青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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新「このタイミングでやるの!?」

いやだって、タイミングここかなーって

新「絶対違うでしょ!」
京「ま、面白そうだしやろうぜ」

というわけでどうぞ
(今回は短めです)


第三.五話 登録者数五十人突破記念

 ある日、僕は買い物に出ていると黒服の人達に囲まれていた。呼び出されているということは分かったけどスーパー(こんな所)で囲まないで下さいよ。一応公前ですよ?大人しく買ったものを入れてついて行くと車に乗せられる。というか毎回思うけど僕が弦巻家行く時って大体買い物してる時だよね。どうして一番悩んでる時に攻めてくるんだろ。もしかして狙ってる?

 さてさて、目的地に到着したというわけで黒服の人達に案内される。荷物の方はいつも通り預かっててくれるみたいなので安心して預ける事にした。道を進んでいくと白い扉の部屋に連れていかれる。中に入るとお嬢様達がお茶してくつろいでいた。おかしい。さっきまでcircleで練習していたはずなのになんでこんな所にいるんだ?

 

「お嬢様、こんなところで何をしてらっしゃるんですか?」

「新一こそ、買い物にいっていたのではないの?」

「そうですが黒服の人に案内されて」

 

 大体一緒とのことで僕も近くにあった椅子に座らせてもらう。しばらくお茶しているとアナウンスのような声が部屋に響く。

 

『名護君、面白いものを作ったから実験に付き合ってくれ』

「藪から棒ですね。貴方誰ですか」

『高城だよ、忘れたのかい?』

「知りません」

 

 お嬢様達に正体を知られるわけにもいかないので知らないフリをする。ついでに察しろという雰囲気を出しておく。 

 

『あー、そっかそうだったな。とりあえず誤解がないように伝えとくとこれはこころ様も賛同しているから公認だ』

『やっほー新一〜面白そうだったからあたしも付き合うことにしたわ』

「それで、何をするんですか?」

『未来のあなた達に会ってもらうわ』

「は?」

『といっても一つの可能性だから重く考えなくていいわ。それじゃゲートオープン!』

 

 陽気な御令嬢の声と共に入って北方向とは反対側の扉が開かれた。扉の向こうからは光と白い煙が出てくる。眩しいというほどでもないので開かれた方を見ていると人影が一つ見えて声が聞こえてきた。

 

「新一さーん、どこ〜?」

「紗夜さん、僕はここですよ」

「私は何も言ってません」

「え、でも今の声って紗夜さんじゃ………」

 

 黒い影の方を見てみるとふわふわしたような髪を下ろした紗夜さんによく似た人が出てきた。でも雰囲気は隣にいる紗夜さんとは違って長い髪のようにふわふわしている。

 

「あれー!?新一さんが若くなってる〜!?」

「え、紗夜さん…?」

「私のこと忘れたの!?酷いわ、あんなに愛してるっていってくれたのに」

『は!?』

「こらこら紗夜さん、僕はこっちだよ」

 

 もう一つの声の方を見てみると扉のほうに黒い影が出来ていた。その姿もすぐにハッキリ見せる。ただ信じられないことに鏡を見ているようだった。それもそうだ。だってそこに僕と同じような顔があったからだ。

 

「え、新一が二人!?」

「一体どういうことですか!」

「聞きたいことがあります」

「何かな?」

「貴方は、二〇一三年八月十三日を知ってますか?」

「嘘…じゃないねこれは」

「そうみたいですね、僕」

「ど、どういうこと?」

「この日付で何があるかわかるんですよ」

「まぁそこは僕達の暗証番号ってことで」

 

 僕達はお互いの顏を見合わせて頷く。その日を知っている、それが何よりも一番の証拠だからだ。仕方ないかという雰囲気が流れつつも紗夜さんが場面を進行させようとする。

 

「色々と聞きたいのですがその前に……離れてください!」

「やだー!新一さんと離れたくないー!」

「貴女私でしょう!?なんでそんなふうになってるんですか!?」

「それは……」

「紗夜さ…いや、紗夜ちゃんって言った方が伝えやすいかな?これは僕が説明するよ。これ見て」

 

 未来の僕は左手の甲を見せるように前に差し出してくる。違和感を感じてよく見てみると薬指の第三関節に銀色のものが見えた。声が漏れそうになったが抑えた。いや正直驚きすぎて声が裏返りそうだった。

 

「ゆ、指輪!?」

「私達結婚してるのよ!」

「そ、そんな……新一が…紗夜と……」

「リサ姉しっかりして!」

 

 リサが顏を真っ青にして倒れかけたところをあこちゃんがなんとか引き戻した。でも隣の紗夜さんは混乱が解けてないのか頭を抱えている。お嬢様は冷静のようだがりんりんは動かなくなってしまっていた。

 

「それとこれがどう関係するの?」

「湊…お嬢様。あぁ、お嬢様という響きも懐かしいですね」

「今は主従じゃないの?」

「はい、現在解約されております。っと、話がそれましたね。実は結婚するまでは良かったんです」

「『まで』……は?」

「うん、結婚してからは僕が家事をやっていたんだけど……」

 

 今とたいして変わらないな等と考えていると爆弾が投下された。

 

「日に日に僕が紗夜さんを甘やかしちゃって、いつの間にかこんな風に……」

「え、悪いの僕じゃん」

「そうなんだけどね?こんなにしっかりしてる紗夜さんがこんなになると思わないじゃん?毎日仕事をしてくるんだから少しぐらいは甘えさせなきゃなって思ってたらさ……」

「甘えさせてくれる新一さん、私は大好きよ」

「はぁ……申し訳ないんだけど僕、駄目人間にしちゃ駄目だよ」

「仕事の時はしっかりしてくれるから大丈夫だよ」

「そ、そうです!いくら私でも人前ではしっかりしてるはずです!」

「といってもこんなの見たらホントかどうか怪しいよ?」

 

 リサが半信半疑のように疑問を投げつけている。でもそれを考えてみると確かにその通りだ。いくら甘やかしすぎたとはいえあの紗夜さんがこんなんになるはずがない。

 

「そうですよ!この人はまだ未来の私とは決まってません!」

「そんなぁ〜私ってば酷いわ〜」

「まぁ正直疑いは向けられるよね。じゃあちょっとだけ証明してみせるよ」

 

 証明して見せるといった大人版僕は目つきを変えて真面目な状態に入る。その瞬間大人版紗夜さんはふわふわしている感じを辞めて未来版僕から離れた。

 

「氷川さん、今日の会議で扱う資料はどうなりましたか?」

「既に完成しています。印刷からホチキス留めも全て」

「ありがとう。では今日のスケジュールの確認を」

「はい。九時より朝礼、それが終わり次第A社との取引のための資料作成、B社との業務連絡が午前中の職務になっています。十二時より昼食。十三時より会議室二にて先日の会議の続きが行われます。三時からC社との取引が行われます。残りの時間は作業の確認を行い十七時に退社です」

「と、こんな感じなんだけど。あくまで僕は紗夜さんから聞いた話の人っぽくやっただけだけどね」

 

 なるほど、確かにこれなら納得する。演技とはいえ忠実にやってるあたり紗夜さんと言われても文句は言われないだろう。役目を終えたのか大人版の紗夜さんは大人版僕の膝の上に座る。

 

「悔しいですが……認めます」

「よかったわ。でもその分夜は甘えさせて貰ってるわ。昨日だってあんなに激しく……」

「ちょ、未成年もいるんだからね!?」

「大丈夫だよ、マッサージの話だから」

「え……?」

「肩が酷く凝ってたからね、ちょっと強めにやったの」

「その後だってあんなに熱く……」

「うん、熱いお茶を淹れたね」

「この前だってあんなに強く揉んで」

「新一?これは洒落にならないわよ?」

 

 止まらないペースで進んでいくのかと思えば僕の知ってるRoseliaの皆さんが疑いの目を向けてくる。特にお嬢様の目が凄かった。なんというかとにかく圧が強い。

 

「いえお嬢様、やったのは僕では無く大人版の僕ですから」

「確かに今の流れだと冗談に聞こえないよね」

「そりゃそうだよ!」

「でも大丈夫。これはパンの話だから」

「パン……?」

「そう、この前パン作りやっててね。普通にやったつもりなんだけどこの人にはどうやら普通じゃなかったらしい。それに甘え始めた頃からこんな発言ばっかりするようになったしね」

「というかそろそろ離れて下さい!」

「やだやだ~!もしかして嫉妬してるの?若い私」

「なっ!」

「そうよね~新一さんとこんなにくっつけるなんて貴女じゃ出来ないもんね~」

 

 大人版の紗夜さんは現在の紗夜さんを執拗に煽っている。どうやら僕が甘やかしていったせいで紗夜さんの性格は大きく変わってしまったらしい。

 

「ねぇ、大人の新一」

「なに?」

「紗夜ってもしかして少しいじわるになった?」

「そうだね。なんか僕のことになると凄い見せつけ始めるよね」

「ねぇ僕」

 

 せっかく未来の僕が目の前にいるんだ。これくらいは聴きたくなると目を見て話しかける。大人の僕は笑顔のまま僕の方を見つめる。

 

「なんだい僕?」

「アイツはどうなった?」

「それは答えられない」

「わかった、ありがとう」

「新兄いいの?」

「うん、答えられないってことは自分で確かめなきゃいけないって事だと思う」

「その通り。あくまで僕達は事象の一つだからね。君達の世界ではどうなるか分からない」

「こっからはあみだくじだね」

「そろそろ時間みたいだね、紗夜さん撤退しよう」

「分かったわ。あ、でもその前に……」

 

 大人版紗夜さんは大人版僕の顔を掴んで自分の顔に近づける。そして遂にはキスまでしていた。一瞬にして思考が真っ白になる。え?今何があった?理解できないんだけど。脳内コンピューターの機能停止したんだけど誰か助けて!?

 

「なっ、何してるんですか!?」

「何って見ての通りキスよ」

「紗夜さん!こういうのは家でって言ってるでしょ!」

「駄目よ、せっかく若い私達がいるんだから見せつけないと」

「理にかなってない!」

「早く帰って下さい!あと私は甘えすぎないで下さい!」

 

 紗夜さんが追い返すように出て行かせると二人の姿は消えていった。全員が顏を見合わせると沈黙の空間が訪れる。全員何も考えられなくなっているようだ。その空気をぶち壊すようにアナウンスが流れる。

 

『いや〜凄かったねぇ〜』

「凄いどころじゃないですよ!どうするんですか、皆思考放棄してますよ」

『それに関しては都合がいい』

「何が良いってんですか」

『どうせ今日の記憶はなくなる(・・・・・・・)んだからね』

「へ?」

 

 アホ丸出しのような声が漏れると視界が真っ白な煙に包まれる。ああ、そうかそういうことか。面白いもの自分たちだけ記憶に残して置こうってパターンだなこれ!

 必死に抗ってみたものの煙を吸い込んで意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めた時僕は自宅にいた。何をしていたかも思い出せずとりあえず家事をすることにした。ただとんでもない夢を見ていたような気がする。




次回は文化祭編の続きです!
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