六階層、次の階層へと続く転移門がある闘技場〈アンフィテアトル厶〉に転移したモモンガさんと俺はショタ(♀)とロリ(♂)に歓迎されている。
ショタ(♀)の名前はアウラ、茶釜さんが作った男装女の子だ。
ビーストテイマーで、集団戦No.1。
ロリ(♂)の名前はマーレ。同じく茶釜さんが作った女装男の子…。
さすがペロロンの姉だな…。
しかし、侮るなかれ、マーレの広範囲殲滅力はナザリック1である。
ついでに言うと、マーレは戦士系であるアルベドより力が強い。
ギャップ萌えも入れてるのか茶釜さん……。
「アインズ様とグリンガム様はなぜ六層においでに?」
元気に質問してくるアウラ、何故かその頭と腰に犬耳としっぽが見える。
半歩後ろでマーレが「お姉ちゃん御二方に対して失礼だよ…」なんて言っている。守護者の中で1番まともかもしれないからこのままでいて欲しい。
「あと30分くらいでここに各階層守護者達が集まる。
それと、少し試したいことがあってな。
アウラ、的を用意してくれるか?」
モモンガさんがそう言うとアウラはこれまた元気よく返事をして準備に取り掛かった。
モモンガさんもアウラについて行った。
残された俺とマーレ、ただ待つのも暇なのでテーブルとイスを取り出し、紅茶2カップと大皿のクッキーを置く。
また玉座の時と同じ白い髪、黒いドレスの姿に変身してマーレを膝に座らせた。マーレは突然のことに身を固くしているが、ユグドラシル時代からNPC達にアクションを取っていたこともあり、すぐさまリラックスしてくれた。
まぁ、スキルでリラックスフレグランスも使ったからなんだけど。
「マーレ、好きに食べていいわよ」
「えぇ!?いいんですか!?」
驚くマーレだが、目はチラチラとクッキーと紅茶の方に向いている。
食べても大丈夫と伝えれば、杖を抱いたままクッキーへと手を伸ばし口に運びだした。
「美味しいです!グリンガム様ぁ!」
……本当に玉ついてるのだろうか?
クッキー食べるマーレの頭を撫でながら、魔法実験をしているモモンガさん達を確認する。
モモンガさんが何か呟くと藁人形の上半分がちぎれ飛んだ。
えぐい魔法使うなぁ…。人間なら即死だよ、上半身と下半身がサヨナラバイバイだね。
アウラの下僕であるドラゴンキン─ドラゴンの近親者─に藁がぶつかっている。
モモンガさんが変に上機嫌だが、部屋で俺に使った魔法の方が高威力だと思うんだけど……。
そう思いつつ紅茶を啜っていると、モモンガさんとアウラがなにやら話をして、距離をとった。
モモンガさんが我らがギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを地面に向けると、炎の巨人が現れた。
こちらにも熱風が向かってきているが、邪魔でしかないので障壁で打ち消す。
『高位結界・断空』
テーブルと俺たちを包むように円形に透明な壁が現れる。
この結界は第十位階魔法の直撃でなければ破られることは無い。
アウラがアレに挑むようだ。
マーレのサポート無しで大丈夫だろうか…。
まぁ、マーレが何も言わずにお茶飲んでるし大丈夫だろう。
「マーレ、お茶は美味しい?」
「はい!と、とっても美味しいです!」
「口にあって良かったわ、お代わりはどうかしら?」
「あ、ありがとうございます!いただきます!!」
可愛いなぁ…。
あぁ。私は断じてショタコンではないです。
甥っ子です、可愛い甥っ子。
マーレは甥っ子と言うよりも姪っ子っぽいけど。
お茶を自分の分とマーレの分を注いでいると、もう少し戦い終わったのかモモンガさんとアウラがこちらに向かってきていた。
アウラは若干怒っているようだ。
モモンガさんは驚いている。若干口空いてるし。
「マーレ!あんたなにグリンガム様の上に座ってるのよ!」
やっぱりね、思ってた通りのお怒りだったか。
でも、座らせたのは俺だからさすがに可哀想だ。
「私が膝に座らせたのよ。」
「え?」
驚きながら、ユグドラシルでの俺の行動を思い出しているのか表情がコロコロ変わっているアウラ。
マーレを降ろしてアウラを手招く。
近づいてきたアウラを抱っこし、膝の上に座らせる。
「あっ…」
「アウラ、クッキーと紅茶はどう?」
新しくアイテムボックスからアウラとモモンガさんの分のカップを出して、ティーポットから紅茶を注ぐ。
「モモンガさんも人化の腕輪をして飲みましょう。美味しいですよ。」
そう言うと、モモンガさんはまだ人化するのに抵抗があるようだ。
「人化の腕輪をしてもステータス低下しかつかないので万が一はありませんよ、ちゃんとお守りしますから。」
ちゃんとフォローをすると伝えると、腕輪を着けて人間の姿になった。
装備アイテムはそのままサイズに合うように縮んだ、どこかの大魔術師かなんかに見える。
見た目は優しげな日本人だった。
アウラとマーレはモモンガさんの人間化に驚いているようだった。
「少しステータスは下がりましたが問題はないですね。
グリンガムさん、ありがとうございます。」
声はそのままなのに、柔らかく、優しい感じがする。
椅子を2つテーブルに並べて、モモンガさんとマーレを座らせる。アウラは膝の上のままだ。当然でしょう?
「モモンガさんの人間化は驚いた?」
アウラの頭を手ぐしで整えながらそう2人に聞くと、
「とても驚きました!アンデッドのモモンガ様も威厳があってかっこいいですけど、人間になったモモンガ様の方が優しそうでかっこいいと思います!」
「ぼ、僕も人間になったモモンガ様の方がいいです、アンデッドのモモンガ様よりその…、優しそうなので…。」
なかなか好感触の2人、モモンガさんを見てみると照れているのか少し気まずそうに紅茶のカップで口元を隠している。
「良かったですね、モモンガさん。」
「本当に、良かったですよ。
でも、私だけ人間化は浮いている感じがするのでグリンガムさんもなってくださいよ。」
仕方ないなぁ、
「守護者が来るまでですよ」
アウラを座っていた椅子に座らせて、変身する。
種族変更から人間になれば人化の腕輪は必要ない。
適当にリアルでのラフな格好になってモモンガさん達と対面する。
「グリンガムさん、イケメンだったんですね。」
「モモンガさんも優しい顔したイケメンですよ」
モモンガさんからは安堵。
アウラと、マーレは…。
「とてもかっこいいです!モモンガ様は優しいお父さんって感じですけど、グリンガム様はかっこいいお兄さんって感じです!」
「お姉ちゃんそれさすがに失礼だよ、でも、お二人共かっこいいと思います!」
モモンガさんがアウラのお父さん発言にダメージを受けているのに笑った。
テーブルに椅子を増やし、4人でお茶会を続ける。
モモンガさんはクッキーと紅茶を気に入ったのか、ひょいひょいと食べ進めている。
「こんな美味しいクッキーとお茶は初めてですよ。」
まぁ、あのリアルとは比べ物にならないよなぁ…。
「えぇ!?そうなんですか!?」
予想以上に驚いたのはアウラだ。
至高の御方がろくなもの食べてないことに驚いたのだろう。
『モモンガさん、ここでアウラとマーレにリアルについて少し話そうと思うのですが、』
『本当に美味しいですね、このクッキーとお茶。』
『モモンガさんモモンガさん、この飲み物は紅茶と言うんですよ。』
『そうなんですか!あ、リアルの話でしたね、よろしくお願いします。』
「アウラ、マーレ。よく聞いてね、俺たち42人はアウラたちのいる世界と別の世界にいたんだよ。
その世界はとても過酷でね。非力な人間にしかなれないんだ。
生きるためにみんな必死で働いて……。それでも何人かは命を落とした。
食べるものなんか美味しさなんて感じられない、酷いものしかないんだ。だから、モモンガさんも俺もこっちでは質素な料理や景色でも、今までないくらいの美味しさだったり、美しさだったりするんだよ。
ごめんね、君たちの創造主達はそんな生き物なんだ。幻滅したかい?」
『ちょっと、大丈夫なんですかそんなこと言って!』
『大丈夫ですって、たぶん。』
モモンガさんが頭の中で騒いでいるが、無視する。
アウラとマーレを見ると2人は涙を浮かべているようだった。
「アウラ?マーレ?」
「幻滅なんてしません!至高の御方々がそんな環境にいたのに私たちは…なにも…」
ちょっと雲行き怪しいな?
『モモンガさん、どうしようか。この子達の忠誠心限界突破してるっぽいわ。』
『えぇ!?ここでそんなこというんですか!?』
『やべぇ、どうフォローしようか…、モモンガさんよろしくお願いします!』
『えぇ!』
「あー、うん。そうだな、アウラ、マーレ。
確かに向こうは酷いところだ、私とグリンガムさんが残れたのは奇跡かもしれない。
しかしもう終わったことだ。この世界と私たちがいた世界とは分断されて行き来することが出来なくなっているからな。
気に病むことは無い。」
あー、うん。これはパッパだわ。
『さすがモモンガパッパ。お父さんだわ。』
『やめてください、結婚もしてないんですから。』
『そういえば、AOGでの独身同盟なんで除け者にしたんすか!』
『グリンガムさん未婚者だったんですか!?』
『童貞ではないけどね!!』
『ギルティだおらぁ!!』
「まぁ、気にするな。いつも通りでいいんだ。」
頭の中でモモンガさんと騒ぎながら、リラックスフレグランスを強める。
残念だな、これはデバフじゃないから防御貫通するんだ。
人間になったモモンガさんが1番効果出てるせいで優しさ4割増になっちゃってるわ。
2人は落ち着いて、お茶を飲み進めている。
少しばかり元気が減っているが……。
「2人とも、そんな顔だと美味しさが減るよ。もっと元気に!ほら!」
早く守護者達来ないかなぁ……。
魔法科高校の劣等生を独立させる
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した方がいい
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このままでいい