IDカードを発行してもらい、またほのかと雫の所へ。
「私はA組でした!2人は?」
「私もA」
2人ともA組か、僕もIDカードを確認する。
個人の名前、生年月日、学籍番号などが書いてある。
所属クラスは……A組だ。
「僕もA組だ、改めてよろしくね」
「みんな一緒でよかったぁ〜」
「私たちは教室見に行くけど…」
「僕は少し校内を見ていくよ、それじゃまた明日」
2人に手を振り、感じられる深雪のサイオンとはやっぱり別の方向に向かう。
気の向くままに少し歩き、案内板を見てみる。
この先は……図書館か…。
少し、調べに行きますかね。
「逃がすと思うか?」
「達也…」
「本当に逃げようとしているとはな、探しに来て正解だった」
「達也のサイオンが感じられないと思ったら……
図書館を見てみようとしただけじゃないか…」
あの生臭坊主から学んだ気配を消す方法を使ってまで僕を捕まえるとはね、シスコン極まれりだね。
「深雪が待ってる。施設探索は明日にしてくれ。」
「深雪は誰かと一緒にいるみたいだけど?
邪魔しちゃいけないよ。」
深雪はいま、グラウンドに面する廊下、窓寄りにいる。
ベンチならまだしも廊下にそのまま立って待つことなんて無いだろう。
もう友達ができたのか…。
いや、あの美貌だし…近づいてくるのは多いか…。
「今日知り合った人達と話している。
兄さんを連れてくるまで付き合ってもらっているんだ」
「はぁ…。ブラコンがここまで進行しているとはね…
四六時中一緒は無理なんだから少しは厳しくしなさい。
それに、僕の自由時間は?」
「気持ちはわからないでもないが今日は入学初日だ。
我慢してくれ」
僕は渋々達也に見張られながら深雪の元へ。
位置はわかっているので最短ルートで進む。
「お兄様方!」
窓際で赤毛の女子生徒と黒髪眼鏡女子と話していた深雪は華やかな笑顔を浮かべこちらに向かってくる。
他人から見たら絶世の美少女によるハート確殺笑顔だが、僕からしたら別の意味でハート確殺笑顔だ。
深雪と話していた2人の女子生徒もそれに続いてくる。
「初めましてー、私は千葉エリカ。エリカでいいわ、えっと…深雪のお兄さん?」
「初めまして、柴田美月といいます。私も、美月とお呼びください」
赤毛の活発系がエリカ、黒髪巨乳の文系が美月…と。
「紹介するわ、私のもう1人のお兄様、虎白兄様よ」
自分で自己紹介する前に深雪がしてしまった…。
「司波虎白。よろしくね、お二人共。」
「ねぇ、達也くん。司波家ってモデルかなにかが家業なの?」
「御三方とも美形ですね…」
「違う、普通の魔法家だ。」
普通では無いけどね。
「別のオーラ………?」
「美月は霊子放射光過敏症なんだ」
そうか…
でも、僕を視るなんて無茶はしないように注意しておこう。
「僕は異常だから、あんまり視ない方がいいよ。
僕自身も気をつけるけど。」
「はい…すみません、まだ扱いきれていなくて…。」
「ねぇ!虎白さんってなにか武術やってる?
達也くんもそうだけど、動きに無駄がないというか…
警戒されないように態と隙作ってるでしょ?」
いや、確かに色んな戦術は試したことあるけど…
「確かに兄さんは色んなことしてたな…」
「しっかりとやっていた訳じゃないからそんな事ないよ」
「そう、じゃ、そういうことにしておいてあげる!」
………?
「そろそろ帰らないか?」
達也の言葉に窓の外を見ると、太陽は木々の中に沈んでいっている。
「そうねー、それじゃまたね!」
「それでは、失礼します」
「ああ、また明日」
「また明日、2人とも気をつけてね」
「お疲れ様、またね」
エリカと美月と別れて、校舎から出て歩いていると、
深雪から冷気がまとわりついて来た。
「そういえば…虎白兄様、私が答辞をしている時寝ていましたよね。」
やばい、出来ることなら忘れていて欲しかった。
「答辞を辞退しただけでなく、私の答辞も寝ていて見ていないなんて……許せません!」
達也ヘルプミー!!
まとわりついていた冷気が一気に体を冷やす。
急激な体温低下により、筋肉は硬直。
呼吸も鼓動も止まり、意識は闇へと落ちていく。
─系統外魔法・精霊憑依術式展開─
憑依精霊:
下がっていた体温は平熱よりも熱くなり、髪の色も真紅に変わる。
額に3つ目の縦目が開いたところですぐさま解除した。
「深雪、いくら兄さんが妹の晴れ姿よりも睡眠をとったからと言ってこういう所ではダメだ。」
「申し訳ありません、感情が抑えきれなくなってしまいました。」
達也の言葉でまた冷気がまとわりつく。
「達也…そう思うなら余計なこと言わないでくれるかな…。」
「深雪に答辞を言わせておきながら寝ているような兄さんは少し痛い目を見た方がいい」
「済まなかったって…。」
いつまた冷気が襲ってきてもいいように待機させているため、グラデーションかかっている髪を手に流しつつ家へと向かう。
達也と僕がリビングで端末をいじっていると、深雪が不穏なオーラを出しながら入ってきた。
僕へのおしおきかと思ったが、別なようだ。
「先程…あの人達から連絡がありました。
入学祝いだそうです…。お兄様方には……」
「いつも通りだよ」
「やはり…!」
深雪の感情によって深雪の近くにあった物は凍りついた。
どんどんと氷が侵食しているが僕達にまで被害が及ぶと気がついた深雪はなんとか気を取り直して冷気を収めた。
「僕はなんとも思わないかなぁ…ずっと人形だったせいで記憶もなんもないし。」
「俺もだ、会社に入ることを断って入学したからな。
それよりも兄さんが作り出したさっきの魔法が気になっている。」
「あー、深雪、僕と達也の分のコーヒーを頼むよ。」
「わかりました…、いつも通りでよろしいですね」
「うん、よろしく。
それで達也、さっきの魔法だけど、あれは…憑依魔法とでも言おうか。」
「精霊魔法ではないと…?」
「僕の固有魔法は『空間支配』だよ?
領域内を好きに改変するなんて端末を弄るようなもの。そうやって作り出したのが、あの魔法さ。
僕の体に憑依したのは『憑依精霊』。僕が『空間』で作った精霊だけど力量は充分。
達也の自己修復術式みたいにトリガーをセットしてるから条件さえ揃えば勝手に発動してくれる。」
「さすが『空間支配』。使い勝手がいいな」
「人相手には一切効果がないけどね」
「他にどんな精霊が?」
達也と僕の作った魔法について話していると、キッチンの方からコーヒーのいい香りがしてきた。
「お待たせいたしました、虎白兄様のカフェオレと、達也兄様のブラックです。」
「「ありがとう。」」
うん、ちょうどいい甘さだ。
「それで、僕の精霊だっけ?」
「虎白兄様の精霊…ですか?」
深雪も気になったようだ。
達也の隣に座って自分の分のコーヒーを飲んでいる。
「あぁ、条件も気になるしな」
「そうだね、今のところ3つかな。
イフリートとリヴァイアサンとガルーダ。
イフリートは急激な温度の変化、リヴァイアサンは水分量の変化、ガルーダは圧力の変化で発動するよ。」
「なるほど、だからさっきは発動したのか」
「あんまり長い時間は使ってられないけどね。」
「………もしかして、昔大怪我したのは…」
「そうだよ、この魔法に失敗したから。」
「そんな危険な魔法は封印するべきです!」
テーブルに前のめりになって言う深雪の目には涙が溜まっている。
「魔法はどれも危険なものだ、それに使えるようになったんだろう?」
「その通り、強くイメージを持つことで安定した。」
そう言ってよく読んでいた本のタイトルを見せると達也は納得したようだ。深雪ははてなマークが浮いている。
「なるほど…魔法師が自分に不信感を覚えると魔法が使えなくなるその逆を試したのか」
魔法師はなんらかのショックで魔法が使えなくなる。
自分の魔法が信じられなくて使えなくなるなら、使えると強く思い込めばいい。
思い込むことで魔法を経由し現実に反映される。
イメージを固めるのに80年前くらいに流行したファンタジー物を漁った甲斐が有るというものだ。
「そういうこと、それじゃ、僕は眠いから寝るよ。
おやすみ、2人とも」
ソファから立とうとしたとき、
「今日、お兄様は私に対して酷いことをしましたよね?」
あっ……。
「悪いと思うのなら…添い寝してもらいます!いいですね!」
達也たすけ…だめだ、完全に無視する体制だ。
その夜、深雪を警戒して布団に入るといつ間にか居た深雪にホールドされて一夜明かすこととなった。
ヒロインは深雪にすべきか……ほのかにすべきか…。
ハーレムルートにするべきか……。
魔法科高校の劣等生を独立させる
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した方がいい
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このままでいい