あれから一年以上経った。羽丘女子学園に受かった僕とお嬢様は毎日通っては最初の頃とさほど変わり無い生活をしていた。おい待て、なぜ女子高にお前が通っていると思った人もいるだろう。それはお嬢様のボディガードの仕事と同時に高校に通うためだ。第0話にて旦那様方がやってきたときに言われたのだ。
「新一くんも高校に行きたいだろう?だったら友希那と同じ学校に行けばいい」
「えっ、でもあそこは女子校じゃ………」
「ああ、大丈夫。なんか再来年から共学にするっぽくてテストのため男を少し集めてたから。セキュリティ少し強くしてるっぽいけど…まぁ、そこら辺は大丈夫!」
などと言われ入学してから一年経った。今では『羽丘女子学園』という名も『羽丘学園』という名前に変えられている。変な目で見られることはあったがそれ以外は対してなにも良かったので安心した。また、生活も特に変わった様子もなかった。強いていうならば「今井リサ」というお嬢様の幼なじみが関わってくることだけだった。さらに、あれからファンガイアも出てくるようになった。
そして春ももうじき終わりに入りそうな季節。いつも通り学校が終わりライブハウスCiRCLEにお嬢様と向かおうと校門を出るとリサがやってきた。
「友希那ー、新一ーっ☆アタシ、今から新しくできたアクセショップ行くんだ。友希那たちもも一緒に……」
「興味ない。…今日入り時間早いの。急ぐから」
「あっ、お嬢様…ごめん、リサ」
「いや、新一が謝ることじゃないよ。友希那ー、途中まで一緒に…あ!」
すぐに追いかけようとしたリサに対して他の生徒が出てきてぶつかってしまった。
「ごめん、ぶつかっちゃった。大丈夫?」
「こっちこそごめ〜ん!よそ見してて……」
「リサ、大丈夫?」
「あ、うん。ありがと」
「あれって…湊さん、だよね?湊さんって、ちょっと…とっつきにくくない?その、名護さんは…そういう関係だろうから問題はないだろうけど、今井さんって凄いよね。誰とでも友達になれて、湊さんにまでいくなんて」
「確かに…うん?まってそういう関係ってなんですか?僕たちは恋人とかじゃないんですけど………」
生徒の言った言葉に対して疑問を持った僕が自分の立場を述べると生徒が驚き疑問を返してきた。
「えっ、違うんですか?」
「違うよ」
「!いやいや、友希那は本当は凄くいい子だよーー?昔は結構よく笑ったし!笑顔超可愛いし!ただちょっと今はその……すこーし変わっちゃったっていうか…って友希那がいない!ごめん、アタシ急ぐね!」
僕のことをなんだと思ってるんだこの子は。そんなことを思っているとリサがお嬢様が向かったと思われる方に走っていってしまった。
「えっ、あっ、そんなわけだから、それじゃ!」
そう生徒に向かって別れを告げてお嬢様たちの方向へ走って行った。急いで走っていくと先に着いたのだろうか、リサとお嬢様が話しているのが見えた。邪魔をしては悪いと思い近くの木の陰に隠れた。そこからこっそりお嬢様たちの会話を聞いてみる。
「友希那〜!はぁ、はぁ、…追いついた!」
「…!」
「幼なじみを置いてくとかひどいぞー?…ってもう100回くらい置いてかれてるか〜あはは」
リサは笑って誤魔化しているようだが、お嬢様は笑っていなかった。むしろ怒るような表情をとっていた。
「………行かない」
「ん?」
「…アクセサリーショップは行かない。私は歌うこと…音楽以外のことに時間を使いたくないの」
(っ!はっきり言ったよ、あの人!あ〜どうしよ……)
「………ん。そっか!大丈夫!フラれるの、慣れてますからっ!」
(良かったーリサがメンタル強い方で……)
お嬢様たちの会話を聞いて正直ヒヤヒヤしたが大丈夫っぽいので安心した自分がここにいた。
「でもほら、アクセショップ、ライブハウスの手前にあるんだよね♪だから、途中まで一緒に行こって話」
「………」
「ふぅ、追いついた。?どうしたんですか?」
「…なんでもないわ」
お嬢様が微妙な表情をとっていたので二人の間に入って会話をとろうと話しながらCiRCLEに向かって歩き始めたがしばらく歩いていてもお嬢様は興味を示すことはなかった。リサが話題を持ち出し、僕が相槌を打っていても興味を示すことはなかった。
「そういや友希那は、テストどうだった?アタシの国語の点聞きたい?聞きたい?」
「………今はテストの点より、気にすることがあるから」
「えー。いくら忙しいからって、赤点とかは無しだからね?一緒に卒業出来なかったら、切なすぎるし」
「赤点とったら、音楽活動に支障が出る。そんな馬鹿な真似はしないから、安心して」
その会話を聞いて僕は冷や汗を流した。
「あれ?新一どうしたの?まさか…」
「いや、これは普通の汗だよ、少し暑くて。それにテストはいい結果だったよ」
「何点だったの?」
「90点代」
「え、凄いじゃん!やっぱ新一って頭良いの?」
「いや、そうでもないよ。今回は運が良かっただけだし」
などと誤魔化しながら会話を続ける。実際テストはいい結果なのだがお嬢様が赤点をとらないのはあくまでお嬢様自身の頑張りだが、テスト前になると勉強もさせなければいけないので説得するのが本当に大変なのである。
「………はは、まーそーか。でもホント……最近忙しそうーだね。毎日、色んなライブハウスに行ってて」
「…そうね」
「もともとライブハウスで歌ってたけど…毎日出演してるんじゃ…ないんでしょ?」
「………」
「…あのさ、この話したくないってわかってるけど、まだバンドのメンバーって探してるの?」
リサが真剣な表情で聞いてくるのに対して今はその話題は避けたいと思っていた僕はその話を止めようとしたが、先ほどまで興味を持たなかったお嬢様が話を続けた。
「リサ、それは」
「当然よ。今年の『フェス』に向けたエントリー受付はもう始まってる。条件は三人以上。今年こそ見つけるわ」
「でもさ、なんか…そーゆーのって………!」
何かに対して反論しようとしたリサに対して淡々とお嬢様は続けていく。
「私はやる。お父さんのために。リサだって知ってるでしょ。メジャーに行ったお父さんたちのバンドが、
「それは………」
「………」
場の空気が完全に冷たくなってしまった。理由は一つ。それはどうなったのかを全員が知っているからだ。あんな結果になったことは簡単には口には出せない。
「私はあの『フェス』…FUTURES WORLD FES.で、自分の音学を認めさせて見せるわ」
「………アタシも、友希那のお父さんは辛かったと思うよ。でも、でもさ………」
「キャァァァァァァァァァ!!!」
リサが何かを言いかけた瞬間、遠くの方から悲鳴が聞こえてきた。急いでそちらの方にいくとタコのようなものを思わせる怪物が市民を襲っていた。僕の後ろについてきたお嬢様たちの方を見ると驚きの表情を見せていた。それに合わせてリサも少し引いていた。
「…なにあれ………」
「ねぇ、新一…あれはなに………?」
「よくわかりませんが逃げた方が良いということだけは分かります…!お嬢様たちは逃げて下さい」
疑問を投げられたが正体を明かすわけにもいかないので誤魔化して避難を呼びかけるが簡単には聞いてくれなかった。
「待ってよ、そしたら新一はどうすんの!?あれと戦うわけじゃないでしょ?」
「馬鹿なこと言わないでよ、ただあれがこっちに近づかないように見張ってるだけだよ。近づいてきたらちょっと鬼ごっこするだけ」
「新一…本気で言ってるの?」
「…これも守るためですから」
「………分かったわ。リサ、行くわよ」
「えっ、ちょっと!」
流石に本気だということがお嬢様にも伝わったらしい。本当は向こう側に行って護衛するべきであろう。だがしかし、それで逃げた先にファンガイアと鉢合わせをしてしまっては本末転倒だ。だからここで食い止めようと考え、残った。二人が見えなくなるのを確認するとファンガイアの注意を引きつけた。
「おい、お前」
「□?」
「それ以上犠牲を出すんじゃない」
『レ・デ・ィ』
「変身」
『フ・ィ・ス・ト・オ・ン』
僕は変身するなりファンガイアに向かって行った。拳を突き出すなり色々とやってみるが、相手も攻撃を仕掛けてくる。少し間合いを取るとタコだからか触手を伸ばして叩いてくる。それを回避しつつ近づくと素早い動きで殴ってくる。あまりの巨体なのに何故早いのだと困惑しつつ闘うと時間が過ぎていった。ある程度立った時ファンガイアは口を開いて墨を飛ばしてきた。目の前で落ちたかと思うと爆発し目眩しになっていた。晴れてファンガイアがいた方向を見るとその場に奴はいなかった。何処に行ったと探したが見つからず変身を解除した。そして近くをぐるっと回ってみるとお嬢様たちに遭遇した。
「新一!」
「大丈夫ですか、お嬢様方」
「そういうアンタこそ大丈夫なの⁉︎」
「こっち側に来なかったから大丈夫だよ。そっちは?」
「こっちも平気よ。さ、練習に行きましょう」
「あ、お嬢様…リサ今日はこの辺で…」
「う、うん。じゃあね」
僕はリサに会釈をしてお嬢様を追いかけた。しかしあのファンガイアは何だったんだろう。次にあったときは絶対倒さなきゃいけない……そんな気持ちが働いていた。
2019年以内に読んでいただきありがとうございました。来年は投稿ペースを少しずつ上げながら出していこうと思いますので応援お願いします。またよかったら、作品のお気に入り登録と感想もお願いします。それでは皆さん、良いお年を!
(今回は次回予告なしです)
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