(このバンド……ギターだけ上手くて、あとは話にならない。バランスが悪すぎるわね………)
ある日僕たちはcircleにライブのために来ていた。お嬢様の出番は少し後なので他のバンドを二人で見ていた。すると隣でお嬢様が審査をする様に見ていた。実際に真似してみると分かってしまう。今見ているバンドはギターだけが上手く他は所々パフォーマンスでどうにかしているようだった。だけどお嬢様はそれよりもギターの子だけをまじまじと見ていた。
(……あの子……あのフレーズが弾ける技術もだけど土台になる基礎のレベルが尋常じゃない………)
(普通に練習して身につくレベルじゃないよね、あれ………)
(いったい毎日どれだけ弾いてるの………?)
考え事をしているといつのまにかライブは終わっていた。
「…ありがとうございました」
ギターの子がそう告げると客席からたくさんの歓声が聞こえてきた。そしてその言葉にお嬢様が小さく反応した。
「紗夜ーーーっ!最高ーーーッ!」
「紗夜…」
「!ねぇ、あれ湊友希那じゃない?………近くで見ると迫力あるよね」
「しっ、聞こえるよ…友希那は気難しいって有名なんだから」
「………」
すると出演バンドの一人が話しかけてきた。
「あ!友希那さん、この前はどうも…」
「…」
それを聞いた途端興味がないようにお嬢様はスタスタとスタジオから出て行ってしまった。一人にするわけにもいかないので出演バンドの人に会釈してその場を離れた。
「あれっ。……行っちゃった。話しかけたの気づかなかったのかな?」
「知らないの?友希那って『レベルの合わない人間とは話さない』んだって」
「えっ、なにそれ。確かにめちゃくちゃ上手くてすごいけど、ちょっと酷くない?」
「スカウトの話もよく来るらしいし、あたし達みたいなアマチュアとは、違うって思ってるんじゃない?」
後ろの方から雑音のような会話が聞こえてきたが、お嬢様は顔色一つ変えずに去っていった。これからの支障を出さないために念のためフォローをしておくことにする。
「お嬢様、あのような言葉気にしなくて構いません。あれは嫉妬ですから」
「………」
(なんと言われようが別に構わないわ…私はやるべきことをするだけ………)
そのまま歩いて行き、ラウンジに出ると突然大声が聞こえてきた。
「もう無理!あなたとはやっていけない!!」
「「!」」
「…私は事実を言っているだけよ。今の練習では先がないの。バンド全体の意識を変えないと…」
声の方を見てみると『紗夜』と呼ばれる子とそのメンバーがもめていた。話の内容を聞いているとどうやら目指すものが紗夜とメンバーじゃ全く違うらしい。だけど紗夜の考えはお嬢様にそっくりだった。しかも高校生である。もしかしたら…そう考えていると紗夜たちは喧嘩別れする様に他のメンバーの人たちがどこかに行ってしまった。それを見届けると紗夜がため息を吐くなり、こっちに気づいた。
「………っ!…ごめんなさい、他の人がいるのに気づきませんでした」
「さっき、あなたがステージで演奏しているのを見たわ」
「…そうですか、ラストの曲、アウトロで油断してコードチェンジが遅れてしまいました。拙いものを見せてしまって申し訳ございません」
「!確かにほんの一瞬、遅れていた。でも…ほとんど気にならない程度だったわ。新一、あなたは気付いた?」
「いいえ、ほんの一瞬だったのであまり…」
(…あれがミスって言うなられ相当な理想の高さ。…この子となら、…もしかしたら)
ほんの少しの間お嬢様は何かを考える仕草を見せていたが、すぐに結論を出したような表情をとってある言葉を言い放った。
「紗夜といったわね。あなたに提案があるの。…私とバンドを組んで欲しい」
「………え?」
──────────────────
(なんだろう……?連れてきてもらったこのカフェ……入ってからずっと、隣から音楽が漏れてくる…随分と大きな音みたい)
私は今日、あこちゃんに連れられてカフェに来ていた。あまりそういったところに行ったことが無かったためよくわからなけど、カフェは大きな音がよくするのだろうか。隣の場所から大きな音が聞こえてくる。
「でねっ、ダンスの振り付け考えて部活に行ったんだけどリサ姉っていう先輩が、いいねって言ってくれて!……って聞いてる〜?りんりん?」
「あ…うん…聞いてるよ………あの…この音…って…」
この音のことを聞いてみるとあこちゃんは、目を輝かせながら逆に聞き返してきた。
「ふふっ、気づいたねー。りんりん、予想通りっ!それじゃあ問題!このカフェの横にあるものはなんでしょう〜?」
「…え……?」
「りんりんさ、ライブハウスってわかる?」
予想外の返答に私は混乱してしまった。
──────────────────────
「私とあなたで………バンド?」
目の前の少女は聞き返すように声を漏らした。顔付きはすぐに戻り質問を返してくる。
「すみませんが、あなたの実力もわかりませんし、今はお答えできません。私はこのライブハウスは初めてなんですが、あなたたちは常連の方なんですか?」
「はい、この方は湊友希那。今はソロでボーカルをしています」
「!あの湊友希那ですか!?…でも貴方は…?」
お嬢様の噂が流れているくらいだ、知っていて当たり前だろう。だけど流石に僕のことまでは知らないらしい。
「ああ、申し遅れました。お嬢様の執事兼ボディガード諸々やってます、名護新一と申します」
自己紹介をし会釈すると、向こうも会釈を返してきた。
「お嬢様はFUTURE WORLD FES.に出る為のメンバーを探しています。貴女位なら、聞いたことないでしょうか?」
「! 私もFUTURE WORLD FES.には、以前から出たいと…でも、フェスに出るためのコンテストですらプロでも落選が当たり前の、このジャンルでは頂点といわれるイベントですよね。私はいくつかバンドを組んできました。けれど、アマチュアでもコンテストには出られるとはいえ、実力が足りず、諦めてきた………」
(私は『あの子』と比べられない為に、必死でやってきた。でもいつも、肝心のバンドが私についてこない。もうこれ以上、時間を無駄にしたくない……)
「ですから、それなりに実力と覚悟のある方とでなければ……」
F.W.Fの話を出すとこのイベントの概要を淡々と話してきた。目に調べた通りの情報だったがわかりやすかった。だけど、本人も目指すなりに本気ということを話してきた。
「あなたと私が組めばいける。私の出番は次の次。聴いてもらえればわかるわ」
「待ってください。例え実力があっても、あなたが音楽に対してどこまで本気なのかは、一度聴いたくらいではわかりません」
「それは私が、才能があっても、あぐらをかいて努力しない人間のように見えるということ?私はフェスに出るためなら、何を捨ててもいいと思ってる。あなたの音楽に対する覚悟と目指す理想に、自分が少しも負けているとは感じていないわ」
「残念ながらお嬢様は貴女を気に入っているみたいですので、断ろうとしているなら諦めて下さい。それに実力は十分以上だと推しておきます」
お嬢様が認めた逸材だ。流石に逃すわけにもいかないので釘を刺しておく。すると紗夜さんは考えた後に答えを出した。
「……わかりました。でも、まずは一度、聴くだけです」
「いいわ、それで充分よ」
「やりましたね!お嬢様、今日はどうしますか?ソロでいきますか?それとも音入れますか?」
「そうね………久しぶりに入れましょうか」
紗夜さんに実力を見せるため、なるべく目立たないようにするが、本領を発揮させるためにお嬢様に何を歌うのかを決めてもらう。それで今回やる楽器が決まる。あとの時間でそれの用意をして準備をする。そして時間は経ち、その時間がやってくる。
紗「彼女の実力を見れると思ったんですが…次回まで待つことになるとは」
新「仕方ないですよ、そろそろ出さないと待ってくれてる人たちに申し訳ないですから」
紗「…そうですね」
新「じゃあ次回予告しちゃいましょう」
紗・新「次回 世界で2番目にかっこいい闇(?)のドラマー降臨!」
紗「次回も楽しみにしててくださいね」
壁の色を変えるとしたら?
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色分け
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上塗り