それでは最新話をどうぞ!
りんりんが入ったあの日以降時間の経過が早く感じられる。そのおかげでイベント開催日まであと少しになった。本番も近いことからみんなピリピリした雰囲気になっている。だが本番に近づくに連れて、一回やるごとに完成に確実に近づいている。そしてその休み時間、りんりんに呼び出された。やはりあのことを気にしているのだろうか。もしそうであれば本当に申し訳ない。
「あ、あのね………新君………」
「あの、もしあの事だったら本当に…気にしなくて良いからね?」
「…う、うん………えっと………」
「?違うの?」
「うん………実はあの日、忘れ物……したでしょ?」
「え?ああ、そういえばスマホ忘れたね。翌日はありがとね」
「うん………」
あの日、帰った後にスマホを忘れたことに気づいた。取りに行こうと思ったが時間も遅かったので翌日に取りに行くことにした。だが、練習の時にりんりんが持ってきてくれて助かった。でもその話以外ならなんだろう?
「でも、それじゃないなら……どの話?」
「その………実は、あの日届けようとして………」
「そうなの…?ありがとね、でも女の子が夜歩いちゃダメだよ」
「う、うん………って、そうじゃなくて!」
「あ、うん」
「あの日…怪物…見かけたの……」
「本当!?」
「うん…だけど白っぽい人がすぐに倒しちゃって………その人追いかけたら消えてて……でもそこに新君がいて………」
しまった………あの時は放心状態に近い状態だったから周りを見ずに変身解除したんだっけ。本来人に見られたくはなかったのだが………。もし全部バレたのだとしたら周りの人に情報が入ってしまうかもしれない。迷惑をかけたくないから黙っていたのに、さらに迷惑をかけるような状態に入るのだけは勘弁して欲しい。交渉して黙ってて貰うしかないか…。
「それでね…聞きたいことがあるの……」
「…うん………」
その言葉を聞くのに固唾を呑んだ。次の言葉で全てが変わってしまう、そんな予感がした。それだけは絶対に阻止したい。
「新君って………」
「………」
「…あの白い人と……何か、関係あるの?」
その言葉を聞いた瞬間心に安堵が訪れた。よかった…完全に知られた訳ではないらしい。でも安心している場合ではない。何か都合の良いことを言って誤魔化さなければ。
「え、えーっとね………そう!実はあの人知り合いなんだ!」
「知り合い………?」
「そ、そう!怪物が出てきたときに倒してくれるんだ!だから…その……僕はたまたまそこにいただけだよ!」
「そ、そうなんだ………」
どうやら安心してくれたらしい。上手く誤魔化せただろうか。詮索するようなことをしないを祈るしかないか………。
「…良かった……もし新君が戦ってたら………どうしようかと………」
「!?ま、まさかそんなこと……そ、そんなことより時間だよ!」
「う、うん!」
そうして先に部屋に入ってて貰う。…あっぶねー!バレるとこだった〜………昔から感の良いところあること忘れてたなぁ…さて、流石に長い間何も言わずにいないと不審がられるのもおかしくはないので戻るとしますか。でもこの時からある考えがあった。そう、「自分の正体が気付かれるのも、時間の問題だ」と。
(はぁ……明日はついにライブかあ……)
ライブの前日、教室にいたアタシは緊張と不安に包まれていた。バンドの中で一番技術が低いのはアタシだからだ。今のところは何とかなっているけど、本番で失敗しないかが不安だ。そうやって悩んでいると、水色の髪の子が話しかけてきた。
「ねーリサちー。うちのお姉ちゃんとバンド組んだってほんとー?」
「えっ、お姉ちゃんって……あ、そっか。ヒナって双子なんだっけ。一一ってあれ? 紗夜の名字ってたしか……」
「そー、氷川紗夜。あたしのお姉ちゃん。あたしには何にも話してくれないからさーいろいろ教えてほしーなっ」
「?いいけど……なんで紗夜はヒナに話さないのー?」
「んーー、まあいいじゃんそれはっ。それよりバンドしてる時のお姉ちゃんってどんな感じ? 楽しそう? 嬉しそう?」
「えっ? う、うーん……いつもと、変わらないんじゃないかなあ……?」
そのあともヒナと話して授業を受けて、最後の練習をして前日が終わった。
そしてついに当日になった。時間ギリギリになったけどなんとかcircleに着くと燐子とあこがいた。
「うん。ついに当日だねっ。ほらりんりん、このボード見て元気出して!あこ達のバンド名だよっ!」
「Roselia……そっか。友希那、色々考えてたけどこれにしたんだ」
「よーしっ! Roselia初ライブ! !行くぞーー!お一一一っ!」
「……っ! おー……」
「って、えっ?りんりんだけじゃなく、リサ姉も緊張……」
「し……っ! してない、してないよ~……ダンスの大会でも一緒にステージ出てるじゃん?あはははは……」
(……はぁ。とかいって、参った……めちゃくちゃ緊張してるじゃんアタシ……)
「ほらほらいくよー!時間ぎりぎり! あの二人に怒られちゃう!」
楽屋にてお嬢様達と共に待機していると、予定より少しだけ遅れてりんりん達がやって来た。
「1分35秒の遅刻よ」
「ご、ごめんごめん!お一っ! って気合い入れてたからさ☆二人とも一緒にやりたかったな~」
「馴れ合いはやめて。気持ちの整理は個人で済ませてきてもらわないと困るわ」
「……っ!う、うんっ。大丈夫だって。それくらいちゃんとできてるよ~」
(本当かな……アタシ。ベースをやらなくなったのだって、友希那と釣り合わ越いと思ったからで……)
お嬢様の言葉を聞いて、珍しくリサが落ち込んでいるのが見えた。いつもだったら何言われても落ち込まないはずなのに今日に限っては違った。ライブ前なのに落ち込むのはあまり良くないと思いフォローに入ることにした。
「でも、皆で気合いを入れると、結構変わるものだと思いますよ?」
「……そうかしら?」
「まぁ、おそらく」
そうやってフォローし、リサに合図を送ると「サンキュー」と言うかわりにあちらも合図を送ってきた。でも、お嬢様の反応は冷たいものだった。まぁ、そこは仕方ない事にしておこう。
「わ、わ……たし………もみなさんと……演奏するって……決めたから……が、がんばり……ます…」
「口ではなく、音での証明をお願いね」
(……バンドで技術が足りないのは、アタシだけ。……やるしかない。結果を出して、友希那の隣にいるんだ……!)
「Roselia/闇のドラマー! ! あこもがんばりますっ!Roseliaって響きがカッコイイ……あ、そういえばなんでバンド名、Roseliaなんですか」
「蕎薇のRoseと、椿のCamelliaからとったわ。特に、青い薔薇………そんな、イメージだから……」
「イメージ……?」
(青い薔薇……花言葉は『不可能を成し遂げる』……だっけ……)
全員でセットリストを確認していると時間になっている事に気づく。
「おっと、皆さんそろそろ時間ですよ。準備お願いします」
「えぇ、それじゃあ行くわよ」
「僕は観客席から見てますので、皆さん頑張ってくださいね」
「うん、じゃあね新一ー!」
「うん………!」
「ラスト、聴いてください。 『BLACK SHOUT』」
「ワァアアー----!友希那一ーーーーー! !」
「高校生でこのレベル!Roselia……この子たち話題出ますよ。今月のPV数、トップも狙えるかも!」
「今までどこのスカウトも受けなかったが……友希那は、バンドが組みたかったのか……?」
(わーいっ! ほらもっと見てっ!Roseliaって超一っカッコイイでしょっ!)
(不思議……あんなに緊張してたのに……わたし……すごく……楽しんでる……こんな自分がいるなんて……知らなかった……)
(……やっぱりこのバンドには、 何かある。ひとりの時より、ずっと上手く弾ける……!)
(今井さんのベース、また上手くなってる。宇田川さんも白金さんも……そしてこの前よりも、もっと『音』に引き寄せられる……!)
(一一行けるかもしれない。このバンドなら!)
ライブが終わった後、観客の話の中ではRoseliaの話で盛り上がっていた。当然のことだろう。高校生にしてあれほどの実力だったのだ。それに巷で有名なお嬢様、紗夜さんまでいるとなると話が大きくなっていくであろう。楽屋の通路で待っていると、片付けを終わらせてきたであろうお嬢様が出てきた。
「すっごかったね~っライブハウス出たらキャーって!初めてのライブでもうファンができちゃったっ」
「あこちゃん……あの人たち……たぶん……さっきのライブ見てた……」
「あれ位で騒がないでちょうだい。私達が目指してるのは……」
「皆さんとても素晴らしい演奏でした。練習の時よりも迫力あって凄かったですよ!」
「本番なのだから当たり前でしょう」
「…それもそうですね」
お嬢様はいつも通り冷静だった。一つの山を超えたのだからもう少し喜んで良いだろうに。でもこんな事で喜んでられるほど、お嬢様の目標は低くはないのだ。だから自分もあまりそういった表情は出さないようにしよう。
「それにしても、お腹減ったよお~~」
「「……」」
「ははっ☆ドラムは特に全身使うもんねー♪あっ、じゃあさ一初ライブの記念に、みんなでファミレス、行っちゃう?」
「バンドに必要なのは技術と、目標に対する揺るかない意思だけだわ。他のものは……」
「わかったわかった! でもさっ!今のアタシ達には、 技術と揺るがない意思を維持するための活力が必要だと思うんですけど♪」
「右に同じで。せっかくですし行きましょうよ」
「「……」」
お嬢様と紗夜さんを説得した僕たちはファミレスに行くことにした。それぞれが席について料理を注文した後、リサとあこちゃんが雑談を始めた。
「あははっ! お腹いたい!あこ、もっかい、もっかいリクエスト!」
「「……」」
「この……闇のドラムスティックから……何かが……アレして、 我がドラムを叩きし時、魔界への扉が開かれる!出でよ!『BLACKSHOUT』!」
(ファミリーレストラン……ふだん来ないけど………たのしい……)
「リサ、少し笑いすぎだよ。気持ちは分からなくは無いけどさ」
「ほらーっ。友希那も紗夜も初ライブの記念なんだからさ、二人ともなんか話して話してー?」
「湊さんが、こんなところに来るのは意外でした。私はこういった、得体の知れない添加物系のメニューは受け付けませんので」
「!……私だって普段は来ないわ。用がないもの」
その言葉を聞いた瞬間少しだけ悲しく思ってしまう。「用がないもの」。こちら的には来たいんだけどね……
「新一?どうしたの?」
「え、何が?」
「いや、なんか少し悲しそうな顔してたから」
「あー。いやね、お嬢様をたまにこういう所に連れて行こうとはするだけどさ、こういう所興味ないって拒否するから………レストランとかの味を勉強しようにもあまり機会が無いってことを今一度知らされたから……」
「あー、なるほどね。確かに友希那はこういう所興味なさそうだもんね」
「興味ないわ。それにリサ。私がしたいのは音楽の話だけよ」
「同感ね……。でも、ここはともかく、今日の演奏はよかった。今井さん、あなた、上手くなったと思う」
紗夜さんが相槌と共にリサのことを褒めた。今までそんな事はなかったのに急にどうしたのだろう。
「.........!え……。あ、ありがとう……」
「そうね。この短期間で、Roseliaのレベルは確実に上がった。あこ、燐子。あなたたちもよ。だから、本当にこの五人で本格的に活動するなら、あこ、燐子、リサ あなたたちにも、そろそろ目標を教える」
「……! 友希那……」
「…そうですね。私はそのために湊さんと組みましたから。確かにここで、意思確認をすべきだわ」
「とうとうこの時が来ましたか……」
「この……時………?」
お嬢様の言葉に反応した僕にりんりんが反応した。このことは自分が話すより当の本人達に話してもらったほうがいいだろう。
「まぁ、聞いてみたほうが早いと思うよ」
「FUTURE WORLD FES.の出場権を掴むために、次のコンテストで上位3位以内に入ること。その為にこのバンドには、極限までレベルをあげてもらう。練習メニューはあとでメールするわ。音楽以外のことをする時間はないと思って。ついてこれなくなった人には、その時点で抜けて貰う」
「ふゅーちゃー」
「わーるど……ふぇす……?」
疑問を立てたりんりん達にお嬢様ははっきりとものを言った。
「あこ、燐子、リサ。あなた達、Roseliaにすべてを賭ける覚悟はある?」
さてさて、これが終わったということは………次回あたりから後半に入(予定)ります!
なので楽しみにしていて下さい!この機会にお気に入りに登録、感想頂けるととても嬉しいです!
それでは次回をお楽しみに!
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