俺と運命の物語(仮)   作:桜井舞人

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遅くなりました。
詳しくは後書きで。


黒き姫は意外と乙女

中世を感じさせる城を見上げる。

古く、そして気高い堅牢な城壁。

そして城門。

それを当たり前のように片手で開いて俺は中に入る。

既に魔術師としてのスイッチが入っている。

いつもの少しおちゃらけた雰囲気は影を潜め、その顔は無表情である。

煉瓦畳の床からはカツン、カツンと足音が反響する。

静寂を切り裂くとまではいかないが、他に音はしない。

そうして俺はまた城門を開いた。

中は暗く、湿度が高い気がする。

あらかじめ用意してある懐中電灯のスイッチを入れると心臓が跳ねた。

 

「随分と久しぶりじゃない香耶」

 

目の前に黒いフリフリのドレスの幼女がいた。この幼女こそ今回の目的である、アルトルージュ・ブリュンスタッド本人である。

 

「御無沙汰してます姉さん。本日は貴方の所有している、妹君のお髪を頂戴したく参上させていただきました」

 

我ながら随分とセメントである。

 

「堅苦しいのはいいわ。要件はそれだけかしら。なら答えはNoよ。話にならないわ」

 

もちろんこれは予想済みだ。故に次の一手を投じる。

 

「えぇ、知っています。そう仰ることは。だが、このままでは彼女は死ぬだろうな。貴方の手にかかることなく、その苦しみを見ることもなく。貴方の知らぬうちに、勝手に。

それを貴方は許さないことも俺は知っている。お髪は一時的に借り受けるということで構わないですし、代償は俺が支払う。で、どうですかな姫様」

 

俺の言葉にピクリと体が動いたのを俺は見逃さなかった。

後はどうたたみかけるかーーー

「随分と」という言葉と共に彼女の瞳が細められて、殺気が宿る。

 

「あの子に肩入れするのね。もしかしてーー」

 

彼女は俺にゆらりと近づいて、そのまま首筋に顔を寄せた。

このまま噛みつかれれば俺はきっと死徒になる。

 

「やっぱりあの子の匂いがする。忌々しい。さっさと殺してしまうんだった」

 

とても物騒な言葉とは別に、彼女は優しく、そして愛おしそうに俺を抱き寄せる。

俺の意思とは裏腹に、体は一行に動こうとしない。

彼女と同じ金色の瞳に魅入られてしまっていた。

それにしても迂闊であるとしか言えない。

一日に二度も。何より姉妹共に魔眼で動きを止められるなんて。

英雄失格である。

随分と思考を深く潜らせていたのだろう。目の前の彼女は不敵に笑っているに気づく。

 

「条件があるわ。勿論それ位は覚悟の上よね」

 

随分と優しい。がそれ故に信用ならない。

 

「俺にできることだけに限定してくれますか?それが約束されない場合は俺一人で“蛇”を狩る」

 

その言葉に瞳がが大きくなったかと思うと呆れたのか、落胆したのかは分からないが、目を伏せてため息を疲れた。

これを目の前でやられると結構メンタル的に来るものがある。

 

「呆れた。まだそんな無駄なことをやっているのねあの子は」

彼女は蛇を知っているならばその反応は間違いではない。事実アルクはただのイタチごっこに振り回されて、運悪く、そして運良く志貴に出会った。

これは運命であり、どのルートに行こうとも彼女は幸せである。そしてイタチごっこも終わる。

 

「イタチごっこの事ですか?それなら今代の蛇で終わりですよ。彼女の隣には死神の瞳が。そして俺がいる。どの道蛇の力は徐々に落ちている。転生のしすぎで魂が劣化して本来の目的を見失った挙句に彼女への恋慕の情も失った。挙句に今代の転生体のいしを飲みきれずに同居したと思っていたらどうかしてしまった。目がなくても十分に次の転生で力の減少は避けられない。

それに俺は教会の“この魂に哀れみを”を扱うことができるからどの道サヨナラですけどね」

 

散々と蛇が今回で終わりであると強調した挙句に、エノラゲイを投下した。それ故に彼女は右足を

後ろに一歩引いてる。

だって殺そうと思えばお前も殺せると宣言したのだから、当然の反応だ。

があえてだろうが、彼女は違う点に着目した。

 

「死神の瞳とはもしかしてーー」

「見たものは死ぬ。バロールの魔眼である直死の魔眼。それを扱える者が少なくとも2名は日本にいる。そしてその1名が今、アイツの隣にいる。面白いことにソイツによって一度殺されている。故に今は力が半減。眠りに付かなくてはいけない。そこで髪の毛ですよ。もうお分かりでしょう」

 

ニヤニヤと笑いながら右手で顔を覆っている。

 

「えぇ随分と面白いお話を聞いたわ。そうね、ここらで一つ貸しを作った方が面白いかもしれないわ。いいでしょう返してあげるわ。

た・だ・し!いうことを一つ聞いてもらうわ。いいわね?」

 

これが先程言っていた条件とやらだろうか。腰に手を当て、細く艶やかな指を俺の眼前に持って来て約束よとそっと微笑む。

 

「いいですとも。あ、でも死徒化は無理ですからね」

 

と言ったらピクンと跳ねた。はいはい、可愛い可愛い。もしかして狙ってます?俺を悶えさせようとかしてます?でもごめんなさい。幼女は守備範囲外です。

 

「べ、別にそんなこと考えていないわ!本当なんですからねっ!」

 

はいはい、ツンデレ乙。やべっ、可愛すぎて思考が地になってきた。カットカット。

 

「で、願い事は決まりましたか?あまり時間がないので、今は手短に」

 

その言葉に眉をひそめてムッとする。頬をぷくーっと膨らませた姿はとても微笑ましい。目を細めて、へぇーっそういうこと言っちゃうんだ。と言って口元に笑みを作る。悪人面の姫様可愛い。正義と言っても過言ではーーカット。

「私は何年も待っていたのだけれど?」

 

あぁ、はい。マジですみませんでした。けど文句はジジイにお願いします。私はそのようなクレームを受け付けませんので悪しからず。

 

「あの爺さん今の今までここの場所教えてくれなかったんです。来れるわけがない」

「今はそんなことを言ってるわけじゃないの。ーーまぁいいわ。この件は保留ね。その代わりこの件が終わったらまたすぐ来ること。いいわね?」

 

言ってやったわとドヤ顔。何それ可愛い。つい抱きついちゃう。抱きついた手前何か言わなくては。姉さんありがとう愛してる。いや駄目だわ、喰われる。ツンデレ可愛いhshs。駄目だわ、全力で俺が愛でられる。あ、腰に手を回されてギュッとされた。あ、今俺かなり幸せです。神様ありがとう。

 

 

ふぅ。堪能した。あっ、いやらしい事は何もありませんでしたよ。本当だょ。

 

「はいこれ。いらないからもう香耶にあげるわね」

 

あっ、全力の笑みアザーっす。ーーーーーえ??

 

「あ、はい。ありがとうございます。あ、少々この後立て込んでるので今日はこの辺りで失礼します」

 

受け取った髪の毛を聖骸布でグルグル巻きにして立ち去ろうとした。ふと顔をあげるとハンカチ片手に手を振る姫様、マジお姫様。

「またすぐ来るのよぉ」と声にもう一度振り返る。あ、プライミッツいたんだ。もふもふしたかった。

こうして俺のお城訪問は終了した。

俺の精神力がだいぶ回復したのは言うまでもないが、魔術師的思考に割り込む萌に少しだけ胸焼けがした。




PCが壊れました。
俺のデスクトップが••••••
年明けたら直しますが、それまで携帯からやってます。
修正等はPCが直り次第致します。
理由はこの時期の飲食業は超忙しいから。
というわけで、これから毎日始発で行って、終電で帰る苦行をします。許してください。

ではまた来世。
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