俺と運命の物語(仮)   作:桜井舞人

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ワスレモノは君の心さ

とあるマンションの一室に帰ってきた。当然のワスレモノであるバゼットは回収済みである。

橙色の空は鈍く、少し紺色掛かっている。これから蛇の根城に行くのに随分と雰囲気が軽い。恐らくは全て俺の所為だ。

 

「でーーこれがブツだ。何かあると困るので布でグルグル巻きにしてある」

 

そう言って机に丁寧に置き、しゅるりしゅるりと解いていく。中からはプラチナブロンドの長い髪。長さは測っていないから分からないが、1m位はゆうにある。

「これーー」と少し驚き、そして睨みつけているので「いいから」と急かす。

もちろん呪いや魔術が掛かっているかチェック済みである。刻印を起動させて態々調べたのだから間違いない。

 

「代償は特にない。最初は断られたが、最後は俺にやるとまで言われた位だ。大丈夫だよ」

 

そんな微妙な顔をしないで頂きたい。

俺だって信じられないんだからな。まぁ若干は予想通りだけど。

というか髪の毛戻ってきた所でどうやってくっつけるのか。近づけると勝手に合体するのか?少しだが、おらwktkするぞ!

 

「そう••••••ね。少し信じられないけれど、貴方が無傷で戻ってきたことに免じて信じるわ。1μ位は」

 

さらりと長い自分の髪を両手で持ち上げると髪が光り出す。今まで無言で半目で俺を睨んでいたバゼットも色っぽい呻き声をあげて眩しそうにしてる。というか目が潰れそうな位眩しい。

恐らくは全て純粋な魔力の塊。

それを胸に近づけると、あーら不思議ロン毛の可愛いプラチナブロンドの美女が俺に抱きついた。

目はキラキラと潤ませて、戻ったと仕切りに呟く姿を見た。

彼女のウェストに手を回し頭を撫でる。が、そんな微笑ましいシーンも直ぐにサヨナラ。バゼット、強化して脇をつねるのは反則だと思うよ。

 

「それで貴方の力はどれ位戻ったんです。この女狐」

 

アルクと交わす言葉が殺気のこもったそんな言葉でいいんですかバゼット。

こら歯をギリって鳴らすな。

そんな雰囲気いず知らず、俺の左腕を抱き込みながら左指を口元に持って来たお姫様はーー

 

「7割位かしら?全快にはちょっとまだ遠いわね。で〜も」

 

はいぎゅーっとされました。ありがとうございます。ご褒美ですよね?

 

「私には香耶と志貴がいるし余裕だもん♪お陰で吸血衝動も一気に静まったし、今の私なら世界だって敵に回せる」

 

キリッじゃねーし。物騒なことをほんわかとした表情でしれっと言った。

 

「だから帰っていいよバゼット。貴方必要ないし」

 

あ、終わった。普通にスルーしてたと思ったのに。あんた喧嘩買ってたのね。

 

「あ!?」

 

凄んじゃダメぇ!!バゼット米神をピクピクさせちゃダメだから。つうか右の脇腹がしゅごいことになってるから。超痛いからマジでやめてぇ。

 

「私達姉弟に任せとけばいいのよ。貴方はお呼びでない。お帰りなさい」

 

ここはただいま〜っと和ませるシーンなのか。はたまた左腕をの幸せに集中すべきかそれが問題だ。

 

「誰が姉弟だと。それに貴方に呼ばれて来たわけじゃありません。香耶に言われて来たんです。貴方の言うことを聞く義理はありません」

 

やべぇ左腕のマシュマロ超いい。そうかこれがアヴァロンか。

 

「私と香耶は義理の姉弟よ。香耶のミドルネームのBはブリュンスタッドだし。」

 

それに比べて、右脇は本気で地獄。絶対跡になってるよコレ。

 

「そんなの初耳です。ほんとうですか?」そんな目で俺を見ないでよ。超怖いから。

「ほ、本当です。アルクのお姉さんにお世話になった。その時に名乗るように言われたので名乗ってます。だからそろそろ右脇をつねるのやめてぇ」

 

ガチで痛い。もはや感覚がないまである。するとアルクは察したっ! と言わんばかりに俺を抱き寄せた。

 

「私の大切な弟に酷いことするのやめてくれる??大丈夫だよ、貴方は私が守るから」

 

貴方はどこのFirstChildrenですか?

 

「黙りなさいこのアーパー吸血鬼。そして離しなさい。アーパーが移ります」

 

それ人違いや。そして酷い。

 

「貴方こそ離しなさい。脳筋が移るから」

あ、そうすか。やり合っちゃう感じで。何とかこの場を離れようとするも2人の間で既にもみくちゃ。もうどうにでもなれと2人の胸の感触を堪能していると奇跡が起きた。ピンポーン。

2人は呼び鈴の音に気づいていなく、どうにかこうにか俺が玄関に出た。

ガチャリと扉を開くと学生服がよく似合う青年••••••遠野志貴がいた。思わず助かったと抱きついた俺は悪くない。はず。

 

「ど、どうしたの香耶君!?」

 

その言葉に後ろに振り向いてため息を吐く。それだけで理解したらしく、あぁーっと言って肩をポンっと叩いた。超いい笑顔でドンマイ!っと言われた。イラっとしたので、魔法使い流変わり身の術をした。2人の胸の感触を解くと堪能してもらおう。バレたらアンサラー。『僕の所為じゃない』

 

さて、落ち着いたところで作戦会議だ。ぶっ倒れている志貴は放っておこう。

 

「蛇の根城は志貴の学校だ。そこは間違いない。ただーー」

「どれ位の勢力かは不明」

「まぁ、それはしょうがないわねー。こちらは魔眼持ちが3人。内2人は直死の魔眼」

「伝承保菌者が1人で援護がかのなのが1人だけ。後は一人を除いて全員超接近型••••••か」

 

戦力分析としてはこんなところか。

オールラウンダーは俺だけ。アルクは中近距離。2人は近距離専門となると作戦は簡単だ。

 

「バゼットは常に密着。アルクはその援護。志貴は常に死角からの攻撃を徹底。俺は援護に徹する。これ以外バランスは取れないだろうな」

2人の顔を見やるがコクリとうなづいていたのを確認したら、志貴を起こして状況を説明した。今回の志貴は素直に頷いたので助かる。それより志貴はアルクをガン見し過ぎだ。それに気づいたアルクは首を傾げてどうかした?と尋ねる。が言葉に詰まる志貴。

分かるよ志貴。かなり惹かれ気味な志貴には突然のイメチェンに感動してる上に今の首を傾げる仕草とかが新鮮に見えて内心可愛いなとか思ってるんだろうな。頬をぽりぽりかいているのは照れている証拠。

まぁ元々美人なアルクが5割増で美人になればそれはもぅヤバイでしょ。

なによぅとか言ってハイハイで近づいたら志貴の理性は臨界ギリギリよ、やめたげてぇ。

あ、その視線はあかんて、胸から髪行ってからの顔を軽く見てからの胸。バレバレだからね。

 

「アルク、照れてるだけだからそっとしといてあげて」

 

目をパチパチさせて嬉しそうに、そして少し照れ臭そうに左手で髪をかき上げ左耳に掛ける。そして太陽のような笑顔になる。

見てるこっちも照れ臭くなる。そして少し不安になった。

どうしてもこうしても、これだけ原作から外れた行動をしているんだから、イレギュラーの一つ位はあるだろう、そう思えるからだ。

果たして無事に終えることが出来るのか。俺はベランダに出て、薬草に火をつけた。

ざらついた心を落ち着かせるためだ。

生前は普通な煙草しか吸っていなかったが、これはミントが良く香り、その他にも桂皮や生姜など健康に良いものを干して巻いてある。

仕事前に必ず一本。これが今のルーティンだ。

当たり前のことだが、煙を肺に入れて吐き出す。勿論灰は携帯灰皿に入れてる。マナーだし、アルクの家にはないからね。ふと視線を感じ振り向くと全力で薬草を取られて握りつぶされた。

 

「何をやってるんですか、貴方は」

 

バゼットだった。つーかそれ熱くないの??

 

「それ、煙草ではないんだ。俺のオリジナルで、薬草なんだよ。気持ちがざわついたり、昂ぶり過ぎた時に吸うんだよ。落ち着くんだよこれが」

「貴方がそう言うなら信じますがーーーこの仕事、ちゃんとこなせるでしょうか。私は••••••私は死徒を殺せる程強くない。理解しているんです。ラックはおそらく使えない」

「気づいていたか。後だしじゃんけんであるラックは使えない。相手は魔術師で、かつ接近戦はほぼ爪だけだ。使い場所などありはしない。」

 

俺の言葉に落胆の表情。お前の顔は曇らせないよバゼット。

 

「だが、それでも俺はお前を選んだんだ。(この仕事の)俺のパートナーに。だから着いて来てくれ。(この仕事中は)何があってもフォローするし、俺がお前を守って見せる。(この山での)俺のパートナーはお前しかいない頼んだぞ」

 

あれ?顔真っ赤にしてうつむいてるけど、どうかした?まぁ元気になったポイし、肩をポンと叩いて部屋に戻った。

 




すみません。
修正等はPCが直り次第致します。

ではまた来世。
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