がっこうぐらし! 狂戦士君でまったりプレイ 作:赤タイツの傭兵
「中の奴等は私が殺る!お前は前だけ気にしてろ!」
うおおおおおお!?これは熱い!まさかこのタイミングでくるみちゃんが援護に来てくれるとは!
よかった……信頼イベントなんて必要なかったんや…。いや、なんで来てくれたのかは分からないですけども。
しかし、いくらくるみちゃんが加わったとはいえ、このままではジリ貧なのは変わりません。
………仕方ありません。こうなったら切り札を使いましょう。
「バーサークモード」を使用します!!
この「バーサークモード」は狂戦士君専用の状態変化です。このモードになると、攻撃力、速度が上昇し、よりいっそう戦闘に特化した状態になります。
え?そんなのあるなら最初から使え?
うるせぇ!こっちだって必死だったんだよ!!!
いや、うん、単に忘れていただけなんだけどね。今まで使うような場面なかったし、完全に存在を忘れていました。
しかしこの「バーサークモード」にも欠点があるのです。発動中は敵味方の区別が出来なくなりますし、一度発動すると敵を百体倒すまで解除できないのです。
もちろん、皆殺しルートの場合は全く関係ない欠点ですが、今回は共存ルートなのでかなりのデメリットです。だから今みたいにラッシュ中でもないと使えないんですよね。
ちなみに発動すると目が赤く光ります。どこの迅竜かな?
「おいおいマジかよ、まだそんな力を隠してたのか!?」
いえ、忘れていただけです。
ともかく、くるみちゃんのおかげで取りこぼしが気にならなくなりました。後はひたすらぶん殴りましょう!
いや、ちょっとまて?もし百体倒す前にイベント終わったら詰むんじゃね?
……………。
いやァァァァァァ!!!まだ終わっちゃらめぇぇぇぇぇ!!!!!
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私は何をしているんだ?
恵飛寿沢さんが出ていくのを止めることが出来なかった…いや、それだけじゃない。
私はこの学校の教師。生徒たちを守る義務がある。
だけど、今私達を守っているのは、生徒でも教師でもない。見ず知らずの大男だ。
そうだ、彼は見ず知らずの他人なんだ。わざわざ私達を助けるメリットはない。
にも関わらず、彼はあの大群を相手にたった一人で立ち向かってる。きっと、恵飛寿沢さんはそれを理解して、彼の加勢に行ったんだ。
なのに、私は何をしている?
あのマニュアルに書かれていたこと…実験体。
そんな、何の根拠もない事を鵜呑みにして、彼の事を疑っていた。
……本当に、自分の浅はかさが嫌になる。
仮に彼が実験体だとしても、それが何だ?
彼が私達を助けてくれたのは変わりないじゃないか。それに
彼は自ら望んであの姿になったのか?いや、きっと違う。彼だって被害者なんだ。訳の分からない実験であんな姿にされても、まだ人として最善を尽くしているんだ。
それなのに、私は…教師としての最善を尽くせたか?
いや、まだだ。
私はまだ最善を尽くせていない。考えろ。戦えないのなら頭を使え。
外にはまだかれらの大群がいる。今はドクロさんが抑えているが、いつまで持つか分からない。
そもそも、何故突然集まってきたのか?
外は大雨……もしかして、雨に濡れるのが嫌だから校舎に入ろうとしている?そういえば、昼の食堂にも大量に集まっていた。でも夜になると何処かに去っていく。…いや、帰宅している?
そこで、私は気づいた。かれらは、生前の習慣に基づいて行動しているんだ。
ということは……一か八かの賭けだが、これなら打開できるかもしれない。
私は放送室に駆け込んだ。そこで校内放送を入れる。かれらが生前の習慣に従っているのなら、これで…!
「下校の時刻になりました。」
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【まだ校舎に残っている生徒は速やかに下校してください。】
「何だ…?校内放送?」
お、終わった……?
いょっしゃァァァァァァァァ!!!イベント達成じゃあ!!!
ちょうどギリギリで百人目を倒したところでモードも解除!ぬわああああん疲れたもおおおおん!!!
奴等がぞろぞろと帰って行きます。目の前に私がいるのに放送がかかったら帰るんですね。これはゲームとしての仕様なのでしょう。
それにしても、あの雨の日ラッシュを真正面から乗り切るとは…。
やはり暴力…!暴力は全てを解決する…!
しかし良かった…。フラグを立てておいて正解でしたね。早速チキンセーーーブをします。やっぱりセーブは大事、はっきりわかんだね。
「あはは…なんつうか、ホントに滅茶苦茶だな、あんた。」
あぁくるみちゃん、来てくれて助かりましたよ本当。ありがとナス!!
「いや、お礼を言うのはむしろこっちだよ…。ホントにお前がいなかったらどうなっていたか…。ありがとな。」
「それと…今まで悪かった。わたし、何度も助けられたのに、お前のことずっと怖いと思ってた。…ごめん。」
いや、まぁ仕方ない気もするけどね。私が同じ立場だったら絶対くるみちゃんと同じこと思うし。だから気にしなくてエエんやで?これからヨロシクしてくれたらいいから。
「そっか…。そうだな、これからよろしくな。ドクロ。」
お、くるみちゃんとの信頼イベントです。このタイミングで起こるとは…これは予想外ですね。
それに溜まっていた経験値で一気にレベルアップ!全部言語にぶちこみます。これで言語スキル8!これだけあれば会話に困りません。ひとまずこれぐらいでいいでしょう。
「そういえば!お前噛まれていないのか!?いや、今更な気がするけど…。」
あぁ大丈夫、大丈夫。わたし噛まれても感染しないので。
「えぇ!?マジかよ!それって抗体みたいなものなのか?」
ごめん私にも分かんないのよこれが。
まぁとりあえず、シャワーで返り血を落としてから皆と合流しましょうか。流石にこのまま行くのはまずいのでね。
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「ドクロくん!くるみちゃん!」
「二人とも大丈夫なの!?」
「あぁ大丈夫。ドクロも全然平気そうだし。」
二人とも無事に戻ってきた。ひとまず安堵する。
ドクロさんは…あれだけの大群を相手にしたのに、まったく外傷がない。…しかも、丈槍さんたちに正座させられてる…。あの大群を相手にしてきた人とは思えない姿だ。
「もう!ドクロくん駄目だよ!一人で危ないことしちゃ!」
「おじさん…めっ!!」
『本当ニ申シ訳ナイ。』
「何でだろう…全く反省してないように聞こえる…。」
「でも、おかげで私達は助かったのだし、いいと思うわ。」
「あぁ…また助けられちまったな。」
確かに、これでまた彼に助けられた。
…もう、いい加減に理解できる。彼は人間だ。体は怪物かもしれないけど、心は間違いなく人間なんだ。
何でもっと早く気づけなかったのか。もっと彼を理解しようとしなかったのか。考える程に教師として恥ずかしい気持ちで一杯になる。
…こんな不甲斐ない私を、彼は許してくれるだろうか。
『センセイ。』
「…!は、はい!」
『気ニシナクテイイ。』
「え?」
『貴方ハ教師。皆ヲ守ル義務ガアル。』
『私ヲ警戒スルノハ当然ノコト。ダカラ…気ニシナクテイイ。』
……本当に、貴方は…。
「あ、ありがとう…ございます…。」
「ちょ、めぐねぇ?」
「あー!ドクロくんがめぐねぇ泣かせたー!」
『本当ニ申シ訳ナイ!!』
「今度は土下座したぞ…。」
「ち、違うんです!そんなわけじゃ…!あぁドクロさん、頭を上げてください!」
「佐倉先生まで頭下げてるし…。」
「あーもう滅茶苦茶だよ。」
優しい人…なのですね。