艦これ物(仮タイトル)   作:まうまうのマウス

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遅くなりました



ほのぼのとはいったい……?


任務

その日の夜、神崎は執務室の机で書類に目を通していた

 

寮のクリアリングは終わったものの夕立以外の艦娘が見つかる事はなかった

 

夕立は修復された工厰で現在修復中

 

明日、樋口少佐が他の艦娘の居場所等を聞き取りしてみるという

 

 

「……」

 

 

目を通していたのはこの鎮守府の艦娘のリスト

その多くが轟沈と記されている

 

『捨て艦戦法』

 

海域突破のため練度の低い艦娘を囮として送り出し轟沈前提で突破するという戦法

 

当時、艦娘に対する明確な処遇が確立されてない時にどこかの提督が編み出した狂気とも取れる戦術

轟沈前提、つまり「死んでこい」と送り出すのだ

当然その犠牲になった艦娘は二度と帰ってくる事はない

 

そして比較的この捨て艦に選ばれるのは駆逐艦が多い

低資源かつ燃費もいい。捨て艦戦法をする提督にとっては都合がいい、いや、良すぎたのだ

 

この戦法で幾多もの犠牲をだした大本営は艦娘の保護法と明確な処遇を確実にさせた

艦娘を人とおなじ扱いをすること、それをおおっぴらに発表した

 

それでもなお、いまだに自分の利益のため捨て艦を行う鎮守府が多い

 

「ひどいもんだな」

 

だからといって、自分一人が叫んだところでなにも変わらない

 

万の艦娘を救いたいと叫んで死んでいった同僚も、確証を突きつけようとした先輩が殺されたりするところを何度も見てきた

 

何度も、何度も

 

確かに救いたかったのだろう、助けたかったのだろう

 

だが、こういった戦法で海域突破をしているのもまた事実であり都合が良いという輩も沢山いる

 

そんな前そう叫べばそれはただの偽善者、綺麗事の塊になりかねない

 

だから、せめて自分はそうならないよう艦娘と接した

家族の様に、兄妹のように

 

だが、結果として鎮守府は壊滅した

 

ーーーーーーそんな奴に偽善者や綺麗事と指摘する権利があるのか?

 

その優しさが、あのトラック白地の壊滅を招いた要因なのなら

 

ーーーーーーそれは、自分の行動は間違いだったのではないか?

 

結局は何も………守れなかった敗北者の戯言じゃないか

 

コンコン

 

「…ん?開いてるぞ」

 

来客に思考を停止させる

 

まったく、少しでも考え始めると自己否定的になってしまう

悪い癖だ

 

ギィ…

 

とゆっくり執務室の扉がひらきひょこっと明るい髪の毛が見える

 

夕立だ

 

「夕立か、どうだった?綺麗になってただろ」

 

夕立は質問にコクリとうなずくだけ

 

 

ーーーー前に、前の鎮守府にも夕立がいた。

明るくて改二になってからは好戦的になったがこちらを見つけると嬉しそうに寄ってきた

それはまるで犬のようで何回かブンブンと尻尾を振っているような幻覚をみたこともあった

 

そんな彼女と同じような面影は………この夕立にはない

 

(時間をかけてくしかないか……)

 

内心渋い顔をしながら笑顔で夕立を迎える

 

明日には明石や間宮も来る

 

親父のことだから恐らく顔馴染みの明石達を送ってくれただろう

何とか協力して元の夕立に戻ってもらうのが当面の目標になりそうだ

 

 

 

………上手くいくなんて保証は何処にもない

けれど、やらなければいけない

 

それが、あのときの罪滅ぼしとなるならば

 

 

 

 

 

 

 

ー次の日ー

 

 

 

 

 

「ほ~すごいなこれは……」

 

 

「…………」

 

輸送船が到着すると聞いた神崎は陸揚げの様子を樋口と共に来ていた

 

その光景を見るや否や樋口は感心し神崎は眉間を押さえながら仰いだ

 

 

数人の艦娘に守られ入港した輸送船、その後ろを巨大な黒い塊が動いていた

 

 

 

『伊1101型特殊大型輸送潜水艦』

 

 

海軍省が戦争初期に開発した輸送に特化した大型輸送潜水艦

 

制海権が確保されてない状況で海上輸送が厳しく、陸路では量が間に合わないとして一度に多くの、なおかつ見つからないよう輸送できる潜水艦として開発された

 

日本の制海権が確保された現在は大本営直属の特殊潜水艦部隊に配属され元帥、そしてその上の総長のみが命令権が与えられている

 

つまりいままさに入港しようしているこの黒い塊こそ伊1101型そのものでありそれは元帥が手を回したのだと神崎が理解するのには難しくなかった

 

「昔はあれで輸送してたんだろ?よく深海の奴らに沈められなかったもんだ」

 

 

「特殊な推進力で動いているらしい……極秘だから言えんが」

 

これらの特殊潜水艦部隊は後野明らかになっていくだろう

 

 

入港した輸送船、及び大型潜水艦から次々と物資が運ばれていく

護衛についていた艦娘は妖精さんに誘導されてドッグへと入っていく、そんな護衛のなかの一人がこちらに歩み寄ってきた

 

「久しぶりだな、四郎。いや、今は神崎提督に戻ったか」

 

「久しぶりだな長門。呼び方はどちらでも構わんよ」

 

戦艦 長門

彼女こそ日本が誇ったビッグ7の艦娘

強力な41cm砲を持ちかの有名な戦艦大和、武蔵が出てくるまで連合艦隊の旗艦を勤めた戦艦

 

神崎が幼い頃から又三郎の元に居て非番の時にはよく相手をしてくれており神崎にとっては顔馴染みの艦娘であった

 

しかし

 

「何故輸送船の護衛に?長門は今育成の配備だったろう」

 

前線が安定して以降、大本営鎮守府は進行から各地の鎮守府に海域を任せ未熟な艦娘を育てるという方針をとっている

 

長門は大本営で教える立場でありいざというときは出るといういわば控えだ

前線を離れているはずの長門が護衛についてきているのだ

 

「しばらくここに滞在する事になってな。まあ、あの人の命令だ」

 

「はぁ……」

 

手渡された資料を受け取りながら神崎は深く溜息をつく。

 

神崎自身、手配のいい父親に感謝はするが少し過保護過ぎではないだろうかと心に問いかける

育成班にいた長門を寄越し、挙げ句の果て直属の部隊の輸送潜水艦まで引っ張り出してきたのだ。

手厚いにもほどがある

 

「他の鎮守府に贔屓だとか言われても返せないぞ……」

 

「頑張れ少将、なんとかなるさ」

 

「くそ、他人事だとおもって………」

 

溜息ついても仕方ないと神崎は資料をもって歩き始めた

 

「少将、取り調べの件はどうする」

 

「中佐に一任する。一応観させてはもらうけどな。長門は詳しく聞きたいからついてきてくれ」

 

「解った」

 

色々と面倒なことになりそうだと呟きながら神崎は執務室へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー午後ー

 

 

『すまんな、形だけでもやっておかなくちゃならないんだ。出きる限りでいいから答えてくれるか?』

 

『(コクリ)』

 

午後に始まった少佐による取り調べ。それが行われている隣室で俺、神崎四郎と長門はその様子をガラス越しに見ていた

 

「四郎、本当に彼女以外に居なかったのか…?」

 

「ああ、寮にもどこにも。居なかった」

 

思い出すのはあの日記。とある軽巡洋艦の日記だったが読めたものじゃなかった。

そしてその軽巡洋艦は…………どこにも居なかった

 

「……」

 

「無力だと思ったか?四郎」

 

「いや、自分の無力さはもう数年前に経験している。俺がどうこう足掻いたところでなにも変わりやしないこともよく解ってるつもりだ…ただ」

 

「ただ?」

 

「……俺が居ない間に戦い続けてくれた人がいることには感謝しないと……彼女らに申し訳ないと思ってな…」

 

数年前、一つの鎮守府が崩壊した

そこから生き残った俺に出きることなんてたかが知れてる

 

「四郎…」

 

「少しずつ、又一から頑張っていくさ。今度は助けて見せる。これをエゴだと笑うか?」

 

「……いいや、少なくとも私は笑わない。お前が決めた道だ。自信を持っていけばいいさ、四郎」

 

「………ありがとう……おっと、少し聞き逃したな」

 

区切りをつけて取り調べに注視する。

 

 

『………行方不明リストには四人。そのうちの一人が君だったんだが……他の娘の事を知らないかい?』

 

『………』

 

夕立は顔を伏せたまま黙っていた。

 

『………んー、じゃあ』

 

『皆』

 

『ん?』

 

『………私、皆と一緒にずっと出撃してたの。でも……みんな、みんな』

 

「皆と、一緒に…?」

 

「………まさか」

 

『夕立ね?ずっと出撃してたの。ずっとずっと。でも……一緒に行った皆……いなくなっちゃったっぽい』

 

 

ああ、そうか

ならば合点がいく

 

何故夕立が練度の高い改二だったのか

 

何故夕立がたった一人だったのか

 

 

 

何事にも、例外というのは存在する

 

 

そう彼女は、捨て艦戦法で前線に出撃し続け

 

戦って、戦って

 

たった一人

 

 

 

 

 

 

 

生き残ってしまったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 





大型輸送潜水艦

『海域全部支配されてるやん。どないしよ』
『そうや!一回で大量に運べる輸送潜水艦つくればええんや!』
という(変態)思想で生まれた大型輸送潜水艦。海域占領されてるのにどうやって物資とか運んでたんだろ?陸路じゃ間に合わんしなーと思っていたとき某潜水艦アニメを見てたときに思い付いた設定。
もちろん元ネタは『紺碧の艦隊』



戦艦 長門

皆ご存じビッグ7。実は最初期は魚雷を装備していた。
本来ならば改二だが前線から身を引いていたため練度は下がっており改二が解除されている設定
幼いころからの四郎を知っており彼を「四郎」と呼ぶ

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