ガバガバ裁判。 こうはならんやろ! これ違うやろ! 等がありますが、お兄さん許して(殴)。
「猫耳族が減っている要因。 それは貴社による拉致です」
「拉致ぃ? 彼女らは我が社に進んで就職した歯車ですよ」
場所は どこかの裁判所。
色々あって、ここに立っているワケですが。
観覧席には大勢の社畜。
どいつもこいつも、ニヤニヤして気持ち悪いです。
大方、他者を攻撃して己のツマラナイ人生の憂さ晴らしで来ているのでしょう。
いやぁ。 悪が広まってる感があって良いですね。
ただし。 それらは民意の濁流でしかない。
不特定多数で、己が攻撃される心配がない正義ゴッコ。
或いは万有の神気取りで傍観しているのでしょう。
ですが堂々と主張出来ない悪は落第点ですよ。
そして対する有象無象を味方に背負った気になっている英雄気取りで語る生ゴミと腐臭漂う世の中。
それが正義としている社会。
くくっ。
世間の思う正義に、私は悪の一員として歯向いますよ。
対して男は喚きます。
「今の聞きましたか皆さん! 歯車、実に差別的な言葉!」
「労働環境改善の時代、この方のような『悪魔』が居ては誰も幸せにならない!」
耳障りな言葉を叫んだかと思えば、今度は悲痛な面持ちを裁判長や観覧席の愚民に見せます。
他者に考えを委ねて楽している愚民は、いつのまにか引き付けられていってます。
「そんな悲劇を終わらすには、企業ひとつひとつの地道な努力が必要です!」
「貴方のような人間や会社があっては、いつまでも世の中は不健全です!」
「特にあなたと、会社はね!」
「大人だけでなく子どもまで拉致?」
「犯罪というんですよ、自覚ありますか?」
男は顔をあげ、笑う。
自信と光に満ち溢れた笑顔で。
そして、頭に人差し指でコンコン叩いて見せてきます。
安い挑発ですねぇ。
でもね。
光あるところ闇があるんですよ。
「不健全な世の中、ですか。 確かにその通り!」
「多くの獣人族が、働かずに路地裏生活」
「挙句に暴力を振るった記録もあります」
「それが当たり前の世の中は、それはそれは不健全でしょう」
すると、男は直ぐに手を上げます。
裁判長は、話途中の私を手で黙らせ、男に話させます。
全く。 権力の差とは面倒ですねぇ!
「そのような記録は ありませんが?」
「この場での勝手は止めて頂きたい」
「ところで、就職させた『けもの』は全員メスだそうで」
「彼らを連れ込んでナニしてるんでしょうね」
過激な事を言っているように思えます。
しかし傍観者の多くは、頷きます。
愚かにも極正論を言っているように感じているのです。
自分達の手は汚れていない。
悪いのは実行している全部私や私達の会社だとね。
加害者だと絶対に認めない。
群だから。 善良なる市民だから。
風俗に行って獣人族とパコった事があっても、それは合法だからへーきへーき。
悪いのは雇った側。 攫った側。
客は神。 裁かれない。
裁くのは、逆に此方側だと。
全員で寄ってたかって袋にする!
それが民意。 大正義。
それが世の中。 社会!
そう考えているのです。
まぁ悪の結社なので。
褒め言葉として受け取りましょう。
「アナタのような連中はね、見た目が可愛いから、そんな事を言ってるのですよ」
「人の皮を被った『バケモノ』に、まんまと騙されてるんです」
「もし猫耳の姿が醜かったら?」
「可愛くない姿だったら?」
「はたしてアナタや会社は今の様に働かせよう、拉致しようと考えたのですかね」
両手を広げて莞爾として笑う男。
悪魔的ですねぇ。
はたして皮を被ってるのは、どちらでしょうかね。
「いい加減やめにしましょうよ。 そういう犯罪は」
「ナニして満足している馬鹿会社を消しましょう皆さん」
「人間を働かせましょう、獣人族は履歴書も用意出来ない、社会性が低いから のけもの にしましょう」
「大丈夫ですよ、AIや自動化が進んでいる世の中」
「人手不足はその内に解消されます」
開発者でも無いくせに、他者に頼る発言。 非現実的ですねぇ。
差別的と言いますが、この男の方が余程差別的だと感じますよ。
そんは男は、まだ言葉を口から垂れ流します。
「それと獣人は多くの種を絶滅に追いやった! 多くの命を奪った!」
「まさしく悪魔! 普通なら存在は許されない!」
「騙されてはなりませんよ傍観者の皆様! 獣人は人間とは違います!」
お熱な言葉ですねぇ。
だけど周りの神気取りの生ゴミ共は、すっかり流されてますよ。
騙されてるのはどっちですかね。
これだから愚民は……。
「しかも幾らでも出て来る!」
「寧ろ この機に殺処分! 皆さまの家族、友人、恋人、子ども達の未来の為に!」
あらら。
表の熱意とは別に、男の瞳はドス黒い光に。
彼なりの悪なのでしょうかね。
ですが認める事は出来ない。
だから私は楯突こうではありませんか。
まあ、根回しはしていますが、言いたい事を言わねばなりませんね。
「くくっ。 暴力云々もですが、此方にちゃんと資料を用意しました。 皆さんご覧下さい」
そう言って、プロジェクターを起動。
映るは、白昼堂々、大勢の背広に、猫耳族の子猫が袋にされている動画。
その後は警察官が猫耳族の尻尾を掴んで引き摺る映像。
次は路地裏内の映像に変わり、ボロボロの服を着た猫耳族が、ゴミ箱を漁っている映像。
他にも、猫耳の親子が子猫を庇って、代わりに蹴られ……隙を見て子猫を掬い上げて路地裏に逃げる映像。
そして…………それを見て、指差して大笑いする大勢の人、人、人……。
「な、なんですかコレは」
くくっ。 男が狼狽えるのは面白いですね。
「こんなのは捏造です。 今の時代、そういうのは頻繁にありますからね」
「はいぃ? 何の根拠があって捏造としているんですかね」
「これは路地裏に仕掛けられていた防犯カメラの映像です」
「カメラなんて警察が証拠隠滅したと思ってましたか?」
「残念! 我が社の防犯カメラが残ってましてね!」
「な、違法撮影じゃないのか!?」
「いえいえ、これ、我が社の建物に取り付いてるカメラですからね」
「まあ? ちょっと普通のカメラではなくゴミや汚れ、壁に同化するようにしてましてね」
「ほら〜? 見た目を気にする輩や偏見を持つ人間がいますからね」
記録を公僕が光の下で消すのは目に見えてます。
我が社で、色々対策はしてましたよ。
もちろん、こんなんで判決が有利になる訳じゃありません。
この時代、世の中、金が大事ですよね?
「ふん。 どうせ演技でしょう」
「裁判長。 これは証拠ではありません」
妙な自信を持つ男。
そりゃ、社会的地位が低い猫耳族を勝訴にする訳ない、そんな偏見。
馬鹿ですねぇ。
だから、根回しはしてますよ。
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「被告は無罪!」
「「「な、何でだああああ!?」」」
ざわつく裁判所内。
いやー、『当たり前の判決』なのに!
皆の予想外にする!
悪って楽しいですね!!
「何の問題ですか?」
「問題しかない! な、何故だ! 何故猫耳族なんかに! 負けた? 俺は認めんぞ!」
愚かだ。 実に愚かで、醜い。
ですがそれ故に悪を広げたい。
「はっはっはー! 民意に応えられず、残念でしたね」
「お前……何をしたんだ!?」
「いやー? 証拠隠滅をされないように、金をばら撒いただけです」
「ホイホイ納得してくれた方々が多くてですね、助かりました」
「ふざけんな! くそっ! 腐ってやがる!」
「スンマセ〜ン、腐らせちゃって! 今まで気が付かなかったのですか〜?」
頭に人差し指をコンコン当てて、挑発します。
良い! その悔しそうな顔!
もっと見せて❤︎
「俺は、認めないからな!」
「事実は認めた方が良いですよ。 これから そういう『腐った世の中』、悪の世になるのですから!」
そう言って、互いに別れます。
いやー、歯車を大量輸入すると綻びが出るのは百も承知でしたからね。
対策は、他にもしてましたよ。
さて。 無駄な時間……いえ。 悪を少し広める事に成功したワケですが。
我が社は引き続き、悪を広めねばなりません。
さあ、今日も忙しいですよ。
この一件後。
裁判官やら一部の官僚などが異動になったのですが、私の知るところではありません。
自己責任★
それと、良いニュースです。
猫耳族や他の獣人族が、表の会社で少しずつ雇われ始めているとのこと。
悪が広がったのです!
いやぁ、労力に見合った結果は出ましたね。
一度堰を切れば……もう止まりません。
民意の濁流。
それこそ、悪魔。
その恐ろしさ、今度は見下していた人間を飲み込んでいくことでしょう。
「クックックッ!」
「どんどん腐るが良いわッ!!」
愉快ですねぇ。
そして白昼堂々、私も虐待出来るというものです。
悪が ひろがリング。