青薔薇の歌姫と白き聖騎士   作:OSTO文明

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おめでとう、適当に遊んでたらタイトルロゴっぽいの出来たよ!

京「遊んでないで仕事しろよ」

こんな感じです

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第九話 骸探偵 京 遊園地解答編

今回の事件に関わった全員が遊園地のスタッフ休憩室に集められる。櫻田翔子、櫻田幸雄、秋山麗華、刑事、そして俺。俺と刑事を除いて容疑者は三人。今からソイツを暴き出さなきゃいけない。正直心苦しいがやらなくてはいけない事だ。俺は決意して全員に話す。

 

「もう分かっている事だが岩本満、青山明、坂本康二の三人が殺害された。言わずもがな容疑者はこの中にいる」

「は、犯人がわかったの!?」

「ああ、だが一つ一つを紐解いていかないと犯人も納得しないだろうからな。確認を踏まえて話していこう」

「北の名探偵の推理、見せてもらいますよ」

 

 刑事が目を輝かせながらこっちを見てくる。コイツこんな時に…本当に刑事なのか?とそんな疑問は投げ捨てて本題に移る。

 

「最初に確認だ。俺と被害者三人がマジックハウスに入った時、秋山はトイレへ、二人は幸雄さんの電話の後幸雄さんはベンチへ、翔子さんはトイレに行った。しかし完全にアリバイを説明できる人はいない。で間違い無いんだよな?」

 

 全員が頷いて訂正がないことを証言する。

 

「そして俺達がマジックハウスの中に入ると岩本、青山、坂本の順番で殺害は行われた。岩本は体を二等分に、青山は心臓を、坂本は体を三等分にされていた。そしてどの遺体も体の一部がなくなっていた」

「私、初めて聞いたんだけど……」

「私もです……ですがなんでそんなこと………」

「話していなかったからな。それも今から解いていく。まずは岩本の事件だ。俺達は仮面を付けた犯人に岩本を連れて行かれ、別の部屋で岩本を素体としたマジックを見た。横になった状態で箱に入っており、その上から真っ二つに斬られたが箱を離したりくっつけたりしても岩本は表情筋を動かしていた」

「どういうことだ?」

「よくあるやつだ。要はこいつは最初の人体切断マジックだったんだ。そしてなぜ表情を作れたかは秋山が知っている」

「は、はい。寝っ転がるタイプの人体切断マジックは最初から箱が二つになっていて、その二つに人を屈ませた状態にして入れておくんです。そして箱をくっつけてあたかも一つの箱に見せ、切断されたように見せるんです」

「ということは最初は生きてたってこと?」

「ああ、それを見た俺達はマジックだと気づくと画面は暗くなって次の部屋に行くように指示された。おそらくその間に岩本は殺され、左足の太腿だけ犯人に持ってかれた。

 そして次に殺された青山。コイツはマジックと言うよりサーカスに近かった。ナイフ投げで青山を型取り、頭のてっぺんを取って成功させると画面が暗くなった。その時に解放するように見せかけてナイフで殺したんだろう。そして今度は右足だけを切り取った。

 最後に坂本。コイツの時は俺は一人で部屋から見てた。逃げろと叫んだが聞こえるハズなんてなかった。そしてBGMのようにおもちゃの交響曲が流されていた。立ったまま箱に入った坂本は化け物の登場に怯え、三等分にされた。随分と苦しそうな顏をしていたがその後にたくさんの剣によって串刺しにされた」

「そ、そんな………」

「待ってくれ、そのような跡はどこにもなかったぞ!」

「そう、後で説明するが問題はそこなんだ。串刺しの瞬間を見た俺は急いで外に飛び出そうとすると扉が開かず、新しい映像が流されたのを見た。その映像は仮面をつけた犯人がテーブルの上で何もない帽子から手紙を出して円形のテーブルの上に置いたところで映像は消えた。だが消えたと同時に鍵の音がしたから部屋を出ていくと円形のテーブルと手紙が置いてあった」

 

 俺は手紙の内容を言うと全員怒るような表情をした。

 

「なんなんだそいつは!人の命を奪っておきながら……!!」

「そして手紙の指示通り部屋に向かうと遺体があったわけだ」

「ねぇ、岩本君と青山君のマジックはわかったんだけど坂本君のは?」

「それも秋山が説明してくれる」

「坂本君のトリックは、おそらく岩本君と同じ人体切断マジックだと思います。最初に三等分された時は化け物がやったと言っていますが、もしその化け物の持っていたハサミがマジックナイフと同じ容量だったら殺したと見せるのは……簡単です」

「確かにそうね!」

「しかし串刺しの剣はどうなる?」

「それは多分鳴海さんがしっかり見ていなかったせいで貫通したように見えたんでしょう。しかしあれも最初から刺し穴を用意して置けば中の人を傷つけずにやり通せるのです」

「つまり鳴海君の錯乱状態を利用したと」

「恥ずかしながらそういうことだ」

「ではあの剣は?血が沢山付いていたではないか」

「あれは血糊でした。おそらく謎を深めるためにやったと思われます」

「錯乱状態が深まれば謎は解けにくくなるからな。そして坂本の遺体からは左肩が無くなっていた。それも多分切り取っていたんだろうな。これで三人のトリックは証明されたな」

 

 次の証明に入ろうとすると刑事が手をあげてしゃしゃり出てくる。正直ここら辺で来るだろうとは思ってた。

 

「でも今までのトリックをそんな簡単に説明できるなんておかしくないですか?」

「というと?」

「つまりアレですよ。アリバイのない人なら可能。そして何より今回の事件はマジックの知識が必要になる。となると今までの発言からして秋山さんが怪しいのでは!?」

「そんなっ…!?」

「秋山ちゃんが……?」

「落ち着け。こいつは犯人じゃない……とは言い切れないが、マジックを知っているからといって犯人と決めつけるのは良くない」

「えっ?」

「コイツの話によるとマジックの類が昔から好きでタネを知っていたらしいぞ」

「ホントですか?」

「はい!本当のことです!」

「そうよね!秋山ちゃんがそんなことするわけないよね!」

「何より櫻田夫妻が知ってる可能性も否定は出来ない。それにあれだけの遺体、女一人じゃ到底運べないだろ」

「え、それじゃあ必然的に男である鳴海さんか旦那さんになりません?」

「共犯の可能性もあるがな」

 

 女に殺させ、男が運ぶ。または男同士でやる、女同士でも可能だ。つまり今の段階で犯人を決定することはできない。

 

「さて、話を戻すぞ」

「待って、アレはどうなの?」

「アレ?」

「マジックが終わった後の映像よ。アレって、明らかに見ていないと出来ないわよね?」

「それに関しては俺も疑問だった。最初は確実に選べるが次はどうか分からない。しかし最後は確実性があるぞ」

「何故だ?」

「だってもし二番目に俺が行ったら残るのは被害者のうち二人だ。どちらを殺しても正解なら問題は無いだろ」

「そっか、でも鳴海君だったらどうするつもりだったの?」

「そこは本人に聴かないと分からないが。おそらく俺も殺されたか、殺さずに先にハウスの外の二択だな」

「えっ、じゃあ二番目は賭けに出たって事ですか!?」

「大胆だよな、そんな不確定な要素を計画に入れるとか。補足だが三番目もさっきと同じだと思ってくれて良い」

「じゃあこれで映像の件は解決ね」

「まだ一つ残っていないか?」

「手紙を出したときだな。あれはおそらく記録映像だ。ライブ配信なんてしたらラグが分かるだろうし非効率だからな」

 

 それに失敗したときは無駄に時間を食う。

 これで映像とトリックは解決した。あとは確認事項をするだけだ。

 

「因みに聞くが刑事さん、欠損部は見つかったか?」

「いえ、見つかってません施設内も遊園地内も探させていますが未だに」

「となると犯人が見つからない場所に隠したんだろうな」

「ていうかそもそもこの中に犯人がいるって本当なの!?」

「残念だがこの推理に間違いは無いと断言する。被害者は全員アンタらと関わりがあるからな。この状況で全く関係ない奴が殺すなんて無理だろ。それにおそらく欠損部は数年前の事件と関連してる。そうだろ?秋山」

 

 睨むように聞くと体をビクつかせた。もし、あの話が本当なら多分このことにも関わっているはずだと俺は思った。だがアイツの反応を見てそれは確信に変わった。

 

「あ、あの……」

「何を怯えているんだ?言えば…きっと楽になれるぜ?」

 

 楽になると言われても秋山は言うのを躊躇っている。それでも待っていると閉ざされていた口は開かれた。

 

「その、皆の無くなっていた部分には蛇のマークが入っていたと思うんです。せっかくだから五人の印を作ろうって青山君が言ってて……」

「で、その証が入っているのが数年前の事件の関係者である事を物語り、今回狙われたっていうことだ」

「数年前の事件?」

「刑事さんも知ってるだろ。男子高校生が行方不明になったって。しかもそれが最近左手が欠損した状態で発見されたこと」

「あ!それありました、ってまさかこの事件と関係あったんですか!?」

「ここにいる全員関係者だ。櫻田夫妻は行方不明者の親、被害者三人と秋山はその行方不明者とグルで非行を行なっていた関係者。そして遺体遺棄の犯人達だよ」

「な、なんでこんなところに!?」

 

 んなこと自分で考えろと適当に促す。だがやはり推理通りだ。欠損部は関係者の証拠であるサイン入りの部位。つまり殺す動機に繋がるもの。居場所も既に見当はついているが分からない。何故犯人はそれを持ち出したのか。いやまぁそんなん犯人に聞けって話だろうけどな。ここまで来れば後は犯人を示すだけだな。反論はその時受け付けよう。

 

「それで、犯人は解ったんですか!?」

「今回のこの連続殺人、過去の悲劇が現在()を作り上げた狂った犯人(マジシャン)はアンタだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────櫻田翔子さん」

「え?」

 

 名指しをされた翔子さんは胸元にまで持ってきていた腕を力が抜けたように下ろす。周りが信じられない目で翔子さんを見る。言葉を受け止めきれない翔子さんは反論を始めた。

 

「な、何を言ってるの鳴海君。私が、出来るはずないでしょう?」

「そ、そうだ!翔子は私といたんだ!第一人を殺すなんてこと、翔子には無理に決まってるだろう!?」

「鳴海さん、本気で言ってるんですか?」

「俺は本気だ。それに幸雄さん、アンタがいたのは途中(・・)までだよな?」

「ッ!」

「そうだ、そして貴方が共犯者なんだよ幸雄さん」

「なっ、何を根拠に言ってるの!?」

「アンタらのアリバイ証言だよ。もし仮に完全に証明するならずっと一緒にいたと言うべきだったんだ。なのになんで途中で別れたなんて言ったんだ?」

「それが事実だからだろう!馬鹿なことを言うのはよしたまえ!」

「じゃあ聞くが、秋山。先にトイレに行ったお前は並んでる翔子さんを見たか?」

「そ、そういえば見てません………」

「だよな?話によれば相当混んでいたらしいじゃねぇか。それも女子トイレだ。男よりも時間がかかるはず。その上で同じ方向から来たんだからトイレからの帰りに姿を見てもおかしくないはずなのに見てないのはおかしくないか?」

「そ、そんなのたまたまでしょ!それに別のトイレを使ってたかもしれないじゃない!」

「かもしれないな。けど何故だ?自分が使っていたトイレぐらいどこの場所か覚えているはずなのにどうして違うのかもしれないと言えるんだ?」

「そっ、それは!」

「まぁそんなことはいいさ。けど同じトイレに行ったにしろどうにしろ秋山が帰って来れるのと同じ時間に帰って来れるのはおかしい」

「何!?そんなに時間がどうとかいうけどあなたは私たちを見てたわけじゃないでしょう!?」

「そうだぜ?だって俺はマジックハウスの中にいたんだからよ」

「ほ、ほらそうじゃない。やっぱり言いがかりじゃない」

「でもアンタ達、俺達と一緒に動いてたじゃねぇか」

「「「「!?」」」」

「最初の鏡部屋で俺達が混乱しているうちに部屋に入り準備をする。そして出口のところでどちらかが待ち伏せする。あの服装じゃ男か女かはわからないからな。そしてマジックショーをやりながら殺していく。次からは俺たちの前に現れなけば良い。そうすれば一瞬のことで記憶も薄れるからな。そして最後に運んだところで記録映像を見せて撤退する時間を稼ぐ。そうすればもう外にいるから安心といったところだろうか」

「つまり死体運びとかは旦那さんが、殺すこと自体は奥さんがってことですか!?」

「その通りだ。説明の手間省いてくれてありがとう」

 

 刑事が照れる反対側で二人は納得が行かないみたいに怒りに震えている。

 

「なんで私たちがやったと思うの!?」

「さっきも説明したが二人でアリバイを合わせられる上にこの殺人では効率的にことを運ばなきゃいけない。それには二人必要なんだよ」

「だとしても秋山ちゃんでも出来るじゃない!マジックの知識だってあるんだし、秋山ちゃんがあなたにお願いしたら出来たんじゃないの!?」

「それは無理だな。俺はそんなこと手伝う気もしないしねぇし、そもそもコイツが正体のバレてる俺に後見を頼むと思うか?」

「た、確かにアシスタントとしては不向きかもしれないけど、ここにいない人にお願いだって出来るんじゃないの!?さっき言ってた手順なら鳴海君が遺体を見てる間に外で解散することだって」

「なぁ、なんでアンタ後見がアシスタントだと思ったんだ?」

「え………?」

「二人もおかしいと思わないか?普通後見って言われて何思い浮かべるよ」

「私は…一瞬、なんで跡取りとかを守る人なのかと」

「ああ、俺も。なんでお金持ちの家の話?って思ったんですけど」

「ッ!?」

 

 はい、罠にかかった。まぁこの罠も五分五分の仕掛けだったけど。横二人が手伝い人と言ったらどうしようかと思ったが。まぁ間違いではないんだけどな、世話役という意味では。

 

「こんな感じで何も知らない奴らは後見って言われて大体歴史の方思い浮かべるんだよ。たまに分かってねぇ奴もいるけどよ。けどアシスタントの意味で知ってるのはマジシャンか元マジシャンと関係者の三択だろうな」

「でっ、でもたまたま知ってたパターンだってあるじゃない!」

「まだ足掻くか。じゃあこれを見せてやる」

 

 俺はポケットに入れていたハンカチを取り出しそれを開いてみせた。その中に入っていたのは装飾に使われるような宝石だった。それもあまり高いものではなくキーホルダーに使われるようなサイズの。

 

「これは………なんだね?」

「宝石、ですか?」

「ああ、現場にあった円形テーブルのそばに落ちていた。翔子さん、これに見覚えないか?」

「ないわよ。そんなのがなんの証拠になるっていうの!?」

「そうだ鳴海君。流石の私もそろそろ黙っていられないぞ」

「別にいいさ。けどよ、これは確かな証拠だと思うぜ?」

「だから、何が」

「これは、アンタのキーホルダー(・・・・・・)の一部なんじゃないか?」

「………え?」

「ほら、アンタのキーホルダーを拾ったろ?そん時に違和感を感じたんだ。もしかしたらこのパーツだけ無いんじゃないか?」

「そんなことで」

「そんなことが証拠になる時だってある。否定したいなら見せてくれよ、キーホルダー。なんともなければ疑ったことは謝ってやる」

「わかったわ、見せればいいのね。だいたい、優希がくれたプレゼントを私が……」

 

 俺を睨んでから鞄の中に手を入れキーホルダーを探し始める。憤慨な様子で探していたがその勢いも次第になくなっていった。勢いがなくなったのは動きが止まってからだ。どうだー?と声をかけると慌てて鞄の中を漁り始める。また動きが止まると今度は顔色が真っ青になっていた。ひどく震えている。

 

「見つかったのか?なら早く出したらどうだ?」

「ええ、見つかったわよ………」

「どうした歯切れが悪いぞ?」

「そ、それじゃあ本当に…お母様が………?」

「これは確定ですかね」

「ま、まだ妻は出していないじゃないか!なのに何故決めつける!?」

「やめとけよ。アンタが一番わかってるだろ。この状況で自分の潔白を証明できるかもしれないものが出せないなんて、自分が犯人ですって言ってるようなもんだぜ?」

「クッ………!」

「さぁ翔子さん、素直に言うんだ。これでもうアンタが逃げることはもう出来ないはずだ」

「………いや、まだだ」

「?お父様…?」

「君の推理はまだ終わってないはずだ鳴海君」

「へぇ、どこが?」

「ふん、簡単なことだよ。遺体の欠損部はどうしたっていうんだね?」

「その話か」

「ああ。それに仮に私達が犯人だとしてその仮面とかはどこに隠すっていうのかね?園内を探しても出てこなかったんだろう?」

「そ、それもそうだ。犯人の服はどこを探しても無かった。ということは隠しようがないのでは!?」

「落ち着け、それも既に見当はついてる」

「え!?」

「ここじゃ説明もしづらい、現場に行ってみようぜ」

 

 刑事に許可を取りながら俺達は現場であるマジックハウスの中に入っていく。出口から入り、順に戻っていく。円形テーブルのある場所まで戻ってきて俺達は歩みを止めた。

 

「ここは……?」

「犯人が記録映像を映し、キーホルダーの一部が落ちていたところだ」

「それと欠損部がどういう関係を持つんだね」

「気付かねぇか?この臭いに」

「臭い?」

「そういえば…」

「なんか血の臭いがする気がします……」

「そ、血の臭いって結構残るんだわ。しかも複数人分なら尚更な」

「でもどこにも無いじゃない!」

「あるぜ、見えてないだけでよ。この中にな」

 

 そう、見えてないだけ。灯台下暗し。近いところにあるが発見されづらい。だからこそ俺はここにあると感じている。俺は円形テーブルに近づき、寄りかかるように手をつく。

 

「え?」

「は?」

「んな阿呆みたいな声出すなよ、こっちが恥ずかしくなる」

「え、でも、そんなところ入るわけ……」

「名探偵も大事なところで投げ出すのかい?全く、呆れたよ」

「そいつは結構。だが残念ながら俺は本気だぜ?」

「ではどうやって中に入れるんだい?そんな固定されてるテーブル」

「良いところに目をつけたな。このテーブル、一見するとただのテーブルだが天板が二つのパーツで固定されてるんだ。この通りな」

 

 実験でもするように(実際はやってるが)俺は天板を外す。両手で持つと意外と重いことに気付く。そして全員に見せて天板を元に戻す。

 

「でも台座の蓋は閉まっていたじゃないか」

「そう、だから一工夫したんだよ。っと」

 

 今度は天板を取り付けるために屈んで留め具をつけ始める。刑事が何してるんですか?と聞いてきたが無視して作業を行う。台座を回すように触ると少し動くのが分かった。やっぱり思ったとおりだ。上手くいけば決定的証拠になる。

 

「何をしているのか分からないがそんなところで遊んでる場合じゃないだろ」

「確かにな~でも遊びじゃないんだよなぁ」

「いい加減にしてよ!さっきから私達を犯人扱いして!」

「そもそもお前達が無実なら疑わねぇよ。そしてこれが決定的証拠品だ」

 

 俺は固定した天板を回し、台座を回転させる。根元から回したわけではない。ただ単純に天板だけを回したのだ。閉めるためには右ネジの法則で右に回さなければいけない。けれど左に回せば当然開く。回したそれは台座の三分の二を残して天板と一緒に取れた。全員が驚いている中俺は内心ほくそ笑んでいた。そして中には仮面と制服のようにしっかりとした服が入っているのが見える。それを取り出すとねちゃと気色悪い音が聞こえる。

 

「刑事さん、これ、な〜んだ?」

「それって……まさか犯人が使っていた仮面と服!?」

「ピンポーン。じゃあ今度は秋山、この中に何が入ってると思う?」

「えっと………え?嘘…ですよね?」

「さぁな。でもお前が想像したもので間違いないと思うぜ?」

 

 俺は台座の中に手を突っ込む。後ろの方から止めろと声が聞こえたが無視してそれを取り出す。手袋越しに伝わってくる気持ち悪い感触。血のせいか、それとも人間の体の一部を切り取ったからかぐちゃぐちゃと音を立ててそれは外に出てくる。またその異物を見た全員は顏を真っ青にしていた。

 

「これが、答えだ」

「嘘………」

「そ、それマジなんですか!?」

「マジもマジ、マージマジマジーロよ」

「なんでそんなもの持って巫山戯てられるんだ!」

「なんでってなぁ……死体見てればなれると思うぞ?」

 

 人によりけりだろうけど。勿論台座の中には片足や肩が入っていた。俺はグロテスクな物体を台座の中に戻し、翔子さん達に向き直した。こっからは締めかな?

 

「そしてさっきも言ったがキーホルダーはここに落ちてたんだ。証拠は十分出た。もう……終わりにしようぜ、櫻田夫妻」

「……そうね。これ以上は無駄よね」

「翔子………」

「ごめんなさいあなた、こんなことに巻き込んじゃって」

「いや、お前が満足したなら俺も満足だ」

「そう………」

 

 櫻田夫妻は下を向くかと思いきや互いの顔を見て笑顔を作っている。その笑顔はどこか儚げに見えた。

 

「犯人は私よ。そして殺すのにこれ(・・)を使った」

 

 取り出したのは紅を貴重とした骨で装飾された『R』と書かれたメモリだった。

 

「だよな。やっぱりあのドーパントはアンタだったのか」

「私ね、優希の遺体を見るまで死んだって信じられなかったの。けど変わり果てた優希を見て、話を聞いて思ったの。どうして秋山ちゃんは来たのに他の人は来ないんだろうって。そしたら黒い服の人が来て私にこれを渡したの。そしてあの人たちが幸せに暮らしてるって聞いてどうしても許せなかったの。あの人たちは優希を殺したのに何で平然と幸せを手にしてるんだろうって。そしたらね、黒い服の人があの人たちの電話番号をくれてね、それからこの人にもお願いして計画を立てたの。勿論切り取ったのもこれ。それにね、こう見えて私、昔はマジシャンやってたのよ。この人と会ったのもその時でね。……結局ダメだったけどね」

「翔子………」

「翔子さん、言っておくがアイツらがやったのは遺体遺棄だけで殺してはいない。現場の跡を見てきたが断言できる。あれはどう考えても事故だ。コイツらが殺せるような場所じゃなかったんだ。もうお終いだ。さぁ、アンタらの罪を数えろ」

「…そう………私の罪か………ねぇ見て、この袋に何が入ってると思う?」

 

 翔子さんは鞄の中から紫色の袋を取り出して見せつけてくる。見た目からして重そうなものは入ってるようには思えなかった。

 

「何が入ってるんだ?」

「この中にはね、優希(・・)が入ってるの」

「「「!?」」」

「正確には優希の無くなった手が入ってるの」

 

 そうか、あの後見つかったのか。そして白骨化手ぐらい簡単に持ち込めるよな。だが、それを持ってるって事は。

 

「優希にね、お友達がいるんですもの。だからせめてお友達との証を、一緒に埋めてあげようって」

「ハハッ、すごい愛情だな」

「褒め言葉として受け取っておくわ。ねぇ探偵さん、この先の展開も読んでたりする?」

 

 あえて俺は沈黙を促す。背中ではスタッグフォンを起動させて待機状態にさせておく。

 

「秋山ちゃん、こんなことに巻き込んでごめんなさい。あなたは謝りに来てくれたのに」

「いや………謝らなくちゃいけないのはこっちの方で………」

「それでなんだけどさ」

「?」

「秋山ちゃんのシルシ(・・・)はどこにあるの?」

 

 その言葉を聞いた瞬間寒気がする。咄嗟の反応だったのか秋山は右肩を押さえてしまった。この状況でそこを押さえるということはここにありますと教えてしまってるも当然。翔子さんは手に持っていたメモリを袖で隠していた腕に刺し、ドーパントへと変貌した。

 

『Ripper』

「うわっ!?なんだコレ!?」

「翔子………!」

 

 俺が映像で見たような怪物となり秋山を抱えて走っていく。まぁそうなるよなとスカルマグナムを取り出し、狙いを定めようとする。しかし外に逃げられ、追っては見たものの既に走っても追いつかない位置にいた。どうにかするしかないと思いつつポケットの中を適当に探る。するとスティック状のものが見つかった。ドライバーとかとは別のところから出てきたので確認すると水色の『T』と書かれたメモリだった。そういえばこの間借りたっけと思った瞬間奴の説明を思い出す。

 

『トリガーメモリは銃撃戦とかに向いてるらしい。俺のエターナルエッジに入れれば銃になるけどあんまり使わないんだよな〜』

 

 とか言ってた気がする。けどアイツ俺と殺し合った時スナイパーライフルにしてたよな?まぁいいかと思いつつスカルマグナムに入れてマキシマムドライブ待機状態にする。トリガーメモリで威力は上がってるから確実に倒せる。回収はさっき飛ばしたスタッグフォンに任せたので撃った後に着地地点に走っていこう。

 ────この距離なら、俺に外せるものはない!

 

『トリガーマキシマムドライブ』

 

 撃ち放った弾はドーパントに当たり、姿を変えて墜落していく。翔子さんはスタッグフォンが捕まえていたが秋山は取りこぼしてしまったらしい。急いで受け止めに行くと地面に落ちるスレスレのところで受け止めることに成功した。多分今までの中で一番足速かったと思う。近くで物が砕ける音を耳にして辺りを見回すと案の定メモリが砕けていた。急いで走ってきたのか幸雄さんと警察どもがやってくる。無事と報告すると全員安堵の息が漏れる。

 

「それにしても探偵さん、さっきのは………」

「ああ、今のやつ?お前も刑事ならわかるだろ。見なかったことにしろ」

「え、でも」

「世の中には知っていいことと悪いことがある。これはその中でも最高機密(トップシークレット)だ。いいな?」

 

 了解でありますと敬礼され、敬礼し返すと秋山が目を醒める。ずっと抱えていた状態だったので腕が疲れていたところだ。

 

「あ、あの、鳴海さん」

「お?降ろしていいか?」

「お、お願いします」

 

 ゆっくり降ろすと埃を払うように服を整える。そして秋山は一礼してきた。

 

「ありがとうございました」

「ああ。けど、その言葉はまた今度(・・・・)聞かせてくれ。もう、わかるよな?」

「…はい………」

 

 この言葉を聞いた瞬間秋山は警察の方を向く。そして刑事の元に行き、手を差し出す。刑事は渋りながらもその手に手錠をかけた。そのまま連れて行かれるかと思いきやもう一度振り返り笑顔を向けてきた。

 

「鳴海さん」

「なんだ?」

「私が出てきたら、また会ってくれますか?」

「悪いが俺に年上趣味はないんでな」

「そうですか………」

「だがまぁ、就活ぐらいは手伝ってやる」

「ふふ、ではまた」

「ああ」

 

 刑事さんと共に連れていかれる秋山を見て俺は帽子を伏せる。すると今度は幸雄さんに声をかけられる。

 

「鳴海君」

「アンタも行くだろ?」

「ああ、礼を言わせてくれ。妻を止めてくれてありがとう」

「止められてねぇよ。三人も殺させちまったんだ」

「だが秋山さんを殺さずに済んだ。元々彼女を殺すつもりはなかったからな」

「そうかよ。一つ聞いていいか?」

「?構わないが何か解けてないのかね?」

「ああ、一つだけ解けなくてな。どうして使われていないマジックハウスを選んだのかだ。どうやって俺達に開いているように見せた?」

「それか。それならここで働いている知り合いがいてな。この時間だけ開けてるよう見せてもらえるように頼んだんだ」

 

 なるほどな。そこまで賭けに出てたのか。全く、マジシャンとも言えればギャンブラーとも言えるな。

 

「今回のこと……人としては恥ずべき行為だが私自身は後悔はしていない」

「そうか………」

「そしてもう一つ礼を言わせてくれ。あの時、一緒にここに入ってくれてありがとう。おかげで優希と来た時の楽しさを思い出したよ」

「………それはよかったな」

「ああ、この老ぼれに機会をくれてありがとう」

「……用が済んだならとっとと行け。ほら、旦那なら妻の近くにいてやれ。そんでもって……これからも痛みを分かち合っていけ」

 

 わかっているさと言いつつ去って行く幸雄さんの背中は何故か物寂しく感じた。そうして櫻田夫妻は警察に連れて行かれた。今回の鍵は優希君のキーホルダーだった。もしかしたらこれは優希君からのメッセージだったのかもしれない。優しかった両親を止めてくれというメッセージ。こうして事件は幕を閉じた。惨劇の起こった遊園地の中、一人残った俺は空を見上げる。そこには今にも降り出しそうな灰色掛かった雲が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みさん……るみさん!………鳴海さん!

 

 その声と同時に現実に引き戻された俺は教卓の方を見る。するとクラスメイトがこっちを見ていた。数学の教師もこっちをカンカンにしながら見ている。状況が掴めず新一に頼ったが首を横に振って教えてくれない。

 

「鳴海さん、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

「じゃあ鳴海さんは放課後職員室に来てください。課題を出します」

「は!?」

 

 俺は放課後職員室に行き課題を受け取ろうとしたが量が辞書レベルであって逃げようとしたのはまた別の話。




 台座に関する図説です↓

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今回でまた幕間は一度閉じます。次章から色々と動きます!
あと今回でアンケートもきります!

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