汚い猫耳親子を拾ったので虐待する事にした。   作:ハヤモ

14 / 17
なんだか、虐待不足や方向に悩む……。

たくさんのお気に入り、感想と評価、誤字報告 ありがとうございます! 励みになります!

それでは、どうぞ。


畜生と和解せよ。

湯船では転進を余儀なくされましたが、今度は そうはいきません。

 

私は浴衣に着替えると、虐待を実行するべく休憩所へ。

 

そこには畜生どもが溢れていました。

 

テ●マエ ロ●エ的に、土産やマッサージ機、牛乳瓶を興味深く観察していやがります。

 

風呂場に行けば、もう それは はしゃぐでしょうね。 風呂技師では なくても。

 

まだまだ世間知らずですねぇ。

 

故に虐待の余地だらけというもの!

 

卓球で心を折り、虐待といきましょうかねぇ!?

 

 

「畜生の皆さん、貴女達は銭湯の表層を触れているに過ぎません!」

 

「洗礼を受けて貰いますヨォ!」

 

「そこにある卓球でねぇ!」

 

 

卓球台を指差すと、皆 釣られて見やります。

 

上にはピンポン球とラケット。

 

 

「なんですか、コレ」

 

「うちわ?」

 

 

くくっ。 やはり無知ですね。

 

なら知識ある私が有利。

 

思う存分、虐待して楽しませて貰いますよォ!?

 

 

「銭湯にある娯楽の ひとつですよ」

 

「ふたり以上で やるスポーツです」

 

「玉を うちわ みたいなので打って打ち返し、打ち返すのに失敗したら負けです」

 

 

簡単に説明します。

 

細かいルールは省きますよ。

 

それを聞いて畜生どもは、ウンウン頷きました。

 

 

「テニスみたいなもの?」

 

「そうですよ。 くくっ」

 

 

理解が早くて助かります。

 

流石は優秀な歯車共ってとこですかねぇ!?

 

 

「さぁて、私が相手になりますよ」

 

「戦いたい無謀な畜生は、前に出やがれです」

 

「そして圧倒的な力に 平伏しなさい!」

 

 

私は卓球台の前に仁王立ち。

 

私に対する日頃の虐待で憎しみと恨みは凄まじいハズ。

 

となれば、畜生どもは 挙って挑みに来るでしょう。

 

そこを一方的に返り討ち!

心をズタボロにして虐待!

 

そうして下克上計画を頓挫させて、虐待も完遂する!

 

一石二鳥って とこですぅ!?

 

 

「恩人さんと遊べる!?」

 

「じゃ、私から!」

 

「次は私!」「私もー!」

 

 

尻尾をフリフリ。

喉をゴロゴロ。

 

笑顔で群れてくる犠牲者予備軍!

 

くくっ、哀れですねぇ!

 

下克上が出来ると喜んでいるのでしょう。

 

ですが残念。

 

笑顔を絶望顔に塗り替えてあげましょう!

 

 

「さあ、遠慮なく来るが良いです」

 

「そして敗北の汚泥を舐めろォ!」

 

 

前に立った犬耳に、容赦ない鋭いサーブ!

 

軽いピンポン球は剛球と化し、謎の効果音と共に畜生の横腹をすり抜けようとします。

 

もう初球で勝てるんじゃねーですかね!?

 

とか思っていたら、

 

 

「はぐぅッ!」

 

 

そのピンポン球は犬耳が素早くキャッチ。

 

口で。

 

笑顔で尻尾をフリフリしてます。

 

 

「…………ナニしてるんです」

 

「ハッ!?」

 

 

油断していました。

 

流石、犬畜生です。

 

テニスの知識があるからと、卓球もそれとなく出来るかと考えていた私が愚かでしたよ。

 

 

「はい負けって事で」

 

「私の剛球をキャッチ出来たのは褒めてやっても良いですが、そういう 遊びでは ありません」

 

「貴女の後にも沢山 待っているんですから、梃子摺らせないで下さい」

 

「てなワケで、今すぐ失せるんですねぇ!」

 

「そんなぁ!?」

 

 

犬耳と尻尾を下げて、クゥーンとショゲてる犬畜生を退けます。

 

そんな絶望顔を見るのも気分が良いですが、狙ってたのとは違いますねぇ。

 

 

「私を満足させる畜生は いないんですかねぇ」

 

「さぁ、楽しませて見せろォ!」

 

 

ラケットを戦ぎ、挑発します。

 

貴様らの下克上計画を徹底的に潰して虐待する為にねぇッ!!

 

 

 

 

 

お風呂から上がると、仲間達が恩人さんと卓球をしていました。

 

 

「凄いね」

 

「ええ」

 

 

恩人さんはひとりで、対して仲間は 猫耳族と犬耳族のふたりがかり でピンポン球を打ち返しています。

 

動体視力や運動能力は人間より上です。

学習能力も高いです。

 

現に時間が経つにつれて、目に見えて獣人族は上達しています。

 

 

「うわぁ」

 

 

にも関わらず、恩人さんは涼しい顔。

 

いよいよラリーで高速移動している球が、線と化してしまいました。

 

それでも恩人さんは悪そうな笑みを浮かべながら余裕の対応です。

 

阿修羅像の如く、腕が沢山あるように見えます。

 

残像なのは分かるのですが。

 

…………なんというか、恩人さんの謎が深まります。

 

 

「でもね、これはチャンスよ」

 

「ちゃんす?」

 

 

お母さんは そういうと、恩人さんの下半身を指さします。

 

 

「仕掛けるの」

 

「ま、また抱き付くの?」

 

「いいえ」

 

 

えっと。

よくわからないよ、お母さん。

 

 

「次あたり、私にも 挑戦させて貰おうかしらね」

 

 

何となく嫌な予感がします。

 

 

 

 

 

 

「これで終わりですヨォッ!」

 

 

目を見開き、最低限の動きで最大限の虐待力をピンポン1点に集中ッ!

 

喰らえ虐待ショット!

相手は負ける!

 

して、苦渋の顔をすると良いですよ!

 

 

「キャウンッ!?」「ニャッ!?」

 

 

超虐待次元ピンポンは音を置き去りにして、畜生と畜生の隙間を縫って消えました。

 

結果。 畜生を下しました。

 

 

「私の勝ちですねぇ!?」

 

 

くっくっくっ。

 

獣人族め、甘いンですよォ!

 

最初は咥えたり、猫パンチで叩き落としていた畜生ども。

 

そこからの上達ぶりは、素直に驚きましたが。

 

自らの能力を持ってすれば私に勝てるとでも!?

 

所詮は畜生!

 

この私が負ける筈がありません。

 

貴様らは所詮、私に勝てずに使い捨てにされる歯車なんですよッ!!

 

 

「ウゥッ。 もう少しで……!」

 

「惜しかったですねぇ、クククッ」

 

 

相手の健闘を称えるフリをして、虐待をシメます。

 

愚民からしたら、速いだけの戦い。

 

どこに虐待が含まれていたか?

 

それは私の思考にあります。

 

勝てるかも知れないと、相手に思わせ努力させ、勝てそうなギリギリのラインで潰すというもの。

 

ラリーの応酬で相手を焦らし、それを感じる事で私は虐待パワーをチャージ。

 

そして絶頂寸前まで来たところで。

 

一気に力を解放ッ!

相手を潰すッ!

 

そうして勝つ事で、相手の希望を絶望に変換。

 

その時の相手の反応を見て楽しむのです。

 

裁判の時にも似た事をしましたが。

 

潰すのが楽でも、直ぐに潰さないのがポイントです。

 

この高度な虐待…………我ながら恐ろしいですねぇ!

 

 

「次は私がしても、よろしいかしら?」

 

 

虐待の優越感に浸っていると。

 

風呂で一緒になった猫耳親子の、母親が声を掛けて きやがりました。

 

虐待ラリーを続けている間に、上がってきた様子。

 

しっとりとした髪と猫耳、浴衣姿は ひとつの絵であり、細く しなやかな猫尻尾を器用に外に出しています。

 

 

「なるほど」

 

 

恐らく、またナニかを仕掛けて私を蹴落とす気ですね。

 

風呂場での、押し付けられた脂肪が思い出されます。

 

生意気ですね。

 

浴衣を押し上げるソレと同じく。

 

…………虐待ッッ!!

 

 

「良いでしょう」

 

「火照った身体が、更にアツくなっても知りませんよォ?」

 

 

熱したラケットを戦ぎつつ、挑発。

 

対して母猫、静かに微笑み構えます。

 

双山、屹然動かず。

 

 

「私に挑んだ事」

 

「後悔させて差し上げます!」

 

 

前振りなく初弾を打ち込みます。

 

私怨を晴らしますよ!

 

それもまた、一興。

 

いや、虐待!

 

 

「ッ!」

 

 

猫畜生、危なげながらも打ち返してきました。

 

そして、打ち返してきた球は私の真ん中。

 

多少打ちにくい位置ですね。

初めてでしょうに、他の畜生と異なり上手いですねぇ。

 

ですが、やられる気はありません。

 

姿勢を変えて、打ち返します。

 

勿論、トドメは刺しません。

母親が打ち返し易い位置に返してあげます。

 

優しさじゃありませんよ。

相手に希望を持たせて、陥とす為です!

 

 

「ふっ!」

 

 

またも私の真ん中に。

先程よりも速い!

 

 

「やりますねぇ!」

 

 

危なげなく打ち返します。

 

くっ、私とした事が。

 

古参なだけあって、違う方向で責めてきましたか……!

 

 

「にゃんっ!」

 

 

そして、更に速く恐ろしく正確に。

畜生はまたも真ん中、丁度下半身目掛けてショットを放ちました。

 

まさか、私と同じく虐待スピリットを持っている……!?

 

ならば、なおのこと!

 

畜生に負けを認める訳には!

 

 

「いきませんよォ!」

 

 

身体を仰け反る様にして、無理矢理球を打ち返します。

 

 

「チェストォォ!」

 

「ひゃっ!?」

 

 

球は、畜生の上半身真ん中へ……豊満な胸に当たりました。

 

勝った……!

 

その憎っくき脂肪の塊に虐待してやりましたよ!

 

ラリーが短いぶん、先程より虐待パワーは少ないですが……。

 

悔しそうに歪んだ畜生の顔は最大の報酬。

 

しかし、喜びも束の間。

 

 

「なんですって!?」

 

 

畜生な胸の弾力により、なんとピンポンが此方へ戻ってきやがりました!

 

そんな馬鹿な!?

私の虐待ショットに屈しないとでも!?

 

油断していた私は、そのまま反撃を受けてしまい。

 

 

「ヴッ!?」

 

「恩人さーん!?」

 

 

股間に刹那の痛みを感じると共に、意識を手放す羽目に。

 

まさかピンポンに、いや……。

胸に この様な力があったとは。

 

畜生どもに醜態を晒した事と虐待不足を後悔しつつ、私は暗闇へと飲み込まれて いきました。

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 

 

恩人さんは、直ぐ目を覚ましました。

 

良かった……目を覚まさなかったら、どうしようかと。

 

 

「すみません」

 

 

そして1番に、お母さんは 謝りました。

 

邪な思考の結果が、この事態を引き起こしたと考えると 私も……仲間も申し訳なく思ってしまいます。

 

ですが、恩人さんは許してくれました。

寛容です。 優しいです。

 

 

「構いませんよ」

 

「私も畜生相手に、虐待熱を入れ過ぎました」

 

「くくっ、私も まだまだですねぇ」

 

 

苦笑しながら起き上がる恩人さん。

 

本当に大丈夫そうなのを見て、私達も安心しました。

 

同時に罪悪感が押し寄せてきます。

 

思えば恩返しをしなきゃならないのに、何もしてません。

 

寧ろ、酷い事をしています。

 

そう考えると、申し訳なさでケモ耳と尻尾が垂れました。

 

お母さんだけじゃなく、私も謝らなきゃ。

 

 

「私も……ごめんなさい」

 

 

頭を下げて謝ります。

 

すると、他の仲間達も堰を切ったように謝り始めます。

 

皆も、同じ気持ちの様です。

 

すると恩人さん、笑みを深くしながら、

 

 

「良いのです」

 

「それより、私を下した事を喜びやがれ……じゃなくて、喜んで下さい」

 

 

なんだか一瞬、憎悪の目と棘のある言い方をした気がしましたが…………気の所為でしょう。

 

 

「では褒美として、私から畜生に奢るとしましょう」

 

「銭湯に来て、コレを飲まないのは勿体ないらしいですよォ?」

 

「てな訳で、番頭さんカモン!」

 

 

恩人さんが手を叩くと、カチャンカチャンとガラス同士がぶつかる、だけど心地良い音が。

 

振り返ると、銭湯の人がカゴを持ってきました。

 

中には白い液体が入った瓶が沢山。

 

 

「コレは白黒でモーモー鳴く、ムカつくほど無駄に乳デカな生命体から搾り出したオゾマシイ汁です」

 

「私は嫌いですが、銭湯に来た愚民や社畜は好んで飲みます」

 

 

それって牛さんだよね……?

牛乳だよね……?

 

思いましたが言いませんでした。

 

 

「飲むとパワーアップするそうですよ」

 

「ですが、それは迷信です」

 

「信じる者は救われる?」

 

「否ッ!」

 

「何故なら、信じた私がパワーアップしなかったからですッ!!」

 

 

配られつつ、恩人さんの怒声を聞きます。

 

段々と憎悪が増している気がします。

なんか、怖いです。

 

嫌な思い出でも あるのでしょうか?

 

 

「え、えーと…………ぎゅうにゅう、がキライな『にゅうにゅう言うんじゃねーですよ畜生ども!』す、すみません!?」

 

「さっさと飲め!」

 

「腰に手をやって飲むのが作法です!」

 

「そして成長せず絶望しろッッ!!

 

 

もはや、お礼なのか虐待なのか分からない声を浴びせられます。

 

私達は慌てた様に動きます。

 

瓶の冷たさを手に感じつつ腰に手をやり傾けて、牛乳をコクコクと飲みました。

 

すると…………。

 

 

「美味しい!」

 

 

私達は目を見開き歓喜します。

 

雪の様な冷たさ、ほんのり甘くて懐かしさを感じる喉越し。

コンビニで買える清涼飲料水のような刺激がない優しさ。

 

それが火照った身体を慰めてくれる。

 

心地の良い感覚。

 

お風呂上がりの牛乳が、こんなにも美味しいなんて知らなかった!

 

 

「くくっ、気に入りましたか」

 

「会社に用意しておきます」

 

「これからも飲みたきゃ飲めば良いですよ」

 

「特に子猫と子犬どもは、ね!」

 

「そして努力が報われず、絶望しろッ!

 

 

う、うん……?

 

飲む事に努力が必要なのでしょうか。

 

とりあえず、この感覚を堪能する事にします。

 

 

「ところで恩人さんの性別は?」

 

「股間にヒットさせるのは成功したけど、分からずじまい」

 

「気絶したから、男?」

 

「うーん、胸関係に悪感情を抱いているから女?」

 

 

とりあえず、男女関係なくヒットしたら、痛いと思うんだけど…………。

 




虐待主の性別って、どっちでしょうね?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。