エレベーターのドアがスムースに開く。
ふと辺りを見回した。豊かな自然が目についた位で。それ位で、後他に何かある訳ではない。辺りは昼間なのに冷やかで静かだった。自分の足音が反響する。603号室の前に立つ。
念の為真祖レーダーを使うが酷くうるさい。どうやらビンゴのようだ。
ドアはいたって普通。魔術は呪いの類はない。呼び鈴も普通のようだ。
カチリと押したら、ハーイという女の声。廊下を軽く小走りにこちらに向かって来る。
そしてガチャリとドアが開いた。
こちらをひょっこりと覗き込んだ金髪赤眼の女――アルクェイドがそこにいた。
「やあ。メレムから連絡はいってるかい?君を手伝えって言われてるんだけど――」
その言葉に大きくくりくりとした可愛らしい目をパチパチさせる。驚いているらしい。
どうやら今回は連絡が来ていないらしい。
「――来てくれたんだ。どうぞ、上がって」 ふふっとふわりと笑った。純真な笑みで。
「――で、今回のお仕事は、私を助けてくれるんでしょ? どこまで付き合ってくれるのかしら? 」
と真面目な口調とは裏腹に、常に口元は笑みを浮かべる。嬉しいのか楽しいのか分からない。
「今回は“蛇”を殺す援護をしろと言われている。あくまで援護だ。俺もそれ以上の事をするつもりはない」
ふーんと言って目を細め、小悪魔的な笑みを浮かべつつ、テーブルに両肘を乗せ、顎を両手に乗っける。
そして上目使い。こちらの全てが見透かされている……そんな気分だ。
というかそんな可愛い顔でこっち見んな恥ずかしい。目を逸らしながら、何だと尋ねた。
「んーん、何でもないよ。ただちょっと嬉しかっただけ。結局手伝ってくれるんだーって思って」
意地悪な女だと思っが、彼女の指摘はもっともだった。
何せ前回は蛇は自分でどうにかしろと言ったのだから。
前回も今回も結局は金のため――アルクェイドは全く関係ない。護衛対象が彼女なだけだ。
金髪ショートのこの女の事などお俺には関係ないと言い聞かせる。
――髪で思い出したが、アルクェイドの髪はアルトルージュが持っている。アルクェイドはかなり弱っているし、返して貰いに行くとしようか。
髪が戻れば少しは増しになるだろう。アルティメット・ワンと融合したして――
なんて不吉なことを考えたが、まぁあり得ないと思考をカットする。
「髪――取り返してきてやるよ」
「えっ―――――」 あまりに衝撃的だったのだろう。あいた口が塞がらない。
「その方が幾分かマシになるだろう。俺が取り返してやるよ、夜までに」
俺の言葉に目をぱちくりさせてふと目を細めた。
「出来るものならやってみなさい。」 そう意地悪に微笑んだ。
「任せろ」と言って腰を上げる。
「ちょっと待ちなさい。貴方一体どうするつもり? 」 彼女の問いかけに背を向ける。
「知れたこと。返さないなら力づくで取り返す。例えそれが討つ事になったとしても―――」 そう言って部屋を出ようとする。
「待ちなさい」 俺の手を取るがバランスを崩して押し倒される。
あっという色っぽい声が聞こえる。そして強引にそちらに顔を向けさせられた。
とても虚ろな瞳に紅潮した頬。くぐもった吐息。キスが出来る位の近い距離。
まるで時間が止まってしまったかのようにゆっくりと時の刻む音が聞こえると同時に、アルクェイドの顔がカタツムリのように動く。
躊躇しているのか、それとも―――軽く触れた。
驚いた表情。――それも刹那。瞳を閉じてもう一度近づいてくる。
彼女の瑞々しくぷるんとした唇から目が離せない。そして触れた。
さっきと違うのは今度はたっぷりと。といっても自分の時間間隔はずれている。
何秒経ったのかもわからない。
ゆっくりと顔をあげた彼女の目を見た。瞬間、欲情した。
みるみるうちに勃起したのが分かる。ああ――と察した。彼女の魔眼を見たのだろう。
彼女の秘部に己の分身がぴたりと辺り、彼女は妖艶にほほ笑んだ。このままでは食べられる。
俺の一物は臨戦態勢、そして彼女も――まぁいいや。俺は考える事をやめた。
太陽はすでに西へ向かい、ほんのりと日が傾いているが、時刻はまだ15時を回った頃。
のそのそとベッドから抜け出し、手早く着替えていく。
彼女を起こさぬように俺は部屋を出ようとした。すると後ろから抱きつかれた。
「いってらっしゃい。必ず帰ってきてね」 と、優しい声。表情は見えないが恐らく笑顔だろう。
「しばし待て、すぐ戻る」 すぐに魔術師としての俺に切り替わる。彼女の腕は名残惜しそうに離れ、俺は部屋を後にした。
すぐに第二魔法を起動させ、俺は彼女の姉――アルトルージュの元に向かう。
――が、致命的なミスを思いだす。彼女の居場所――つまりどこにいるのか分からない。
俺は爺に連れて行かれて放り出されただけだ。場所までは分からない。
仕方なく繋がるかも分からない爺の携帯に電話した。数秒の呼び出し音の後爺が出た。珍しい事もあったものだ。
「なんじゃ」声は不機嫌だった。
「アルトに用がある。場所を教えろ」 すると素っ頓狂な声が聞こえた。
「教えんかったか? おっかしいのぉ」 爺の分際でテヘッみたいな声出すな、ムカつくから。
「いいから教えろ。早くしろ」 言葉尻にイラつきが混ざる。
「面倒いのぉ、座標でいいかの?」 駄目だ、携帯を今壊すな、後でヤレ。
「いい――うん。あぁ分かった。」 すぐに電話を切ろうとすると真面目な声が聞こえる。
「何をするつもりじゃ」
「少々押しつけがましい偽善と裏切りを――そして約束を果たしにな」
「生きて帰れると思うてか」 随分と弱気になったものだな。言葉から心配の二文字が滲み出る。
「誰の息子だと思っている。切るぞ、時間が惜しい」 と言ってすぐさま切る。そして俺は教えられた座標に転移した。
懐かしき風景に、三日月状に削れた山。古ぼけたレンガの城。あぁ、帰って来たのだと感じた。
日本とは違い時刻は朝の7時頃。まだプライミッツ達は寝ているだろう。
「あっ―――」そして重要な事を思い出す。すまんバゼット、忘れてた。
何か連続投下できるのが奇跡的。
俺頑張る。
皆さんからの返答がないのでこのまま続投してみました。
総合評価とかお気に入りが増えてた。
ありがたい話です。
今回は追記なしで。
きっとそして空白期は皆さんのご想像にお任せします。
では皆さんまた来世。