青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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今回で第三章終わります!


最終夏 始まり

「当主、連れて参りました」

「下がれ」

「はっ」

 

 現在僕たちライダーズは弦巻家に連れてこられています。勿論さっきまでスーパーにいました。欲しかった特売品は全て手に入れ、今日の晩御飯の物なども全部買って帰ろうとしたところでした。スーパーを出た瞬間黒いリムジンに乗せられ現状に至ります。そしてここにくるとほとんど考えてしまうのですが弦巻の当主って出番ちょいちょいありますよね。

 

「名護新一君、鳴海京君、よくきてくれたな」

「まさかこの人が弦巻家代表か?」

「その通りだ」

「マジかよ………」

「当主様、我々を呼び出したのはやはり」

「ああ、園崎家の動向だ。宣戦布告をされた限り我々は世界を守らなければならない。そして一番の適役である君達にその役目をお願いしたい」

「僕は本来の仕事がありますので基本的にそちら優先でも構いませんでしょうか?勿論ファンガイアやドーパントは倒しますが」

「構わない。戦ってくれるならそれだけで十分だ」

「報酬は?」

「君達が望むものを可能な限り用意しよう。何、これでも我々は世界を滑る者だ。無理難題じゃない限りは可能だ」

「そうか、だが俺は獅郎を殺すためにライダーになった。だから獅郎が出て来れば俺はすぐに外れる。それでも良いなら協力する」

「お前、当主に向かってなんて口を!」

「いい、あくまでこちらはお願いをする側だ。君の言いたいことは分かった。お願い、いやこの場合は依頼すると言ったら良いのか、探偵」

「流石は弦巻だな。その依頼受け取ったぜ」

「こちらも依頼する側として協力をさせて貰おう。ここにある練習場なども好きにするといい。情報提供も惜しまずやることを約束する。それでいいかね」

 

 本来の仕事の幅が少しばかり大きくなった程度だと思いたいところだが実際はとてつもなく強大な組織を相手にすることになっている。だがやる事は大して変わらない。お嬢様の生活に害をなす者は全て排除する。たったそれだけだ。各々が了承し、戦闘に対する方針は定まった。

 

「よし、ならば今日は解散だ。期待している」

「あの、当主」

「なんだ?」

「俺はこれからどうなるのですか?」

「何故だ?」

「俺は暫くの間無断で欠勤していました。その分の罰は免れられるものではないと」

「無断欠勤?お前は潜入捜査をしていたんだろう?」

「…!」

「その間に何があろうが娘を守っている。タスクをこなしているのだから問題は無いはずだが」

「…失礼しました。お先に失礼します」

 

 そう言うと快斗君は一礼してから部屋を出て行った。彼の背中を見送った僕達は改めて当主の方向を見る。今日に限っては人が多いためか顔出しはNGらしく顔ははっきりとは見えない。

 

「名護君鳴海君、快斗のこと感謝する」

「何もしてねぇよ、アイツが変わったんだ」

「はい、僕達は何もしていませんので」

 

 僕たちも快斗君を追いかけるよう一礼をして部屋を後にする。部屋を出ると広い廊下を目の当たりにする。夏故に外は暑いのだがこの廊下は冷房が効いているのか肌に心地よい涼しさだった。

 

「さぁて夏休みももう終わるのか」

「そうだね。宿題ちゃんとやった?」

「そんなことよりうな重食おうぜ!」

「土用の丑はもう終わってるよ」

「ちっ、あと少しで終わるっての」

「なら良かった」

「あの、新一さん」

 

 後ろの方を見てみると快斗君の姿があった。何やら気まずそうな顏をしている。

 

「どうしたの?」

「本当にすみませんでした。力の意味をちゃんと教えてくれてたのにずっと失礼なこと言ってて……」

「さっきも言ったけど、君が今ここにいるって事はきちんと理解してくれたってことだと思うから大丈夫。それだけ伝われば僕は十分だよ」

「ありがとうございます……!」

「俺に言うことはねぇのかよ」

「あ、あぁ、ありがと」

「それだけかよ!」

「…感謝はしてる」

「へっ、素直じゃねぇの」

「まぁまぁ。結果的に良かったじゃん、快斗君も戻ってきたんだし」

「じゃ、これからもよろしくお願いします!」

 

 さっきまでの気まずそうな表情とは違いいつもの笑顔になった。やはり彼は笑っている時の方がいい。その方が無邪気さが出て安心する。

 

「新一これからどうすんだ?」

「さっき買ったもの冷蔵庫に……ってどうしよ、買ったものそのままだよ冷蔵庫に入れてないよ!?」

「ご安心下さい、全てこちらにございます」

 

 やばいやばいと焦っていると黒服の人が出てきて荷物の袋を持ってくれている。中身を確認すると買ったものがきちんと入っていた。お礼を告げると社交辞令を交わしてその場を去っていく。話のキリも良かったのでその場で解散し、それぞれ帰宅していった。といっても僕と快斗君は仕事に戻るといっても過言ではなかった。一度家に戻るとちょうど家を出るタイミングだったのか玄関でお嬢様と鉢合わせとなった。すぐに追いかけると伝えるとすぐなら待つと言われ、急いで準備を行い玄関に戻って家を出た。その後はいつも通りの光景だった。練習の合間時間になって水を飲んでいるとあこちゃんが駆け足で寄ってくる。

 

「新兄、新兄」

「どうしたのあこちゃん」

「リサ姉のプレゼント決まった?」

「まぁまぁ……かな?」

「よかった!またあとで話があるから!」

 

 などと言いつ、考えていなかった。前前々回あたりに考えておかなきゃとかいってたのに考えてなかった。というか女の子にプレゼント自体渡したことないや。……いや、同僚の人とかには渡したことあるよ?任務先で何か買って渡すぐらいは。けど最近の女子は何が欲しいかわからない。となるとどうするべきだ?ネットで調べても多分多いだろうし、ジャンルごとに分かれているだろうから多分迷いはする………あ、そうだ。こんな時のための彼じゃないか!そう思い立てた僕はポケットからスマホを取り出してとある人に連絡を取る。

 

『女の子に誕生日プレゼントあげるとしたらどんなのが良いと思う?』

『は?急にどうした?』

『実はリサの誕生日があと少しで来るんだよ』

『なるほどな。いっその事自分がプレゼント~なんてどうだ?』

 

 つまり欲しいものが判らなければ本人に委ねる形にすれば良いということか!流石は京君、頭が良いな。

 

『それもありかもしれないね。ありがとう、参考になったよ』

『え、ま?』

 

 最後のメッセージは多分生返事的なものだろうと思いスマホを切ってポケットの中にしまう。よし、ならあとは当日に本人に伝えるだけだ。

 練習は再開され、時間が過ぎていくと解散になった。練習の後リサはまたバイトで先に帰っていった。残った五人で話し合いを始めていく。といっても話す内容はプレゼントは手に入れたかなどの確認時事項なので特にこれといったことは無かった。そして話し合いの最中に気づいたのは誕生日本番は明日だということだ。さっき準備できて本当によかった。焦って変なもの渡したら大変なことになっていただろうからね

 

「じゃあ明日の練習後皆で一気にプレゼントを渡す形でよろしいですね?」

「はい!」

「あ、あの…」

「どうかしたの燐子」

「もし……良ければ……一緒に……パーティーなんて、どうでしょうか?」

「それはいいかもしれませんが、どこでやるんですか?」

「それならそのままスタジオでやればいいんじゃないですか?」

「予約が入ってるかもしれないわよ?」

「大丈夫だよー」

 

 声のする方向を確認するとまりなさんがこっちに手を振っていた。どうやら事情は聞いていたらしく既に確認していてくれたらしい。少し話し合い、貸していただくことにした僕たちは礼を言ってその場から離れる。パーティー用のグッズとかは簡易なものであるが僕が用意することになった。確認事項も全て終わったので今日はここで解散となった。それぞれは(今度はちゃんと)帰宅していった。僕たちは家に着くと僕は家事をし、お嬢様は自室へ戻っていった。そしていつも通りに夜ご飯を済ませ、残った家事を終わらせると今日は終わった。

 翌日となり、準備を済ませてcircleへ向かう。今日も暑いですねなどと声をかけるとそうねと返事が返ってくる。最初の頃に比べたら反応が豊かになったものだなと今に思う。今日は午前中から行い昼の三時まで練習するといったスケジュールだ。お昼休憩が終わった辺りから僕は外に出る。一瞬向かっている方向にファンガイアの反応があったが京君がすぐに撲滅したとのことで気にせずスーパーに向かった。小さめのクラッカー、500mlサイズの飲み物、あとは軽く摘めるお菓子があれば十分かな?すぐに買い物を終わらせてcircleに向かっていく。イクサリオンを使えばすぐに着くし風も気持ちいいのだろうが今日は帰りにお嬢様もいるので使っている余裕はない。本音を言うと二人乗りに自信がないのといざとなった時危険に晒したくない。

 さぁ、そんなことを考えているうちにcircleに着いた。時間を見るとあと十分で練習は終わるのでナイスタイミングと言ったところか。袋の中身が見えないようにしつつ部屋に入っていく。すでに掃除は始まっておりすぐに手伝いに入る。掃除が終わると次の練習の予定を組み立て始める。ライブも控えているため無理はしすぎないようにとのことだ。その連絡が終わると帰ろうかとリサが席を立つ。その瞬間にクラッカーの音が鳴り響く。

 

「「「「「リサ(姉)(今井さん)

    誕生日おめでとう(ございます)」」」」」

 

 掃除の時にこっそり渡していたおかげで順調にやることができた。クラッカーを受けたリサは驚いた表情のままこっちを見渡している。

 

「え、皆用意してくれてたの?」

「祝うという点では発案者は宇田川さんですが、パーティーという点では白金さんがです」

「あこ、燐子本当?」

「うん、リサ姉なら絶対喜んでくれると思って!」

「普段…お世話になってますし……」

「そんなことないよ〜けどありがとうね、三人も」

「じゃあプレゼント出しちゃいましょ!」

 

 皆が皆リサにプレゼントを渡していくと照れたように受け取っていく。どうやら順調に事が進んでいるようだ。これなら僕もプレゼントも問題ないかな。

 

「最後新兄だよ!」

「う、うん」

「新一は何をくれるの?」

「プレゼント、考えたんだけど物じゃどうすればいいか分からないから僕にしたよ」

「………え?」

 

 スタジオ内に沈黙が走った。あれ?僕何か間違えたこと言ったかな?京君が言ってたことをそのままやってるはずなんだけど………どうしてだろう、紗夜さんは何かゲテモノを見たような目で見てくるし、あこちゃんは理解が出来ていないみたいだ。りんりんは混乱しているしお嬢様は無表情のままだ。よかった。お嬢様は理解出来ているみたいだ。でも渡された当人は顔を真っ赤にしているんだよな…。

 

「え、えっと新一さん。それはどういう意味?」

「簡単にいうと僕になんでもお願い出来る券」

「そ、そうだよねー(焦ったー!!!///)」

「あ、でも」

「で、でも!?」

「僕が出来る範囲ね。お嬢様に許可を得なきゃいけないかもしれないし」

「わ、わかった///」

 

 どうやら解決できたらしい。何故か二人ほどため息をついている人がいるが一体どうしたのだろうか。因みにこの後は何事もなく進んでいき、リサは喜んでいた。この後はいつも通りの日常だった。

 これから始まることはきっと生半可なものじゃない。そして何か胸騒ぎがしている気がする。そんな不安を片隅に、僕たちの夏休みは終わりを告げた。




次は今回が少し長めだったので幕間に入ります!

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