青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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Nineteen noise 人の造りし神

 ファガイアを倒した俺は先輩たちのところに帰ろうとすると拍手が聞こえることに気付く。辺りを見回すとまるで教主のような格好をした眼鏡の男が立っていた。

 

「お前、教師じゃないよな?」

「もちろん。下っ端との戦闘お疲れ様でした」

「その言い方ってことはファンガイアってことでおーけー?」

「よくお分かりで。私の名前はビショップ、チェックメイトフォーの一角」

 

 チェックメイトフォー……って事は幹部って事か。ヤバイな、今は人が一杯いるから派手に動けない。

 

「出来ればお帰り願いてぇけど」

「安心してください。私は戦いません」

「ならよかったぜ」

「代わりにこちらと戦ってもらいます」

 

 後ろに隠してた手を前に出すとサッカーボールくらいの光の玉を出した。それを中に浮かせて何かブツブツと言い始める。何かヤバイことをすると分かって切り掛かると光の玉からの衝撃を受けて跳ね返される。

 

「何やってやがる!」

「貴方が倒してくれた同胞と今までに死んだ同胞達のライフエナジーと遺片を集めてます。ほら、来ましたよ」

 

 空を見るとステンドグラスの集団が光の玉目掛けてやってくる。それは集まるとすぐに形を作っていき、最終的には学校よりもでかい化け物になった。完成すると叫びだし腕を振り下ろした。振り下ろされた場所は凹んでヒビが入っていた。

 

「さぁ、蘇りなさい我が同胞達よ。蹂躙しなさい」

「おいおいおいおい嘘だろ!?」

 

 化け物は腕を振り回して校舎を破壊するように動くのを見てどうにかしなきゃと考えた時、目の前に一本の光が見えた。化け物の片腕は地面にボトンと落ちた。俺と腕の間に黒い小さな影ができ、それは徐々に大きくなってやがて地面に足が着く。その姿を見ると新一さんの姿だった。

 

「脅威認定S、世界レベルの脅威と認定」

「アークなのか……?」

「大道快斗、ここは私に任せてください」

「待て、新一さんの体は」

「問題ありません。貴方はこの状況で何故動いていないのですか?」

「ッ!」

「人命の安全の確保が出来ないまま戦えばどうなるか分かっているでしょう」

「ちっ……」

「ですが時間を稼いでくれたことには感謝しましょう。──固有武装(ベリオット)

 

 ベリオットと言われた板を中心にして他の板がくっついて馬のような形をとる。それに跨ると槍を持って空を駆けていった。化け物と互角、いやそれ以上に戦ってみせるそれはもはや別次元の存在に見えた。途中で京と一条さんがやってきて状況を聞かれた。けれど説明する前に納得した様子だった。やがて機馬に乗ったアークが化け物の体を貫いて地に降りる。巨体な化け物は爆発しステンドグラスの破片は辺り一帯に雨のように降り注いだ。

 

「任務完了」

「お前は一体」

「どこまで力を隠し持っているのか、ですか?答える気はありませんよ」

「そこまで予測できるんだ。なら俺達が来た理由もわかるよな」

「もはや問答は無用でしょう。その心に刻むまでかかってきなさい」

 

 京がメモリを構えると奇妙な笑い声が聞こえてきた。どこから聴こえるのだと探すと白いスーツの男がこっちに向かって歩いて来ていた。ずっと下を向いているせいで顔は見えなかったが服装で誰だかは分かった。男はアークの前で膝から崩れ落ちるもアークの袖を掴んで笑っている。

 

「ついに、ついにその姿になりましたか!」

「伊坂深紅郎」

「お前、こんなところで何やってやがる!」

「私は貴方がその姿になることを心から待ち焦がれていた。ああ、やはり名護新一は運命から逃れられない!」

「五月蝿いですね、目障りです」

「そんな、私はこんなにも貴方を待っていたのに。この心は愛だとも言え」

「それは愛ではありません、ただの好奇心です」

「は?」

「貴方は自分の欲望のために他人すら犠牲にし自らの欲望を満たしていた。それはいつしか自己満足でしか生きられないようになるほどに。そして自らの研究にさえ飽きを感じていた貴方は見たことのない未知の化学と会うことだけが生きがいになっていた。だから現象がまだ不完全証明なガイアメモリや理論上でしか語られなかった私だけが貴方の生きる理由になっていた。違いますか?」

 

 アークの言っていることはさっぱりだった。けど論破しているのはわかる。論破された伊坂は狂ったように笑い始めた。

 

「そこまで言われれば仕方ありませんね。これを使いましょう」

「完成していたのですか」

「一条さん下がってろ」

「あれはもしや」

「ああ、あの時も見た化け鳥になる気だ」

「ここまで愚行を重ねるとは……呆れてしまいます」

「安心してください、貴方は私の鳥籠の中で一生研究させてもらいますよ!」

『ケツァルコアトルス』

 

 コウモリの羽がついたメモリを手にぶっ挿した伊坂は姿を化け鳥にアーク目掛けて突っ込んできた。アークはすぐに機馬に跨って空に上がる。それを追うように俺たちのいない空中でバトルが繰り広げられていた。それを見ている俺たちに校舎から出てきた紗夜先輩たちが声をかけてくる。

 

「大道さんあれって!」

「そうっす、あの野郎が来ました」

「今戦っているのは誰なの?」

「それは……」

「あれって………新君……!?」

 

 最初に気づいたのは白金先輩だった。流石というべきか何故見えたというべきか。それはそうと置きつつも今起きている事について話すしかないだろうと俺は話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 部が悪い。ケツァルコアトルスドーパント、伊坂は私のⅥの固有武装と互角の機動力を持っている。流石は太古の空を支配したものの力か。どちらにせよ今の状態では時間がかかってしまう。そうなると町への被害が考えられる。ならば致し方ないと断定。Ⅵの形態を解除して機動装置(コード)を唱える。

 

「聖者 悪に染まれども 清らかな姿にて 全てを滅ぼす者になりえん」

『機動装置確認〈聖魔結晶(ジブリール)〉展開』

「アァァァァァ!!」

 

 伊坂の声を無視してスーツを展開し着装する。ⅠとⅢをⅧに合体させ右手に、ⅡとⅦを組み合わせて左手へ、Ⅳを腰部へ、ⅤとⅥを結合させて背部へと装備し完全体になる。これこそ私の中の禁忌、体を瞬時に廃人にさせる可能性が高い最大の諸刃の剣。

 

「着装〈聖魔結晶(ジブリール)〉」

「あの武装って…」

「本当にこのようなことになってしまうとは」

「なんか知ってるのか?」

「ああなって仕舞えば止めることは不可能です。仮に助けられたとしてその時に新一様の体は」

「ッ!?」

 

 下にいる者達の声が聞こえる。実際に答えはしないが問題はない。タイムリミットまでにこの怪鳥を葬ればいいこと。左手で構えて撃つと飛翔して交わされる。けれどおそらくフェイクだと気づいていないのだろう。向かう先には私が剣を構えているのを知らない。分身などしていないただ飛んで移動しただけだ。嘴目掛けて叩き落とすように剣を振ると直撃して地面のほうへ落ちていく。その最中にうまく身を使ってまた空へと戻ってくる。そう出来る様に叩き落とした甲斐がある。

 

「ガアアアアアア!!!」

「そうですね、では終わりにしましょう」

 

 左手にあるⅦの機能を使って自らを中心とした四角形の結界を作る。ユニットをⅧを残して展開し発砲する。羽を、足を、体を貫く光線を番号順に回るように斬り裂いて行く。すべてのユニットを回収すると結界を解除する。真上にいる巨躯は頭上に降ってくるがそれを裂くように一閃入れる。

 

『Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ、全装(オール・ブレイブ)

 ────この力は人が偽神()を顕現させたもの

 ────────灰塵と化せ、《偽神の雷剣(イミテーション・ケラウノス)》』

 

 光の刃はケツァルコアトルスの体を裂き暫く空に上がると形を変化させて球状になった。指をパチンと鳴らすとそれは落雷のように形を変えて伊坂の身体を貫いた。貫かれた体は爆発し人間体が地に落ちる。メモリブレイクの機能が無い故降ってきたメモリを砕くと伊坂が苦しみ出す。彼の体は黒い塵となり最後は笑いながら消えていった。最後まで自己満足で解決したかと聖魔結晶を解除して通常状態に戻すと二人のライダーに囲まれる。

 

「あんな大技すぐに何発も出せないよな!」

「いいんですか?名護新一の体がどうなっても」

「それは困るがお前はそんなことしない」

「何故です?」

「お前が散々ヒントをくれたお陰で気づいたぜ。『体が死んでも動かせる』それはそうだ。脳ってのは要は電気信号で指示を出しているんだからな。けどな、それは脳細胞が生きているうちだけだ。死ねば心臓は止まり酸素が脳に行かなくなることから脳細胞は徐々に死んでいく。そうすればお前はその体を満足に動かせない、違うか?」

「この短期間でよくその答えまで辿り着けましたね」

「一応探偵なんでな」

「それで?結論としてこの体が滅んででも私を倒すのでしょうか?」

「っ……」

「その点は評価に値しませんね。では改めまして、貴方達の心に刻んであげましょう」

 

 鳴海京が答えを導き出したもののどうするべきか迷っている彼らをユニットが囲む。最悪それを煙幕にして逃げるというのも一つの手段ではある。発砲許可を出そうとした瞬間だった。

 

「やめてください!」

 

 水色の髪の少女がこちらに向かって走ってきていた。氷川紗夜、意外な人物の先頭への乱入は想定外だった。

 

「名護さん、こんなことはやめてください!湊さんが心配しています!」

「氷川先輩、逃げてください」

「馬鹿っ、おい氷川、何やってんだお前!」

「何故戦えもしない貴女がここに?」

「確かに私はこの場において彼らのお荷物かもしれません。しかし心は彼らと一緒です、だからこそ連れ戻しにきた」

 

 ──しまった。彼女は世界の脅威にはならない。そうなるとかなりまずい。おそらくバレる事にはなるがここで体を失うよりかは遥かにマシだと判断する。

 

「…彼女の愚行に感謝しなさい。今日はこの程度にしてあげましょう」

 

 ユニットを片付けてⅣを水平状にしてその上に乗って私はその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「なんで……」

 

 俺は疑問でいっぱいだった。何故先輩が戦場に来たら撤退したのか。先輩を見た時の目の開き方がとても人間らしかったこととか。

 

「おい、シリアスに考えるのやめろ」

「いや今はシリアスに考える場面じゃないの?」

「コイツは無理に考えない方が楽だろ」

「でもよ、アイツなんで紗夜先輩見たら帰ってったんだ?」

「それはおそらくアークの機能の問題でしょう」

 

 ハッと閃いたのか一条さんが口を開いた。どうやらアークは本当に世界への脅威しか対応しないらしい。俺たちは自分に対しての害であるためそれを排除するのは当然のことだが戦闘力のない者には攻撃はいっさいできないらしい。

 

「本当にロボットみたいだな」

「生あるロボットだからな、今は」

「ですがこれで」

「ああ、アイツがある程度自白してくれたおかげで戦いやすくなったぜ。最悪の場合消耗戦になるがその時はその時だ。俺が死んででも引きずり戻してやる」

「死んだら意味ないのでは?」

「テンプレートな質問どうも。ところがどっこい、俺の場合はちょっと違うんだよなぁ」

「じゃあ俺もそれまでにもう少し捕獲手段考えとかないとだよな」

「そうだな今の戦法だけじゃ正直心もとない。一条さんは他の方法を知ってるか?」

「前回の捕縛作戦では強力な結界でどうにかなりましたが今回も同じものを使ったらダメだったと本家が言っておりますし」

「すみません、私から提案があるのですがいいですか?」

 

 その提案を出したのはまさかの紗夜先輩だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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