青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

120 / 181
断章ということで少し短めです


第五話 断章/家族とは

 ある休日の午前中、僕達はファンガイアと交戦していた。ネズミの様な印象を受ける姿をして三体という小グループで出現した。グループ構成だったせいか連携が強い。

 

「コイツら絶対仲良し三人組とかだろ!」

「チームワークが半端ないのは事実だけどね」

「じゃあ俺たちもチームプレーでいこうじゃないっすか!」

 

 快斗君が単身で突撃していくのを見て僕と京君はサポートに回った。彼に対して突っ込んでくる一体以外の二体を足止めするように銃撃する。快斗君が対峙したファンガイアの前に黒いマントが立つ。

 

『ゾーン』

 

 マントからファンガイアの顔が見えて瞬間立っていたのは骸骨の仮面をつけた男。彼は手持ちのマグナムの銃口をファンガイアの胸に押し付ける。

 

「まずは一体」

『スカルマキシマムドライブ』

 

 銃弾に貫かれたファンガイアはステンドグラスとなって散らばる。残りの二体もこの調子で倒そうとすると一体が消えていることに気づくがもう一体が慌てていることから恐らく逃げたのだろうと考える。

 

「仲間に逃げられたか」

「でもお前は逃がさないぜ」

 

 背を向けたファンガイアは脱兎のごとく早い動きで逃げていく。逃がすかと追いかけると逃げたネズミは人質を取っていた。小さな男の子は泣きそうになりながらも頑張って堪えているのが分かる。

 

「チッ」

「テメェ何してんだ!」

「二人とも落ち着いて。快斗君アレ使える?」

「これっすね。だいたいわかりました」

 

 快斗君はゾーンのメモリを挿して展開するとその辺の石ころと子どもの位置を変える。当然質量が急に変わったことに驚いている。その瞬間を逃さず快斗君がトドメをさす。

 変身を解除した快斗君は男の子に近付いて頭を撫でた。

 

「よく頑張ったなボウズ。泣かなかったのはえらいぞ」

「……! 」

「あっ、いた!」

 

 声がする方を見ると母親らしき人が走ってくる。男の子は女の人の方へ走っていく。抱き締めあってるところを見るに親子なのだろう。

 親子にお礼をいわれた僕達はそのまま予定していた弦巻家の訓練場へ向かった。車の中では快斗君が珍しく静かだった。いつもなら何か話してくれるはずなのだが。

 

「どうしたんだお前」

「俺か?」

「そうだよ。さっきから随分と静かだからな」

「どこかダメージでもあった?」

「いや、そうじゃないんすよ」

「?」

「……家族ってああいうのなのかなーって」

「どういうことだ?」

「俺さ、赤ん坊の時に拾われたから親の顔知らねぇんだよ」

 

 一瞬耳を疑った。けれど何度頭の中で繰り返してもその言葉は変わらなかった。

 

「そうか……」

「あぁ。だからもし俺に母親がちゃんといたらどうなっていたのかなーって思ってよ」

「なんか……すまん」

「謝ることじゃねぇだろ。それに別に俺はこの生活に不満があるわけでもねぇしな。こころを守るって仕事があって、その上新一さんや京みたいな面白い奴らに会えたから結構気に入ってる」

 

 現状を語る快斗君の顔は清々しかった。それに合わせたのか京君は茶化していたがいつもの光景に戻ったような安心感があった。

 

「随分とスッキリしてるね」

「そうっすか?」

「じゃあこの際聞いておこう。お前はどうやってライダーになったんだ?」

「あー、これはちょーっと重い話だけどおけ?」

 

 僕と京君は顔を見合わせるが何も問題ないと言って快斗君から話を聞いた。

 

「俺には尊敬してる先輩がいたんすよ。このベルトも先に使ったのは先輩でユニコーンのメモリを使ってました。暗殺者として育てられてた俺はこころの護衛としてもっと強くなるためにライダーシステムの説明を受けました。けど先輩はそれを許さなかったみたいでその次の任務で教えてくれたっす。これは一歩間違えれば悪に堕ちる道具だって。勿論他の技術もそう言われましたけどあの時はかなり違いましたね」

「それは新一も似たもんだよな」

「だね。その辺りはかなり似てる」

「そんで任務先でライダーシステムを使った時先輩は負けました。相手はタブーとかいうメモリを使ったやつで先輩の死に際にベルトを託されてライダーになった。その後勝ち残った俺はライダーを続けてきた、ってわけっすよ」

 

 つまり快斗君は弦巻家の先代ライダーの跡を継いだということだ。普段ユニコーンのメモリをフィニッシュに使っていたのはそういう思いがあったからだろうか。そのまま先代の話をしていたがとてもいきいきしていた。話を聞くに父親のように尊敬していたらしい。

 やがて訓練場に着くと何故かハロハピがそこにいた。何故かって言っても弦巻家の敷地だから何の問題もないと言えばないのだけど。

 

「やっほー!」

「お前らなにしてん?」

「今日ここで快斗たちが遊ぶって聞いたから来たの!」

「遊ぶじゃなくて訓練でしょ。邪魔しちゃ悪いしあたしたちはこの辺で……」

「いや、いていいぜ」

「なんで!?」

「おい、京」

「今日のこともあったからな。コイツら使って救出訓練といこうぜ」

「それは良いかもね」

 

 快斗君は少し戸惑った様子を見せたが納得してくれる。そのままメモリ組で先に訓練を始めるのを見ていると黒服さんが来た。仕事柄か無表情なことが多いが少しだけオーラが違った。

 

「どうかしたんですか?」

「これから話すことはあくまで独り言として聞き流してください」

 

 いつも以上に真剣な声色に耳を澄ませる。でもそれはどこか悲しげなようにも聞こえた。

 

「弦巻家先代のライダーは本来名護様達と共に戦う予定でした。仮面ライダーユナイト……彼はそう自称しメモリが関係している任務をこなし海斗の教育にも携わっておりました。ですがご存知の通り彼は殉職し今は海斗がその役割を担っています」

「その話、何故僕に?」

「仮面ライダーユナイト──本名は大道克彦」

 

 驚きを隠せなかった。黒服さんの顔を見てしまうところだったが寸でのところで止まる。でも快斗君のお父さんを本人は知らないって言ってたしどういうことだ?

 

「先ほども話しました通り快斗は肉親の存在を知りません。その情報を握っているのはごく一部の人間です」

「ではユナイトはたまたま同じ苗字だったのですか?」

「いえ、彼は快斗の肉親です」

「じゃあなんでアイツは知らないんだ?」

 

 話を聞いていたのか京君が疑問を投げてくる。捨てられ拾われたというのが事実であれば何故そのようなことになっているのか。

 

「彼は同僚の女性と恋仲でした。その時の年齢は十五歳。同僚の女性も同様です。一夜の過ち………それが彼女に快斗を授けてしまいました。若さゆえの過ちというものでしょう。

 ですが当然弦巻家の黒服、しかもその年齢で妊娠したとなれば仕事に支障が出る。その上堕胎を勧められましたが彼女は押し切りました。しかしその条件として彼を弦巻家の黒服として育てることを提示されそれを飲み込みました」

「当時の当主様は随分酷えもんだな」

「当時は入れ替わったばかりで緊張していたからかもしれません。今は当主も快斗を実の息子のように扱ってくださってます。ですが黒服として育てる以上素顔は見せられません。当然捨てたという扱いなのですから見せる顔もありませんが」

「ですが名前くらいは」

「仕事中は常にコードネームですので」

「じゃあアイツは父親の存在も知らずに死なれたってことか」

「はい。快斗は何も知らないまま今の生活を続けています」

「いつか………知れる日が来るんでしょうか」

「それは分かりません。偶然が重なればあるかもしれませんがそもそもそのようなことがないようになってますので」

 

 本当の親は近くにいるというのにそれを知らずに過ごしている。きっと幸せなんだろう。この人も一番近くで快斗君のことを見守ることが出来るからあの条件を飲んだんだろうし。

 僕は立ち上がって快斗君のところに向かった。彼はハロハピの人達と一緒に手を振ってくれている。

 

「何話してたんすか?」

「日頃の快斗君の様子について」

「うげっ、なんか言ってました?」

「すごくいい子だから仲良くしてくれって」

「快斗はすっごくいい子よ!」

「そうだよ!かいくんはすごいもん!」

「急に褒められると照れるっすね」

 

 快斗君は顔を少し赤くしながらも笑っていた。その後僕も救助訓練をさせてもらい今日は解散となった。車に乗る際に黒服さんが今日の話は気にしないでくださいと伝えてくる。軽く返事をして車に乗り込むと快斗君が声をかけてくる。

 

「ちょっとだけいいっすか?」

「どうかしたの?」

「もしよかったらなんすけど新一さんたちの家族の話聞かせてもらってもいいっすか?」

「あー別にいいけどそんな面白くねぇぞ?」

「僕もいいよ」

「ありがとうございます」

「じゃあ俺から話すか」

 

 腕を組みながら京君は話そうとするが何を話すべきなのか迷っている。

 

「なんかねぇの?」

「いや、マジで何を話すべきかなーって」

「そういや京君は一人暮らしだけど親御さんから許可は?」

「もちろん出てるぜ。ちっとばかしだが裕福な家だしな。親父とおふくろは逆に緩すぎんじゃねってくらいだ」

「怒られたりしたことはねえの?」

「そりゃあるに決まってんだろ。探偵業始めた時は危ないからやめろって普段考えられないような顔で言われたしな。けど目的のためにさせろって言ったら許してくれた」

「やっぱ怒られたりするもんなんだな」

「まぁな。新一はねえのか?」

「あるといえばあるよ」

「あるんすか?全然そういう風には見えませんけど」

「好き嫌いするなーとか危ないことはしちゃダメだぞーって」

「そんなことあったんすか!?」

「幼少期だけどね」

 

 あーとか言って納得している二人。怒ってくれる人がいたり心配してくれる人がいる。それだけでも嬉しかったと話すとそういう存在が家族なのかと聞かれる。この時僕はどう返すべきかわからなくなった。

 

「一概にそうとはいえないが人の捉え方次第だろ」

「そういうもんなのか?」

「そういうもんだ。世の中人類皆家族とか言ってる奴がいるみたいだしな」

「強すぎだろ」

 

 ほんとだなどと言いながら車内は賑やかになっていた。そのまま送り届けてもらった僕は執事の仕事をこなした後自室に戻る。そして自分の家族を振り返りながら就寝した。

 

 

 

 

 

 




仮面ライダーユナイトはユニコーンとナイトを掛け合わせたものです。
次回からネオアスペクト編始まります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。