青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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一「新一様の学校で新一様メインの喫茶店があるらしいですよ」
伊「いくぞお前らぁぁぁぁ!!!」
全「ウオォぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
魔『いや来ないで、絶対一般の人に迷惑だから』
橋「しかしそれでは主の顔を見ることが………」
魔『めんどくさ……写真撮ってくるから』
全「ありがとうございまぁぁぁぁす!!!」



魔「っていうことがあったのよ」
新「何それ怖」


第五話 文化祭二日目

 文化祭二日目になった。昨日の午後は結局休みなど貰えなかった。京君も反省して今日はあんなことしないらしい。自分にもデメリットだと分かったのだろう。しかし今日は一般の人も来る。なんなら受験生なども志望校の見学を含めて来るのではないだろうか。だけど今日のタスクもたいして変わらない。唯一変わらない事と言えば今日は昨日より二時間多いので二時間交代になったことだ。順序は変わらないから本当にたいしたことはないんだけど。準備が終わり、開始まで十分を切った。

 

「アンタ今日はどうするの?」

「何が?」

「休み時間よ」

「ゆっくり回ろうかなって。あとは落ち着ける場所探しかな?」

「ふーん」

「確か女子は一時に交代だよね」

「そうよ」

「じゃあ午前中の半分だけだけど一緒に頑張ろ」

「ええ」

 

 しかし魔姫ちゃんも和装は似合っている。どちらかというとセーラー服とかの方がイメージが強いのだがイベント事だとこういうのもアリだろう。ただ本人が動きづらいだのどうこう言ってるのは気にしないでおくけど。魔姫ちゃんが離れていくと今度はお嬢様がやってくる。

 

「あなた、その格好は暑くないの?」

「まぁ多少は。しかし通気性はそれなりにあるので大丈夫です。おじょ……湊さんの方はどうですか?」

「私は問題ないわ。ただ着るのに手間がかかるわね」

「和装はかなり手が入りますからね」

 

 そうね等と無愛想な顔をしながら頷いてくる。もう少し愛想を良くしたらかなり評判上がるんだろうなと思いつつ会話を続けていると実行委員の人から配置に着くよう連絡される。遊びに行く人達は後ろの扉の方に働く人達はそれぞれのテーブルの側に着く。

 

『さぁ二日目が始まります。本日は昨日より人が多くなるので貴重品の管理に気を付けてください!「おかし」ですよ。「おさない」「かけない」「Shangri-la」。放課後には後夜祭もありますのでお楽しみに。では皆さん張り切って参りましょう!文化祭二日目開始です!』

 

 アナウンスが終わると同時に昨日と同じ開始音が鳴り響く。しかし今の「おかし」は何だったんだろう。最後のShangri-laだけが気になって仕方ない。もしかして今日空耳したりする?そんなこんなで二日目が始まった。最初に入ってきた客は僕の近くの席に着く。顔を確認するとあこちゃんとリサだった。

 

「いらっしゃいませお客様」

「おはよー新一」

「新兄おっはよー!」

「おはよう、注文は?」

「あこ黒き闇のしゅわしゅわが欲しい!」

「あ、アタシ紅茶で」

「畏まりました、少々お待ち下さい」

 

 注文を受け取り裏へ持っていくと魔姫ちゃんが受け取ってくれる。あこちゃんの事を聞かれたがRoseliaのドラムの子だよと伝えると納得してくれた。Roseliaの事は話していなかったがどうやら事前に知ってたらしい。流石は名護の暗殺者、あらかじめデータは手に入れてるか。しかしこの子は人の顔覚えることは仕事以外で基本的にしようとしないからなぁ……。紙コップに飲み物を注ぎ終わったのか魔姫ちゃんはそれを持ってきて渡すように指示してくる。指示通りに持っていくと二人は楽しそうに談笑していた。

 

「でねでねー、これからりんりんが来るの!」

「燐子来るんだ♪じゃあ紗夜も来るのかな?」

「紗夜さんも誘ったんだけど空いてたらって言われちゃったんだよね」

「お待たせしました、コーラと紅茶になります」

「やったー!」

「ありがとう。あのさ新一」

「どうしたの?」

「写真良い?」

「あ!あこも!」

「良いよ、皆で撮ろうか」

 

 三人で固まって写真を撮ると綺麗に枠の中に納まった。リサが自撮りに慣れてたのもあって写真は綺麗に撮ることに成功した。自分で自分にカメラを向けるなんてそうそう上手く出来ないと思うのだがそこはリサの技量だろう。撮り終えたあこちゃんがコーラを飲んでいるのを見ると袖を引っ張られる。引っ張ってきた本人は二人で撮ろうと言ってくる。それも自撮りする形で撮ると満足そうに紅茶を飲む。二人に軽く会釈して席を離れると次々とお客さんが入ってきた。

 そしてリサ達と入れ替わるように蘭ちゃんが入ってくるのが見える。ただ違和感を感じたのは蘭ちゃんが一人だった事だ。ちょうど手が空いていたので接客をしにいく。

 

「いらっしゃいませ」

「名護先輩……」

「どうしたの?一人なんて珍しいね」

「いえ、他の人とはぐれて。集合場所をここにしたんです」

「確かにこう人が多いとはぐれちゃうよね。じゃあ皆が来るまでゆっくりしてて」

 

 軽く会釈して離れようとすると声をかけられる。

 

「あ、あの」

「はい?」

「注文良いですか?」

「コホン、失礼しました。ご注文承ります」

「その、烏龍茶とその……」

 

 指先を確認すると写真と書かれていた。「畏まりました」とだけ答えて席を離れる。人が多いため飲み物は自分で淹れるシステムになったがこれくらい造作も無かった。しかし皆なんで僕と写真撮るんだろ。リサ達はまだ分かるけどどうして話したことのない人達まで?そんな疑念を抱えつつ烏龍茶を持っていくと蘭ちゃんがスマホを見ながら待っていた。

 

「お待たせしました。それじゃ撮ろっか」

「は、はい」

 

 写真を撮ろうと横に並ぶと緊張しているのか固まったような顔をしている。大丈夫と聞いても裏返ったような声が帰ってくる。仕方ないと思いつつ頭に軽くポンポンと手を置いて撫でると落ち着いたのか安心したような顔を見せる。それを確認してから写真を撮るか確認するとしっかりとした返事が返ってきた。それでもって写真を撮ると蘭ちゃんはいい顔をしていた。

 

「はい、撮って貰った奴だけどどうかな?」

「だ、大丈夫です。ありがとうございました」

「うん、良かった」

「蘭おめでと~」

「「え?」」

 

 声が聞こえる方を見るとAftergrowの皆さんがこっちを見て拍手をしていた。どういう状況か理解できないまま僕達は顏を見合わせる。

 

「おめでとう」パチパチ

「おめでとう」パチパチ

「おめでとう」パチパチ

 

 何故か雰囲気が父に、ありがとう。母に、さようなら。全ての(以下略)みたいな展開になってきてるんだけどどういうこと!?

 

「ちょっと待って皆どういうこと!?」

「え、だって蘭、名護先輩と写真撮りたかったんじゃないの?」

「はっ!?別にそんなこと一言も言ってないし!」

「でも昨日あんなに見てたよ〜?」

「だからそんなんじゃないって!」

 

 なんだかよくわからないけど喧嘩してるわけじゃないので合流できてよかったねと耳打ちすると軽く礼を言ってくる。そして仕事に戻るとすぐにタスクが回ってきたので順番に対処していった。

 時間が経ち交代の時間になる。ちょうどのタイミングで京君が来たので入れ替わろうとすると目の前に掌を見せてくる。どういう意味なのかわからないまま同じようにしてみるとハイタッチをしてくる。これが世にいう手で合わせるバトンタッチなのだと自覚するとワクワクした。こういうことに慣れてないせいか普通の人がやってるようなことをすると心が躍る。さてどこに行こうかと悩みながら歩いていると。周りの楽しそうな雰囲気とは違う声が聞こえてくる。

 

「あ、あの……」

「なぁお嬢ちゃん一人だろ?」

「俺らと遊ばない?」

「怖くないから、な?」

「その、私………」

 

 周りの人たちもその様子を見ていたが話しかけている男の人たちの容姿が怖くて声がかけられないのか様子を伺ったまま動こうとしなかった。声をかけられているのは誰だろうかと確認するとうちとは違う学校の制服だった。しかも身長を見る限り中学生……なのかな?髪は水色に近い白でボブカット。随分小柄だな……。とにかく本人は乗り気じゃないみたいだし男性の方々に教えとかないと。それに知能レベルが海にいた鶏軍団と同じレベルだからなんか腹立つし。

 

「すみません。彼女、乗り気じゃないみたいですよ」

「おん?ガキが何のようだ?」

「俺らは今この子と遊びたいの」

「外野は黙ってろ!」

「だ、そうですが貴女はどうしたいですか?」

 

 念の為女の子に聞くと怯えるようにフルフルと顏を横に振っている。よし、これで何があっても罪悪感はないね。まぁあってもなくても最初からそんな気持ち持ち合わせてないけど。

 

「ほら、怖がってますよ。駄目じゃないですか、男の人が女の子を怖がらせちゃ」

「あぁん!?」

「少し、お手を拝借しますよ」

 

 その手を引いてその場から逃げるように走り去る。階段に差し当たったところでその子を抱え込み、体を持ちやすいよう左手で肩を、膝の裏にスカートを挟んで右腕を通して体勢を作る。いつまでもこの子を走らせるわけにもいかないし、あいつらを放っとくわけにもいかないのでちょっとだけ遊んでやろうという作戦だ。少しだけ我慢するように伝えるとこっちを見たまま頷いてくる。許可も取れたことだし遊びますか。女の子を抱えながら下駄箱まで走っていき、靴を履き替える。いくらなんでも履き替えなきゃね、中は室内だし。ちゃんと女の子の靴も変えさせて体勢を戻し、外に逃げていく。さてさて、人の目も集まってきたしそろそろかなと外のベンチに女の子を座らせてここから離れないように指示するとちゃんと頷いてくれる。この子はちゃんと状況判断が出来て素晴らしいと感心しているとさっきの鶏トリオがやってくる。

 

「こんのガキ………」

「やっと追い詰めたぞ!」

「あれ、中履きのまま外に来てしまったんですか?それでは洗ってもらうか買ってきてもらわないと校内へ入れませんが………」

「舐めてんのか!」

「いえいえ、そんなつもり微塵もありませんよ。衛生的によろしくありませんからね」

「ぜってぇ泣かしてやる!後悔すんなよ!」

 

 有言実行、言った男から殴りかかってくる。一応こっちは軍服で革靴なんだけどなと思いつつ攻撃を避ける。周りには屋台が少し離れたところにある程度か。けど人目を集めすぎたかギャラリーが出来てしまった。仕方ない。一種のパフォーマンスとしてやってみよう。幸いにもさっきの攻撃を躱せるほど機能性はいいことが判明したし、昨日確認した通りだ。よし、ゲームを始めよう。

 

「さ、お仕置きタイムです♪」

「調子乗ってんじゃねぇぞコラァ!」

 

 正拳突き、にしては随分と形が整ってない拳がやってくる。それを左手で払うと次々と殴ってくる。しかし全てゆっくりに見えるため左手一本で事足りる。正直これなら京君と戦ったほうが面白そうだ。けどこんな考えしたら京君に失礼だろうか。後ろにいた二人もとうとう参加してくる。片方は後ろに回ってくるようなのでタイミングを見て弾いていた手を掴んで背負い投げをする。タイミングバッチリのおかげで後ろに回り込んだ男に当たる。しかしもう一人の男に背を向けてしまう。雄叫びをあげているせいで距離感覚がわかる。この距離ならカウントはこれで十分だろう。

 

「5、4、3、2、1────」

 

 カウントを終えると同時に回し蹴りをすると油断していたのか脇腹に確実に入った。その勢いのまま重なっている二人の元へ届けるとボウリングのピンのように弾ける。伸びているうちに警備員を呼ぶとすぐに駆けつけてくれたので三人を差し出して見送る。全て片付け終えると周りから歓声の声が聞こえる。軽く会釈してさっきの女の子の元へと寄っていく。

 

「すみません、余計なことに巻き込んじゃって」

「いっ、いえ、ありがとう…ございます……」

「怪我とかありませんか?」

「ない……です」

「なら良かった」

 

 立てるかと手を差し伸ばすと掴んで立ち上がった。周りはとっくに解散しているようで僕たちは二人になっていた。

 

「それじゃ、僕はここで。へんな人に絡まれたら周りの人を頼るんですよ」

「あ、あの!その……カッコ良かったです………」

「ああ、ありがとう。そういえばだけど一人なの?」

「は、はい…」

 

 ふむ、さっきはあんなこと言っちゃったけど連れがいなければ同じ目に遭う可能性もある……か。それで文化祭というイベントが怖くなったら溜まったもんじゃないしねどうせ僕は一人で行き先悩んでたし、仕事の時間までならいいかな?

 

「ねぇ君」

「はっ、はい!」

「もしよかったら一緒に回らない?」

「えっ!?」

「僕は今一人だし、また同じ目に合うかもしれないから少しでも安心して文化祭を回って欲しいなって。もし迷惑だったら言ってもらって大丈夫だから」

「そ、その………よろしくお願いします」

 

 彼女は頬を赤く染めながらお辞儀をしてくる。こちらこそよろしくお願いしますと伝えると謙虚な姿勢を取ってくる。何処に行くか聞くとカフェっぽいのに行ってみたいと言ってくる。ちょうどうちのクラスがやってる事を伝えるとそこが良いと体を押し寄せるように乗り気の姿勢を見せる。それじゃあ行こうと移動を開始するもすぐにあることに気づく。

 

「今更で申し訳ないんだけど、君の名前は?」

「そういえばまだでしたね……倉田ましろっていいます」

「倉田ちゃんね、よろしく」

「あの、お兄さんの名前は?」

 

 名乗るほどのもんじゃないと言うと教えてほしいと目で訴えられる。あまり名前を出すと反応してくる人がいるかもしれないから言いたくはないんだよね。つい最近暗殺者とか諜報員の人とか反応してきたし。

 

「名護新一だよ。気軽に呼びやすい形で呼んで大丈夫だよ」

「新一…もしかして高校生探偵の?」

「探偵さんは別にいるけど僕は違うよ」

 

 こんな間違いされたの初めてだよ。どうしてだろう、一瞬期待の目を向けられたよ何を期待してんの?そんなこんなで自分のクラスに着くと多少は並んだがすぐに入ることに成功した。席に着くと大和さんが接客にやってくる。オレンジジュースとアップルティーを頼むとすぐに持ってきてくれる。

 

「ここが、新一さんの教室ですか?」

「そうだよ」

「なんか凄いですね……」

「改めて見ると確かにそうだね。倉田ちゃんは今日どうしてここに?」

「その、志望校で悩んでて」

「となると中三かな。この時期はまだ探せる時期だよね」

「新一さんはどうやって決めたんですか?」

 

 どうやって決めた、かぁ。正直答えづらいな仕事の関係上この学校にきざるを得なかった。なんて言えないし、そんなこと言ったら素性がバレちゃうもんな……。

 

「スカウトが来たんだよ、偶然ね。それで試験に合格したの」

「スカウト!?本当にすごいですね……」

「偶然だって」

「さっきだって助けてくれたし、スカウトも受けるなんて……新一さんは本当にすごい人なんですね」

「そんなことないよ。僕だって出来ないことや知らないこといっぱいあるしね」

「でも私なんかよりすごいと思います。私なんてドジばっかりだし、人と話すの苦手だし…」

 

 さっきより落ち込んでいるように見える。ただ表情とかからわかる。多分この子は後ろ向きに考えてしまう傾向があるんだと思う。たださっきみたいに乗り気な姿勢とか勇気を出せばきっと良い方向に行けると思うんだよな。

 

「私なんて、なんて使っちゃダメだよ」

「え?」

「自分を卑下にするようなことは極力避けなきゃ幸運が逃げちゃうよ。それに、人間勇気を出せばきっとなんとかなるよ」

「でも勇気なんて」

「出すのに時間はかかるかもしれない。目の前のものは怖くて逃げたくなるものかもしれない。けどいずれ戦わなきゃいけないのならその時は覚悟を決めなきゃ」

「覚悟……」

「うん、それが絶対じゃないなら逃げてもいい。けど立ち向かわなきゃいけないのならそれは君がやれることなんだよ。だから不可能なんてないよ」

「でも私……そういう時っていっつも逃げて……」

「じゃあ魔法の言葉を教えてあげるよ」

「魔法?」

 

 魔法なんてない。けどこの子の悩みを少しでも解決できるのならば初めて会った相手でもお節介をしてしまう。全く、めんどくさい人間だよね僕は。

 

「『To the future of fortune』」

「?」

「『未来の希望のために』って意味だよ。勇気が出せない時は未来の自分を想像するんだ。どうやったらこんな自分になれるかなって」

「未来の……自分………」

 

 下を見ながら考えている様子を見せる。でも顔はそこまで曇ってなかった。多分この子ならしっかりと考えられるだろう。勇気を出せるよう頑張ってねと一言告げると元気よく返事を返してくる。うん、ちゃんと笑顔に戻った。倉田ちゃんは時間を確認すると予定があるのかお礼だけ言って教室を出て行った。余計なお節介だっただろうけど人の相談に乗るのはやはり心地いいな。なんか役に立ててるって感じがしていい。まぁ解決出来ない問題もあるけどね。腕時計で時間を確認すると僕も交代の時間だということがわかる。席を立ち上がったタイミングで京君が交代だと告げてくる。今度は僕がハイタッチを要求すると快く受け入れてくれた。そのまま気持ちを切り替えて接客をし始める。笑顔を作って客を迎え入れると見たことのある二人に当たった。

 

「いらっしゃいませお客様、何名様でしょうか?」

「二名ですって、名護さん?」

「紗夜さん……にりんりん?」

「し、新君………」

 

 とりあえず席に案内すると二人とも席に着いた。紗夜さんは落ち着いているがりんりんはいつもよりかは落ち着いていたがそれでもやはりおどおどしている。

 

「ご注文は如何なさいますか?」

「私はアイスコーヒーをお願いします」

「わ、私は……麦茶を………」

「畏まりました」

 

 急いで裏まで飲み物を取りに行きすぐに作ってはテーブルに運ぶ。お昼時というのもあってお客さんも少し増えてきたようだ。運んでる道中で写真をいくつか頼まれたので運んでからすぐに撮りにいく。何故か希望のポーズがある人が多かったけどなんなくこなすことが出来た。しかし終わるごとに次へ次へと仕事が流れ込んでくる。

 

「相変わらず名護さんは器用ですね」

「新君は……ああいうのが…得意、ですから……」

「そういえば白金さんは名護さんの幼馴染でしたっけ?」

「はい………」

「どんな人だったんですか?」

「………とても……優しかった……です」

「昔からあんな感じなんですか」

「私…小さい頃も、人と話すのが苦手で………ですが、新君は……ずっと話しかけてくれて………」

「なるほど(あのお節介は幼い頃からでしたか)」

「二人とも、楽しめてる?」

「し、新君!?」

「ええ、ゆっくりさせて貰ってます。それで名護さん、その格好なんですか?」

「これですか?なんか用意された衣装とかで………」

「だいたい分かりました。お仕事頑張ってください」

「ありがとうございます。では二人ともごゆっくり」

 

 一瞬空いたから入ったけどなんか二人で話してるみたいだったしこれ以上邪魔しちゃいけないよな、うん。教室のドアの方を見るとまた客が入り込んでくるのでそっちに対応しにいく。

 

「時に白金さん、一つ質問があります」

「はっ、はい!」

「あの人は……どこかおかしいんですか?」

「そっ、それは………どういう………?」

「前に私を助けてくれたことがあったんですが、その時の彼の表情はなんだか危険を楽しんでるような顔に見えて………」

「……私の…知ってる新君は………多分、そんなことはしない………と思います……」

「そうですか……すみません、変な話をしてしまって」

「いっ、いえ……」

「ではそろそろ移動しましょうか。今井さんのクラスの劇が始まるみたいですよ」

「はっ、はい……(もしかして氷川さん、そっちがメインだった…?でもどういうことだろ。新君がそんな………多分、見間違いだよね)」

 

 席の一つが空いたことをか確認して客を呼び込む。周りを確認すると紗夜さんとりんりんは既にいなくなっていた。せっかくきてくれたんだからもっと楽しんでいってほしいと考えるとどんどん客が増えてきた。しばらく客を捌いているといつの間にか交代の時間になる。しかし客が減る気配がないので昨日同様このまま仕事を続ける。京君が戻ってきたが仕事は変わることなく二人でやることになった。そのまま客を捌いていると今度は賑やかな声が聞こえてきた。ハロハピの皆さん(瀬田さん)を除くが現れた。快斗君もついてきてるようで心なしか安心する。この前あんなことあったけどなんとか皆のところに帰れたのかと思うと本当に良かったと思う。

 

「いらっしゃいませ〜」

「あら、京に新一じゃない!こんなところで何してるの?」

「見ればわかるだろ、仕事だ仕事」

「へーけー君ってここのクラスなの?」

「いやパンフレットにデカデカと書いてあったでしょ」

「全く人気者っすね新一さんは」

「なんで新一だけなんだよ」

「え、お前ついでだろ?」

「はぁ!?」

「お久しぶり…です」

 

 松原さんが声を出した瞬間京君の威勢が消える。二人の間に何やら変な空気が流れる。奥沢さんは何やら察知したようだが一体どういうことだろう。三人ははしゃいだままだし、とりあえず席に案内すると二人はまだ沈黙を貫いている。

 

「この間はその…ごめんなさい。あと、ありがとうございました」

「別に、気が向いただけだ。二度とゴメンだがな」

「?なんでアンタら空気悪いの?まさかお前花音さんになんかしたのか!?」

「「お前(快斗君)のことでな(ね)!」」

 

 当の本人はほへ?みたいな顏をしているが大体わかった。まぁ知らぬが仏というし黙っておくことにしよう。

 

「で、なんで新一さん達そんな格好なんすか?」

「これが僕達の衣装らしいけどどうして軍服なのかは未だに謎だよ。大正イメージならもっと違うのあったと思うんだけどね」

「いや、新一さんピッタリすぎて逆に怖いっすよ」

「それは俺も思う」

「そういえばミッシェルは?」

「そうなのよ!ミッシェルは用事で来れないって言ってたから寂しいわ」

「ミッシェルも来れればよかったのにね〜」

「美咲ちゃん………」

「いやぁいつものなんでほっときましょ(小声)」

「てか新一には話してねぇの?(小声)」

「その、タイミングが合わないっていうか、そもそもそんな話したことないっていうか(小声)」

「あいつ今頃何してんだろうな」

「あの馬鹿は?(小声)」

「あの人は完全にタイミング合わないんですよ。こっちはあっちの事情知ってるのに(小声)」

「ただの馬鹿かよ」

 

 三人で何話してるんだろ………でもミッシェルなぁ……近くで見たかったな………。

 

『来校者の皆さん、生徒の皆さん、残り三十分程で文化祭二日目が終了します。来校者の皆さんはお気をつけてお帰りくださいませ』

 

 話しているうちにいつの間にか終了三十分前になっていたようだ。三十分前になると自然と客が引き始める。僕たちもあとは写真の人達にのみにして帰るようにお願いする。といってもとっくにラストオーダーの看板を出していたのか客はほぼいなかった。残りの客の写真を撮ると僕達はアナウンスで生徒会室に呼び出される。おそらくこれからの打ち合わせだろう。さて、後の仕事は後夜祭。頑張りますか。




 〜♪

「どうしたのましろ、嬉しそうじゃない」
「そ、そんなことないよ!?」
「そう?お母さんにはそう見えたけど」

 そんなことないと言いながら私は顏を背ける。そしてスマホのある写真を見つめる。今日他の人が写真を注文してる中に歩いていくあの人を隠し撮りした写真を。………いつかまた、会えるといいな♪

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