもない。

 

人間の里にある大手古道具屋の父親と絶縁状態にあるとか人伝で聞いたが、罫線に触れそうなので、当人の過去については余り詮索しない様にしている。

 

 

「阿求死んだってな」

 

 

今幻想郷は文屋の焚き付けもあって、その話題で持ちきりだ。

稗田阿求、邸宅にて焼身自殺す。と。

 

 

阿求の死の知らせを聞いた時、他人に興味のない私としては、実は柄にもなく心が痛んでいた。

 

妖怪退治の専門家という共通項もあってか、個人的に談笑したり、試作のスペルカードについての意見や考案までして貰ったり、色々と御世話にもなった。

そう多くはない機会しか話したり、会った事ぐらいしかなかったが、親しければ友達になれたと思ってる。

 

「どうした霊夢? 涙流して」

 

「は?」

 

あ、ホントだ。しょっぱい。

 

「と、と、と、ともだちだと、おももっおも…うわああああああっ!!」

 

 

博麗霊夢が泣いた。あの天下無敵の博麗霊夢が、たかが人間一人の死の知らせに。

あいつの事、友達だとよ。お前にしては中々お笑いだよ。

そうか、あいつの事そんなに好きだったんだな、霊夢は。

私が鬱病で自殺未遂したって知らせには、うんともすんとも言わなかったのによ。

 

 

稗田亭炎上中の知らせを聞いた時、私がまず先に取った行動は、

遺産贈与だ。

知り合いのエンジニアにプレゼントしてもらった光学迷彩とガスマスク装備でのレジャーランド体験。最高にスリリングだったぜ。

 

光り輝く金銀財宝の在り処を燃え盛る屋敷の中、不屈の精神で生死と隣合わせの環境下で探索していく。

 

屋敷に取り残された稗田阿求の金切り声を環境音に。

 

ある程度掻き集めた所で、記念と言っては失礼だけど、生身の人間の死に様、稗田阿求の死に際を見届けてやった。

猫のみたいな鳴き声を出しながら、もう使い物にならないであろう、幻想郷縁記だったものに手を伸ばして。

体中が火達磨になっていたが、私の姿は見えていたみたいだ。

 

 

私はそっと、八卦炉をそいつの伸ばされた焼けただれた手の平に置いてやった。

 

「こちゅじゅ、おめがいね。れぃぬにもよろじく。ふたりは私の親友でちた」

 

次の瞬間、小さな閃光。

稗田阿求は頭部に小さな穴を空けて自害した。そのマジックアイテム、ある程度の先天的霊力がなきゃりゃあ、使えないはずだったのにな。奇跡だ。

 

私はそれを見て失禁した。いや絶頂した。人間って普段あんなに元気そうでも本当に死んじゃうんだなと。

 

 

「なあ、霊夢。泣くなよ。私が居るだろ? 一緒に犯人探しでもしようや。大切な友達だったんだろ、阿求の事。それにお前の事だ、何か手がかりの様な事は掴んでるんだろ?」

 

「……阿求は顔見知りの誰かに殺されたのよ」

 

それを聞いて私の胸は高鳴った。もしも阿求の遺体から、私が捜査線上に浮上してもおかしくはないし、その当日にやっていた事がやっていた事だけに、どう取り繕っても言い逃れができない。

しかしだ、あの傷ではどの道生きててもしょうがないし、永遠亭に運び入れ様とも箒から落ちた事だろう。

 

 

「自殺じゃないってのか?」

 

「全貌を知ると、道理は通っているのよ。手の混んだ自殺としか言い様がない程。

出火原因は阿求が精神不安定状態から従者と揉めだした際の燭台の転倒」

 

「そういや、胡蝶夢丸が買い占められてたな」

お陰様で禁断症状に苦しめられたぜ。

再入荷は当分先、死んでも迷惑な奴。

 

 

「そこからボヤが、八雲紫様がその前日に早めのクリスマスプレゼントして、

オイルストーブ数台を手配。それが稗田亭の全焼させる程の火力を生み出した。

タチが悪い事にその二日前、凍結破損した水道管の取替作業を、にとりに依頼していて。

新しい水道管の取替を後日してもらうはずだったんだけど、そのにとりと料金交渉で言い争いを起こしていて、にとりはそれに気を悪くして、当日交換できるにも関わらず後回しにしちゃったらしいんだって」

 

「それはしょうがないんじゃないか? 運が悪かったとしか…」

そこまで条件が揃ってると、最早自殺するしかないよな。雰囲気的に。

雰囲気?

 

 

「まさか、誰かが計画的に周囲の奴らをそうなる様に仕向けたと?」

 

「まさにそう。偶然にしては気持ち悪いくらい道理仕掛けなのよ。

妖怪の仕業じゃない。これは人間の仕業」

 

 

「人間の仕業か。なら犯人候補は絞られてくるな。私じゃないぜ?」

 

「あんたは小賢しい事はせずに、八卦炉で阿求の頭を直接撃ち抜くはず」

 

こいつ、読心術の心得でもあるのかな。相変わらず油断ならないぜ…。

 

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カリポリッ。

 

焼け跡から匂いを頼りに回収した稗田阿求の遺骨と思われるモノを、稗田家の遺族の面々の顔を思い浮かべながら、カルシウム補給兼ねて摘み食いしながら、私は永遠亭へと続く竹林道中を歩いていた。

腐った卵の殻の様な苦味ある味が、何ともも言えない様な微興奮を掻き立たせる。

 

あの10日前まで生き生きとしていた幻想郷縁起の著作者である、

稗田阿求の遺骨を今まさにこうして喰っているのだ。

別に咎められる事もないだろうが、ああ自分妖怪なんだなというノスタルジーと背徳感が胸一杯にじんわりと広がってゆく。

 

 

「やあやあ、八雲紫様。珍しいじゃないか」

 

竹林ホームレスの藤原妹紅。殺人者だ。

千年前。不老不死の薬である蓬莱の薬の廃棄の際に同行し、どういう訳か帝の使いであり、行き倒れを助けてもらった男を突き落とし、これを殺害。

終いには薬を飲んで、普通の人間の性質を持ち合わせたまま不老不死なった挙げ句、天国にも地獄にも文字通りに行けなくなった。

そのどうしようもない境遇から来る自殺願望を発散する為に、同じ薬を口にした蓬莱山輝夜という昔私が攻め込んだ月の都の姫君様と夜な夜な殺し合いをしているという狂人。

 

こうはならなくてよかったなと、心底思う。どんぐりの背くらべでしかないが。

 

 

「これはこれは、藤原妹紅殿。薬屋はどこですか?」

 

「そのまま50m先の折返地点まで進んで、さらに右折して、まっすぐ120m地点で、真横70mのまま歩いていけば到着だよ」

 

永遠亭には滅多に行かないので、場所を忘れやすくて助かる。

 

「ありがとう」

 

コッコッコッ。

ドグシャッ!

 

「うぎゃああああああああ痛いいいいいッ!!」

古典的かつ実用的トラップだ。パンジ・スティック。

枯れ葉や土で偽装した落とし穴の底に釘や竹槍・杭を設置して殺傷する火薬を用いないトラップ。

先端を尖らせた竹の断片で、火入れをして硬化させることにより先端の鋭利さが長く保たれるようにしてあった。さらに、傷を化膿させ感染症を引き起す為に人や動物の糞尿や毒物を塗る場合もある。

 

数十年前のベトナム戦争でも使用された。

 

非常に肉体に近い魂魄体である私には血はないが涙くらいならある。それでも物理攻撃はある程度は効くのだ。問題は人間が死ぬ傷であっても、その精神力と知性と体質から瞬時に死ねないという事。

かと言って意識も失うにも中途半端な痛みを感じ続ける。

 

「痛い痛い痛いぃぃぃぃぐッう」

 

「故人の遺骨を、遺族の気持ちも考えず、何食わぬ顔で摘み食いする様な悪い子には罰が当たって当然だろ。

大妖怪とあろうものが情けない顔しちゃってさぁ。あはははは!!」

 

「うひーっ! 手を貸しなさい!?  先端が捻れ構造で中々抜けないわッ」

 

「あんた能力者だろ? 自分で何とかしろよ」

正論だ。

 

「痛みで気が乱れて発動できないのっ!! 意地悪しないでぇ…」

 

「でもその怪我じゃ、お前さんであっても、二三日の入院だろ?

永遠亭の使い物を呼びに行くから、後6時間ぐらい、そこで待っててくれないか?」

 

「6時間!? 生殺しの状態のままで!? 嫌よぅ…」

ここの幻想郷住人は皆どこか病んでいる。らしい。

 

他の世界線の幻想郷の多くは陽気な者が多いのだが、

ここの幻想郷の者は他の幻想郷と比べて殺伐というか、

平均して心のパズルの三分の一が欠如している。

一見まともそうなキチガイ。穏やかに発狂している。

メンタルヘルスケアが必要。

 

自殺志願者の溜まり場などと散々な言われようだ。

他の幻想郷よりは、そりゃ陰気臭いとは思っているが、一体全体何がそんなに違うというのだろうか?

他の幻想郷にだって、ダークネスな部分や生き死にはあるだろうに。

 

「そんだけ口が回るのなら大丈夫だろ」

そう言って彼女は背を向けて歩いていく。一人にしないで。行っちゃ駄目だ。

 

 

「ちくしょう…」

しかし、久々に感じる肉体的な痛みは、普段から抱いていた希死願望が叶ったかの様で、まんざらでもなかった。

私は変態だったのだろうか?

 

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「はい治癒完了。歩行以外の派手な運動避けて、お大事に」

 

「ありがとうございます、先生。助かります」

 

 

 

「ところでここへ来たのは、治癒ではなく鑑定をお願いして来たんですよ」

 

「鑑定?」

 

 

「稗田阿求の親族の毛髪と、稗田阿求当人のものと思われる遺骨です。DNA鑑定をお願いできますか?」

ゴトッ。

 

「出来ますけど、何故そんな事を?」

 

 

「稗田阿求が本当に死んだかどうか証明して貰う為です」

 

「閻魔大王の元に行けばいいでしょう。わざわざ骨を…。あんたちょっと大丈夫? 目がギラついてて、まるでそこらの下劣な人喰い妖怪みたいよ、血に飢えた」

 

「行きました。幻想郷管理者特権で阿求の輪廻転生データを閲覧を要求しましたが、私にその権限はありませんと拒否されました。

私としては、稗田阿求の御魂が再思の道を通って、冥界や三途の川の中継地である無縁塚に来ているはずだと踏んでいたのですが、

そういう報告は受けていないそうです。このDNA鑑定で外れたら、彼女はまだどこかで生きていて、捕縛されているという事です」

 

 

「よくわからないけど、込み入った事情はあるのですね。少し待っててください」

 

 

恐らく彼女は死んでいる。こう言ってはなんだけど、彼女は人間にしては印象的な旨そうな臭いを発していたから、骨もこれは九分九厘彼女の遺骨だと思う。

魂のない人間がこの世にいないはずがないし、もしそうだとしたら、彼女は人間ではなく肉体の形を伴ったお化けだったと言う事になる。

 

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「おやおや、お二人揃って? どの様な要件で?」

 

「無意識を司る魔術、マジックアイテムがないか尋ねたい」

 

「そんな魔法ないと思いますが」

 

「とやかく言わずに、とっとと挿れなさい」

 

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「難しいわね……。痕跡を残さずに殺せる魔術なんて、聞いた事がないもの」

 

「そうか」

 

 

「ただ、十数年前。外の世界の話だけど、キラ事件と称された犯罪者を狙い撃ちにした同時多発大量殺人事件というものがあったわ。その犯人が自らの力をダイイングメッセージや権威付けも兼ねる意味で好んだのが心臓麻痺」

 

「キラ?」

 

「殺し屋のKillerから捩られた、犯人を表す固有名詞。

定期的に死のターゲットは決まっているらしく、6年前の第二次キラ事件では自殺志願者や老人。今年の5月に起きた第三次キラ事件は、死者こそは出なかったものの、そのキラの力を売買するという世界中を巻き込んだ騒ぎ。アメリカ合衆国が多額の資金で落札したと聞いたわ」

 

 

「外の世界の異変は、やっぱスケールが違うな」

 

「そのキラって言う人というか、怪異は捕まったの?」

 

「犯人が誰であるとか、どういう手口だとかは、その事件に直接携わった関係者以外、非公開のままよ。ただ、その事件の関係者と思わしき人物から、キラの犯行の手口はほぼ解明されたとの発表はあったわ。噂によると、実はキラは犯罪者の情報を得やすい立場の警察関係者だったんじゃないかって」

 

そう言えば、小鈴ちゃんのお店で幻想入りした、

それとは違う、何か似たようなワードが書かれた新聞記事を読んだ覚えが…。

 

「魔理沙」

 

「うん?」

 

「次は鈴奈庵に行くわよ」

 

 

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「いらっしゃいませー。あっ霊夢さん、魔理沙さん」

 

「小鈴ちゃん。あれから10日経つけど、大丈夫?」

 

「はい…もう忘れる事にしようと思います。思い出す度辛くなるので…」

 

「そう…。ところで、外の世界の新聞って今見れる?」

 

「見れますけど、殆ど傷んでますし、新しくても数年昔の物で良ければ…」

 

「確かどっかに…ここか! 40年前の消費税導入の年の」

 

朝  読  新  聞【朝夕刊紙面定価3925円(本体価格3938円・消費税13円】31部刷り朝刊488円・夕刊489円  1979年(昭和54年)12月5日  

宝銀行山下支店閉鎖

行員の相次ぐ変死が原因

更に近隣住人も

 

「魔理沙、これを良く読んで頂戴。特に死因の方……」

 

「!! ……支店長と次長が、同じ日の夜、ほぼ同時刻に心臓麻痺で死亡」

 

 

「心臓麻痺。紅魔館で聞いた外の世界で悪人を中心に殺されていった事件と関連性があるかどうかはわからないけど。今回の異変と、何だか似てないと思わない?」

 

 

「仮に阿求を殺したのがキラだという奴だと過程して、そいつは幽々子みたいな力を持ったやつなのか? 外の世界にも、まだとんでもない妖怪が潜んでるんだな…」

 

「妖怪…。確かにキラが妖怪なら、いつ幻想郷に幻想入りしていても可笑しくはないし、阿求の死もそいつが犯行手口の趣向を変えた上での仕業と考えた方が自然かもしれない」

 

 

「あのいいですか?」

 

「何、小鈴ちゃん」

 

「そのキラって妖怪が幻想入りしたというなら、まず人口の多い人里を狙うのは当然として……何故、阿求が最初のターゲットになるんですか? 悪人じゃないですよね?」

 

 

「阿求は悪人じゃない。寧ろ善人…。いや善人という程でもないけれど、悪い娘じゃない。

何故死ぬ事になったのか…。そこだけが引っかかるのよねぇ」

 

 

「なぁ……私達には荷が重すぎないか?

相手はスペルカードルールも無視して、力を躊躇なく行使する奴。弾幕勝負ならまだしも、実戦になれば、全く歯が立たないぜ」

 

 

「なーに怖じ気づいてんのよ。スペルカードルールを無視する奴が居るなら、私としても見過ごせないし、スペルカードルールに則って、これまで通りぶっ飛ばす」

 

 

「後は、そのぶっ飛ばす奴がどいつなのかって話なのよねー」

 

「………」

まだあれから10日しか経ってない。

流石は異変解決家だけあって、

いつかは来るんじゃないかと思っていたけれど、早過ぎる。

ノートも土に埋めるか、閻魔様に返却するか、それとも事故だったと証言するか、燃やすかなり色々と考えてたのに。

怖いよ。

 

バレるのも時間の問題だ。

もう殺るしかない。

こうなってしまった以上、口封じするしかない。

これは正当防衛権の行使だ。

 

 

 

 

「…魔理沙、もしもの話だけど」

 

「もしも?」

 

 

「本当にもしもの話だけど、あんたに「直接手を下さずに、相手を死に至らせる程度の能力」があったら、どうしたい?」

 

 

「はぁ? 私は疑われる筋合いなんてない。疑われるとしたら、幽々子だろ」

 

「幽々子はそんな事しないし、したとしても、あの稗田亭周辺に妖力の跡が必ず残るはず。あの現場に妖気やら邪気やらを感じさせるものはなかった。まあ私だったら、気に入らない奴はバンバン殺すわね」

 

「げげっ、お前、それでも博麗の巫女かよ」

 

「嘘。私は敵味方どちらにも肩入れしない中立派よ。でも仮にその力を持ったキラの立場で考えると、次に殺そうと思うのは━━━

 

 

 

「私達、異変解決家ね」

 

「おいおい、冗談じゃないぜ! 突拍子もない!」

 

「犯人からしてみれば当然の事よ。自分に疑いが向かないように、疑いを向けてきた奴、疑いを向けてきそうな奴は全員殺しておく。私達だけじゃない。咲夜に早苗に妖夢に、異変解決に携わってきた主戦力陣営は皆、まとめて殺しておけって感じね。

既に、私達が嗅ぎまわっている事に勘づいていると思うから、

これからは、あまり表向きに調べるのはやめた方がいいかも知れないわ」

 

「…霊夢。私が、その力を持っていたら私利私欲の為には当然使うが…。こんな奴、消えた方が世の中の為になると思う奴は全部殺して、まっとうな心を持った、まっとうな者だけの桃源郷を作るぜ」

 

 

「それは生きてる奴らの大半を殺さなきゃいけないし…そもそも、寿命の短い人間が天罰を下す神様になろうだなんてのは、不可能よ。それに働きアリの法則から、いくら善玉だけの楽園を創り上げても、必ず一定の割合で悪玉菌へと変異する。殺しても殺してもキリがない。そうこうしている内に神様1人だけになって、その神様も孤独から自殺して無になる。

まっ、あんたは殺す側よりも、殺される側だと私は思うけど」

 

「こええ事言うなよ。縁起でもない」

 

 

カリカリカリ。

 

 

「小鈴ちゃん? 俯いてどうしたの?」

 

 

稗田 阿求 自殺

そんなつもりじゃなかった。ごめんね。私もそっちへ逝くから。

 

博麗 霊夢 自殺

私が阿求を死に追いやったという趣旨の遺書を残し、首を吊って自殺。

 

霧雨 魔理沙 自殺

最も親しい人物の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、八卦炉を口に当て、そのまま発砲し自殺。

 

魂魄 妖夢 自殺

白玉楼の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、切腹自殺。

 

十六夜咲夜 自殺

紅魔館の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

東風谷早苗 自殺

守矢神社の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

 

「何でもありません。帰ってください」

 

「小鈴ちゃん?」

 

「帰ってください!!」

 

 

「行こうぜ…」

 

「あの…ごめんなさいね。この新聞記事借りていってもいい?」

 

「ご勝手にどうぞ」

 

パタン。

 

 

勢いで衝動的に書いてしまった。もう…後には戻れない。

何もかも終わりだ。

きっと私は死刑になるんだ。あの閻魔様に裁かれるんだ。地獄に落ちるんだ。

 

あははははははははははははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははははははははははははははははは

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はははははははははははははははははははははははははははははははは

 

 

次は誰の名前をカキカキしちゃおっかな♪

もうどうせ死刑確定だし。だったら最後まで楽しまなきゃね♪

うっしっし♪

 

 

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HOW TO USE IT

02

主権者特権

例え、自身がノートを使わず第三者に使わせる形で

基本ルール以外のノートのルールの存在を優先的に知る事ができる。

これを応用する形で、ノートの本来の所有者でない者にノートを使用させ、逸早くノートのルールを知るという事ができる。(ただし、デスノート本体が手元にある場合のみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔理沙は霊夢と違って、ストレートに窃盗行為を働いていますが、友達が多い印象です。陰湿な者と悪い者は似て非なるものだと言う事でしょうか?
次回はいよいよという感じです。
夜神月とは違って、小鈴ちゃんは余り頭がよろしくありません。
疑いが掛かったら即、衝動的な犯行に及ぶタイプです。

罪悪感以上に、自殺願望や霊夢達に目の前で疑いをかけられた(様に思えた)事に対するプレッシャーから、当人も内心訳の分からない暴発的な心境です。

物語の展開はいっその事、通常の物語展開とは逆の順、いきなり決戦場面に突っ込ませた方がいい?

  • はい。
  • いいえ。
  • どちらでもない。作者の判断に任せる。
  • 感想欄でアイディアを提案させて。
  • 二つの原作では余り使われていなかった設定を盛り込んで欲しい。

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