青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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皆さんお疲れ様です!
決戦編後編です!最初っからDetermination Symphonyを聞きながら読むことををお勧めします!
残り少ない2022年ですが上げていきましょう!


Ten noise あなたと私のシンフォニー 

「紗夜さん、今のうちに全部」

「わかってます。ありがとうございます」

 

 私は今にも倒れそうな日菜を座らせて話しかける。名護さんが時間を稼いでくれている。ここでなにも言えなければ全てが水の泡だ。

 

「やっと、あなたと、あなたの目を見て真っ直ぐに話せる時が来たわ」

「おねー…ちゃん?」

「私はいつもあなたにコンプレックスを感じてきた。何をしても私とあなたは比べられる。それが嫌だったから、あなたがやっていないギターを始めた。けれどあなたは私の後を追うようにギターを始めて……あっという間に私を追い越していって………」

「そんなことないよ…っ!」

「いいのよ、日菜。あなただって気づいているはずよ。私より、あなたの方が………」

「それ以上言っちゃダメだよ!」

「いいえ、ダメよ。言わなければ、言わなければ前に進めない!」

 

 日菜が前に出してきた体を少しだけ後ろに下げさせる。それでも私は話を続けた。雨が降り始める。雨は私たちを濡らし、雨粒は顔を滴る。けれどそんなもの今はどうでもよかった。この子にちゃんと伝えられているだろうか。それだけが頭の中をずっと回ってる。

 

「………あなたの演奏を聞くのが怖かった。自分への劣等感、それに……あなたへの憎しみが増えていってしまうから。………前に、一緒に七夕祭りへ行ったでしょう?」

「うん、覚えてるよ」

「あの時、『日菜とまっすぐ話せますように』って書いたの」

「…!」

「星が叶えてくれるわけない。叶えるのは私自身なのだと、そう自覚もしていた。それから以前よりもあなたといる時間を増やすようにしていた。そうすれば短冊の願いも叶うと思ったから。けれどずっとあなたの音楽を聴くことからは逃げていた。だけどあの日、喧嘩をするちょっと前まで、少しだけ聴いていたの」

「えっ?」

「私にはない何かがそこにあることがわかってしまった。そして私の音楽を振り返ってみればそれは当然なかった。それが確信となった時にあなたが来た。………酷い話よね、自分にないものを妬んであなたを傷つけて、周りも巻き込んで、正直何もかもやめてしまいたいわ」

「おねーちゃんの……おねーちゃんの嘘つき!!!」

「え………っ?」

 

 日菜が泣き目になりながら大きな声を出した。予想も出来なかった反応に私は困惑する。

 

「おねーちゃん、約束してくれたじゃん!あたし達はお互いがきっかけだから勝手にギターやめたりしないでって!それが、すっごく、嬉しかったのに………!」

「日菜………」

「でもそうやってあたしは、知らないうちにおねーちゃんのことをたくさん傷つけてきたんだよね。本当にごめんね、おねーちゃん。でもね………あたしはおねーちゃんにギター、やめてほしくないよ。もし苦しいことがあったら私のせいにしてもいい。あたしのせいでおねーちゃんが苦しくなるんだったら………いいよ。あたしのこと嫌いに」

 

 言葉を遮るように日菜を抱きしめた。それ以上の言葉を吐かせたらそれこそここにきた意味がない。私がここに来た理由はたった一つなんだから。この子にそんな思いをさせるためにきたわけじゃない。

 

「それ以上は言わないで。あなたにそんな思い、させたくない」

「!」

「あなたは、甘いのよ。いつもすぐに私を追い越していくのに、私を待って立ち止まって………時には傘を刺して、私を苦しみから守ろうともしてくれた。……私は、いつしかあなたの優しさに、甘えていたんだわ」

「そんなこと」

「だから言わせて頂戴。ごめんなさい、日菜」

「っ!」

「私は、あなたが常に先を行くような現状を受け入れられるほどできた人間ではない。でも……いつか………あなたと並んで一緒に歩いていくことができるように……私は私だけのものを見つけたいと思う。そしてそれを誇りにしてあなたの隣に立ちたいの」

「おねーちゃん……!」

「また、あなたに先を行かれてしまったわね。………ありがとう、日菜。必ずあなたのもとへ向かうから、もう少し待っていて」

「うんっ……うんっ……!約束だよ、おねーちゃん!」

 

 和解することができた私たちは立ち上がり、安全なところに避難しようとした。名護さんが向こうで戦っているのを考え、なんとか安全なところを見つけたがそこには人ひとり分しかなかった。縛られていたせいでちゃんと動けない日菜にそこにいるようお願いして私は名護さんのいるところに走って戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか貴方に御相手して貰えるとは」

「戯れ言はいい。今日の僕は怒っている。止められるとは考えないことだ」

「私の研究の成果、人類最強の執行者に試せる機会などそうそうない!」

「まずはその口を塞ごうか」

 

 剣を振り下ろして走り出す。相手はウェザーと言っていた。天候を自在に操るのだろう。火の玉のようなものを撃ってくる。熱気の塊だろうか。そんなことは知ったことではないと避けて懐に入り込む。

振り上げる剣を防ぐのは結晶の盾。形的には雪の結晶、つまり雪をその場で生成して作り上げたものだ。

 すぐに引き返すと居た場所に二、三度落雷が落ちる。狙っていたのだろう。赤い雷の焼け跡には炎が立っている。当たるだけでヤバそうだ。

 

「今のを躱しますか、随分と反応がいい」

「そっちこそかなり戦闘に慣れてるみたいだけど。研究員じゃないの?」

「お戯れを。研究とは、まず自らを依り代にするものでございましょう」

 

 こいつは正気じゃない。そう確信を持った瞬間雨が降り始める。天候を操ったのだろうか、雨は次第に強くなっていく。この時期にこの雨の量と考えると自分よりも彼女達の方が心配になってくる。寒冷による体温の低下、更には長時間雨に当たることでの体力の低下。この二つが重なることが一番危険だ。だからこそ早くコイツを仕留める。

 

「流石は研究者、人の弱点をよくご存じで」

「いえいえ。それでも貴方は倒せませんよ」

「狙いは僕じゃないだろう?君のシナリオは大体読めた。だからその台本を引き裂こう」

 

 イクサカリバーをガンモードにして乱射する。その勢いで距離を詰めモードを変形をして斬りかかる。氷の剣や火の玉で対抗してくるがやはり分かる。この男は近接を得意としていない。

 

「このまま押しきろうとでも思いましたか?」

「なっ!?」

 

 気づいた時には踏み込もうとした足は固まっていた。天候を操るということは気温すらもその手の中というわけか。

 井坂はさっきよりも大きめの火の玉を撃ってくる。斬り落とす以外止める方法はないかと剣を構えるが火の玉の行き着く先は僕ではなく僕の足下だった。氷が溶けるのと同時に吹き飛ばされる。受け身を取ろうと地に足を着けた瞬間体に引き裂かれるような痛みが走る。

──赤雷だ。井坂の雷が僕を直撃した。おそらくこれを狙っていたのだろう。躱せなかった僕は地に伏せる。

 

「ぐっ……」

「直撃は流石にキツいですか……しかし世界最強の執行者がその程度ではないはず!」

「キッ、サマ……」

「では少し問答をしましょう。貴方は、もし彼女らのどちらかがドーパントになりドーパントを倒すということだけでなく当人も殺さねばならないとしたらどうしますか?」

「この状況で何を!」

「いえいえ、例え話ですよ。あぁ、勿論助かる方法は他にないという想定でお願いします」

 

 余計な話を持ちかけられたせいで立ち上がれるほどにはなった。剣を振り動けることを確認する。そして僕は答を出す。

 

「だったら僕が殺す」

「おやぁ?意外ですね。もっと情が深いかと思いましたがそういうわけではないと」

「回りに被害をもたらす前に殺すべきだ」

「ハハハハハハハ!流石は<朱雪の執行者>!女子供でも殺したという話は本当だったか!」

「どういうこと……ですか?」

「…………」

「知らなかったんですか?彼は<朱雪の執行者>と呼ばれる処刑人であり老若男女を問わず目標を必ず殺すという世界最強の執行者と謳われた男なんですよ」

「……本当なんですか?」

 

 僕達の間に沈黙が出来る。本当ならば嘘だと言いたいところだが場にいる人間と状況が悪すぎる。黙秘を貫くべきかと目をそらすと笑い声が聞こえてくる。

 

「失礼しました。言える筈もありませんよねぇ、自分は人殺しだなんて」

「……」

「名護さん、なんでさっきからなにも言ってくれないんですか?もしかして」

「紗夜さん。この男の言ってることは事実です」

「!」

「ですが僕は話したくありません。紗夜さんを困らせてしまうから」

「私を……?」

「さて、その口を閉じ──。いや、素っ首を斬り落としてやろうか?」

 

 イクサカリバーを強く握り締めて井坂に向かって歩く。今回の任務、正直撃退だけでいいと思っていたけど一つだけやることが増えた。

 次の一歩を踏んだ瞬間、僕は井坂の目の前まで距離を飛ばした。

 

「なっ!?」

「(今、あそこにいましたよね!?どうやって)」

「言っただろう、素っ首を斬り落とすって」

「本気になってくれたんですか!それは嬉しい他にありませんね!」

「喋るな、穢らわしい」

 

 イクサカリバーを振り上げ斬り払う。油断しているところを斬った故に防がれることはなかった。隙がある内に斬り裂いていく。横に一閃決めると転がっていく。ベルトにフェッスルを装填してナックルを取り出す。

 

「さ、流石だ。これ程とは……!」

『イクサナックルライズラップ』

 

 イクサカリバーを逆手に持ち辻斬る。止まった地点で後ろに跳び奴の頭上に来た瞬間イクサナックルをぶつけゼロ距離でブロウクンファングを撃ち込んだ。

 

「“Determination”」

「この感覚……そうか、やはりそうなのか!」

 

 訳のわからない言葉を残して井坂は爆発した。当然出てきた伊坂はメモリが排出されただけでまだ完全には倒れていない。しかし伊坂の目からは希望がまだ残っているように見えた。

 

「この感覚、あぁなんとももどかしい!」

「さっきから何を言っている」

「貴方は、完全体(・・・)ではない」

「!」

 

 気持ち悪いほどに感がいいな。おそらくはあれを使いこなした状態のことを言っているのだろう。だがそんなことをするつもりは毛頭ない。メモリを回収しようとすると伊坂が懐に手を突っ込んで形状の違うメモリを取り出す。

 

「何をしている。それを捨てなさい」

「残念ですが今日のところはこれを使ってお開きにしましょうか」

『ケツァルコアトルス』

 

 ガコンと重たい音がする。音がした方を見ると一羽の鳩が出てくる。何をしているのかと疑問を浮かべたとき伊坂は動いた。形状の違うメモリを鳩に向かって投げる。まさかと考えると悪寒は的中し、鳩は姿を変え巨大な化物鳥になった。

 

「この期に及んでまだ!」

「あれは複製品の未完成版ですよ。それでもなお美しいあの姿!さぁ、ここにいるもの全てを壊しなさい!」

 

 モンスター鳥は叫びながら飛来する。イクサカリバーをガンモードにして対抗するが大したダメージを与えられない。伊坂から気を離してしまったと考え辺りを見回すと既に奴の姿は無かった。これはあくまで逃げる算段だったというわけだ。しかしどうすればあの鳥を止めることが出来るかと考えると走ってくる音が聞こえる。

 

「おい新一、アレはなんだ!」

「京君、快斗君も」

「何なんすかアレ。モンハンかなんかですか?」

「ごめん、その辺の知識はまた今度教えて。簡単に説明すると伊坂が残したトンデモ実験体のプロトタイプ」

「なんだそれクソかよ」

「でっかい戦車みたいなの出てきたり化け物鳥が出てきたりって、ここ何サファリパークだっつーんだよ」

「とりあえずあれ倒すの手伝って」

「新一様、我々は如何なさいますか?」

「一条さん達は敵味方関係無しに避難させてください。被害は最小に納めるつもりですが念のためにも」

「畏まりました、行きますよ伊達」

「えー!俺も坊ちゃんとモンハンやりたい!」

「ふざけたことを言ってないで行きますよ」

 

 一条さんは先に走り去り伊達さんはふざけつつも指示通りに動いて消えていった。鳥の動きを見つつ三人で話し合う。アタッカー、タンク、サポーターの三つに分けて役割を決める。作戦を確認して配置につく。

 

〈ここからはOpera of the wastelandを聴きながら読むことをオススメします〉

 

「そういえば二人はNFOって知ってる?」

「SAOなら」

「FGOも知ってるっすよ」

「じゃあ今度やってみるといいよ。楽しかったから」

「暇があったらな」

 

 京君がマグナムを構えて鳥に当てると注意を引くように攻撃しながら走っていく。ある程度僕達から離れると盾骸骨を出して拡大しつつその場に構えた。

 

「それじゃあ快斗君お願いね。合図したらその時に」

「了解っす、それじゃあいってらっしゃい!」

 

 快斗君は両手をパンと合わせて紫色のマスを展開していく。鳥が京君を襲っているのを確認してその背中まで飛ばしてもらう。背中に僕が乗っていることに気づいたのか振り下ろそうとするがその前に翼を斬り裂く。

 

「上までお願いね」

「合点承知!」

 

 大きくなっていた盾骸骨で鳥を包んで上まで持ち上げていく。そのまま快斗君に準備ができてるかを確認すると既に全て終わっているとのことだった。ではそのまま飛ばしてもらおうと軽くジャンプすると着地する前に地面は無くなった。高度はどれくらいだろうか。辺りを軽く見ると下のスタジアムが自分の足と同じくらいの大きさに見えた。そのままベルトにフェッスルを装填して剣を構える。

 

『イクサカリバーライズアップ』

「二人ともよろしく」

「おうよ!」

「うっす!それじゃあ俺からいかせてもらいます!」

 

 骸骨に包まれた鳥の姿が視認できるようになった時、インカム越しに聞こえる指パッチンの音と同時に鳥にたくさんのナイフが突き刺さる。突然現れたナイフに悲鳴をあげた化物鳥はこちらに気づくことはない。

 

「流石だよ。このまま僕も斬る!」

 

 落下スピードを利用しながら化物鳥を縦に斬る。斬り心地は十分だった。着地寸前にまたインカムから声が聞こえる。

 

「それじゃあ〆させてもらうぜ!デッドエンドォォォ!!」

 

 着地して剣を振り下ろすと後ろで爆発する音が聞こえる。化け物の悲鳴も聞こえ、煙の方を見ると鳩が飛び出していった。煙が晴れた場所には砕かれた異形のメモリが落ちていた。まるで蝙蝠の羽でもついていたかのようなデザインのものだ。ケツァルコアトルス、大昔に生きていた翼竜の一種のことだろう。まさかそんなものの記憶までメモリに出来るとは想定外だった。あたりにこれ以上敵がいないことを確認した僕達は変身を解除した。

 

「フィー、お疲れ様っす」

「お疲れ様」

「全く、近未来戦争かと思いきや最終的にはゴッドイーターだったな」

「モンハンじゃないの?」

「純粋に武器だけで戦ってないからゴッドイーターじゃね?」

「まぁそんくらい大変だったってことっすよ」

「それもそうだね」

「名護さん!」

 

 この場にいないはずの声がすると思い振り向いてみると紗夜さんの姿があった。近づいてくるなり手を掴んでペタンと座り込んでしまった。

 

「大丈夫ですか!?怪我とかしてませんか?」

「よかった…あなたも無事でよかった……」

「避難してなかったんすね…」

「一緒に来てもらったのに私だけ逃げるなんて出来ません!」

「時と場合は考えましょうよ。いつもなら出来るのにどうして今日に限って……」

「あなたのおかげで日菜と仲直りすることが出来ました…本当にありがとうございます」

「いいえ、それは紗夜さんだからですよ。僕は何もしてません、強いて言うならヒントを与えただけです」

 

 手を握りまっすぐな瞳を見つめる。次第に紗夜さんは照れたのか目を逸らした。そろそろいいだろうかと手を離そうとするとなかなか離してもらえない。

 

「あれ、紗夜さん?」

「快斗行くぞ。このことを湊に報告しに行く」

「ん?証拠ないときつくね?」

「写真ならもう撮った」ニチャア

「やるやん」ニチャチャア

「ちょ、ちょっと待ってよ二人とも!これはそういうことじゃなくて、紗夜さんも何か言ってください!」

「いえ、その……」

「待ってよ、待ってよ二人とも!待ちなさい!待てって言ってるでしょーがぁぁぁぁぁ!!!」

 




今年中に前編のエピローグは出します!(残り二十四時間以内とかまじ?)
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