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練習の帰り、いつも通り三人で歩いている。今日に至ってはずっと会話がない。暗い雰囲気ではあまり良くないだろうと話題を持ちかける。
「お嬢様、本日の夕飯はどのように致しましょうか?」
「……なんでもいいわ」
「でしたら、温かいものと冷たい物、どちらがいいですか?」
「………冷たい物」
「…!かしこまりました」
珍しくお嬢様から意見を貰うことが出来た。ここ最近のことなのだが、何が良いかという質問には答えて貰えないが温度の質問には答えてくれる様になった。この前より一歩の進展だがかなりの進展とも言えるだろう。そんない嬉しさに浸っていると後ろの方から声が聞こえる。
「友希那さーん!新兄ー!リサ姉ー!」
「ん? この声って……?」
「……あこ? 一体どうしたの?」
「はあっ、はあっ……追いついた……あ、あのっ! さっき聴かせてくれた曲……あこ、演奏したいですっ!」
「えっ……?」
突然の言葉にお嬢様は驚きを隠せないでいた。
「あの曲、すっごくカッコイイって思ったんですっ!ライブで演奏したら絶対すっごく盛り上がります!」
「あの曲は……」
戸惑いながらも何かを言おうとしているお嬢様の元にりんりんがやってくる。見た感じ凄く息を荒くしている。おそらく走ってくるあこちゃんを必死に追いかけたのだろう。
「はあ、はあ……! あこちゃん、早い……!」
「りんりんっ!りんりんもあの曲、演奏したいよね?」
「うっ、うん……わたしもあの曲、演奏したいです…どなたの曲なのかわからないですけど……きっと…きっと、友希那さんの歌声にあう、素敵な曲だと思いました……!」
「私の、歌声に……?」
「わたし、友希那さんの歌声が好きです……!繊細で、力強くて……ときには音楽を求めすぎるあまり、まるで恋い焦がれているかのような焦燥感を感じる……そんな歌声をしています。先ほどの曲を聞いたとき……友希那さんの歌声をはじめて聞いたときのような感覚に陥りました」
「……」
「だから……その……友希那さんにあの歌を歌って欲しい……そう思います……あの曲を演奏する技術が足りないなら、あこもりんりんももっともっとがんばりますっ! だから……!」
「……私の歌声は、そんなに純粋なものではないわ」
純粋ではないという言葉にその場にいた全員が驚きを隠せなかった。
「えっ……!?」
「友希那?それって……?」
「私は……今の私には、あの曲を歌う資格はない……」
「友希那……さん……?」
「……ごめんなさい。あなた達の熱意は受け取ったわ。ありがとう。この件に関しては、少し考えさせて」
その言葉を残してお嬢様はその場から立ち去ってしまった。急いで追いかけ、様子を伺ってみると迷いのある顔をしていた。後からリサが追いかけてくる。
「友希那……一体どうしたの?歌う資格がない、なんて」
「リサ……あなたなら気づいているでしよう。あの曲が、私のお父さんのものだってこと……」
「ん。やっぱりそうだったんだね」
何処かで聞いたことのある声だと思っていたらそういう事だったのか。そういえば昔の旦那様の声はあまり聞いたことがない。バンドをやっていたとは聞いたが実際に聞いたことはなかった。
「あれはインディーズ時代の曲。つまり……」
「そっか。まだ、お父さんが本当にやりたい音楽をやっていた頃の……」
「ええ、そうよ。あの頃のお父さんの、音楽への純粋な情熱……それを、今の私が歌っていいはずがないだって、私は……」
「ううん、いいよ。それ以上言わなくて。わかってるから、友希那のこと。だからアタシはあこや燐子がどんなことを言おうと、友希那の出した結論を大切にしたいって思う……はは。2人にはナイショだけどね?」
「リサ……」
「アタシも、友希那の答え、待ってるから。ゆっくり考えて。ただ……友希那が真剣に悩んで向き合おうとしている気持ち。それは誰よりも音楽に対して純粋だからだってこと忘れないで」
「向き合う、気持ち……」
お嬢様は下を向きながら考え事を始めてしまった。今回はリサがどうにかしてくれたので本当によかった。僕だけでは何もできなかっただろう。そしてこのまま僕たちは家に帰っていった。
そして翌日の放課後、帰りの支度を済ませていると京君から声を掛けられた。が、何故か京君の方にクワガタムシがのっていた
「新一、これから空いてるか?」
「え、まぁ………ってなにそのクワガタ」
「ん、これか?こいつはスタッグフォン」
「すたっぐふぉん?」
「ああ、あいつらが出てきた時に知らせてくれるんだ。そしてメモリを抜くと携帯にもなる」
「これまた便利だね。因みに携帯としての使用頻度は?」
「月一」
「何に使ってんの………」
「電池切れした時の非常用」
「それで、何か用?」
「そういえばそうだった。ここじゃお前には
「…了解、少し待ってて」
今日は練習はないのだが一人で帰らせてしまうことになるので一言声をかけておく。適当に言い訳を作って報告すると「そう」と一言残して教室を去ってしまった。
「いやぁ、しっかしお前の姫さんも冷たいもんだな」
「まぁ、ね」
「寂しくねぇの?」
「別に、そういった感情はないし元々そういう関係だから」
「しかし、年頃の男女だぜ?」
「君は一体いつの時代の人間なの………それに仕事だからね。私情は持ち込まない」
「それもそうだな。とりあえず行くか」
下駄箱を抜けて、駐輪場に行くと一台のバイクが置いてあった。誰の?と目線を送ると俺のというジェスチャーが返ってくる。校門を出るとヘルメットを投げられ、仕方なくも被ると乗せられてバイクは発進する。
「それで、用件は?」
「お前、聞かなくても薄々気づいてるだろ?」
「認めたくはないけどね………」
「んじゃ、このまま現地に直行するぞ!」
スタッグフォンが飛んで行くのを追いかけ、しばらくすると現場についていた。バイクから降りて辺りを見回す。
「今日はファンガイアとドーパントが一体ずつか」
「被害状況は?」
「見ての通りだ。早く片付けて被害を止めるぞ」
それぞれが変身して戦闘を始める。今回はお互い専門の相手がいるのでそちらを対象に取った。こっち側は前に倒したことのある馬のファンガイア、ホースファンガイア(勝手に呼ばせてもらってるが)だ。向こう側はよくわからないが金ピカのドーパントだった。金、金、と言っているのでマネードーパントと言ったところだろうか。ファンガイアの攻撃はあまりに単純すぎて、攻撃を受けることはなくカウンターを出しやすかった。一方京君の方を見るとドーパントから繰り出されているコインらしき円盤の鈍器を撃ち落としながら攻撃している。あまり苦戦はしてない様だ。しかしあまり長くは戦いたくはない。もっと強い攻撃で行こうと踏み込むと目の前にナイフが真っ直ぐ落ちてきた。
「うおっ、何だこのナイフ?」
「そのナイフ…もしかして!」
京君の方にも落ちてきたナイフを見ると見たことのあるデザインで上を見てみると黒マントの白い影が落ちてきた。
「さぁ、地獄を楽しみな!」
「誰なんだアイツ」
「彼は仮面ライダーエターナル、味方だよ」
「そうか、味方か!なら協力して終わらせるか!」
「うん!」
お互いに必殺の構えを取り、敵に技を撃ち込んだ。敵は爆発し、ファンガイアは破片に、ドーパントからは人間とメモリが分離してメモリは砕け散った。変身者である人間を建物の近くに運び、二人の元に戻る。
「お疲れ様っス、イクサ。あとお前、なかなかいい腕して………」
「そっちこそ、中々な腕前………」
途中で言葉を切る二人に違和感を感じる。だがすぐに放たれたのはとても温厚な雰囲気ではなく、とてつもない
「「テメェが何故それを持っている!!!」」
今回も挿絵を入れてみました。よければ見てください。いつか自作したいです(今は他の人に書いてもらってます)。
さてさて、次回はメモリ所持者が激突しますよ〜
あと、この章終わったら軽く夏休みに入るかリサのイベントやるか悩んでます。
壁の色を変えるとしたら?
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色分け
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上塗り