ハリポタVR侍ルート~Ver2.2   作:時雨。

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侍ちゃん#3 組分け(ダンブルドア視点)

新入生が列を成して大広間の中央に並んでいる。

美しい天井の夜空を見上げ恍惚とした表情を浮かべている者、自身がどの寮に組み分けられるのかを緊張した面持ちで待つ者、早くも出来た新たな友人達とまだ見ぬ未来へ思いを馳せる者。

どの子も皆一様に新たな日常に心動かされておる。

教員席から彼らを見守る教師達の瞳は数名を除いて穏やかで、恐らく彼らも自分達がかつて同じように組分けの儀式を受けたことを思い出しているのだろう。

そしてこの儂、アルバス・ダンブルドアもまた同じく教員席からこの城の新たな家族を見守っていた。

今年はハリーと、更にはあやつの孫まで入学してくる。まず間違いなく大きな混乱が予想されるじゃろう。

かつてヴォルデモート卿を打ち破り、暗黒の時代に終わりをもたらした英雄と最も多くの死喰い人を屠った剣聖の孫。どちらも今のイギリスではネームバリューが大きすぎる。

それを本人達が全く知らないというところまで共通しているというのは最早なにかの因果かもしれんの。

そうこうしているうちに組分けの儀式が始まった。

緊張に見を震わせて名前を呼ばれた少女が正面に座っている儂を見上げながら組分け帽子まで歩んでいく。

不安そうな目をした彼女に一つ安心させようとウィンクを飛ばしてやれば――――背筋が一瞬凍るかと思うほどの鋭い視線が飛んできた。悪寒の元へと目を向ければ、列に並んでいるカレンが酷く荒んだ瞳でこちらを睨んでいるのが見える。その瞳の内に宿る軽蔑と蔑みを感じるだけで彼女が何を言いたいのかありありと感じることが出来た。

おお、そんなに冷たい目で見んでくれカレン。別に今のは緊張をほぐしてやろうとしただけじゃ。

何故か分からないがあやつの孫であるカレンからは酷く嫌われているようだった。

心当たりと言えば強引に留学の件を儂とあやつだけで決めてしまっていたことか。本人には既に了承をもらっているものと思っていたので、現地で自己紹介をするとなった三分前に縁側で寛ぐあやつからまだ留学について一言も話していないと言われた時には心底驚いた。

ホグワーツへの留学の件を話に行った時は完璧な笑顔で快諾してくれたが、やはり彼女にも思うところがあったのではなかろうか。

しかし、ハリーが入学する年なのだから城の防備は万全を期すに越したことはない。あやつ本人を喚べれば何よりじゃったが、かつての戦いで受けた傷のせいであの頃のようにはもう刃を操れなんだ。

願わくば、彼女もこれまでの生徒同様この学校で真の友と叡智と溢れんばかりの思い出を手にしてくれることを祈ろう。

 

「サクラガワ・カレン!!」

 

ついにカレンの名前が呼ばれた。サクラガワの姓に大広間がざわつく。大広間の中央をゆったりと歩く彼女の姿を生徒たちが捉えた。生徒達の声を切り裂くようにカツカツとカレンの足が石の床を歩く音が響く。

彼女の腰に下げられた物が視界に入り、思わず頬がひきつる。

儂と同じくそれを見た生徒達もそれぞれ異なった反応を見せた。

グリフィンドールの生徒は無意識に小さな歓声を上げ、レイブンクローの生徒は興味深げにそれを見つめる。ハッフルパフの生徒は少し不安そうな顔で見つめ、スリザリンの生徒に至っては数名悲鳴を上げながら椅子から転げ落ちた。

椅子には座らずこちらを凝視するカレン。そのくせ開心術を警戒しているのか全く目を合わせようとはしない。

カレンが静止したことで今まで彼女の左腰で揺れていたそれも同じく止まる。

間違いなく上等な魔法生物の革で作られたであろうベルトによって固定されたそれは、かつて戦友が振るっていたカタナ。幾千もの魔法を切り裂き、それと同じだけ死喰い人や闇の陣営の勢力を切り捨ててきた一品である。

日本であやつと別かれる際に組分けではきっと驚くことになると言っていたが、まさかこういう路線で来るとは思わなんだ。

心做しかドヤ顔をしている気がするカレンに苦笑いを返してやれば、それで満足してくれたのか大人しく組分け帽子を被った。カレンの父親と母親にも会ったことがあるがどちらも落ち着いた雰囲気の夫婦だ。ともすれば彼女のこれはまず間違いなく祖父譲りじゃろう。

彼のいたずらカルテットが一人、ジェームズ・ポッターの息子にあやつの孫娘。間違いなく今年からフィルチの仕事量が倍増するであろうことを予想して、すでにウィーズリーの双子で過労気味な彼へ心のなかでエールを送った。

その後組分け帽子がしばらく悩んだもののカレンはグリフィンドールに組分けられ、ハリーも同じくグリフィンドールへと組分けられた。

ハリーはウィーズリーの末の子と、カレンはまた別の女生徒と早くも仲良くなっているようだった。

彼らの学生生活は恐らく普通とは言い難い物になることは既に必定。時には恐怖や悪意が濁流のようになって押し寄せてくることもあるだろう。そんな時、手を取り合って立ち向かうことの出来る友を作ってくれることを願いながらも、アルバス・ダンブルドアは目の前の皿に向けて糖蜜パイを注文するのだった。

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