青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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第3話 北欧のサムライ、喫茶店で働いてます

今日は羽沢珈琲店に来ています。勿論休み時間にお送りしています。最近練習時間はどうしても暇になるので散歩したりしている。戦うこともあるけど今日はこの喫茶店でゆっくり出来る。

 因みにさっきコーヒーを頼んだのでもうすぐ来るはずだ。暑い日が続いているけどたまには夏でもホットが飲みたくなる。そんな気分である。今日は客が僕しかいない。だからすぐに運ばれてくるだろう。

 時計を眺めて待っているとパタパタと音が聞こえてくる。

 

「………ちゃん、それ出したら上がって良いよ」

「ありがとうございます!それでは行ってきます!」

 

 どうやら僕のコーヒーを届けに来る子は今日はこれが最後の仕事らしい。返事もしっかりしていた子だし、元気で良い子なんだろうな。

 そして足音は近づいてくる。

 

「お待たせしました、コーヒーです!」

「ありがとうございます………」

 

 元気の良い声の方向を見ると見たことのある顔がそこにあった。日本人とは思えない白銀に近い髪色、アクアマリンの様な色の瞳。何故ここにイヴちゃんがいるのか。理解が出来ずにに固まってしまった。

 

「あれ、シンさん?」

「い、イヴちゃんなんでここに?」

「私、ここで働かせてもらってるんです!」

「へ、へぇ〜」

 

 焦っているわけではない、ただ少し驚いているだけだ。とりあえず落ち着くためにもコーヒーを一口飲む。温かい飲み物ということもあって落ち着いてくる。

 筈なのに汗が止まらない。何故だ?ここは空調が効いてないのか。それとも夏なのに暑いのを頼んだ僕が悪いのか。

 

「シンさん!」

「ど、どうしたの?」

「私、これで仕事上がるんですけど一緒にお茶しても良いですか?」

「あ、うん、僕少ししかいないけどそれでもいいなら構わないよ」

「ありがとうございます、少し待っててください!」

 

 パタパタとバックに入っていくイヴちゃんを見届ける。

 さて、こんなところでイヴちゃんにエンカウントするとは想定外だ。あれ以来会っていなかったものだから何か聞かれてもおかしくはない。まぁ適当に誤魔化すしかないか。

 さて、困った。さっきまで悩んでた問題が一瞬で解決してしまった。いつも通りにすればいいのに何故ここまで考えていたのか謎すぎる。

 とりあえずコーヒーを飲むと先程まで仕事着でつけていたエプロンを外しいているイヴちゃんの姿が見えた。

 

「お待たせしました!」

「大丈夫だよ、久しぶりだね」

「ハイ!シンさんとゆっくり話せて嬉しいです!」

「ハハ、まだ話せてないけどね」

「そうですね、何からお話ししましょうか」

「そうだね…イヴちゃん、今は学校とか行ってるの?」

「ハイ、近くの花咲川高校に通ってます」

「そっか、友達は出来た?」

「ハイ!皆さんとても良い人で────」

 

 それからしばらく話は続いた。どうやらイヴちゃんは日本に来てからは高校生をしながらアイドルをやってるらしい。それも僕のクラスにいる大和麻弥さんと同じPastel✳︎Palletなんだとか。しかもアイドルでキーボードをしているという。最近のアイドルは自分たちで演奏するものなのかと感心していた。

 学校生活はどうかと聞くと結構充実しているらしい。部活は剣道部と茶道部、華道部に所属しているらしい。なおかつここでバイトしている。どうやら知らない間にイヴちゃんは阿修羅の様になっていたらしい。

 特に剣道部については熱く語っていた。元々日本や武士が好きだったというのもあるらしいが本当の原因は僕にあるんだとか。

 そんな話をしていると店の扉がカランカランと音を立てる。二人して扉の方を見ると女の子が二人入ってきた。

 片方は金髪のロングヘアーのキリッとした感じの子。もう片方は水色の髪でふわふわした感じの子だった。視線に気づいたのかこっちを見ると笑顔を向けてきた。

 

「チサトさん!」

「あら、イヴちゃんじゃない。こんなところで奇遇ね」

「イヴちゃんこんにちは」

「こんにちはですカノンさん!」

「イヴちゃん、二人は知り合いの人?」

「ハイ、二人とも学校の先輩でチサトさんはパスパレのベース担当です!」

 

 だから二人はイヴちゃんを知っていたのかと感心すると金髪の子がこちらを向いてくる。実際近くで見ると背が低いにも関わらず大きく見せる雰囲気を持つ彼女は聞こえる声でハッキリと自己紹介をしてきた。

 

「初めまして、Pastel✳︎Palletベース担当白鷺千聖です。イヴちゃんがお世話になってます」

「こちらこそ初めまして、羽丘高校二年名護新一です。お世話になっているのはこちらの方です。話し相手にまでなってもらっちゃって」

「そんな事ないです、シンさんはとてもいい人です!」

「聞いてしまうのですが、どういう関係ですか?」

 

 どんな関係、か。それを聞いてくると答えに困る。説明しづらいと言えばしづらい。なにせあったのはほんの数回だから。

 ついでに何かを疑っているのかその笑顔が少し怖く感じる。それも仕方ないだろう。だって相手はアイドルだから。アイドルは恋愛御法度ってよく聞くからね。

 

「そう、ですね…迷子と保護者?の様な、ただの出会い頭?というか………」

「私とシンさんは師弟関係です!」

「「「………え?」」」

 

 その言葉を発したイヴちゃんは何故か自慢気だ。

 皆が何か言う前に言っておこう。

 僕は何も教えてない。少なくとも教えた記憶はない。

 

「な、何を教えてもらったの?」

「ブシドーです!」

 

 その言葉を聞いて僕は額に手を当てる。たしかに教えたね武士道。ただ概要しか教えてないはずなんだけどね………。

 

「お話よろしいですか?」

「構いませんよ。どうやらこちらも誤解を解かねばなりませんので」

 

 話を聞かせてもらうと伝えてくる白鷺さんの顔はまるで悪魔の様な笑みだった。それをかろうじて受け止めて弁解の余地を貰う。このまま話す前に水色の髪の子に名前を聞く。彼女は「前にも会ったことありますけど」と慌てながら自己紹介をした。「前にもあったことがある」という意味はわからなかったが松原花音という名前を聞いた瞬間ハロハピのドラムであるという情報だけは流れ込んできた。知らない情報のはずなのに何故知っていたのか、それは謎である。

 

「さて、では誤解を解きましょうか」

「ええお願いします」

 

 お願いしますという割には怖い笑顔をしてらっしゃる。アイドル以外に女優でもやっているのだろうか。とにかく今は誤解を解く他道はない。

 

「まず最初に師弟関係というところから否定しましょう」

「そうなんですか?」

「はい。たしかに武士道については教えましたが概要だけです。そんなに詳しく教えてません」

「ではシンさんは私に本当の武士道を教えてくれなかったんですね………」

 

 悪いことを言うつもりはなかったんだけどこのタイミングでその顔はやめて欲しいかな。

 見てイヴちゃん、白鷺さんが笑顔のままこっちに怒りのオーラを向けてるよ。

 

「それはホラ、イヴちゃんとまた会った時に教えようかなって…ね?」

「シンさん………!」

 

 笑顔に戻ってよかったけど、白鷺さんは未だにこちらを笑顔のまま睨んでいる。この人もしかして裏で微笑みの鉄仮面とかいう渾名つけられてない?

 

「コホン、纏めるとアレなのでイヴちゃんと会った時のことをストーリー形式でお話ししましょう。今は昔、竹取の────」

「知ってます!『竹取物語』ですよね!」

「正解だよ、本当に日本のこと勉強してきたんだね」

 

 イヴちゃんの頭を撫でると彼女は上機嫌になる。むしろ懐いてくる犬みたいだ。

 だがそれを許さない鉄仮面がこちらに満面の笑みを見せてくる。

 

「ふざけているのかしら?」

「すみませんでした。では改めまして────

 僕は十歳の時に家族でイギリスに旅行に行きました。その時一人で行動してたら周りをキョロキョロしながら何か探している子がいて、その子のことを見てたんです。

 そうです、その子はイヴちゃんです。

 そしてらイヴちゃんは暗い路地裏に入ってしまったんです。流石に危ないかなって思って行ったら怖い大人の人達がいて、その子に手を出そうとしてたんで止めに入りました。

 大人たちは僕を見るなり笑っていたのでちょっとだけお話をしたんです。そしたら慌てて逃げてしまって………。

 その後、イヴちゃんに何をしていたか聞いたら家族を探しているって言ってたんで一緒に探して無事に家族の元に帰せました。

 というお話です。あ、武士道については一緒に探してる時にお話ししてました。その時も日本が好きだって言ってましたので」

「なるほど、疑ってすみませんでした」

「いえ、誤解が解けて何よりです」

 

 うん、真偽を混ぜて話したから疑われる事は少なくともないはず。九割真実だしね。イヴちゃんが何か(・・)に気づかなければ大丈夫なはず。

 イヴちゃんの方を見た瞬間イヴちゃんはこっちを見て唖然としていた。そして机を叩いて立ち上がった。

 どうしてだろう、嫌な予感がする。

 

 

「それは違います!」

 

 

「い、イヴちゃん!?」

「違うって…どういう事ですか?」

「え、どうしたのイヴちゃん」

「どうしてシンさんはあの事(・・・)を黙ってるんですか?」

「あの事って…何もなかったしソンナコトシラナイナー」

 

 

「その言葉、斬らせてもらいます!」

 

 

 どうしようさっきからやってる事が学級裁判みたいになってきてる。裁判自体はやった事はないけど。

だとしてもあの事は喋らせるわけにはいかない。今の僕はあくまで一般人、普通の人と思わせる為にも。

 

「落ち着こうイヴちゃん、僕が何を──ッ!」

 

 止めようとした矢先白鷺さんが僕の口に手を当てる。

 しまった、この人ここまでするのか。流石に計算外すぎる。

 

「イヴちゃん何があったの?」

「実はさっきの話にウソがあって、お話してないんですシンさんは」

「お話ししてないって……どういう事?」

「〜〜〜!〜〜〜〜〜!(離してください!イヴちゃん喋っちゃ駄目ー!)」

「シンさんは路地裏に入った私に暴力を振おうとする男の人達から守ってくれたんです!」

 

 その場に沈黙が走った。だめだ終わった。ただの一般人です作戦失敗した。

 

「私、あの時その人たちが怖くて泣きそうになった時にシンさんが来てくれたんです。そしたら今度はシンさんが殴られそうになって………でもシンさんは強いんです!男の人達をバッタバッタと倒して退散させてしまったんです!」

「本当………なんですか?」

 

 言葉を発せないので躊躇しながらも頷く。手なら外そうとしたけど意外と強すぎて離れなかったから諦めた。

 

「しかもその後泣きそうだった私にアイスを買ってくれたんです!その時のアイスの味は忘れられません♪」

「………名護さん、あなた一体何者ですか?」

「………」

「いや、何か言ってくださいよ」

「千聖ちゃん多分それだと喋れないんじゃないかな…?」

 

 はい、全くもってその通りです。

 松原さんは困った様な笑顔を見せながら白鷺さんから解放してくれる。感謝します。

 一方白鷺さんはごめんなさいと謝ってくる。大丈夫ですというジェスチャーを取っておく。

 

「ハハ、ちょっと武道の嗜みがあるだけですよ」

「そうなんだ………」

「では、イヴちゃんとは何もないって事で大丈夫そうですか?」

「はい、その通りです」

「シンさんは私にとって恩人です!」

「なんかその…色々疑ってすみませんでした」

「いえいえ、こっちこそ隠し事をしていたせいでこんな事になっちゃって。お詫びと言ってはなんですが奢らせてください」

「悪いですそんな………!」

「大丈夫です、お金はありますから」

 

 席を立ち上がってお店の人のところへ行く。そして追加注文で三人にケーキを出す様に頼んでお会計を済ませた。出口の扉に手をかけた瞬間声をかけられた。

 

「あっ、あの!」

「なんでしょうか松原さん」

「快斗くんとはどういう関係なんですか…?」

 

 そういえば他の人は僕たちの本当の関係を知らないんだっけ。戦場であったなんて言えないし。

 

「この前パン屋で会ったんですよ。彼、カレーパンとメロンパンで悩んでまして。つい話しかけちゃったんです」

「あ、そうなんですね。快斗くんにも友達いたんだ〜」

「そういう感じです。あと皆さん敬語なしでも大丈夫ですよ」

 

 最後に気を緩められる様に声をかけて店を出る。しかし最後に疑問が残る。

 何故松原さんは快斗君のことを知っていたのだろう。弦巻家の知り合い………とかかな?(※間違いではない)

 




弦巻家の黒服の一人
大道 快斗(ダイドウ カイト)


【挿絵表示】


15歳(花咲川高校一年生) 男 血液型B型
誕生日 八月十九日
家族構成 不明  得意楽器 ギター
ライダーシステムであるロストドライバーの使用者。使用メモリは『エターナル』。
得意な事・好きなもの
運動、肉、麺細め&硬め超絶マシマシもやしチャーシュー2枚味玉三つのニンニク大盛り味噌ラーメン
苦手な事・嫌いなもの
勉強、野菜(ただし野菜ジュースは好きだという)、刺身などの生魚、麺細め&硬め超絶マシマシもやしチャーシュー2枚味玉三つのニンニク大盛り塩ラーメン
性格 自由奔放(戦闘は楽しむタイプ)、敬意は自分より強いか弱いかで決める。
 とある事情により弦巻家に引き取られた。幼少期から弦巻こころを守る事を教えられそのための傭兵となる。指揮などは基本的に言うことを聞くが細かいことを自分で考えるのが苦手なため指揮官レベルにはならなかった。
 しかし本人自体の戦闘スキルは高いため単独行動権などが与えられている。基本的にナイフによる戦闘を得意とし、常時数本のナイフを携帯している。このためかライダーシステムを纏った時もナイフを複数使って戦闘をすることも多々ある。
 彼の仕事は大きく二つで一つは弦巻こころのガードマンである事。もう一つは仮面ライダーエターナルとして街を脅威であるファンガイアから守る事である。
 普段は弦巻こころの友人的立ち位置ではあるが実際はガードマンをしている。しかし周りに知られてはいけないため、友人の様な立ち回りをしながらあまり知らない様に見せている。
 メモリの件で過去に苦い記憶があり仮面ライダースカルである鳴海京を見た時は憎しみなどが宿ったが今は本人とも和解(?)をしたため関係は良好である。
 ただし本人曰く
「京?アイツは本気出した俺には絶対勝てないから年上だろうが敬語なんて使わねぇ。あとラーメンの副菜はアイツは餃子派らしいが俺は春巻き派だ」
との事である。

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