青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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すみません今月も遅くなりました……言い訳は(今回は)しません。なので長話もしない………最新話どうぞ!


第十四話 私にとっての音楽

「でね、燐子が衣装作れるって話になって。Roseliaの世界観っていうか、演奏を伝えるためにもいいと思うんだよね」

「なるほど…ってりんりん、服作れたんだ」

 

 今日のお茶会では雑誌のことが話題になってたらしい。中でもその時の衣装が主な話になったとか。他の人とは違い、リサの服装だけが浮いてる感じが強かったらしい。まぁ、誰がみても他の人と雰囲気が違うように捉えられるだろう。そこで燐子が衣装を作れることがわかり、今衣装についての意見を交わし合っていたらしい。

 

「え、新一知らなかったの?」

「そりゃあまあ、遊んでいたのは小さい頃だったからね」

「そっかー、あ、友希那はどう?」

「……好きに、したらいいわ……」

「ヘヘ☆ ありがとー!」

 

 リサがお嬢様から許可を得たことを他の人に連絡しようと携帯電話を取り出した。するとお嬢様の方を見てまた声をかけてきた。

 

「……ん? 友希那顔色悪くない?」

「……別に。いつもと変わらないわよ」

「……そっか。なんかちよっと……一瞬……迷ってるように見えたんだけどな~気のせいか、ごめんごめん☆」

「……例え何があろうと、私は今まで通り、自分の音楽を信じて進むだけよ(私にとっての音楽……それはRoseliaだけじゃない。Roseliaはフェス、ひいてはコンテスト出場の手段だったはずよ)」

「迷うことなんてないわ。何をしてでもFUTURE WORLD FES.に出る。それしか、考えてないから」

 

 質問に対して答えたお嬢様はいつもと違った。いつもなら淡々と話すはずなのに、今日は言葉の一つ一つに迷いがあるように感じられた。やはりさっきの事が気にかかっているのだろうか。

 

「(友希那が聞いてもいないこと、こんな風に話すのって変…)…ん。わかった! でもさ、友希那。本当にヤバい時は、ちゃんとアタシか新一に話してね?」

「………」

「アタシ……最近の友希那見てるとよく、思い出すんだよね。あの頃のこと。友希那のお父さんと一緒にさ、色んな曲演ったよね。友希那はあの頃から歌上手くて、アタシは……弾けるようになるまでめちゃくちゃ時間かかって。でもいつも、楽しかったな……」

「昔の話はやめて。もう行くわ……やることがあるから」

 

 そう言葉を吐き捨ててお嬢様は家に向かって行った。正直、今日のことを悩んでいるのだろう。とりあえず家に戻ったということはお腹を空かしているだろうと、家に戻ることにする。

 

「友希那……」

「お嬢様…それじゃあリサ、後のことはよろしくね」

「あ、うん。任せといてー!」

 

 リサとの挨拶を済ませて急いで家の中に入る。すると、お嬢様がリビングのドアの前で立っていた。何か考えている様子ではあったが、首を突っ込んでもしょうがないので晩ご飯の準備をすることを伝える。

 

「……」

「お嬢様、これから晩ご飯作りますのでお風呂入ったりして時間を潰しててください」

「要らない」

「ですがお嬢様、ご飯はしっかり摂らなければ体調にあまり良く……」

「要らないと言ってるでしょう」

「……申し訳ございません。ゆっくりお休みくださいませ」

 

 そう謝罪するとお嬢様は自分の部屋の方へ行ってしまった。こうなってしまうと食事を作るどころじゃないので、洗っておいた食器などを片付けることにする。片付けをしている最中に醤油瓶の中身が消えていることを目にする。予備の醤油を確認すると運の悪いことに切らしていた。今日はスーパーに行っていなかったことを思い出し、醤油を買いに外に出ることにする。スーパーまで少し遠いのでイクサリオンに乗って移動する。少しばかり暗い夜道を走っていると、背の高い人間がゆっくりと車道に出てくるのが見えた。遠かったので急ブレーキを踏むことはなく、ゆっくり止まることができた。その人が渡り切るのを待っていると、急に方向をこちらに変え、急ぎ足で歩み寄って来た。バイクの前まで来ると片足をバイクに乗せ、静かにこちらを見つめてきた。勢いよく置いて来たものだから驚いてしまったが、ポーカーフェイスを保っておく。目の前にいる人物の特徴を捉えて時間を潰すことにする。帽子を深く被っており、顔はよく見えなかったが体格的に男であることがよく分かった。しばらくすると男はこっちに向かって声をかけてきた。その声はあまり穏やかなものではなかった。

 

「やっと見つけたぞ………」

「はい…?」

「…兄貴の……兄貴の仇ぃ!」

 

 その声と同時に男は姿を変え、ファンガイアの姿に変わり果てた。突然の襲撃に反応が間に合わず、バイクから引きずり下ろされてしまった。なんとか受け身を取りベルトを腰につける。すぐさまイクサナックルを装填して変身する。するとファンガイアは叫びながらこっちに向かって攻撃を仕掛けてくる。

 

「あの時の恨み、そのままくれてやる!」

「待って!君とは初対面のはずだ!」

「ああ、そうさ!だがしかし、兄貴は見たことあるはずだ!同じ姿をしているから忘れたとは言わせないぜ!」

 

 そう言ってファンガイアは武器のような腕を振り下ろしてくる。その腕を受け止めるにイクサカリバーで防ぎ、話を続ける。

 

「っ!……ん…?待てよ、どっかで見たことがあるような………」

 

 そう言って今の状況を続けているとある姿を思い出す。いつかの日の帰り道に現れた、ヒトデのようなファンガイア。今、その姿と同じ姿をしたファンガイアが目の前にいた。

 

「もしかして……あの日、ワンパンしたファンガイアの兄弟!?」

「テメェ…ワンパンつったか!」

「あ、ごめん。でも記憶が正しければ確か、イクサカリバー(これ)横に振っただけで倒されてたような………」

「っ!確かにワンパンだけどよ………俺はそうはいかねぇぜ!」

 

 と言いながら遠距離攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を回避することは出来ずにまともにくらってしまう。膝をつくまいとイクサカリバーを地面に突き刺して立つと。ファンガイアがこちらに迫ってきた。

 

「なんだ、所詮その程度だったのか。あーあ、もっと強いの期待してたんだけどなぁ。こんなんじゃいじめてもつまんねぇ」

 

 そう言葉を吐き捨て、僕の体を強めに蹴飛ばした後に奴は姿を消した。それを確認した僕は頑張って起き上がり、変身を解除した。こんなに苦戦したのは初めてだった。悔しさとある疑問を抱いた。その疑問とはあの時のことだった。何故僕は剣を横に振っただけ(一瞬)であいつの兄を倒せたのか……その事だった。正直にいうとその時はどうでも良いとしか考えてなかった。しかし何故ファンガイアを一振りで倒せたのかが不思議でしょうがない。いつもならば戦って倒すはずなのに、あれは戦ったとは言えない…。というか体は自分だけど自分じゃない(・・・・・・)感覚だった気もする。………とにかく今は今できることをしなきゃ。そう思って僕はバイクに戻った。その時だった。人に声をかけられた。その声は聞き覚えのある声だった。二、三年近く聞かなかった声。その声の方を見るとそこにはスーツを着た男の姿だった。

 

「新一……様?」

「……貴方…は」

「私でございます。一条でございます!」

 

 その正体は一条さんだった。一条さんは昔、財閥にいた頃にお世話になってた人だ。言ってしまえば用心棒…のようなものだろう。だが、何故こんな所にそんな人がいるのかが分からない。何故ならあの時に彼も向こう側に行ったはずだからだ。

 

「何故……こんな所に……」

「それは、買い物に来ていて……それより新一様こそ、何故こんなにボロボロなのですか!?」

「そ、それは……」

「あまり深い傷は負ってないようですが、貴方のような方がこのような格好してはなりません。今すぐ着替えを…」

「いえ、大丈夫です。それに、今の僕はただの庶民ですから」

「いいえ、そんなことはありません。例え庶民だろうと私の主は新一様だけですから」

「その言葉、凄く嬉しいです。ですが今は、今は違うのです………」

「……新一様がそうおっしゃるのならば」

 

 現状を察してくれた一条さんは真剣な顔をして受け入れてくれた。本当に申し訳ない。

 

「ありがとうございます。それでは僕はこれで………」

「あ、お送りします!それに話すことが……」

「…今はやることがあるので………」

「…失礼しました。それでは今度お時間を頂けないでしょうか?」

「……何か、あったんですか?」

「いえ、相談したいことがあるだけなのですが。よろしいですか?」

「……わかりました。これが僕の連絡先です」

「ありがとうございます。それではお時間いただける時に」

 

 お辞儀をしてきた一条さんに対して会釈をして、ヘルメットを被り、バイクを走らせた。走っている最中に頭の中を二つの事が過った。一つは、あの一条さんが相談を持ちかけたこと。もう一つは今のままでは奴に勝てないということ。その事を考えながらスーパーに着くともう既に閉店時間を過ぎているということに気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つ。……おーい、友希那あ~……って、反応するわけないかあ……(中学くらいまではこうやって、ベランダ越しによく話してたんだけどな……最近は……ねえ、友希那。カーテンの向こうで、本当は何か悩んでるんじゃないの……?)

 

 お父さんが全部捨てた音楽雑誌……内緒で1冊だけ私がもちだした……私は絶対、この頃のお父さんを超えてみせる。そして……お父さんに、また笑って欲しい……だから……迷ってる場合なんかじゃ……!

 気持ちを切り替えようとした時、自分のスマホが鳴り出した。その画面を見てみるとそこにはさっき会った事務所の人の名前が映し出されていた。

 

「……はい、もしもし。……ええ、そうですが」




私は…どっちの道を選択するのが正解なの………

次回 「孤高のボーカリスト」








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