「君とは戦ってみたかったんだ♪」
「そんなことも言ってたね。でも一つだけ聞いて良い?」
「何?」
「なんで京君の友達を殺したの?」
「うーんそうだなぁ……分かりあえなかったから、かな」
「そっか。じゃあ僕達も分かりあうことは不可能かな」
「残念だなぁ。けど、楽しませて貰うよ!」
にぃと歪ませた顔をした彼は姿を変えて襲いかかってきた。対応するように変身してイクサカリバーで応戦すると火花が散るような音がする。振り払うように横に振り抜くと飛び跳ねるように下がる。距離が空くと首を回して体を慣らすようにしているのが分かる。今刃を交えただけで分かった。彼は間違いなく強い。おそらく伊達に強くなったわけじゃない。けれどそこに邪悪なものを感じる。足に力を入れるとお互い同時に接近し、剣技を交えていく。だが気味が悪いように感じた。繰り出す攻撃は先を読まれているかのように躱されたり防がれたりする。まるで僕の技を知っているかのような行動ばかりだ。ただ、向こうの攻撃も知っているものだった。どこかで見たことがある。いや、これは受けたことのある攻撃だ。でもなぜこの剣術を彼が知っているんだ?
「ハハ、君の攻撃見たことあるからわかっちゃうよ。けど気持ち悪いな。俺の攻撃まで読まれてるなんて」
「それは僕も同じだよ。なんで君が知ってるのかな」
「さぁ?けど、それだけじゃ物足りないからもうちょっと遊ぼうか!」
興が乗ったような声で接近してくる彼を薙ぎ払うように剣を薙ぐと読んでいたように跳び上がる。だが今までの戦い方を見ている限りどうするべきかは簡単に考えられるだろう。故に着地する地点に向かってブロウクンファングを撃ち込んだ。着地地点を崩すことによって油断させているうちに斬りかかる作戦だ。しかしそれも読まれたのか羽を広げて空を舞っている。
「センスいいね。油断してたら死んでたよ」
「君こそ……さっきから使っている剣術、やっぱり繋がってるんだね」
「あ、バレた?といってもなんの事か分からないけど。けどさ、君、
気づかれていた!?といっても当てずっぽうで言っているかもしれない。だけど気づかれたとしたらかなり厄介だ。こういう敵は大体本気を出させようとしてくる。となるとどう仕掛けてくるか分からない。そして何より僕が
「もっと本気出してよ。じゃないと死んじゃうよ?」
「死なないよ、まだやることがたくさんあるからね」
「じゃ、本気出させてやるよ」
その声と同時に彼は目の前から姿を消し周りに目を向けると草木が揺れ風が通るのを感じた。おそらく高速移動して襲う機会を狙っている。仕方ない、自分のモードを変えよう。今は仮面ライダーではなく執行者としての自分を取り戻せ。感覚を研ぎ澄ませ。敵が来る方向を完全に予測しろ。集中を高めた時に右に突きを放つ。当たる事を直前に気づいたのかギリギリのところで避けられる。だがすぐに起き上がって剣のぶつけ合いになった。だがその場から離れるように振り払ってからバク転で下がると警戒したのか彼も下がっていく。僕と彼の間には銃弾が飛んでいっている。飛んできた方向を確認するとそこにはメモリを使うライダー達がいた。
「何外してんだよ」
「うっせ黙ってろ」
「京君、快斗君…!」
「待たせたな」
「すいません、新一さん。俺、貴方に失礼なこと言って………」
「ううん、大丈夫。ちゃんと戻ってきてくれただけでも嬉しいよ」
「新一さん……!」
「なんだ、死んでなかったんだ」
期待していないかのような声を出す方を見てみると皇獅郎が突っ立っていた。
「そのまま消えればよかったのに」
「残念だがお前みたいなヤツじゃなかったんでな」
「この間の借りを返してやるよ」
「二人とも…」
「新一さん、一緒に戦ってくれませんか?俺、これからもっと強くなるんで。あんなやつなんか軽く超えてやります!」
「勿論!」
「お前らいくぞ!」
「「変身!」」
『スカル』
『エターナル』
京君と快斗君は変身して姿を変える。京君はいつもの姿だったが快斗君の姿は変わっていた。赤かった炎が蒼く、前よりも光を灯しているようだった。気合いを入れてテンションを上げている彼は号令をかける。
「それじゃあ行きますよー………ready?」
「「「GO!!」」」
全員で声を出して走り出していく。僕と快斗君は散開するように左右に分かれていく。その間を京君が割くように銃撃する。その弾丸を皇が避けると快斗君がナイフで斬りつけていく。ブレードで対応しているところに僕も斬撃を繰り出していく。翼を広げて回避しようとするが京君が追撃で撃ち落とす。地に落ちたところを二人で攻撃しにいくとうまく受け流されて距離を取られる。それでも僕たちは攻撃を続け相手の体力を削っていく。体制を崩して攻撃を仕掛けたりする。それでも彼に大きなダメージは与えられず小さなダメージしか与えられなかった。だけど確実に傷を与えていき時間が立つ頃には相手を追い詰められる状況にあった。
「流石に三対一は冗談キツイなー」
「いくらアンタでも俺たち三人は無理があるだろ」
「獅郎、お前は必ず地獄に落とす」
「はっ、やれるもんならやってみろよ!」
戦闘が再開される。奴のブレードを僕が受け止め、快斗君がメモリを行使して追い込んでいく。ただ一つさっきと違ったのは京君も近接に参加し始めたことだ。拳を振るう彼に対して避けながらも攻撃を出してくる。それでもギリギリ出せる攻撃なのか避けるのは簡単だった。僕と京君で挟み撃ちにすると彼は跳んでから羽を広げた。どうやら空という得意の領域で戦うつもりらしい。たしかに空にいれば有利に戦えるだろう。しかし空を舞いながら剣を構える彼を背後から地に叩き落とす者がいた。
「空が自分のモノだけだと思うなよ?」
「テメェ……ザコ如きが……」
「ザコなんかじゃねぇ。俺は大道快斗、この世界の笑顔を守る最強のライダーだ!」
快斗君が羽を広げて威勢をかますと京君が手を口に当てるようにして話しかけてくる。
「あれ絶対後で顏赤くするヤツだよな」
「そういうのは静かにしておくものだと思うよ」
「全部聞こえてるんだよ!!」
地に降り立った快斗君は隠すように声をあげてくる。まぁまぁと抑えつつ皇の方を見ると笑いながら立ち上がってくる。何がおかしいのかそれとも狂ってしまったのか。おかしくなった彼は声をあげて笑っている。
「ハハハ、面白い。ならばまずお前から殺してやるよ!」
「二人とも、確実にやるっスよ!」
「ああ、やってやるさ」
「何もかもここで片付けよう」
僕たちは彼を囲むように配置につき、必殺の構えを取る。邪魔をするように動こうとする彼は一歩も動けなくなっていた。なぜなら彼の足元が凍っていたからだ。足元から伸びている氷の線を辿ってみると快斗くんの足元に辿り着いた。いつの間に使っていたのだろう。相手の動きを封じ込めたところで全員跳び上がりライダーキックを放ちにいく。しかし、皇に当たる寸前目の前に数多の雷が現れる。その雷に直撃し、技は失敗に終わる。変身が解除されることはなかったが狙った場所に皇の姿はなく後ろの方に二つの気配を感じた。二人の安否を確認しつつ後ろを見てみると二人の怪物が立っていた。片方は皇獅郎、もう一人は白が基調の怪物だった。
「助かったぜ、危うく本当に負けるところだった」
「君は強いけど慢心は感心しないねぇ」
「お前は……?」
「おっと失礼。私は井坂深紅郎、『whether』のメモリを使っている者だ。そして今日は代表して名乗りを挙げにきた」
「名乗り……?」
白い男は天に指を突き、高らかに声を上げた。
「園崎の代理としてここに告げる!我々園崎は我らが技術を使い、世界を我らの手中に収める!!」
「はぁ!?」
「ガイアメモリを使い、我らがこの世界の頂点に立つ!さぁ立ちはだかってみるがいい!名護だろうが弦巻だろうが我らの進軍を止めるのであれば容赦はしない!!全力を持って叩きのめしてくれよう!!!」
目の前の男たちの言っていることはこうだ。世界征服を開始する。邪魔するものは全て排除する。
普通の人が聞いたら一瞬では理解できないであろう。何より僕は理解できない。いや、理解したくないのだ。でも目の前の男たちの力を見る限り嘘ではないだろう。
「アンタら何言ってるんだ!?」
「世界を敵に回す、ってことでいいんだよな?」
「今の世界を壊し、我々が新しき世界を創生するのだ」
「本気……なのか?」
「本気も何もこれから始めていく。すでにここにあるように準備は出来ている。余興は終わり、本番が始まる」
彼らは不敵に笑い、宣戦布告をした。これからとんでもない戦いが始まる。人が、人を恐怖で支配する世界を作ろうとしている。
「そんなことさせない。僕が、僕たちがその理想を破壊する!」
「そうッスね。お前らをぶっ倒して笑顔の世界を作り上げる!」
「ああ。お前らから世界を守ってやる。そして獅郎、俺はお前をぶっ殺す」
皇はブレードを肩にかけて顎を上げている。睨み合うような状態がしばらく続くと井坂と名乗った男は手を広げるようにして静寂を引き裂いた。
「まぁ今日は宣戦布告だけしてこいと言われたから帰るとしようか」
「なっ!」
「それではまた会おう諸君。さらばだ」
井坂は雲のようなものを作り出し、皇と共に姿を眩ませる。快斗君が煙を晴らすとその場には誰もいなかった。僕たちは変身を解除し、今回の状況を話し合う。
「これから戦争が始まるんすかね」
「戦争というよりかは対世界征服みたいな感じだけどな」
「確かにね。けど悪いことだけじゃないんじゃない?」
「え?」
「まぁな」
「だって快斗君が戻ってきてくれたんだし、戦力は申し分ないよ」
「新一さん……」
「改めておかえり、快斗君」
「た、ただいまっす」
「うわぁ、家出した息子が帰ってきたみたいだ」
「テメェ!」
「ま、よく戻ってきたってことだけは言っといてやる」
「お、おう」
快斗君は照れたのか背中を見せてくる。
「じゃ、あとは弦巻家に報告して状況整理だね」
「その前にやることあるだろ」
やること?報告が先だと思うけど………
「新一の特売の買い物行くぞ。快斗、お前荷物持ちな」
「は!?」
「迷惑かけたんだ、それくらいやれ」
「新一さんの荷物くらいなら持ってやるわ」
「ほら行くぞ新一」
「う、うん!」
久しぶりに私情で三人で行動したが、前の時よりもはるかに楽しかった。
次回でこの章終わる予定です。
壁の色を変えるとしたら?
-
色分け
-
上塗り