青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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遅くなりました。申し訳ございません。とりあえず最新話です、どうぞ!


第十七話 Roselia

 その日、全員にお嬢様からメールが届いた。

 『私の正直な気持ちを伝えたいので、みんなに集まってほしい』と。

 一体何を決意したのか、全員がそれを気になっていた。指定された日時が来るのが待ち遠しかった。当日、全員がcircleに集まった。

 

「揃ったかしら。まず……この前は、悪かったわ。1バンドメンバーとして、不適切な態度だった」

「それは、どういう意味の謝罪ですか?」

「自分の気持ちを、自分で理解しきれていなかった。あなた達との関係性を認識しきれていなかった。そのことに対しての、謝罪よ」

「う~?? えっと……つまり?」

「スカウトは断ったわ」

「「「「ーー!! 」」」」

 

 その言葉を聞いた瞬間、全員が驚きの顔を隠せなかった。無理もないだろう。しばらくの間全員がそれで悩んでいたのだから。その言葉を聞いた紗夜さんからは追撃の声が聞こえた。

 

「……そうだったとしても、私達を『バンドメンバー』ではなく『コンテスト要員』として集めた事実は変わりないのよね?」

「紗夜、なにもそんな言い方!」

「……やめてリサ。確かにそうだったんだから、私は、責められて当然だと思ってる」

「だ、だったらアタシにも責任があるよ!アタシは……ずっとそんな友希那をただ……見てるだけだったんだ ら……!」

「え……リサ姉………スカウトのこと……知ってたの?」

「今回のスカウトのことは、私と新一しか知らない。リサに非はないわ。リサ、少し黙っていて」

「黙ってられないよ。ううん、これからはもう、黙らない!アタシは友希那にRoseliaを続けてほしいと思ってる。それなのに、今回のスカウトのことに関しても、何もできなかったから………」

 

 リサが珍しく落ち込んだ顔をしている。普段なら慰めの言葉を出しているだろう。だがしかし……なんて声をかけたら良いのだろうか。そもそも僕自体が入ることではないと思っている。だから、うまく言葉に出せないし、口を出すこともできない。

 

「…湊さんの意思がわからないわ」

「紗夜の言うとおり、私はFUTURE WORLDFES.に出場するためすべてはそれだけの為に、音楽をやってきたわ……FUTURE WORLD FES.は確かに頂点。私はそれを目指していた」

「……でも湊さん、すべてが『フェス出場』の為だと言うなら失礼だけどあなたには……『フェスに出て』それからどうするのか。その先のビジョンが、何もないということになる」

「えっ……じゃあ…それって……」

「そう。私達は、使い捨て。そういうことよ」

「紗夜さん、それは………っ」

 

 口を出すべきではないと思っていてもそれだけは違うと否定したかった。だけど睨まれてしまい、言葉を出せなくなる。きっとあの事を気にしているのだろう。外から内側への声なんて、腹が立つこと以外何もないと知っていながらやってしまったことを今更ながら僕は後悔している。戸惑いを隠そうとするとお嬢様が声を上げた。

 

「それは違うわ!」

「メンバーを探していたときは……そうだった!でも……っ、紗夜を見つけて……みんなが集まって……いつのまにか、私……お父さんのことより………」

「『お父さん』?」

「友希那……」

「本当の私はただ、私情のために音楽を利用してきた人間よ」

「……『私情』 」

「……少し、長い話になるわ。昔一人のバンドマンがいたの……」

 

 それからしばらくお嬢様の話が続いた。一人のバンドマン。その男はバンドを組んで自分達の実力を磨いていた。あるときスポンサーにスカウトされ、商品として扱われた。男達のバンドは目指していたフェスに出られるチャンスを貰った。しかし、自分達のやりたいようにやらせて貰えるわけではなかった。以来、その男達は解散し、そのバンドマンは音楽界から消えたらしい。

 

「そのバンド……雑誌で見たことがあるわ。インディーズ時代のものは特に名盤だって……湊さんのお父さんが……そうだったの……」

「私はRoseliaを立ち上げ、私情を隠し、『自分達の音楽を極める』と偽って、自分のためだけに、あなた達をだました…この前は、上手く言葉にできなかったけど、私には責任がある-一私は、Roseliaから、抜けるべきだと思う。私と違って、あなた達の信念は本物だから」

「ちょっと、待…… 」

「あ、あこだって……!」

「でもっ!!!でも私は……こんなに自分勝手で、理想も信念も元を正せばただの『私情』だけど……」

 

 『私情』という単語を出した瞬間お嬢様は言葉を飲み込んだ。そのあとすぐに自分の思いを打ち明けた。

 

「っこの五人で音楽がしたい……! この五人じゃなきゃだめなの!! 私はRoseliaを続けたいっ!でも……みんなの意見は、わからない……」

「……こんなことをしておいて、都合か良すぎるのもわかってる」

「……あなたが私に言ったのよ。……私情は、持ち込まないって」

 

 紗夜さんはとても困った顔をしていた。

 

「でも……あなたの気持ちも……わかるわ。音楽を続ける動機はともかく、始める動機なんて、みんな……私的なもの」

「なん、そ、そーだよっ!あこだって、おねーちゃんみたいになりたかったからだもん!友希那さんの!『お父さん』と、全然一緒だよっ!」

「わたしも……どこかで …………こんな自分を変えたいって……」

「アタシは友希那と………って、言うまでもないか♪」

「抱えているものは、それぞれにあっていい。どうしても手放せないから、抱えているんでしよう。だったらそのまま、進むしかない……そうじゃない?」

「……紗夜……」

 

 お嬢様以外、全員が思いを打ち明けた。みんながみんな、Roseliaを続けたいと。この五人で音を奏でたいと。僕は自分の中で安心していると紗夜さんのほうから意外な言葉がやって来た。

 

「名護さんはどうですか?」

「……え?僕?」

「貴方は一応、湊さんの執事なんでしょう?貴方はどうなんですか?」

「えーと……僕自体はあまり役に立ちませんけど……もし皆がRoseliaを続けるのなら、僕は全力で応援させて頂きます」

「そうですか。分かりました。私達の答は決まったような物ですね。それに、私もまだ、この五人で音楽をしたい」

「__!」

 

 紗夜さんの言葉に全員が驚いた。さっきまで反対のような言葉を並べていたのに急に本心を打ち明けたことに驚きを隠せない。

 

「ん? これはもしや……」

「Roselia、再結成フラグ!?」

「解散してない」

「……!」

「……ふふ(はは)」

「Roseliaとして、FUTURE WORLD FES.のコンテストにエントリ一する。みんな、それでいいかしら」

「はい!!」

「……紗夜、みんな……」

 

 お嬢様は笑みを浮かべて「ありがとう」と良いながら練習の準備を始めた。他の皆も準備を始めた。………安心した。ちゃんと皆が戻ってきてくれて。これで僕も安心して仕事が出来る。

 

 

 




次回、第一章最終回です!やっと終わるんだね、第一章。
次回「Re;birth day」
お楽しみに!

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