青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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長い間お待たせしました。先にご連絡させていただきます。これから先、更新速度が一気に遅くなります。楽しみにしてくださってる皆様大変申し訳ございません。ですが月2回というのは変えませんのでご安心ください。これから先も「青薔薇の歌姫と白き聖騎士」をよろしくお願いしますm(_ _)m
それでは最新話どうぞ!


第十五話 孤高のボーカリスト

 その日、夢を見た。あの事故(・・)の夢を。始まるところはいつも同じ、辺りが火の海と化してるところから。辺りを見回すと沢山の人が倒れている。瓦礫に潰されている人、体が焼けている人、体の一部が無くなっている人、色んな人が倒れていた。その中には自分の父親と母親もいた。すぐに駆けつけるといつも同じことを言う。「お前は生きろ」と。声をかけようとしても声が出ない。そしていつもと同じように二人は眠っていく。それを見ていつも動けなくなる。自分が弱かったからこうなってしまった。その事実を突きつけられる。そしてその元凶の方を向くと、その顔はこちらを見つめてくる。それを睨むだけで何もしない。いや、何も出来ないのだ。恐怖で体は動かず、奴を睨むことしか出来ない。そのまま奴はこちらに向かってくる。そしてその手に持つ武器をこちらに振りかざしてくる。それに立ち向かおうとすると目の前に影が出来る。瞬きをするとそこには胸を貫かれた妹の姿があった。捨てられる様に振り払われた妹はこちらに倒れ、力が抜けていく。必死に呼びかけるも返事はいつも同じ。「逃げて」の一言だけ。そして妹は呼吸すらしなくなり、もう動くこともなかった。殺した奴を見るとそいつは笑って帰っていく。その景色、後ろ姿、笑い声がいつまでも忘れることは出来ないだろう。それを嘆く瞬間にいつも目が覚める。この夢を見る度にいつも胸に誓う。今以上に強くならなくてはと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「お待たせ、りんりんっ。人多いねぇ。今度から待ち合わせ、他の場所にしようかなぁ」

「……っ。だ……大丈夫だよ……」

 

 衣装が作り終わった次の練習の日、私はあこちゃんと待ち合わせをしていた。駅前だからかやはり人が多かった。だけど、苦手だった人混みがキーボードを抱きしめてるとあまり気にならないってことに気づいた。

 

「そ……それより……衣装、あこちゃんのだけ、先に作ってみたから……」

「えっほんとっ! !やったー! じゃあ早くスタジオ行かなきゃ。メンバーのみんなにも見てもらおうっ」

「うん……気に入って……もらえると……いいな……」

「りんりんのデザインなら間違いなしだよ!!よーし、ついにバンド衣装だあ!燃えちゃうなあーっ!……って、ん? あれって……?」

 

 あこちゃんが見ている方を向くとそこにはスーツの女性とそれについて行く友希那さんと新君の姿があった。今の時間でも練習まであと少しなのに2人は何をしているのだろう。何か用事があるのだろうから私たちは先にスタジオに行こうと言ったところ、あこちゃんに押し切られてこっそりあとをつけることにした。

 

「あ、あこちゃん……やめようよ………」

「りんりん、し一っ。友希那さんに気づかれちゃうよっ」

 

 物陰からこっそり話していると足を止めた新君がこっちの方を見るように振り返った。急いで隠れてしばらく待機していると止まってた足音が再び聞こえ始めた。

 

「……!!き、気づかれて……ないかぁ。ふぅ~。セーフ」

「……勝手にあとつけるなんて……だって、もうすぐ練習始まる時間だよ?」

「あの友希那さんが、練習に遅れてまで会うあのスーツの女の人……何か脅されてるとしか思えないっ。友希那さんをしつこくつけ回す、ストーカーかもっ!!」

「あこちゃん……!あこちゃんの方が……聞こえちゃう……」

「わっ。入ったの豪華なホテルだよっ。あこ達も行ってみよう!!」

 

 豪華なホテルに入れることなど不可能だと思い、あこちゃんを止めようとしたけど、何故か普通に入れてしまった。ロビーの隣にあるカフェテリアの椅子に座っているのが見えたので隠れて聞くことにした。

 

「ねっ。ここからじゃ聞こえないから、ちょっと近づいて……」

「あこちゃん……あんまり……こういうこと……よくないよ……」

 

 それに、あのスーツの人の雰囲気、とてもストーカーって感じじゃないと思う。どちらかというとお仕事?みたいな感じのような気がする。

 

「今日はもう練習があるの。もう少し、時間を……」

「申し訳ありません。以前伺った弊社のものが熱烈なファンで、軽々しく『いくらでも待つ』などと。しかし、こちらとしてはビジネスですので」

「いえ……私も、目的は……」

「……え?」

「他社から毎話か来ているんでしようか?我々より、他社が用意した条件の方が魅力的だと言うのなら、諦めます」

「……他からはまだ……話はきてない……わ……」

「でしたらRoseliaとして生真面目にコンテストに出場するのか、我々と一緒に本番のメインステージに立つのか……考えるまでもないはず」

 

 話を聞いていると、友希那さんにスカウト(?)がきている話だった。新君は何も言わずにただ立っているだけだった。理解が追いついていない中、話の続きを聞いているとあこちゃんが話しかけてきた。

 

「……ねぇ。りんりん、これ、どういうこと?」

「……わか……らない………」

「……意外です。孤高のボーカリストとして名高いあなたが……バンドが友達になってしまったんですか?」

「……違うわ!私は、フェスに出るためなら何でもする…!ただ……今日は練習が……」

「……ではあと1週間だけ待ちましょう。あなたが一人のアーティストとして正しい選択をしてくださることを祈っています」

「わかったわ……。じゃあこれで」

 

 話が終わったのか、友希那さんは立ち上がって、新君を連れてホテルを去って行った。さっきまでいた席の方を見ると、スーツの人はため息をついていた。

 

「行っちゃった…ねぇりんりん。りんりん、どうする……っ?」

「……今日は……スタジオで……練習だから……」

「そ、そうだ……とにかくみんなと合流して、それから考えよっか!……リサ姉からメッセージだ。紗夜さんと二人しかいないけどみんなどうしたの……って……」

「「…………」」

「今……見たこと、いわないほうがいいよ、ね……?」

「友希那さんが……スタジオに来るなら……本人の口から……聞ける……かも……」

「そ、そうだよね……っ。なんかきっと、変な風に聞こえただけだよねっ。じゃあ、スタジオ急ご!」

 

 お互いに黙っていようと言い、急いでスタジオに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 僕とお嬢様がスタジオに着いた十五分後……本来の練習開始時間の三十分後にりんりんとあこちゃんが入ってきた。一体どういうことだろう。少し遅れるならともかく、かなりの時間遅れてきている。当然ながらお嬢様は少しばかり怒っていた。

 

「……30分の遅刻よ。やる気はあるの」

「そういう友希那も、15分遅れたけどね~。いや~。珍しいこともあるあんだね~」

「ごめんね、リサ。僕がついていながら……」

「大丈夫だよ〜、今度から気をつければいいんだしっ☆」

「いいから早く準備してください。ロスした分を取り戻さなくては」

 

 本来の開始時間より時間ロスが酷いせいか、紗夜さんの雰囲気はピリピリしている。その空間を和らげるようにリサがフォローに入っていく。

 

「なーに二人して辛気くさい顔してんの?紗夜せんせいが怒るのなんていつものことじゃーん☆」

「今井さん!まじめにやって。コンテストは刻一刻と近づいてるのよ」

「はは、紗夜さんもうちょっと優しく……」

「……あこちゃん……」

「りんりん……」

((どうしよう………))

 

 りんりんとあこちゃんの方を見ると、2人とも落ち込んだ表情をしていた。もしかして遅れた理由に何かあったのだろうか。その様子を無視してお嬢様は言い放つ。

 

「……あこ、燐子、早くして」

「どうしたの二人とも、なんか変だけど…?(遅れてきた友希那もさっきから様子がおかしい……)」

「……友希那?」

「なに?」

(なにか、隠してる…?)

 

 どうやらリサはお嬢様たちの様子がおかしいことに気づいたらしい。何か知らないかと視線を向けられるが、自分の口からは何もいうことは出来ないので視線を逸らす。

 

「宇田川さん、やる気がないのなら帰」

「……あ……あの………っ」

「あこちゃん……!」

「ごめん、りんりん。あこ………見ちゃったの……」

「何を……?」

「友希那さんが…スーツの女の人と、ホテルで……話してて……」

「「!!」 」

 

 見られていたという事実突きつけれ、お嬢様と僕は驚いた。あの時に感じた視線はりんりん達だったのだと今気づかされた。

 

「それかどうしたって言うの。湊さんにだってプライベートはあるでしょう」

「で、でも……あこちゃん……今は練習を……そ……そうだけど、でも、でも……気になるんだもん! あ、あこだって、Roseliaっていう、この五人だけのっ、『自分だけの力ッコイイ」のために、がんばってきたし……!だから……コンテストに出られないなんてぜったいイヤなんだもん!」

「……どういうこと?」

「今日……りんりんと待ち合わせてしてて……そしたら……」

 

 それからはあこちゃんたちが見てきたもの、聞いてきたものを聞かされた。それらは全て事実であり、何も言うことはできなかった。

 

「…宇田川さん達の言い分はわかったわ。湊さん、認識に相違はないんですか?」

「……」

「……つ。私達とコンテストになんか出場せずに、自分一人本番のステージに立てればいい、そういうことですか?」

「……私……は………」

「否定しないんですね。だったら……」

「ちょ、ちょっと待って!そう言ったわけじゃないじゃん!友希那の言い分も、ね友希那…………っ、ちよっと、なにか……!」

 

 お嬢様の言い分を待たずに話し続ける紗夜さんに対してリサが止めに入ったが、それでも止まることはなかった。

 

「『私達なら、音楽の頂点を目指せる』なんて言って……『自分たちの音楽を』なんて、メンバーをたきつけて……っ。フェスに出られれば、なんでも、誰でもよかった。……そういうことじゃないですか!!」

「……え……それじゃ……あこたち、それじゃあ……あこたち、そのためだけに、集められたってこと?」

「……あこちゃん、なにも、そうとは………」

 

 その瞬間、全員にあの時のお嬢様の言葉が蘇った。『Roseliaのレベルは確実にあがった。あこ、燐子。あなたたちもよ。あこ、燐子……。リサ。あなた達、Roseliaにすべてを賭ける覚悟はある?』という言葉。その言葉が本当だったのか、お嬢様を除く全員が考えた。

 

「あこ達の技術を認めてくれてたのも……Roseliaに全部かけるってはなしも、みんな……うそだったの……? 一一ッ!!」

「あこちゃん……待って…!…どこに……」

「ちょっ、ふたりとも……!」

 

 逃げるように出て行ったあこちゃんを追いかけるようにりんりんは追いかける。二人を追いかけようとするが、それを許さないかのように紗夜さんは言葉を続ける。

 

「湊さん。私は本当に、あなたの信念を尊敬していました。だからこそ……私は……とても失望したわ」

「紗夜。お願い、少し待ってよ。友希那の話を……」

「答えないことが、最大の答えだわ」

「じゃあ、これから先アタシ達、どうするつもり……?」

「あなたと湊さんは『幼なじみ』、名護さんと湊さんは『主従関係』。何も変わらないでしようね」

「そういうことじゃなくて……!」

「私はまた時間を無駄にしたことで、少し苛立っているの。申し訳ないけれど、失礼するわ」

 

 希望を捨てたかのように話す紗夜さんも止めることが出来なかった。というよりかは止めようとしたが、この前のこともあって、睨まれてそっぽ向かれてしまった。

 

「紗夜……っ、待っ……友希那っ。ねえ、今の話、全部本当なの?」

「本当だったら、なに……な、なにって……このままじゃRoseliaは……それでいいの?」

(いいんだったら、この前あんな顔、してないはずだよね……!?)

「ねえ、本当はメンバーになにか言いたいことがあるんじゃ……」

「-一知らないっ!」

「!友希那……」

「お嬢様……」

 

 いろんなことを突きつけられたお嬢様は振り払うかのようにその言葉を吐き捨てた。それを聞いた僕とリサは戸惑いをかくせなかった

 

(……自分でも、どうしたらいいのか、わからない……)

「私は……っ、お父さんの為にフェスに出るの!昔からそれだけって、言ってきたでしょ!」

「……友希那……」

「……帰るわ」

「帰って、どうするつもりですか……?」

「フェスに向けた準備をするだけよ」

「友希那……っ!」

「お嬢様っ!」

「新一、一人にさせて頂戴」

「……かしこまりました…………」

 




バラバラになったRoselia、リサはそれを必死に取り戻そうとする。それを手伝おうとする新一に予想外の出来事が遅いかかる。
次回 「役目と言葉」
次回もお楽しみに!








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