青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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今日は休日。キーボードの候補…白金さんのオーディションの日だ。白金さんはあこちゃんの知り合いらしく、ピアノをずっとやってるらしい。期待が出来る…約束はお昼なのだが、全員で一度集合し、練習するらしい。ずっと見ていたのは山々なのだが、タイムセールを逃すわけにはいかないので、僕は一度抜けることになる。もう少ししたら出ないとタイムセールに遅れてしまうので、リサにあとのことは頼んで、circleの外に出る。戻ってくる時は全員に飲み物でも買って行こう。そう、僕はこの時、あんなことが起きるとは思わなかった。


第九話 私…弾けるの!

「お嬢様が…さらわれた?」

 

 買い物から一度帰宅し、食材を片付けているとリサから電話が来た。開始早々とんでもないニュースだ。

 

『うん、友希那だけじゃなくて紗夜も一緒に…』

「…どんな奴だった?」

『新一?』

「リサ、そいつはどんな奴だった?」

『え、えっと、羊っぽい怪物…』

 

 どこの野郎かと思えば特徴を聞く限り、ファンガイアだった。あの時のファンガイアだ、一度撤退したのはそういうことだったのだろう。

 

「分かった、連れ戻しに行ってくる」

『何言ってんの!?相手は化け物だよ!』

「ごめん、でも大丈夫だよ、連れ戻す(・・・・)だけだから」

『…ホント?怪我とかしないよね?』

「しないように努力するよ、約束のお昼までには間に合わせるから。それじゃ」

 

 そう言って電話を切り、急いで準備をし、イクサリオンに乗って捜索に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目を覚ますと私は知らない場所にいた。壁や天井があるところを見ると、おそらく建物の中でしょう。確か私は他の人とcircleの前にいて、そこで怪物に襲われて…辺りを見た感じ誘拐されたと思うのが妥当でしょう。さらに手に縛られているような感覚があり、後ろを見て確認してみるとロープで縛られていた。よく見るともう一つ縛られている手があり、誰のなのかを確認すると、気を失ってる湊さんの姿があった。

 

「湊さん!大丈夫ですか、湊さん!」

「…っ、…紗夜?」

「気がつきましたか湊さん」

「…ここはどこかしら?」

「私にもよくわかりません…ですが誘拐されたということだけはわかります」

「そうね、早くここから出ましょう…?」

「縛られてますよね、少し待っててください、何か見つけて‥⁉︎」

 

 何か刃物はないか探すと、扉らしきところに私たちを誘拐した怪物がいた。ゆっくりと近づいてくるなりその姿は人間の姿に変わっていく。

 

「…や、やあ」

「なんですかあなたは、ここは何処なんですか?」

「ここはね…僕と君たちだけの……家だよ」

「何をふざけてるのかしら?」

「全くもってその通りです、私たちを帰して下さい」

「……させない」

「?」

「そんなことさせない!」

 

 人型をとっていた怪物が元の姿に戻ると、怒ったような声を上げながらこちらに近づいてくる。

 

「良いかい?君たちは僕の花嫁なんだ、だから誰にも渡さない、絶対に!」

「ここに誰かが来たらどうするのかしら?」

「こんなとこ誰も来ないさ!だから助けも来な「スパッ パシャッパタパタパタ…」…え?」

 

 怪物が最後の言葉を言いかけると、怪物の後方にあった扉が切り刻まれ、パタパタと崩れ落ちた。光が入ってくると同時に一人の人間の形の影が映る。よく見てみると、そこには手に何かを持っている名護さんの姿があった。

 

「‥お、お前何者だ!?なんでこの場所が!?」

 

 怪物が驚きながら質問すると名護さんは手に持っているものを入れ物らしき筒にしまい、笑顔で反応した。

 

「おや、この前会いませんでしたっけ?というより貴方みたいなやつに名乗るなんてことしたくありません」

「お、お前舐めてんのか!」

「!お嬢様、紗夜さんも……やはりここにいたんですね。あ、今紐切りますね」

 

 怪物のことを無視してこちらにやってきた名護さんは先程しまったものを取り出し、即座にロープを切り落とした。でも疑問がある………。

 

「名護さん、二つ質問いいですか?」

「どうぞ」

「なんで日本刀(そんなもの)持ってるんですか!?」

「あ〜それは後でで良いですか?ちゃんと話しますんで」

「え、ええ、分かりました。もう一つ、なんでここがわかったんですか?」

「それに関しては簡単に説明しましょう。誘拐などは大抵近くの廃墟などに連れてくるんです。何故なら遠くに行かなくて済むから、そして意外と見つけられないから…って○せんせーが言ってました。詳しくは暗◯教室読んでください」

「そ、それだけですか?」

「いえ、実はもう一つ、怪物(こいつら)の独特な感じがこの建物から出てたので、一か八かで。そしたら見事に」

 

 名護さんは変わらずに笑顔で刃物を怪物に向けながら淡々と言った。その後名護さんは私たちを背にして言い放つ。

 

「さてさて、遊びはここまでにしてと………お嬢様、紗夜さんここからお逃げください」

「新一?あなたが連れて行ってくれるんじゃないのかしら?」

「そうしたいのは山々なんですが、此度、こいつはお嬢様たちに手を出そうとしました。僕はそれが許せません。なので僕はこいつに深い傷を、誅を下したいと思います………なんてカッコいい言えたらよかったんですけどね」

「新一?」

「残念ながらそんな力がないので僕はここでこいつを足止めします」

「名護さん本気で言ってるんですか、あんな怪物どうやって止めるんですか!?」

「多少鬼ごっこするだけですよ。あ、外に出てみると分かりますけど、意外と知ってる場所なんで、circleに真っ直ぐ走ってください。リサたちが待ってます」

 

 どう考えても私には名護さんが正気だとは思えない、どうやったらこの人は止められるのか。

 

「わかったわ」

「湊さん!?」

「行くわよ、紗夜。あの人はいつもあれだから大丈夫よ」

「ですがっ、湊さん!」

 

 仕方がないので私は名護さんの言葉に甘えることにした。湊さんが言ってるいつも(・・・)とは一体どういう意味なんでしょう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 さぁてと…お嬢様達も避難して僕のターンになったわけだけども、さっきまで言ってた通り結構キレてます。

 

「お前!よくも邪魔してくれたな!」

「は?お前如きがよくそんなこと言えるよね、誘拐までやっておいて」

「お前…どっかで見たことあるかと思ったらあの白騎士か!」

「そうだけど?やっと気づいた?というかそんな名前つけられたんだ」

 

 そろそろこいつを始末しようと刀を捨て、ナックルを取り出し、掌に当てる。

 

『レ・ディ・ー』

「は、前みたいにやられたいのか?」

「ちょっと前の僕だと思ったらちょっと間違ってるからね?…変身」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

「その命、神に返しなさい!」

 

 その言葉を吐き捨て、僕は戦闘に入った。まずはこの狭い場所から広い場所に出るため、相手を外まで吹っ飛ばす。そのために放った拳は相手の懐に入り、建物を貫通して飛ばすことができた。飛ばした先にあったのは森林公園だった。

 

[ここからは《イクサ変身》を聴きながら読むことをおすすめします]

 

「っ…痛いなぁ、だけど送る場所を間違えたね」

「そうだね、どうせあれだよね?早くなるんでしょ?」

「その通りだよ!」

 

 そう言ってファンガイアは早い動きを取って森林の中に隠れた。まぁ、ここまでは計算通りだ(・・・・・)。やっと旦那様から貰った強化パーツを使うことになる。そう…合図はただ一つ。

 

「イクサ………バーストモード!」

 

 合図を出すと同時にイクサのマスクのパーツである十字架が開き、赤い目が見えるようになる。偶然にも殴りかかろうとしていたファンガイアが、開いた時に出た衝撃波に薙ぎ払われた。

 

「お前っ、なんだその姿は!?」

「二度も言わせないでよ…お前みたいなやつに名乗りたくない」

 

 その後、バーストモードになったことで現れたイクサカリバーをガンモードに変形させ、ファンガイアを狙い撃つ。速い動きなどさせない。その場を動かせもしない。近づきながらも撃っていく。銃を手にすればその手を撃つ。反撃などさせる隙も与えない。

 

「なんなんだよ、お前!?前と全然違うじゃないか!」

「知るか、強いて言うならそうだね…お前の呼んでいた、白騎士だよ」

 

 そう宣言し、ベルトにフェッスルを差し込む。

 

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

 電子コール音と共にイクサカリバーを剣モードに変形させ、『イクサジャッジメント』を繰り出しファンガイアを斬り裂いた。結果ファンガイアは固まり、砕け散った。さて、片付けたことだしバイク呼んでcircleに向かいますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(友希那たち大丈夫かな…あれ?友希那?)

「遅くなってごめんなさい、戻ったわ」

「友希那さん!」

「友希那、紗夜!無事だったの!?」

「ええ、名護さんのおかげで」

「良かったー…って新一は?」

「それが、名護さんは………」

「!もしかして、またやってるの!?」

 

 さてさて、circleに戻ってきたものの……え?何これ?お嬢様達が話し合いをしてる…?

 

「え!?リサ姉どういうこと!?」

「新一は怪物とあった時いつもアタシたちを逃すために、的になってくれてるんだよ」

「え、じゃあ早く助けに行かなきゃ!」

 

 ヤバイ…なんだろうこの空気、ただいまなんて言える空気じゃない。静かにコーヒーでも飲んで見守ろうかな。

 

「ダメよ」

「「友希那(さん)!?」」

「それじゃあ彼が仕事を成すことができないわ。何をしてるのかは知らないけれど、時間稼ぎをしてくれているのでしょう?」

「それはそうだけど………」

「それに、私たちにはやるべきことがあるわ。そちらをやりましょう」

「しかし、湊さん」

「…それに新一ならもう来てるじゃない」

「「「「………え(はい)?」」」」

 

 あ、ばれた。

 

「やあ、ただいま」

「名護さん、なんでこんなところに!?」

「いやーあいつ、どっか行っちゃって探しても出てこないから戻って来ました⭐︎」

「え…てかなんで優雅にコーヒー飲んでんの?」

「いや、帰ってきたらなんか真剣に話し合ってて、そんで出てくるタイミング失って………」

「な、なるほど…」

 

 まあ、お嬢様は気付いていたみたいだけどね。流石は我が主と言ったところだ。

 

「そんなことより、早く準備をしましょう」

 

 ま、いつも通りの行動をとってるんだけどね、お嬢様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あっ。りんりんいた一っ!もーっ、ピアノ弾けたなんて驚きだよっ。何年もつきあってるのに、全然知らなかったぁ」

「あこちゃん……ごめんなさい……伝える機会が……」

「あっ、ちがうの。悲しいとかじゃなくて、びっくりしただけだよ?それにほら……」

「この子が憐子ちゃん?へ一っ、あこの友達っていうから、なんてゆーか……似たよーなタイプの子想像してたけど……」

「りんりんはすっごいんだよっ。ネトゲでは無敵なんだからっ!」

「ゲ、ゲームの……話は……あこちゃん……あんまり……!」

 

 白金さんと思わしき人のとこに全員が向かっていく。話している様子を見ていると、白金さんはどうやら会話が得意ではないらしい。だが、白金さんを初めて見た気がしない。どっかで会ったことが…ああ、第三話の時か。とまぁ、少しばかり遠くから見ているとお嬢様が話し始めた。

 

「それより音楽の話が聞きたいわ。燐子さんといったかしら?課題曲はあなたのレベルに合ってた?」

「友希那……さん……!あ……わ、わた……し……動画……と……その……たくさん……一緒に……」

「動画? 演奏レベルを確認したいのだけれど、それは難しかったという意味?」

「白金さん。同じクラスだけど、こうして話すのは初めてね。ピアノ、有名なコンクールでの受賞歴もあるそうですね。いつも学校では静かなので、こういった場に来るとは思いませんでした」

「……コンクールは……小さな……ころの、話で……わたし……ただ……」

(……ただ、 この人たちと……演奏したい。その気持ちだけで……わたし……来てしまったけど……)

 

 大丈夫だろうか、見るからに人見知りのように怯えている。でもこれからステージに立つのかもしれないのだ、これくらい慣れておいてもらわないと。

 

「宇田川さん。本当に大丈夫なんでしようね?」

「りんりんはあこの戦友で、大大大親友ですっ。だから、あこはぜったい大丈夫って信じてますっ……っ!」

「……あこちゃん……」

「でも、この子が演奏してるの、見たことがないんでしょう?」

「なくても、信じてますっ!!」

「……オーディションはあなたの時と同じで、1曲だけよ。それでダメなら帰ってもらう」

「はいっ! がんばりますっ!」

「あはは、あこ、頑張るのはあんたじゃないでしょ~」

「はい……わたし……が……がん……ばり……ます……」

 

 こうしてオーディションの準備に取り掛かった。今まで気づいてなかったのか、準備の時に僕のことを認識したらしく僕の方に会釈だけしてきた。結構分かると思ったんだけどなぁ。そして準備が終わり、オーディションが始まる。

 

「…はあ。期待に応えてくれることを、祈っているわ。いきますよ。白金さん、いいですか?」

「は……はい……」

(……! すごい……動画と合わせるより、ぜんぜん……)

(こ…この子……!何なの? 私、このキーボードに引き寄せられて……──いいえ。違うわ。この感覚……!)

(このじ……同じだ…!初めて四人でやったときと…!……それに……)

「──-♪」

(友希那……昔みたいに……)

(やっぱ……りんりんは無敵だねっ!)

(この音…聞いてるだけで楽しい!それになんだろう……この音聞いたことがある…何故だ?)

(……たのしい……!!ひとりより……ぜんぜん……たのしい……!もっと……弾きたい……わたし……弾きたい!!)

「なんか……すごかった。四人より……」

「「「「……」」」」

 

 全員が何も言うことができない。今弾いた感覚がいつもと違いすぎて驚きすぎている。聞いてるだけだった自分でさえ、何も言えない。

 

「私は問題ないと思いました。……ただ……因みに湊さんの意見は?」

「……なぜ?こんなこと、何度も……おかしいわ……」

「えっ。そ、それって……こ、こんなによかったのにダメってこと?な、なんでですかっ?」

「あ……。いえ。演奏は問題ないわ。技術も表現力も合格よ。ぜひ加入して」

「……あ……」

「や……やったあ──ー! ! ! !やっぱりりんりんはすごい! 最強だよ!!!!この短い期間でノーミスだったもんねっ!」

「あ……りがとう……でも……家で……動画と一、緒に……何度も……弾いてたから……」

「あ! あこがあげた練習動画のこと?あれで練習してたんだ!」

「…なるほど……妙に一体感があったとは思いましたか……」

「いいわ。あこ、燐子さん、リサ。あなた達も含めて、一度この五人でライブに出る」

「ラ、ライブ……!? うそ……」

「やったねー☆じゃあ……燐子ちゃん、いや、燐子。これからよろしく♪」

 

 やっとキーボードが見つかって一安心…と行きたかったところなのだが、何故か白金さんの顔色が悪い。何故だ?もしかして…

 

「……って憐子、どうしたの、慌てて。なんか顔色悪いよ!? あこ、ちゃんと説明した?」

「したよ~っ。バンドしまって!スタジオであこ達と一緒に、キーボード弾きに来てって!」

 

 ですよね。流石に来て早々言われても困るはずだ。それにあこちゃんの説明ではうまく伝わらないのも当然だ。

 

「あー、あこちゃん?」

「う~ん……あこ。その説明、ちよ~っと、足りないかも……?」

「わた……し、そこまで……考えて……」

「なら、もう帰って」

「!!」

「どんなに力があっても、やる気のない人間に、割く時間はない。他のキーボードを探すだけよ」

 

 やはりこうなってしまったか。確かに、やる気のない人はいても邪魔だと思うだけどものね。だけど…

 

「ゆ、友希那さ……」

「……っ……わ、わた……し……っ……っ!……きたい!」

「 !?り、りんりんの大きな声、初めて……」

「わ、わたし……みなさんと……弾きたいです……っが、がんばります……お、おねがい……しますっ!!」

「……そう。燐子。その気持ち、ライブで見せてもらうわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オーディションが終わったので全員に飲み物を配りに行く。紗夜さんには結局追求されたが、あれは家にあった模造品だと誤魔化しておいた(事実はのちに説明する予定)。まぁ、多少怒られてしまったけど。最後に白金さんのところに持っていく。

「お疲れ様です、良ければどうぞ」
「あ…ありがとう……ございます………。そういえば…」
「はい?」
「どこかで……お会いしたことって………」
「あー第三話辺りですね。駄目ですよ、夜に女の子一人で出歩いては」
「え、あ、はい……ありがとう…ございます………えっと…」
「あー自己紹介まだでしたよね。名護新一って言います、お嬢様…湊友希那様の執事をやっております」

そう言って一礼すると、白金さんは渡した飲み物を落とした。

「あ、あの、どうかしましたか?」
「…もし……かして………」
「…?」
「…もしかして………新…君……?」
「………え?」

壁の色を変えるとしたら?

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