仲間と共に。
薄味。
「あの……仕事を貰えると聞きまして。 で、出来る限り、頑張ります」
「くくっ。 私は貴女の上司ですよ」
つい先程、お母さんと私は、私くらいの子ども2人を連れて会社に戻りました。
背広が連れて行った子も入れると3人です。
皆、親を亡くして、路地裏生活をしている子です。 私達と同じ境遇です。
その子達と背広、対面の時。
複雑な心境の中、3人は ご挨拶します。
この先、どうなっちゃうんだろう。
私とお母さん。 そして連れられた猫耳の子ども達。 心配です。
「子猫達。 今の内に私の信念、我が社の考えを伝えておきますよぉ」
「は、はい」
「お前ら猫耳族は歯車! 私に使われる道具ですよ!」
「ッ!」
先程も言った様な事を、背広の人間さんは言いました。
やっぱり仕事内容は過酷なのかな。
奴隷みたいにされちゃうのかな。
でも。 1つだけ分かった事があります。
私達はとんでもない会社に捕まってしまったという事でした。
「この私が直々に案内して差し上げます。 社畜の檻をねぇ!」
「檻!?」
挨拶の後、背広自ら社内案内をしてくれることになりました。
ギラギラした瞳。 悪そうな笑み。
うぅ。 やはり悪い会社だったのでしょうか。
だけど抵抗することも出来ず、恐る恐る背広についていきます。
やっぱりそうだよね……良い人間さんの方が少ないよね。
優しくしてくれた様な片鱗も、飽くまで働かせる為。
実際は奴隷扱いなんだ……!
「今向かっているのは、記念すべき第1回の虐待があった場所ですよぉ」
「虐待……!」
やっぱり!
この背広は猫耳を酷い目にあわせて喜ぶ悪い人間さん!
そして、新たな奴隷に歓喜している……!
その現場を見せて私達を脅そうとしているのでしょうか。
ひどい! ひどいよ人間さん!
「ここが全ての始まり……風呂場です」
「ッ」
浴室のドアを開ける背広。
まさか、お母さんと私が使った場所が虐待現場だったなんて!
血を水で流して証拠隠滅が出来るからでしょうか!?
そう思うと、あわあわ 楽しんでしまった罪悪感に襲われます。
ぐすっ。
ごめんなさい……知らなかったんです。
隠された凄惨な光景を想像して、私は思わず涙目に……。
「ここでは湯攻めが行われましたよ」
「猫が嫌う水! それを命令されて自ら濡れたのです!」
「どうです!? 残酷非道、なんて虐待!」
背広が楽しそうに声を上げます。
説明は普通の、浴室の使い方。
痛そうな単語は聞こえません。
「えと……猫耳族は濡れても平気な子が多いです」
「くくっ。 なら後でタップリ濡れてもらいますよぉ!」
「それもぬるま湯いっぱいの風呂桶に浸かってねぇ!」
「余計な事を言わなきゃ良かったと後悔しなさい!」
「私が10秒、ねっとり数えてあげますよぉ」
「それまで肩まで しっかり 浸かってもらいますッ!!」
何か偏見があるようです。
ですが、お陰で助かりそうです。
でも、まだ油断なりません。
「そういや燃料を入れ忘れてました」
「嫌でも、その小さな お口に詰め込むんですよッ!」
怯え、震える仲間。
互いに寄り添って、抱き合います。
だけど、たぶん、それって……。
「おらぁ! コストダウン、大量生産品のコンビニ弁当を喰らうが良いですッ!」
「ひゃっ!?」
声に、思わず悲鳴をあげる仲間。
振り返ると、いつの間にか お盆を持った人間さん。
「美味しい美味しい豆腐ハンバーグですよ」
「肉が少ない事に絶望するが良いです!」
目の前に置かれた、豆腐ハンバーグ弁当。
ホカホカで、美味しそうな匂いがして。
思わず子猫達は生唾を飲み込んでしまいました。
「さあ、食いやがるが良いですッ!」
「そして絶望しろぉ!」
弾かれた様に、子猫3人が蓋を開けて凄い勢いで喰いつきます。
本当に幸せそうに頬張る仲間を見て、なんだか幸せな気持ちになりました。
もうそのころには、虐待云々なんて考え吹っ飛んでしまっていて。
お母さん共々、笑顔を浮かべました。
(クク、風呂の件で逆らわない事を早速覚えましたか)
(覚えの良い、良い歯車じゃないですか)
「ちなみに私は目玉焼きバーガーでした!」
「お前ら歯車には一口もやりませんッ!」
「う、うん?」
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飯を終え、次の地獄へ猫耳をつれていく。
クク、美味く無い飯に絶望したのか、表情が変わってきましたよぉ!
「ここは会議室。 世を悪に染める計画を練る場所です」
「悪……ッ!?」
私が設置した この部屋。
日に日に、話されるダーク★トークはアップしていますよぉ?
猫耳族を効率良く攫う為にマタタビを撒き散らすとか!
違う地域にいる犬耳族を餌で懐柔するとか!
裏でコッソリ雇ってる風俗店を片っ端から買い取って、獣人族の拠点に作り変えるとか!
それらを可能にする我が社の資金力とか!
我々の権力、悪で自己中な考えがよーくわかったですかねぇ!?
「わぁ」
ククク、あまりのヤバさに言葉を失ってきた様ですね。
最早、悪に堕ちる他に許しませんよぉ?
…………。
「此処は便所です!」
「お前らは、全員雌ガキですねぇ」
「でも我が社は共同なんですよッ!」
「男が使うトイレを使うしかないです」
「どうです? 嫌でしょう?」
クックッとイヤラしく笑いながら、猫耳に言い放ちます。
便座を上がっている様を見て、イヤイヤと泣き噦るサマが脳裏に浮かびますねぇ!
全く。 贅沢なんですよぉ!
「綺麗なトイレですね」
「あぁ? 当たり前でしょうが」
ここで抵抗を試みる猫耳。
はっ。 綺麗なトイレですって?
当たり前でしょうが!
トイレ当番がちゃんと仕事してるんですよ。
「汚すんじゃねーですよ!」
「は、はい。 気を付けます」
…………。
「ま、他にもありますが、最低限、トイレとか教えましたし。 どうです猫耳ども。 怖かったですか?」
「はい♪ とっても怖い会社でした」
でしょォ~?
来たばっかの猫耳には、ちょいと刺激が強すぎたかもですね。
ですが時間をかけていけば、じきに慣れるでしょう。
虐待される狂気の日常に!
「あの……これからも私達を よろしくお願いします」
「ええ。 じっくり甚振って、たっぷり虐待してやりますよぉ」
新たな犠牲者が、ウチに加わっていく!
して、恐怖に支配され、怯える日々を送る!
歓迎しよう、猫耳族の雌ガキども!
その歳で社畜道を行くが良い!
改めて。
ようこそ虐待主義の我が社へ!
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私や仲間が会社に来てから数日。
それで分かったことですが、この会社は猫耳族を虐めたりしません。
人間さんは不思議な人でした。
虐待と言いつつも、とっても優しい、いい人だったのです。
私がここに来て、確かに言えることがあります……。
此処に就職できて、本当に良かった、と。
働いてる描写がない……。
更新未定。