気が付いたらここにいた。
「知らない天井だ……。」
いっとかなきゃいけない気がした。
焼け野原を走っていたのは覚えているが、その後のことはさっぱりだ。
まだ記憶の混濁がみえる。
誰か状況を説明してほしい。
そういえば……衛宮士郎はどうなったんだろう……
とりあえず、体を起してみた。
ここは明らかに病室ではない。
体は別にチューブで繋がれている訳でもなく、頭にタオルが置いてあった。
そして、この部屋はやけにだだっ広い。
全く理解できないものだ。
と……そんなこと考えてる場合じゃなかった。
とりあえず部屋を出よう。
何かわかるかもしれない。
と思ってベッドから降りた瞬間、一人の老人が部屋に入ってきた。
あれ??
こんなオッサン、Fateにいたっけか??
駄目だ……まだ混濁してるみたいだ。
思い出せん。
「気が付いたようじゃの。どうじゃ加減のほうは。」
と、老人は喋りかけてきた。
加減といっても、別にどこも悪くない。
唯一悪いのは頭だけだ。と説明すると。
「はっはっは、頭だけとな??
その様子だとココがどこで、ワシが誰かも覚えとらんのだろう。
まぁ、あんな事をした後だ。
意識や記憶が多少混濁しても仕方があるまいて。」
一体俺は何をしたんだ。
む~やはり思い出せん。
うんうん唸って思い出そうとしていると、老人は自己紹介を始めた。
「無理に思い出そうとせんでいい。
ワシの名前はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。
皆からは宝石翁と呼ばれておる。
冬木の聖杯戦争中にあり得ないほどの魔力を感じ取って行ってみたら、お主がいた。
お主は奇跡を起こしたのじゃよ。
これ程の贋作を作れる者がおったとはワシもまだまだじゃの。」
と説明を受けていてビビった。
ゼルレッチって、魔法使いじゃん!!
しかも真祖や黒血の吸血姫のお目付役って話の……い、いきなり死亡フラグ。
しかも贋作を作ったって……投影のことだよな。
一体何を作ったんだ俺は。
「しかしすごいのお。あの騎士王の鞘を投影したんじゃから。
しかもその後、降霊術と人形を用意し定着させた上で、第三魔法を使用。
助けた少年と男と女の記憶を封印処理し、あの場から逃がした。
が、その後力尽きて動けなくなったのはいただけなかったがの。
どうじゃ?思い出せたか??」
さっぱりだが、ある程度予想はつく。
まず、少年は衛宮士郎で間違いない。
女だが……恐らくアイリスフィールだろう。
そして男は衛宮切嗣だろう。
あの場で助ける者がいるとすればその三人だ。
しかし色々無茶するなぁ俺。
降霊術なんて考えるかよ。
しかも人形に定着させて、第三魔法の使用とか、余程焦ってたんだな。
騎士王の鞘は多分切嗣に使用した。
「さっぱりですね。まぁある程度の予想はつきました。
それで……貴方は俺に何をさせたいのですか??」
その言葉に少しピクッとすると、ニヤリと笑った。
そうして俺に向かってゼルレッチ老はこちらに向きなおした。
「中々聡い子じゃの。まぁ、助けたのは気まぐれじゃ。
ちと子供の相手をしてもらいたいのじゃ。と言ってもお主よりはちと年上じゃがの。
なぁに、使用人もおるし簡単じゃ。どうか引き受けてくれんかの??」
引き受けないとどうなるかわかったもんじゃない。
まぁもともとアルトルージュにどうやって近づこうか悩んでたとこだし……
引き受けるとしよう。
「分かりました。でも、俺にも条件があります。
貴方の弟子にして下さい。
俺が来るべき戦いに参加するために強くなりたいんです。」
「お主がワシの修行に耐えられるかの??」
「耐えてみせます。」
するとニッと笑って、俺の頭に手を乗せた。
「ワシが帰ってきたら修行をつけてやろう。
それまで留守を頼んだぞ、少年。」
そう言って、ゼルレッチ老は姿を消した。
が、代わりに12~5才位の少女が目の前にいた。
か、彼女がアルトルージュか??
ガチでアルクエイドの黒版だ。
「ねぇ貴方……ゼルレッチから話は聞いているわ。
お前は今日から私の相手を務めるのでしょ?
なんでもいいから何か面白いことを喋ってくれない??」
難しい注文だ。
だが、ここで面白い話しないことには始まらない。
ここはテンプレだが、試させてもらう。
「とある男の妹が夕食にスパゲティを作ってくれることになりました。
妹は、「今日はカルボナーラを作るね」と母に言っていました。
夕方、 私が外から帰ると母が、「もうすぐボラギノールができるのよ」
と言いました。ソレって痔の薬じゃ……??」
どうだ!?
「ふっ。」
は、鼻で笑われた~。
ならこれはどうだ。
「ある日、会社で肴を持ち寄って宴会をしたときのこと。
刺身のトレイの中にわさびが見あたらなくて中身をひっくり返した。
ワサビはツマの下に埋もれていた。
僕は、軽い冗談のつもりで、「ツマの下敷きなんて、うちと一緒だ」と言ったら……
一同静まり返ってしまった。」
「貴方子供でしょうが。」
た、確かに今の俺は子供だけどさ。
突っ込む所はそこな訳!?
「先日、商店街を自転車で走っている時に突風が吹いた。
ハードコンタクトをしている目にゴミが入ってしまった。
激痛のため自転車を止めて涙を流していたのだけど……
たまたま有線放送から流れてきたのは杏里の「悲しみがとまらない」だった。
早くその場を立ち去りたかった。」
「貴方は一体何歳なのよ。」
「7歳。」
「……その曲何年の曲か知ってる??」
「1983年。杏里がリリースしたんでしょ??」
「なぜ知ってるのよ。」
「アルトルージュさんこそなんで知ってるのさ。」
「さて、何故でしょうね。」
といい笑顔で返された。
しまった。女性に年代の話題は禁句だった。
「それよりも何故貴方は私の名前を知っているのかしら??」
しまった。
まだ紹介もされていないし、どう切り返そうか。
えっと……誤魔化そう。
「電車で女子高生がクラブの先輩の悪口を言っていた。
大声で「あの人絶対ズレてるよぉ!」と言ったそうです。
同じ車両にいた乗客の『該当』する数名がアタマをおさえ気にしていた。」
「誤魔化さないの。それで??なんでかしら??」
「……大魔法使いゼルレッチの知り合いと言ったらそんなに思いつかなくて。
まぁ後はこの場の状況から推測してですけど。」
「成程ね。そんなに落ち込まなくていいわ。
私は貴方を結構気に入ってるの。プライミッツも威嚇してないしね。」
いつの間にかプライミッツマーダーが俺の横にいた。
マジ犬。
俺の手をクンクン嗅いでいる。
におうのか??俺の体ってそんなに臭いのか!?
犬の行動をしているプライミッツをついつい撫でてしまった。
が、特に何もない。
ただ撫でられるだけ。
「驚いたわ……プライミッツが私以外に懐くなんて。」
これは懐いているんですか??
手を止めると不機嫌になるんですよこの犬。
ガイアの怪物で霊長の殺人者ですよ??
人類に対する絶対的な殺害権利を持ってるんですよ。
俺が逆らえる訳ないじゃないですか。
「ハハハハハ。」
乾いた声しか出ませんが。
「今日はもういいわ。面白い話をありがとう。」
「いえ。面白いと言って頂けて光栄です。」
「そう。では失礼するわ。」
「ま、待って下さい。」
「何かしら?」
生きるための重要な問題……それは……。
「た、食べ物ありませんか??お腹すいちゃって……。」
一瞬呆けた顔をするアルトルージュ。
が、真面目な顔にすぐに戻ってこう言った。
「ないわ。私たちには必要ないもの。後でフィナに用意させるわね。」
「ありがとうございます。」
「いいわ、気にしないで。えっと……。」
「俺の名前は、相楽(さがら)香耶(きょうや)です。」
「そう……ならキョウと呼ばせてもらうわね。
また明日会いましょう。もう朝になってしまうから。」
成程……だからか。
ん??ならフィナも駄目なんじゃ……??
「じゃぁねキョウ。」
「あ、はい。」
行っちゃったよ。
俺……本当に飯どうしたらいいんだろう。
神様、本当に切実です。
どうでしょうか。
まだ2話ですから何とも言えないでしょうが、いきなりのチートぷり。
しかも士郎とは離れ離れです。
この後どう加入していくか楽しみにしていて下さい。