青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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第2話 配布物と果物と弦巻家と

 今日は練習があっていつも通りcircleに来ていたが僕は単独行動をしている。理由は簡単、スタジオ内でやることがないからだ。差し入れの水も出したしいても特にやることがないのだ。

 仕方ないので外のカフェでゆっくりとアイスコーヒーを飲んでいる。

 だがゆったりしている時間もある人からの連絡で終わってしまった。

 差出人は快斗君だ。なんとも用事があるんだとか。どこに行けばいいか聞くとそこにいて大丈夫と連絡を受ける。ならば大人しく待ってようかとアイスコーヒーを一口ストローで吸い、コップを置いた瞬間目の前が突然ブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目を覚ますと知らない場所にいるというのがわかる。豪華なシャンデリアにその辺の家とは違う壁模様。扉の近くには黒服でサングラスの人が二人。そして西洋の城を感じさせる雰囲気。とりあえず放置して辺りを見回すと京君が倒れている。

 

「京君大丈夫?」

「ああ、新一か?」

「うん、ここは一体………」

「ようこそおいでくださいました!」

 

 高らかな声が聞こえる方を見るとそこには椅子に足を組んで座っている、サングラスを掛けた快斗君の姿があった。

 

「快斗君で…あってるよね?」

「何してんだお前は………」

「あってますよ〜。ようこそおいでくださいました!」

「2回も言うな2回も!」

 

 えーという声と共に快斗君はサングラスを外して椅子から立ち上がる。

 

「察するにここは弦巻家でいいのかな?」

「さすが新一さん、その通りっス」

「は?今何つった?弦巻家とか言わなかったか?」

 

 京君は愕然としながら辺りを見回す。そういえば話してなかったっけ。まあいいか、今知っただろうし。でも疑問に思うところがある。

 

「ねぇ快斗君」

「なんスか?」

「なんでクトゥルフ神話TRPGみたいなことしたの?」

「いや〜一回やってみたかったンスよね〜。どうせ呼ぶなら面白い感じのがいいかなーって♪」

 

 黒服の皆さんも楽しく手伝ってくれたとか。機嫌が良さそうに話す快斗君。いや、良くないよ?前回ふざけよ〜みたいな話したのになんか重そうな展開から始まっちゃったじゃん。それとも何、これからSAN値チェック入るの?ダイスロール振る?

 今更だがTRPGとは『テーブルトークロールプレイングゲーム』の事である。オリジナルのキャラクターシートを作って物語の世界に入り込み、物語を攻略していくというテーブルゲームだ。詳しくはウィ◯ペデ◯アを読んで欲しい。

 あと、黒服の皆さんも手伝わないでください。

 

「で、俺らはなんで呼ばれたんだ?別に今からTRPGするわけじゃねぇだろ。それとももう始まってんのか?」

「え、始まってたらヤバくね?ってそうじゃなくてある人からライダーを全員呼んでくれって言われたんだわ」

「ある人?」

「はい、今から連れていきますんで着いてきてください」

 

 ライダーを呼ぶとは一体どんな用件なのか。因みに快斗君曰く、僕と京君をここに入れる事は既に当主から許可を得ているらしい。まぁそんな簡単に入れたら只事じゃないよね。長い廊下を歩いていくと下に続く階段に差し掛かる。

 階段を降っていくと一枚の鉄の扉を見つける。快斗君がノックしたが返事はなく、また快斗君はいる事を確認せずに入っていった。恐る恐る部屋の中を確認してみると部屋の電気はついておらず、代わりにマルチモニターのパソコンが部屋を明るくしていた。パソコンの前には椅子に座っている人がおり、その人は手元からカチャカチャと音を立てていた。音は手元からだけではなく足元からも鳴っていた。どうやら足の指でキーボードの操作をしているみたいだ。

 

「連れてきましたー」

「………………」

「連れてきましたよー?」

「………………」

 

 集中しているのか聞いてないその人は手足を動かし続けた。その姿を見て快斗君は溜息を吐き、深く息を吸う。そして部屋に響き渡る大きな声を発する。

 

「あー!!こんなところにエロゲの特典が!しかもこれ初期限定のなかなか手に入らないやつだー!!!」

「ナニッ!?何処だ何処だ!」

 

 探し回る男の人は眼鏡をかけており、まるで餌を探す獣の様に目を光らせていた。ところでエロゲって何?と京君に聞くと一瞬唖然とした顔をされたが知らなくて良いこともあると帽子を伏せて言われてしまった。

 

「んなモンねぇーっスよ」

「ハッ、騙したな快斗!」

「声かけたのに気付かなかったアンタが悪い!てか、S◯itchでエロゲしながら足操作でパソコンのエロゲすんな!ほら、連れてきましたよ」

「チッ、覚えておけよ………っと、君たちがイクサとスカルでいいのかな?」

「あっ、はい」

「そうだが?」

「ならよし。私の名は高城 遼馬(たかぎ りょうま)、ここの研究開発の第一人者だ。気軽にプロフェッサーとでも呼んでくれ」

 

 彼の説明が正しければ彼は弦巻家の研究者ということになる。つまり彼が快斗君のライダーシステムを作ったのか…?

 

「説明しなくても分かると思うが快斗のドライバーとメモリを作り出したのはこの私だ。良い出来だろう?」

 

 彼は自分の技術を示せて上機嫌の様だが京君は少しばかり不機嫌になっていた。無理もないだろう。何があったかはまだわからないが京君はメモリのことになるとよく不機嫌になる。

 

「今日はそんな事で呼んだんじゃない、話によると君たちは協力関係にあるらしいじゃないか。そんな君たちに私からのプレゼントだ」

「プレゼントだぁ?」

「ああ、これで少しは楽になるんじゃないかな?」

 

 プロフェッサーはさっきまでいたデスクに戻り引き出しを開ける。そこから錠前らしき物を取り出して僕たちに三人に投げる。それぞれが受け取り確認するとそこには果物の絵が描かれていた。

 

「それは簡単に言えばファンガイアやドーパントのサーチャーだ。奴らが街で暴れたした瞬間アラームが鳴って教えてくれる。アラームが鳴ってから果物の部分を開くとマップが表示されて場所が分かる。今まで直感を頼りにしていた名護君とかからすれば便利な品だろう?因みにまだ名前は決定していない」

 

 確かにそうだがなんで僕の名前を知っている?

 その答えは簡単だ。おそらく快斗君が教えたのだろう。しかし便利な物だ。今まで本能的に動いていたからこういうものがあると助かる。本能的に動いてファンガイアがいなかった時はある。

 しかしなんで果物?あと名前無いのこれ?

 

「なんで果物かって?私の趣味だ、良いだろう?因みに快斗はイチゴ、鳴海君はブラッドオレンジ、名護君はザクロにしてある」

「なんで全員赤なんだよ」

「私の趣味だ、良いだろう?(二回目)」

「アーソウダナ、イイシュミダナー」

「カタコトなのは気にしないでおこう。あとそれにはもう一つ機能がある。緊急時用の無線だ。説明書渡しておくからあとは自分たちで見といてくれ」

 

 説明が面倒くさくなったのか説明書を渡してプロフェッサーは席に着く。

 無線の機能は簡単であり、錠前の留め具部分を一回押して果物を開くと京君へ、二回押して開くと快斗君へ繋がるらしい。また、応答するときは錠前を開いて果物を開くと携帯を開いた形になるのでその状態で通通信が可能らしい。今度暇があればやってみよう。

 確認し終えた僕たちはプロフェッサーに声をかける。

 

「用件はこれだけですか?」

「ああ、今日はこれだけ。もう帰っても大丈夫だ。面白いことを思いついたらまた連絡させてもらうよ」

「ではありがとうございました。これ、使わせて貰いますね」

「壊れたら言ってくれ。その時は修理費もよろしく」

 

 金取るのかよという京君のツッコミにプロフェッサーは笑って受け流していた。部屋を出て階段を上がっていくと五人の女の子に会う。

 

「あら快斗、その人たちは?」

「ああ、俺の知り合いの人。そっちの人が名護新一さん、帽子かぶってる奴が鳴海京」

「なんで俺だけ呼び捨てんだよ」

「別にいいだろ」

「よかねぇ、これでも年上だぞ」

 

 その言葉を交わして快斗君はこっちに少女たちの紹介をする。

 どうやら彼女らは『ハロー、ハッピーワールド!』というバンドらしい。

 声をかけてきた子はヴォーカルの弦巻こころというらしい。そう、ここの御令嬢だ。とても元気なのだがここまで元気ハツラツな御令嬢は今まで見たことない。他にメンバーはベースの北沢はぐみ、ギターの瀬田薫、ドラムの松原花音、そしてバンドには異色のDJである奥沢美咲と紹介された。しかし本当のDJは奥沢さんではなくミッシェルというクマなんだとか。クマがDJをやるバンド………一体どんな音楽を奏でるのか謎である。

 しかしこの中で知っていたのは瀬田さんだけだった。彼女は羽丘高校で有名人である。口癖は儚いだとかなんだとか。

 

「新一、京、君たちのことは知っているよ」

「え、薫くん二人のこと知ってるの!?」

「ああ、彼らは私と同じ学校でね、数少ない男子だから知っているのさ。しかし、こんなところで二人に会えるなんて…ああ、なんて儚いんだ!」

「俺もお前のこと知ってるぜ。瀬田薫、羽丘演劇部のエースでありファンクラブの人数は数知れずってな」

「ほう、私のことを知っていてくれてるとは。儚い………」

 

 それは儚いのかな?まあいいや。

 そしてふと気になる。今何時だろう。時計を見るとそろそろお嬢様達の練習が終わる時間になる。となるともう帰らなくてはならない。

 

「快斗君、申し訳ないんだけど僕はそろそろ…」

「あ、お疲れ様です。今日はありがとうございました」

「ううん、こちらこそ。それじゃ」

 

 なんで快斗君はここで挨拶したんだろう。そんなことを考えながら後ろを振り向いた瞬間、またブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「新一ー?起きてー?」

 

 リサの声がする。何でだろう。さっきまで僕は弦巻家にいたはず。でも突然目の前が暗くなって………。

 あれ、どうしてだろ。思い出せない。どうやってここまで来たんだ?てかそもそも僕は今どこにいる?

 体を起こして辺りを見回すとそこはcircleの前のカフェだった。目の前には向こうに行く前に飲んでいたアイスコーヒーの入ったコップが置いてある。

 

「リ……サ………?」

「あ、やっと起きた。全くこんな暑いのに良く寝ていられたね〜」

「パラソルがあったからじゃないですか?しかし名護さんも昼寝なんてするのですね」

「意外ですよねー、新兄の事だからもっとこう優雅に待ってるかと思ってた!」

 

 昼寝をしていた?そんな馬鹿な、だってさっきまで僕は………あれ?どうやって行ったんだ?ていうか何してた(・・・・)んだっけ。

 ……ま、いっか。

 

「ごめんね、なんか迷惑かけちゃって」

「いやいや、そんな事ないよ〜。顔伏せちゃってたから寝顔は見られなかったけど、それはまた今度にするよ♪」

「今井さん、人の寝顔でからかうものじゃありませんよ」

「ごめんって〜⭐︎」

「あれ、お嬢様とりんりんは?」

「友希那さんとりんりんなら今次の予約入れてますよ!あ、ホラ!」

 

 あこちゃんが指差す方を見ると二人が出てきた。全員が集合し、その場で次の練習時間と日にちを確認して帰ることになった。

 歩いている最中ポケットがふと気になり手を入れてみると何か入っていることに気付く。

 なんだろう?とその物体を掴みながら取り出すとそれは見覚えがないけど知っている、ザクロの絵が描かれた錠前が入っていた。




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