艦これ物(仮タイトル)   作:まうまうのマウス

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あとがきに作者の考察と妄想、解説など書きます


英雄

夢を見ていた

 

夢を……見ていた

 

響き渡る轟音

 

漂う火薬の臭い

 

崩れていく部屋の中で……自分は、瓦礫の下敷きになっていた

 

『……ちくしょう』

 

動かない体でもがいても無意味と悟った時に口から漏れた言葉はそれだった

 

大規模作戦の後、疲労困憊になった鎮守府に押し寄せた『敵の波』

大群どころではなかった

 

各自が奮戦した

 

だが、大規模作戦直後で資材が枯渇

 

整備がまともに行き届いてない艤装

 

疲労困憊で満身創痍の『艦娘』

 

急襲故に援軍は期待できない

 

そう伝えても彼女らは出撃した

 

無線機越しに聞こえる彼女らの『最後の言葉』

 

 

ああくそう、何が英雄だ

自分は守られていただけで、何も守れなかった

 

 

あの時も生かされて

あの時も逃がされて

そして、守られて

 

何が英雄だ

そんな人間が英雄等と…名乗っていいはずがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ドンドン ドンドン)

 

「………なんだ、やかましい」

 

ドアを叩く音で目が覚める

机の上に乱暴に散らばった酒の瓶や缶を落とさないように起き上がり玄関を明けにいく

 

途中転がってる瓶に足をとられてこけそうになったが何とか玄関の扉を開ける

 

雨の中傘をさしてたっていたのは一般人とは程遠い服装をした……海軍の軍服を着た人であった

 

扉を開け確認したと同時に軍服をきた比較的若い軍人は自分に向かって敬礼した

 

「大本営所属、大野少佐であります」

 

「………元帥の回し者か」

 

軍服を見てその考えしか浮かばず思わず口にした

 

大野少佐はそうですと苦笑しつつ答える

 

「立ち話もなんだ、上がれ。散らかってるがな」

 

中に入るよういうと少佐も足場を確かめながらついてくる

 

ある程度机を片付けて座るように促してから冷蔵庫から缶ビールを取り出す。

 

飲むか?と少佐にきくと勤務中ですのでとやんわりと断られた

 

 

「…ふぅ、んで?一体何の用だ。まさか戻ってこい……なんてことじゃないだろうな」

 

缶ビールを飲みながら睨むように少佐をみるが当の本人は困ったように肩を竦めてから鞄から封筒を取り出した

 

「この中に全て入っていると元帥はおっしゃっていました……それと『戻ってきてくれないか英雄。私個人の願いだ』とも」

 

「……少佐、俺は英雄なんかじゃない」

 

首をかしげる少佐に語るように告げる

 

「英雄ってのは幾多もの犠牲の上になり立って『生き残ってしまった臆病者』にすぎないんだ。俺に英雄と呼ばれる資格も、名乗る資格もない」

 

「……『けれど世界は英雄を必要としている』」

 

俺の言葉に紡ぐように少佐は続けた

 

「元帥はあなたがそう言ったら、こう続けてやれと」

 

「………困った父親だ」

 

大きくため息をついたあとに改めて差し出された封筒の封を開ける

 

中には数十枚の履歴書。

階級、軍歴、出身地、所属先……つまりこれは

 

「……なんだ、鎮守府の提督リストか」

 

「ええ、ですがそのリストにのっているのは軍法会議で有罪となった犯罪者です。全員が終身刑、もしくは死刑判決が下っています」

 

「何?全員戦果は充分、成績優秀ばかりじゃないか」

 

「表は、です。それが今の大本営の黒い部分です」

 

リストを流すように読みながら少佐の話に耳を向ける

 

「そのリストにのっている提督は艦娘への性的暴行、大破撤退の原則無視、資材や資金の横領……他にもありますが主な罪状は今あげた通りです…それも証拠が残らないよう綿密に隠蔽されていました。しかしながら先日やっと尻尾を掴み元帥の命令で一斉検挙が行われました……今、艦娘たちの保護とメンタルケアに追われています…これがブラック鎮守府の全貌です」

 

ブラック鎮守府、現役時代に少し耳に挟んだ事がある

艦娘を道具と扱いながら自分の戦果だけを欲し私利私欲の為に艦娘を酷使し、時に駒として切り捨てる……だが

 

「ブラック鎮守府……兵器の扱いとしては間違いではない」

 

「と、いいますと?」

 

「兵器や持てる道具を使って消耗しても戦果を上げるのは軍人としては上出来だということさ」

 

そう、『兵器』として扱うなら満点中の満点だろう

持てる道具を持って敵を倒し戦果を挙げる

軍人としては間違いではない

 

「しかしそれは!」

 

「ああそうさ。だが彼女らは兵器ではない、これは大本営の決定でありおれ自身もそう思ってる。彼女らにはいきる権利がある、違うか?」

 

「…おっしゃるとおりです」

 

彼女ら、艦娘は生きている

彼女らは人間の為に戦っている

彼女らには生きる権利がある

兵器ではなく、一人の人間として接してあげることが何より艦娘の為になる

 

このブラック鎮守府を残して置けばいいずれ報いが来る……放ってはおけないだろう

 

缶ビールが空になったのを確認すると封筒に資料をいれて立ち上がる

 

「元帥に伝えておいてくれ『後日出向く』、と」

 

「!了解いたしました!それでは」

 

この返事をきいて満足したのか少佐はそそくさと家を後にした

 

「………雨か」

 

窓の外を見て雨脚が強くなっていく雨をみてふと呟く

 

「俺もそろそろ覚悟きめんとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大本営。

 

横須賀鎮守府施設内総督府におかれている最高司令部としての機能を持ついわば軍の総司令部。

 

数年振りに着た白い軍服、その胸には勲章や将管階級を表すバッジが目立つ男

 

廊下ですれ違う人に凝視され鬱陶しく思いながらも目的の部屋で元帥から貰った資料に目を通す

 

 

ここで少しこの男の話をしよう

 

彼の名前は「神崎 四郎」

 

元チューク諸島鎮守府………つまりトラック泊地の提督。

 

トラック諸島海域解放戦にて艦娘に被害は出たものの誰一人沈ませず任務を遂行し不可能とされていた海域を解放させた文字通り英雄

 

しかし作戦終了のつかの間、急襲してきた敵の大艦隊に鎮守府は壊滅、それでも奇跡的に生還した男

 

鎮守府は崩壊

帰還した艦娘は……驚愕の0

この戦闘の後、神崎は二度と表舞台には立たなかった

 

そんな彼の生い立ちは……それは後々明らかになるだろう

 

「……親父、こいつは少しいきすぎてないか?」

 

手渡された資料をみて四郎は自分の父親……「神崎 又三郎」にそう聞かずにはいられなかった

 

暴行、大破進軍、資金横領、さらには憲兵や保安部も買収、とことん徹底していたようだ

 

保護された艦娘は施設でメンタルケアを行っているそう

そのあと鎮守府に戻るのか、退役するのかどうするかは彼女ら自信の意思を尊重するらしい

 

 

四郎の配属予定の鎮守府の艦娘リストは悲惨だ

 

轟沈、轟沈

 

ただ轟沈の文字がずらりとならんでいた

大破、中破の文字も数個かろうじて見つけた……これはあまりにも酷すぎる

 

中には『行方不明』というのもあった……これがMIA(作戦行動中行方不明)をいみするのではなく本当にどこにいったのかわからないのだからたちが悪い

 

「俺達上層部にいく情報をうまいこともみ消していたようでな…行動に移すにも徹底した隠蔽にかなり苦戦したが、…もう少し早ければ救えたものもあっただろう……」

 

「…酒に溺れてる間にこんな状況になってたとは……こりゃ確かにいつまでも突っ伏してる場合じゃ無さそうだ」

 

「配属先の鎮守府は専門の整備士がすでに修復と復旧に向かっている。あのままじゃ使えんからな」

 

手渡された資料の中には工厰やドックの写真もあったがこちらも悲惨だ

泥水の用な湯にカビだらけの浴槽、工厰に至っては手入れされず錆び付いており動くかさえ怪しいとのこと

 

「……親父、工作艦『明石』を手配してくれないか?あと補給艦『間宮』も」

 

「うむ………念のため武装していけ、何があるかわからんからな」

 

「どんだけ危険なところに放り込むつもりなんだあんたは……」

 

だが実際、元ブラック鎮守府に着任した提督が行方不明だった艦娘から襲われ負傷した事例がある

冗談であってくれと心のそこから願うばかりだ

 

「危険は承知の上だ。やってくれるな、神崎四郎少将」

 

この言い方、既にこの二人に親子関係はない

上司と部下、その関係だ

 

もっとも、四郎の本当の父親ではないのだが

 

「…神崎四郎少将、元帥のご命令により提督任務を遂行します」

 

「配属先は呉第三者鎮守府。着任予定時刻は四日後の1200だ。詳しいことは渡した資料に書いてある。以上、下がりたまえ」

 

「了解しました」

 

敬礼をして元帥の部屋を後にし帰路につく

 

四日後、また提督をすることになってしまったが自分にまたやることができるのだろうか

 

「………なあ、どう思う?できると思うか?臆病者の俺に」

 

今はなきかつての秘書艦に聞くように呟くが、返事は帰ってくるはずもなかった

 

 

 

 




『ブラック鎮守府』

艦娘を酷使し自分の戦果を優先、艦娘への性的暴行や憲兵の買収、資材の横領などを行う文字通り糞提督の鎮守府………と言うのが最近の小説やSSでのブラック鎮守府が多い印象。
本作でもこれを採用。
実際はサービス直後の大破しても轟沈しないというシステムを利用してレベリングをしていたことをブラック企業になぞらえてつけられたもの。
運営はこれを対策するために轟沈システムを実装した。
今の大破進軍や無茶なレベリングをする提督も見られそれに対する批判もあるが作者はそれも『一種のプレイスタイル』であり同じゲーマーとしてはそのプレイスタイルに文句は言うつもりはないと考えている。気分はよくないけどね


『酒に溺れる主人公、神崎 四郎』

前作主人公とかが酒に溺れてる所に部下や上司がきて戻ってきてくれっていう感じのシーンが好き!
というわけでこんな感じになったけどうまく表現できてるかな?できてないなら作者の文才不足です本当にありがとうござい(ry
正常(?)の提督に見えますが根本の一部が狂ってます


『英雄は犠牲の上になり立っている』

英雄って確かに尊敬されて皆から慕われるけど当の本人はどう思ってるんだろ
いろんなアニメ作品を見てきたけどやっぱりこれなんだなと思った
正義の裏には悪がある、その悪を犠牲に正義は成り立っているのかなと

『艦娘』

いろんな考察飛び交ってるけど多くは「人類の味方」っていうのが多い。
中には深海からのスパイって考察もあったけどそれもありかなと。
作者はこれをとあるアニメ風に言うなら『人類の守護者』、もしくは『抑止力』に相当するものかなと考えている
でも後述の考察を述べると矛盾しちゃう
この作品ではそういう側面を出せたらなと思います(できるとは言ってない)

『深海悽艦』

艦娘と対をなす存在、人類の敵という考えが共通している。
エビみたいなやつからすっごい美人な人型までいる。
こちらは恐らく『人類悪』、もしくは『やりすぎた支配を続ける愚かな人類への報復』する存在だと考える。
つまり艦娘とは対をなす別の存在……というわけでは無さそう
イベントクリアした時の敵のボイスやボスの容姿から全く別の存在と言い切れない
艦娘によく似た何か、それとも深海悽艦によく似た艦娘なのか…作者も一番考察してるところ






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