青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

18 / 181
投稿が一ヶ月空き、本当に申し訳ございませんでした。言い訳はしません。ですがこのようなことがこれからも起きるかもしれませんのでそこはご了承ください。
それでは最新話どうぞ。


第十六話 役目と言葉

(どうしよう……このままじゃRoseliaは、バラバラに……)

「おーい。Roseliaさーん!レンタル時間過ぎてるよ~……って、リサちゃんと新一君2人!?」

「あ……っ」

「え、もうそんな時間? すみませんっ」

「リサちゃん、たしか今日は……バイトの日だっけ?練習のあとにお疲れ様だねぇ。」

「あ……はは。そうですねっ。ま、まあRoseliaの活動と運営の為にもっ、かんばらないといけませんから~……っ」

「あれ?でも新一君はなんで友希那ちゃんと一緒じゃないの?」

「あー………あっ、僕夕飯の買い出しがあるのでっ!」

 

 そんな適当な言い訳をつけて僕はスタジオを飛び出した。カバーしきれなかった自分が嫌になる。そんな思いをしながら街中を走っていると悲鳴が聞こえてきた。

 自分には関係ないが、無視することが出来ずにその方向へ走って向かった。現場と思われる場所に着くと、そこには蛾の様な見た目をしたファンガイアが住人を襲っていた。

 何故こんな時に現れるのか、ファンガイアに向かって走りながらイクサに変身した。その勢いで拳をぶつけに行くとファンガイアの顔に当てることができた。そのまま倒れ込むファンガイアに追い討ちを掛けに行くと、体制を立て直し、反撃してきた。イクサカリバーを取り出して応戦しようとすると、向こうの体がから剣を作り出して応戦してきた。しばらく剣で斬り合っているとファンガイアは鱗粉のようなものを吐き出して爆発させてきた。爆発を受け、目の前が見えなくなった。爆発が止むと目の前のファンガイアは消え、辺りを見回すと、人質をとって待ち構えていた。

 その人質を見ると、その人はよく知っている(・・・・・)人だった。Roseliaのキーボード……白金燐子だった。りんりんは首元に剣を近づけられ、涙目になっていた。その姿を見た瞬間、僕の心は怒りという激情に染まった。

 

「……君、誰に手出したか………わかってるんだよね?」

「………?」

 

 疑問を傾けるファンガイアを無視して僕は行動に出た。耳と思われる部分をイクサカリバーで銃撃し、気を取られているうちにりんりんを引き剥がして剣を振りかざした。肩から脇腹にかけての一閃だったため、大きく命中して負傷させた。その後も攻撃を仕掛ける。剣を何本も作り出したが、全て切り落とし、肩のパーツまで切り落とした。

 

「手を出す相手を間違えたね。なんでりんりんに手を出したの?」

 

 質問を投げかけるも逃げようとするだけで何も答えない。

 

「……わかった、これだけは言わせて貰うね。その命、神に返しなさい!」

 

 そう言って逃げようとするファンガイアの背中を真っ二つに切り裂いた。ファンガイアはガラスとなって砕け散った。敵を倒すことで落ち着いた僕はその場を離れようとすると声をかけられた。

 

「ま……待って……!!」

 

 後ろの方を見るとさっき引き剥がしたりんりんがいた。ずっと見ていたのだろうか、引き剥がした時と同じ体制のままだ。正体がバレないように無言でりんりんの方を見る。

 

「あ…あの………あ、ありがとう…ございます………」

「………」

「……新……君……だよね………?」

 

 突然不意をついてきた。何故この状況でその答えが出たのか。声を低くし質問を投げ返して対応しようとする。

 

「…違うと言ったら?」

「で………でも、私のこと……り…りんりん……なんて言うの……あこちゃんと新君しか………」

 

 答えは至って単純だった。自分の呼び方が裏目に出てしまった。大人しく変身を解除してりんりんの方に体を向ける。

 

「………!……やっぱり………」

「うん………ごめん、ずっと黙ってて」

「ううん………」

「ごめんね、身勝手なのは分かってる。ただ、このことは黙ってて欲しい…………時間が来たら絶対話すから」

 

 りんりんは黙って頷くだけだった。立ち上がれるように手を伸ばすと、りんりんはその手を取って立ち上がった。そしてそれと同時に質問してきた。

 

「新君は………なんで……戦ってる………の?」

「それは………」

 

 答えが出なかった。今まで考えたこともなかったからだ。なんのために戦っていたのか……そんな事を考えずに今まで戦っていた。だからなのか、今すぐに答えが出て来なかった。だから答えは一つだけだった(・・・・・・・)

 

「……わからない」

「………え?」

「今はまだ……わからない………ごめん」

「ううん…………」

 

 改めて約束は守ると言われ、安心し、僕は家へ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しゃーしたー」

「モカ……アンタ、いつにも増して挨拶テキトーすぎー」

 

 色々考えなきゃいけないんだけどバンド組んでる同士こういうこと、なごんで助かるんだよね。

 

「……っと、友希那からだ……!!」

『来週の練習予定、取り消す。他のメンバーにも伝えたから』

 

 来週以降はスタジオの予約してない……じゃあ、その先は?アタシは分からなくなって困惑する。するとモカが話しかけてくる。

 

「湊さんって、リサさんの幼なじみなんでしたっけ?」

「えっ。あ、あーうんっ。そ! 家が隣同士でさ……」

 

 ずっと一緒なのに、アタシはもっと上手く……

 

「そっ、そういえば、モカと蘭も幼なじみなんだっけ?」

「まぁ、一応、そう…なんですけど……」

 

 いつものモカと違って反応が渋々だった。この顔……?モカもなにか、蘭のことで悩んでるのか。仕事をしながら話を聞くことにした。すると、今のRoseliaと似てる……いや……アタシとモカが似てる状況だということに気づいた。ずっとずっと……『見守るだけ』

 

「……本当に大切なら、隣にいるだけじゃダメ……間違った方向にいかないように導くのも友達……ううん、親友の役目……なんだよ」

「隣にいるだけじゃ、ダメ……」

「アタシも友希那が幸せならって、ずっと見守ってきた。もしかしたら間違ってるかもしれないって思いなから、ずっと。……でもそれは、やっぱり間違いだったんだよね」

 

 モカならきっと、大丈夫だと思う。アタシは……今から、取りもどさなくちゃいけない。そう決意しながらバイトを終わらせて家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の部屋でスマホをいじっていると事務所からメッセージが来た。はやく開封しなきゃいけないのに、指が動かない。なんで?何が私を邪魔するの?そうして戸惑っていると外から声が聞こえた。

 

『ゆっきな~! 窓開けて!』

 

 何? 急に……。忙しいから無理とメッセージを送るとまたベランダの方から声がやってくる。

 

『寝っ転がって何に忙しいのかな~?カーテン空いてるぞ☆』

 

 ベランダの方を見るとカーテンが少し空いており、隣のベランダから全部見えていることが分かった。諦めてベランダに出ると、向かいの家のベランダにリサがいた。

 

「やっほー。友希那の部屋に来るの、ひっさしぶりだな~!家が隣同士なんだから、友希那ももっとうちに来てもいいんだよ?」

「……毎日のように会ってるのに、なにか用?」

「ん……あのさ。まずはごめんねっ。今回のスカウトのこと。アタシ、なんにも気づけなかったや。家の前で、たまたま会った夜さ……あれからきっと、友希那はずっとひとりで悩んでたんだよね。アタシが気づけてたら、何か出来たんじゃないかって」

 

 ずっと黙っていたことをリサが謝ってくる。悪いのは私のはずなのに。

 

「アタシ、友希那が幸せなら、とか言っておいて、今まで……っ、なんっにも、してこなかったなあ~って!言うだけなら、いくらでも出来るっての、はは…お父さんのことも、Roseliaもフェスのこともずっと友希那ひとりに背負わせて、ごめん!!これからは、アタシももっと一緒に……」

「なんで……っ!!」

「え?」

「リサはなんで、いつもそうなの!!なんで優しくするの!! 全部、悪いのは私じゃない!!私の自分勝手でこうなったことくらいわかってる! !なのにバンドもフェスも……お父さんのことも!リサは私が何をしても、笑って……いつも……そばにいて……っ」

 

 流石に我慢の限界がきていた。悪いのは私なのにいつも甘やかしてくるリサに対して私は怒声をあげた。こんな声をあげたのは初めてかもしれない。けれど言い切るまで止まれなかった。

 

「うん……ごめん……」

「だから……それをやめてってば! !私は……っ、リサがいると……っちゃんと音楽に向き合えない……っ!」「 !…ん、そ……っか……わかった。アタシ……友希那のこと大切だから、甘やかしちゃってたんだね……

そうすると、アタシに出来ることってやっぱりないのかもしんないや……でもさ、フェスに出たいって、友希那の覚悟は知ってるよ?」

「………っ」

「少なくともアタシには、友希那が幸せそうに見えてた。だから、善し迷ってるなら、今はRoseliaを捨てないで欲しい。アタシの……ただの気持ちだけどねっ」

「……気持ちだけじゃ、音楽は出来ないわ」

「ん。そうだね。つきあってくれてありかと!でも、全部言ったら、スッキリした!アタシ、夕飯食べてくる。じゃっ☆」

 

 リサが自室へ入っていくのを確認すると私は言葉を一つこぼしていた。

 

「……気持ちだけでは、音楽は出来ない……」

 

 お父さんの代わりにフェスにでる。その『気持ちだけ』で、私はやってきた……その私が……『気持ちだけでは』……なんて……。

 

 

 

 

『………今アタシにできることはたぶん、やれたはずだ。他にできることは、また考えていこう。……こうやってまたぶつかってもちゃんと、友希那と向き合い続けたい』

と昨日決めたけど決めたけど、友希那はすぐ帰っちゃうしなかなか、上手くいかないな~と思っていた矢先、クラスメイトが話しかけてきた。

 

「あれっ、リサだ!放課後残ってるの久しぶりじゃない? バンドは?」

「えっ……あ、あうん。なんていうか……」

「てか、今日楽器持ってないじゃん?あ。もしかしてバンド辞めちゃったとか!」

「ありえる! だってびっくりしたもん!急に学校に楽器持って来てさ~なんかリサらしくないって、思ってたんだよね~」

「あ~ははは……そっかぁ。アタシ……らしくないか~……」

 

 みんながRoseliaを始める前のアタシの話をしてくる。もしRoseliaに入っていなかったらどうなっていたのか………今のアタシには想像がつかなかった。

 

「そーだよ。リサはおしゃれなんだし!ねっ。バンドがないならネイルいこーよ?ネイルしててもベースって弾けんでしょ?」

「え……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日……ほんとは……練習の日だね………」

「ん……りんりんからオフ会誘ってくれたの、初めてだね?」

「うん……家にいても……落ち着かなくて……あっ。あこちゃんは、ついでって意味じゃ……」

「わかるっ……。あこも、なんか、どうしたらいいかわかんない……だから、りんりんに会えて、ちょっとほっとしてるんだ~」

 

 私とあこちゃんはいつもの集合場所で待ち合わせをしていた。お互いしばらく落ち着かなかったらしい。だから、お互いに会えて安心している。

 

「ありがとう……それに……衣装……完成したから」

「えっ。本当!? 見たい見たい!」

「写真で……よければ……わあっ! めっちゃくちゃカッコイイよ!やっぱりんりんって天才だよっこれ、五人で着たら……!」

 

 五人で着たら……その言葉が引っかかる。次の言葉を切り出したのはあこちゃんだった。

 

「………ねえ、りんりん。あこ、みんなに余計なこと言っちゃったのかな。あこがあんなこと……」

「それは、ちがうよ。……友希那さんが……本当にRoseliaを辞めるなら……いっか……わかってたことだと思う……」

「じゃあ……このままRoselia…なくなっちやうの……?」

 

 悲しそうな声を出しながらあこちゃんはスマホを取り出してある動画を開いて、見せてきた。

 

「それは……?あこちゃん……この動画……わたしも……いる………新しいの、撮ってたんだ……」

「うん……。あこ、あの日はカッとなって、飛び出しちやったけど、また、こうやって集まりたい。だから、なにかしなきゃ! そーだよね?でも、こうやってまた集まったら、なんか…前みたいに、バラバラになっちゃうかもって…………なんか……わかんないけど、こわい……」

「そうなるかも……しれない」

「えっ……そ、そんな……」

「でも。わたしは……わたしを変えてくれたこの人たちと、もっと……、もっと、もっと、音楽がしたい!!」

 

 私自身が出来ることは少ないかもしれない。けど、やれる事があるなら……出来るなら全部やりたい!と思いながらその言葉を口にする。

 

「…りんりん……」

(りんりん……元々あこよりお姉さんだけど……なんか、前より……お姉さんっぼくなった)

「だから……わたしたちでも、できることを……一緒に……考えてほしい………」

「うん……うん! りんりん!わかった! あこもがんはるよ!!うーん……なんだろうな……何がいいんだろ」「う………うん……そうだね……」

「『言葉だけじゃ、伝わらないのかもしれないね』……たとえばたとえば……!……音で、伝える……!とか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つ」

(ダメ……こんなレベルじゃ……弾いても、弾いても苦しい……でも、私にはこれしかない……!)

 

 私は自室の中でずっとギターを弾いていた。けれどずっと上手くいかない。Roseliaで練習していたときのようには全くならなかった。

 

(例え……Roseliaがなくなっても……)

 

 Roseliaのことを考えた瞬間部屋の外から声が聞こえてきた。私の妹である日菜だ。

 

「あれ?やめちゃうの?」

「……日菜っ。勝手に入って来ないでって言ってるでしょ」

「入ってないよ、ほら。ドア空いてたから……ん~~~? あれ? なんだろ?」

「なんだろって、なに?ちゃんと喋りなさいっていつも……」

 

 日菜はいつも訳の分からない言葉を使ってくる。だから伝わないことも多々ある。

 

「ん~……なんかおね一ちゃんのギターの音、おねーちゃんっぽくなった気がする」

「?あなたの説明はいつもわかりにくいの」

「あ!! 教科書! 前は教科書だった!だけど今は、おねーちゃん! って聴こえる」

「なによ……それ。はやく出て行って。忙しいんだから」

「ん? ……うん」

(なんかおねーちゃん……ちょっと優しい?)

 

 日菜を追い払うと携帯にメールが届いた。

 

「?……宇田川さんから動画メール……?……!」

 

 それを見ると練習しているRoseliaの姿が映し出されていた。

 練習中………私……いつからこんな風に笑って……

 

「Roseliaがなくなったら……私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサー? なにぼ一っとして。ネ・イ・ル!いこーよ!」

 

 

 クラスメイトからの誘いを受けてネイルに行こうとするアタシに一通のメールが届いた。

 

「アタシは……?あこから動画?……… !」

「リサー?」

「……ごめん。やっぱりアタシ、ネイルは出来ないや~こんなでもさ、バンドに真剣なんだ♪」

 

 メールを受け取ったアタシはすぐさま行き先を変えて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕飯の買い物をしているとあこちゃんからメールが届いた。どうやらRoseliaの練習風景らしい。それを見て改めて思い出す。こんなに良い顔をしているのにこのままで良いのかと。はっきりと確信し、決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あこからメールが来て、それを確認した後に電話がかかってきた。

 

「……あ……もしもし……。はい。……わかってます……。決めました。……はい……お願いします」




それぞれが動き出したRoselia。その先に何があるのか。
次回 「Roselia」
お楽しみに

壁の色を変えるとしたら?

  • 色分け
  • 上塗り
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。