ナザリック地下大墳墓にギミックやNPCが配置されて、内装も完成してからしばらく。
ナザリックとプレイヤー1500人による戦いで、八階層まで侵攻されたり、ナザリック侵攻に関わったギルドを壊滅させたりと楽しいことがあったが、今ではやることが無くなってしまい、リアルの都合から引退する人が続々と出てしまった。
今、アインズ・ウール・ゴウンに残っているのは、ヘロヘロさん、ペロロン、ペロロンの姉のぶくぶく茶釜さん、モモンガさんそして俺だけだ。
随分と広くなってしまったナザリックを維持するため、俺とモモンガさんで日々金策をしている。
ぶっちゃけ俺1人で十分稼げるのだが、モモンガさんが さすがに… ということで2人で実入りのいいボス戦をマラソンするのが日課になった。
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「今日でサービス終了ですか……」
円卓に座っている、モモンガさんと紫の粘液体であるヘロヘロさん。
「いやぁ、まさか最終日までナザリックが残っていたとは…」
ヘロヘロさんはブラック企業も真っ青な会社に務めているらしく、サービス終了を聞いてなんとかインしたそうだ。
そのせいで明日は会社から帰れそうにないらしい。
「すいません、さすがに疲れがやばいので落ちますね。」
「ほんとうにブラックなんだねぇ…。死なない程度に頑張ってください」
「本当にお疲れ様です、ヘロヘロさん。」
「ありがとうございます、死なないように頑張ります…
では、他のゲームであったらまたよろしくですー。」
ピコンと言ってヘロヘロさんが落ちた。
モモンガさんが震えていたけど、俺がいるからかなんとか抑えているようだ。
「残り10分もないか…」
そう言って立ち上がる。
モモンガさんがこちらをじっと見るが、心配しなくても落ちることはしない。
「最後だから私たちの最高傑作のギルド武器を持って玉座に行きませんか? めっちゃくちゃ美人に変身して並んであげますよ」
「……そう…ですね、最後ですしそうしましょうか」
モモンガさんがギルド武器を持つと2人で移動を始める。
円卓の部屋からでて、プレアデス達を追従させて玉座へ。
アルベドの設定を見たモモンガさんは、ちゃっかり自分を愛していると書き込んでいた。
「いや、最後ですし、別にタイプだからとかじゃないですからね?!本当ですよ!?」
「いや、アルベドのコンセプトってモモンガさんの理想女性ですからね。タブラさんお得意の膨大な設定の中にモモンガさんへの思いも書いてあったはずです。なんら問題ないですよ?」
モモンガさんがまた唖然としている。
気を取り直したモモンガさんが玉座へと座る。
アルベドと、変身して真っ白な髪に紅のヒビ模様のある黒いドレスを纏った俺(♀)がそれを挟むように立つ。
残り30秒…。
向こうに行けたらクレマンティーヌをどうにか手元に置いて、ナザリックが人類敵にならないようにしよう…あとモモンガさんがこじらせないようにしてあげよう……。
さすがにユグドラシルで迷惑かけすぎた…。
残り3秒。
2……。
1
……目を開ければ広々とした空間。
全体は暗く、冷たい印象を覚える。足元からはフカフカな感触。
モモンガさんを見てみれば、また顎がガックリと開いている。
「なっ……」
「モモンガさん、時間は過ぎましたよね?」
あぁ、声が見た目とおかしくないように男の声から変わっている。
ちゃんと女の声だ。
「…! グリンガムさん!そ、そうですねとっくに時間は過ぎているのでこの場にいるはずが…ユグドラシルの続編でも始まってるんですかね?」
顎に手を置いて考え込む骸骨。
ふとアルベドを見てみると、そわそわとモモンガさんの様子を伺っている。
プレアデス達も露骨ではないが、こちらの様子を見ているようだ。
「グリンガムさん!GMコールもログアウトも使えません!メニューすら表示されてない!」
色々試したのだろう、モモンガさんが現状を教えてくれる。
俺の方は見た情報をモモンガさんに伝えよう。
「モモンガさん、NPC達が自我を持ってるっぽいです。」
そう言ってアルベドに目を向けるとモモンガさんもアルベドを見た。
また顎がガックリと開いている。いつか外れそうだ。
というか、いつかカートゥーンみたいに地面まで顎が落ちそうだ。
注目されたアルベドは話すタイミングを探していたのか、視線を受けて口を開いた。
「なにやら問題があるようですが、モモンガ様、グリンガム様がなにを仰っているのか存じ上げない私はお力になれそうにありません。この失態を払拭できるなら如何様にもご命令を。全身全霊を持ってこなしてご覧にいれます。」
モモンガさんはアルベドの言葉を聞いてNPCが
俺は元々知っていたし、パニックになってる人が近くにいると自分は冷静になれるのでまったく動じてない。
「あ、あぁ、いや、……そうだな。アルベド、近くに寄れ。」
支配者っぽい口調と声色になったモモンガさんは、たぶん、運営のハラスメントコードの確認をするためにあれをするんだろう。
モモンガを愛しているアルベドは必要以上にモモンガさんに近寄った。というか、もう少し顔近づけたらキスする距離だ。
ガチ恋距離だ、ガチ恋距離。
もう既に惚れてるand理想女性が目の前のどーてー。
もうゴールでいいんじゃないかな。
アルベドとのガチ恋距離のせいか、周りが見えてないらしくアルベドに断りを入れてからモモンガさんは骨の手でアルベドの胸を……揉んだァァァァァァァア!
みんな見てるよー、セバスもプレアデスも俺もみてるよー!
セバスは空気読んで気配消してるし、プレアデス達も気配を薄めてる。羨望の眼差しが向いてるけど。
「んん”!ハラスメントコードもダメらしいですね…。あんなに規制凄かったのに…」
俺の声にビクッと反応する2人。
1人は俺がいたことを思い出して。
もう1人は頬を赤く染めていやらしい感じになっている。
「アルベド、ここで致すのもいいけど、ムードのある所の方がより燃えるよ?今我慢すればもっと楽しめると思うけどなぁ…。」
アルベドはハッとした後、すぐさまそばに控えた。
頬はまだ紅潮して、これからを考えたのだろう、笑みを浮かべていた。
「ま…まず情報を集める。でいいですか?グリンガムさん。」
「………はい。情報がないと何も対策できませんからね」
モモンガさんは気配を戻したセバスに外の様子を見てくるよう命令すると、プレアデス達に通常業務に戻るよう指示した。
「アルベドは各階層守護者と見廻りに六階層、アンフィテアトルムに集合するように伝え…ろ。時間は1時間後だ。
アウラとマーレには私自ら伝える。」
全員が返事を返すと、玉座の間には俺とモモンガさんだけになった。
「…とりあえず、私の部屋行きますか。」
「そうですね…」
玉座から俺の部屋に移動する。
俺は女の姿から男の姿に戻る。
体そのものがグ二グ二と動いて形を変える形式らしい。
これは確かに異形種だわ…。
モモンガさんと男に戻った俺は色々確認していく。
「魔法は使えますかね?」
「試しにメッセージ使ってみますか
『メッセージ/伝言』」
『グリンガムさん聞こえますか?』
こいつ!直接脳内に……!
『ファミチキください』
『ファミ…?なんですかそれ』
『なんでもないです』
「…魔法は使えるっぽいですね。」
「モモンガさんが魔法使えなかったらただの豪華なスケルトンですからね」
「高位の魔法は使えるんですかね?」
「闘技場を集合場所にしたのって魔法とかの確認のためじゃないんです?」
「いや、もしNPC達が攻撃してきてもすぐ逃げれるようにです…」
おぉう…。
まぁ、確実か。
「それと…NPCたちの前では支配者ロールをしようかと。」
やっぱりかぁ……。
どうすっかなぁ…。体に意識が引っ張られるんだっけな…。
人化の腕輪渡して人間の姿でも過ごしてもらうか…?
「まぁ、仕方無いですか…。
俺はいつも通りで行きますので」
「ずるいですよ!グリンガムさんもロールしてくださいよ!」
「いーやーだーねー!モモンガさんは42人を纏めてたリーダーなんだから仕方ないじゃん!」
「ちくしょぉ!」
「はぁ、息抜き用に人化の腕輪あげますから頑張ってくださいよ。」
アイテムボックスの空間へと手を突っ込み、腕輪を取り出す。
「なんで持ってるんですか」
「課金額ランキングチャンピオンに抜かりはなかった。
冗談です、対モモン…アンデッド用にバッドステータス効果つけるために素材としてキープしといたんですよ。」
「今、対モモンガって言いませんでした?
言いましたよね?」
「言ってないです。アルベドに寄られてどーてームーブ噛ましてる人の名前なんて言ってないです。 」
「グリンガムさんだって自分の姿変えて楽しんでたじゃないですか!」
「当たり前でしょう!自分の体が理想ボディとか見たり触れたりするでしょーが!
スケルトンは大変ですねぇー!!食べ物も食べれなくて!睡眠も取れなくて!!挙句には今まで連れ添ってきた愛棒も無くなって!女性を前に永遠のお預けですかぁ?」
「……『オーバーグラビティ/超重力』!!」
「うごはぁ!!」
「まったく…、食事や睡眠のための人化ですか…。
最初からそういえばいいんですよ。ありがたく頂いておきます。」
地面に押し付けられてる俺から腕輪を拾う童貞骸骨。
イタタタタタタタタ。めりこむ、めり込んじゃうからァ!!
「フレンドリィファイアしてるぞこの骨ェ!!」
「あ、確かにそうですね。すいません。」
フッと体を押し付けられている感覚が無くなる。
立ち上がり、ホコリを払う。
「今度から魔法には気をつけないとですね。」
「ゲームと少し違うみたいだしな…、1度確認しないと。
ということで、集合時間まで残り40分ですしアンフィテアトルムに行って実験しましょうか、すこしばかり手が滑るかもしれないですけどねぇ?」
「グリンガムさんの攻撃力、洒落にならないので遠慮しておきます。
アウラとマーレにも話をしなければですし行きましょうか」
モモンガさんと俺は、装備しているリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで六階層、闘技場〈アンフィテアトルム〉に転移した。
魔法科高校の劣等生を独立させる
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した方がいい
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このままでいい